ここ、IS学園には様々な噂話がある。民間で叫ばれる眉唾なものから国家間で囁かれる真実味を帯びたものなど、内容は多岐にわたる。例を挙げると、「IS学園には世界を滅ぼすほどの兵器がある」、「篠ノ之束はIS学園に居る」、「コアを生産する技術が既にある」等。尤も、これらは全くの的外れということはない。ISは世界を滅ぼしうる兵器であるし、本人は居ないが篠ノ之束が昔使っていたラボがあったり、コアを生産する技術は日夜進められている。
そして、それら全てを内包する空間こそ、現在千冬が向かっているIS学園の地下施設である。
IS学園敷地内地下50mに存在するこの空間は、現在のIS技術の世界最先端を行く施設である。かつて篠ノ之束が作り上げた機械類は未だ人類が辿り着いていないほどの高スペックを誇り、ほとんど消去されたデータを繋ぎ合わせ、補完し、コア製造の技術を研究し続けている。
そしてここに、また新たな研究資料が到着した。先日鹵獲した正体不明ISである。
「あ、織斑先生。解析完了しましたよ。やはりあれは無人機です。本来人が乗るはずの場所は全て機材でいっぱいで…その機材も内部損傷が激しく、復元解析ともに不可能でした。」
入って早々、解析をおえた真耶がやや緊張気味にこえをかける。
「…そうか。ご苦労だった。他に分かったことは?」
「はい、武装などはこちらに。それから…どのような方法で動いていたかが分かりません。コアは登録されていないものでした。」
知っているのは千冬たち数名のみだが、468個目のコアが認められた、認められてしまった瞬間である。しかも、そのISはどの国家でも開発に成功していない「
「…そうか、やはりか。」
「もしかして、お心当たりが?」
どこか確信めいた千冬の返答に、真耶が問う。
「…いや、ない。」
(今はまだ、な。)
鋭い視線はどこか遠くを見つめていた。
コンコン、と、やや控えめなノック。騒動後の夕方、誰かがルイスの部屋の戸を叩く。
「? はい、どなた様でしょうか?」
聞きながらドアを開ける。そこには
「わ、私だ。…今良いだろうか?」
意外なことに篠ノ之箒が立っていた。緊張しているのか、視線がやや泳いでいる。
「私ですか?構いませんが一夏様はいらっしゃいませんよ?」
「ああ、それは承知している。少し頼みがあってな。」
一夏は乱入ISと直接争ったため、現在は事情聴取、及び万一のため精密検査を受けている。この分だとまだしばらくは帰ってこないだろう。
「私に、料理を教えてはもらえないだろうか。」
「…なるほど、そういうことでしたか。ええ、構いませんよ。」
以前セシリアが、”自分も”彼も料理が出来ると口を滑らせた故の頼み事らしい。余談だが、彼の主はほとんどが完璧だが、こと料理に関しては絶望的である。家系もそうだが何より必要性に駆られたため、身に付いたスキルである。
「それで本日は何をお作りに?」
「うむ、チャーハンだ。」
イギリス人に中国料理を聞いてくる日本人という実に奇妙な図が出来上がった。
その後、帰宅した一夏に箒がチャーハンを振る舞うという実に微笑ましい展開があった。気を利かせて外出していたルイス。帰宅時に真っ赤な顔をして走り去る箒を目撃した。
「一夏様、何かお有りで?」
「お、お帰りルイス。いや、何か箒に買い物に誘われてなぁ。いつの事なのか聞きそびれちまったが…そういや来月の学年別個人トーナメントが何とかって言ってたな。」
…篠ノ之箒の決死の告白はどうやら無自覚のうちに失敗したようである。
噂、地下施設の研究内容は独自設定です。
前回スムーズに鹵獲に成功したため、手に入った情報は原作より若干多くなっています。