見事に晴れ渡った空。その下に広がるシティの街並み。先程までこの空が黒く染まり、街が――――いや、世界が崩壊しかけていたとはとても信じられない。それだけの事が起きながら、その事を知るのは世界で数十人もいないのだ。
その内の七人は現在、シティ内陸部の街並みが見える公園に集まっていた。世界を救った”英雄”を迎える為である。
「あ! 見て!」
七人の中の、金髪の少女が青い空に現れた光の門を指差す。その門から赤いDホイールが飛び出すと公園内に着地し、それに乗ったDホイーラーがヘルメットを取って景色を見渡す。
「遊星!」
七人は一斉にそう叫び、英雄――――”不動 遊星”の元へ駆け寄る。
「皆、無事か?」
「あったりまえじゃーん! 遊星が世界を救ったんだからさ!」
「うん!」
双子の龍亞と龍可が遊星に飛び付き、嬉しそうな表情を浮かべる。その後ろに立ったのは赤いドレスの少女。
「遊星……よかった」
「アキ、心配掛けたな」
「まったくよぉ! 前はサテライトからシティへ、今度はシティから過去まで行っちまうなんてよ! お前は何処まで行っちまうつもりなんだ?」
今度は髪を逆立てたマーカーだらけの青年。笑いながら一仕事終えた遊星の愛機を撫でる。
「何処までも行くさ。この街を守る為だったらな。お前もそうだろ? クロウ」
「ハハ! 違ぇねぇ!」
「フン! そもそもあの場で奴を叩きのめしていればわざわざ過去などに行く必要は無かったのだ! 何処かに行く前に己を鍛えろ遊星!」
遊星の後ろに立ったのは態度のでかい金髪長身の男。遊星は微笑を浮かべて彼に振り返る。
「お前が働いてくれればそれに時間を裂けるんだがな。ジャック」
「グッ……!」
遊星のもっともな一言で周りから笑い声が上がる。
「それにしても凄いね”赤き竜”。過去まで遊星を運んじゃうなんて! ねえフリント?」
金髪の少女が同意を求める様に後ろにいる帽子とマントを身に付けた青年に振り向く。
「ああ……見事だ遊星。また世界がお前に救われたな」
「フレア、フリント……皆がいてくれたから成し遂げられたのさ。世界を救ったのは……俺達皆だ」
全員に対して軽く笑いかける遊星。その時、フレアは遊星の微妙な変化に気付いた。
「ねえ遊星、何か良い事あった? 機嫌良いね?」
「それは……いや、その内ゆっくりと話す。すまないが今は少し休ませてくれ」
そう言って遊星は遊星号を押して歩き始める。その後に双子とアキ、ジャックとフリントが続く。
「そりゃあったに決まってるだろ? 敵を倒して、スターダストを取り返したんだからよ」
クロウはフレアにそう言うと、小走りで遊星の後を追う。
フレアは疲れた様子を見せない遊星の背を見ながら首を傾げた。
「うーん……それだけじゃない気がするなぁ」
* * *
始まりは早朝のハイウェイ。遊星、ジャック、クロウの三人がライディング・デュエルを行おうとした時、突然仮面を付けた謎のDホイーラーが現れ、遊星に決闘を仕掛けてきた。
その挑戦を受けた遊星は決闘を始めると、何とその決闘での攻撃が現実のものとなってプレイヤーを襲う。
これは明らかにゴーストとの決闘の特徴であり、遊星達は仮面のDホイーラーをゴーストと判断し、”機皇帝”を召喚させず、確実に仕留める為、遊星はエースモンスターである”スターダスト・ドラゴン”をシンクロ召喚して一気に勝負を決めようとした。
しかし、それこそが仮面のDホイーラーの罠だった。
仮面のDホイーラーは”機皇帝”とは違う”力”でスターダストを遊星から奪い取り、白紙のカードの中へと封印してしまったのだ。
「不動 遊星。お前のスターダストは頂いて行く。この時代と共に滅びるがいい」
仮面のDホイーラーはそう言うと一気に加速し、姿を消す。
遊星達がDホイールを止めると、辺りが静寂に包まれる。遊星が手にはイラストが無くなったスターダストのカードのみが残されていた。
その後、遊星達は過去へと向かった仮面のDホイーラーによって歴史が狂わされていることを知る。アキと双子が持ってきてくれた過去の事件記事の写真にヨーロッパの街を破壊するスターダストと、それを従える仮面のDホイーラーが写っていたのだ。そしてそれが発覚した瞬間、歴史の改変による世界の崩壊が始まったのである。
この時、異変を感知したフリントとフレアは遊星達の元へと急行。八人でこれからどうすべきか考えていたところ、突然シグナー達の痣が反応し、遊星の元で一つとなった。
「赤き竜が呼んでいるんだ!」
遊星は遊星号に乗り込み、ハイウェイに向かって全力で走らせると、仮面のDホイーラーの様に時空の彼方へと姿を消した。
この後世界の崩壊が止まり、遊星が無事帰還したところまでがこの時代での事の全容である。
遊星は過去へ行き、そこで何があったのか。あの日から二週間経つが、遊星は未だにその事を誰にも話していない。
* * *
「遊星が変?」
ガレージを訪れたフレアとフリントはクロウとブルーノからある相談を受けていた。彼等曰く、最近の遊星は何時もの遊星らしくないという。
「驚いたぜ……遊星の奴が突然――――」
クロウ、頼みがある。すまないが資金を工面してくれないだろうか? 必ず働いて返す。
「――――ってな。結構な額を要求してきてよ。何に使うんだって聞いても秘密だっつって教えてくれねぇんだ……ジャックはともかく、遊星なら無駄な使い方はしねぇだろうけどよ……」
「遊星がお金を……確かに珍しいね。何に使うんだろう?」
「その事なんだけど、最近遊星はエンジン開発を僕に任せて何かを作ってるみたいなんだよね。聞いてもまだ秘密って言って教えてくれないし……僕じゃ力になれない事なのかな?」
ブルーノは少し寂しそうな表情で腕を組む。技術面での片腕であるブルーノにも相談せずに、遊星は何を作っているのだろうか。
「なぁお前等、何かこう、心当たりみてぇのは無ぇか? このままじゃ何かスッキリしねぇんだよ」
「うーん……心当たりねぇ……」
四人がそんな風に話し込んでいると、階段から足音が聞こえて来る。全員がそちらへ顔を向けると、話題の人物である遊星が階段を下りてきていた。
「フレア、フリント、来ていたのか」
「おう遊星。一体部屋にこもって何作ってんだ? あれだけの金と時間が掛かってるってことは、結構なもん作ってんだよな? いい加減教えてくれよ。Dホイール関係か?」
「すまないなクロウ。あれはDホイール関係ではなく、俺がどうしても作りたかった個人的なものなんだ。漸く完成したから、”あの日”の事を含めて全部話そう。付いて来てくれ」
「あの日って……世界が崩壊しかけたあの日か!?」
未だに過去での出来事を話していなかった遊星は秘密の作業を明かすと同時にその時の事を話すという。
漸く二つの謎が同時に解けると喜んだクロウであったが、急に思い出した様にガレージ内の時計を見上げた。
「いっけね!? 俺これから仕事だったぜ! 遊星! 帰ったら聞かせろよ!」
そう言ってクロウはブラックバードに乗り込み、ガレージから出て行く。
「仕方が無いか……じゃあ三人とも付いて来てくれ。是非完成したものを見てもらいたい」
そう言って遊星は三人を連れて自室へと向かう。
遊星の部屋は意外と広く、四人が中へ入っても窮屈さを感じさせない。
「俺が作っていたのは”RDS”だ」
「RDSって、機械と決闘できるアレ? ゲームセンターとかに置いてあるよね! 龍亞君達と一緒にやりに行ったことあるよ!」
「ああ、その通りだ。これからフレアとフリントにそのテストプレイを頼みたい。準備するから待っててくれ」
そう言って準備作業に取り掛かる遊星。その様子を見ながら、フリントは訝しげな表情を浮かべる。
「(デュエル・シミュレーター……それとあの日の事に何の関係があるんだ?)」
「そういえばブルーノはあの日何処にいたの?」
「僕はあの時病院に行ってたんだ。記憶の検査の為にね。外見てビックリしたよ。あんな現象も止めちゃうなんて、遊星は凄いなぁ」
「できたぞ。フレアはここで、フリントはガレージでこれを着けてくれ」
遊星は二人に少々ゴツイ装置が取り付けられたゴーグルを手渡す。このゴーグルを装着することで、目の前に立体空間を出現させる。これによって狭い場所でも開放的な決闘を行うことができるのだ。
フリントはそのゴーグルを持って下の階へと下りていった。
「ブルーノ、ここでフレアを頼む。そこのノートパソコンとゴーグルに決闘盤を繋いでからエンターを押せば起動する。フレアの準備が終わったら押してやってくれ。俺はフリントの方を見てくる」
「解ったよ」
遊星がフリントの後を追って下へ行くと、フレアは自分の決闘盤をゴーグルとノートパソコンに繋げ、ゴーグルを装着する。
「ゲームセンターのゴーグルよりも結構重いね……準備オッケー! 何時でもいいよ!」
「よし、それじゃ行くよ!」
ブルーノがエンターキーを押すと、フレアの視界が暗転する。ゲームセンターと同じ仕組みなら、この後立体空間と対戦相手が現れるはずである。
「(ゲームセンターじゃ架空の人とか、プロ決闘者のデータとか色々あったけど、遊星はどんな相手を用意してくれたんだろう?)」
やがてフレアの視界が明るくなり、目の前に設定された風景が広がった。
そこは古くも美しいヨーロッパの街で、そこの中心に自分が立っている。
「わぁ……綺麗な街。で、対戦相手は……」
フレアは前の方に視線を向けると、そこには赤いジャケットを着た決闘者が笑みを浮かべて立っている。腕にはジャケットと同様に赤い決闘盤が装着されていた。見る感じ、実物の決闘者がモデルのようだ。
「(同じ位……かな? でも年上にも年下にも見える……不思議な人)」
目の前の決闘者は何とも不思議な雰囲気を持った青年で、その笑みには子供らしさが見える。
「お前が俺の相手か?」
青年は笑みを崩さずフレアに問いかける。その声には限りない期待が込められている様に感じられた。
「え? うん……じゃなくて、はい! (どっちだろう……? とりあえず敬語にしておこう)」
「お! やっぱりそうか! 俺の名は”
「えっと……私はフレア・ヴィルアースです! よろしくお願いします!」
「おうフレア! 楽しい決闘にしようぜ!」
青年――――遊城 十代はそう言って決闘盤を展開させ、構える。
フレアも決闘銃を変形させ、腕に装着させた。
「「デュエル!!!」」
フレアとシミュレーター決闘者、十代との決闘が始まる。
「先攻はお前からだ! さあどんな決闘を見せてくれるんだ? ワクワクしてきた!」
「(遊城 十代さん……気持ちの良い人!) はい! 私のターン! ドロー!」
フレア 手札:5→6
「モンスターをセット! カードを伏せてターンエンド!」
LP:4000
手札:4
モンスター
・セット
魔法・罠
・セット
「行くぜ! 俺の”HEROデッキ”の力を見せてやる! 俺のターン! ドロー!」
十代 手札:5→6
「魔法カード《融合》! 手札の《
十代の頭上に緑と赤のヒーローが現れると、同時に現れた空間の渦に吸い込まれ、一つとなる。
「現れろ! 《E・HERO フレイム・ウィングマン》!」
渦の中から現れたのは異形の超人。右腕から竜の頭、背中から白い片翼、その下から竜の尾をそれぞれ生やしている。これこそ”E・HERO”の真の姿の一つ、”E・HERO フレイム・ウィングマン”である。
ATK:2100 レベル6
「1ターン目から融合召喚!?」
「それだけじゃないぜ? 《カードガンナー》を召喚!」
続けて十代の場にキャタピラで移動し、両腕が砲身となっている玩具の様なロボットが現れる。
ATK:400 レベル3
「カードガンナーの効果発動! デッキトップからカードを1枚墓地に送り、攻撃力を500ポイントアップする! この効果で墓地に送れるのは1ターンに3枚まで! 俺は3枚墓地に送る!」
ATK:400→900→1400→1900
「攻撃力が……!」
「バトルだ! 行けぇ! フレイム・ウィングマン! 【フレイム・シュート】!」
フレイム・ウィングマンが右腕の竜頭をフレアのセットモンスターに向けると、竜の口から火炎が放たれ、セットモンスター”巨大ネズミ”を焼き尽くす。
巨大ネズミ DEF:1450
「《巨大ネズミ》の効果発動! 戦闘破壊されて墓地へ送られた時、デッキから攻撃力1500以下の地属性モンスター1体を特殊召喚できる! 私は《荒野の女戦士》を特殊召喚!」
炎に包まれている場に現れたのは”荒野の女戦士”。飛び散る火の粉をマントで払い、相手に対して剣を構える。
ATK:1100 レベル4
「フレイム・ウィングマンの効果発動! モンスターを戦闘破壊し、墓地へ送った時、相手に破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える!」
フレイム・ウィングマンは飛び上がってから一気に急降下。フレアとの間合いを詰めると、巨大ネズミに放った火炎をフレアにも放つ。
「きゃあああ!?」
フレア LP:4000→2600
「行けぇ! カードガンナー!」
間髪を容れずにカードガンナーの砲身が火を噴く。フレアの身を案じ、気を取られていた女戦士はかわす間もなく破壊されてしまった。
「うう……荒野の女戦士の効果発動! 戦闘破壊されて墓地へ送られた時、デッキから攻撃力1500以下の地属性・戦士族を1体特殊召喚できる! 私は《砂塵の騎士》を特殊召喚!」
フレア LP:2600→1800
最後に現れたのは”砂塵の騎士”。十代のモンスター達に対して静かに構える。
ATK:1400 レベル4
「俺はカードを2枚伏せてターンエンド!」
LP:4000
手札:0
モンスター
・E・HERO フレイム・ウィングマン
・カードガンナー
魔法・罠
・セット
・セット
「(この人強い……でも、私だって負けない!) 私のターン!」
フレア 手札:4→5
「このカードは戦士族モンスターをリリースして手札から特殊召喚できる! 来て! 《ターレット・ウォリアー》!」
砂塵の騎士が光の中へと消えると、その光の中からターレット・ウォリアーが姿を現す。両肩の旋回砲塔を回転させ、十代の場に狙いを付ける。
ATK:1200 レベル5
「ターレット・ウォリアーはリリースした戦士族の元々の攻撃力分、攻撃力をアップさせる!」
ATK:1200→2600
「さらに墓地から地属性を2体除外し、手札から《ギガストーン・オメガ》を特殊召喚!」
除外したモンスター
荒野の女戦士
砂塵の騎士
続けて現れたのは”ギガストーン・オメガ”。ヨーロッパの街に現れたその巨竜はまさに怪獣の様で、偶然にもヒーロー対怪獣の構図が出来上がっていた。
ATK:1000 レベル5
「(何かこっちが悪者みたい……) 魔法カード《ワン・フォー・ワン》を発動! 手札からモンスター1体を墓地へ送り、デッキ・手札からレベル1モンスターを1体特殊召喚する! 私はデッキから《キーマウス》を特殊召喚!」
次に現れたのは”キーマウス”。フレアのモンスターの中でも特に小さいモンスターだが、後ろにギガストーン・オメガがそびえている為、さらに小さく見える。
ATK:100 レベル1
「そして今墓地に送った《レベル・スティーラー》の効果発動! 自分の場にいるレベル5以上のモンスターのレベルを1つ下げることで墓地から特殊召喚!」
フレアが宣言すると、ターレット・ウォリアーの体から巨大なテントウ虫”レベル・スティーラー”が飛び出す。
ターレット・ウォリアー レベル5→4
ATK:600 レベル1
「行くよ! レベル5《ギガストーン・オメガ》に、レベル1《キーマウス》をチューニング!」
キーマウスが首輪の錠に自分の尻尾を差込み開錠させ、1つの光輪へと姿を変えると、光輪は ギガストーン・オメガを囲み、5つの光、そして光の柱へと変える。
「火を司りし獣の鍛冶師よ! 未来を切り開く神剣を鍛えよ! シンクロ召喚! 来て! 《獣神ヴァルカン》!」
光の柱から現れたのは”獣神ヴァルカン”。 場に降り立つと、ハンマーを振り回しながら雄叫びを上げる。
ATK:2000 レベル6
「獣神ヴァルカンの効果発動! シンクロ召喚に成功した時、お互いの場に存在する表側表示のカードを1枚ずつ手札に戻す! 私の場からは《レベル・スティーラー》! 十代さんの場からは《E・HERO フレイム・ウィングマン》を手札へ! 〈バウンス・イラプション〉!」
獣神ヴァルカンがハンマーを地面に打ち付けると、それぞれの場から火柱が上がり、フレアのレベル・スティーラーと十代のフレイム・ウィングマンは火柱によって打ち上げられ、それぞれの手札、エクストラデッキへと戻される。
「フレイム・ウィングマン!?」
「反撃開始! バトル! ターレット・ウォリアーでカードガンナーを攻撃! 【リボルビング・ショット】!」
ターレット・ウォリアーが砲身をカードガンナーへと向けると、弾丸の嵐をカードガンナーに浴びせ、蜂の巣にして破壊する。
「ぐあぁ!? ……くっ! カードガンナーの効果発動! 場のこのカードが破壊され墓地へ送られた時、カードを1枚ドローする!」
十代 LP:4000→1800 手札:0→1
「これで決まり! ヴァルカンで直接攻撃! 【獣神魂鉄槌】!」
ヴァルカンが十代に止めを刺そうとハンマーを振り上げ突進する。しかし、十代はドローしたカードを見て笑みを浮かべると、1枚の罠カードを発動させた。
「罠カード《ヒーロー見参》! 相手が攻撃してきた時、相手は俺の手札からランダムにカードを選択。そのカードがモンスターだった場合は特殊召喚! 違った場合は墓地に送る! ……と言っても、俺の手札は今引いたこの1枚だけなんだけどな」
「1枚? その状況で発動させるって事は……」
「俺の手札はモンスターカード! 来い! 《E・HERO ネオス》!」
突然場に現れ、ヴァルカンの行く手を阻んだのは銀色の超人。十代を守る為、ネオスペースの彼方からやってきた最高のE・HERO”ネオス”である。
ATK:2500 レベル7
「攻撃力2500!? 中止中止! 戻って!」
ネオス見参。これに驚いたフレアは急いでヴァルカンを引き上げさせる。
「(最上級モンスター、それもカッコイイからきっとエースモンスターね。まさかあのドローで引き当てるなんて……) モンスターをセットしてターンエンド!」
LP:1800
手札:1
モンスター
・ターレット・ウォリアー
・獣神ヴァルカン
・セット
魔法・罠
・セット
「へへ、やるな! 面白くなってきたぜ! 俺のターン!」
十代 手札:0→1
「魔法カード《
十代 手札:0→2
「融合……まさかまた!?」
「ニューヒーローの登場だ! 魔法カード《融合》! 場の《E・HERO ネオス》と手札の《E・HERO バーストレディ》を融合!」
場にいるネオスと十代の手札に戻っていたバーストレディが空間の渦に吸い込まれ、一つとなる。
「現れろ! 《E・HERO ネオス・ナイト》!」
渦の中から現れたのは両剣と盾を装備したネオス。体に入っていたラインの模様はまるで鎧を着ているかのように強調され、後頭部から立派な長髪が伸びている。
ATK:2500 レベル7
「ネオス・ナイトの効果! 融合素材にしたネオス以外の戦士族の攻撃力の半分だけ、ネオス・ナイトの攻撃力をアップする!」
ATK:2500→3100
「3100!?」
「ネオス・ナイトは1ターンに2度攻撃出来る! 行くぞ! ネオス・ナイトでターレット・ウォリアーと獣神ヴァルカンを攻撃! 【ラス・オブ・ネオス・スラッシュ】!」
ネオス・ナイトが両剣を構え、フレアの場に攻め込むと最初の一撃でターレット・ウォリアーを両断し、返しの刃でヴァルカンを切り伏せる。
「!?……あれ? ダメージが無い……」
「ネオス・ナイトの戦闘で発生する相手プレイヤーへのダメージは0となる。これで俺はターンエンドだ!」
LP:1800
手札:0
モンスター
・E・HERO ネオス・ナイト
魔法・罠
・セット
「(凄い……何が出てくるか、全然読めないよ。これが”E・HERO”……そして、十代さんの決闘……) 私のターン!」
フレア 手札:1→2
「(でも、勝つのは私!) 魔法カード《貪欲な壺》を発動! 墓地からモンスターを5体デッキに戻してシャッフル! その後2枚ドロー!」
デッキに戻したモンスター
巨大ネズミ
ギガストーン・オメガ
キーマウス
ターレット・ウォリアー
獣神ヴァルカン
フレア 手札:1→3
「このカードは自分の墓地にモンスターが存在しない場合、手札から特殊召喚できる! 来て! 《ガーディアン・エアトス》!」
フレアがカードを掲げると、そこから光の鳥が放たれ舞い上がる。舞い上がった光の鳥は閃光となって空から場に降り立ち、女神へと姿を変える。フレアの切り札、”ガーディアン・エアトス”の降臨である。
ATK:2500 レベル8
『あの幻影から放たれる気……幻影がこれ程ならば、本人はさらに強力な”力”を持った決闘者なのでしょう』
「(私もそう思う。だから今回は絶対勝って、何時かもっと強い本人と戦いたい! 勝とうエアトス!)」
『ええ!』
「すげぇモンスターを出してきたな! 一体どんなことしてくるんだ? ワクワクしてきたぜ!」
「今から見せてあげる! 装備魔法《静寂のロッド-ケースト》を《ガーディアン・エアトス》に装備!」
フレアが装備魔法を発動すると、エアトスの手に1本の杖が握られる。エアトスはその杖を掲げると、杖は一振りの聖剣に変わる。
「エアトスの効果発動! 装備されている装備魔法を1枚墓地へ送ることで、相手の墓地のモンスターを3体まで除外できる! そして除外したカード1枚につきエアトスの攻撃力をエンドフェイズ時まで500ポイントアップ! 〈聖剣のソウル〉!」
エアトスが聖剣を十代の墓地へ向けると、十代の墓地からネオス、カードガンナー、そしてカードガンナーの効果で墓地に送られた”E・HERO スパークマン”の魂が飛び出す。
「そうはさせない! 罠カード《希望の光》! 自分の墓地の光属性モンスター2体をデッキに戻す! 戻すのは《E・HERO ネオス》と《E・HERO スパークマン》!」
十代が残していた罠が発動すると、三つの魂の内、二つが十代のデッキへと吸い込まれ、残り一つが聖剣へと吸収される。
ATK:2500→3000
「!? でもまだ装備魔法はあるよ! 装備魔法《重力の斧-グラール》を《ガーディアン・エアトス》に装備! そして効果発動!」
エアトスの前に大斧が現れると、エアトスはそれを聖剣と一体化させ、再び剣先を十代の墓地へと向ける。今度はフェザーマン、バーストレディ、そしてスパークマンと同様にカードガンナーの効果で墓地に送られた”E・HERO ネクロダークマン”の魂が飛び出し、聖剣に吸収される。
ATK:3000→4500
「バトル! エアトスでネオス・ナイトを攻撃! 【フォビドゥン・ゴスペル】!」
エアトスが聖剣から光の斬撃を放つと、ネオス・ナイトはそれを盾で受け止める。しかし、4体分の魂が込められたエアトスの斬撃は凄まじく、ネオス・ナイトの盾を砕くとそのままネオス・ナイト本体も消し飛ばしてしまう。
「うわぁぁぁ!?」
十代 LP:1800→400
「ターンエンド! (これで次のターン止めを刺せれば……でも何だろう、この落ち着かない感じ……)」
LP:1800
手札:0
モンスター
・ガーディアン・エアトス
・セット(レベル・スティーラー)
魔法・罠
・セット
『討ち損じました……申し訳ありません。次のターンで決めましょう。(早く倒さなければ……出来れば、あの伏せカードをフレアに使わせたくない)』
「うん……」
起き上がろうとしている十代を見ながら、フレアは何ともいえない”感覚”を覚えていた。十代の場と手札は0、残りLPは400。それに比べフレアの場は切り札であるエアトスと、大きなLPコストを払って破壊効果を無効にする”我が身を盾に”が伏せてある。圧倒的にこちらが有利だというのに、何故かフレアの体から緊張が解けないのだ。
「(これって……恐怖? ううん違う! 恐いけど、寒くない……むしろ熱い! ……これは……ワクワク!?)」
そこへ丁度十代が完全に立ち上がり、笑みを浮かべてフレアを見る。
「すげぇなフレア! ここまで楽しい決闘をさせてくれるなんてな!」
「(この人は……来る! 必ず反撃の手を揃えて攻めてくる!)」
彼はどんな劣勢であっても、必ず何とかしてしまうのではないか。追い詰めているはずのフレアにそんな予感を感じさせてしまう”遊城 十代”という決闘者は、一体何者なのか。
「でも、それももうすぐ終わりそうだな……なあフレア、ここで俺が逆転のカードを引いたら、面白いよな?」
「え?」
「へへ……面白いよなぁ!」
十代が挑発するようにフレアへ問いかけながら、デッキトップに指を掛ける。その時の彼の笑みは自信に満ちたものであった。
「……うん! 面白い! でも勝つのは私達だよ!」
「行くぜ! 俺のターン! ドロー!」
十代 手札:0→1
「……へへ! 行くぞ! 魔法カード《E-エマージェンシーコール》! 自分のデッキからE・HERO1体を手札に加える! 俺が加えるのは《E・HERO バブルマン》! そして手札がこのカード1枚の場合、手札から特殊召喚ができる! 来い! 《E・HERO バブルマン》!」
十代の場に現れたのは白いマントと水色の特殊アーマーを身に付けた超人。右腕には銃が取り付けられており、それをフレアに対して構える。
ATK:800 レベル4
「バブルマンの効果発動! 召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、自分の場と手札に他のカードが無い場合、デッキからカードを2枚ドローできる! 俺の手札は0、場にカードも無い! よって2枚ドロー!」
十代 手札:0→2
『モンスターを特殊召喚した上、手札を補充……フレア!』
「(うん、気をつけてエアトス!)」
「よし! 頼むぜヒーロー達! 魔法カード《モンスターゲート》! モンスター1体を生贄にささげ、デッキを通常召喚可能なモンスターが出るまでめくる! 可能なモンスターが出ればそれを特殊召喚し、それ以外のめくったカードを全て墓地へ送る! 《E・HERO バブルマン》を生贄に……さあ行くぜ!」
十代の場に空間の渦が現れると、バブルマンがその中へと吸い込まれていく。バブルマンが吸い込まれえるのを確認すると、十代はデッキのカードをめくり始めた。
めくったカード
R-ライトジャスティス
ヒーローバリア
フェイク・ヒーロー
O-オーバーソウル
フレンドッグ
「5枚目は《フレンドッグ》! 通常召喚可能なモンスターだ! よって特殊召喚!」
空間の渦から現れたのはロボットの犬。とてもじゃないが、この場を切り抜ける力を持っている様には見えない。
ATK:800
「攻撃力800……ふう」
漸く体から力が抜けたフレア。モンスターゲートの効果が終了したこの瞬間、決闘の勝敗が決したのだ。
「……行くぜフレア! これで決着だ!」
「え?」
十代は変わらぬ笑みを浮かべ、最後の切り札を発動させた。
「自分の墓地の《H-ヒートハート》、《E-エマージェンシーコール》、 《R-ライトジャスティス》、《O-オーバーソウル》をゲームから除外し発動! 魔法カード《ヒーローフラッシュ!!》!」
「”ヒーローフラッシュ!!”……? Eは分かるけど、他は何時の間に……」
『Hはカードガンナーの効果で、RとOは先程の”モンスターゲート”で送りました。……彼の狙いはこれだったのですね』
フレアとエアトスが警戒する中、十代の頭上に現れた”HERO”の文字が眩い光を放つ。
「”ヒーローフラッシュ!!”の効果! 自分のデッキからE・HEROと名の付く通常モンスターを1体特殊召喚する! 来い! 《E・HERO ネオス》!」
”HERO”の文字が放つ光の中からネオスが飛び出す。その姿は最初に現れた時よりも何倍も輝いていた。
ATK:2500
「そしてこのターン、自分の場に存在するE・HEROと名の付く通常モンスターは相手に直接攻撃できる!」
『「!?」』
「行けぇ! ネオス!」
ネオスがフレアに向かって跳躍する。エアトスはそれを止めようとするが、ネオスはエアトスの横をすり抜け、フレアの前まで迫った。
「【ラス・オブ・ネオス】!」
ネオスがフレアに強烈な手刀を浴びせる。
「きゃあああ!? ……うう」
『フレア!?』
フレア LP:1800→0
決闘が終了し、モンスター達のソリッドビジョンが消える。
十代は決闘盤を収め、フレアに向かって右手の人差し指と中指を突き出し、ポーズを取る。
「ガッチャ! 楽しい決闘だったぜ!」
そう言った瞬間、フレアの目の前が真っ暗になる。シミュレーターが終了したのだ。
フレアがゴーグルを外すと、ブルーノが目の前で拍手している。
「フレア、惜しかったね。でも凄くいい決闘だったよ! ノートパソコンで君の決闘を見てたんだ! しかし凄い相手だったね。まあその方が決闘者として燃えるよね! 決闘してみてどうだった?」
フレアはブルーノにゴーグルを手渡すと満面の笑みを浮かべ、ノートパソコンに向かって右手の人差し指と中指を突き出す。
「ガッチャ! とっても楽しかったよ! またやろうね!」
次回はフリントです。相手はバレバレでしょうが(笑)
それにしても十代の主人公っぷりは凄まじいですね。書いてる途中でどっちが主人公なんだか分からなくなりましたよ(笑)