遊戯王5D's ~荒野のデュエリスト~   作:鬼柳高原

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*今回描写はありますが、まともな決闘はありません。 ご了承ください。


第14話 Dホイール

 

「今日が3日目……あいつ等大丈夫かな?」

 

ストークは3日前に置いてきたフレアとフリントを案じながら、サテライトの街中で車を走らせていた。

やがて遊星の住処に近づくと、3日前と同じ場所でフレアが手を振っており、フリントもその隣でこちらを見ている。

ストークは安心して一息つくと、2人の前に車を止める。

 

「お待たせ。 …その様子だと、解決したみたいだな!」

 

「うん! もう大丈夫だよ!」

 

「そうかそうか! どれ、いっちょその遊星さんに挨拶するとしますか! 身内が世話になった礼を―――」

 

「兄さん発進!」

 

ストークが車から降りようとすると、フレアが助手席に乗り込み、ストークを止める。

フリントは代わりに後部座席へと乗り込む。

 

「ええ!? な、何でそんなに急いでんだ? 挨拶くらい―――」

 

「駄目! 遊星は今忙しいの! それに私達も急いで戻って、またここに来なきゃいけないの!」

 

「はあ!? また来るって……解決したんじゃないのか?」

 

「いいから早く!」

 

「……フリント」

 

ストークが後ろのフリントに助けを求め、困ったような眼を向ける。

フリントも小さく溜息をつき、事情をストークに話した。

 

「……遊星が、”Dホイール”を作るんだ」

 

 

* * *

 

 

「……成る程な。 それでダインをうちの”ダイン”を持っていってやりたいと?」

 

「うん!」

 

現在、フレア達はクラッシュの屋敷に来ていた。

フレアは遊星のDホイール作りに協力する為、一刻も早くクラッシュ・タウン産のダインを届けたかった。

機械の事がさっぱりのフレアにとって、これが唯一協力出来る方法なのである。

 

「遊星が言ってたの―――」

 

 

 

フレームやエンジンは問題無い。 ツテがあるからな。 CPUは自作する。 だが、問題は駆動部だ。 難しい説明は省くが、ここは丈夫な素材でなければならない……ジャンクパーツで作るのは不安なんだ。

 

 

 

「ダインって駆動パーツに向いた鉱石なんでしょ? だから遊星に持っていってあげたいの! お願いお爺ちゃん! ダインをちょっとだけ分けて欲しいの!」

 

フレアは両手を合わせ、クラッシュに頭を下げる。

 

「おいおい、俺が可愛い孫に石ころをケチるような男に見えるか? …石ころをくれ、だなんて遠慮するな。 ……シーゲル」

 

「はい!」

 

クラッシュの呼びかけにシーゲルが返事をすると、シーゲルは何処かへと行ってしまう。

暫くして、シーゲルが台車を押しながら戻ってきた。

台車の上には布が掛けられている。

 

「こいつをやろう」

 

クラッシュが合図をすると、シーゲルが上の布を取り去る。

そこには何かの部品の様な物が詰め込まれた箱があった。

 

「Dホイールの駆動パーツだ。 予備パーツも含めて、これをダチ公に持って行ってやりな」

 

「ウソー! 凄い! お爺ちゃんありがとう! ……でもうちにはDホイール一台も無いのに、何でお爺ちゃんが持ってるの?」

 

「ふふ……何でだろうな?」

 

 

* * *

 

 

「シーゲルさん急いで急いで!」

 

「せ、急かさないでください……ここですね」

 

フレア達がクラッシュ・タウンに戻った翌日。

流石に店を休む訳には行かないので、今回はシーゲルがフレア達の足となった。

シーゲルは遊星の住処の前に車を止め、パーツの入った箱を車から降ろす。

 

「それじゃあ自分はここで待ってます。 何時ごろ戻られますか?」

 

「Dホイールが出来るまで!」

 

「……は?」

 

「Dホイールが出来るまで! だからシーゲルさんは先に帰ってていいよ!」

 

「……はあ、解りました。 止めても無駄でしょう……ボスと若旦那に伝えておきます。 フリント、これを渡しておくから、何かあったら連絡を……」

 

シーゲルはフリントに携帯電話の使い方を教えて手渡し、クラッシュ・タウンへと引き返していった。

 

 

* * *

 

 

「す、すげぇ……これ売ったら幾らになるかな……」

 

「売るなー! 遊星が使うんだぞ!」

 

ラリーがタカの尻を蹴飛ばす。

フレア達が持ってきたパーツを見て、遊星達は大層驚いた。

 

「どれもこれ以上無い程のパーツだ……本当に使わせて貰っていいのか?」

 

「いいのいいの! 私達に出来るのはこれ位だもん! これでいいDホイールを作ってね!」

 

「……ありがとう! ありがたく使わせてもらう」

 

遊星はフレア達に礼を言うと、ひとまずパーツをテントの中にしまい、CPU制作に戻る。

 

「さてと、他に私達に出来る事はないかな?」

 

「あ、そうだフレア! ジャックを誘いに行こうよ!」

 

辺りをキョロキョロと見回すフレアに、ラリーがそう提案する。

 

「ジャック? いいね! きっと暇だろうし、誘ってあげよう!」

 

 

* * *

 

 

「遊星がDホイールを作ってるって言ったら、ジャック驚くぞ~!」

 

「このジャック・アトラスがテストホイーラーになってやる! …って言い出すかもね! …って、何あれ!?」

 

ラリーとフレアがジャックの住処へと向かっていると、突然建物の向こう側から大きな竜が現れる。

その竜は赤く恐ろしい、”悪魔”の様な姿をしており、辺りの空気を震わせるような大咆哮を上げる。

 

「ジャックの住処の辺りだ! 行ってみようフレア!」

 

「うん!」

 

2人が急いで駆けつけると、そこでは決闘が行われていた。

竜を従えているのはジャック。

対戦相手の場にはドラゴン族である”砦を守る翼竜”が召喚されている。

だが悲しきかな、ジャックの場のドラゴンと比べれば、もはやトカゲにしか見えない。

 

「このジャック・アトラスに挑んだ事を後悔するがいい! バトル! 《レッド・デーモンズ・ドラゴン》で攻撃! 【アブソリュート・パワーフォース】!」

 

ジャックのドラゴン―――”レッド・デーモンズ・ドラゴン”は右腕に炎を纏うと、砦を守る翼竜目掛けて掌低を放つ。

それを受けた砦を守る翼竜は一瞬で灰になり、その炎が相手プレイヤーを襲う。

 

「ぐあぁぁぁ!!!」

 

LP:1600→0

 

ソリッドビジョンが消え、決闘終了のアラームが鳴り響いた。

相手は恐れをなし、決闘盤のカードも片付けないまま逃げて行ってしまった。

 

「ひぇ~…何なんだ今のドラゴン……」

 

「ジャックがこんなカードを持っていたなんて……」

 

「あんなカードを持っていたという話は聞かない……最近手に入れたものか」

 

「きゃあフリント!? 何時の間に!?」

 

フレアとラリーが見入っている間に、2人を心配して追いかけてきたフリントが追いついていた。

 

「ここはサテライトだぞ。 勝手に出歩くな」

 

「ジャックの家は近いんだから平気よ! それにサテライトはもう慣れたもん! 何時までも子供扱いしないでくれる?」

 

フリントとフレアが話し合っている中、ラリーが愉快そうに高笑いを上げているジャックに近づく。

 

「ハッハッハッハッハ! これだ! これこそがキングたる俺に相応しいカードだ!」

 

「や、やあジャック!」

 

「…ラリーか。 どうした? 決闘なら相手になってやってもいい! 今俺は最高に昂っているのだ! ん? おおフリントもいるではないか! 丁度いい! あの時の約束を果たすぞ! 決闘だ!」

 

そう言ってジャックは再び決闘盤を構える。

 

「(私が眼中に無いのが腹立つけど……)ジャック! 私達は決闘しに来たんじゃなくて、誘いに来たの!」

 

「誘い? 何だ?」

 

フレアはジャックに遊星が立ち直った事、そして新たに進む目標としてDホイールを制作している事を伝えた。

ジャックは先程まで昂っていた気を抑え、何かを考える様に腕を組み、目を閉じている。

 

「だからジャックも一緒にどう? 出来たら遊星が乗せてくれるかもよ?」

 

「……行こう」

 

 

* * *

 

 

「ただいまー! …あ!? フレームにエンジン!」

 

3人がジャックを連れて遊星の住処へと戻ると、ナーヴとタカがフレームを、ブリッツがエンジンを運んでいるのが見えた。

 

「ふう……おおラリー達、それにジャックも」

 

「ようやくフレームとエンジンが店に届いたって言うから、俺達で取りに行ってたんだ。 あんな店があるなんてな~! ちょっと値が張ってたが……」

 

「疲れた~……エンジンって重いんだな~……階段じゃ台車使えないから苦労したぜ」

 

ナーヴ達3人が汗を流しながらラリー達に振り向く。

テントの中で作業していた遊星も話し声を聞きつけて出てきた。

 

「3人とも、すまないな………! ジャック……」

 

遊星はジャックの姿を見ると、近づいて軽く頭を下げる。

 

「……ジャック、礼を言う。 お前はあの問いの答えについて、何も言わなかった……だが、今なら解る気がする」

 

「……遊星。 話はフレアから聞いた。 何故Dホイールを作ろうと思った?」

 

「……俺は、立ち止まっていてはいけない。 進まなければならない。 だが、どの様な道を進めばいいのか、解らない………何か大きい事に挑戦すれば、それが見えて来るのではないか……そう思って仲間達と共に、未だ誰もが成し遂げた事が無い”サテライト初のDホイール制作”をしようと思ったんだ」

 

遊星は後ろにいる6人と、横に置かれているフレームとエンジンに眼をやる。

フレームは新品の白いボディ。

エンジンは出来るだけ良い物を遊星が選んだ。

 

「……それで、完成したらお前はこのサテライトを出るのか?」

 

「!……いや、そう言う訳じゃない。 Dホイールは一人乗りだ。 ここには仲間達がいる。 仲間を置いては行けない……外へ行ってみたいという気持ちはあるが、それは今じゃない。 何れ全員分作れるようになったら……それが次の目標になるな」

 

「わぁ! 素敵! そうなったら皆でツーリングに行こうね! 私あの荒野をDホイールで駆け抜けてみたかったの!」

 

遊星の言葉に、フレア達は自分達がDホイールに乗っている未来を思い浮かべる。

だが、ジャックだけは険しい表情をしていた。

 

「とりあえず、今はこれを完成させる。 どうだ? ジャックも一緒に―――」

 

遊星がジャックに振り返った瞬間、ジャックが壁に立てかけて置いてあったフレームを蹴り倒す。

壊れはしなかったものの、フレームは激しい音を立てて倒れた。

 

「!? 何をするんだジャック!」

 

「立ち直ったと聞いて期待したが……残念だ遊星。 何時までもこのサテライトでそうしていろ!」

 

そう言ってジャックは踵を返して去っていく。

フレアとフリントが急いでフレームの状態を確かめた。

 

「何て事するのよ~…あー! 傷付いちゃってる!」

 

「表面が剥げただけだ。 問題ない。 この程度なら色を塗ってやれば隠れる」

 

全員がフリントの言葉に安堵するとナーヴ、ブリッツ、タカはジャックが去って行った方を睨む。

 

「ジャックの奴、何で…!」

 

「羨ましかったんじゃねぇの? で、気に食わなかったから蹴飛ばした」

 

「ガキ見たいな事しやがって…!」

 

「ジャック……」

 

ジャックは地上へと出ると、階段の下を睨みつける。

 

「(鬼柳が死んで……俺達の道は分かれた。 遊星……お前は俺が変わったと思うだろうが、俺からすれば逆だ。 俺とお前は違う……”目指すもの”が違うのだ)」

 

 

* * *

 

 

数ヵ月後―――遊星達はようやく完成させたDホイールの試運転を行おうとしていた。

 

「頑張って遊星! 必ず……俺達の”夢”を飛ばしてくれよ!」

 

ラリーがガッツポーズで白いDホイールに跨った遊星を応援する。

 

「しっかし、思ったよりも早く出来たよな」

 

「ああ。 まさかフリントがあそこまで出来るとは……」

 

タカとブリッツが感心した様子で頷き合う。

店の仕事を任せてもからっきしであったフリントだったが、いざ手順を教えてDホイールを弄らせてみると、作業の手際が非常に良く、遊星も”初めて触ったとは思えない”と驚いていた。

工学の知識がある訳ではないので、あくまで手伝いだけだが、それが完成の時間を縮めたのは間違いなかった。

 

「(多分、フリントはDホイールを弄った事がある……だってライディング・デュエルを知ってるんだもん)」

 

フレアはそう思いながら、自分の後ろの方を見る。

後ろの建物の更に奥、そこにある大きめな建物の屋上にはフリントがいるのだ。

フリントは屋上で、決闘盤と繋いだノートパソコンを操作しながら、手に取った無線機に話しかける。

 

「遊星、準備はいいか?」

 

「ああ、何時でもいいぞ!」

 

そう言って遊星はヘルメットを被ると、エンジンを起動させる。

 

「《スピード・ワールド》! セット!」

 

 

デュエルモード”ON” マニュアルモード

 

 

遊星がDホイールに取り付けられた決闘盤を操作すると、デュエル・モードが起動し、場が”スピード・ワールド”に支配される。

 

「まず一周だ。 ライディング・デュエル―――」

 

 

 

アクセラレーション!!!

 

 

 

フリントの合図と共に、遊星はDホイールを走らせる。

まずは、廃墟達を囲む様に引かれた道路を一周する。

決闘以前に、走れなければ意味が無い。

フリントは屋上から遊星とDホイールを観察し、パソコンのモニターと照らし合わせながら異常が無いか確認する。

フリントがいる屋上では、フレア達がいる方向は建物に阻まれて見えないが、それ以外の方向は建物が崩れていて、走るDホイールを眼で追う事が出来る。

 

「(そっちをしっかり見ていてくれ、皆……) よしいいぞ、次はオートパイロット」

 

 

オートパイロット スタンバイ

 

 

遊星が再び操作を加えると、Dホイールが自動で走り始める。

 

「スピード……ルート……問題ない。 次はソリッドビジョンのテストだ。 そちらはまずモンスターをセット、罠カードを伏せてくれ」

 

「モンスターをセット、カードを伏せる」

 

遊星がDホイールに取り付けられた決闘盤のモンスターゾーン、魔法・罠ゾーンそれぞれにカードをセットする。

すると、遊星のモンスターゾーンにセットされたカードのソリッドビジョンが、魔法・罠ゾーンにはセットされたカードのソリッドビジョンが一瞬現れた後、見えなくなる。

 

「よし、次はフェイズ、そしてターン移行とSPCだ。 順に頼むぞ」

 

「バトルフェイズ……メインフェイズ2……ターンエンド!」

 

遊星が順に宣言していくと、Dホイールのモニターのフェイズ表示が変わっていき、ターンが終了する。

 

「俺のターン!」

 

そしてフリントがパソコンに繋いだ決闘盤からカードをドローする。

そしてフェイズ表示がスタンバイフェイズに変わると、遊星のSPCが一つ増える。

 

「よし……俺はモンスターをセット、カード伏せてターンエンド!」

 

「俺のターン!」

 

フリントがターンを終え、遊星のターン。

スタンバイフェイズになると、遊星のSPCがさらに増える。

 

「次はSpと罠カード。 手順通りに頼む」

 

「《Sp-サイクロン》を発動! SPCを2つ取り除き、伏せカードを破壊する!」

 

遊星の場から竜巻が発生すると、フリントの場にある伏せカード《黄金の邪神像》が破壊され、その効果によりトークンがフリントの場に生成される。

 

邪神トークン ATK:1000

 

「罠カード《サンダー・ブレイク》を発動! 手札を1枚捨てて《邪神トークン》を破壊!」

 

捨てたカード

ボルト・ヘッジホッグ

 

遊星の場から、今度は電撃が放たれると邪神トークンに直撃し、破壊する。

 

「次は召喚、特殊召喚、反転召喚」

 

「《ジャンク・シンクロン》を召喚! その効果で《ボルト・ヘッジホッグ》を特殊召喚!」

 

遊星の場にジャンク・シンクロン、ボルト・ヘッジホッグの2体が並ぶ。

 

ジャンク・シンクロン ATK:1300

ボルト・ヘッジホッグ DEF:800

 

「《シールド・ウォリアー》を反転召喚!」

 

続けて、大きな槍と盾を持った戦士がセットカードから飛び出し、姿を現す。

 

ATK:800

 

「ここまで異常無し……遊星、シンクロ召喚だ」

 

「レベル2《ボルト・ヘッジホッグ》と、レベル3《シールド・ウォリアー》に、レベル3《ジャンク・シンクロン》をチューニング!」

 

ジャンク・シンクロンが背中に背負っているエンジンをかけると、姿が3つの光輪へと変わる。

その3つの光輪がボルト・ヘッジホッグとシールド・ウォリアーを囲むと、6つの光、そして光の柱へと変える。

 

「集いし願いが、新たに輝く星となる……光さす道となれ! シンクロ召喚! 飛翔せよ! 

《スターダスト・ドラゴン》!!!」

 

光の柱から現れたのは絆の証、”スターダスト・ドラゴン”。

7人全員の希望と夢を乗せて、今飛翔する。

 

ATK:2500

 

「「「「「飛んだぁーーー!!!」」」」」

 

地上からフレア達5人の歓声が上がる。

 

「次は攻撃だ」

 

「バトル! スターダスト・ドラゴンでセットモンスターを攻撃! 【シューティング・ソニック】!」

 

スターダスト・ドラゴンが空高く舞い上がると、屋上にいるフリントのセットモンスター目掛けて口から衝撃波を放つ。

フリントのセットモンスターが表になって姿を現すと、そのモンスターは衝撃波をかわし、スターダスト・ドラゴンに跳び付こうとする。

 

「セットモンスターは《人喰い虫》! そのリバース効果により《スターダスト・ドラゴン》を破壊する!」

 

「スターダスト・ドラゴンの効果発動! このカードをリリースする事で、破壊効果を無効にし、破壊する! 〈ヴィクテム・サンクチュアリ〉!」

 

本当に人を食べてしまえそうな巨体の虫がスターダスト・ドラゴンに取り付こうとするが、スターダスト・ドラゴンの体に触れた瞬間、スターダスト・ドラゴンと人喰い虫は光の粒子となって消えてしまった。

 

「ターンエンド! そしてこのエンドフェイズ、自身の効果によってリリースされたスターダスト・ドラゴンは復活する! 舞い戻れ! 《スターダスト・ドラゴン》!」

 

遊星の場に、光の粒子が集まると、それはスターダスト・ドラゴンへと変わる。

 

ATK:2500

 

「俺のターン! カードを伏せてターンエンド! 次は直接攻撃とLP変動」

 

「俺のターン! バトル! スターダスト・ドラゴンで直接攻撃! 【シューティング・ソニック】!」

 

スターダスト・ドラゴンが再び舞い上がり、フリントに向かって衝撃波を放つ。

 

「ぐおぉぉx……うん? ……罠カード《自業自得》を発動! 相手のモンスター1体につき500ポイントのダメージを与える!」

 

フリント LP:4000→4000

 

今度はフリントの方から衝撃波が遊星に向かって放たれる。

 

「くっ……バグか……」

 

遊星 LP:4000→4000

 

 

デュエルモード”OFF”

 

 

遊星はデュエルモードを解除し、フレア達の前で止まる。

フリントも機器を抱え、急いでフレア達の元へと戻ってきた。

 

「凄かったよ! スターダスト・ドラゴンがバァーーーって!」

 

「俺感動しちゃったよ!」

 

フレアとラリーが遊星に称賛を送る。

 

「ありがとう。 だが、まだバグがあった。 ダメージがお互いに通じない」

 

「Dホイールと決闘盤の構造は微妙に違うからな……仕方が無い。 むしろ初めてにも関わらず、ここまでに仕上げた遊星は見事だ」

 

フリントがノートパソコンとテスト用のカードを片付けながら遊星を励ます。

 

「”ハイブリット・タイプ”に出来れば、決闘盤のシステムをそのまま流用出来るんだが……予算がな」

 

現実的な理由に、ラリー達はがっくりと肩を落とす。

ラリーはもどかしそうに足踏みしながら、縋る様な眼でフレアの方を見た。

 

「金~……ねえフレア。 そっちの方も何とか……」

 

「私のお小遣いでなら幾らでも協力するけど、全然足しにならないでしょ? それにお爺ちゃん、そっち方面は厳しいから……」

 

「でもよ、ここまで出来たならもう完成でいいんじゃないか? バイクとしてはもう十分すぎるくらいだし、今急いで決闘部分を作らなくても、相手がいないだろ?」

 

ブリッツがそう言うが、遊星は首を振る。

 

「俺は、一瞬でも手を抜きたくない……今を全力で挑むからこそ、意味がある」

 

「そうだよブリッツ! それにもしかしたら、明日にでもDホイーラーが現れて遊星に勝負を挑んでくるかもしれないじゃない? そういう時の為に万全にしておかないと!」

 

「いや……幾らなんでも明日はないだろ……だけど、心構えとしては正しいかもな」

 

楽しげにDホイールを撫でるフレアに、ナーヴは突っ込みながらも納得したように頷く。

 

「よし……修正を終えたら、またテストをしよう。 フリント、協力してくれ」

 

「ああ。 まだ試す事も残っているしな。 今度こそ完璧にしよう」

 

こうして、遊星達は住処へと戻っていった。

結局、彼等は試運転の様子を影から見ている男がいたという事に、最後まで気付かなかった。

 

「……”スターダスト・ドラゴン”……か」

 

 




フリントが使っていた決闘盤は遊星がDホイールと同様の構造で作った特別仕様のものです。
なのでライディング・デュエルに対応していて、バグも同じものが発生していました。
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