遊戯王5D's ~荒野のデュエリスト~   作:鬼柳高原

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*何時も原作オリカ登場のアナウンスをしていましたが、この作品は原作世界なので、前作以上に原作オリカが登場します。 出て当たり前位なので、これからはアナウンスしません。ご了承ください。

*ちょっと変更
 サンダウン・デュエル→夕日の決闘(読みは同じ)


第2話 サンダウン・デュエル

クラッシュタウン  十字路

 

フリントとフレアは現在、クラッシュタウンの北側へと向かう為、町の中央にある十字路を通っていた。

 

「広いな……」

 

「ふふ! ここは特別な場所だからね! 後で解るよ! さあ行こう!」

 

フレアは思わせ振りな事を言うと、北を目指して歩き出す。

フリントもそれに続こうとすると、ふと西に眼が向いた。

日が傾き始めている、もう少しで夕暮れになるだろう。

 

「あ! 駄目だよそっち行ったら! そっちはマルコム・ファミリーがいるからね!」

 

「マルコム…?」

 

フレアは事情を知らないフリントにクラッシュタウンの現状を説明する。

西にはマルコム・ファミリー、東にはラモン・ファミリー。

”十字路は曲がるべからず”―――――南地区の住人達にとっては常識であった。

 

「お爺ちゃんは見た感じ恐いけど、本当は優しいんだよ! マルコムやラモンから皆を守ってくれるし、だから南地区の人達も皆お爺ちゃんを慕ってるんだよ!」

 

フレアは誇らしげに胸を張る。

だがクラッシュはかなりの高齢らしく、それがマルコムとラモンが完全に傘下に入らない事と、今回のロットンの行動の原因となってしまっている様だ。

 

「お爺ちゃんの事馬鹿にして……お爺ちゃんは確かに凄くお爺ちゃんだけど、あんた達なんかよりずっと強いんだからね!」

 

クレアは西と東へ交互に向いて舌を出す。

兄が留守の間レストランの仕事を一人でこなしたり、ロットンに対して果敢に向かっていくなど、しっかりした面を持つが、やはりまだ子供らしい。

 

「行こうフリント! 早くしないと時間無くなっちゃう!」

 

 

 

   ・

   ・

   ・

 

 

 

クラッシュタウン 北地区

 

「ここが北地区だよ! あんまり人は住んでいないけど、クラッシュ・ファミリーの縄張りだから安全だよ!」

 

「成る程……」

 

フリントが辺りを見渡すと、確かに”普通の住人らしき者”はいない。

この町の住人からすれば、確かにクラッシュは頼りになる統治者ではあるのだろう。

しかしマルコムやラモンといった”ならず者”達を抑えているという事は、クラッシュ自身も”それなり”なのである。

一般人にとっては近づき難いものがあるのだろう。

南地区に住人が集中する訳である。

 

「着いた着いた! ちょっと待ってて!」

 

フレアが入って行ったのはここらで最も大きい屋敷。

その大きさ、入り口に立っている男達、そして先程からフリントに向けられている多数の視線―――

 

「(2…3…4……四方から見張られているな……やはりここは)」

 

暫くしてフレアが出てくると、その予想は的中する。

 

「お爺ちゃんにね、フリントの事話したら会いたいって! 会ってあげてよ!」

 

クラッシュタウンの支配者、クラッシュの屋敷。

フリントは一息つくと、フレアに続いて屋敷の中へと入って行った。

 

 

 

   ・

   ・

   ・

 

 

 

「お爺ちゃん! 連れて来たよ!」

 

「おう……お前がフリントか。 …ほーう……」

 

部屋の中心にある揺り椅子に座った老人、クラッシュはフリントと顔を合わせると早々に

”そのもの”を見抜こうと眼で探る。

フリントも同様に目の前の老人を見据える。

 

「(……成る程、戦いの中で生きてきた男だ)」

 

思わず怯んでしまいそうな威圧感、そして何よりまったく隙が無い。

フリントは確信する、目の前の男は幾千の修羅場を潜ってきた”勝者”である事を。

 

「…孫達が世話になったそうだな。 俺からも礼を言うぞ、ただ……ロットンを逃がしちまったのはマイナス点だな」

 

クラッシュはフリントに向かってニヤリと笑って見せると、フレアに目配せする。

それに気付いたフレアは頷いて見せると、背伸びし、出来る限りフリントの耳元に顔を近づける。

 

「お爺ちゃん、フリントと二人で話したいみたいだから、私外で待ってるね」

 

そう言ってフレアは部屋から出て行く。

フレア一人がいなくなっただけで、部屋の空気がずしりと重くなった。

 

「…フレアが来る前から、ロットンの件は知っていた……お前の事もな」

 

「部下に見晴らせていたな、客に一人、野次馬に一人、明らかに”違う眼”をした奴等がいた」

 

「…よく見てるじゃねぇか、益々気に入ったぜ」

 

クラッシュは歯を見せ、先程以上の笑みを浮かべると、懐から決闘銃を取り出し、銃把をフリントに向けて差し出す。

 

「どうだ? うちの用心棒にならねぇか?」

 

「……すまないが、遠慮しておく。 用心棒ではないが、あんたの孫と先約を結んでいるんでな……代わりと言っては難だが、あんたの孫達の周りはしっかりと用心しておく、それがあの二人への恩返しだ」

 

フリントが真顔でそう返すと、クラッシュは豪快に笑い出す。

まるで全てが上手くいっている時の様な笑い方だ。

 

「ハッハッハッハッハ! 今更俺の周りにお前が増えたところで何も変わりはせん! 最初からそれを頼むつもりだったわ! …男の約束だ、頼んだぜフリント」

 

 

 

   ・

   ・

   ・

 

 

 

「あ、お帰り! お爺ちゃんと何話してたの?」

 

「ギャングにならないかと誘われただけだ」

 

フリントがそう言うと、フレアは噴出して笑い出す。

冗談か何かと思ったのだろう。

見たところフレアは祖父を含めるクラッシュ・ファミリーに対して”町の強面な統治者達”という認識らしく、フレアにとってはマルコムやラモンとはまったく違うものらしい。

それだけ彼女が大事に育てられてきたという事なのかもしれない。

クラッシュとストークの気遣いが垣間見える。

 

「お爺ちゃんたらフリントをからかって……ま! フリントが気に入られてよかった! それじゃ行こうか!」

 

「今度は何処へ行くんだ?」

 

「友達の所! さあ急ごう! 時間無くなっちゃう!」

 

 

* * *

 

 

クラッシュタウン  北地区  鉱山前

 

「こっちは鉱山の方だが……」

 

「いいの! ここにはね、私達の秘密基地があるの! フリントには特別に教えてあげる!」

 

二人が鉱山に沿って歩いて行くと、岩の陰に隠れる様に建てられた木製の小屋が見えてくる。

扉の無いその小屋の中は外から丸見えであり、そこには少年と少女がカードを床に広げ、向かい合って座っている。

 

「おーい! ニコー! ウェストー!」

 

小屋の二人がフレアの呼びかけに気付くと、少年が小屋から飛び出し、少女がそれに続いて出てくる。

 

「フレア! 今日遅かったね、お店忙しかったの?」

 

「こんにちはフレア……あら? そっちの人は?」

 

少年は嬉しそうに駆け寄り、少女の方がフリントを見てフレアに尋ねる。

フレアは二人に昼間の事を話すと、少年が眼を輝かせながらフリントを見る。

 

「凄い! ロットンをやっつけちゃうなんて! まるでチーム・サティスファクションみたいだ!」

 

「ウェストったら……フリントさん、フレアを助けてくれてありがとう!」

 

少女の方は丁寧に頭を下げる。

少女の名はニコ、少年の名はウェスト。

クラッシュタウンの北地区に住む姉弟である。

活気のある南地区ではなく、北地区に住んでいるのは姉弟の父親、セルジオが鉱山で働いているからだという。

フレアと姉弟は何時もこの秘密基地で待ち合わせて遊んでいる。

 

「フレア! 新しい問題が出来たんだよ! 詰めデュエル!」

 

「本当!? 見せて見せて!」

 

フレアは小屋に入り、床に並べられたカードを見る。

 

 

自分の場

LP:16200

手札:10

XX-セイバー フォルトロール/X-セイバー アナペレラ/XX-セイバー ダークソウル

/XX-セイバー ガルドストライク/XX-セイバー ボガーナイト/戦士の生還/地砕き/地割れ

/セイバー・スラッシュ/融合解除

 

モンスター

・無し

魔法・罠

・セット(ガトムズの緊急指令)

・セット(ライフチェンジャー)

 

墓地:12(順番は以下の通り)

XX-セイバー ガルセム/X-セイバー ウルズ/XX-セイバー フラムナイト

/X-セイバー ソウザ/XX-セイバー レイジグラ//X-セイバー ガラハド

/XX-セイバー ヒュンレイ/X-セイバー ウェイン/X-セイバー ウルベルム

/X-セイバー エアベルン/X-セイバー アナペレラ

 

デッキ:4(上から順に)

X-セイバー パシウル

XX-セイバー エマーズブレイド

X-セイバー パロムロ

トラゴエディア

 

エクストラ:0

 

 

相手の場

LP:12600

手札:0

 

モンスター

・仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー(ATK:3200)

・ブラック・デーモンズ・ドラゴン(ATK:3200)

魔法・罠

・暗黒の扉

・ダメージ・ダイエット

 

墓地:12

XX-セイバー ヒュンレイ/X-セイバー ウルズ/XX-セイバー ボガーナイト

/XX-セイバー ダークソウル/XX-セイバー フラムナイト/X-セイバー エアベルン

/X-セイバー ガラハド/X-セイバー ウェイン/X-セイバー ウルベルム

/X-セイバー アクセル/XX-セイバー ガトムズ/XX-セイバー レイジグラ

 

デッキ:0

エクストラ:0

 

条件:このターン中に勝利せよ

 

 

「LPもカードも多すぎだよ! ややこし~~~!」

 

「だってフレアってば、作っても作ってもすぐ解いちゃうんだもの」

 

「だからそう簡単には解けそうに無い問題を姉ちゃんと考えたんだ!」

 

フレアは大量のカードを前にして首を捻り、唸り声を上げる。

今にも頭から煙が上がりそうな雰囲気だ。

やがてギブアップなのか、フリントに顔を向ける。

 

「私こう……ごちゃごちゃしたの考えるの苦手……第一こんな状況無いよ、フリントは解る?」

 

「…ざっと見て、出来ない事は無いが……フレア、何か急いでいるんじゃなかったのか?」

 

フリントにそう言われると、”しまった”という顔と”助かった”という顔、両方が混ざった様な微妙な顔でフレアは跳びあがる。

慌てて小屋の外を見ると、既に町は茜色に染まりつつあった。

 

「そうだった! 皆! 詰めデュエルなんてやってる場合じゃないよ! ”夕日の決闘(サンダウン・デュエル)”が始まっちゃうよ! 行こう!」

 

夕日の決闘(サンダウン・デュエル)”…?」

 

「あ! そうだった! すっかり忘れてたよ!」

 

「今日は誰がデュエルするのかな?」

 

ニコもウェストもうっかりしていたという顔。

フリントは急いで走り出した3人を追いかける。

一人だけ意味が解らないフリントは走りながらフレアに尋ねるが、フレアは”お楽しみ”と言って教えてはくれなかった。

 

 

* * *

 

 

クラッシュタウン  十字路

 

走って辿り着いたのは町の中心、十字路。

そこには多くの住民が集まっており、フレアがやって来ると歓声を上げる。

だがフリントはそんな住民達ではなく、別のものに眼を奪われていた。

 

「これは……」

 

「どうだ? クラッシュタウン名物”地平線に沈む夕日”は? 綺麗に見えるだろ?」

 

後ろから声を掛けてきたのはストーク、その隣にはブロンソンもいる。

ストークが言うには、この夕日がクラッシュタウンで一番の観光名物だという。

 

「…と言っても、ここはギャングだらけだからな、余程の物好きくらいしかこないが」

 

地平線に近づき、沈んでいこうとする夕日は何処か寂しげで神々しくもある。

そんな夕日を見続けているフリントの肩をブロンソンが叩いた。

 

「じゃあ頑張れよ! 昼間みたいなすげぇ決闘を期待してるぜ!」

 

「……何?」

 

ブロンソンの思わぬ言葉に、フリントは一瞬固まってしまう。

何故自分が決闘する事になっているのか。

訳が解らず、ストークに眼を向ける。

 

「聞いてないのか? お爺さんが今日の夕日の決闘(サンダウン・デュエル)”はフリントの歓迎会を兼ねてフリントにやらせるって……対戦相手のフレアからも何も?」

 

「……何も」

 

フリントが観客達の方に振り向くと、広場を囲む様に円陣を組んでいる。

その中心でフレアがこちらへ手を振っていた。

 

「…まったく、ちゃんと伝えとけよ……」

 

時間がないので、ストークがフリントに軽く説明する。

夕日の決闘(サンダウン・デュエル)”とはクラッシュタウンの風習で週に一度、夕暮れ時に十字路の広場で行われる決闘の事である。

 

「それだけで普通の決闘と何も変わらないんだけどな。 だけどこの雰囲気、盛り上がるだろう? 正に西部劇の決闘だ! それにこの町唯一の娯楽だからな、こんなに人が集まる。 下手な決闘は出来ないぞ」

 

「成る程……決闘の舞台としては最高、という訳だな」

 

フリントは納得したように頷くと、既に決闘場に立っているフレアを見る。

先程フレアがクラッシュの屋敷に行ったのは、自分とフリントがこの舞台で決闘出来るようにと頼む為だったのであろう。

 

「おい、何してんだ。 日が沈んじまう。 夕日の決闘(サンダウン・デュエル)”は日が沈むまでだぞ」

 

フリント達が声に振り向くと、クラッシュがやって来ていた。

左右には屋敷にいた男達が付き従っている。

 

「お爺さん!」

 

「……こんな所に出て来て大丈夫なのか?」

 

「ハッ! マルコムにもラモンにもそんな事出来る度胸はねぇよ! ファミリーの奴等にも見晴らせてるしな! …フリント」

 

クラッシュはフリントの耳に顔を寄せ、小声で話し始める。

 

「……俺は孫が可愛いが、甘やかすつもりは無い。 やれるなら全力で負かしちまってかまわねぇぞ」

 

「……決闘者に対してそれは愚問だ。 手加減など最初からするつもりは無い。 …それに、あんたの孫は手加減が必要な程の決闘者じゃないだろ?」

 

「ハッハッハ! 当たり前だ、誰の孫だと思っている! そら行け! いい決闘を見せろよ!」

 

クラッシュは思い切りフリントの背を叩き、決闘場へと送り出す。

フリントが決闘場に入ると、観客達から再び歓声が上がった。

フリントとフレアは距離を離し、北と南、夕日を挟んで立つ。

 

「驚いた? 私フリントと決闘してみたかったの! 絶対に負けないからね!」

 

「望むところだ、お前の決闘……見せてみろ」

 

「準備はよろしいですね?」

 

何時の間にか現れた審判らしき男が西に見える夕日を指差す。

 

「夕日が地平線に触れた瞬間が開始の合図です! それでは両者構え!」

 

フリントとフレアは腰の決闘銃へと手を伸ばす。

観客達は今か今かと夕日を見詰める。

そして―――――地平線と夕日が触れ合った。

 

 

「デュエル!!!」

 

 

審判の掛け声と共に、両者は決闘銃を引き抜く―――――

 

 

 

 

「先攻! フレア!」

 

先に手札をドローしたのはフレア、フリントも思わず眼を見開く。

少女ながら素早い動作で抜き放ち、装着した彼女の腕前はロットンにも匹敵する。

フリントには及ばずとも、決闘銃の変形速度によって先攻を勝ち取った。

 

「私のターン! ドロー!」

 

フレア 手札:5+1

 

「《マグナム・リリィ》を召喚!」

 

フレアの場に現れたのは、いわゆるてっぽうゆり。

花の種類としての”鉄砲百合”ではなく、花の中から本物の鉄砲の銃身が伸びている。

 

ATK:1100

 

「相変わらずだな、ちゃんと小遣いやってんのか?」

 

「やってますよ、だけどあいつは自分が気に入ったカードしか使わないんですよ……悔しいですけど、あのこだわりさえなければ俺なんかよりずっと強いと思いますよ」

 

溜息をつきながらクラッシュに言葉を返すストーク。

マグナム・リリィはお世辞にも有力なカードとは言えないステータスのモンスター、幾らでも上位のモンスターがいるはず。

だがフレアの中のこだわりが、マグナム・リリィを選んだ。

 

「カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

LP:4000

手札:3

モンスター

・マグナム・リリィ

魔法・罠

・セット

・セット

 

「俺のターン、ドロー!」

 

フリント 手札:5+1

 

フリントはフレアの場を見据える。

非力な通常モンスターのマグナム・リリィを一体で、しかも攻撃表示で晒している。

フレアが想像通りの決闘者なら、この時点で”罠”が無い事はありえない。

 

「魔法カード《ナイト・ショット》を発動! 相手の場にセットされた魔法・罠1枚を破壊する! この時、相手は選択されたカードを発動できない! 右のカード!」

 

フリントが決闘盤を再び決闘銃に変形させて構えると、銃口からソリッド・ビジョンの弾が発射され、フレアのセットカードを撃ち抜く。

 

破壊されたカード:リロード

 

「残念! 罠じゃないよ! 速攻魔法でした!」

 

フレアは楽しそうに笑うと、破壊されたカードを墓地に送る。

本物の”罠”はおそらく左のカード、だがここで臆する訳にはいかない。

どんなに弱いカードでも、1ターン先には化けるかもしれないのだ。

 

「《ヴォルカニック・エッジ》を召喚!」

 

フリントの場に火炎を吐き散らし、鎧の様な体を持った恐竜、ヴォルカニック・エッジが現れる。

 

ATK:1800

 

「バトル! ヴォルカニック・エッジで攻撃! 《ヴォルカニック・ショット》!」

 

ヴォルカニック・エッジがマグナム・リリィに向けて、口から火炎を纏った岩石を放つ。

その瞬間、マグナム・リリィの目の前に何かが立ち上がると、飛んできた火炎岩を掻き消してしまう。

ヴォルカニック・エッジの攻撃を防いだボロボロのそれは、夕日の中で寂しげに佇んでいた。

 

「罠カード《くず鉄のかかし》を発動! 相手の攻撃を一度だけ無効に! そしてもう一度このカードをセットするよ!」

 

このターンの役目を終えたくず鉄のかかしは地面に伏せると、元のカードのソリッド・ビジョンへと姿を変える。

 

「(外したのは大きかったか……)カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

LP:4000

手札:2

モンスター

・ヴォルカニック・エッジ

魔法・罠

・セット

・セット

 

くず鉄のかかしは除去されなければ、毎ターン使用出来る罠カード。

あれがある限り、フリントの攻撃が一回分制限されてしまう。

フリントとしてはナイト・ショットで破壊出来なかった事が悔やまれる。

 

「(だが攻撃ばかりが”決闘”ではない……)」

 

「私のターン! ドロー!」

 

フレア 手札:3+1

 

「チューナーモンスター《ドリル・シンクロン》を召喚!」

 

フレアの場に現れたのは、3本のドリルとキャタピラを持つ丸いロボット。

それら全てを回転させ、フリントを威嚇する。

 

ATK:800

 

「行くよ! レベル3《マグナム・リリィ》に、レベル3《ドリル・シンクロン》をチューニング!」

 

ドリル・シンクロンがドリルをを回転させ、自身を3つの光輪へと姿を変えると、マグナム・リリィを囲み、3つの光、そして光の柱へと変える。

 

「荒野に生まれし螺旋の槍よ、希望の道へと突き進め! シンクロ召喚! 大地の戦士! 《ドリル・ウォリアー》!」

 

光の柱から現れたのは右腕がドリルとなっている戦士。

肩や脚にドリルを模した装甲、首には黄色く長いマフラーを巻いている。

場に降り立つと、右腕のドリルを回転させながらフリントに向ける。

 

ATK:2400

 

シンクロ召喚が行われた事で、観客達が歓声を上げる。

シンクロモンスター―――決闘の勝敗を大きく左右する程の力を持つ、多くの決闘者達が使うモンスターであり、決闘の華。

それの登場により、場が一気に盛り上がった。

 

「シンクロ召喚か……」

 

「驚いてる場合じゃないよフリント! バトル!  ドリル・ウォリアーで攻撃! 《ドリル・ランサー》!」

 

ドリル・ウォリアーが右腕のドリルでヴォルカニック・エッジを貫き、爆散させる。

 

「攻撃力2400……厄介だな」

 

フリント LP:4000→3400

 

「バトル終了! ドリル・ウォリアーの効果発動! 手札を1枚捨ててゲームから除外するよ!」

 

捨てたカード:砂塵の騎士

 

フレアが手札を1枚墓地へ送ると、ドリル・ウォリアーがドリルを使って地面へと潜っていく。

 

「そして次の自分のスタンバイフェイズ時に再び特殊召喚するよ! ターンエンド!」

 

LP:4000

手札:2

モンスター

・無し

魔法・罠

・セット(くず鉄のかかし)

 

「俺のターン、ドロー! (一時的に除外して、除去からモンスターを守るか…)」

 

手札:2+1

 

さらにフレアの場にはくず鉄のかかしが残っており、フリントがモンスターを2体以上展開出来なければ、このターンの攻撃も凌ぐ事が出来る。

 

「伏せていた魔法カード《バレット&カートリッジ》を発動! デッキトップからカードを4枚墓地に送り、1枚ドロー! その後このカードをデッキトップへと置く。 この効果でデッキに置かれたこのカードをドローした時、このカードを墓地に送る」

 

墓地に送られたカード

・ヴォルカニック・バレット

・クレイジー・ファイヤー

・ヴォルカニック・ハンマー

・死者蘇生

 

フリント 手札:3+1

 

「モンスターをセット、カードを伏せてターンエンド」

 

LP:3400

手札:2

モンスター

・セット

魔法・罠

・セット

・セット

 

「私のターン! ドロー!」

 

フレア 手札:2+1

 

「スタンバイフェイズ時に《ドリル・ウォリアー》を特殊召喚!」

 

場の地面からドリル・ウォリアーが飛び出す。

ドリル・ウォリアーの左腕にはドリル・シンクロンが抱えられていた。

 

「ドリル・ウォリアーが帰還した時、墓地からモンスターカードを1枚手札に加える事が出来るよ! 私は《ドリル・シンクロン》を手札に加えて召喚!」

 

ATK:800

 

「バトル! ドリル・ウォリアーで攻撃! 《ドリル・ランサー》!」

 

ドリル・ウォリアーがセットモンスター、”ヴォルカニック・リボルバー”にドリルを突き立てる。

 

ヴォルカニック・リボルバー DEF:600

 

「ここでドリル・シンクロンの効果発動! 自分の場の戦士族が守備表示モンスターを攻撃した時、 その守備力を攻撃力が超えていればその数値だけ相手に戦闘ダメージを与えるよ! そして貫通ダメージを与えた時に1枚ドロー!」

 

フレア 手札:3+1

 

ドリル・ウォリアーの攻撃によりヴォルカニック・リボルバーは粉々に破壊され、ドリルの回転により吹き飛ばされた砂塵がフリントを襲う。

 

「く……! 《ヴォルカニック・リボルバー》の効果発動! 戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、デッキから《ヴォルカニック》1体を選んでデッキの一番上に置く事が出来る! 《ヴォルカニック・ロケット》をデッキトップへ!」

 

フリントのデッキがシャッフルされると、デッキトップにヴォルカニック・ロケットが置かれる。

これによりバレット&カートリッジを引き当てる可能性が低くなった。

 

フリント LP:3400→1600

 

「続けてドリル・シンクロン!」

 

ドリル・シンクロンがキャタピラとドリルをフル回転させ、フリントへ突撃する。

 

「ぐお…!」

 

フリント LP:1600→800

 

「よし、いい感じ! 私はドリル・ウォリアーの効果を発動してターンエンド!」

 

捨てたカード:キーマウス

 

LP:4000

手札:3

モンスター

・ドリル・シンクロン

魔法・罠

・セット(くず鉄のかかし)

 

「おい何やってんだフリント? 手加減するなと言ったはずだぞ!」

 

クラッシュが笑いながらフリントに向かって野次を飛ばす。

だがフリントはピンチにも野次にも動揺せず、その眼は”先”を見ていた。

その様子にクラッシュは満足したように頷く。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

フリント 手札:2+1

 

「罠カード《強欲な瓶》を発動! デッキから1枚ドロー!」

 

フリント 手札:3+1

 

「墓地にいる《ヴォルカニック・バレット》の効果発動! 500LPを払う事でデッキから《ヴォルカニック・バレット》1体を手札に加える!」

 

フリント LP:800→300 手札:4+1

 

「魔法カード《融合》を発動! 手札の《リボルバー・ドラゴン》と《ヴォルカニック・バレット》を融合! 《重爆撃禽 ボム・フェネクス》を融合召喚!」

 

フリントの場の空間がねじれると、その中からボム・フェネクスが姿を現す。

ボム・フェネクスはフレアを二つの顔で睨みつけると、甲高い咆哮を上げる。

 

ATK:2800

 

「これロットンの時の…!」

 

「《ヴォルカニック・ロケット》を召喚!」

 

続けてフリントの場に現れたのは鎧の様な体の翼竜。

体の側面から炎を噴射し、ジェット機の様に空を飛びまわる。

 

ATK:1900

 

「《ヴォルカニック・ロケット》の効果発動! 召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、自分のデッキ・墓地から《ブレイズ・キャノン》と名のついたカードを1枚選んで手札に加える事が出来る! デッキから《ブレイズ・キャノン》を手札に!」

 

フリント 手札:1+1

 

「そして永続魔法《ブレイズ・キャノン》を発動し、ボム・フェネクスの効果を発動! 場に存在するカード1枚につき300ポイントダメージを相手に与える。 場のカードは6枚、合計1800ポイントのダメージ! 《不死魔鳥大空襲(フェネクス・ビッグ・エアレイド)》!」

 

ボム・フェネクスがフレアの頭上へと移動すると、火炎弾の嵐を浴びせる。

 

「きゃあああ!?」

 

フレア LP:4000→2200

 

「バトル!  ヴォルカニック・ロケットで攻撃! 《ヴォルカニック・チャージ》!」

 

「させない! 《くず鉄のかかし》!」

 

ドリル・シンクロン目掛けて突進するヴォルカニック・ロケットの前にくず鉄のかかしが立ち塞がり、弾き返す。

だがフリントの眼はドリル・シンクロンを捉えたままであった。

 

「速攻魔法《融合解除》を発動! ボム・フェネクスをエクストラデッキへと戻し、融合素材一組を特殊召喚する!」

 

ボム・フェネクスを中心とした空間がねじれると、融合に使用したリボルバー・ドラゴンとヴォルカニック・バレットが場に現れる。

 

リボルバー・ドラゴン   ATK:2600

ヴォルカニック・バレット DEF:0

 

ボム・フェネクスは効果を使用すると攻撃が行えなくなるが、融合を解除して現れた素材モンスターはこのまま追撃出来る。

”くず鉄のかかしを乗り越えつつ、モンスターを倒し、大ダメージを与える”というフリントの戦術であった。

 

「リボルバー・ドラゴンで攻撃! 《竜機襲(ドラゴニック・アサルト)》!」

 

リボルバー・ドラゴンが頭の銃口をドリル・シンクロンに向け、弾丸を放つと、弾はドリル・シンクロンを貫き、ドリル・シンクロンは爆散してしまう。

 

「うう……」

 

フレア LP:2200→400

 

「ターンエンド」

 

LP:300

手札:0

モンスター

・ヴォルカニック・ロケット

・リボルバー・ドラゴン

・ヴォルカニック・バレット

魔法・罠

・セット

・ブレイズ・キャノン

 

フリントの突然な巻き返しに、観客達は再び歓声を上げる。

これでお互いにLPが僅かとなった。

 

「凄い……やっぱり強いねフリント! でも私も負けないよ! 私のターン! ドロー!」

 

フレア 手札:3+1

 

「でもフリント忘れてない? 私にはまだモンスターはいるよ! スタンバイフェイズに除外してた《ドリル・ウォリアー》を特殊召喚!」

 

再びドリル・ウォリアーが地面から飛び出す。

その左手には首輪をつけた白い鼠が乗せられていた。

 

「効果により墓地からチューナーモンスター《キーマウス》を手札に加えて、メインフェイズに召喚するよ!」

 

キーマウスは首輪に付けられた錠前と鍵、そして鍵の形をした尻尾を揺らしながら、ドリル・ウォリアーの手から場に下りる。

 

ATK:100

 

「魔法カード《二重召喚(デュアルサモン)》を発動! これで私はもう一度通常召喚が出来るよ!《荒野の女戦士》を召喚!」

 

フレアの場に現れたのは帽子とボロボロなマントに身を包んだ若い女戦士。

背負った剣を引き抜き、フリント達に対して構える。

 

ATK:1200

 

「レベル4《荒野の女戦士》に、レベル1《キーマウス》をチューニング!」

 

キーマウスが首輪の錠に自分の尻尾を差込み、開錠させると一つの光輪へと姿を変え、光輪は荒野の女戦士を囲み、4つの光、そして光の柱へと変える。

 

「十の剣に名を連ねし銃士よ! 立ち塞がる敵を討ち、勝利の号砲を上げよ! シンクロ召喚! 荒野の英雄《X-セイバー ウェイン》!」

 

光の柱から現れたのは、カウボーイハットを被り、二丁銃剣を腰に提げた銃士。

首に巻いた赤いスカーフを靡かせながら場に降り立ったその銃士は、仮面の下の鋭い眼光をフリントに向ける。

 

ATK:2100

 

「ウェインの効果発動! シンクロ召喚に成功した時、手札からレベル4以下の戦士族1体を特殊召喚出来るよ! 《火縄光線銃士》を特殊召喚! 《セイバーズ・テキサス》!」

 

ウェインが空に向けて号砲を鳴らすと、隣に猟師の様な服の上にマントとソンブレロという奇妙な格好をしたドジョウ髭の男が現れる。

その手には火縄銃を持ち、何時でも撃てるような体勢を取る。

 

ATK:1600

 

「そして永続魔法《連合軍》を発動! 自分の場の戦士族の攻撃力は自分の場の戦士族・魔法使い族の数×200ポイントアップするよ!」

 

フレアの場は戦士族が3体、フレアの場の戦士3体が600ポイント強化される事になる。

 

ドリル・ウォリアー     ATK:2400→3000

X-セイバー ウェイン ATK:2100→2700

火縄光線銃士      ATK:1600→2200

 

フレアがすぐさま戦力を並べ、フリント以上に場を強化させた。

ここまでしなくてもフリントのLPを0にする事は可能。

だが最後まで全力で戦う、それが決闘者の仁義だとフレアは理解していた。

観客の歓声の中、フレアはバトルフェイズへと移る。

 

「フリント! これが私の全力! 行くよ! ドリル・ウォリアーでリボルバー・ドラゴンを攻撃! 《ドリル・ランサー》!」

 

ドリル・ウォリアーが右腕のドリルを構えて、リボルバー・ドラゴンへ突っ込む。

リボルバー・ドラゴンとの攻撃力差は400、これが通ればフリントのLPは0である。

 

「永続罠《女神の加護》を発動! LPを3000ポイント回復する!」

 

フリント LP:300→3300

 

ドリル・ウォリアーがリボルバー・ドラゴンを貫き、破壊する。

 

「く…!」

 

フリント LP:3300→2900

 

「うそ! 凌がれちゃった……でも私の攻撃は続くよ! ウェインでヴォルカニック・ロケットを攻撃! 《クロス・バレット》!」

 

ウェインが二丁銃剣を交差させて構えると、ヴォルカニック・ロケットを精確に狙い撃ち、撃ち落して破壊する。

 

「……」

 

フリント LP:2900→2100

 

「火縄光線銃士でヴォルカニック・バレットを攻撃!」

 

火縄光線銃士がヴォルカニック・バレットに火縄銃を向けると、何故か光線が発射され、ヴォルカニック・バレットを消滅させる。

 

「ターンエンド!」

 

LP:400

手札:0

モンスター

・ドリル・ウォリアー

・X-セイバー ウェイン

・火縄光線銃士

魔法・罠

・セット(くず鉄のかかし)

・連合軍

 

「(…耐え切った、後は撃ち抜くのみ! …デッキよ、応えてくれ!)俺のターン! ドロー!」

 

フリント 手札:0+1

 

フレアの場の布陣の堅さ、そしてモンスターがいなくなったフリントの場。

誰しもが勝者を確信したが、最後の最後まで、何が起きるか分からない―――

―――それが”決闘”である。

 

「……フレア、これで勝負を決める! 永続魔法《ブレイズ・キャノン》の効果発動! 相手のモンスター1体を選択! 手札から攻撃力500以下の炎族1体を墓地へ送り、選択した相手モンスターを破壊する!」

 

フリントが決闘盤を決闘銃へと変形させると、カードを1枚墓地に装填し、ドリル・ウォリアーに向かって決闘銃を構える。

 

「俺は《ドリル・ウォリアー》を選択し、《ヴォルカニック・バックショット》を墓地に送る! そして墓地へ送った《ヴォルカニック・バックショット》の効果を発動! 墓地に送られた時、相手に500ポイントのダメージを与える! 《ヴォルカニック・ファイア》!」

 

フリントが決闘銃の引鉄を引くと、火炎弾が撃ち出される。

その火炎弾の正体は、鎧の様な姿をした3つ首のトカゲ、”ヴォルカニック・バックショット”。

ヴォルカニック・バックショットがドリル・ウォリアーに命中すると、大爆発を起こす。

 

「ドリル・ウォリア……きゃあああ!!!」

 

フレア LP:400→0

 

 

ソリッド・ビジョンが消え、決闘終了のアラームが鳴り響く。

それに合わせて観客達の大歓声が広場に響き、この決闘を見ていた全員が、決闘を行った二人へ称賛の言葉を送る。

 

「フレア! よく頑張ったな! フリントも流石だ!」

 

「まあ、ガキ同士の決闘にしちゃよかったな」

 

ストークは惜しみない拍手を送り、その横でクラッシュが笑みを浮かべながら呟く。

 

「凄いよフリント! フレアには僕等だって勝てないのに!」

 

「おめでとうフリント、フレアも頑張ったね!」

 

ウェストは興奮した様子で手を振り、ニコも二人に笑顔で称賛を送る。

フリントは観客達を見回した後、決闘銃をガンベルトに収め、フレアに近づく。

 

「フレア、いい決闘だった。 俺は殆ど記憶を失ってしまっているが、この決闘は間違いなく俺の”魂”に刻まれた。 決して忘れる事はないだろう」

 

「うん! 私も楽しかったよ! 今回は負けちゃったけど、次は私が勝つからね! ……フリント、これからもよろしくね!」

 

「…ああ、よろしく頼む」

 

フレアが笑顔で手を差し出すと、フリントは微笑して握手に応じる。

観客達からも、盛大な拍手が上がった。

 

こうしてクラッシュタウンの一員となったフリント。

彼にどの様な運命が待ち受けているのか、まだ誰も分からない。

 

「(今は何も考えずに歩んでいこう……ここに住む”決闘者”達と共に)」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ兄さん? ここまでフリントに渡り合えたんだから、あの時私がロットンと決闘しても勝てたんじゃないかな~?」

 

「調子に乗るなガキンチョ!」

 

 




フリントとフレアのデッキについて
あらすじにも書いた通り、デッキはアニメ基準のご都合的なものとなっています。
感想でフリントのデッキについて質問があったので、お答えしますと、フリントはヴォルカニック・バーンを中心とした”重火器のテーマデッキ”です。
リボルバーとか漫画ボマーの融合モンスターが入ってるのはそのためです。
なので深い戦略とかはあまり考えていません。

フレアについては言わずもかな……何であんなデッキなのかは後の話で。

作中に出てきた詰めデュエルは、よろしければ暇つぶしにどうぞ。
結構頑張って作ったのですが、見直してみると結構露骨な問題だったので、X-セイバーの回し方を理解していれば結構簡単に解けてしまうかもしれません。
これについても感想やご指摘があれば、どうぞよろしくお願いします。

追記
今更ですがクラッシュ・タウンの造りはオーバー・ザ・ネクサスの物を元にしています。
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