「お前がフレアだな? とうとうここまで来たか! 待ってたぜ!」
「……」
第四の扉にして、最後の扉。
その前にはやはり二人の番人が立っていた。
だが、その容姿は明らかに”恐ろしげなモンスター”である。
フレアはその二人を見た瞬間、思わず身構えてしまった。
「おいおい。 こんななりしてるが、別にこいつは悪い精霊じゃないぜ? ちゃんとした俺等の仲間だよ」
長くうねった金髪に紫色の肌、頭に2本の角を生やしてマントを羽織っている悪魔の様な姿の男は、フレアの警戒が全て隣にいる相棒のせいだと思っているようだ。
そう言われながらも、隣にいる相棒の竜人は微動だにしない。
「えっと……ごめんなさい! (そうだよね。 エアトスの仲間だもん) よろしくお願いします!」
「おう! 俺の名は”バオウ”! こっちが”グラール”だ! 無愛想なだけで、ちゃんと喋れるぜ! …そんじゃ始めるか!」
バオウは自分の背丈程の大剣を出現させる。
その面に窪みが見えるので、おそらく決闘盤なのであろう。
ケーストと同様に腕に抱える様にして構える。
一方、グラールは腕に両刃斧の頭の様な形をした決闘盤を出現させる。
最初から展開した状態だったようであり、決闘盤は変形せず、起動音だけが鳴る。
フレアもそれに応え、決闘銃を変形させた。
「「デュエル!!!」」
第四の試練。
最後の扉を守る番人、”バオウとグラール”との決闘が始まる。
先攻はグラール。
「……俺のターン」
グラール 手札:5→6
「《ブリザード・ドラゴン》を召喚……」
グラールの場に現れたのは、腕にヒレの様な翼を持った青いドラゴン。
その翼を広げ、フレアを威嚇する。
ATK:1800
「3枚伏せ、ターンエンド……」
LP:4000
グラール 手札:2
バオウ 手札:5
モンスター
・ブリザード・ドラゴン
魔法・罠
・セット
・セット
・セット
「私のターン! ドロー!」
フレア 手札:6→7
「魔法カード《増援》を発動! デッキからレベル4以下の戦士族1体を手札に加える! 私が加えるのは《マジック・ストライカー》! そして手札に加えたマジック・ストライカーの効果! 墓地の魔法カード1枚を除外して、手札から特殊召喚!」
フレアの場に小さな魔法戦士、”マジック・ストライカー”が現れる。
ATK:600
「そしてユニオンモンスター《アーマー・ブレイカー》を通常召喚! そして効果発動! 場の戦士族1体に装備するよ!」
続けて場にアーマー・ブレイカーが現れるとハンマーに変形し、それをマジック・ストライカーが手に取る。
「マジック・ストライカーは相手の場にモンスターがいても直接攻撃が出来る! バトル! マジック・ストライカーで直接攻撃! 【ダイレクト・ストライク】!」
マジック・ストライカーがアーマー・ブレイカーを持って飛び上がり、アーマー・ブレイカーを構えてグラールへと急降下する。
この攻撃が通れば、アーマー・ブレイカーの効果により、ダメージと同時に場のカードを1枚破壊出来る。
しかし、マジック・ストライカーの攻撃がグラールに届く事はなかった。
突然、マジック・ストライカーが大きな車輪の機械に捕らえられてしまったからだ。
「マジック・ストライカー!?」
「永続罠《拷問車輪》を発動……選択した相手モンスター1体は攻撃出来ず、表示形式の変更も出来ない……」
「くっ…(でも、アーマー・ブレイカーを装備したマジック・ストライカーならこの場を持たせられる!) 私はカードを2枚伏せてターンエンド!」
LP:4000
手札:3
モンスター
・マジック・ストライカー
魔法・罠
・アーマー・ブレイカー
・セット
・セット
「俺のターン! ドロー!」
バオウ 手札:5→6
「スタンバイフェイズ! ここでグラールが発動した拷問車輪の効果発動! 相手に500ポイントのダメージを与えるぜ!」
バオウの宣言と共に拷問車輪が起動する。
その瞬間、マジック・ストライカーの悲鳴と共に拷問車輪から衝撃波が発生し、フレアを襲う。
「マジック・ストライカー!? きゃ!?」
フレア LP:4000→3500
「続けて行くぜ! 魔法カード《融合》を発動! 手札の《憑依するブラッド・ソウル》と《辺境の大賢者》を融合! 《魔人 ダーク・バルター》を融合召喚!」
バオウの場の空間が歪むと、その歪みの中心から立派な風貌の老人が現れる。
しかし、老人が場に降り立った瞬間、突然老人が苦しみだすと、姿が変化していく。
ようやく変化が止まると、立派な老人は醜悪な悪魔と化していた。
ATK:2000
「(いきなり融合召喚……一体どんな”力”が……)」
「さらに装備魔法《レインボー・ヴェール》を《魔人 ダーク・バルター》に装備! 装備モンスターが相手モンスターと戦闘を行う場合、バトルフェイズの間だけその相手モンスターの効果を無効にする! バトルだ!」
「!? そんな……」
マジック・ストライカーは戦闘を行う時、その時の自分への戦闘ダメージを0にする能力を持つ。
フレアはその能力とアーマー・ブレイカーを盾にして攻撃を防ぐつもりでいたが、バオウが発動した”レインボー・ヴェール”によってその目論見は崩れた。
魔人 ダーク・バルターは黒いブレスをマジック・ストライカーに放つ。
拷問車輪に捕まっているマジック・ストライカーをアーマー・ブレイカーが庇うがブレスを受けきる事が出来ず、その一部がフレアへと向かう。
「きゃあ!?」
フレア LP:3500→2100
「さっきの様子じゃ、やっぱりそのモンスターには何かあったんだな? だが俺の前では無意味だ」
バオウは誇らしげに胸を張る。
「俺がお前に課す試練は”効果封印”! 俺に小細工は通用しねぇぜ! さあ、次はブリザード・ドラゴン!」
ブリザード・ドラゴンがマジック・ストライカーに向かって氷のブレスを放つと、マジック・ストライカーは拷問車輪ごと氷付き、そのまま砕け散る。
「うう……」
フレア LP:2100→900
「ターンエンドだ!」
LP:4000
グラール 手札:2
バオウ 手札:2
モンスター
・ブリザード・ドラゴン
・魔人 ダーク・バルター
魔法・罠
・セット(グラール)
・セット(グラール)
あっという間にLPを削られたフレア。
動揺する気を抑え、デッキに指を掛ける。
「私のターン! ドロー!」
フレア 手札:3→4
フレアが引いたカードは通常魔法”ナイト・ショット”。
相手の場に伏せられた魔法・罠カードを1枚、発動を許さずに破壊する事が出来るカードである。
「(とりあえず伏せカードを……) 魔法カード《ナイト・ショット》を発動―――」
「おおっと! 魔人 ダーク・バルターの効果発動! LPを1000払い、通常魔法の効果を無効にするぜ!」
バオウ LP:4000→3000
魔人 ダーク・バルターがその不気味な眼を光らせると、フレアの発動したナイト・ショットは何も効果を発動出来ずに消滅する。
「言ったろ? ”効果封印”だってな!」
「!? ……ま、まだこれから! チューナーモンスター《ドリル・シンクロン》を召喚!」
フレアの場に現れたのは”ドリル・シンクロン”。
だが、フレアの目的は”ドリル・ウォリアー”を呼び出す事ではない。
ATK:800
「さらに永続罠《リミット・リバース》を発動! 墓地から攻撃力1000以下のモンスターを攻撃表示で特殊召喚するよ! 私は墓地から《マジック・ストライカー》を特殊召喚!」
フレアの場に再びマジック・ストライカーが現れる。
ATK:600
「レベル3《マジック・ストライカー》に、レベル3《ドリル・シンクロン》をチューニング!」
ドリル・シンクロンが自身の姿を3つの光輪へと変え、マジック・ストライカーを囲み、3つの光、そして光の柱へと変える。
「火を司りし獣の鍛冶師よ! 未来を切り開く神剣を鍛えよ! シンクロ召喚! 来て! 《獣神ヴァルカン》!」
光の柱から現れたのは、第三の試練に決着を付けた”獣神ヴァルカン”。
場に降り立つと、再びフレアの道を切り開こうと気合を入れ、ハンマーを力強く構える。
ATK:2000
「獣神ヴァルカンの効果発動! シンクロ召喚に成功した時、お互いの場に存在する表側表示のカードを1枚ずつ手札に戻す! 私の場からは《リミット・リバース》! 相手の場からは《魔人 ダーク・バルター》を手札へ! 〈バウンス・イラプション〉!」
獣神ヴァルカンがハンマーを地面に打ち付けると、それぞれの場から火柱が上がり、フレアのリミット・リバースとバオウの魔人 ダーク・バルターは火柱によって打ち上げられ、それぞれ手札、エクストラデッキに戻されてしまう。
「何!? よくも…!」
「魔法は出来ても、ヴァルカンは無理だったみたいね! バトル! 獣神ヴァルカンでブリザード・ドラゴンを攻撃―――!? ヴァルカン!?」
フレアが攻撃を宣言した瞬間、ヴァルカンは突然現れた無数の鎖に囚われ、雁字搦めにされてしまう。
ATK:2000→1300
「へっ! 残念だったな! グラールが伏せた永続罠《闇の呪縛》を発動! このカードがある限り、相手モンスター1体は攻撃力が700ポイントダウンし、攻撃出来ず、表示形式を変更出来ない!」
「そんな…!? ……カードを伏せてターンエンド」
LP:900
手札:2
モンスター
・獣神ヴァルカン
魔法・罠
・セット
・セット
「……俺が課す試練……”行動封印”……お前のモンスターの攻撃を封じ、守りも封じる……俺のターン」
グラール 手札:2→3
「ブリザード・ドラゴンをリリース……《軍神ガープ》をアドバンス召喚……」
ブリザード・ドラゴンが光の中へと消えると、その光の中から禍々しい悪魔が現れる。
腕組をした2本の腕の他に、大きく鋭い爪がある翼の様な腕を両肩から生やしている。
ATK:2200
「このカードが存在する限り、モンスターは攻撃表示となり、表示形式を変更出来ない……さらに……」
グラールは残る2枚の手札を全てフレアに見せる。
公開したカード
ジャイアント・オーク
セコンド・ゴブリン
「手札の悪魔族を見せる事で、エンドフェイズ時まで見せた枚数分だけ攻撃力を300ポイントアップする……」
ATK:2200→2800
「おいおい、それ必要あんのか?」
「……ここまで勝ち抜いてきた猛者だ。 それに……俺は”戦い”では手を抜かん」
攻撃力を上げずとも、ガープでヴァルカンを攻撃すれば決着が付く。
だが、グラールは油断せずに全力でフレアにぶつかろうとしていた。
「……軍神ガープで攻撃!」
鎖で縛られ動けないヴァルカンに向かって、ガープが爪を振り上げる。
「罠カード《幻獣の角》を発動! このカードは獣族、または獣戦士族の装備カードになるわ! このカードを装備したモンスターの攻撃力を800ポイントアップ!」
ATK:1300→2100
ヴァルカンはガープの爪により切り裂かれてしまうが、頭に生えた”幻獣の角”の力を使う事で、何とかフレアへのダメージを軽減する。
「くっ…!」
フレア LP:900→200
「……見事だ。 ターンエンド」
LP:3000
グラール 手札:2
バオウ 手札:2
モンスター
・軍神ガープ
魔法・罠
・セット(グラール)
絶体絶命の窮地に立たされたフレア。
だが、ここまで来て諦める訳にはいかない。
フレアは番人達の後ろにある扉を見上げる。
「(あの扉の向こうに……エアトスがいる! 待ってて、すぐ行くから!) 私のターン!」
フレア 手札:2→3
「速攻魔法《手札断殺》を発動! お互いに手札を2枚墓地へ送り、2枚ドロー!」
フレアとグラールはお互いに残った2枚の手札を墓地に送り、2枚ドローする。
この瞬間、フレアの場に2体の綿毛モンスターが現れた。
フレアが墓地に送ったカード
ダンディライオン
ネクロ・ガードナー
「手札から墓地に送った《ダンディライオン》の効果発動! 私の場に2体の綿毛トークンを守備表示で生成!」
「……ガープの効果により、攻撃表示となる」
ATK:0
ATK:0
「構わないわ! チューナーモンスター《キーマウス》を召喚!」
フレアの場に獣族チューナー”キーマウス”が現れる。
ATK:100
「そして永続罠《リミット・リバース》を発動! 墓地から《ダンディライオン》を特殊召喚!」
フレアの場に現れたのは、タンポポの花弁の様な鬣を持つ小さいライオン。
これこそがトークン生成でフレアを助けてきた”ダンディライオン”である。
ATK:300
「レベル3《ダンディライオン》と、レベル1《綿毛トークン》に、レベル1《キーマウス》をチューニング!」
キーマウスが首輪の錠に自分の尻尾を差込み開錠させると、1つの光輪へと姿を変え、光輪はダンディライオンと綿毛トークンを囲み、4つの光、そして光の柱へと変える。
「荒野を駆ける雷よ! 猛き烈風と交わりて、彼方へ続く地平を駆けよ! シンクロ召喚! 嘶け! 《サンダー・ユニコーン》!」
光の柱から現れたのはサンダー・ユニコーン。
場に降り立つと、高らかに前足を上げて嘶き、蹄を鳴らす。
ATK:2200
「ここで《ダンディライオン》の効果発動! また綿毛トークンを2体生成!」
ATK:0
ATK:0
こうしてフレアの場にガープと並ぶ攻撃力を持つサンダー・ユニコーンと3体のトークンが並んだ。
「サンダー・ユニコーンの効果発動! このターン、このカード以外の攻撃を封じる事で、相手の場のモンスター1体の攻撃力をエンドフェイズ時まで自分の場のモンスター1体につき500ポイントダウンさせる! 私の場のモンスターは4体! よって《軍神ガープ》の攻撃力を2000ポイントダウンさせる! 〈サンダー・スクレイプ〉!」
サンダー・ユニコーンが角からガープに向かって電撃を放つと、ガープは感電して動けなくなる。
ATK:2200→200
「…!」
「バトル! サンダー・ユニコーンで軍神ガープを攻撃! 【サンダー・スピアー】!」
サンダー・ユニコーンが角に電気を纏わせると、そのままガープに向かって突進する。
「…永続罠《六芒星の呪縛》を発動。 このカードが存在する限り、相手モンスター1体は攻撃出来ず、表示形式を変更出来ない―――」
「何度も同じ手には掛からないわ! 速攻魔法《サイクロン》をチェーン発動! 魔法・罠を1枚破壊する! 私は今発動した《六芒星の呪縛》を破壊!」
「!?」
グラールの場を竜巻が襲うと、”六芒星の呪縛”を吹き飛ばす。
永続罠は場にて効果を発揮し続けるカード。
他の罠とは違い、発動と同時に破壊してしまえば不発に終わる。
罠が無くなったグラールの場にサンダー・ユニコーンが踏み込むと、その鋭い角でガープを一閃する。
「ぐ…!?」
グラール LP:3000→1000
「これでターンエンド!」
LP:200
手札:0
モンスター
・綿毛トークン
・サンダー・ユニコーン
・綿毛トークン
・綿毛トークン
魔法・罠
・リミット・リバース
「マジかよ……正直舐めてたぜ。 俺のターン!」
バオウ 手札:2→3
「…だが、随分と捨て身で来たな。 俺が攻撃力200以上のモンスターを持ってたら負けだぜ?」
そんな事はフレアも承知している。
バオウは気付いていないが、フレアが先程墓地へ送ったカードの内の1枚、”ネクロ・ガードナー”は墓地から除外する事で相手の攻撃を1度だけ無効に出来るカード。
防御策はしっかりと用意していた。
だが、フレアにとって脅威は攻撃だけではない。
今のLPでは僅かな効果ダメージでも敗北してしまうのだ。
劣勢なのには変わりない。
「魔法カード《闇の誘惑》を発動! 2枚ドローし、その後闇属性1体を手札から除外する!」
バオウ 手札:2→4→3
除外したカード
闇の侯爵ベリアル
「…運がよかったな。 俺の手札に今攻撃出来るモンスターはいねぇ……だが、やる事はやらせて貰うぜ! 魔法カード《クロス・ソウル》を発動! 相手のモンスター1体をリリース素材にする事が出来る! 俺は《サンダー・ユニコーン》をリリース! 《冥界の魔王 ハ・デス》をアドバンス召喚!」
「!?」
フレアの場のサンダー・ユニコーンがバオウの場に現れた光に飲み込まれると、その光の中から2本の大きな角を生やした魔王が現れる。
これこそ死す前の、冥界の魔王の座に君臨していた頃のハ・デスである。
ATK:2450
「サンダー・ユニコーンが……」
「安心しな。 クロス・ソウルを使ったターンはバトルフェイズを行えねぇ。 続けて装備魔法《愚鈍の斧》を《綿毛トークン》に装備!」
フレアの場にいる綿毛トークン1体にカードが装備されると、綿毛トークンがオーラに包まれる。
ATK:0→1000
「え? どうして私のトークンに……」
「教えてやる。 愚鈍の斧は装備モンスターの効果を無効にする代わりに、攻撃力を1000ポイントアップさせるカードだ。 だが厄介な事によ、装備モンスターのコントローラーに毎ターン500ポイントのダメージをこっちのスタンバイフェイズ毎に与えちまうんだ」
「500…!?」
フレアのLPは200。
このままでは次のグラールのスタンバイフェイズを迎えた瞬間、フレアは敗北する。
「さあ、試練も大詰めだ! 次のお前のターンで愚鈍の斧を破壊するか、俺達を倒すかしないとお前の負けだぜ! ここまで勝ち残った底力、見せてみろよ! ターンエンドだ!」
LP:1000
グラール 手札:2
バオウ 手札:0
モンスター
・冥界の魔王 ハ・デス
魔法・罠
・愚鈍の斧
フレアの手札は0、場にあるのは綿毛トークン3体と使い終わった”リミット・リバース”のみ。
魔法・罠カードを破壊するカードか、逆転勝利を狙えるカードを引けなければフレアの負けである。
「(大丈夫。 ここまで来たんだから……後はカードを信じるだけ!)」
フレアはデッキトップに指を掛けた。
「(”扉”を開いて! 私のカード!) 私のターン! ドロー!」
フレア 手札:0→1
「(……最後はやっぱり、”あなた”よね!) 魔法カード《死者蘇生》を発動! 墓地から《ドリル・シンクロン》を特殊召喚!」
フレアの場に現れたのは”ドリル・シンクロン”。
ラスト・ターンでの大勝負を前に、ドリルとキャタピラを回転させて気合を見せる。
ATK:800
「最後の”扉”を開くのは……レベル1《綿毛トークン》3体に、レベル3《ドリル・シンクロン》をチューニング!」
ドリル・シンクロンが自身を3つの光輪へと変え、綿毛トークン達を囲み、3つの光、そして光の柱へと変える。
「荒野に生まれし螺旋の槍よ、希望の道を突き進め! シンクロ召喚! 大地の戦士!
《ドリル・ウォリアー》!」
光の柱から現れたのは、フレアのエースモンスターである”ドリル・ウォリアー”。
勇ましい掛け声と共に右腕のドリルを回転させる。
ATK:2400
「シンクロときたか。 これでバーンダメージでの負けは無くなったが……惜しかったな! ハ・デスの攻撃力は2450! ほんのちょっぴり足りねぇな! まあ後50あったとしても、こっちのLPは削り切れねぇが」
「…いいえ、私の勝ちよ! ドリル・ウォリアーの効果発動! 攻撃力を半分にする事で、このターン相手に直接攻撃が出来る!」
「何!? て、事は……」
ATK:2400→1200
ドリル・ウォリアーの攻撃力は半分で1200。
バオウ達のLPを上回っている。
「バトル! ドリル・ウォリアーで直接攻撃! 【ドリル・シュート】!」
ドリル・ウォリアーが高く飛び上がると、バオウに向かって右腕のドリルを発射する。
ドリルは真っ直ぐにバオウへと飛び、バオウに命中した。
「ぐああ!!!」
バオウ LP:1000→0
ソリッドビジョンが消え、決闘終了のアラームが鳴り響く。
第四の試練―――それぞれの”封印戦術”を乗り越え、フレアが勝利を掴み取った。
いよいよ、最後の扉が開かれる。
「あれ?」
頭を上げながら扉が開くのを見ていたフレアがふと視線を下げると、番人の2人が消えていた。
「どこ行っちゃったんだろう? 決闘のお礼を言いたかったのに……」
「…彼等は消滅しました。 封印が解かれ、役目を終えたからです」
突然聞こえてきた声。
フレアが振り向くと、後ろに第一の試練で決闘した”武器庫の召喚師”が立っていた。
「あなたは…! 消滅って……どうして!? 何で消えなきゃいけないんですか?」
フレアが召喚師に詰め寄る。
召喚師は寄ってきたフレアに右手で持った4枚のカードを見せると同時に、フレアの後方に左手をかざす。
すると、フレアの後ろから2枚のカードが飛び、他の4枚と同様に召喚師の手に収まる。
「……エアトスの話を、何処まで聞いていますか?」
召喚師に問われ、フレアはトルンカから聞かされた話を召喚師に話す。
「そこまで知っていましたか。 ならば、ガーディアン・エアトスの仲間達の事についても知っていますね?」
「うん。 エアトスと一緒に戦って―――!? まさか……」
「ええ……彼等は戦いで散っていったガーディアン・エアトスの仲間達なのです」
召喚師は番人達についてフレアに話し始める。
彼等はエアトスと同様に人間界に住み、自由気ままに生きる高位精霊達であった。
だがある日、”悪なる者の意思”と戦う古き友人”エアトス”を助ける為に集まり、共に戦いへと身を投じた。
「…その先は、あなたの知っている通りです。 ですが、彼等の”魂”は消え去る事は無かった」
召喚師は手に持った6枚のカードを見せる。
全て魔法カードであり、様々な武器が描かれていた。
「精霊として生きる体を失っても、彼等は自分の武器に”魂”を宿し、死して尚ガーディアン・エアトスの力になろうとしたのです」
「……あなたは大丈夫なんですか?」
「…私は、ガーディアン・エアトスや彼等の友人ではありません。 大昔に捨てられ、寂れたこの神殿を守る召喚師に過ぎません」
召喚師は神殿内部を見渡す。
「この神殿と共に朽ちていくはずだった私はガーディアン・エアトスに頼まれ、新たなる使命を授かりました。 神殿の封印。 そして、何れこの神殿にやって来るあなたとの決闘を……」
召喚師は手に持った6枚のカードを投げ上げると、6枚は宙に浮かび、フレアと召喚師を囲んでゆっくりと回り始める。
「私はガーディアン・エアトスを加えた7人の
「ちょっと待って! そういえばずっと疑問に思ってたんだけど、どうして私と決闘したの? ”力”が必要なのは解るけど、何だか話を聞いてると私との決闘自体が重要みたいに聞こえるんだけど……」
フレアがそう言うと、召喚師は何とか見える口元を僅かに吊り上げる。
笑みを浮かべたのだろう。
「その通りです。 フレア殿、ガーディアン・エアトスに今足りないものは何ですか?」
「え? えーと……”信仰”だよね? それで弱っちゃったって……」
「では、”信仰”とは何でしょうか?」
「え!? えーと……」
フレアは無意識に両手を組み合わせる。
「難しく考える事はないのです。 ”信仰”……それは信じる事の、一つの形……つまり、”思い”です」
「”思い”……」
「ガーディアン・エアトスは純粋な”思い”を”力”とする……そしてあなたは、その”思い”を強く秘めていた」
「私が…? でも、私は話を聞くまでエアトスの事は何も……」
フレアは自分の胸を押さえる。
召喚師は笑みを浮かべたまま、フレアと同じ様に胸を押さえた。
「ガーディアン・エアトスに対しての思いでなくてもよいのです。 あなたは持っているではありませんか? ”家族への思い”、”友への思い”、”決闘への思い”……そして、今は持っている”ガーディアン・エアトスへの思い”……」
召喚師の言葉を聞きながら、フレアは目を閉じる。
その瞬間、心に様々な”思い”が駆け巡った。
確かに、自分でもはっきり解る程、その”思い”は自分の中にあった。
「解りますか? その”思い”が一番現れている時が……」
「……決闘」
フレアは眼を開けて召喚師を見る。
その時、フードの中の召喚師の端整な目鼻立ちが見えた。
「そうです。 ”決闘”とは、お互いの全て……”思い”をぶつけ合う儀式! あなたに対して不利なルールだったのも、あなたの全力以上を引き出す為のもの……ここまでの決闘で発せられたあなたの”思い”は、全てエネルギーとしてガーディアン・エアトスに送られていたのです」
「……それじゃあ、エアトスは?」
フレアの問いに、召喚師はフードを取り去り、笑顔で答える。
「もう、大丈夫ですよ。 彼女の”力”はもう戻ったはずです」
「…~~~よかったぁ! 私、私……エアトスを助けられたのね」
フレアは跳びはねて喜びを表す。
目尻には涙が滲んでいた。
「フレア殿、ありがとうございました。 これで私の使命も終わりです。 そして……」
召喚師は腕をフレアの方へ動かすと、宙に浮いていた6枚のカードがフレアの方へ飛び、フレアの手に収まった。
「彼等をお連れください。 きっと、彼等もそれを望んでいます」
「皆……今までエアトスを守ってくれてありがとう! これからもよろしくね!」
フレアはカード達を抱きしめた後、デッキから何枚かのカードと交換し、投入する。
「これでよし、と……あなたはこれからどうするの?」
「……私の新しい使命は終わりました。 これからは元の使命に戻り、この神殿を守っていくでしょう」
「もう誰もいなくなっちゃうのに? どうしてまだこの神殿を守るの?」
「……この神殿を守る。 その為に私は創り出されました。 ……それ以外に出来る事はありません。 ……あの階段の先がガーディアン・エアトスが封印されている広間です」
そう言って召喚師は開いた扉を指差す。
その奥には、召喚師が言うように階段が続いていた。
「それでは、私はここで……」
「待って!」
役目を終えた召喚師がフードを被り直し、踵を返して去ろうとすると、フレアが彼のローブを掴んで引き止める。
「ねえ、あなたも一緒に行きましょう」
「……私が? 何故?」
「だって……あなただってエアトス達の友達じゃない。 エアトス、言ってたよ―――」
友人達に協力して貰い……私自ら封印を施したのです。
「あなたが神殿を封印して、皆を召喚したんでしょ? だったらあなたも”友人”よ。 きっと皆も、エアトスもあなたに来て欲しいと思ってるよ。 それに……あなた少し寂しそうだったもの。 だから……一緒に行こう?」
「……フフ」
召喚師は小さく笑うと、フレアに対して恭しく構え、頭を下げる。
「……あなたに、お仕えしましょう」
その瞬間、召喚師が1枚のカードへと姿を変え、フレアの手へと収まる。
フレアは笑顔を浮かべながらそのカードをデッキに入れると、エアトスの元へ向かう為に階段を駆け上がった。
何か間が空くようになってしまいました。
申し訳ありません(汗)
今見直すと、グラールはともかく、何だかバオウの試練が上手く出来ていなかった気がします。
バオウっぽい効果一度もやってないし(汗)