学年別個人トーナメント。文字通り学年別で行われる個人のトーナメントである。一週間という実に長期間にわたって開催されるこのイベントは一部の企業にも開放されており、生徒たち、特に三年生にとっては重要なアピールポイントとなる。また、企業としても有能な人材の発掘の場として重宝されており、三年生は勿論のこと、二年生の成長確認、一年生の発掘と用途は多岐にわたる。
そんなイベントだからこそ、生徒は全員強制参加である。また、将来を見据えるなんだかんだエリートな彼女らは、総じて士気も高い。
更に、
「ねえねえ、あの噂、聞いた?」
「あれって…ああ、あれよね。」
「なになに?良い話?悪い話?」
「とびきり良い話!」
とびきり良い話により追加のやる気スイッチが押されているようである。
「え!それって本当!?」
「マジもマジ!優勝したらどちらかの男子と付き合えるんだって!」
「それって本人に確認とかは…?」
「…さあ?」
取れていないようである。
ISを纏うにあたって重要な問題の一つにISスーツがある。ISより内側で体に密着するこのスーツは体の動きをダイレクトに伝えるという意味においてとても慎重に選ばなければならない。
…という事情があるのだが、そこまで来ると逆に汎用品は一本化されていく。今ではISスーツを作っている会社それぞれも材質は同じものであり、違うのは各社ごとのデザインくらいである。
「ISスーツは肌表面の微弱な電位差を検知し、動きをダイレクトにISに伝えることによって動作をスムーズにするものです。耐久性にも優れており…」
と、ヤマヤ(生徒命名)の説明が続く。山ちゃん(生徒命名)は本日上記の通り重要なISスーツを選ぶ生徒たちのため勉強してきた(本人談)ようである。流石山ぴー(生徒命名)。まーやんは真面目っ子(生徒談)である。
「諸君、おはよう。」
「「「おはようございます!」」」
弛緩した空気は一瞬で軍隊式にチェンジ。一瞬である。あ、ちゃんと出したスーツ着てくれてるな、とか悠長に構えているのは一夏だけ。思考が読まれるのは当然である。
「今日からは専用機持ちでない者も本格的な実践訓練を開始する。訓練機とはいえ気を引き締めるように。ISスーツは各人のものが来るまでは学校指定のものを着用しろ。忘れた者は学校指定の水着か下着で出てもらう。覚悟しておけ。
…では山田先生、ホームルームを。」
「は、はい!」
気圧されかけていた山田先生は何とか立て直し、これまた唐突に告げる。
「今日はなんとですね、またまた転校生を紹介しちゃいまーす!しかも二名です!」
「「「えええええ!?」」」
実にナイスなリアクションである。
そうして入ってきた二人は、
「失礼します。」
あはは、とはにかむ”皇子”と
「・・・・・・」
何も言わず鋭い眼光を放つ”軍人”であった。
ISスーツに関しては一部独自設定です。