遊戯王5D's ~荒野のデュエリスト~   作:鬼柳高原

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*また長く……ゆっくりどうぞ!


第42話 荒野の決闘者

「よおストーク。久しぶりだな」

「ぐっ……ロットン」

 

 ここは”ロットンタウン”。

 弟と愛人の裏切りに遭い、鉱山へと送られたマルコムに代わってその弟であるロットンが支配する町。

 夕暮れの中、何時までも戻ってこない妹達を心配してクラッシュタウンを探りに来たストークが二人の構成員と共に捕らえられ、十字路の中心に座らせられていた。

 目の前にはロットンとバーバラ。少し離れた位置にニコとウェスト、そしてボロボロになったブロンソンが突き立てられた杭に縛り付けられている。

 

「迂闊なところが兄妹そっくりだな。さてストーク……クラッシュの居場所、吐いてもらおうか?」

「ふざけるな――――ぐあっ!?」

 

 ストークの言葉を遮る様にバーバラが振るった鞭がストークを打つ。

 

「それはこっちの台詞よストーク? ヨボヨボの爺と可愛い可愛い妹のどっちの方が大事よ?」

「ぐっ……」

 

 バーバラは挑発的な笑みを浮かべてストークを見下ろす。

 

「どうするのォ~? 早く答えないとアンタもあそこのゴーグルと同じ様になっちゃうわよ?」

 

 バーバラは鞭でブロンソンを指す。ブロンソンはフリント達の協力者であったことからクラッシュについても何か知っていると睨まれ拷問に掛けられたが、あのような姿になるまで一切口を割らなかった。

 

「まあ、仕方ないわね。可哀相だからやめてあげようと思ったけど、”あの子”にも痛い目に遭ってもらわなきゃ」

「!? やめろ! フレアには手を出すな!」

「だから喋ろって言ってんでしょこの間抜けが!」

「うわぁ!?」

 

 再び鞭で打たれるストーク。近くで一緒に座らせられているクラッシュファミリーの構成員二人は眼を背ける。

 

「ほらどうすんのよお兄ちゃん! 爺か、妹か! もしこれ以上手を煩わせずに喋るなら、妹ちゃんをアンタに返してあげてもいいわよ?」

「ぐ……うう……」

 

 

ストーク、もし俺かフレアだったら、迷う事無くフレアを取れ。そして二人でどっかに逃げろ。どうせ老い先短い身だ。それに、お前等に何かあったらヴァンとクヴェルに合わせる顔が無い。……今回の事抜きでも、もうじきあいつ等に逢いそうなんだからよ、頼むぜ。

 

 

 ここに来る前に、起きていた祖父に掛けられた言葉を思い出すストーク。歯を食いしばりながら、ゆっくりと項垂れた。

 

「分かった……喋る……だから妹には手を出さずに返してくれ……!」

「「若旦那……!」」

 

 構成員二人は目を見開いてストークを見た後、ストークと同じ様に項垂れる。二人もここへ来る前にクラッシュから同じことを言い付けられていたので、逆らうことなくストークの意思に従ったのだ。

 

「何処だ?」

 

 顔を近づけてくるロットンにストークはクラッシュの居場所を話す。

 それを聞いたロットンは部下に命令し、すぐにクラッシュの元へと向かわせた。

 

「……さて、それじゃ爺が来るまでに暇つぶしといくか」

「な……うわ!?」

 

 ロットンはニヤリと笑うと、ストークを無理やり立たせ、十字路の南側に放る。

 その後バーバラに眼で合図すると、バーバラはロットン・ファミリーの手下に命令し、手下の中にいた一人の男を無理やり北側へと立たせる。

 

「うわ!? 何をする!?」

 

 見るとその男は黒いジャケットと赤いスカーフの両方を身に着けている。どうやらマルコム・ファミリーに降った元ラモン・グループの構成員のようだ。

 

「お前等でこれから”夕日の決闘”をやるんだよ。負けた方は勿論”地獄行き”だ」

「な、なん――――」

「何だと!? フレアを返してくれるんじゃないのか!?」

 

 突然の事に動揺している元ラモンの手下の声を遮るようにストークが叫ぶ。

 それに対してバーバラが笑い声を上げた。

 

「馬鹿だねぇ! 返すとは言ったけど、アンタはうちの”捕虜”なのよ? 捕虜に返すのなら、あの子だって捕虜のままよ。はい、終わり!」

「バーバラッ……貴様……!」

「ガッハッハッハ! ストーク! お前にギャングの後は継げねぇな! 駆け引きって奴がまったくできてねぇ! 爺も不幸なもんだな! 跡継ぎがもっとマシな奴だったら俺に見つかる事もなかったのによ!」

「……くそッ! くそぉーーー!!!」

 

 元々自分はギャングに向いてはいないと思っていた。構成員の中にも、臆する事無く堂々と自分に対してそう言ってくる者もいた。当たり前の事だと思っていたので、他人からそう言われても何てことはなかった。

 しかし、今は違う。

 悔しかった。馬鹿にされることが。妹を救い出すどころか、逆に状況を悪くしてしまったことが。今までのストークの人生で、今程悔しい事はなかったであろう。

 

「ちょっと待ってくれ!? 仲間に入れてくれたんじゃないのか!? ロットンさんはそう言ってくれたじゃないか!?」

 

 元ラモンの手下がロットンに縋り付こうとするが、ロットンはそれをかわして彼を掴み、元の位置へと放る。

 

「さてな? そんなこと言ったか?」

「ふふふ……もう兵隊はいらなくなっちまったんだよ! 商売敵もいなくなって、この町はロットンの物になったんだよ!」

 

 バーバラが鞭を構えながら、まるでゴミを見る様に周りの元ラモン・グループの手下達を見渡す。

 

「あの時は面倒だったからああ言ったけど……アンタ達、何の為にここで決闘やってたか分かってんだろうね?」

「ヒッ……まさか……」

 

 元ラモン・グループの手下全員が青ざめた。

 元々マルコムとラモンは相手を潰すと同時に労働者を獲得する為、決闘者を雇って戦いに明け暮れていた。

 戦いが終わる時――――それはすなわち、”相手が全滅して自分達の労働者不足が解消した時”なのだ。

 だが今回の戦いでラモン・グループは全面降伏。ラモン・グループが潰れ、マルコム・ファミリー改めロットン・ファミリーの構成員は増えたが、労働者はまったくと言っていい程増えていない。クラッシュを潰せることを確信できた今、これ以上戦力が増えても何の意味も無い――――

 

「つまり……アンタ達はもう要らないってわけ。これから毎日クラッシュ・ファミリーと潰しあって貰うわよ。その第一号がアンタとそこのストークよ!」

 

 そう言ってバーバラはロットンと共に高笑いを上げる。それを聞いた元ラモン・グループの手下は一斉に逃げ出そうとするが、ロットン・ファミリーの手下達によって全員取り押さえられる。

 決闘場に引き出された手下も、バーバラの鞭で首を絞められ、再び決闘場へと引き戻された。

 

「さあ! 決闘銃を抜くんだよ! 決闘()り合うんだよ!」

「わ、解ったよ! 勝ちゃいいんだろ! 死んで堪るかぁ!」

 

 ヤケクソになりながら、引き出された手下は決闘銃を装着し、展開させる。

 ストークも同様に決闘銃を展開させ、バーバラを睨んだ。

 

「……気だるげな花屋のアンタを、一体何がそこまで変えたんだ……!?」

「フフフ……そうねぇ、きっかけはあるわよ」

 

 バーバラはそう言ってロットンに振り向く。

 

「ロットンの”憎い相手に対する復讐”……それにアタシ、”共感”したのよ」

「憎い相手……?」

「そうよ。ロットンはフリントに。そしてアタシは……アンタの妹のことが大っ嫌いなのよ!」

 

 バーバラは怒りの表情で鞭を地面に振るい、歯を食いしばる。

 

「若くて可愛くて、それを利用して周りに馬鹿みたいに愛想を振り撒いて、その上権力持ちで金持ちな爺の孫で我侭し放題! 毎日が刺激的で楽しそう! それに比べてアタシは貧乏な花屋で退屈な日々を過ごしてるだけなのよ!? しかもあの子! 定期的にアタシの店にわざわざ花を買いに来て、馬鹿みたいな笑顔を浮かべて帰っていくの! ふざけんじゃないわよ! 見せ付けてんじゃないわよ!」

 

 バーバラは鞭を振り回し、周りの手下を2、3人なぎ倒す。それをストークは怒りと軽蔑の視線で見ていた。

 

「何を言い出すかと思えば……ふざけているのはお前だ! 逆恨みじゃないか!」

「黙りな! ……今じゃアタシの方があの子より上! アタシはあの子から全てを奪ってやるのよ! その為に今まで手を出さずにいた――――」

 

 バーバラは怒りを沈め、笑みを浮かべる。

 

「まずはロットンの復讐を成功させて、”フリント”を奪いとる。これは成功したわね。その次はアンタと爺を目の前で”地獄”に送って、泣き叫ぶのを見てからあの子自身も”地獄”に送ってやるわ!」

「貴様ッ……!」

「大丈夫よ。鉱山の連中は喜んであの子を迎え入れて、そして可愛がってくれるわよ! ……きっと今より”刺激的”な毎日を送れるでしょうね! アッハッハッハ!」

「貴様ァーーー!!!」

 

 ストークがバーバラに向かって掴みかかろうとするが、ロットンに遮られて蹴り飛ばされてしまう。

 

「ぐあッ!?」

「フン……」

 

 ロットンは倒れるストークを見下ろしながら鼻を鳴らすと、杭に縛り付けられている三人に振り向く。

 ブロンソンは辛うじて意識があるようだが、とても喋れそうにはなかった。

 

「お前達はガキ過ぎて山に送れねぇ……だからこの町の奴隷となってもらう。……よく見て置けよ? 新しいこの町の姿を――――」

「やなこったい! きっと、鬼柳兄ちゃんや遊星兄ちゃん、フリントが助けに来てくれる! お前なんかやっつけてくれるんだ!」

「……物分りの悪いガキだ。いいか? フリントは死んだ。目の前で見ただろう? そして鬼柳もだ。奴の望み通り、そして首を突っ込んだ不動 遊星と一緒にな。フッフッフッフッフ……」

「皆生きています! 絶対に……」

 

 ウェストとニコが声を張り上げて主張するが、ロットンは笑って取り合わない。

 

「いいか? ここで”希望”を持つのはやめろ。お前達は”絶望”の中で生きるしかないんだ。あいつ等の様にな」

 

 ロットンは元ラモンの手下達に眼を向ける。

 決闘場に引き出された手下は緊張で息が荒くなり、体を震わせ、それを押さえつけられながら見ている他の手下は絶望し切った様な表情で彼を見ていた。何れ、自分もああなるのだと――――

 

「(何でもいい……”悪魔”でも、”死神”でも……お願いだ……助けてくれ……)」

 

 元ラモン・グループの手下達は願う。

 そして、赤く染まった空を睨みながら、同じ様に願ったストークが叫んだ――――

 

 

 

この町をッ! クラッシュ・ファミリーをッ! ”ヴィルアース”を助けてくれぇーーー!!!

 

 

 

 その時、西の方から、音が聞こえて来る。

 それはこの場にいる殆どの者が聞き覚えのある音だった。

 

「これは……ハーモニカ?」

 

 唯一聞き覚えがないストークとクラッシュ・ファミリーの構成員達が西へ顔を向けると、夕日を背にして誰かが歩いてくるのが見えた。

 同様にそれを見たロットン・ファミリーの手下は皆顔を青くし、ロットンとバーバラも信じられない様なものを見た様な表情になる。

 歩いてきたのは黒いロングコートを着た長髪の男。丁度十字路の中へ入るところで立ち止まり、吹いていたハーモニカを口から放す。

 

「地獄の底から……舞い戻ってきたぜ」

「鬼柳さん!」

「鬼柳兄ちゃん!」

 

 ストークは姉弟の言葉に振り返る。ストークは今まで話を聞いただけで、実際にその姿を見た事が無かった。

 

「(これが……フレア達が助けに来た”チーム・サティスファクション”のリーダー――――)」

「野郎ッ……生きていたのか……”鬼柳 京介”!」

 

 ロットンが忌々しそうに鬼柳の名を呼ぶが、鬼柳はまったく眼中に無いといった様子でロットンを無視し、辺りを見回している。

 

「だがここも……すっかり”地獄”じゃねーか。……亡者共! いいのかよ? このまま地獄の底で、生贄の順番を待っているだけで?」

 

 鬼柳が元いたラモン・グループの手下達にそう呼びかけると、何人かが表情を明るくする。

 ”あの常勝無敗だった鬼柳 京介ならきっとロットンを倒してくれる”――――そう思ったラモン・グループの手下達は僅かに”希望”を取り戻したようだ。

 

「そ、そうだ! 奴等の言いなりになる事はねぇんだ!」

 

 引き出された手下がそう言いながらロットンを睨むと、ロットンは眉間に皺を寄せて彼を睨み返した。

 

「テメェ等……ふざけたこと考えるんじゃねぇぞ? お前等クズには行き場はねぇんだ。お前等の命はこの俺が預かってんだ。それを忘れるな!」

 

 そう言ってロットンは決闘銃を変形させ、何かのカードを構える。すると元ラモン・グループの手下達が一斉に恐怖の声を上げた。

 

「(!? あれがフリント達の作戦で言っていた決闘銃の爆破装置か! まだあんな物を……!)」

 

 ストークはロットンの手元を凝視する。

 おそらくあのカードに爆弾の起動コードが書き込まれており、決闘盤にセットする事で爆弾を起動させるのだろう。

 今すぐにでも爆弾の仕掛けられた決闘銃を捨てたい。だがそうしようとすれば、爆弾を起動させられる。元ラモンの手下達再び”絶望”の表情に戻ってしまった。

 

「そういや……ボスの決闘銃が全ての爆弾を解除できる”マスターキー”になってるんだったな。じゃあロットン、お前さんを倒せば爆弾は全て解除され、こいつらの命は誰の物でもなくなる……そうだな?」

「ふざけた事言ってんじゃないよ鬼柳! こっちには人質があるんだよ! 下手な真似したら――――」

 

 その瞬間、北の方からエンジンの騒音と共に一台の赤いDホイールが十字路に向かって突っ込んでくる。そのDホイールが手下達の上を跳び越えると、車上の人物が叫んだ。

 

「ニコ! ウェスト!」

「遊星兄ちゃん!」

「させるかよ!」

 

 遊星がニコとウェストを救出しようとすると、ロットンが腰から鞭を取り出し、遊星を絡めとろうとする――――が。

 

「ぐあぁ!? こ、これは……!?」

 

 突如ロットンを襲った2枚のカード。1枚は白紙で、ロットンの手の甲をグローブごと切り裂き、持っていた鞭を落とす。もう1枚はロットンの腰に下げられている”爆破・電気発生用のカードケース”を弾き飛ばした。

 ロットンが手の甲を押さえて呻いている間に、遊星は姉弟とブロンソンを助け出す。

 さらに、この騒ぎに紛れてストークが弾き飛ばされたカードケースを咄嗟に拾い、そのまま遊星達と合流した。

 

「ロットン!? ……な、何やってんだいアンタ達! さっさと人質を取り返――――!?」

 

 バーバラが周りを見渡すと、既に手下達は戦闘に入っていた。相手はロットン・ファミリーにも、ラモン・グループにも無い特徴を持った小集団――――

 

「”クラッシュ・ファミリー”!? 何で皆がこんなところに……!?」

 

 驚いているストークの側に、小集団の一人が駆け寄る。

 

「若旦那、遅れてすいません。若旦那がここへ向かった後、フリントの旦那がやってきて、全てを聞きました。念の為、ボスは別の場所へと移られたので、安心してください」

「そうか……! よかった! ありがとう!」

 

 構成員は軽く微笑すると、再び戦いの中へと身を投じる。

 バーバラは自身の安全を確保する為に、慌ててロットンの側へと駆け寄った。

 

「ロットン! 何してんのさ! 早く――――ヒッ!?」

 

 バーバラがしゃがみこんでいるロットンの顔を覗くと、ロットンは恐ろしい表情で目の前の地面に刺さっているカードを睨みつけていた。

 

「あ……ありえねぇ……何でこんな所にありやがるんだッ……!」

 

 ロットンはそのカードを掴むと、カードが飛んで来たと思われる南の方向へ力強く投げ返した。

 

「……”ヴォルカニック・バレット”! ”あいつ”のカードがッ!?」

 

 ロットンが投げた”ヴォルカニック・バレット”は真っ直ぐに飛び、南地区への道に立っていた一人の男の手に渡る。カウボーイ・ハットとマントを身に付けたその男は、ゆっくりと歩いて十字路の中へと入って来た。

 

「テメェは……テメェは確かに仕留めたはず……”フリント”ォ!!!」

「悪いなロットン……俺はまだ死ねない。フレアを……この町を救うまでは!」

 

 フリントはそのまま鬼柳の隣に立つ。

 そのフリントをロットンは眼を血走らせながら睨んでいた。

 

「……鬼柳と、不動 遊星はいい。その場での詰めが甘かっただけだ。だがな……テメェはッ! テメェは4年も準備した上でぶっ殺したんだ! 仕留め損ねたなんぞ……許されねぇんだよォーーー!!!」

 

 ロットンは激昂しながらショックガンを抜き放ち、フリントに向かって発砲する。勿論、彼が持っているのはフリントの心臓を止めたあのショックガンである。

 電撃の様な弾丸は凄まじい速さでフリントに迫ったが、フリントはそれよりも速かった。

 

「何だと!?」

「真っ直ぐ飛んでくると分かっているなら、避けるのは簡単だ。……せっかく俺を殺せる貴重な弾が早くも無くなってしまったな」

「……うおぉぉぉ!!!」

 

 ロットンは空になったショックガンをフリントに向かって投擲するが、怒りによってコントロールが定まらず、フリントがいる位置とは離れた方向へと飛んでいく。

 

「ロットン、南の牢屋に捕らえていたフレアを何処へやった?」

「フン! あの子がDホイールのことをあの姉弟に伝えたのは想像できたからね。もう仲間と接触できないように違う場所に移させてもらったのさ! それより、全員止まりな! こっちにはもう一人人質がいることを忘れんじゃないよ! アタシが合図すれば何時でもあの子に手を掛けられるんだからね!」

 

 ロットンの側にいたバーバラが声を張り上げると、周りでショックガンでの銃撃戦を行っていたギャング達と加勢していた遊星が動きを止める。

 

 「……もう一度……俺の手で”地獄”へ送ってやる! フリントォ! 前へ出ろ!」

 

 ロットンはフリントにそう呼びかけると、お互いに決闘場へ立つ。

 夕日は徐々に地平線へと近づいていた。

 

「おいロットン、俺を忘れるんじゃねぇ。……その為に帰ってきたんだからな」

 

 鬼柳も前に進み出てフリントと並ぶ。

 さっきまで自分が使う”(オーガ)”の様な表情をしていたロットンだったが、幾らか冷静さを取り戻したようで、一度無表情になってから不敵な笑みを浮かべる。

 

「……いいだろう! お前等二人纏めて葬り去ってやる!……正し、テメェ等は二人だ。それなりのハンデは貰うぜ? ……ルールは2対1の変則タッグフォースルール! テメェ等のLPはそれぞれ独立して4000! そして俺は8000のLPと10枚の手札を貰う!」

「(手札10枚!? まさかコイツ……)」

 

 遊星の脳裏に蘇る、ガトリング砲の連射音とそれによって倒れるフリントの姿。その事から、遊星はこの条件が公平なものではない事を悟る。

 

「(先攻ワンターンキルで二人を倒そうというのか!?) 二人共、奴の狙いは――――」

 

 遊星が前に立つ二人にその事を伝えようとするが、二人は何も心配無さそうな表情で佇んでいる。

 

「異存無ぇよ」

「心配するな遊星……策もあるだろう。俺達は必ず勝つ」

「……フ、そうだな」

 

 引く気も無ければ死ぬ気も無い。ただ大事なものを守る為に、フリントと鬼柳は決闘の場に立っていた。

 遊星は二人の言葉からその”覚悟”を感じ取ると、遊星号の中にしまってあったポンチョを羽織り、姉弟とストークの側へ戻る。

 

「二人共、俺の分まで頼んだぞ!」

「ああ。……ロットン!」

 

 鬼柳は腰からガンベルトを外すと、それをロットンに向けて突き出す。

 

「この銃は”死者達の銃”……彼等の”思い”と共に、俺は再び”死神”として戻ってきた! 生きる為にだ! 俺は絶対に貴様を倒す!」

 

 鬼柳は突き出したガンベルトを再び自身の腰に巻く。今の彼の眼は昨日までの虚ろなものではなく、強い意志が宿った真っ直ぐな眼であった。

 

「鬼柳さん! お願い……フレアを……この町を助けて!」

「鬼柳兄ちゃん! 頑張れぇーーー!!!」

 

ニコとウェストは力一杯に叫ぶと、鬼柳は彼等に振り向く。

 

「ニコ、ウェスト! 俺は戦う! 親父さんの代わりに、お前達を守ってみせる! ……俺の”生き様”を見せてやる!」

「うん!」

「鬼柳さん……」

「フリント! 俺は勝利を確信している! お前は”サザンライト最強の用心棒”だ! 何時もみたいに頼むぞ!」

 

 続けてストークがフリントにそう声を掛けると、フリントは背中を向けたまま手を軽く挙げる。

 

「任せろ。これが俺の”仕事”だ。……町もフレアも、必ず救い出す!」

 

 この言葉を最後に声が止み、十字路は静寂に包まれる。夕日が今にも地平線に触れようとしていたのだ。

 聞こえてくるのは風の音。動くものは巻き上げられた砂塵と、フリント達の前を横切るタンブルウィードのみ。決闘の前の緊張が、ここにいる全員を支配していた。

 睨み合う決闘場の三人。そして――――夕日が地に触れた。

 

 

 

「「「デュエル!!!」」」

 

 

 

 三人は同時に動き、それぞれ動作をこなす。一番最初に手札を揃えたのはロットン。次に鬼柳。そして最後が大型決闘銃のハンデを持つフリント。

 

「……俺が一番速かったようだな。俺のターン!」

 

 ロットン 手札:10→11

 

「この順番! ついてるぜ! お前から血祭りに上げられるからなぁフリント! 《ガトリング・オーガ》を召喚!」

 

 ロットンが初手に出してきたのはやはり”ガトリング・オーガ”。

 これで手札に魔法・罠カードが5枚以上存在すれば、必殺の”先攻ワンターンキル”が成立する。

 

 ATK:800 レベル3

 

「そして弾を装填!」

 

 ロットンが場に5枚のカードを伏せる。やはりと言うべきか、ロットンのデッキの大半は魔法・罠カードで構成されているようだ。

 

「あばよフリント! もう一度死にやがれ! 全弾発射! 【ガトリング・ファイヤー】――――何!?」

 

 ガトリング・オーガが弾丸を放とうとハンドルに手を掛けた瞬間、その背後に羽を生やした天使の少女が現れ、ガトリング・オーガの動きを止める。

 

「こ、こいつは――――”エフェクト・ヴェーラー”!?」

 

 そう呼ばれた少女はロットンに振り向き、笑みを浮かべるとそのまま姿を消す。消えた姿の先にはフリント、そしてさらに後方には同じ様に笑みを浮かべた遊星の顔が見えた。

 

「ご名答だ。手札から《エフェクト・ヴェーラー》の効果発動! 手札からこいつを墓地へ送り、相手の場の効果モンスター1体の効果をエンドフェイズ時まで無効にする。これで貴様はこのターン、 ガトリング・オーガの砲撃を行う事はできない」

「不動 遊星……! 余計な事を……ターンエンドだ!」

 

LP:8000

手札:5

モンスター

・ガトリング・オーガ

魔法・罠

・セット

・セット

・セット

・セット

・セット

 

「やった! これで兄ちゃん達はまともな決闘ができるよ!」

「いや、まだ分からない。”砲台”と”弾”はまだ場に残っているからな(鬼柳……お前の動きが重要だぞ)」

 

 遊星が鬼柳に視線を向けると、鬼柳はクールに前髪を掻き揚げた。

 

「さて……満足させて貰おうか! 俺のターン!」

 

 鬼柳 手札:5→6

 

「まずはその”弾”を消させてもらう。魔法カード《大嵐》! 場にある魔法・罠カードを全て破壊する!」

 

 鬼柳が魔法を発動させると、彼の場を中心に突風が吹き荒れ、ロットンの”弾”を全て吹き飛ばそうとする。

 

「ハッ! テメェ等の考えることは全てお見通しなんだよ! リバースカード4枚をチェーン発動! 《ゴブリンのやりくり上手》3枚に、速攻魔法《非常食》! まずは非常食の効果を発動! このカード以外の自分の場に存在する魔法・罠を任意の枚数墓地へ送り、墓地へ送ったカード1枚につき、自分はLPを1000ポイント回復する! 俺は残りの4枚を全て墓地へ送り、LPを4000回復する!」

 

墓地に送ったカード

ゴブリンのやりくり上手

ゴブリンのやりくり上手

ゴブリンのやりくり上手

グラヴィティ・バインド-超重力の網-

 

 ロットン LP:8000→12000

 

「続けてゴブリンのやりくり上手の効果! 自分の墓地に存在するゴブリンのやりくり上手の枚数+1枚を自分のデッキからドローし、自分の手札を1枚選択してデッキの一番下に戻す! 俺の墓地にあるやりくり上手は3枚! よって俺は4枚のカードを3回、合計12枚のカードをドローし、3枚のカードをデッキに戻す!」

 

 ロットン 手札:5→17→14

 

「そんな!? ロットンの手札が増えちゃった!? ズルイよ!」

「鬼柳の手を読んでいたか……」

 

 ウェストが非難を飛ばし、遊星は顔を顰めて腕を組む。

 決闘において、無敵の戦術など存在しない。無敵と思われたロットンの先攻ワンターンキルをフリントが”エフェクト・ヴェーラー”で防いだのがその証拠である。

 それはロットン自身が一番理解しており、彼はそれを補う為の手を幾つも用意してある。

 4年間の月日は、ガトリング・オーガをロットンの手に入れただけではなく、恐ろしい程のタクティクスまで身に付けさせたのだ。

 

「”弾”を減らすどころか、逆に増えちまったなァ! LPも腐るほどだ! これでもまだ俺とやりあおうってのか?」

 

 ロットンが挑発するような言葉を鬼柳に投げかけると、鬼柳はそれを鼻で嗤う。

 

「……何が可笑しい?」

「手札もLPも関係ねぇよ……」

「手札やLPが多くても、死ぬ時は死ぬ。逆もそうだ。手札やLPが無くとも、生きる奴は生きる……それはお前が一番よく解ってるんじゃないのか? 俺達を殺し損ねた、ロットン……」

 

 フリントが逆に挑発し返すと、ロットンは明らかな怒りと殺気をフリントに向ける。

 

「ターンを続けるぞ。俺は魔法カード《暗黒界の取引》を発動。お互いのプレイヤーはデッキからカードを1枚ドローし、その後手札を1枚選んで捨てる」

 

 鬼柳とロットンは同時にカードをドローすると、ロットンは引いたカードを、鬼柳は手札から別のカードを墓地に送る。

 

「永続魔法《インフェルニティガン》を発動。その効果により、俺は1ターンに一度、手札からインフェルニティ1体を墓地に送ることができる。俺は《インフェルニティ・デストロイヤー》を墓地へ」

 

 鬼柳は少しずつ手札を減らして行く。やはり狙いは”ハンドレス・コンボ”のようだ。

 

「カードを伏せる……《インフェルニティ・ネクロマンサー》を召喚!」

 

 鬼柳の場に現れたのはボロボロのローブを纏った不気味な死霊使い。それが現れると同時に、鬼柳の”ハンドレス・コンボ”が成立する。

 

 ATK:0→DEF:2000 レベル3

 

「こいつは召喚に成功した時、守備表示となる。そして効果を発動。自分の手札が0の場合、1ターンに一度、自分の墓地からインフェルニティ・ネクロマンサー以外のインフェルニティ1体を特殊召喚できる……現れろ! 《インフェルニティ・デストロイヤー》!」

 

 ネクロマンサーが呪文を唱えると、鬼柳の場に強力な威圧感を放つ悪魔が現れる。

 

 ATK:2300 レベル6

 

「行くぜロットン! インフェルニティ・デストロイヤーでガトリング・オーガを攻撃!」

 

 デストロイヤーがガトリング・オーガに突進し、拳で殴りつけると、半分機械の体であるガトリング・オーガは無残にも砕け散り、その場に倒れこむ。

 

「チィ! だがLPは大量にあるからな。屁でもねぇぜ!」

 

 ロットン LP:12000→10500

 

「だったらもう一発食らわせてやる。インフェルニティ・デストロイヤーの効果発動! 自分の手札が0枚の場合、こいつが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、相手に1600のダメージを与える!」

 

 デストロイヤーは残っていたガトリング・オーガの残骸を持ち上げると、ロットンに向かって放り投げる。

 

「ぐおぉ!? ……やりやがったな!」

 

 ロットン LP:10500→8900

 

「ターンエンド」

 

鬼柳     フリント

LP:4000  LP:4000

手札:0    手札:4

モンスター

・インフェルニティ・ネクロマンサー

・インフェルニティ・デストロイヤー

魔法・罠

・インフェルニティガン

・セット

 

「やった! 鬼柳兄ちゃんカッコイイ!」

「伏せカードを使い切ったせいで隙ができたな。そこを鬼柳は上手く攻めた(後はガトリング・オーガさえ出てこなければいいんだが……)」

 

 はしゃぐウェストの横で、遊星はロットンの手札を見る。

 普通じゃまず見られない14枚の手札。あそこから何が飛び出してくるのか――――

 

「調子に乗るんじゃねぇぞ! 俺のターン!」

 

 ロットン 手札:14→15

 

「魔法カード《デビルズ・サンクチュアリ》を2枚発動! 俺の場にメタルデビル・トークンを2体生成!」

 

 ATK:0 レベル1

 ATK:0 レベル1

 

「この2体をリリースし、《ロングバレル・オーガ》をアドバンス召喚!」

 

 メタルデビル・トークン2体が光の中へと消えると、その光の中からガトリング・オーガと同じ様に軍服を着た鬼が現れる。だがその鬼は体をガトリング砲に改造しておらず、代わりに自分の背丈の二倍程大きいライフルを手に持っていた。

 

 ATK:3000 レベル7

 

「ロングバレル・オーガの効果発動! 相手の場に存在する最も攻撃力の高いモンスターを破壊し、その攻撃力の半分のダメージを相手に与える! 《インフェルニティ・デストロイヤー》を撃ち抜け! 〈グレートスナイプ・ファーストショット〉!」

 

 ロングバレル・オーガがライフルを構え、巨大な弾丸をデストロイヤーに向かって撃つと、弾丸はデストロイヤーを貫き、その先にいる鬼柳に命中する。

 

「ぐあぁ!?」

 

 鬼柳 LP:4000→2850

 

「まだ終わりじゃないぜ? この効果は1ターンに二度まで使えるんだよ! 二発目! 〈グレートスナイプ・セカンドショット〉!」

 

 ロングバレル・オーガが二発目がネクロマンサーを貫くが、ネクロマンサーの攻撃力は0なので弾丸が鬼柳に当たることはなかった。

 

「鬼柳兄ちゃんのモンスターが!?」

「しかも鬼柳のLPは2850! ロングバレル・オーガの攻撃力は3000! まずいぞ鬼柳!」

 

 ウェストと遊星が叫び、ニコが顔を手で覆うが、当の鬼柳は涼しげな顔のまま弾丸を待ち受けている。

 

「これで終わりだ! バトル! 鬼柳を撃ち抜け! 【グレートスナイプ・ファイナルショット】!」

 

 ロングバレル・オーガが最後の一撃を鬼柳に放つと、弾丸は見事に鬼柳を貫き、鬼柳は地面に倒れる。

 

「鬼柳兄ちゃん!?」

「鬼柳!?」

「「鬼柳さん!?」」

 

 外野の4人が一斉に叫ぶ。

 倒れた鬼柳を見て、ロットンは高笑いを上げた。

 

「ハァーッハッハッハッハ! ……そらフリント! 今度はテメェの番だ! 前へ出な!」

「……お前は何を言っている? 見ろ」

 

 フリントが顎で倒れた鬼柳を指すと、何と鬼柳がゆっくりと起き上がり、決闘盤を構えて笑っていた。その笑いはどこか不気味なものを感じさせる。

 

「な、何故だ!? LPは0に――――!?」

 

 ロットンが決闘盤の機能で鬼柳のLPを調べると、数値は0ではなく、先程までと同じ”2850”となっていた。

 

「馬鹿な!? LPが減ってないだと!?」

「言っただろう? 俺は”地獄の底から舞い戻ってきた死神”だと。……死神は死なねぇ」

 

 そう言った鬼柳の足元で、1枚の罠カードが発動されていた。

 

「永続罠《女神の加護》! この効果で俺はLPを3000ポイント回復した。クックックッ……本当にこいつは”女神の加護”なのかねぇ……」

 

 鬼柳 LP:2850→5850→2850

 

「ちぃ……死神がぁ……!」

「クックックック……そうよぉ! 見せてやるよぉ! 死神の”生き様”をなぁ!」

 

 鬼柳の異様な迫力に圧されたロットンはそれを振り払うかのように1枚のカードを発動させた。

 

「なら見せてもらおうじゃねぇか! 魔法カード《火炎地獄》を発動! 相手に1000ポイントのダメージを与え、自分は500のダメージを受ける!」

 

 ロットンの場から燃え盛る炎が広がると、炎が鬼柳とロットンの両方に襲い掛かる。

 

「うお……!」

「フンッ……これくらい払ってやる」

 

 鬼柳 LP:2850→1850

 ロットン LP:8900→8400

 

「……へっ! いいぜ? もっと撃てよ俺を?」

「な……!?」

「まだあるんだろ? 罠除去でもいいぜ? こいつをふっ飛ばせばそれで終わりだからな」

 

 そう言って鬼柳は”女神の加護”を指差す。

 このカードはプレイヤーに大量のLPを与えてくれるが、一度場を離れると与えた分のLPを奪い取るというハイリスクなカードでもある。

 現在ロットンの手札に罠を除去できるカードは無い。

 火炎地獄と同じバーンカードは存在するが、それを使っても鬼柳をこのターンで倒すことはできない。

 

「くっ……」

「さあ……撃・て・よ」

 

 鬼柳が自分の胸を叩きながらロットンにバーンを催促する。

 ”撃たないでくれ”と哀願されるなら数知れず、逆に”撃て”と頼まれた事の無いロットンは困惑し、その真意を探る様にして鬼柳を見据える。

 

「(ここでバーンカードを使えば奴のLPをさらに削れるが、倒すには至らねぇ。……LP1850が何だ。そんなモンすぐに消し飛ばせる! 後ろにはフリントの野郎もいる……ここは温存だ!) カードを5枚伏せてターンエンドだ!」

 

LP:8400

手札:6

モンスター

・ロングバレル・オーガ

魔法・罠

・セット

・セット

・セット

・セット

・セット

 

「行くぞ……これが本当の勝負だ! 俺のターン!」

 

 フリント 手札:4→5

 

 鬼柳が後ろに下がり、フリントが前に出てカードをドローする。

 その冷静そうな眼には様々な感情が映り、”闘志”となって燃え上がっていた。

 

「魔法カード《ワン・フォー・ワン》を発動! 手札からモンスター1体を墓地に送ることで、手札・デッキからレベル1モンスターを特殊召喚する! デッキから《ヴォルカニック・バレット》を特殊召喚!」

 

 フリントの場に現れたのはヴォルカニックの弾丸”ヴォルカニック・バレット”。

 小さい体に火を燈し、宙に浮かびながらロットンに対して構える。

 

 ATK:100 レベル1

 

「カードを3枚伏せる! ……鬼柳」

「ああ、使え。……お前にお似合いのカードだ」

「永続魔法《インフェルニティガン》の効果発動! 手札が0枚の場合、場のこのカードを墓地に送ることで自分の墓地のインフェルニティ2体を特殊召喚する!」

 

 フリントは決闘盤を決闘銃に戻すと、自分の場に向かって構える。

 

「現れろ! 《インフェルニティ・リベンジャー》! 《インフェルニティ・ネクロマンサー》!」

 

 フリントの決闘銃から激しい炎が放たれると、その炎の中からインフェルニティ・ネクロマンサーと、二丁拳銃のガンマンのような格好をした恐ろしげな人形が現れる。

 

 インフェルニティ・リベンジャー  DEF:0    レベル1

 インフェルニティ・ネクロマンサー DEF:2000 レベル3

 

「さらにインフェルニティ・ネクロマンサーの効果発動! 墓地から《インフェルニティ・デストロイヤー》を特殊召喚!」

 

 再び場に現れた”インフェルニティ・デストロイヤー”。

 これでフリントの場のモンスターは4体となった。

 

 ATK:2300 レベル6

 

「レベル6《インフェルニティ・デストロイヤー》と、レベル1《ヴォルカニック・バレット》に、レベル1《インフェルニティ・リベンジャー》をチューニング!」

 

 リベンジャーが自身を1つの光輪へと変え、デストロイヤーとヴォルカニック・バレットを囲み、7つの光、そして光の柱へと変える。

 

「天国と地獄、その間……死者が彷徨う荒野の龍よ! 現世の全てを無に帰せ! シンクロ召喚! 煉獄より現れよ! 《煉獄龍 オーガ・ドラグーン》!」

 

 光の柱から現れたのはオーガ・ドラグーン。

 ”死神”と呼ばれた鬼柳を倒したドラゴンの登場により、周りは騒然とする。

 

 ATK:3000 レベル8

 

「何だこのドラゴンは!?」

「伏せた装備魔法《デーモンの斧》を《煉獄龍 オーガ・ドラグーン》に装備! 攻撃力を1000ポイントアップさせる!」

 

 デーモンの斧がオーガ・ドラグーンの頭上に現れ、光の粒子となってオーガ・ドラグーンに吸収される。

 

 ATK:3000→4000

 

「バトル! オーガ・ドラグーンでロングバレル・オーガを攻撃! 【煉獄の混沌却火(インフェルニティ・カオス・バースト)】!」

「させるか! 罠カード《強奪鞭》を発動! 相手の装備カード1枚を自分のモンスター1体に移し変える! そいつに装備された《デーモンの斧》を《ロングバレル・オーガ》に装備だ!」

 

 ロングバレル・オーガはライフルを手放し、鞭を手に取るとフリントの場にある装備魔法のソリッドビジョンに向かって鞭を振るう。

 それを見たバーバラは慌てて声を上げた。

 

「!? およしロットン!」

「何?」

「オーガ・ドラグーンの効果発動! 自分の手札が0枚の場合、1ターンに1度、相手の魔法・罠の発動を無効にし破壊する!」

 

 ロングバレル・オーガが振るった鞭をオーガ・ドラグーンが尻尾で器用に巻き取ると、そのまま引っ張ってロングバレル・オーガを目の前に引き倒し、上から獄炎のブレスを浴びせる。

 

「うおぉぉぉ!? ……おい! 何でもっと早く言わなかった!」

 

 ロットン LP:8400→7400

 

「仕方ないじゃない! ロットンが言う前に罠を発動させたから――――」

「喧しい!」

 

 ロットンはバーバラに一喝すると、再びフリントへと向き合ってしまう。

 

「(何さ! そもそも律儀に決闘なんかする必要もないっていうのに! ……フン)」

「ターンエンド!」

 

鬼柳     フリント

LP:1850  LP:4000

手札:0    手札:0

モンスター

・インフェルニティ・ネクロマンサー

・煉獄龍 オーガ・ドラグーン

魔法・罠

・デーモンの斧(煉獄龍 オーガ・ドラグーン)

・女神の加護

・セット

・セット

 

 強敵”ロングバレル・オーガ”を倒した事により沸き立つ外野。

 遊星はフリント達を見ながら笑みを浮かべる。

 

「(成る程、フリントは鬼柳に合わせて”ハンドレス”にすることで、鬼柳のカードが力を発揮できるようにしている。しかもフリントの切り札の能力……フッ、あの二人は”チーム・サティスファクション”で一番のコンビかもしれないな)」

「おのれ……! 俺のターン!」

 

 ロットン 手札:6→7

 

「速攻魔法《リロード》を発動! 手札を全てデッキに戻しシャッフル! そして戻した枚数だけカードをドローする! ……どうするフリント?」

「……無効にはしない。続けろ」

 

 ロットン 手札:6→0→6

 

 ここで無効にしなければロットンがキーカードを引き当ててしまう可能性があるが、もしこれが”キーカードが無い”というブラフであり、既にロットンがオーガ・ドラグーンを倒す為のカードを持っているとすれば、フリントにそれを防ぐ術が無くなってしまう。

 ロットンのデッキの大半を占めているのは魔法・罠カード。おそらく逆転の手も魔法・罠である可能性が高い。狙うのなら引き当てた”逆転の魔法・罠カード”だろう。

 

「クックック……来たぜ! 《ガトリング・オーガ》を召喚!」

 

 ロットンが引き当てたのは”ガトリング・オーガ”。

 モンスター効果ではオーガ・ドラグーンの効果で無効にすることはできない。

 

 ATK:800 レベル3

 

「そんな!? まだあいつのデッキに入ってたなんて……」

「まずいぞ!? これで後1枚カードをセットされたら……」

 

 ロットンの引きに驚愕するウェストとストーク。

 ロットンはそれを見て愉快そうな笑い声を上げる。

 

「これだけじゃないぜ? 装備魔法《ダブル・アームズ》を《ガトリング・オーガ》に装備!」

 

 突然ガトリング・オーガの右腕が外れると、腕と弾倉の間にさらにもう一つ弾倉が追加され、ガトリング・オーガの弾倉が二つとなる。

 

「このカードを装備したモンスターが自身の効果によって相手に効果ダメージを与える時、そのダメージは2倍となる! ……つまり、一発につき1600ダメージ! このターンでお前等二人共地獄に送ってやるぜ! ファイヤ!」

 

 ロットンが宣言すると、ガトリング・オーガは二つの弾倉から弾を供給し、フリントに向かって一気に弾を放つ。

 

「ロットン……何度も同じ手が通用すると思うな! 罠カード《リフレクト・ネイチャー》! このターン、相手が発動した”ダメージを与える”効果は全て相手が受ける!」

「何だと!?」

 

 フリントの前に光の壁が現れると、壁はガトリング・オーガが放った弾丸を全てロットンへと跳ね返えす。

 

「ぐおお!?」

 

 ロットン LP:7400→5800

 

 一回分の弾丸を全て受けきり、ロットンは怒りで体を震わす。

 自身の必殺の戦術を逆手に取られ、ダメージを与えられてしまったのだ。屈辱であろう。

 

「諦めろロットン。貴様の戦術はもう通用しない」

「……クックック、言ってくれるじゃねぇかフリントォ! 俺の戦術が”ガトリング・オーガ”だけだと思うな! 魔法カード《二重召喚》! 俺はこれで新たなモンスターを――――」

「させん! オーガ・ドラグーンの効果で無効だ!」

 

 フリントが宣言すると、オーガ・ドラグーンは尾を伸ばして”二重召喚”のソリッドビジョンを貫く。

 

「よし! これで奴はもう通常召喚を行えない! 新しい切り札を封じたぞ!」

「(本当にそうか……?)」

 

 フリント達の勝利を感じ始めたストークの横で遊星は不安を拭えないでいた。

 彼は一度ロットンと決闘を行い、そのデッキの恐ろしさをよく理解している。

 

「(ロットンは恐ろしい相手だ。まだ何かあるような気がしてならない……)」

「フッフッフ……かかりやがったなフリント! 魔法カード《地砕き》を発動! 相手の場で一番守備力が高いモンスターを破壊する! 守備力3000の《煉獄龍 オーガ・ドラグーン》を破壊だ!」

 

 ロットンが魔法を発動させると、オーガ・ドラグーンが地面に叩き付けられて破壊される。

 

「!? オーガ・ドラグーン……二重召喚による”新たなモンスター”はブラフだったか」

「いーや、半分は間違いじゃないぜ? ……俺がやるのは通常召喚じゃねぇ! ガトリング・オーガをリリースし、手札から《ビッグ・キャノン・オーガ》を特殊召喚!」

 

 ガトリング・オーガが光の中へと消えると、その光の中からガトリング・オーガと同様に軍服を着た鬼が現れる。

 その鬼はガトリング砲ではなく、肩にキャノン砲を二門、背中に大型の大砲を一門背負っている。

 

 ATK:2400 レベル7

 

「こいつは自分の墓地に”フルアーマー・オーガ”が存在する時、場の”ガトリング・オーガ”1体をリリースすることで特殊召喚できるカードだ!」

「”フルアーマー・オーガ”? やい! そんなの何時墓地に送ったんだよ!」

「落ち着くんだウェスト! おそらく鬼柳の”暗黒界の取引”の時だ」

 

 遊星はロットンと決闘した際にこのカードと一戦交えている為、その強力な効果を知っていた。

 

「(幸いにもフリントの場には守備表示の”インフェルニティ・ネクロマンサー”がいる。戦闘ダメージを受けることは――――)」

「バトル! ビッグ・キャノン・オーガでインフェルニティ・ネクロマンサーを攻撃! 【ビッグ・キャノン・ファイア】!」

 

 ビッグ・キャノン・オーガが地に両腕をつくと、背中の砲身をネクロマンサーに向け、砲弾を放つ。

 

「ここで伏せていた罠カード《ストライク・ショット》! さらにチェーンして手札から速攻魔法《突進》を発動! 効果により、ビッグ・キャノン・オーガの攻撃力をエンドフェイズ時まで700ポイントずつアップさせる!」

 

 ATK:2400→3100→3800

 

「さらに《ストライク・ショット》のもう一つの効果により、ビッグ・キャノン・オーガに貫通能力を与える!」

「!? まずい! フリント!」

 

 遊星が叫ぶも虚しく、砲弾はネクロマンサーを貫き、フリントに命中する。

 

「ビッグ・キャノン・オーガの効果! こいつが与える戦闘ダメージは2倍となるッ! ダメージは1800! その倍の3600ダメージをくらいやがれフリントォ!」

「ぐあぁぁぁ!?」

 

 フリント LP:4000→400

 

「「「「フリント!?」」」」

「フリントさん!?」

 

 外野、そして鬼柳までもが一斉に叫ぶ。

 砲弾がフリントを突き抜けると、フリントはその場に膝をついた。

 

「ハァーッハッハッハ! どう――――ダガァァァ!?」

 

 ロットン LP:5800→2200

 

 ロットンが勝ち誇った様に笑った瞬間、彼の腹を何かが突き抜ける。

 ロットンも同じ様に膝をつき、フリントを睨みつけた。

 

「テ、テメェ……」

 

 見るとフリントは膝をつきながらも決闘銃を構えており、その銃口からは煙が上がっていた。

 

「……自分が戦闘ダメージを受けた時、墓地に存在する《ヴォルカニック・カウンター》の効果を発動! 墓地のこのカードをゲームから除外し、自分の墓地にヴォルカニック・カウンター以外の炎属性が存在する場合、自分が受けた戦闘ダメージと同じ数値のダメージを相手に与える。……3600ポイント、丸々返させてもらったぞ」

 

 フリントの思わぬ反撃にニコ、ウェスト、ストークは歓声を上げ、遊星や鬼柳は笑みを浮かべて拳を握り締める。

 この時、一人の人間が舌打ちをし、この場から姿を消した。

 

「さらに自分の手札が0枚の状態でインフェルニティ・ネクロマンサーが戦闘破壊され墓地に送られた事により、墓地の《インフェルニティ・リベンジャー》を特殊召喚する!」

 

 再び場に現れた”インフェルニティ・リベンジャー”。

 心なしか先程よりも顔が恐ろしくなっている様に見える。

 

 DEF:0 レベル1

 

「インフェルニティ・リベンジャーはこの効果で特殊召喚された時、戦闘破壊されたモンスターと同じレベルになる」

 

インフェルニティ・ネクロマンサー レベル3

インフェルニティ・リベンジャー   レベル1→3

 

「む、虫の息の癖にふざけやがって……ターンエンドだ!」

 

LP:2200

手札:0

モンスター

・ビッグ・キャノン・オーガ

魔法・罠

・セット

・セット

 

「よくやってくれたフリント! 俺のターン!」

 

 鬼柳 手札:0→1

 

「俺が引いたカードは《インフェルニティ・デーモン》! 手札が0枚の場合、ドローしたこのカードを特殊召喚することができる! 来い! 《インフェルニティ・デーモン》!」

 

 鬼柳の場に”インフェルニティ・デーモン”が現れ呪文を唱え始めると、鬼柳のデッキが黒く光り、1枚のカードが選び出される。

 

 ATK:1800 レベル4

 

「インフェルニティ・デーモンの効果発動! 特殊召喚に成功した時、自分の手札が0枚の場合、 デッキからインフェルニティと名のついたカード1枚を手札に加えることができる! 俺は《インフェルニティ・リローダー》を手札に! そして召喚!」

 

 続けて鬼柳の場に現れたのは”インフェルニティ・リローダー”。

 不気味な笑い声を上げながら、銃口の一つをロットンに向ける。

 

 ATK:900 レベル1

 

「レベル4《インフェルニティ・デーモン》と、レベル1《インフェルニティ・リローダー》に、レベル3《インフェルニティ・リベンジャー》をチューニング!」

 

 リベンジャーが自身を3つの光輪へと変え、デーモンとリローダーを囲み、5つの光、そして光の柱へと変える。

 

「死者と生者……ゼロにて交わりしとき……永劫の檻より魔の竜は放たれる! シンクロ召喚! いでよ! 《インフェルニティ・デス・ドラゴン》!」

 

 光の柱から現れたのはインフェルニティの新たな切り札”インフェルニティ・デス・ドラゴン”。

 現れると同時におぞましい咆哮を上げる。

 

 ATK:3000 レベル8

 

「来た! 鬼柳のエースモンスター!」

 

 遊星がガッツポーズを取ると同時に、辺りから様々な声が上がる。

 遊星と同じ様に歓声を上げる者、その姿を見て恐れの声を上げる者、そして土壇場で相手に切り札を出され、焦りを浮かべる者――――

 

「くっ……またドラゴンか!」

「インフェルニティ・デス・ドラゴンの効果発動! 自分の手札が0枚の場合、1ターンに一度、相手モンスター1体を破壊し、その攻撃力の半分のダメージを与える! 【インフェルニティ・デス・ブレス】!」

 

 インフェルニティ・デス・ドラゴンが口から青いブレスを放つと、ビッグ・キャノン・オーガは応戦する間もなく焼き尽くされ、破壊される。

 

「ぐおぉ!? ……くっ! ビッグ・キャノン・オーガの効果発動! 破壊された時、墓地に存在する《フルアーマー・オーガ》1体を特殊召喚する!」

 

 ロットン LP:2200→1000

 

 ロットンの場に現れたのはまたもや軍服を着た鬼。

 今度の鬼は軍服が鎧の様になっており、両腕が機銃に改造されている。

 

 ATK:1600 レベル5

 

「まだ出てくるか……この効果を使用したターン、デス・ドラゴンは攻撃できない。ターンエンド!」

 

鬼柳     フリント

LP:1850  LP:400

手札:0    手札:0

モンスター

・インフェルニティ・デス・ドラゴン

魔法・罠

・女神の加護

・セット

 

 鬼柳のターン終了宣言時、周りから大きな歓声が上がる。

 それはニコやウェスト達ではなく、元ラモン・グループの手下達であった。

 

「すげぇ! 本当にロットンを倒しちまうんじゃないか!?」

「ああ! いける! 俺達を救ってくれる!」

 

 鬼柳達の強さを見て、彼等は完全に希望を取り戻していた。

 ロットンが彼等を睨むも、もはや彼等は動じない。誰もが鬼柳達の勝利を信じていた。

 

「奴等だけでなく、クズ共まで調子に乗りやがってッ……!」

 

 ロットンが歯軋りしたその時、女の声が十字路に響き渡る。バーバラの声だった。

 

「ロットンの言う通り! 調子に乗るんじゃないわよ! 決闘ごっこはここまでよ! 全員銃を捨てな!」

「フ、フレア!?」

 

 その場にいる全員が眼を向けた瞬間、ストークが悲鳴に似た声を上げる。

 バーバラがフレアを連れ、頭部にショックガンを突きつけながら現れたのだ。

 体の自由を奪うことを目的としているショックガンでも、至近距離で頭部にでも撃ち込まれれば命を落とす事になるだろう。

 手を縛られ、布で口を塞がれているフレアは顔を上げると、自分の前方に立っているフリントを見て涙を流す。

 

「バーバラ……お前……」

「ロットン! 勝敗は最初から決まってる! そうじゃないのかい? ……周りも動くんじゃないよ! この子を取りに行くついでに、鉱山の方に応援を頼んだからね! 少なくともアンタ達の倍以上の人数は来るわよ? ……逆らおうなんて思わないことね」

 

 バーバラがそう言うと、またもや意気消沈する元ラモン・グループの手下。クラッシュ・ファミリーの構成員達も、フレアが人質とあっては手出しができず、指示に従ってショックガンを手放した。

 

「さあ! サレンダーしてもらおうじゃない! ……その後、アンタ等全員仲良くくたばって貰おうかしらね」

「くっ……! やめろぉ!」

 

 ここに来て初めて表情に焦りを浮かべる鬼柳。フレアの頭にショックガンの銃口が押し当てられるのを見て、鬼柳は自分のデッキに手を置こうとする。

 

「鬼柳! サレンダーをするな!」

 

 鬼柳の後ろから叫んだのはフリント。

 鬼柳は驚いた表情で前に出てきたフリントを見る。

 

「だがフリント! このままじゃフレアが――――」

「鬼柳、お前も、俺も、そしてフレアも死ぬ気は無い。……生きようとする”意志”がある限り、人は簡単には死なない。そうだろう? ……俺とフレアを信じてくれ」

「フリント……」

「ほう、そうかい。サレンダーできないって言うなら、俺が代わりに止めを刺してやるよ」

 

 ロットンが倒れている手下から奪い取ったショックガンを鬼柳に対して構える。

 

「ロットン!? お前までそんな汚ねぇ真似しやがるのか! それでも”決闘者(デュエリスト)”か!」

現実主義者(リアリスト)だ」

 

 ロットンは相手を馬鹿にするような笑みを鬼柳に向ける。

 

「キサマァ!」

「ロットン……」

 

 その笑みに対して睨み返す鬼柳とフリント。

 ロットンはそれを愉快そうに受け止める。

 

「バーバラの言う通りだ。勝敗なんぞ最初から決まっていた。これはただの”暇つぶし”に過ぎん……ハッハッハッハッハ!」

 

 ロットンは今度こそ勝ち誇った様に笑い切ると、バーバラに目配せする。

 

「このままバイバイは可哀相だ。せめて別れの挨拶はさせてやるよ」

 

 ロットンがそう言うと、バーバラはショックガンを構えつつ、フレアの口を塞いでいた布を取り去る。

 フレアは口が自由になった瞬間、鬼柳に向かって叫んだ。

 

「鬼柳! 諦めちゃ駄目!」

「フレア……!?」

 

 鬼柳が驚いた様にフレアを見ると、フレアもその眼を見返して言葉を続ける。

 

「鬼柳! ここに来てフリント達と一緒に戦ってるってことは、もう解ったんでしょ? あなたはウェストの……皆の”ヒーロー”で、”チーム・サティスファクション”のリーダーなのよ! 私は大丈夫だから、絶対に諦めちゃ駄目!」

「フレア……分かった! サレンダーはしねぇ!」

 

 鬼柳は決意を固めたようにそう言うと、自分の右手をデッキの近くから離す。

 フレアはそれを確認すると今度はフリントへ顔を向ける。その眼には涙が浮かんでいた。

 

「フリント! ウェストの言った通り……信じてよかった……あなたとまた、こうして逢えたんだもの……」

「おやおや、さっきから子供みたいに泣いちゃって……恐いのかい?」

 

 バーバラがニヤつきながらフレアにそう言うと、フレアは横目でバーバラを見る。

 

「バーバラさん……私、バーバラさんのお花、大好きだったよ……」

「ハッ! この状況で何言ってんだい? 恐怖で頭がイカレちゃったのぉ?」

 

 バーバラがそう言うと、フレアは一瞬悲しそうな表情を浮かべてから、再びフリントに顔を向ける。その眼には既に涙は無く、代わりに強い”意志”が宿っていた。

 

「フリント……あなたは何時だって、私を助けてくれた……近くにいる時も、離れている時も……だから私! 恐くなんかない! だって――――」

 

 

 

 

 

             あなたが必ず、助けてくれるから!!!

 

 

 

 

 

 そう叫んだ瞬間、フレアは全力で体を捻り、バーバラに向かって全体重を掛けて倒れこむ。

 

「ちょ!? ああ!?」

 

 バーバラは恐ろしい女だが、大きな力や体格を持っているわけではなく、フレアと比べても大きな差は無い。不意を突かれたこともあり、バーバラはバランスを崩してフレアと共に地面に倒れる。

 そしてフレアが身を捻ると同時に、フリントは地面を蹴った。その手には既に変形させた決闘銃が握られている。

 

「!? させるか!」

「そうはさせない! うおぉぉぉ!!!」

 

 駆け出したフリントを見て、ロットンがすぐさまフリントに向けてショックガンを発砲すると、その間に遊星が飛び込んでショックガンを受ける。

 

「チッ! 邪魔だァーーー!!!」

 

 ロットンは連射してフリントにあてようとするが、何と遊星は倒れることなくロットンの前に立ち塞がり、ショックガンの弾丸を全て受け切る。

 

「何だと!?」

「く……この小娘が――――ギャア!?」

 

 バーバラがショックガンを構え直しフレアを撃とうとするが、引き金を引く前に飛んできたカードがショックガンを弾き飛ばし、さらにもう1枚のカードがバーバラの右頬を切り裂く。

 

「うああ……アタシの……アタシの顔に傷がぁ~~~!!! あ――――」

 

 怒り狂うバーバラがふと横を見ると、そこには左腕を引きながら凄まじい形相を浮かべているフリントが立っていた。

 これから何が起こるのか、バーバラが理解しようとしたその瞬間――――彼女の右頬を、フリントの左拳が撃ち抜いた。

 バーバラは再び地面に倒されると、声にならない声を上げてのたうちまわる。

 

「フレア!」

「フリント!」

 

 フリントはフレアを助け起こすと、手の縄を解く。

 手が自由になると、フレアはフリントの胸に抱きつき、再び涙を流した。

 

「フリント! フリント……ああ、よかった……」

「ああ……無事でよかった。お前も俺も、遊星も鬼柳も……皆生きている」

「バーバラ!? くそ! どうなってんだ!?」

 

 ロットンはショックガンを浴びせても倒れない遊星をよく見ると、彼は着ていたポンチョを脱ぎ、それを盾にする様に構えていた。

 

「(馬鹿な!? あんな物で防げるはずが――――)」

 

 その時、遊星のポンチョの生地が破れ、中からプレートの様な物が剥がれ落ちる。

 

「……このポンチョは俺の手作りでね! 急ごしらえだったが、上手くいったようだ!」

 

 遊星はプレートを拾いながら笑みを浮かべる。

 遊星のポンチョに仕込まれていたのは”フルシールド”というDホイールを守るシールドを展開できるオプションパーツ。しかも、谷底へ落下した遊星号を軽傷で済ませる程の高性能品である”フルシールドⅢ”である。

 遊星はそれを遊星号から取り外し、改造を施してポンチョに仕込んでいたのだ。

 

「フレア達をやらせはしない! 俺が守りきってみせる!」

 

 遊星は再び”フルシールドⅢ”を構えて防御体勢を取ろうとするが、落下にショックガンと大きなダメージが続いたせいか”フルシールドⅢ”はひび割れ、そのまま砕け散ってしまった。

 

「くっ!? 限界か……!?」

「ハッハッハ! それで守りきるのか? 試してやろう――――ぬあぁ!?」

 

 ロットンが再びショックガンを構えた瞬間、ロットンのショックガンを1枚のカードが弾き飛ばす。

 遊星と鬼柳はフリントかと思い振り返るが、フリントは決闘銃を構えてはいない。

 

「どういうことだ? こいつは一体――――!?」

 

 鬼柳は地面に刺さったそのカードを見る。そのカードの表面に描かれているのは――――

 

「”疾風のゲイル”!? まさか――――」

「その通りだ鬼柳! ”鉄砲玉のクロウ”様の参上だぜ!」

「「クロウ!?」」

 

 その声に鬼柳と遊星が振り向くと、屋根の上にクロウが腕を組みながら立っていた。

 クロウは笑みを浮かべて遊星と鬼柳を見下ろす。

 

「へっ! 本当は明日の予定だったけどよ! こいつが光ったんでな! ちょいと迷っちまったが、早めに迎えにきたぜ!」

 

 クロウは自身の右腕をかざしながらそう言うと、屋根の上から飛び降りる。

 

「そういや、こっちに向かってたガラのワリィ集団は”敵”でよかったんだよな? 俺とセキュリティで片しちまったぜ?」

「セキュリティだとぉ!? 馬鹿な! 何故セキュリティがここに!?」

 

 ロットンが驚きの声を上げる。

 彼はクラッシュタウンを手中にする為、あらゆる策を講じてきた。

 その一つとして治安維持局の幹部の一人を抱きこみ、クラッシュタウンにセキュリティを近づけさせないようにしていたのである。

 

「おうロットン、話は聞いてるぜ。何でも治安維持局でセコイことやってたお偉いさんと繋がってたんだってな? そいつ、あっさりお前の事ばらしたぜ。あっち見てみろよ」

 

 クロウが北を指差すと、鉱山の方から赤いランプの光が幾つも点灯しているのが見え、さらに大量の護送車が列を作って鉱山へと向かっていた。

 

「実を言うとよ、ここまで来れたのはセキュリティに案内して貰ったからなんだよな。”アイツ”は見栄張って一人で行けるなんて言ってたけどよ、大丈夫かね? ……で、どうするよアンタ?」

 

 クロウが笑みを浮かべてロットンにそう言うと、ロットンは悔しげな表情でクロウを睨む。

 

「クロウ……来てくれたのね!」

「おうフレア、フリント。何だか大変だったようだな――――あぶねぇ!?」

 

 クロウがフレア達の後ろを指差して声を上げると、フレアはハッとして後ろを振り返る。

 そこにはフリントに殴り飛ばされたバーバラが鞭を振り上げて立っていた。

 殴られた右頬は酷く腫れ上がり、もはや切り傷が気にならない程になってしまっている。こんなになりなりながらも、よく意識を保てたものだ。

 

「よぐも……ヨ゛グモ゛ォォォーーー!!!」

 

 バーバラが鞭を振り下ろそうとすると、鞭は蹴り飛ばされ、後方へと飛んで行く。

 

「へ――――」

 

 バーバラは腕に鋭い痛みを感じた瞬間、今度は左頬に強烈な張り手をくらい、再び地面に倒れ気絶する。

 

「このジャック・アトラス! 非道な真似をする輩は絶対に許さん!」

「「「ジャック!?」」」

 

 バーバラを張り倒したのは遅れてやってきたジャック。

 彼は埃を払うように手を叩くと、仲間達を見渡す。

 

「フン! お前達、鬼柳の様な疫病神に逢いに行くからこんな事になるんだ!」

 

 そう言いつつもジャックは笑い、遊星達に対して親指を立てた。

 

「やっと来やがったな。そんな事よりジャックいいのかよ? 今殴ったの、お前が日頃から尊敬だの何だの言ってる”レディ”って奴じゃねぇのか?」

「ん?」

 

 クロウにそう言われると、ジャックは気絶しているバーバラを見下ろす。

 その両頬は完全に腫れ上がり、もはや原型をとどめていない無残なものとなっていた。

 

「馬鹿な事を言うなクロウ! これの何処が”レディ”だ!」

「……ハハッ! ちげぇねぇ!」

 

 クロウとジャックはお互いに笑い合うと、遊星と共に鬼柳の側へと向かい、横に並び立つ。

 

「ようやく、揃ったな……」

「うん……これが……これが見たかったの……」

 

 フレアは眼を潤ませながら、夕日に照らされている4人を見る。

 

 

 ”鉄砲玉”――――”クロウ・ホーガン”

 

 ”絶対王者”――――”ジャック・アトラス”

 

 ”サティスファクションの頭脳”――――”不動 遊星”

 

 そして”チーム・サティスファクションリーダー”――――”鬼柳 京介”

 

 

「……最っ高だぜ! ”チーム・サティスファクション”の復活だ!」

 

 4年の長き月日を経て、再び揃った最強のチーム”サティスファクション”。

 鬼柳の声に合わせ、周りから歓声が上がる。

 

「何だ!?」

 

 ロットンが周りを見渡すと、フレアという人質がいなくなったことにより、自由となったクラッシュ・ファミリーが残っていたロットン・ファミリーの手下を全て捕らえていた。

 その時のクラッシュ・ファミリーの陣営には、元ラモン・グループの手下に加え、自らの意思で降伏し、クラッシュ・ファミリーの味方となったロットン・ファミリーのメンバーもいる。

 

「クソがぁ……!」

「終わりだロットン!」

 

 鬼柳がそう叫ぶと、悔しそうな表情をしていたロットンが急に笑みを浮かべ、腰から何かのリモコンを取り出してそのスイッチを押す。

 その瞬間、十字路の建物が一斉に爆発した。

 フリントはフレアを、鬼柳はニコとウェストを、遊星は動けないブロンソンを、そして何だかんだ言いながらジャックがブロンソンと同様に動けないバーバラを爆発から守る。

 その隙にロットンは十字路の側に停めてあった自身のDホイールに乗り込み、その場から逃げ出した。

 

「イィーーーヤーーーッホウッ!!!」

「まてこの野郎!」

 

 一人手が空いていたクロウが逃げ出そうとするロットンに向かって再びゲイルを投げるが、流石にDホイール相手では歯が立たず、弾き返されてしまった。

 

「チクショウ! ……皆! 大丈夫か!?」

 

 クロウが黒煙に包まれている仲間達に声を掛けると、全員から無事を知らせる返事が返ってくる。幸いにも、今の爆発で死傷者は出なかったようだ。

 

「鬼柳! 俺のDホイールを使え!」

「遊星?」

「鬼柳、俺の分まで頼むぞ」

 

 フリントが決闘銃を変形させながら鬼柳に近づき、伏せカードと墓地を手渡す。

 

「フリント……俺でいいのか?」

「ああ……”全て”の決着を着けてこい」

「……ああ! フリント! 遊星! 行って来るぜ!」

 

 鬼柳は倒れている遊星号に乗り込み、ヘルメットを被ると、急発進させてロットンの後を追う。

 フリントはそれを見送った後、サイドデッキから鬼柳に渡した分のカードをデッキに補充する。

 

「フレア!!!」

「兄さん!!!」

 

 その頃、ストークは最愛の妹を抱きしめ、涙を流していた。

 

「兄さん……心配掛けてごめんなさい……後、ちょっと痛い……」

「いい、いい……お前が無事に戻ってくれば……それで……」

「フレア……よかった……父さん……鬼柳さん達がやったよ……」

 

 その様子を見ながら、ニコも静かに涙を流す。

 その隣でウェストは興奮した様子で忙しく体を動かしていた。

 

「凄いや凄いや! ”チーム・サティスファクション”の復活だぁ~~~!!! そして本当にフレアとこの町を救ってくれたんだ! やったぁ~~~!!! やったよ父ちゃ~~~ん!!!」

 

 ウェストだけでなく、クラッシュ・ファミリーの中にも同様にはしゃぐ者や安心した様な表情で脱力する者など、様々な反応を見せている。

 彼等の長い戦いが今、終わりを迎えたのだ。

 

「ストーク……」

 

 フリントがストークに近づくと、ストークは漸くフレアを離し、今度はフリントの手を強く握る。

「ありがとうフリント……お前には、どれだけ感謝しても足りないよ」

「気にするなストーク。俺にできる事と言えばこれくらいだ。それに……まだ全て終わった訳ではないようだ」

「え?」

 

 フリントは北へ顔を向けると、鉱山の方角から人影が走ってくる。

 その場にいる全員が眼を凝らして人影を見ると――――

 

「あ!? あれ……マルコムとラモン!?」

 

 ウェストが驚きの声を上げる。

 それもそのはず、ラモンはフリント達と一緒に鉱山へと送られ、マルコムはその後に弟のロットンの手によって鉱山送りにされたのである。

 ニコとウェストはロットンに連れ去られた際にそれを目撃していた。

 二人が近づくに連れ、段々とその状況が見えてくる。

 

「何だ? 追われてんのか?」

「追っているのはセキュリティか。つまり、奴等は”脱走犯”というわけだな」

 

 クロウとジャックが納得したように頷く。

 そう、マルコムとラモンはどうやったのか、あのセキュリティの包囲網を突破し、ここまで逃げてきたのである。

 

「ジャック、クロウ、すまないがあのセキュリティ達を引き止めておいてくれ」

「何故だ? ……そうか、奴等もか」

「よっしゃ! そう言う事なら協力してやるぜ! 行くぞジャック!」

 

 ジャックとクロウはフリントの意を察し、セキュリティ達の方へと駆けて行く。

 

「さて……フレア、お前は守られてばかりの女じゃないだろう? そろそろ”英雄”になってみるか?」

 

 そう言ってフリントは懐からフレアの決闘銃を取り出し、フレアに手渡す。

 フレアが南の牢屋から移動させられた時、その場に置き去りにされていたのをフリントが回収していたようだ。

 

「はいフレア!」

 

 それと同時にウェストが預かっていたデッキをフレアに手渡す。

 フレアは不敵に笑うと、決闘銃にデッキをセットし、腰のガンベルトに収める。

 

「……勿論! 私は”決闘者”! ”お姫様”じゃなくて”ヒーロー”よ!」

 

 そう言ってフレアはフリントと共に決闘場の南側に立つ。

 夕日はまだ、半分近く顔を出していた。

 

「ぜい……ぜい……くそ! テメェがノロノロしてるからこうなったんだぞ!」

「う、うるせぇ! テメェがタイミングを間違えたんじゃねぇか! この同盟は逃げ切るまでだからな! 逃げ切ったら覚えて――――うおっ!?」

 

 とうとうラモンとマルコムが十字路に現れる。

 二人は悪態をつきながら走っていると、目の前の道を二人の”決闘者”が道を塞いでるのに気付く。

 

「テ、テメェ等……どうしてここに……」

「マルコム、ラモン……この町を”地獄”に変えるきっかけとなったあなた達を……私は絶対に許さない!」

「お前達との因縁……ここで決着をつけよう。……”夕日の決闘(サンダウン・デュエル)”でな!」

 

 フレアとフリントが身構えると、ラモンとマルコムは知らぬと言う様にそれぞれ東西の方角へ逃げようとする。

 

「待て! 逃がさないぞ!」

「こっちもだ!」

 

 遊星がマルコムの、ストーク、ウェスト、ニコがラモンの行く手を阻む。

 進退窮まった二人は辺りを見回すと、嘗ての自分達の手下を見つけ、大声で命令する。

 

「おい! 何してやがる! 早く俺様を助けろ!」

「そ、そうだぞ! これだけ数がいるんだ! 早くあいつ等を叩き潰せ!」

 

 しかし、手下達は動かない。

 それどころか手下達は無様にも逃げ回り、今度はみっともなく騒ぎ立てる彼等に対して冷ややかな視線を送っていた。

 

「もう彼等はお前達の手下じゃない! 自由となったんだ! この町の様にな!」

「喧しい! くそ! テメェ等まで裏切るのか――――うお!?」

 

 遊星の言葉を無視して騒ぎ続けようとするマルコムを、クラッシュ・ファミリーの構成員達が捕らえ、決闘場へと引きずる。ラモンも同様に決闘場へと連れて来られた。

 

「言っただろう、決着をつけると。……俺達に勝てれば見逃してやる。何処へでも行け」

「ぐ……! い、いいだろう! やってやる!」

 

 決心した様にマルコムが前に出る。

 ラモンは何とか自分を落ち着かせ、目の前にいるフリント達を見据える。

 

「(フリントは強敵……だが、クラッシュの孫の方を突けば隙ができるかもしれない。その為には……) 俺もいいぜ! ただし! 一つルールの提案がある!」

 

 ラモンもマルコムと同じ様に前に出て人差し指を立てる。

 

「まず形式は4人で行うバトルロイヤル・ルール! そしてお前達か俺達のどちらかが全滅すればそれで終了だ。それと、”夕日の決闘”の掟にはしたがって貰うぜ? 夕日が沈みきったらそこで決闘終了。LPの多い方の勝ちだ。……いいな?」

「構わない」

「いいよ」

「よし……マルコム! テメェもいいな? ”逃げ切るまでが同盟”だぜ?」

「いいだろう! 乗ってやる!」

 

 話が纏まると、ストークが決闘場の中心に立ち、マルコムとラモンに決闘銃を投げ渡す。

 二人はそれを受け取ると、隠し持っていた自分のデッキを決闘銃にセットし、自分達のガンベルトに収めた。

 ストークはそれを確認すると、コインを取り出す。既に夕日は半分以上沈んでいる為、開始の合図はコインの落下で行うのだ。

 

「このコインが落ちたら開始だ。……フリント、これが最後の戦いなんだな?」

「ああ。ロットンは鬼柳が討ち取っている頃だろう。これが最後だ」

「そうか。……フレア、お前の手で、お爺さんの長い戦いに決着をつけてくれ。……頼んだぞ!」

「うん!」

 

 話を終えると、ストークはコインを投げ上げ、その場を離れる。

 コインは徐々に勢いを失い、落下。そして――――地面に落ちて音を鳴らす。

 

 

 

「「「「デュエル!!!」」」」

 

 

 

 クラッシュタウン解放戦、最後の戦い。

 鬼柳対ロットン、そして”荒野の決闘者”対”ギャングボス”の決闘が今、始まろうとしていた。

 




ロットンについて
原作のロットンはチートじみたオリカをやたら使うので、この小説でもガンガン使わせています。
後オーガ達の不明なステータスはこっちで勝手に決めちゃいました。でもロングバレルの3000はやりすぎだったかな? 完全にデスドラゴン涙目……
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