IS‐涙なくして瞳輝かず‐   作:三三三 三雲

4 / 29
独自設定がいつにも増して多いのですが、全て無視で構いません、という回。


四話「個性的な転校生組」

昼休みの食堂、それは戦場でもある。限られた食券を求めて人は群がり、午前の勉強、運動で疲れきった脳や体に喝を入れるために、ひたすら食う…

 

なんてことはここ、IS学園ではそうそうなく。世界中から集められたエリートたちは、効率と娯楽を兼ねて軽食+甘いものを頼みがちである。

 

そこには何故か、当然のごとく食券切れという概念が存在しない。どこか次元が違うようにも思えるが、この学園が設置してある場所、すなわち日本のメンツというのも関わっているのだろう。いくら国家不干渉地帯とはいえ、必要な食物すら出せないとあっては名が泣く。

 

そんな憩いの場だが、今年は空気が少し違う。まあ当然といえば当然なのだが、この学園には今年から男子という名の獲物が放り込まれている。しかも二人目まで現れた。寮の食堂とは違い学年の敷居がないこの場では、一目見ようと、一声かけようとする者たちもよく見受けられる。だが、悲しきかなその機会は基本的には無い。

何故なら、

 

「悪いが一夏の特訓は私が担当するのだ。」

 

IS生みの親である篠ノ之束の妹と

 

「そうですわ、わたくしが一夏さんの専任コーチでしてよ。」

 

特にIS先進国であるイギリスの代表候補生と

 

「あたしは一夏に聞いてんの。部外者は黙っててよ。」

 

転校できるほどの腕があると思われる中国の代表候補生がその両脇を固めているからである。

 

しかし二人目。二人目ならば!と勇む者たち。

 

「セシリア様、お席の確保、完了いたしました。皆様もどうぞ。あちらです。」

 

轟沈した。

 

 

 

放課後の第三アリーナには最近固定客がいる。言わずもがな、織斑一夏、篠ノ之箒、セシリア・オルコットの三名である。それに加えて、今日はニューカマーがいた。

 

「何が可笑しい。不満でもあるのか?」

 

訂正、ニューカマーではなく、箒がISを纏っていた。

 

「ま、さか…こんなにも早く訓練機使用許可をいただいて来るなんて…。想定外ですわ。」

 

通常、訓練機使用許可申請を通すには膨大な量の手続きが必要である。十数枚にも及ぶ紙束に全て目を通し、了承のサインをして申請。これまでならそう苦労はしないのだが、学園に十数機しかない訓練機を巡って学園のほぼ全ての生徒から申請が来るのである。当然先着順に回しているため、新入生が訓練機に触る事が出来るのは良くて半年後と言われている。

 

それをこの短期間で受領できるとは…何か裏がありそうではある。

 

ともかく、その日の訓練は熾烈を極めた。ざっくり説明すると

一夏の今日のコーチは近接指導で私だと箒が、

基礎訓練でわたくしだとセシリアが、

両者ともに主張し、結果一夏が巻き込まれた形である。理不尽だ。

 

因みに、箒は部屋割りが替えられた(当然男子は男子同士に変更された)ことにご立腹であり、いつにも増して不機嫌であった。

 

 

 

訓練を終えて、セシリアはピットへと戻る。箒は訓練機を返すのに必要だから少しアリーナに残って調整すると言っていた。

 

「あら、やっぱりここに居た。」

 

と、知らぬ人から声を掛けられる。入学前、学園のパンフレットか何かで見たことがある顔だ。確か…

 

「もしかして、更識会長ですの?わたくしになにか?」

 

そう、IS学園最強にして生徒会長、ロシア国家代表の更識楯無その人である。そんな有名人が自分に何の用だろうか。

 

「いや、私じゃあないんだけどね。君、”先輩”に挨拶しに行ってないでしょ。見かけたら言ってくれってしつこくてね?」

 

お姉さん困っちゃうな、と続ける。唐突に広げられた扇子には『年功序列』の四字。

 

「…あっ」

 

セシリアの端正な顔が青褪める。完全に忘れていたことだが、この学園にはもう一人、イギリスから来ている生徒がいる。代表候補生ではないのだが、整備課としての優秀な腕と、学園内に少数ながらコネを持っている。本国からは一度挨拶に行けと言われていた人物である。まさか向こうも同学年の男子に感けて一ヵ月も放置されるとは思っていなかっただろう。

 

「し、失礼しました。この御恩はどこかで必ず…ごきげんよう!」

 

慌てて走り去るセシリア。残された更識会長は口元を扇子で隠し、微笑みながら見送った。その扇子には『青春謳歌』の四字。

 

 

 

その後、なんとかお許しをいただき(寛大な人であった)、寮に帰宅したのはいつもより少し遅いくらいの時間であった。ドアを開けると

 

「お帰りなさいませ、セシリア様。今、紅茶をお入れします。」

 

何故か部屋にいる執事と、幸せそうな表情のルームメイトが談笑していた。…どうやらセシリアの苦悩はまだ終わらないようである。




片方のピットにセシリア、もう片方には一夏&箒。原作ではこうなっていますが純粋に受け取った場合セシリアがこの状況を黙って見ていることになります。果たしてそれはありえるのでしょうか…というわけで自分なりに状況解釈、及び改変をしたものです。

イギリスからの技術課先輩は、直接来ることも考えたのですが、どうしてもオリキャラを出すのが難しかったので会長に代行してもらいました。今後の出演予定もございません。

それにしてもクラス対抗戦が遠い…(笑)

※後書きの誤字修正、文法修正をしました
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。