チーム”サティスファクション”最後の一人、”不動 遊星”とフレアの決闘が始まる。
先攻はフレア。
「(ジャックの時、流れに浮かれて……自分だけを見ていたから、負けた)私のターン! ドロー!」
フレア 手札:5→6
「(鬼柳の時、とにかく勝ちたくて……勝ちを取りに行ったら、自分の決闘が出来なくて……負けた)」
フレアは自分の手札を見る。
それは自分が1枚1枚選び抜いたカード達。
そのカード達で一生懸命考えた戦術、コンボ―――自分が思い描いた決闘が、胸の中で溢れる。
そして上げた視線の先、静かに自分を見据えながら決闘盤を構える”不動 遊星”。
「(自分も、相手も、見失っちゃ駄目……見失わなければ、きっと”勝利”が見えてくる!)モンスターをセット! カードを伏せるよ!」
フレアはすべき行動を終えると、真っ直ぐな―――迷いの無い眼で遊星を見返す。
「(見失わなければ……きっと”カード”は応えてくれる!) ターンエンド!」
LP:4000
手札:4
モンスター
・セット
魔法・罠
・セット
「(いい眼をしている…)俺のターン!」
遊星 手札:5→6
「…おいおい! 気をつけろ遊星! また強くなったみたいだぞ! ジャックがまたやったら負けるかもな!」
「ありえん!!! ……だが、用心する事だな!」
決闘者としての感覚なのか、フレアがまた一つ成長した事を相対している遊星、そして先に決闘した二人も感じ取っていた。
フレアの眼を見た遊星は微笑を浮かべると、手札からカードを1枚抜き出し、召喚を行う。
「《スピード・ウォリアー》を召喚!」
遊星の場に特殊なバトルスーツで身を包んだ戦士が現れる。
ATK:900
その攻撃力は明らかに低い。
いきなり強力な融合召喚を行ったジャックや、下級モンスターでありながら攻撃力2000を越える”ジェネラル・デーモン”を繰り出してきた鬼柳と比べると、遊星はまったく違ったタイプの決闘者である事が分かる。
「(遊星がどんな相手だろうと、私は私の”決闘”をする!)」
「バトル! そしてスピード・ウォリアーの効果を発動! 召喚したターンのバトルフェイズ時、その終了までこのカードの攻撃力を倍にする! 【ソニック・エッジ】!」
ATK:900→1800
スピード・ウォリアーが背中のジェットパックと足のローラーを起動させ、高速で間合いを詰めると、逆立ちからの強烈な回し蹴りを放ち、セットモンスター”巨大ネズミ”を蹴り飛ばす。
「攻撃力が跳ね上がった…! でもただじゃやられないよ! 巨大ネズミの効果発動! 戦闘破壊された時、デッキから攻撃力1500以下の地属性モンスターを1体特殊召喚するよ! 私は2体目の《巨大ネズミ》を特殊召喚!」
蹴り飛ばされた巨大ネズミが消滅すると、その場に別の巨大ネズミが現れる。
その姿は正に巨大なネズミ。
二足で直立すれば、その身長はフレアと並ぶ。
ATK:1400
「……リクルーターか、厄介だな」
「ふふ! 1匹見たら30匹はいると思ったほうがいいよ!」
「それはゴキブリだ!!!」
外野のジャックが大声でツッコミを入れる。
余談だが、彼の住処にはゴキブリがよく現れるらしい。
「カードを2枚伏せてターンエンド」
LP:4000
手札:3
モンスター
・スピード・ウォリアー
魔法・罠
・セット
・セット
「私のターン! ドロー!」
フレア 手札:4→5
「チューナーモンスター《キーマウス》を召喚!」
フレアの場にキーマウスが現れると、巨大ネズミの背を駆け上がり、その頭の上に乗る。
ATK:100
「レベル4《巨大ネズミ》に、レベル1《キーマウス》をチューニング!」
キーマウスが首輪の錠に自分の尻尾を差込み開錠させると、一つの光輪へと姿を変え、光輪は巨大ネズミを囲み、4つの光、そして光の柱へと変える。
「大地の痛みを知る傷だらけの戦士よ! その健在を示せ! シンクロ召喚! 不屈の戦士! 《スカー・ウォリアー》!」
光の柱から現れたのは屈強で、傷だらけの戦士。
その右足は義足で、包帯でがんじがらめにされた右腕には手首が無く、その先には短剣が括りつけられている。
ATK:2100
「シンクロ召喚か…!」
「行くよ! バトル! スカー・ウォリアーで攻撃! 【
「そうはさせない! 罠カード《パワー・フレーム》を発動! 攻撃を無効にし、このカードを《スピード・ウォリアー》に装備!」
スカー・ウォリアーがスピード・ウォリアーに短剣を突き立てようとするが、突然スピード・ウォリアー を囲む様に現れた結界に弾かれてしまう。
「このカードを装備したモンスターの攻撃力は、攻撃モンスターの攻撃力との差分だけアップする!」
スカー・ウォリアー ATK:2100
スピード・ウォリアー ATK:900→2100
「スカー・ウォリアーと同じ攻撃力に……私はこれでターンエンド!」
LP:4000
手札:4
モンスター
・スカー・ウォリアー
魔法・罠
・セット
「俺のターン!」
遊星 手札:3+1
「永続魔法《騎士道精神》を発動! このカードがある限り、俺のモンスターは同じ攻撃力のモンスターとの戦闘では破壊されない……バトル! スピード・ウォリアー! 【ソニック・エッジ】!」
スピード・ウォリアーがスカー・ウォリアーに向かって飛び蹴りを放つが、スカー・ウォリアーはそれを難なく受け止める。
「何…!?」
「私の攻撃を難なく防いで、反撃に出る……遊星ならそうしてくるって読んでたよ! スカー・ウォリアーの効果! 1ターンに1度、戦闘では破壊されないよ! 残念だったね!」
「…成る程、そちらの方が1枚上手だったな。 モンスターをセット、カードを伏せてターンエンド」
LP:4000
手札:1
モンスター
・スピード・ウォリアー
・セット
魔法・罠
・パワー・フレーム
・セット
・騎士道精神
・セット
「私のターン! ドロー!」
フレア 手札:4→5
「チューナーモンスター《ドリル・シンクロン》を召喚!」
「ドリル・シンクロン…! (そうか……フレアもシンクロンの使い手か)」
フレアの場にドリル・シンクロンが現れる。
そのチューナーモンスターの登場に、遊星は反応を見せた。
「バトル! スカー・ウォリアーでセットモンスターを攻撃! 【勇敢な短剣】!」
セットモンスター:ダメージ・イーター DEF:800
スカー・ウォリアーがセットモンスターに向かって跳び掛かると、セットモンスター”ダメージ・イーター”を斬り裂き、その時に発生した余波が遊星に向かう。
遊星はそうなる事を解っていたのか、いち早く防御体勢を取る。
「ぐっ…!」
遊星 LP:4000→2700
「(? 遊星、ドリル・シンクロンの貫通効果を知ってるのね) ドリル・シンクロンの効果により、遊星に貫通ダメージ! そしてそれが通った事により1枚ドロー!」
フレア 手札:4→5
「カードを伏せてターンエンド!」
LP:4000
手札:4
モンスター
・スカー・ウォリアー
・ドリル・シンクロン
魔法・罠
・セット
・セット
「俺のターン!」
遊星 手札:1→2
「(…今の手札ではスカー・ウォリアーを倒す事は出来ない、ならば……) バトル! スピード・ウォリアーでドリル・シンクロンを攻撃! 【ソニック・エッジ】!」
スピード・ウォリアーがドリル・シンクロンに向かって跳び上がると、落下の勢いに合わせて脚を振り下ろし、ドリル・シンクロンを蹴り砕く。
「うぅ……ごめんね、ドリル・シンクロン……(少しだけ待ってて)」
フレア LP:4000→2700
「モンスターをセット、カードを伏せてターンエンド」
LP:2700
手札:0
モンスター
・スピード・ウォリアー
・セット
魔法・罠
・パワー・フレーム
・セット
・騎士道精神
・セット
・セット
「ここ! エンドフェイズ時に罠カード《奇跡の残照》を発動! このターンに戦闘破壊された《ドリル・シンクロン》を特殊召喚!」
フレアの場に光が差すと、そこに蹴り砕かれたはずのドリル・シンクロンが姿を現す。
ATK:800
「…やるな、ここまで出来るとは……ふふ、燃えてきた!」
決闘盤を構え直し、フレアに笑みを見せる遊星。
まだ会ったばかりでクールな遊星しか知らなかったフレアは、その笑みに軽く驚いたと同時に、嬉しいとも感じた。
「(遊星……クールに見えるけど、本当は”熱い決闘者”なんだね)」
決闘は言葉以上に多くを語る。
”決闘者”は、決闘の中でお互いを感じあう事が出来るものなのだ。
二人は今、お互いの”熱い魂”を強く感じている。
「(解る……遊星が……私が…………今までに無いくらい、強く感じる……私は今―――)」
「私のターン! ドロー!」
フレア 手札:4→5
ずっと昔から、意識をしなくても持っていたはずの”心”。
だけど、持っていた事に気付かなかった、大事な”心”。
絶対にこの”心”を忘れたりはしない――――そう誓ったフレアは、手札からカードを取り出す。
お互いのLPは互角、だがカード・アドバンテージと流れはフレアにある。
今こそ、フレアは”自分”を信じ、”カード”を信じて、”
「《マグナム・リリィ》を召喚!」
フレアの場に現れる鉄砲百合。
”もっとマシなカードがあるんじゃないか?”、このカードを見る者の多くはそう考え、拍子抜けして力を緩めるであろう。
しかし、相対している遊星の表情は変わらない。
何故なら遊星もフレアと同様、どんなカードにも存在する”可能性”を信じているからである。
ATK:1100
「レベル3《マグナム・リリィ》に、レベル3《ドリル・シンクロン》をチューニング!」
ドリル・シンクロンがドリルをを回転させ、自身を3つの光輪へと姿を変えるとマグナム・リリィを囲み、3つの光、そして光の柱へと変える。
「荒野に生まれし螺旋の槍よ! 希望の道へと突き進め! シンクロ召喚! 大地の戦士! 《ドリル・ウォリアー》!」
光の柱から現れたのは、大きなドリルを持った大地の戦士、 ドリル・ウォリアー。
黄色いマフラーをなびかせ、ドリルの回転音を鳴らしながら場に降り立つ。
ATK:2400
「ドリル・ウォリアーか……」
「魔法カード《バレット&カートリッジ》を発動! デッキから1枚ドロー! その後デッキトップからカードを4枚墓地に送って、このカードをデッキトップに乗せるよ!」
フレア 手札:3→4
墓地に送られたカード
荒野の女戦士
地割れ
火縄光線銃士
スキル・サクセサー
「永続魔法《連合軍》を発動! 自分の場の戦士族の攻撃力は自分の場の戦士族・魔法使い族の数×200ポイントアップするよ! 今は戦士が2体! 攻撃力400ポイントアップ!」
スカー・ウォリアー ATK:2100→2500
ドリル・ウォリアー ATK:2400→2800
「更に装備魔法《一角獣のホーン》を《ドリル・ウォリアー》に装備! 攻守を700ポイントアップ!」
装備魔法がドリル・ウォリアーに装備されると、ドリル・ウォリアーの鋼鉄のドリルが、生物の角の様な物へと変わる。
ATK:2800→3500
「攻撃力3500…!?」
「バトル! ドリル・ウォリアーでスピード・ウォリアーを攻撃! 【ドリル・ランサー】!」
ドリル・ウォリアーが角の様なドリルを回転させ、スピード・ウォリアーを貫く。
「ぐうっ…! スピード・ウォリアー…」
遊星 LP:2700→1300
「続けてスカー・ウォリアー! セットモンスターに【勇敢な短剣】!」
スカー・ウォリアーがセットモンスター、”シールド・ウォリアー”に跳びかかり、身を守る隙も与えずに短剣で仕留める。
「シールド・ウォリアー…」
「遊星……行くよ! 罠カード《スター・シフト》を発動! 自分の場のシンクロモンスター1体をエクストラデッキに戻して、戻したモンスターと同じレベルのシンクロモンスター1体をエクストラデッキから効果を無効にして特殊召喚するよ! レベル5《スカー・ウォリアー》をデッキに戻して、同じレベル5の《サンダー・ユニコーン》を特殊召喚!」
フレアが罠を発動させると、スカー・ウォリアーが姿を消し、その後にサンダー・ユニコーンが場に躍り出る。
ATK:2200
「これで最後! サンダー・ユニコーンで遊星に直接攻撃! 【サンダー・スピアー】!」
サンダー・ユニコーンが角に電気を纏わせ、遊星目掛けて突進する。
遊星のLPは1300、これが通ればフレアの勝利である。
だが、またしても遊星の表情は揺るがない。
自分にカードが残されている限り、彼は諦めはしない。
「罠カード《ガード・ブロック》を発動! ダメージを0にし、俺はカードを1枚ドローする!」
突進するサンダー・ユニコーンの前に見えない障壁が現れ、サンダー・ユニコーンの行く手を阻む。
遊星 手札:0→1
「防がれちゃった…(やっぱり、遊星達って凄い決闘者なんだ…!) バトル終了! ここでドリル・ウォリアーの効果発動! 手札を1枚捨てて、このカードを自分のスタンバイフェイズ時まで除外するよ!」
ドリル・ウォリアーがドリルを鋼鉄製に戻すと、地面に向けて突き立て、そのまま地中深くへと潜っていく。
捨てたカード
砂塵の騎士
「この時、ドリル・ウォリアーに装備していた《一角獣のホーン》の効果発動! 場から墓地に送られた時、デッキトップにこのカードを置くよ! …遊星! 私負けないよ! ターンエンド!」
LP:2700
手札:1
モンスター
・サンダー・ユニコーン
魔法・罠
・連合軍
「フレア、お前が持つ決闘への思い……見事だ。 おそらく、これが俺のラストターンとなるだろう……だが」
遊星はデッキトップに指を掛け、勢いよく引き抜く。
「…俺も負けるつもりは無い! 勝負だフレア!」
遊星 手札:1→2
後少しというところまで遊星を追い詰めたフレア。
しかも、その後の布陣は油断の無い見事な物であった。
その中枢を担うのはドリル・ウォリアー。
遊星がモンスターを並べて場を固めようとも、ドリル・ウォリアーは攻撃力を半減させて相手に直接攻撃をする事が出来る効果を持つ。
デッキトップに戻した一角獣のホーンと併用すれば、遊星のLPを削りきる事が出来るのだ。
遊星の手に攻撃を阻害するカードが無い為、これを防がれる事はないだろう。
更にドリル・ウォリアーは除外されている為、このターン中の除去は非常に難しい。
そのような状況で遊星が勝利する方法は一つ、それはこのターン中にフレアのLPを削りきる事。
本人の言う通り、これが遊星のラストターンであった。
「(カード達……俺に応えてくれ!)」
遊星は引いたカードを確認する。
この瞬間、遊星の中で”光差す道”が出来上がった。
”光差す道”―――――それは遊星が見出す”勝利”への確信である。
「魔法カード《調律》を発動! デッキからシンクロンと名の付くチューナー1体を手札に加え、デッキをシャッフルし、その後デッキトップからカードを1枚墓地へと送る! 俺は《ジャンク・シンクロン》を手札に加え、デッキトップからカードを墓地に送る!」
墓地に送られたカード
ロードランナー
「チューナーモンスター《ジャンク・シンクロン》を召喚!」
遊星の場に現れたのは、ジャンクパーツで構成された小柄の機械戦士。
その首に巻かれた白いマフラーをなびかせながら、勇ましく構える。
ATK:1300
「ジャンク・シンクロンの効果発動! 召喚に成功した時、墓地からレベル2以下のモンスター1体を守備表示で特殊召喚する事が出来る! 来い! 《ダメージ・イーター》!」
ジャンク・シンクロンが隣の場に手をかざすと、その場から黄色い幽霊の様な悪魔が現れ、防御体勢を取る。
DEF:800
「更に永続罠《エンジェル・リフト》を発動! 墓地からレベル2以下のモンスターを特殊召喚する! 来てくれ! 《スピード・ウォリアー》!」
遊星の場に、再びスピード・ウォリアーが現れる。
ATK:900
「(モンスターが一気に3体……合計レベル7のシンクロ召喚かな?)」
「レベル2《ダメージ・イーター》に、レベル3《ジャンク・シンクロン》をチューニング!」
ジャンク・シンクロンが背中に背負っているエンジンをかけると、姿が3つの光輪へと変わる。
その3つの光輪がダメージ・イーターを囲むと、2つの光、そして光の柱へと変える。
「集いし星が、新たな力を呼び起こす! 光さす道となれ! シンクロ召喚! いでよ! 《ジャンク・ウォリアー》!」
光の柱から現れたのは、ジャンク・シンクロンと同様、白いマフラーと機械の体を持った戦士。
場に降り立つと、ナックルダスターを着けたその大きな右腕をフレアに向かって突き出して構える。
これこそ遊星のマイフェイバリット・カード、 ”ジャンク・ウォリアー”である。
ATK:2300
「(やっぱりシンクロ召喚! …でもレベル5? じゃああのスピード・ウォリアーは…?)」
「ジャンク・ウォリアーの効果発動! シンクロ召喚に成功した時、このカードの攻撃力は自分の場に存在するレベル2以下のモンスターの攻撃力を合計した数値分アップする! 俺の場にはレベル2、攻撃力900のスピード・ウォリアーがいる。 よってジャンク・ウォリアーの攻撃力は900ポイントアップする! 〈パワー・オブ・フェローズ〉!」
スピード・ウォリアーの体から光が放たれると、その光はジャンク・ウォリアーを包み込む。
ATK:2300→3200
「攻撃力が…!? でもそれじゃまだ私を倒す事は出来ないよ!」
「確かに、ジャンク・ウォリアーとスピード・ウォリアーだけでは勝利を掴めない……だが、まだ俺にはカードがある! …どんなカードでも、存在する以上必ず意味がある。 それを一つ一つ信じ、”絆”で繋いでいけば……必ず”勝機”は見えてくる!」
「カードを……”絆”で……」
遊星の言葉はフレアの”心”の隅々まで響き渡る。
これこそが遊星の”信念”、その”心”にフレアは言葉では表せないような感動を覚えた。
「罠カード《ギブ&テイク》を発動! 俺の墓地にあるモンスターを相手の場に守備表示で特殊召喚し、特殊召喚したモンスターのレベル分だけ自分の場のモンスター1体のレベルを上げる! フレアの場にレベル1の《ロードランナー》を特殊召喚し、《ジャンク・ウォリアー》のレベルを1つ上げる!」
フレアの場にブーツを履いた愛らしい小鳥が現れ、防御体勢を取る。
DEF:300
ジャンク・ウォリアー レベル5→6
「あ! 可愛い~! ……じゃなくて! どうして私の場に……」
「全てはこのカードの為の布石……永続魔法《ドミノ》を発動!」
「……ドミノ? あの、物を並べて倒していく……?」
「バトル! スピード・ウォリアーでロードランナーを攻撃! …フレア、これが”ドミノ”だ」
スピード・ウォリアーがロードランナーに急接近して捕まえると、そのまま横にいるサンダー・ユニコーンに向かって投げつける。
投げられたロードランナーはサンダー・ユニコーンの顔側面に激突し、サンダー・ユニコーンはふらついた後、ドミノ牌の様にパタリ、と横に倒れてしまう。
「えー!? 嘘!? どういう事!?」
「ドミノの効果……相手のモンスターを戦闘破壊した時、自分のモンスター1体を墓地に送る事で相手のモンスターを1体破壊する! ロードランナーを戦闘破壊したスピード・ウォリアーを墓地に送り、《サンダー・ユニコーン》を破壊する!」
スピード・ウォリアーが姿を消すと、サンダー・ユニコーンは倒れたまま、ロードランナーは投げられた事を怒りながら、それぞれ消滅する。
「これで最後だ! ジャンク・ウォリアーで直接攻撃! 【スクラップ・フィスト】!」
ジャンク・ウォリアーがジェット・パックを点火させ、上空へと飛び上がると、右拳をフレアに向けて急降下する。
その時、ジャンク・ウォリアーが発したオーラが右腕に集中し、巨大な拳の形となってフレアを襲う。
「……!!? これが……遊星の力……」
フレア LP:2700→0
ソリッドビジョンが消え、決闘終了のアラームが鳴り響いた。
負けてしまったが、満足したような様子のフレアに、遊星が近づく。
「…ここまで熱くなれたのは久しぶりだった。 いい決闘をありがとう、フレア」
「…こっちこそ! 遊星! ジャック! 鬼柳! 本当に……本当に”楽しい決闘”をありがとう!」
フレアは3人を見渡した後、空を見上げる。
そこには曇り空が広がっているが、それを見上げるフレアの”心”には”青空”が広がっていた。
フレアはその思いを抱きしめる様に、胸に手を当てる。
「(そう……これが”決闘”……勝っても、負けても、最後には”この気持ち”があるから……だから、私は”決闘”が大好き…!)」
「おいおい、まだ満足するには早ぇぞ! まだ一人残ってんだからよ! その後はまた俺だ! さらに強くなったお前で満足させてくれよ!」
「後一人? まだメンバーがいるの?」
首を傾げるフレアに、ジャックが思い出したかの様に、再び憤る。
「そうだ! クロウはまだ来ないのか! あいつが来ないせいで予定が狂い、遠征のはずが雑魚の残党狩りになってしまったのだ!」
「遊星、留守番中にクロウは来なかったのか?」
「来てないな、だが今なら来てるかもしれない。 戻ろう………フレア?」
遊星がフレアに目を向けると、フレアは何かを思い出そうと必死になっている。
「クロウ……クロウ……鬼柳、遊星、ジャック……チーム……あーーー!!?」
思い出したのか、大声を上げるフレア。
他の3人は驚いて一歩下がる。
「な、何だ!? どうした?」
「思い出した……ウェストが言ってた伝説のチーム……」
少し前、遊んでいる時にウェストが眼を輝かせながら語っていた。
多くのデュエル・ギャングがはびこるサテライト、そこへ急に現れた4人組み。
その4人は僅か一年足らずでサテライトを制覇した伝説のチーム、”サティスファクション”。
メンバーの名は遊星、ジャック、クロウ、そしてリーダーの鬼柳。
知っていたはずなのに、クロウを除く全員が目の前にいて、しかも決闘していた事に、フレアはまったく気付いていなかった。
「へぇ、俺達も有名になったもんだ! そんな遠くまで名が届いてるなんてな! だけどまだまだ満足出来ねぇぜ! 俺達の伝説はまだ続く!」
「当然だ! 俺達の事、そしてキングたるこの俺を知らぬ方が可笑しいのだ!」
「フッ……」
フレアからその話を聞いて、3人は満更でもない様子。
「まあ思い出したなら解るだろうが、うちにはまだ一人いる。 そいつが来てるかもしれねぇから一旦アジトに戻るぜ!」
鬼柳の言葉に従い、4人はアジトへの帰路についた。
* * *
サテライト チーム”サティスファクション”アジト
「すっかり日が暮れてきたね」
4人がアジトに戻る間に、曇り空とサテライトの街は赤く染まり始めていた。
それを見たジャックが軽く舌打ちをする。
「まだろくに準備もしていない……今日の遠征は完全に無理だな」
「まあそう言うなよジャック、今日はフレアと決闘出来たって事で満足しようぜ」
「それに、フレアのはぐれた仲間も探さなければ……向こうも心配しているだろう」
ぼやくジャックに宥める鬼柳。
そして、フレアの事情を気に掛けてくれる遊星。
そんな会話をしながらアジトに入ると、扉の前にある壊れたソファーにクロウが座っていた。
「あ! お前等何処に行ってたんだよ?」
「それはこっちの台詞だ! お前こそ何処へ行っていた! お前が来ないせいで予定が狂ったのだぞ!」
案の定、ジャックがクロウに掴みかかる。
「わ、悪かったって! 実は今日、子供達と買い物に行く約束があったのをすっかり忘れちまっててな、とっとと済ましてお前達に合流しようと思ってたんだがよ……”ゴーレム”の残党が出て来てな」
「やはり遭っていたのか、無事だったか?」
「おう! 子供達を連れて逃げ切ってやったぜ!」
クロウに身を案じる遊星に、クロウは笑って返す。
「だけど途中でリリとはぐれちまってな、他の子供達を帰した後に探し回ってたんだけどよ、そこで面白い奴に―――」
「あなたがクロウ?」
鬼柳の後ろからフレアがひょっこりと顔を出す。
「あ? 誰だお前―――」
「フレア!? 無事だったか!」
すると突然、人が来る気配を感じ取り、咄嗟に階段の影に隠れていたフリントが姿を現し、フレアの名を呼ぶ。
「フリント! もー! 心配したんだから!」
「お? フリント何でそんなとこにいるんだよ? …後、こいつが探してたフレアか! 見つかってよかったじゃねぇか! ……って、なんでそのフレアがお前達と一緒に……!? まさかお前等!」
「何を勘違いしている! このジャック・アトラスがそんな事をするはずが無かろう!」
「……一旦、お互いの情報を整理しよう」
クロウとジャックを遊星が宥め、お互いに何があったのか伝え合う。
「それは大変だったな、しかし”ゴーレム”の残党を一人で凌ぎきるとは……やるな」
「ああ……だがあの時、フレアが別の連中に追われていたとは……正直肝を冷やしたぞ。 鬼柳、ジャック、遊星、心から感謝する」
称賛を送る遊星に、フリントは少し疲れたような様子で答える。
フレアに何かあったら、自分はデュエル・ギャングよりも恐ろしいギャングから命を狙われるかもしれないのだ。
フリントは心の中で今一度、チーム”サティスファクション”のメンバーに深く感謝する。
「それにしてもクロウ、お前だけ白星ついて無いじゃねぇか。 そんなんじゃ満足出来ねぇぜ?」
「わかってらぁ! 次は俺が勝つからな!」
「その前に私とやろうよ! 同じ黒星同士!」
鬼柳にからかわれて闘志を燃やすクロウに、フレアが決闘銃を構えて決闘に誘う。
「俺は負けてねぇよ! だがいいぜ! 手加減しねぇからな!」
「まて、今日はもう止めておいた方がいい。 フレアもフリントも、今日は走り回って疲れただろう?」
アジトから出て行こうとするクロウとフレアを、遊星が呼び止める。
決闘を前に意気揚々としていたフレアだが、遊星に言われて思い出したかのように脚を押さえる。
「そういえば脚痛い……お腹も減った~!」
「…まあ、急いでる訳じゃねぇし、万全な体調の時にやった方がいいもんな」
「そう言うこった! それじゃあ飯にするか! 飯食って満足しようぜ! …っと、そういえばお前等、行く当てはあるのか?」
鬼柳がフリントに尋ねると、フリントはフレアに目を向ける。
何故なら、今回の旅行の日程は全てフレアがクラッシュと相談して決めていたからだ。
「ううん、無いよ」
「何…!? クラッシュは何も手配していないか?」
「うん、自分で何とかしろって。 これも勉強だ、って言ってた」
フリントは天を仰ぐように天井を見上げる。
孫娘がどうなってもいいのか、そう思ったフリントの口から溜息が洩れた。
「……まったく、大した教育だ。 …そういえばクラッシュは何時迎えに来ると言っていた?」
「分かんない、今日中か、数日後か、売れ行き次第だって」
「………済まない鬼柳、フレアだけでもお前達の所で暫く置いてやってくれないか?」
「へへ! 何言ってんだよ! お前も来いよ! 皆で満足しようぜ! よろしくな!」
こうしてサテライトに暫く滞在する事となったフリント達。
荒野とは違う”荒廃した世界”で、フリントとフレアは何を見るのか。
「(……少なくとも、退屈はしなさそうだ)」
サテライト編はまだもう少し続きます。
実はどれ位やろうか考えてないんですよね(汗)
なのでクラッシュは作者が満足したら迎えに来ると思います(笑)