遊戯王5D's ~荒野のデュエリスト~   作:鬼柳高原

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第5話 チーム”サティスファクション”

「チーム”サティスファクション”……」

 

フレアはその名前を聞いた時、何か頭に引っ掛かるのを感じる。

誰からかその名前を聞いた覚えがあった。

 

「ひ、ひぃ~~~!!!」

 

チーム”マジシャンズ・フォー”のリーダーは情けない悲鳴を上げながら、仲間を見捨てて一人南へと駆け出した。

 

「あ! おい遊星ジャック! 手錠! 俺のはもう壊れちまってんだ!」

 

「……持ってない」

 

「……先月から同じのをずっと使い続けたんだぞ、もう壊れたに決まっているだろう」

 

先程、クロウがフリントに対して使用した拘束装置。

どうやら全員それを持っていないらしく、逃げる相手を決闘で拘束出来ない。

逃げていくローブの男を背中がどんどん遠くなっていく。

 

「何だよ! それじゃ満足出来ねぇよ! もっと丈夫に作ってくれよ遊星!」

 

「すまない、努力はしてみよう……」

 

3人が話している間に、ローブの男は完全に姿を消していた。

鬼柳は不満そうに溜息をつくと、コンテナの上から飛び降りる。

 

「まあ、これで奴等ももう俺達に逆らおうとは思わねぇだろ」

 

「フン! 相手は雑魚、拘束装置は壊れる、おまけにクロウは集会に来ない、不愉快だ! 俺は帰るぞ」

 

「おいジャック!? ……ジャックの奴、どうやら満足出来てねぇみたいだな……っと、おい大丈夫か? 一体何があったんだよ?」

 

鬼柳はまだ地面に座り込んでいるフレアに振り向いて手を差し伸べる。

フレアはその手を握って立ち上がると礼を言い、目の前の2人を信じて自分の素性とこれまでの経緯を全て話した。

 

「”ゴーレム”の奴等も動いてんのかよ、懲りねぇな」

 

「……クロウが奴等と鉢合わせたかもしれない」

 

「そうだな……まあクロウなら問題無いだろ? 逃げるか蹴散らすかしてるはずだぜ。 …それにしてもお前、女のわりには度胸があるじゃねぇか! …だがこの”B.A.Dエリア”に 来るのはまだ早かったな」

 

鬼柳が笑いながらフレアの肩を叩くと、フレアは自身の決闘銃を取り出し、少しむくれて見せる。

 

「…決闘銃が壊れなきゃ、私があいつ等をやっつけてたもん……」

 

恐い目に遭ったからこそ、鬼柳の言葉は正しいと感じる。

だがフレアとて自分の決闘に自信を持つ決闘者、そう感じてしまう事がとても悔しかった。

 

「……ちょっと見せてくれ」

 

「え?」

 

フレアが悔しそうに決闘銃を見詰めていると、遊星が手を差し出してくる。

 

「おおそうだ! 遊星に見て貰えよ! 機械を弄らせたらサテライトで遊星の右に出る奴はいない! 何せ俺達の決闘盤から拘束装置まで、全部遊星のオーダーメイドだからな! 満足出来るぜ!」

 

鬼柳の言葉にフレアは感心した様に遊星を見ると、頭を下げて遊星に決闘銃を渡す。

 

「お願いします! お爺ちゃんから貰った大事な決闘銃なの!」

 

遊星は決闘銃を受け取り、細部を見渡す。

その眼は真剣そのものであり、それを見るだけで”その道”に精通した者だという事が分かる。

 

「……これはどうやって決闘盤にするんだ?」

 

遊星がフレアに尋ねると、フレアは操作の説明をする。

フレアに教わった通りに遊星が決闘銃を装着するが、やはり決闘盤に変形しない。

 

「……やはり、普通の決闘盤とは違う……見ただけでは分からない、バラして見なければ……工具がある俺達のアジトに来てくれるか?」

 

「うん! 直してくれるなら!」

 

「おいおい! リーダーは俺だぞ! それに俺んちだ! 勝手に決められたら満足出来ねぇぜ!」

 

 

* * *

 

 

サテライト  チーム”サティスファクション”アジト

 

先程の場所よりも内陸、そこにあるサテライトの居住区。

廃墟と化している建物の中でも、比較的大きなビルの一室。

そこで遊星がフレアの決闘銃を分解して調べていた。

 

「……これだ」

 

「何? 何かあったの?」

 

遊星が決闘銃からパーツチップを一枚取り外すとフレアに渡す。

見るとそのチップは僅かに割れていた。

 

「……詳しい説明は省くが、それは決闘盤を変形させるのに必要不可欠なパーツだ。 それが壊れると、決闘盤を変形させる事が出来ない。 …何処かで強い衝撃を与えなかったか?」

 

「え~と……逃げ回ってる時かな? 良く覚えてないけど……直る?」

 

遊星は立ち上がると、ガラクタ置き場らしき場所から壊れた決闘盤を幾つか取り出す。

その中から比較的外傷が少ない物を選び、フレアの決闘銃の横に並べる。

 

「……CPUは無事だ、それならば何も問題は無い。 決闘盤と同じパーツだから、これの中にあるものを代わりにすればいい」

 

「よかった~~~……」

 

フレアは安堵して椅子に座り込む。

遊星は壊れた決闘盤から無傷のパーツチップを取り出すとフレアの決闘銃に取り付け、決闘銃を元通りに組み上げる。

組み上げた決闘銃を遊星が自分の腕に装着させると、見事に銃から決闘盤へと変形した。

 

「「お~~~!」」

 

フレアと暇そうにしていた鬼柳が感嘆の声を上げる。

遊星は決闘盤を再び決闘銃へと変形させると、何かを思いついたように一笑。

決闘銃のトリガーガードに指を掛け、何回か縦回転させてからホルスターに入れるような動作をしてから決闘銃を机の上に置く。

 

「「おお~~~!!?」」

 

遊星の唐突なガンプレイに、フレアと鬼柳は先程よりも驚きが強い声を上げる。

 

「すごーい! ねえどうやったの!?」

 

「お前そんな事が出来たのか……」

 

「昔、マーサハウスに置いてあった本で読んだ事がある……子供の頃に憧れていてな。 ついやってみたくなってしまった。 …大事な決闘銃をすまない、フレア」

 

さっきまで殆ど無表情だった遊星が、微笑を浮かべながらフレアに謝る。

 

「ううん! 気にしないで! それより私に今の教えて! 私もやってみたいよ~!」

 

フレアが決闘銃を取ろうと机に手を伸ばすが、その手は空を掴む。

フレアが不思議そうに辺りを見渡すと、その決闘銃は天井近くでくるくると回転していた。

その下では鬼柳が間の抜けた顔でそれを見上げている。

 

「……きゃーーー!!?」

 

フレアが慌てて落ちてくる決闘銃に飛びつき、ギリギリで受け止める。

フレアが息を荒くしていると、鬼柳が申し訳無さそうに頭を掻きながらフレアに近づく。

 

「いやわりぃ……難しいもんだなあれ」

 

「気をつけてよ!? また壊れちゃったらどうするの!?」

 

どうやら鬼柳が遊星の様にガンプレイをしようとしたところ、すっぽ抜けて飛ばしてしまったらしい。

 

「……やるなら、それ用の物を作って練習した方がいいな」

 

「いや、俺はもう遠慮しておくぜ。 俺は向いてねぇ、満足に出来ねぇよ」

 

もう興味を失ったのか、鬼柳は手を振って遠慮する。

フレアは一息つくと、ハッと思い出したかのように辺りを見渡した。

 

「…ねえ、そういえばもう一人のいた、背の高い金髪の人は?」

 

「ジャックの事か? あいつがどうかしたか?」

 

「あの人にもお礼が言いたくて……何処にいるの?」

 

「律儀な奴だな。 あいつは帰っちまったが……もしかしたらまだそこら辺ぶらぶらしてるかもな……遊星!」

 

鬼柳が遊星に声を掛けると、遊星はノートパソコンを取り出して起動させる。

 

「……まだ遠くへは行ってないな、ボーリング場の前にいる」

 

「え!? どうして分かるの? それで分かるの?」

 

フレアが不思議そうに遊星のノートパソコンを覗き込むと、画面には大きな地図と、その上に4つの赤い点が表示されていた。

鬼柳が笑いながらフレアの前に決闘盤を翳す。

 

「俺達の決闘盤には発信機が取り付けてある、お互いの位置を知る為にな。 ついでにクロウの居場所も見ておこうぜ……って、あいつまだ家にいやがる! 子供が満足出来ねぇって我侭でも言ってるのか?」

 

「ねえ、ジャックはどれ?」

 

「これだ……そしてこれが俺と鬼柳」

 

遊星が指し示した点は遊星や鬼柳達から少しだけ離れた位置、ここからそう遠くない場所であった。

 

「それじゃあ俺が案内してやるよ。 遊星、留守番頼むぜ」

 

 

* * *

 

 

サテライト 広場

 

「ジャックの奴……動き回ってやがるな、一体どこいったんだか……遊星から遠征用のPDA借りてくるんだったな……お!」

 

ジャックを探し回って数十分、ボーリング場から離れた広場に辿り着いた鬼柳達はようやく広場で佇んでいるジャックを発見する。

 

「おーい! ジャック!」

 

「……鬼柳か、一体何の用だ?」

 

鬼柳に対してジャックが無愛想に対応すると、鬼柳がフレアを前に出す。

 

「こいつがお前に礼を言いたいんだとよ」

 

「……誰だこの小娘は」

 

ジャックの言葉にフレアも鬼柳も思わずよろけてしまう。

どうやらあの時、フレアはジャックの視界に入っていなかったようだ。

 

「あ、あの……さっき変な格好の人達に教われてたの……助けてくれてありがとう!」

 

まだ機嫌が悪いのか、ジャックの周りには重苦しい空気が漂っており、それに押されながらもフレアは頭を下げて礼をする。

 

「……小娘、お前は決闘者か?」

 

「え? うん、そうだけど……後私の名前は―――」

 

フレアは自己紹介をしようとするが、ジャックは、突然決闘盤を展開させてフレアから距離を取る。

 

「あれ? どうしたの?」

 

「小娘、貴様も決闘者なら礼は決闘でしろ」

 

「はは! フレア! ジャックが決闘で満足させろだとよ! ほら頑張りな!」

 

鬼柳はフレアの背を叩いて二人から離れる。

イマイチ状況がつかめないフレアだが、ジャックが自分と決闘したがっている事は解った。

 

「え、えーと……決闘したいのね、うん、分かった!」

 

「今俺は機嫌が悪い……腑抜けた決闘など見せるなよ……」

 

フレアは決闘銃を抜き放ち、装着して決闘盤へと変形させる。

お互いが決闘盤を構え、一声―――――

 

 

「「デュエル!!!」」

 

 

フレアとジャックの決闘が始まる。

先攻はフレア。

 

「私のターン! ドロー!」

 

フレア 手札:5→6

 

「んー……どうしよっかな~……」

 

「ぐずぐずするな! 早くしろ!」

 

「ええ!? ちょっとは待ってくれたっていいじゃん! も~……魔法カード《バレット&カートリッジ》を発動! デッキから1枚ドロー! その後デッキトップからカードを4枚墓地に送って、このカードをデッキトップに乗せるよ! 因みにこのカードをもう一回ドローしたら墓地に送られるからね!」

 

フレア 手札:5→6

 

墓地に送られたカード

・ドリル・シンクロン

・くず鉄のかかし

・レベル・スティーラー

・荒野の大竜巻

 

「よし! 《サンライト・ユニコーン》を召喚!」

 

フレアの場に青く光る一角と、燃えるような青白い鬣を持った白馬が現れる。

 

ATK:1800

 

「サンライト・ユニコーンの効果発動! デッキトップを捲って、それが装備魔法だったら手札に加え、違ったらデッキボトムに送るよ! デッキトップにあるのは《バレット&カートリッジ》! 装備魔法じゃないからデッキボトムね!」

 

「ほう……」

 

バレット&カートリッジは1枚の手札交換と4枚の墓地肥やしを行える優秀なカードだが、下手に使うと次のドローを潰してしまう。

そこでフレアはサンライト・ユニコーンの効果を使う事で、そのデメリットが発生する可能性を大幅に減らした。

フレアの考えられたコンボにジャックは感心を示す。

 

「カードを3枚伏せてターンエンド!」

 

LP:4000

手札:2

モンスター

・サンライト・ユニコーン

魔法・罠

・セット

・セット

・セット

 

「俺のターン! ドロー!」

 

ジャック 手札:5→6

 

「このジャック・アトラス、女子供でも決闘においては容赦せん! 魔法カード《融合》を発動! 手札の《ビッグ・ピース・ゴーレム》と《ミッド・ピース・ゴーレム》を融合!」

 

ジャックの場の空間がねじれると、中から岩で出来た巨大なゴーレムが現れる。

 

「《マルチ・ピース・ゴーレム》を融合召喚!」

 

マルチ・ピース・ゴーレムは地響きを立てて場に降り立ち、フレアに対して立ち塞がる。

 

ATK:2600

 

「ひゃあ~……でっかい……」

 

「バトル!  マルチ・ピース・ゴーレムでサンライト・ユニコーンを攻撃!」

 

マルチ・ピース・ゴーレムがサンライト・ユニコーンに向かって腕を振り下ろすと、サンライト・ユニコーンは何も出来ずに吹き飛ばされてしまう。

 

フレア LP:4000→3200

 

「ふふん! 何も備えてないと思ったら大間違いだよ! 罠カード《奇跡の残照》を発動! このターンに戦闘破壊されたモンスター1体を特殊召喚するよ! 戻って! 《サンライト・ユニコーン》!」

 

フレアの場に光が差すと、その場にサンライト・ユニコーンが再び現れる。

 

ATK:1800

 

「(よーし……次のターンでシンクロしてやっつけて―――)」

 

「愚か者め!!!」

 

「え!?」

 

「この俺がこのターンにもう何も出来ないとでも思ったか! バトル・フェイズを終了し、マルチ・ピース・ゴーレムの効果発動! 戦闘を行ったこのカードをエクストラデッキに戻し、融合素材一組を特殊召喚する!」

 

マルチ・ピース・ゴーレムが姿を消すと、ジャックの場に大きな岩に顔と手足が付いたゴーレム、”ビッグ・ピース・ゴーレム”と、それよりも一回り小さい人型のゴーレム、”ミッド・ピース・ゴーレム”が現れる。

 

ビッグ・ピース・ゴーレム ATK:2100

ミッド・ピース・ゴーレム ATK:1600

 

「ミッド・ピース・ゴーレムの効果発動! 自分の場に《ビッグ・ピース・ゴーレム》が存在する場合に召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから《スモール・ピース・ゴーレム》を特殊召喚出来る!」

 

ビッグ・ピース・ゴーレムとミッド・ピース・ゴーレムが手を組み合って円陣を作ると、その円陣の中からミッド・ピース・ゴーレムよりも一回り小さいゴーレムが飛び出す。

 

ATK:1100

 

ビッグ、ミッド、スモールの3体が揃うと背の低い順の縦一列に並び、気合の入った声を上げる。

 

「な、何か賑やか……」

 

「俺はこのターンに通常召喚を行っていない! 3体のモンスターをリリースし、《神獣王バルバロス》をアドバンス召喚!」

 

3体のゴーレムが光に包まれると、その光の中から大きな槍と盾を持ち、人と獅子を合わせた様な姿の怪物が現れる。

下半身は黒い獅子の体、その首から上に人の上半身が生え、頭に立派な鬣を持った獅子の顔を持つ。

場に降り立ったその怪物はフレアを睨みつけ、凄まじい咆哮を上げる。

 

ATK:3000

 

「アドバンス召喚!? それに3体もリリースするなんて……」

 

「神獣王バルバロスの効果発動! 3体をリリースしてアドバンス召喚に成功した時、相手の場のカードを全て破壊する!」

 

バルバロスが再び咆哮を上げ、衝撃波を放つと、一瞬にしてフレアの場のカードを全て破壊してしまう。

 

破壊されたカード

・サンライト・ユニコーン

・砂塵の大竜巻

・トラップ・ジャマー

 

「そんな~!? 私のカードが……」

 

「お前が考えが手に取るように解る。 蘇生させたモンスターを強力なモンスターへと繋げ、伏せていた”砂塵の大竜巻”と”トラップ・ジャマー”で俺の罠を排除し、マルチ・ピース・ゴーレムを倒す……」

 

ジャックの言葉に、フレアはビクリと体を反応させる。

図星であったようだ。

 

「お前が油断せず、エンドフェイズ時に”奇跡の残照”を発動させていれば、俺はまんまとお前の策に掛かっていただろう……面白いコンボを見せたからと期待していたが、所詮は子供か……カードを伏せてターンエンド!」

 

LP:4000

手札:1

モンスター

・神獣王バルバロス

魔法・罠

・セット(ヘイト・クレバス)

 

「(私……少し手札の流れが良かったからって、調子に乗ってた……ジャックに凄く失礼な事しちゃった……)」

 

フレアは深呼吸をした後、頭をすぐさま切り替え、真っ直ぐにジャックを見据える。

もはや油断の無い、決闘者の顔。

その顔を見てジャックは満足気に笑みを浮かべる。

 

「いいぞ! その顔だ! 来い!」

 

「私のターン! ドロー!」

 

フレア 手札:2→3

 

「魔法カード《二重召喚》を発動! このターン2回の通常召喚が出来るよ! 私はチューナーモンスター《キーマウス》と《荒野の女戦士》を召喚!」

 

フレアの場にキーマウスを肩に乗せた荒野の女戦士が現れる。

 

キーマウス    ATK:100

荒野の女戦士 ATK:1100

 

「行くよ! レベル4《荒野の女戦士》に、レベル1《キーマウス》をチューニング!」

 

キーマウスが首輪の錠に自分の尻尾を差込み開錠させると、一つの光輪へと姿を変え、光輪は荒野の女戦士を囲み、4つの光、そして光の柱へと変える。

 

「荒野を駆ける雷よ! 猛き烈風と交わりて、彼方へ続く地平を駆けよ! シンクロ召喚! いななけ、《サンダー・ユニコーン》!」

 

光の柱から現れたのは、金色の鬣と稲妻の様な一角を持った青い馬。

その青い体には稲妻模様があり、角には常に電流が流れている。

 

ATK:2200

 

「シンクロ召喚か! だがそいつではバルバロスに及ばん!」

 

「及ばないなら及ばせる! それを可能にするのが決闘者! 墓地から《レベル・スティーラー》の効果発動! レベル5以上のモンスター1体のレベルを1つ下げて場に特殊召喚するよ!」

 

サンダー・ユニコーン レベル5→4

 

サンダー・ユニコーンの体を突き抜けて現れたのは大きなテントウ虫。

背中の星マークを光らせ、防御体勢をとる。

 

DEF:0

 

「サンダー・ユニコーンの効果発動! 相手モンスター1体の攻撃力を自分の場のモンスター1体に付き500ポイントダウンさせるよ! 私のモンスターは2体! 《神獣王バルバロス》の攻撃力を1000ポイント下げるよ! 〈サンダー・スクレイプ〉!」

 

サンダー・ユニコーンの角から電撃が放たれると、バルバロスは感電してまともに動けなくなる。

 

ATK:3000→2000

 

「何だと…!?」

 

「バトル! サンダー・ユニコーンでバルバロスを攻撃! 【サンダー・スピアー】!」

 

サンダー・ユニコーンがバルバロスの前まで一気に駆け寄ると、稲妻の様な角で首を一突き。

バルバロスは何も出来ずにその場で倒れる。

 

「バルバロスを倒すとは……」

 

ジャック LP:4000→3800

 

「ターンエンド! まだまだ負けないよジャック!」

 

LP:3200

手札:0

モンスター

・サンダー・ユニコーン

・レベル・スティーラー

魔法・罠

・無し

 

「……成る程、先程の言葉は訂正してやろう! 俺のターン! ドロー!」

 

ジャック 手札:1→2

 

「…だが俺に勝つには10年早い! 相手の場にだけモンスターが存在する場合、《バイス・ドラゴン》の能力を半分にして特殊召喚する!」

 

ジャックの場に現れたのは邪悪な雰囲気を漂わせるドラゴン。

だがその邪悪さはすぐに弱弱しいものとなってしまう。

 

ATK:2000→1000

 

「バイス・ドラゴンをリリース! 《ストロング・ウィンド・ドラゴン》をアドバンス召喚!」

 

バイス・ドラゴンが光に包まれると、その光の中から逞しい筋肉質な体をした緑のドラゴンが現れる。

そのドラゴンは全身に力を漲らせ、フレア達を威嚇する。

 

ATK:2400

 

「またアドバンス召喚……」

 

「ストロング・ウィンド・ドラゴンの効果発動! ドラゴン族をリリースしてこのカードのアドバンス召喚に成功した時、このカードの攻撃力はリリースしたドラゴン族1体の元々の攻撃力の半分の数値分アップする! バイス・ドラゴンの攻撃力は2000! よって攻撃力は―――――」

 

ATK:2400→3400

 

「(元からサンダー・ユニコーンより高いのに……!?)」

 

「バトル! ストロング・ウィンド・ドラゴンでレベル・スティーラーを攻撃!」

 

ストロング・ウィンド・ドラゴンはサンダー・ユニコーンではなく、レベル・スティーラーに向けて炎を吐き出す。

 

「サンダー・ユニコーンじゃないの!?」

 

「ストロング・ウィンド・ドラゴンは貫通能力を持つ! これで終わりだ!  【ストロング・ハリケーン】!」

 

炎がレベル・スティーラーごとフレアを包み込む。

 

「きゃあああ!!!」

 

フレア LP:3200→0

 

ソリッド・ビジョンが消え、決闘終了のアラームが鳴り響く。

フレアはその場に座り込み、一言。

 

「……負けちゃった」

 

「……失態の後、すぐに己を切り替え、見事な反撃に出た事は褒めてやろう……だがまだ甘い。 このジャック・アトラスに隙を見せる事は、即敗北に繋がると思え」

 

ジャックが決闘盤を収めながら歩いてくる。

フレアはすぐに立ち上がると、ジャックに向けて頭を下げる。

上げた顔には、晴れやかな笑顔があった。

 

「ありがとうございました! ジャックのおかげで私、また一つ強くなった気がする!」

 

「フン! 解ればいい。 …キングたるもの、挑戦はいつ何時でも受ける。 精々腕を磨いて、また挑んでくる事だな」

 

「うん! (キング?)」

 

「おう! あっけない決着だったが、意外といい決闘で驚いたぜ! これでフレアの礼は終わったし、ジャックも満足して機嫌が直った! 一件落着だな!」

 

鬼柳が笑いながら二人に対して拍手を送る。

 

「俺の機嫌が直っただと?」

 

「直ってるじゃねぇか」

 

「フム……」

 

ジャックは自分でも不思議に思う程、気持ちが晴々としている事に気付く。

思えばずっとサテライトで殺伐とした決闘を繰り返し、最近では仲間以外に張り合える相手がいなくなり、代わり映えも、張り合いも無い相手ばかりと決闘していた。

そんな中、未熟だが光るものがあり、決闘に対してまっすぐな決闘者”フレア”と決闘した。

張り合いがあった訳でも、心の底から熱くなった訳でもない。

だがジャックになにかしらの”新鮮な刺激”が与えられた事は確かであった。

 

「さてと……ここでフレアに頼みがある。 俺とも決闘しないか?」

 

「鬼柳と?」

 

「おうよ! 決闘を見てるばかりじゃ満足出来ねぇ! 俺とも決闘して一緒に満足しようぜ!」

 

鬼柳はもう我慢出来ないといった様子で決闘盤を展開させる。

フレアは了解の証に展開したままだった決闘盤を再び構え直す。

 

「おっしゃ! それじゃやろうぜ!」

 

フレアと鬼柳がお互いに距離を取ると、決闘盤を構える。

チーム”サティスファクション”リーダー、鬼柳 京介。

リーダーという事はジャックよりも強いかもしれない。

フレアの体に、自然と力が入る。

 

「行くよ! 今度こそ私が勝つからね!」

 

「満足させてくれよ!」

 

 

 

「「デュエル!!!」」

 

 

 

続けて鬼柳とフレアの決闘が始まる。

先攻は鬼柳。

 

「行くぜ! 俺のターン! ドロー!」

 

鬼柳 手札:5→6

 

「まずはこいつ! 俺達の縄張りだ! フィールド魔法《万魔殿(パンディモニウム)-悪魔の巣窟-》!」

 

鬼柳がフィールド魔法を発動させると、辺りの景色が一変する。

そこはおどろおどろしい悪魔の巣窟、 万魔殿。

 

「な、何ここ~…」

 

「地獄の一丁目だ! 続けて……来い! 《ジェネラルデーモン》!」

 

鬼柳の場に現れたのは剣を持った悪魔。

その堂々とした態度、風格はまさに”将軍”と呼ぶに相応しい。

剣先を地面に突き、柄頭に両手を重ねたままフレアを静かに見据えている

 

ATK:2100

 

「カードを2枚伏せてターンエンド! 見てろ俺の決闘を! 押して押して! 押し切ってやるぜ!」

 

LP:4000

手札:2

モンスター

・ジェネラルデーモン

魔法・罠

・セット

・セット

フィールド

・万魔殿-悪魔の巣窟-

 

「私のターン! ドロー!」

 

フレア 手札:5→6

 

「(今度は勝ちたい……もっと注意深くしなきゃ……)」

 

フレアがジャックの決闘で学んだ事、その一つは自分の注意力が欠けていた事。

自分の決闘だけを見ていてはいけない。

相手を見て、隙を与えず、自分が隙を突く、ジャックは自分にそれをやってのけたのだ。

 

「(鬼柳にはどうやってあたろうかな……)」

 

フレアは今さっき言った鬼柳の言葉を思い出す。

 

 

見てろ俺の決闘を! 押して押して! 押し切ってやるぜ!

 

 

「(完全にジャックと同じ、パワーデッキだよね……)」

 

フレアは考える、そんな鬼柳にどう戦うか―――――と言っても、フレアはあまりものを深く考える方ではない。

出した結論も単純明快なものであった。

 

「(私も攻める! 押して押して! 押し切ってやる!)」

 

一見滅茶苦茶な結論にも思えるが、今のフレアにとっては一番有効な策。

攻める気満々の鬼柳を止めるには、先にぶつかって動きを止めるしかないのだ。

”攻撃は最大の防御”、これを信じて、フレアは突撃する。

 

「魔法カード《地割れ》を発動! 《ジェネラルデーモン》を破壊!」

 

フレアの魔法発動と同時に、ジェネラルデーモンが立っている場所が左右に割れると、ジェネラルデーモンがその間に落ちていく。

 

「やってくれるじゃねぇか! なら俺は万魔殿の効果発動! 戦闘以外でデーモンが破壊された時、その破壊されたデーモンのレベル未満のデーモン1体をデッキから手札に加える事が出来る! 俺はレベル3の《トリック・デーモン》を手札に加えるぜ!」

 

鬼柳 手札:2→3

 

「続けて魔法カード《ワン・フォー・ワン》を発動! 手札からモンスターを墓地に送って、デッキ・手札からレベル1モンスターを特殊召喚出来るよ! 私はデッキから《キーマウス》を特殊召喚!」

 

墓地に送ったカード

レベル・スティーラー

 

フレアの場に小さな鍵付き鼠、キーマウスが現れる。

 

ATK:100

 

「またまた魔法カード《死者蘇生》を発動! 鬼柳の墓地の《ジェネラルデーモン》を特殊召喚!」

 

フレアの場に鬼柳のジェネラルデーモンが現れる。

裏切りは将軍としてあるまじき行為だが、あまりにも堂々としている為、最初からフレアのモンスターだったのではないかという気さえしてくる。

 

ATK:2100

 

「ジェネラルデーモン……この裏切り者ー!」

 

「(人のモンスターのコントロールを奪うのって、相手に申し訳ないと思っちゃうけど……これも戦術の為! すぐ返すからごめんね鬼柳) レベル4《ジェネラルデーモン》に、レベル1《キーマウス》をチューニング!」

 

キーマウスが首輪の錠に自分の尻尾を差込み、開錠させると一つの光輪へと姿を変え、光輪は ジェネラルデーモンを囲み、4つの光、そして光の柱へと変える。

 

「十の剣に名を連ねし銃士よ! 立ち塞がる敵を討ち、勝利の号砲を上げよ! シンクロ召喚! 荒野の英雄《X-セイバー ウェイン》!」

 

光の柱から現れたのは、二丁銃剣を構えたウェイン。

場に降り立つと、銃口を鬼柳に向けながら、鋭い眼光で睨みつける。

 

ATK:2100

 

「ウェインの効果発動! シンクロ召喚に成功した時、手札からレベル4以下の戦士族1体を特殊召喚出来るよ! 手札から《首領・ザルーグ》を特殊召喚! 〈セイバーズ・テキサス〉!」

 

ウェインが空に向けて号砲を鳴らすと、隣に二丁拳銃を構えた逞しい眼帯の男が現れる。

その男は幾千の苦難を潜り抜けており、それを成し遂げた者だけが持つ”迫力”を備えている。

 

ATK:1400

 

「ふふ! 本来は敵同士だろうけど、今は荒野のガンマン同士、協力してね! 墓地から《レベル・スティーラー》の効果発動! 《X-セイバー ウェイン》のレベルを1下げて墓地から特殊召喚!」

 

続けてウェインの体を突き抜けて、場にレベル・スティーラーが現れる。

 

ATK:600

 

「(これが全部通れば…!)バトル! ウェインで直接攻撃! 【クロス・バレット】!」

 

「そいつは通さねぇ! 罠カード《ガード・ブロック》を発動! ダメージを0にして1枚ドロー!」

 

鬼柳 手札:3→4

 

鬼柳の前に張られた見えない光の壁に、ウェインの放った2発の銃弾は容易く弾かれてしまう。

 

「(防がれちゃった…)ならせめて! ザルーグで直接攻撃! 【ダブルリボルバー】!」

 

ザルーグが荒っぽく二丁拳銃を放つと、今度は1発は鬼柳に命中し、もう一発は鬼柳の手札を1枚撃ち抜く。

 

「な、何ィ!?」

 

鬼柳 LP:4000→2600 手札:4→3

 

「ザルーグの効果発動! 相手に戦闘ダメージを与えた時、相手の手札をランダムに1枚捨てさせるハンデス、デッキトップから2枚捨てさせるデッキ破壊、どちらかの効果を発動出来るよ! 私はハンデスを選択!」

 

捨てられたカード

プリズンクインデーモン

 

「最後にレベル・スティーラーで直接攻撃!」

 

レベル・スティーラーが飛び上がり、鬼柳目掛けて体当たりをする。

 

「ぐお!」

 

鬼柳 LP:2600→2000

 

「カードを伏せてターンエンド!」

 

LP:4000

手札:0

モンスター

・X-セイバー ウェイン

・首領・ザルーグ

・レベル・スティーラー

魔法・罠

・セット

 

「フフ…ハハハ……いいぜぇフレア! いいじゃねぇかぁ! そうだ……もっと……もっと満足しようぜぇぇぇ!!!」

 

「!? き、鬼柳…?」

 

「俺のターン! ドロー!!!」

 

鬼柳 手札:3→4

 

「《死者蘇生》を発動ォ! 墓地から《プリズンクインデーモン》を特殊召喚!!!」

 

鬼柳の場に現れたのは両手足を拘束された女性のデーモン。

頭の形状が王冠の様になっており、かなり高位なデーモンだという事が分かる。

 

ATK:2600

 

「更に《ジェネティック・ワーウルフ》を召喚!!!」

 

続けて現れたのは4本の腕を持った白い異形のモンスター。

名前からして人狼のはずだが、とてもそうには見えない。

 

ATK:2000

 

「さあ満足しようぜ……その為には……こっちに来いよォ! 装備魔法《堕落(フォーリンダウン)》! 《X-セイバー ウェイン》に装備だ!!!」

 

鬼柳が発動した装備魔法がウェインに装備されると、ウェインの体を黒いオーラが包み込み、ウェインはフレアの場を離れて鬼柳の場へと移ってしまう。

 

「ウェ、ウェイン!? どうして!?」

 

「堕落は俺がデーモンと名のつくカードをコントロールしている限り、装備モンスターのコントロールを得るカードだ! さあ……行くぜぇ! バトル!!! ウェインでザルーグを攻撃ィ!」

 

「させない! 罠カード《荒野の大竜巻》を発動! 表側表示の魔法・罠を破壊! 《堕落》を―――」

 

「させねぇよ! 罠カード《トラップ・スタン》を発動ォ!!! このターン、罠の効果を無効にする!!!」

 

フレアの発動した罠に電流の様なものが流れると、そのまま消滅してしまう。

堕落を破壊できず、ウェインは躊躇無くザルーグを撃ち抜く。

 

「うう……そんな……!?」

 

フレア LP:4000→3300

 

「これで終わりだぁ!!!  ジェネティック・ワーウルフでレベル・スティーラーを!  プリズンクインデーモンでフレアを攻撃ィ!!!」

 

2体のモンスターがレベル・スティーラーとフレアに襲い掛かる。

レベル・スティーラーはジェネティック・ワーウルフに叩き潰され、プリズンクインデーモンは口から紫色の火炎をフレアに向けて放つ。

 

「きゃあああ!!?」

 

フレア LP:3300→1900→0

 

「……ふう……満足……だな」

 

ソリッド・ビジョンが消え、決闘終了のアラームが鳴り響く。

 

「……子供相手に熱くなりすぎじゃないのか?」

 

ジャックが息を整えている鬼柳に近づく。

少し呆れたような表情をしていた。

 

「いや、フレアが想像以上にやるもんだからよ……あれお前とやった時よりも強くなってねぇか? つい熱くなっちまった。 …ていうか、お前だって容赦せん! って言ってのしちまったじゃねぇか」

 

鬼柳がそう言うと、ジャックは目線でフレアを差す。

ワンターンキルを決めようとして、逆に決められてしまうという想像もしなかった結果に、フレアはその場で呆然と立ち尽くしていた。

 

「あー…いやすまねぇ……お前が想像以上に強くてな。 久々の強い相手に、つい熱くなっちまったんだ。 …まあお前がそれ程の奴だって事で満足しようぜ」

 

鬼柳がフレアに声をかけると、フレアはようやく我に返り、両手を振る。

 

「ううん! 気にしないで! 最初にやろうとしたのは私だし……本当はジャックに負けたのがちょっと悔しくて……無理やり勝ちを取りに行ったの。 その結果がこれだから……私まだまだだね!」

 

フレアが笑って返すと、鬼柳も安心したように笑う。

鬼柳も流石に勢いに任せてやりすぎたと気にしていたようだ。

 

「(私……油断はしなかったけど、その分勝つ事に躍起になって……”私の決闘”を忘れちゃってたみたい……難しいな、”強く”なるって……)」

 

フレアは今の決闘での”自分”を見返し、反省をしたところで、次は”相手”について思い返す。

 

「(あれはなんだったの……?)」

 

フレアとの決闘で異様に見える程の高揚を見せた鬼柳。

久々の手強い相手との決闘で興奮してしまうのは仕方が無いかもしれない。

だがフレアはその鬼柳の様子に、はっきりとしないが何処か”危うい”ものを感じていた。

 

「(何だか凄く不安……後で遊星かジャックに聞いてみようかな?)」

 

「……皆」

 

突然聞こえた声に3人が振り向くと、帰りが遅いのを心配して様子を見に来た遊星が立っていた。

 

「あ! 遊星! ありがとう! 決闘銃、ちゃんと動くよ!」

 

「……決闘をしていたのか?」

 

「おう! 驚いたぜ! このフレアがなかなか強いんだ。 せっかくだから遊星も決闘してみろよ! 満足出来るぜ!」

 

鬼柳の言葉を聞いた遊星はジャックに眼を向けると、ジャックは軽く頷く。

 

「……お前達がそこまで認めるなら、俺も手合わせしてみたい……フレア、どうだ?」

 

遊星に問われると、先程の鬼柳と同様に、変形させたままの決闘盤を構えて見せる。

その構えにはこれまでに無い程の自信が溢れていた。

遊星はそれを感じ取ると、微笑を浮かべて距離を取り、決闘盤を展開させる。

 

「(やっと解った気がする……遊星との決闘で、それを”確信”に変えてみせる!)」

 

「いい決闘にしよう……行くぞ、フレア!」

 

 

 

「「デュエル!!!」」

 

 

 

 




な、何とか間に合った……危うく予告詐欺になるところだった……(汗)
ただ”1ターンキルは当分使わない”っていう宣言は破りましたがOTL
先攻後攻でのワンキルじゃないからいいかな~なんて……すいませんm(_ _)m

何か満足同盟を強くしすぎてフリント達が弱く見えるな……調整難しいです……OTL

後リーダーが満足満足うるさいかも(言わせたいという気持ちもありますが…)……原作キャラってオリキャラよりも扱いが難しく感じます。 
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