遊戯王5D's ~荒野のデュエリスト~   作:鬼柳高原

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*Spはアニメ基準と前に言いましたが、やっぱり全部ゲーム基準にします。 アニメ基準だとエンジェル・バトンばっかり使いそうなんで。

*ちょっと設定的な変更を加えました。物語に影響はまったくありませんが。


第17話 点火

「キングは負けん! Sp―――!? またかッ…!」

 

「!? 何だ……この疼きは…!」

 

不思議な感覚が、スタジアムでライディング・デュエルを行う二人を襲う。

一人はジャック、そしてもう一人は遊星。

その二人の頭上で睨み合うのは、レッド・デーモンズ・ドラゴンとスターダスト・ドラゴン。

この2体の周りには、赤い光の様なものが漂っている。

 

「くっ……これは……」

 

「何だ!? 一体…!」

 

赤く光り輝いていた二人の右腕の一部が、さらに輝きを増す。

すると、辺りを漂っていた赤い光が集まり、巨大な竜の形となる。

その竜は大きな翼を広げ、長い尾をしならせながら、非常に高く大きな咆哮を上げる。

ジャックと遊星がその竜を見上げた瞬間、二人の眼も赤く光り始める。

 

「何だこれはァー!?」

 

「く…!」

 

その竜が二度目の咆哮を上げると、凄まじい風圧が二人を襲う。

そんな中、ジャックは遊星に止めを刺そうと、最後の勝負に出る。

 

「これで終幕だ! Sp発動! ジ・エンド・オブ・ストーム!」

 

「頼む! スターダスト!」

 

遊星の声に応える様に、スターダスト・ドラゴンが咆哮を上げる。

 

「そして! これこそが終幕となる! 罠カード発動―――うわぁ!?」

 

「ぐわぁ!?」

 

その瞬間、竜は二人を吹き飛ばし、眩い光を放ちながら、翼を広げて空へと消えていった。

 

 

 

 

 

次に見たのは、自分の部屋の天井。

リボルバー・ドラゴンのクラッカーでも、2年前の様な自分の悲鳴でもなく、フレアは自然に目が覚め、気持ちの良い朝を迎えていた。

 

「……”夢”だぁ……」

 

フレアは起き上がり、時計を見る。

時間は朝の7時前。

未だに朝が弱いフレアにしては、かなり早い起床である。

フレアは素早く支度を終えると、店に顔を出す。

 

「うおっ!? は、早いじゃないか今日は……」

 

「……ようやく起きられるようになったのか?」

 

「おはよう……私の分は?」

 

店ではストークとフリントが朝食のサンドイッチを口に運んでいた。

普段、起こしてもフレアがこの時間に出てくる事は無いので、フレアの分は用意されていない。

 

「ああ……普段なら自分でやれと言うところだが、俺が用意してきてやるよ。 早起き出来たからご褒美だ」

 

そう言ってストークは厨房へと入っていく。

 

「……何時もの様な眠た気な顔でもないな。 一体どうした?」

 

「フリント……”夢”を見たの」

 

「何…!?」

 

フレアは先程見た”夢”の内容を、フリントと厨房からサンドイッチを持って戻ってきたストークに話す。

 

「遊星はもうジャックと対面し、決闘まで行っていたのか……」

 

「ええ。 あれは多分、あの日の……遊星がシティに向かった日の出来事よ。 今回は中途半端にしか見れなかったんだけどね。 ……そういえば遊星がスターダストを使ってたんだけど、これって……」

 

「……フェアな戦いを、ジャックが望んだのかもな (もしくは、俺と近い様な方法で遊星がコントロールを奪い取ったか……)」

 

「ありえないわよそんなの。 ジャックだもの。 遊星が何とかして取り返したんだわ」

 

相変わらずジャックに容赦ないフレア。

勝敗が着かなかった事もあってか、フレアの機嫌は少し悪い。

 

「しかし、久しぶりの”夢”だと思ったら、とんでもなくぶっ飛んだ話だな。 その赤くてでかい竜、本当にモンスターじゃなかったのか?」

 

「うーん……モンスターじゃないはずなんだけど……どっちも召喚してないし。 …それにしても変な竜だったな~…」

 

ストークは首を傾げてフレアに尋ねるが、当のフレアも首を傾げている。

 

「変な竜?」

 

「全体的にぼやけた感じで、手と足が無かったの。 そういう竜っているけど、何かすっきりしないの、あの竜だと」

 

「(フレアの話では、竜が出る前に、遊星とジャックの右腕が光っていたと言っていた……そして、あの”道化師”はジャックの右腕に”王の印の痣”があると言っていたな……右腕の光に赤い竜……無関係ではないだろう。 そして、同じ様に腕が光った遊星にも)」

 

フリントは自分の首筋を撫でながら、2年前を思い出す。

重要な決闘を妨害された事に対してなのか、まんまと毒を打たれた自分に対してなのか、フリントは相当悔しかったらしく、この2年間、気配察知や射撃の特訓を欠かさないで過ごしてきた。

 

「ご馳走様。 それじゃ兄さん。 私はお店の仕事、夕方からでいいのね?」

 

「ああ。 遅れるなよ。 あ、皿はついでに片付けておいてやるよ」

 

「はい! じゃあフリント、行きましょう」

 

「おい……まだ早いんじゃないか?」

 

立ち上がったフレアがフリントに声を掛けて立ち上がり、店を出ようとするとフリントがそれを呼び止める。

 

「……そうね。 何時もより早く起きたんだった……まだお店開いてないわね……ちょっと時間を潰してから行こう」

 

 

* * *

 

 

「はぁ~……」

 

「ど、どうしたのバーバラさん……溜息なんてついて」

 

現在時刻は10時。

フレアとフリントはクラッシュ・タウンで花屋を営むバーバラの店へとやってきていた。

 

「どうしたもこうしたも無いのよ……出会いもなければ、お金も無い。 毎日こうやって花を売るだけの生活なんて飽き飽きなのよ。 何か刺激的な事は無いかしらねぇ~……」

 

客がいるのにも関わらず、バーバラは店のカウンターに頬杖をつきながら溜息もつく。

 

「だ、大丈夫よ。 バーバラさんは美人だし、きっといい人見つかりますよ。 それに私、バーバラさんのお花大好きですよ? ……これとこれと…これください!」

 

フレアが並べられている花を幾つか指差すと、バーバラはめんどくさそうに立ち上がり、それを持ってカウンターへと戻る。

やる気が無さそうに見えるが、流石はプロ。

作業は丁寧に行い、見事に綺麗な花束を作ってくれる。

 

「はいどーぞ」

 

「わぁ綺麗! ありがとうございます! また来ますね!」

 

フレアはバーバラにお金を渡し、フリントと共に北地区へと向かった。

 

 

* * *

 

 

「……3年前からずっと同じ事を言っているな。 あの店主は……」

 

「きっと大変なのよ。 お花屋さんって……」

 

二人は現在、鉱山の山道を登っていた。

目指すは鉱山中腹にある広い丘。

そこからの眺めは絶景であり、遠く離れたクラッシュ・タウンの町並みを一望出来る。

 

「やっと着いた。 ……鬼柳」

 

フレアは目的の場所に辿り着くと、その場に置かれている石の前にしゃがみ込む。

その石には”鬼柳 京介”と名前が書かれていた。

この石はフレアとフリントで建てた鬼柳の墓なのである。

ここに鬼柳が眠っている訳ではないが、フレアが”故郷を鬼柳に見て貰いたい”という思いがあった為、クラッシュ・タウンが良く見えるこの丘に鬼柳の墓を立てたのだ。

フレアは墓に向かって近況を報告すると、前に花束を置く。

 

「……精確な時期は分からないけど、私達が鬼柳と会ってもう2年半位…ってところかな?」

 

「ああ……早いものだ」

 

フリントは空を見上げる。

雲一つ無い快晴の空だった。

 

「(鬼柳よ。 俺もフレアも遊星もジャックも……お前に授けられた”思い”を胸に生きているぞ……俺達は、何時までも仲間だ)」

 

「……それじゃフリント、行きましょう。 鬼柳……また来るからね」

 

 

* * *

 

 

「……クラッシュの用とは、一体何なんだ?」

 

「さあ? お爺ちゃんが今日フリントを連れて来てくれ、って……あ、シーゲルさん!」

 

二人がクラッシュの屋敷前に辿り着くと、シーゲルが出迎えてくれる。

 

「お二人共! こっちです」

 

「あれ? お爺ちゃんは中じゃないんですか?」

 

屋敷に入らず、その裏手に回るシーゲル。

二人がそれに続くと、そこにはファミリーの車などを入れる大きなガレージがあった。

 

「ガレージ? 車に乗るんですか?」

 

「いえ。 あそこでボスがお待ちです」

 

3人がガレージに入ると、何台かの車、そして白い布が掛けられた物体の前で簡易椅子に座るクラッシュを見つける。

 

「よお。 待ってたぜ」

 

「俺に用とは? クラッシュ」

 

「実はな、2年前位にうちのモンが荒野で面白いもんを見つけてきてな……フリント、これはお前のもんじゃねぇのか?」

 

クラッシュがそう言うと、シーゲルがクラッシュの前にある物体に掛けられた白い布を取り去る。

そこにあったのは暖色で彩られたDホイール。

そのデザインはまるで”火”の様であった。

 

「Dホイール!? お爺ちゃん何時の間に……それにフリントの、って……」

 

フレアがフリントに眼を向けると、フリントは驚いた様子でそのDホイールを見詰めている。

 

「どうだ? 見覚えはねぇか?」

 

「……間違いない。 ”イグニッション”……俺のDホイールだ」

 

「ハッハッハ! やはりそうか!」

 

フリントが懐かしそうに車体を撫でると、クラッシュは満足したように笑う。

 

「こいつを拾った場所がな、D-21エリア……ストークがお前を拾った場所の近くだった。 そして、お前はライディング・デュエルの知識とデッキを持っている……だから、お前のじゃねぇかと思ってな」

 

クラッシュは杖を突いて立ち上がると、フリントと同じ様にDホイールを撫でる。

 

「それにしても、お前に何があったんだろうな? こいつは殆ど大破した状態で見つかった。 殆どグッチャグチャの黒焦げで、ここまで元の形を再現するのは苦労したぜ。 おかげで2年もかかった」

 

「あ! もしかして、お爺ちゃんがあの時Dホイールのパーツを持ってたの……」

 

「ああ……こいつをうちで修理してたからだ。 大変だったらしいぞ。 フレーム以外総取っ替えだ」

 

フリントのDホイールは殆どのパーツが使い物にならなくなる程壊れていたのだが、フレームだけは無事だった。

クラッシュが雇ったプロのメカニック曰く、”このフレームはオーパーツ”であり、見た事も無い素材で作られていて、異常に軽く、そして頑丈。

他のパーツとは違い、フレームには多少の傷が付いていた程度であった。

 

「お前は記憶を無くす直前まで、このDホイールに乗ってたんだろう。 記憶喪失の原因は事故……ってところだな」

 

「(……本当にそうなのか?)」

 

クラッシュの予想に対して、フリントは疑問に思う。

確かに、事故ならばそのショックで記憶を失う事はあるかもしれない。

だが、自分がストークに助けられた時、衰弱はしていたが体に外傷は見られなかった。

事故で記憶喪失になったのなら、体のどこかしらに怪我を負ってるはずである。

 

「それにしても……記憶があったお前は何をしようとしてたんだろうな? 壊れたパーツを調べてたら、オプションパーツの残骸も見つかった。 ”オーバーヒート”と”ウィングⅢ”、”オーバーブーストⅢ”に”クイックチップⅢ”……空でも飛ぶ気かお前は? しかもDホイールにとんでもなく負担が掛かるパーツばかり……そのせいでパーツの名前通り、オーバーヒートしたんだろう。 だから黒焦げてんだ。 もっと大事にしてやれ」

 

「……今の俺に言われてもな。 だが……その通りだ。 俺には、こいつに乗る資格が無い」

 

DホイールはDホイーラーの命。

それを無理やりな改造で酷使するのは、Dホイーラーのする事ではない。

何か理由があったと信じたいが、もし自分が単純にスピードを求めてそんな改造を施したのなら、自分を許す事は出来ない。

 

「馬鹿野郎。 誰の為に直してやったと思ってんだ。 今度は大事にしろって言ってんだよ」

 

「そうよフリント。 昔何があったかは知らないけど、今度はちゃんと使ってあげればいいじゃない。 今度こそちゃんと使ってあげれば、この子だって許してくれるわよ。 ね! ”イグニッション”!」

 

フレアはDホイールに向かって、同意を求める様に問いかける。

 

「……ああ、解った」

 

「よし。 解ったのなら、さっそく走って貰おうか。 それが修理代だ」

 

「……いいのか? そんなもので……」

 

「いいんだよ。 その代わり腑抜けた走りを見せるんじゃねぇぞ。 …おっと、忘れるところだったぜ。 オプションの”ウィングⅢ”、あれは直りそうだったからついでに直しておいてやったぜ。 餞別の”ブースターⅠ”と一緒に外でシーゲルから受け取りな」

 

「…何から何まで、すまないな」

 

フリントはDホイールを押してガレージから出て行く。

フレアがその時にみたフリントの横顔が、心なしか嬉しそうに見えた。

 

「いいなぁ、フリント……ねえお爺ちゃん―――」

 

「まだちょいと早いな。 お前には」

 

「まだ何も言って無いよ! それに早くない! 私、16よ!?」

 

「まあ待て。 その時が来たら、いい奴をくれてやるからよ」

 

「むぅ~……分かったわお爺ちゃん……フリント!」

 

フレアは急いでガレージを出ると、フリントを追いかける。

フリントは外でシーゲルと共にオプションパーツを取り付けていた。

 

「ねえフリント。 何かまた思い出せた?」

 

「……残念だが、こいつが俺のDホイールという事以外は何も……よし」

 

パーツの取り付けを終えたフリントはDホイールに跨り、システムのチェックを行う。

 

「問題無し……フレア、先に町の外に行くとクラッシュに伝えてくれ」

 

そう言うと、フリントはフレアに自身の帽子とマントを手渡し、エンジンを起動させ、Dホイールを走らせる。

フリントのDホイール―――”イグニッション”の性能は素晴らしく、あっという間に姿が見えなくなってしまった。

 

「凄く早い……いいなぁフリント。 ……とと、お爺ちゃんに知らせなきゃ」

 

フレアは再びガレージへと戻ると、クラッシュとシーゲルが何やら作業をしている。

 

「何してるの? フリントの運転見に行かないの?」

 

「おう、来たな。 こっち来い」

 

「?」

 

 

* * *

 

 

「……クラッシュは何をしているんだ?」

 

クラッシュ・タウン南側出入口にて、フリントはクラッシュがやって来るのを待っていた。

しかし、中々やって来る気配が無い。

 

「……ん?」

 

フリントが町の方を見ていると、町の奥から車に似た箱型の四輪マシンが走ってきて、フリントの前で止まる。

 

「…何だこれは?」

 

「こちらガレージ。 フリント、聞こえるか?」

 

突然、フリントのDホイールのモニターにクラッシュから通信が入る。

 

「クラッシュ、これは何だ?」

 

「お前の相手だ。 ただ走るだけじゃ味気ねぇ。 ライディング・デュエルを見せて貰うぞ」

 

「……これが相手か?」

 

フリントがマシンを見下ろす。

どう見てもライディング・デュエルどころか、スタンディングすら出来そうに無い。

 

「それはメカニックから借りたライディング・デュエル専用の決闘盤マシンだ。 そのマシンを動かす機械とスタンディング用の決闘盤を繋ぐ事で、Dホイーラーでなくてもライディング・デュエルが出来るという優れもんだ。 そのマシンがお前と共に走り、ソリッドビジョンを投影する。 本物の相手はこっちにいて、そのマシンのカメラでそっちを見ながら決闘する、という訳だ」

 

「成る程……ならば、俺の相手は?」

 

「私よ、フリント!」

 

今度はフレアから通信が入る。

モニターにはフレアの全身が映っており、おそらくコントローラーであろう機械にコードで繋がれている決闘盤を腕に装着している。

 

「……まさかお前とはな。 出来るのか?」

 

「やった事は無いけど、大丈夫よ! 見た事はあるし、Spだってお爺ちゃんに貰ったから!」

 

「……そうか。 解っていると思うが、手加減はしないぞ」

 

心配しながらも、久しぶりのライディング・デュエルに心を躍らせ、顔に小さく笑みを浮かべているフリントはフレアの挑戦を了承し、フィールド魔法を発動させる。

 

デュエルモード”ON” オートパイロット スタンバイ

 

「勿論! 行くよ! ライディング・デュエル―――」

 

 

 

「「アクセラレーション!!!」」

 

 

 

フリントとフレアの擬似的なライディング・デュエルが始まった。

コースはクラッシュ・タウンの北側にある鉱山との間をひたすら往復するものとなっている。

先攻はフリント。

 

「俺のターン! ドロー!」

 

フリント 手札:5→6

 

フリント SPC:0→1

フレア  SPC:0→1

 

「(これだ……この疾走間……これこそがライディング・デュエルだ!) 俺はモンスターをセット! カードを伏せてターンエンド!」

 

LP:4000

SPC:1

手札:4

モンスター

・セット

魔法・罠

・セット

 

「私のターン! ドロー!」

 

フレア 手札:5→6

 

フリント SPC:1→2

フレア  SPC:1→2

 

フレアが引いたカード:Sp-増援

 

「(増援! これなら……) 《Sp-増援》を発動!」

 

その瞬間、フレアの決闘盤からエラーを伝えるアラーム音が鳴り響く。

 

「え!? 何!?」

 

フレアが隣に置いてあるモニターで確認すると、画面には”SPCが足りません”と表示されている。

 

「……フレア。 ここはスピードに支配された世界だ。 今まで当たり前に使えていた魔法にも制限が付く。  ”Sp-増援”は3つのSPCを消費しなければ使えない……覚えておけ」

 

「3つ!? まだ2つしか無いよ~……」

 

「(俺とした事が、しまったな……フレアが使いやすい様に、スタンディングからの流用カードを多めに渡したが……逆効果だったか。 …ま、慣れるにはいいか)」

 

”Sp”にはオリジナルの物と、既存の魔法カードをSp化した物が存在する。

だが、プロ決闘界ではオリジナルのSpが好んで使用される為、フレアは今までオリジナルの物しか見た事がなかった。

”Sp-増援”をスタンディングと同じ感覚で使える物だと勘違いしたのである。

スタンディングの感覚が根付いているのも原因であろう。

その事を教え忘れていたクラッシュは一瞬申し訳なく思ったが、そもそもテキストをちゃんと読み込まないフレアもフレアだと思い直した。

 

「そ、それじゃあ……モンスターをセット、カードを伏せてターンエンド!」

 

フレアが決闘盤にカードを置くと、マシンの側にカードのソリッドビジョンが現れる。

 

LP:4000

SPC:2

手札:4

モンスター

・セット

魔法・罠

・セット

 

「俺のターン!」

 

フリント 手札:4→5

 

フリント SPC:2→3

フレア  SPC:2→3

 

「《Sp-ハイスピード・クラッシュ》を発動! 自分のSPCが2つ以上存在する時、自分の場のカード1枚と、場に存在するカード1枚を破壊する! 俺とセットモンスターとフレアの場の伏せカードを破壊!」

 

フリントが勢いよくDホイールを決闘盤マシンに寄せると、お互いのセットカードがぶつかり合い、消滅する。

 

破壊されたカード

フレア:くず鉄のかかし

フリント:火口に潜む者

 

「そんな…!」

 

「まだ終わりではない。 破壊され墓地に送られた《火口に潜む者》の効果発動! 手札から炎族モンスターを特殊召喚する! 来い! 《炎神機(フレイムギア)-紫龍》!」

 

フリントの場に現れたマグマの池から、紫色の炎を纏った竜の様な炎族モンスターが飛び出す。

竜の様で竜ではない―――その点は何処と無く”ヴォルカニック・クイーン”を思い出させる。

 

ATK:2900

 

「嘘!? フリントこんなモンスター持ってたっけ!?」

 

「そりゃお前。 フリントは”それ用”のデッキを持ってんだぞ? 中身が普段と違ったっておかしくはねぇだろ」

 

慌てふためくフレアに、クラッシュが笑いながらたしなめる。

 

「バトル! 炎神機-紫龍でセットモンスターを攻撃! 【紫炎轟火】!」

 

炎神機-紫龍がフレアのセットモンスター”荒野の女戦士”に向かって凄まじい紫の炎を放つと、決闘盤マシンごと炎に包まれ、破壊される。

 

「さらに紫龍は貫通能力を持つ!」

 

「私のLPが……(SPCまで減っちゃった……)」

 

フレア LP:4000→2300 SPC:3→2

 

「おいおい、しょげてる場合じゃねぇだろ? リクルート効果だ」

 

「あ! そうだった……《荒野の女戦士》の効果発動! 戦闘破壊された時、デッキから攻撃力1500以下の地属性戦士族を1体特殊召喚! 来て! 《ならず者傭兵部隊》!」

 

ATK:1000

 

フレアの場にガラの悪そうな傭兵集団が現れる。

このモンスターは自身をリリースする事で、場のモンスター1体を破壊する効果を持つ。

これでフリントの炎神機-紫龍を破壊するつもりなのであろう。

 

「甘いぞ! 《Sp-地砕き》! SPCを3つ取り除き、相手の場の守備力が一番高いモンスターを破壊する!」

 

フリント SPC:3→0

 

ならず者傭兵部隊は炎神機-紫龍に向かってにやけた顔を向けていたが、突然地面に叩きつけられ、破壊される。

相手を破壊しようと企んでいた中、まさか自分達が破壊されるとは思っていなかっただろう。

 

「そんな~……(自分ばっかり魔法使ってズルイ……)」

 

「(やるじゃねぇかフリント。 ミスをしてペースを崩したフレアをとことん追い詰めやがる……さあフレア、お前も決闘者を名乗るなら、巻き返して見せな)」

 

孫がピンチなのにも関わらず、クラッシュは楽しげな表情でフレアを見る。

 

「ターンエンド!」

 

LP:4000

SPC:0

手札:2

モンスター

・炎神機-紫龍

魔法・罠

・セット

 

「(まだ……まだ決闘は始まったばかり!) 私のターン!」

 

フレア 手札:4→5

 

フリント SPC:0→1

フレア  SPC:2→3

 

引いたカード:Sp-地割れ

 

「(地割れ! これなら―――) 《Sp-地割れ》を発動! SPCを3つ取り除いて―――」

 

その瞬間、再びフレアの決闘盤からエラーを伝えるアラーム音が鳴り響く。

 

「嘘!? また!?」

 

フレアが隣に置いてあるモニターを再び確認すると、またもや画面に”SPCが足りません”と表示されている。

 

「……フレア。 ”Sp-地割れ”はSPCが4つある時にノーコストで発動出来るカードだ。 ”地砕き”とは違う」

 

「え~!? 同じ様な効果なのに……」

 

「(……まだやらせるには早かったか)」

 

またしてもミスを犯したフレア。

落ち込んで顔を俯かせてしまう。

その後ろでクラッシュが小さく溜息をついた。

 

「……フレア。 目を閉じて、想像してみろ。 ライディング・デュエルを」

 

「え…?」

 

フリントが目を閉じてフレアに語りかける。

フレアは言われた通りに目を閉じた。

 

「お前はDホイールに乗り、カードを手にして、何百キロという速さでこの荒野を駆け抜ける」

 

「……」

 

フレアはフリントに言われた通りに想像する。

風を受ける爽快感、体感した事のないスピードに対する恐怖、そして興奮――――様々な感情がフレアの心から湧き上がる。

 

「……どうだ? その感動を前にすれば、お前がやったミスなんてどうでもよくなるだろう?」

 

「!」

 

「今は心だけでも、この”スピードの世界”に委ねてしまえ。 そうすれば……道を開ける」

 

「……そうね! ありがとうフリント! よーし!」

 

フレアは顔を上げ、しっかりとカメラ越しのフリントを見据える。

フレアのターンが再開した。

 

「《Sp-増援》を発動! SPCを3つ取り除いて、デッキからレベル4以下の戦士族1体を手札に加える! 私はデッキから《マジック・ストライカー》を手札に!」

 

フレア 手札:4→5 SPC:3→0

 

「そしてこのカードは墓地から魔法カードを除外する事で手札から特殊召喚出来るよ! 《Sp-増援》をゲームから除外し、手札から《マジック・ストライカー》を特殊召喚!」

 

フレアの場に魔法の杖を持つ小さな戦士が現れる。

 

ATK:600

 

「さらにユニオンモンスター《アーマー・ブレイカー》を召喚! このカードは戦士族の装備カードになれるよ! 《マジック・ストライカー》に装備!」

 

続けて現れたのは。頭にハンマーの様な兜を被った小さな戦士。

その戦士が自身を本物のハンマーの様な姿に変えると、マジック・ストライカーがそれを手に取る。

 

「バトル! マジック・ストライカーは相手にモンスターがいても直接攻撃が出来るよ! マジック・ストライカーで直接攻撃! 【ダイレクト・ストライク】!」

 

マジック・ストライカーが紫龍を飛び越え、アーマー・ブレイカーを振りかぶると、全力を込めてフリントを殴る。

 

「く…!」

 

フリント LP:4000→3400

 

「アーマー・ブレイカーの効果発動! 装備モンスターが戦闘ダメージを相手に与えた時、場のカードを1枚破壊するよ! 破壊するのは勿論《炎神機-紫龍》!」

 

フレアの場に戻ってきたマジック・ストライカーがアーマー・ブレイカーで地面を叩くと、地面から光が放たれ、その光が紫龍を包み込んで消滅させる。

 

「何だと…!」

 

「フリント……私、負けないからね! ターンエンド!」

 

LP:2300

SPC:0

手札:3

モンスター

・マジック・ストライカー

魔法・罠

・アーマー・ブレイカー

 

「……面白い。 俺も負けはしない。 俺のターン!」

 

フリント 手札:2→3

 

フリント SPC:1→2

フレア  SPC:0→1

 

「罠カード《強欲な瓶》を発動! デッキから1枚ドロー!」

 

フリント 手札:3→4

 

「このモンスターは元々の攻守を半分にする事で、リリース無しで召喚出来る! 来い! 《可変機獣 ガンナードラゴン》!」

 

フリントの場に現れたのは、ドラゴンを模したレーザー戦車。

キャタピラをフル回転させ、決闘盤マシンを猛追する。

 

ATK:2800→1400

 

「バトル! ガンナードラゴンでマジック・ストライカーを攻撃!」

 

ガンナードラゴンが首と胴体に付いたレーザー砲をマジック・ストライカーに向かって放つと、マジック・ストライカーはアーマー・ブレイカーでレーザーを防ぐと、アーマー・ブレイカーは破壊され、消滅してしまう。

 

「マジック・ストライカーの戦闘によって発生する自分へのダメージは0になるよ! そしてアーマー・ブレイカーの効果発動! 装備モンスターが戦闘破壊される時、このカードが代わりに破壊される!」

 

「残したか……カードを伏せてターンエンド!」

 

LP:3400

SPC:2

手札:2

モンスター

・可変機獣 ガンナードラゴン

魔法・罠

・セット

 

「私のターン!」

 

フレア 手札:3→4

 

フリント SPC:2→3

フレア  SPC:1→2

 

「チューナーモンスター《柴戦士タロ》を召喚!」

 

フレアの場に現れたのは一匹の柴犬。

首には唐草模様のスカーフ、肩には鞘に収まった骨を下げている。

 

ATK:800

 

「行くよ! レベル3《マジック・ストライカー》に、レベル2《柴戦士タロ》をチューニング!」

 

タロが自身の姿を2つの光輪へと変え、マジック・ストライカーを囲み、3つの光、そして光の柱へと変える。

 

「大地の痛みを知る傷だらけの戦士よ! その健在を示せ! シンクロ召喚! 不屈の戦士! 《スカー・ウォリアー》!」

 

光の柱から現れたのは傷だらけの戦士、”スカー・ウォリアー”。

ダガーを構え、ガンナードラゴンの前に立ち塞がる。

 

ATK:2100

 

「バトル! スカー・ウォリアーでガンナードラゴンを攻撃! 【勇敢な短剣(ブレイブ・ダガー)】!」

 

「罠発動! 《フォーチュン・スリップ》! 攻撃を無効にし、攻撃対象モンスターを次のスタンバイフェイズまでゲームから除外する!」

 

スカー・ウォリアーが斬りかかろうとした瞬間、突然次元の穴が現れ、ガンナードラゴンはその中へと入って行ってしまった。

 

「逃げられちゃったか……私はカードを伏せてターンエンド!」

 

LP:2300

SPC:2

手札:2

モンスター

・スカー・ウォリアー

魔法・罠

・セット

 

「俺のターン!」

 

フリント 手札:2→3

 

フリント SPC:3→4

フレア  SPC:2→3

 

「スタンバイフェイズにガンナードラゴンが場に戻る!」

 

再び次元の穴が現れると、その中からガンナードラゴンが現れる。

 

ATK:2800

 

「あ! そっか……攻撃力が元に戻るんだった」

 

「だが、俺はそれ以上のモンスターを呼ぶ! チューナーモンスター《リサイクル・ジェネクス》を召喚!」

 

フリントの場に現れたのはボロボロのロボット。

何やらよく解らない言語を呟いている。

 

ATK:200

 

「手札を全て伏せる……行くぞ! レベル7《可変機獣 ガンナードラゴン》に、レベル1《リサイクル・ジェネクス》をチューニング!」

 

リサイクル・ジェネクスが自身の姿を1つの光輪へと変え、ガンナードラゴンを囲み、7つの光、そして光の柱へと変える。

 

「天国と地獄、その間……死者が彷徨う荒野の龍よ! 現世の全てを無に帰せ! シンクロ召喚! 煉獄より現れよ! 《煉獄龍 オーガ・ドラグーン》!」

 

光の柱から現れたのはフリントの謎多きシンクロモンスター、”煉獄龍 オーガ・ドラグーン”。

現れると同時に上げた咆哮が、荒野に響き渡る。

 

ATK:3000

 

「こ、これがオーガ・ドラグーン……」

 

フレアはフリントから”よく解らないカードがある”と言われ、このオーガ・ドラグーンの話を聞かされていた。

勿論フレアにも解らなかったのだが、実際にその眼でソリッドビジョンを見た瞬間、フレアは言葉にし難い不思議な感覚を覚えた。

 

「(何だろう…? この龍を見てると……何か……)」

 

「バトル! オーガ・ドラグーンでスカー・ウォリアーを攻撃! 【煉獄の混沌却火(インフェルニティ・カオス・バースト)】!」

 

オーガ・ドラグーンがスカー・ウォリアーに獄炎を放つと、フレアは我に帰ると、慌てて罠を発動させる。

 

「させない! 罠カード《聖なるバリア -ミラーフォース-》を発動! これでオーガ・ドラグーンを―――」

 

「オーガ・ドラグーンの効果発動! 自分の手札が0枚の時、1ターンに一度、相手の魔法・罠の発動を無効にして破壊する!」

 

オーガ・ドラグーンが放った獄炎をスカー・ウォリアーの前に現れたミラーフォースが防ぐが、すぐさまオーガ・ドラグーンが尾でミラーフォースを貫き、破壊してしまう。

ミラーフォースが破壊された事でスカー・ウォリアーを守るものが無くなり、スカー・ウォリアーは結局炎に包まれる事となる。

 

「スカー・ウォリアーは1ターンに一度、戦闘では破壊されないよ!」

 

フレア LP:2300→1400

 

「ターンエンド!」

 

LP:3400

SPC:4

手札:2

モンスター

・煉獄龍 オーガ・ドラグーン

魔法・罠

・セット

・セット

 

「私のターン!」

 

フレア 手札:2→3

 

フリント SPC:4→5

フレア  SPC:3→4

 

「(やっと”地割れ”が使えるようになったけど……オーガ・ドラグーンがいるから無効にされちゃうから破壊出来ない……なら!) チューナーモンスター《キーマウス》を召喚!」

 

フレアの場に現れたのはキーマウス。

スカー・ウォリアーを見つけると、体を駆け上がってその肩へと乗る。

 

ATK:100

 

「《Sp-地割れ》を発動! SPCが4つ以上ある時、相手の場の一番攻撃力が低いモンスターを破壊!」

 

「オーガ・ドラグーンの効果で無効だ!」

 

フレアの場に”Sp-地割れ”のソリッドビジョンが現れるが、オーガ・ドラグーンの鋭い尾の一撃で貫かれる。

 

「(これで自由に使える!) 《Sp-ヴィジョンウィンド》を発動! SPCを2つ取り除いて、自分の墓地のレベル2以下のモンスター1体を特殊召喚するよ! 来て! 《柴戦士タロ》!」

 

フレア SPC:4→2

 

フレアの場に再びタロが現れる。

タロは再び場に出られた事が嬉しいのか、機嫌よく跳びはねる様に走っている。

 

ATK:800

 

「行くよ! レベル5《スカー・ウォリアー》に、レベル1《キーマウス》をチューニング!」

 

キーマウスが首輪の錠に自分の尻尾を差込み開錠させると、キーマウスが1つの光輪へと姿を変え、その光輪はスカー・ウォリアーを囲み、5つの光、そして光の柱へと変える。

 

「火を司りし獣の鍛冶師よ! 未来を切り開く神剣を鍛えよ! シンクロ召喚! 来て! 《獣神ヴァルカン》!」

 

光の柱から現れたのは”獣神ヴァルカン”。

自慢のハンマーを振り回し、力強い咆哮を上げる。

 

ATK:2000

 

「獣神ヴァルカンの効果発動! シンクロ召喚に成功した時、相手と自分の表側表示のカードを1枚ずつ手札に戻すよ! 選択するのは《煉獄龍 オーガ・ドラグーン》と《柴戦士タロ》! 〈バウンス・イラプション〉!」

 

獣神ヴァルカンがハンマーを地面に打ち付けると、それぞれの場から火柱が上がり、それぞれのモンスターを火柱が飲み込む。

魔法・罠を無効にするオーガ・ドラグーンと言えども、モンスター効果の前では無力であった。

 

「オーガ・ドラグーンを退けるとは……!?」

 

「バトル! 獣神ヴァルカンで直接攻撃! 【獣神魂鉄槌】!」

 

獣神ヴァルカンがフリントとの間合いを一気に詰めると、フリントに向かってハンマーを振り下ろす。

 

「ぐあぁぁぁ!!!」

 

フリント LP:3400→1400 SPC:5→3

 

フレアはフリントに大ダメージを与え、SPCまでも削る。

これでLPは互角、フレアがとうとう流れを掴んだ。

 

「やった! これでターンエンド!」

 

LP:1400

SPC:2

手札:1

モンスター

・獣神ヴァルカン

魔法・罠

・無し

 

「……俺のターン! ドロー!」

 

フリント 手札:0→1

 

フリント SPC:3→4

フレア  SPC:2→3

 

「見事だフレア。 だが……この勝負は俺が貰う! 永続罠《リビングデッドの呼び声》を発動! 墓地から《火口に潜む者》を特殊召喚!」

 

フリントの場にマグマの池が再び現れると、その中から人型の黒い影の様なものが這い出してくる。

 

ATK:1000

 

「チューナーモンスター《(アーリー)・ジェネクス・リモート》を召喚!」

 

続けて現れたのは球体に手足が生えたような白いロボット。

右腕が何かのリモコンの様になっている。

 

ATK:500

 

「レベル4《火口に潜む者》に、レベル3《A・ジェネクス・リモート》をチューニング!」

 

A・ジェネクス・リモートが自身の姿を3つの光輪へと変え、火口に潜む者を囲み、4つの光、そして光の柱へと変える。

 

「GASシステム、起動! セットアップ、”フレイム”! …大自然より授かった英知の結晶が、今ここに! シンクロ召喚! 《A・ジェネクス・トライフォース》!」

 

光の柱から現れたのは、銀色のボディを持つ人型起動兵器。

右腕の回転式レーザー砲が何度か回転して止まると、上部に位置した砲口が赤く光る。

 

ATK:2500

 

「攻撃力2500……ヴァルカンよりも上!?」

 

「バトル!  A・ジェネクス・トライフォースで攻撃! 【トライフォース・キャノン】!」

 

A・ジェネクス・トライフォースが獣神ヴァルカンに向かってレーザー砲を構え、3つの砲口を回転させて入れ替えながら光線を連射する。

獣神ヴァルカンは防ぐ事が出来ず、それぞれの光線に撃ち抜かれて破壊される。

 

「ま、まだLPは……」

 

フレア LP:1400→900

 

「A・ジェネクス・トライフォースの効果発動! 炎属性モンスターをシンクロ素材とした場合、このカードが戦闘破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える! これで終わりだ! 【フレムベル・フォース】!」

 

A・ジェネクス・トライフォースが赤く光る砲口を決闘盤マシンに向かって構えると、炎の様に赤い光線を放ち、そして撃ち抜く。

 

「…また、負けちゃったか……」

 

フレア LP:900→0

 

フリントが勝利すると、ソリッドビジョンが消え、決闘盤マシンが動きを止める。

 

「フリント! 負けちゃったけど、楽しかったよ!」

 

「ああ……俺も楽しかった。 だが、実際のライディング・デュエルはそんなもんじゃない。 今以上に楽しめるぞ」

 

「あ~! そんな事言って! 余計にやりたくなってきちゃうじゃない! 何時Dホイールが手に入るか分からないのにっ! フリントの馬鹿!」

 

フレアはむくれながら画面外に行ってしまう。

そんなフレアと入れ替わって、クラッシュが画面に入ってくる。

 

「おう、いい決闘だったぜ。 金掛けた甲斐があった」

 

「それはよかった。 …改めて感謝する」

 

「いいって事よ。 ……それよりまだ満足出来てねぇって面だな。 もうひとっ走り行ってきたらどうだ?」

 

「そうさせてもらう……」

 

フリントは再び荒野をDホイールで走り始める。

走れば走る程、自分がDホイーラーなのだと、”ライディング・デュエルの世界”で生きてきたのだと実感出来る―――自分の過去を感じる事が出来る。

ライディング・デュエルをしていれば、何れ記憶が戻るかもしれない。

そんな風に、フリントは思うのであった。

 

 




フリントのデッキにどんなシンクロ入れようか、どんなチューナー入れようか、そんなふうに迷いに迷って、結局ジェネクス。
イメージとちょっと離れちゃうかなと思ってるんですが、色んな”都合”(オーガがだせるとか)が良かったので、投入しました。
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