遊戯王5D's ~荒野のデュエリスト~   作:鬼柳高原

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第63話 別れ ~フリント~

 1発、2発、3発、接合部分など脆い箇所を狙い、機皇帝にカードを撃ち込んで行く。服やマント、帽子など、あらゆる場所に(カード)を仕込んである。弾切れの心配は殆ど無いだろう。

 フリントは駆ける。瓦礫だらけの荒廃した大地を、機皇帝の攻撃を掻い潜りながら。

 

「(もう少し……っ!?)」

 

 インフィニティを守る要塞の前まであと少しという所で、直前の地面の底からグランエルが飛び出してくる。

 フリントは既に向けられている砲口から逃れる為に急ブレーキを掛け、回避しようとする。

 

「フリント! 右からもだ!」

「!?」

 

 フリントは右方向へ避けようとしていたが、聞こえてきた声に咄嗟に反応し、無理やり後方へと飛ぶ。

 

「ぐっ!? ……スキエルか」

 

 砲撃は二方向から。地面から出て来た正面のグランエルと、右方向から砲撃してきたスキエルである。

 フリントは声が聞こえてきた方向へ向くと、決闘銃を握り締めた遊星が走って来ているのが見えた。フリントは遊星に手招きをすると、近くにある瓦礫で隠れたクレーターの中へと飛び込んだ。遊星もそれに続いた。先程の攻撃で大量の砂煙が上がっているので、広範囲のレーダー等を持たない機皇帝達では簡単には見つけられないだろう。

 

「フリント! 無事か!?」

「……遊星、何故来た?」

「決闘盤はある。決闘は出来る」

「だが切り札が無い。落ち着け遊星」

「……解っているさ、解っている」

 

 切り札が使えないのも解っている。フリントの様に体を張って戦う力が無いのも解っている。しかし、抑え切れないものが遊星の中にはあった。

 

「……フリント、俺は足手纏いか?」

「そうではない。ここはお前が戦うべき場所で無いだけだ。焦るんじゃない」

「フリントッ!!!」

「!?」

 

 弾けた様に突然声を荒げる遊星。それに面食らうフリントを置いて、遊星は言葉を続ける。

 

「お前は、何時も友の為に立ち上がる。それに多くの友が救われてきた。勿論、この俺もだ」

「遊星……?」

「俺はお前を尊敬している。そんなお前の力になりたい。ずっとそう思ってきた。だがな……俺に何が出来た!? 俺は……何時もお前に対して何も出来なかった!」

 

 遊星はその場に膝を付き、拳で地面を殴る。次の言葉が吐き出されるまで、何度も、何度も。

 

「何時だってそうだ! ジャックがサテライトを出た時も、クラッシュタウンでの戦いでも……お前は皆の為に戦い、傷付き、倒れた」

 

 俯く遊星の目に涙が溜まる。

 

「俺は……俺は何をやっていたんだ!? 何時だって近くにいたはずなのに、俺はただお前が倒れるのを見ていただけだ!」

 

 顔を上げ、遊星が立ち上がる。ここまでの戦いと流れた涙によって化粧が剥がれ、隠していたマーカーが浮き出し始める。

 

「そして……お前はまた戦いに赴く。俺は……またお前が傷付くのを見ているだけ……もう嫌なんだ、そんなのは!」

「遊星……」

「フリント……惨めだ……お前の力になれない……俺は……!」

 

 遊星は力任せに頬を拭う。涙と共に化粧は完全に剥がれ、マーカーの付いた何時もの顔がはっきりと表れた。

 

「フリント! 確かに”シグナー”である俺は足手纏いだ。Dホイールが無いからアクセル・シンクロは使えない、他の皆もいないからセイヴァー・ドラゴンも呼べはしない……だが!」

 

 決闘銃を変形させ、腕に装着。腰からスタンディング用のデッキを取り出し、フリントの前に差し出してみせる。

 

「俺は必ず限界を超えてみせる! ”揺るがなき境地”の先、”スピードの世界”をも超えてみせる! 俺は……いや、俺達は何時だってそうしてきた!」

 

 差し出したデッキを掲げて見せた後、決闘盤に収納する。

 

「頼むフリント! 俺はお前の力になりたい! 俺をシグナーではなく、友として……”一人の決闘者”として信じてくれ!」

「……フ、フフ」

 

 揺るがなきその瞳をフリントに向け、胸に拳を当てる遊星。フリントは遊星の真っ直ぐな瞳を見詰めた後、苦笑する。

 

「……焦っていたのは、俺の方か」

「フリント?」

「焦るあまり、大事なものを置いて行こうとした。フレアの心、お前の心……」

 

 そう言った後、今度はフリントの方が俯いてしまう。

 

「遊星、お前は俺達の”英雄”だ……その英雄は正しく、俺の”友”だったのだ……」

 

 その時、遊星達のいるクレーターの上から数体の機皇帝が頭部パーツを覗かせる。砂煙が殆ど収まったおかげで、視界が良好となった機皇帝達が二人を見つけ出したのだ。

 

「……遊星、俺が突破口を開き、足止めをする。その隙にお前が”インフィニティ”を叩け」

「! ……ああ!」

 

 遊星が頷くのを確認すると、フリントは砲口をこちらへ向けようとしていた機皇帝達のアイセンサーに向かって弾を放つ。

 アイセンサーを破壊された機皇帝達が怯みを見せると、二人は一気に駆け出し、機皇帝達の間を抜けた。

 

「行け遊星! 必ずインフィニティを破壊してくれ!」

「任せてくれ!」

 

 フリントはインフィニティへと駆け出す遊星の背を見送ると、機皇帝達に対して構えを取る。

 

「(俺よ、フリントよ。俺の友を甘く見るな。遊星ならば越えられる。世界の壁を、シグナーの壁を!)」

 

 

 * * *

 

 

「(フリント……お前は、そこにいるのか?)」

 

 ゴースト氾濫事件以来、遊星はフリントが何処か遠くにいる様に感じる事が多々あった。信じると言ったものの、それだけは絶対に無くなることはなかった。

 

「(お前はこのまま、遠くへ行ってしまうのか? 俺達の前からいなくなってしまうのか?)」

 

 走り続けた遊星は、とうとうインフィニティの前に辿り着く。その大きさは元の世界で見たインフィニティと同じであり、要塞というだけあって物々しい雰囲気に包まれている。

 遊星は要塞の門へと向かい、門からちょうど決闘を行う位の距離で立ち止まった。

 

「(……行ってしまうのが、どうした? 簡単な事じゃないか)」

 

 遊星は決闘盤を構えると、決闘システムをインフィニティにリンクさせる。すると、要塞を中心に地響きが起こり、今までで一番強い憎悪の叫びが遊星を襲った。

 

 

グァァァ……オオオ…………ウオォォォォォォーーーー!!!

 

 

「くっ!?」

 

 負けじと遊星は脚に力を入れ、デッキから5枚のカードを引き抜いた。

 

「(フリントが何処かへ行ってしまうのなら、俺達が何処までも行けばいい! そうさ、絆は……断ち切れはしない!)」

 

 

 

「 デュエル!!! 」

 

 

 

 遂に始まった、遊星によるインフィニティ攻略戦。決闘が始まった瞬間、遊星と要塞の間に波紋が広がる。

 

「これは……フィールド魔法の発動?」

 

 遊星が決闘盤で調べると、決闘が始まる前から場にフィールド魔法が発動されていた。まるでライディング・デュエルの《スピード・ワールド》の様に。

 

フィールド魔法

機動要塞フォルテシモ

 

「(特殊ルールか……敵地へ乗り込んだのはこちらだ。望むところだ!)」

 

 遊星が覚悟を決めると、いよいよ決闘が始まる。先攻はインフィニティ。

 

 インフィニティ 手札:5→6

 

 インフィニティのターンが始まると、要塞の中から2体のロボットが姿を現す。片方は小さいワイゼル。もう片方は小さいスキエルと言った見た目をしている。

 

 機皇兵ワイゼル・アイン ATK:1800→1900

 機皇兵スキエル・アイン ATK:1200→1400

 

「(機皇兵? アイン? 小型化された機皇帝か? しかも2体……自身の効果か、このフィールドの効果か?)」

 

 2体のロボットを出動させた後、インフィニティは永続魔法2枚と通常魔法《機皇帝の賜与》を発動し、カードを伏せてターンを終了する。

 

 インフィニティ 手札:0→2

 

LP:4000→4500

手札:2

モンスター

・機皇兵ワイゼル・アイン

・機皇兵スキエル・アイン

魔法・罠

・魔法吸収

・補給部隊

・セット

フィールド

・機動要塞フォルテシモ

 

「俺のターン!」

 

 遊星 手札:5→6

 

「(《魔法吸収》……厄介なカードを出してきた)」

 

 魔法吸収は魔法が発動する度にLPを500回復する永続魔法。魔法を多用する遊星のデッキでは、長期戦は免れない。

 

「(こうしている間にも、フリントは戦っている。相手の力は未知数だが……ぐずぐずはしていられない!) 魔法カード《調律》を発動! デッキからシンクロン1体を手札に加え、デッキトップからカードを1枚墓地へ送る! 手札に加えるのは《ジャンク・シンクロン》!」

 

 墓地へ送られたカード

 ソニック・ウォリアー

 

 インフィニティ LP:4500→5000

 

「《シンクロン・キャリアー》を召喚!」

 

 遊星の場に現れたのは、背中にクレーンを背負ったロボット。場に降り立つと、目の前の地面に穴を開け、そこにクレーンのフックを垂らす。

 

 ATK:0 レベル2

 

「このモンスターが場に存在する限り、俺は通常召喚に加えてもう1度だけシンクロンを召喚出来る! 《ジャンク・シンクロン》を召喚! ジャンク・シンクロンの効果により、墓地のレベル2モンスター1体の効果を無効にし、守備表示で特殊召喚! 《ソニック・ウォリアー》!」

 

 シンクロン・キャリアーがクレーンでフックを巻き上げると、フックを引っ掛けられ、吊り上げられたジャンク・シンクロンが現われ、同じ穴から緑の装甲を纏った戦士が飛び出す。共にここまで遊星を支えてきた戦士達が、場に降り立った。

 

 ジャンク・シンクロン ATK:1300 レベル3

 ソニック・ウォリアー DEF:800 レベル2

 

「(シンクロキラーを恐れるな。思い出せ、ライディングでの戦いを……)」

 

 アクセル・シンクロモンスターは、圧倒的なスピードで機皇帝を引き離し、スピードの世界を駆け抜ける――――そう、大事なのは機皇帝に触れさせない”スピード”なのである。それはライディングでも、スタンディングでも変わりはしない。

 

「(スタンディングでも見つけてみせる。限界を超えた俺の”スピード”を!) レベル2《ソニック・ウォリアー》に、レベル3《ジャンク・シンクロン》をチューニング!」

 

 ジャンク・シンクロンが背中のリコイルスターターを引っ張り、エンジンを起動させると、3つの光輪へと姿を変える。その光輪がソニック・ウォリアーを囲み、2つの光、そして光の柱へと変える。

 

「集いし星が、新たな力を呼び起こす。光さす道となれ! シンクロ召喚! いでよ、《ジャンク・ウォリアー》!」

 

 光の柱から遊星のエースアタッカー《ジャンク・ウォリアー》が姿を現す。

 

 ATK:2300 レベル5

 

「ここで《シンクロン・キャリアー》の効果発動! このモンスターが存在し、自身以外のシンクロンが機械族、戦士族のシンクロ召喚の素材となって墓地へ送られた場合、自分の場に《シンクロン・トークン》を特殊召喚する!」

 

 シンクロン・キャリアーが再び穴へフックを降ろし、ジャンク・シンクロンが背負っていたエンジンによく似たトークンを吊り上げる。

 

ATK:1000 レベル2

 

「更に墓地へ送られた《ソニック・ウォリアー》の効果発動! 自分の場の全てのレベル2以下のモンスターの攻撃力を500アップする!」

 

 シンクロン・キャリアー ATK:0→500

 シンクロン・トークン ATK:1000→1500

 

「ジャンク・ウォリアーの効果発動! このカードの攻撃力は、自分のレベル2以下の

モンスターの攻撃力の合計分アップする! 〈パワー・オブ・フェローズ〉!」

 

 2体のシンクロンから光が放たれ、その光はジャンク・ウォリアーに吸収される。

 

 ATK:2300→4300

 

「(ここだ! ここを駆け抜け、最大パワーを叩き込む!) 速攻魔法《スクラップ・フィスト》を発動!」

 

 インフィニティ LP:5000→5500

 

 遊星の魔法が発動されると、ジャンク・ウォリアーの右腕が輝きを放つ。

 ジャンク・ウォリアーの技と同じ名を冠する速攻魔法《スクラップ・フィスト》とは、モンスターと戦闘を行うジャンク・ウォリアーに5つの強力な効果を付与する一撃必殺のカード。

 今回遊星が目的にしているのは“相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。”と“相手が受ける戦闘ダメージは倍になる。”という2つの効果。戦闘に入ればジャンク・ウォリアーを止められるものは無く、相手を倒せば一撃で大量のLPを削り取るダメージを与える事が出来るのだ。

 

「(戦闘に入れば、もうジャンク・ウォリアーに追い付く事は出来ない!) バトル! スキエル――――ッ!?」

 

 遊星がバトルフェイズに移行する瞬間、要塞の前に伏せられたカードが展開される。それを見た遊星は悔しそうに目を細めた。

 

「(《スピリットバリア》……自分の場にモンスターが存在する限り、戦闘ダメージを0にする永続罠……簡単には行かないか)」

 

 一撃必殺のコンボをあっさり封じられてしまった遊星だが、素早く気持ちを切り替え、攻撃を命ずる。

 

「ジャンク・ウォリアーでワイゼル・アインを攻撃! 【スクラップ・フィスト】!」

 

 ジャンク・ウォリアーの拳によって粉々に粉砕されるワイゼル・アイン。しかし、それによって発生したダメージの衝撃波は、要塞を守る光の障壁によって防がれてしまった。

 

インフィニティ 手札:2→3(補給部隊の効果により)

 

「シンクロントークンでスキエル・アインを攻撃!」

 

 どう見てもただのエンジンにしか見えない物体がスキエル・アインに向かって自力で飛んでいくと、その頭部を押しつぶす様に命中し、スキエル・アインは爆発を起して消滅してしまう。そんな中でも、シンクロントークンは無傷であった。

 とてつもなくシュールな光景。遊星は前にも1度、この光景を作り出した事があった事を思い出す。双子やフレアから笑いが上がり、相手のクロウから突っ込みが飛んできた、昼下がりの噴水広場、ミニ決闘大会――――シグナーとしての戦いに勝ち抜き、シティを統一してやっと手に入れたはずだった、熱き夢の合間の穏やかな日々であった。

だが、今は違う。爆煙の中で動く影がその様な幻想を許さず、遊星を緊張の中にある現実へと引き戻す。

 

 機皇兵ワイゼル・アイン ATK:1800 レベル4

 

「(スキエル・アインはリクルーターか……)俺はカードを2枚伏せ、ターンエンド!」

 

LP:4000

手札:1

モンスター

・シンクロン・キャリアー

・ジャンク・シンクロン

・シンクロントークン

魔法・罠

・セット

・セット

 

 インフィニティ 手札:3→4

 

 インフィニティのターンが始まると、要塞からスキエル・アインと、グランエルを小型化した新たな機皇兵が現れる。

 

機皇兵スキエル・アイン ATK:1200→1400 レベル4

機皇兵グランエル・アイン ATK:1600→1700 レベル4

 

「(今度はグランエル……一体どんな力が?)」

 

 グランエル・アインが場に降りると、両腕の砲口から虹色の波動を放つ。波動がジャンク・ウォリアーに命中すると、ジャンク・ウォリアーは勢いよく地面に叩きつけられた。

 

 ATK:4300→2150

 

「ジャンク・ウォリアー!? 攻撃力が……何だ!?」

 

 新たなる機皇兵に驚くのも束の間、要塞から巨大な物体が飛び出す。

 それは3つの“∞”が重なり出来た“*”の一文字。機皇帝のコア。そのコアから長い尾が伸びており。その姿はまるで“龍”の様であった。

 

 機皇神龍アステリスク ATK:0 レベル10

 

「何だこのモンスターは……こんな機皇帝は見たことがない!?」

 

 遊星が驚愕の表情でその龍を見上げていると、アステリスクはコアから無数の触手を伸ばす。

 

「(ジャンク・ウォリアーを吸収する気か――――何!?)」

 

 伸ばされた触手の標的はシンクロモンスターのジャンク・ウォリアーではなく、なんと味方であるはずの機皇兵達。次々と捕らえると、コアの中へと吸収して行く。

 

「な、何故自軍のモンスターを!?」

 

 機皇兵3体を喰らい終えたアステリスクの体は、禍々しいオーラに包まれた。

 

 ATK:0→4600

 

「(何という事だ……こいつはシンクロモンスターではなく、“機皇”を、同族を食らう!)」

 

 最後に待ち構えた恐ろしき門番。機皇帝達が近づいて来ないのが、これが理由なのではないかと思えてしまう。

 食事を終えたアスタリスクは遊星の場へ向くと、龍らしい強大なブレスを放ち、ジャンク・ウォリアーを跡形もなく吹き飛ばす。

 

「うわぁぁぁ!? ジャンク・ウォリアー!?」

 

 遊星 LP:4000→1550

 

 アステリスクが攻撃を終えると、インフィニティはシンクロモンスターを破壊した事で速攻魔法《グリード・グラード》を発動させ、2枚ドロー。その後、カードを2枚伏せターンを終了させる。

 

LP:5500→6000

手札:0

モンスター

・機皇神龍アステリスク

魔法・罠

・魔法吸収

・補給部隊

・スピリットバリア

・セット

・セット

フィールド

・機動要塞フォルテシモ

 

「(成程、あの機皇は“獣”だ)」

 

 あらゆる能力を駆使する機皇帝達と比べ、この機皇神龍は力を付け殴るだけという、余りにも乱暴かつ単純な能力を持つ。それを見た遊星はアステリスクを“獣”と表した。

 

「俺のターン!」

 

 遊星 手札:1→2

 

「(とりあえず、奴にはシンクロキラーの能力は無さそうだ。ならば!) チューナーモンスター《ロード・シンクロン》を召喚!」

 

 遊星の場に、脚がローラーとなっている金色おロボットが現れる。

 

 ATK:1600 レベル4

 

「レベル2《シンクロン・キャリアー》と、レベル2《シンクロントークン》に、レベル4《ロード・シンクロン》をチューニング!」

 

 ロード・シンクロンが4つの光輪へと姿を変えると、2体のシンクロンを囲み、4つの光、そして光の柱へと変える。

 

「集いし希望が、新たな地平へ誘う……光差す道となれ! シンクロ召喚! 駆け抜けろ! 《ロード・ウォリアー》!」

 

 光の柱から金色のアーマーに包まれた戦士が現れる。決闘者を“光差す道”へと導く高貴なる騎士、“ロード・ウォリアー”である。

 

 ATK:3000 レベル8

 

「行くぞ! ロード・ウォリアーの――――う、うおお!?」

 

 ロード・ウォリアーが場に降り立ち、遊星が指示を出そうとした瞬間、突然遊星を巨大な竜巻が包み込む。吹き荒れる風の中には凄まじい電撃と、あの“叫び”が混じっていた。

 

「うわぁぁぁ!?」

 

 遊星 LP:1550→550

 

風と雷による体へのダメージと、叫びによる心へのダメージが遊星を同時に襲う。

竜巻が消えると、遊星は息を切らせながらその場に膝を突いた。

 

「(な、何だ今のは……? アステリスクの効果か?)」

 

 決闘盤の表示ではやはり“効果ダメージ”。伏せカードも発動していないため、アステリスクの効果に違いない。

 

「(ロード・ウォリアーをシンクロ召喚した瞬間に発動した……そうか、油断していた)」

 

 遊星は確信する。やはりこいつも“シンクロキラー”なのだと。

 

「(だが、既に俺は動き出している!) ロード・ウォリアーの効果発動! 1ターンに1度、デッキからレベル2以下の戦士族、または機械族を1体特殊召喚出来る!」

 

 ロード・ウォリアーが背中のマントの様な装甲を取り外すと、それを砲の様に正面に構え、金色の光線を場に向かって放つ。

 

「《ブースト・ウォリアー》を特殊召喚!」

 

 光線の中から背中にX字のジェットパックを背負った戦士が現れ、光線の上を滑る様にして場に降り立つ。

 

 DEF:200 レベル1

 

「ブースト・ウォリアーが場に存在する限り、自分の場の戦士族の攻撃力を300ポイントアップさせる!」

 

 ロード・ウォリアー ATK:3000→3300

 

「バトル! ロード・ウォリアーでアステリスクを攻撃!」

 

 ロード・ウォリアーがアステリスクに向かって飛び掛ると、アステリスクは先程のブレスを放って迎え撃つ。

 

「罠カード《シンクロ・ストライク》! シンクロモンスター1体の攻撃力を、そのシンクロ素材1体につき500ポイントアップさせる! ロード・ウォリアーの素材は3体、よって1500ポイントアップ! 行け! [ライトニング・クロー]!」

 

 ATK:3300→4800

 

 ブレスに飲まれたロード・ウォリアーは腕の先から金色のオーラを放ち、自身を包み込んでブレスから身を守る。ブレスを完全に防ぎ切ったロード・ウォリアーはその状態のまま突撃し、爪でアステリスクを引き裂く。アステリスクはドラゴンらしい悲鳴を上げながら崩れ落ち、消滅した。

 

 インフィニティ 手札:0→1(補給部隊の効果により)

 

「よし! カードを伏せてターンエンド!」

 

LP:550

手札:0

モンスター

・ロード・ウォリアー

・ブースト・ウォリアー

魔法・罠

・セット

・セット

 

インフィニティ 手札:1→2

 

インフィニティのターンに入ると、インフィニティは手札から魔法カードを発動する。

 

魔法カード《悪夢再び》

 

インフィニティ LP:6000→6500

 

その効果により、墓地から守備力0の《機皇兵ワイゼル・アイン》と《機皇神龍アステリスク》がインフィニティの手札に加わる。

 

インフィニティ 手札:1→3

 

「手札に……まさか、また召喚する気か!?」

 

インフィニティは伏せていたカードを発動させる。

 

永続罠《リビングデッドの呼び声》

 

 それにより墓地から《機皇兵ワイゼル・アイン》が特殊召喚され、更に手札に加えたワイゼル・アイン、そしてスキエル・アインがそれぞれ要塞から特殊召喚、召喚される。

 

機皇兵ワイゼル・アイン ATK:1800→2000 レベル4

機皇兵ワイゼル・アイン ATK:1800→2000 レベル4

機皇兵スキエル・アイン ATK:1200→1600 レベル4

 

 「くっ……機皇兵が3体……!」

 

 遊星の予想通り、再び要塞の中からアステリスクが姿を現し、機皇兵達を喰らい尽す。

 

 ATK:0→4800

 

 先程よりも強力になったアステリスクが、ロード・ウォリアーに向かってブレスを放つ。

 

「罠カード《ガード・ブロック》! ダメージを0にし、デッキから1枚ドロー!」

 

 遊星 手札:0→1

 

 ロード・ウォリアーは遊星の前で仁王立ちすると、ブレスを受け止めて消滅する。

 

「すまない……ロード・ウォリアー……」

 

LP:6500

手札:0

モンスター

・機皇神龍アステリスク

魔法・罠

・魔法吸収

・補給部隊

・スピリットバリア

・リビングデッドの呼び声

・セット

フィールド

・機動要塞フォルテシモ

 

 インフィニティがターンを終了させるも、遊星は動かない。相手は大量のLPにアステリスク、こちらはレベル1のブースト・ウォリアーにたった550のLP。あまりにも差がありすぎる。

 

「(諦めはしない。だが、今のLPではシンクロ召喚が出来ない……成程、これはやはり、新しい形の“シンクロキラー”だ)」

 

 圧倒的なパワーとシンクロに反応するバーンダメージ。これらを駆使してLPを削り取り、シンクロを封じる。シンクロによる逆転劇を得意とする遊星には有効的過ぎるコンボであった。

 

「(やはり、ここを切り抜けるにはシンクロしか無いのか? いや、他に無いか? 他に――――)」

「遊星! 迷うな!」

 

 突然聞こえてきた声い振り返ると、そこには機皇帝達を足止めしていたフリントが機皇帝達を相手に立ち回りつつ、遊星い向かって叫んでいた。

 

「フリント!? 大丈夫か!?」

「俺は平気だ!」

 

 銃を撃ちながら叫ぶその顔には血が流れており、服やマントも所々破け、血が滲んでいる。とても平気には見えないが、フリントの動きは鋭いままであり、先程までよりも多い機皇帝達相手に一歩も引けを取らない。

 

「お前が勝つには、シンクロ召喚しかあるまい!」

「しかし……!」

「駆け抜けろ!」

 

 その言葉の後、砂煙によってフリントの姿が見えなくなる。

 

「フリント……ああ! 俺のターン!」

 

 遊星 手札:1→2

 

「魔法カード《魔力の泉》! 相手の場の表側表示の魔法・罠の数だけドローし、自分の場の表側表示の魔法・罠の数だけ手札を捨てる! 相手の場には5枚、自分の場にはこのカードのみ! よって俺は5枚ドローし、1枚を捨てる!」

 

 遊星 手札:1→6→5

 捨てたカード

 ロード・ランナー

 

 インフィニティ LP:6500→7000

 

「この手札は……」

「遊星、“軌跡”を思い出せ!」

 

 フリントが砂煙の中から姿を現す。

 

「軌跡?」

「機皇帝との戦いの中、多くの苦悩があったはずだ! そんな中で、お前はお前なりの“答え”を出そうと必死だった!」

 

 その言葉に遊星は頷く。アクセルシンクロに辿り着くまで、どれ程の試行錯誤が繰り返されてきたことか。

 

「まだ生きている“答え”があるはずだ! お前が積み上げてきた時は決して無駄ではない! 探し出せ! 通り過ぎた“可能性”は、この時の為にあったのだ!」

「この時の為……(俺が出した……答え……)」

 

 遊星は辿る、己の軌跡を。ナスカの地、プラシドとの決闘、ゴーストの氾濫、チーム・カタストロフ。記憶を巡り、辿り着いたのは――――チーム・ユニコーン。

 

「……そうか! そして、このカードと、この手札!」

 

 遊星は場と手札を確認した後、決闘盤を構え直す。

 

「俺は出していた! このシンクロキラーと戦う為の“答え”を! 手札から《ジャンク・ジャイアント》を特殊召喚!」

 

 遊星の場に現れたのは、4本腕の巨大なロボット。その内の上2本はドリルとなっており、要塞に向かって力強く構える。

 

 ATK:2000 レベル6

 

「ジャンク・ジャイアントは相手の場にレベル5以上のモンスターが存在する場合、手札から特殊召喚する事が出来る! そしてチューナーモンスター《異次元の精霊》を通常召喚!」

 

 続けて遊星の場に愛らしい姿をした精霊が現れる。

 

 ATK:0 レベル1

 

「レベル6《ジャンク・ジャイアント》と、レベル1《ブースト・ウォリアー》に、レベル1《異次元の精霊》をチューニング!」

 

 異次元の精霊が光輪へと姿を変えると、2体を囲み、7つの光、そして光の柱へと変える。

 

「集いし願いが、新たに輝く星となる。光差す道となれ! シンクロ召喚! 飛翔せよ! 《スターダスト・ドラゴン》!」

 

 光の柱から姿を現したのは、遊星の象徴とも言えるエースモンスター“スターダスト・ドラゴン”。光の粒子を舞い散らせながら場に降り立つ。

 

 ATK:2500 レベル8

 

 スターダストが現れた瞬間、再び“叫び”が遊星を襲うが、ダメージを与える竜巻は起きなかった。

 

「ぐっ……! ジャンク・ジャイアントが素材となったシンクロ召喚は無効にならず、相手は召喚成功時に魔法・罠・モンスター効果を発動出来ない!」

 

 遊星はそう言った後、手札から1枚のカードを取り出す。

 

「(俺と共に、もう一度戦ってくれ!) 魔法カード《ミラクルシンクロフュージョン》を発動! 場と墓地から融合素材を除外し、シンクロモンスターを素材とする融合召喚を行う! 場の《スターダスト・ドラゴン》と、墓地の《ジャンク・ウォリアー》を融合!」

 

 インフィニティ LP:7000→7500

 

 墓地からジャンク・ウォリアーが姿を現すと、スターダストと共に空間の渦に飲み込まれる。

 

「現れよ! 融合召喚! 《波動竜騎士 ドラゴエクィテス》!」

 

 渦の中心から現れたのは、鎧を纏った竜の騎士。大きなジャベリンを構え、鋭い眼光でアステリスクを睨みつける。

 これこそ、遊星が対シンクロキラーとして見つけた答えの一つ、“波動竜騎士 ドラゴエクィテス”である。

 

 ATK:3200 レベル10

 

 ドラゴエクィテスは攻撃表示の場合、相手による効果ダメージを跳ね返す能力を持つ。アクセルシンクロを身に付けた事で忘れ去られていた存在であったが、アステリスクを相手にするならばこちらの方が適任であろう。

 

「(これでシンクロキラーは封じた! 後は攻めるのみ!) 装備魔法《ファイティング・スピリッツ》を《波動竜騎士 ドラゴエクィテス》に装備! 相手のモンスター1体につき、300ポイント攻撃力をアップする!」

 

 遊星が装備魔法を発動すると、ドラゴエクィテスのジャベリンに光の帯が巻きつく。

 

 ATK:3200→3500

 

 インフィニティ LP:7500→8000

 

「バトル! ドラゴエクィテスで攻撃! 【スパイラル・ジャベリン】!」

 

 ドラゴエクィテスがジャベリンをアスタリスクに向かって投擲すると、アステリスクも同時にブレスを放つ。

 

「伏せていた速攻魔法《イージー・チューニング》を発動! 墓地のチューナー1体を除外し、その攻撃力を場のモンスター1体に加える! 墓地の《ロード・シンクロン》を除外し、その攻撃力1600をドラゴエクィテスに加える!」

 

回転しながらブレスへと一直線に飛ぶジャベリンを4つの光輪が囲み、そのまま吸収される。

 

 ATK:3500→5100

 

 インフィニティ LP:8000→8500

 

ジャベリンがブレスを掻き消し、アステリスクのコアを貫いて爆散させる。

 

インフィニティ 手札:0→1(補給部隊の効果により)

 

「よし! カードを伏せてターンエンド!」

 

LP:550

手札:0

モンスター

・波動竜騎士 ドラゴエクィテス

魔法・罠

・ファイティング・スピリッツ

・セット

 

 再びアステリスクを退けた遊星。しかし、インフィニティは変わらずターンを開始する。

 

 インフィニティ 手札:1→2

 

 魔法カード《マジック・プランター》

 

 インフィニティはマジック・プランターの効果により、残されていた《リビングデッドの呼び声》を墓地へ送って2枚ドローする。

 

インフィニティ 手札:1→3

 

インフィニティ LP:8500→9000

 

魔法カード《悪夢再び》

 

手札に戻すカード

機皇兵ワイゼル・アイン

機皇神龍アステリスク

 

インフィニティ LP:9000→9500

 

「何だと!?」

 

 まさに遊星にとって悪夢が再び訪れる。インフィニティはまたもやアステリスクを召喚しようというのだ。

 

 魔法カード《アイアンコール》

 

 インフィニティ LP:9500→10000

 

 インフィニティは要塞から2体のワイゼル・アインを繰り出した後、警報を鳴らし、更なるワイゼル・アインを墓地から呼び出す。

 

機皇兵ワイゼル・アイン ATK:1800→2000 レベル4

機皇兵ワイゼル・アイン ATK:1800→2000 レベル4

機皇兵ワイゼル・アイン ATK:1800 レベル4

 

 そして餌の匂いに釣られる様にアステリスクが姿を現し、ワイゼル・アイン達を喰らう。

 

 ATK:0→5400 レベル10

 

「5400……!?」

 

 機皇兵の中で一番攻撃力の高いワイゼル・アイン3体を喰らったアステリスクがドラゴエクィテスに向かってブレスを放つ。

 ドラゴエクィテスはジャベリンで受け流して破壊から免れるが、受け流したブレスの余波が遊星へと降り掛かる。

 

「くうっ……! 《ファイティング・スピリッツ》を代わりに破壊することでドラゴエクィテスの戦闘破壊を無効にする!」

 

 遊星 LP:550→250

 

 波動竜騎士 ドラゴエクィテス ATK:5100→4800

 

 何とか破壊を防いだものの、パワーダウンして膝を突く ドラゴエクィテス。アステリスクはそれを嘲笑うかの様に悠々と場の空を泳いでいた。

 

LP:10000

手札:0

モンスター

・機皇神龍アステリスク

魔法・罠

・魔法吸収

・補給部隊

・スピリットバリア

・セット

フィールド

・機動要塞フォルテシモ

 

「(ここまでなのか? 俺は……)」

 

 ”シンクロキラー”を攻略出来ても、”不死身のアステリスク”が攻略出来ない。ここに来て遊星の心が失速を始める。

 

「これが限界なのか……?」

「そうだ。それが限界だ」

 

 後ろを振り向くと、さっきまで機皇帝と戦っていたフリントが後ろに立っている。その後ろを見ると、機皇帝達は全て瓦礫の一部となっていた。

 

「フリント……」

「だが、お前は何時だって限界を超えてきた。そうだろう?」

 

 フリントは遊星の横に立ち、空のアステリスクを見上げる。

 

「限界とは”過去”だ。己が積み上げてきた力の結晶。それを全力で乗り越えるのが”現在”であり、その先が”未来”だ。……遊星、お前の”過去”の結晶が、この竜騎士だ」

 

 フリントは ドラゴエクィテスへと視線を移す。 ドラゴエクィテスは膝を突きながらもアステリスクを見上げ、睨みつけている。その眼はまだ諦めていない者の眼であった。

 

「遊星よ、Dホイールが無くとも、スピードの世界でなくとも、”揺るがなき境地”は何時だって己の中にある」

「己の中に……」

「お前はまだ”アクセルシンクロ”入口に立ったに過ぎない。”道”を創り出せ。己の中に」

 

 一歩下がり、遊星の後ろに立つフリント。遊星は右拳を胸に当て、目を閉じる。

 

「積み上げてきた”過去”……」

 

 ドラゴエクィテスが立ち上がる。

 

「全力で乗り越える”現在”……」

 

 アステリスクが浮遊を止め、遊星達を見下ろす。

 

「そして、その先にある”未来”……」

 

 遊星は目を開け、後ろにいるフリントへと振り向く。

 

「築き上げてきた”過去”、己が立つ”現在”、何処までも続いていく”未来”、全てを心で繋ぎ、1本の”道”と化す! 走り出せ、遊星!」

「……俺のターン!」

 

 遊星 手札:0→1

 

「魔法カード《貪欲な壺》を発動! 墓地から5体のモンスターをデッキに戻してシャッフル! そして2枚ドロー!」

 

 デッキに戻したカード

 シンクロン・キャリアー

 ロード・ウォリアー

 ロード・ランナー

 ブースト・ウォリアー

 ジャンク・ジャイアント

 

 遊星 手札:0→2

 

 インフィニティ LP:10000→10500

 

「永続罠《エンジェル・リフト》を発動! 墓地からレベル2以下のモンスター1体を攻撃表示で特殊召喚する! 来い、《異次元の精霊》! そして《チューニング・サポーター》を通常召喚!」

 

 遊星の場に異次元の精霊とチューニング・サポーターが同時に現れる。

 

  異次元の精霊 ATK:0 レベル1

  チューニング・サポーター ATK:100 レベル1

 

「魔法カード《機械複製術》を発動! 場の攻撃力500以下の機械族と同名のカードをデッキから2体まで特殊召喚する!」

 

  チューニング・サポーター ATK:100 レベル1

  チューニング・サポーター ATK:100 レベル1

 

 インフィニティ LP:10500→11000

 

「レベル1《チューニング・サポーター》に、レベル1《異次元の精霊》をチューニング!」

 

  異次元の精霊が光輪へと姿を変えると、チューニング・サポーターを囲み、1つの光、そして光の柱へと姿を変える。

 

「集いし願いが、新たな速度の地平へ誘う! 光さす道となれ! シンクロ召喚! 希望の力、シンクロチューナー、《フォーミュラ・シンクロン》!」

 

 光の柱から現れたのは、レーシングカーに頭部と四肢を付けたロボットが現れる。遊星がアクセルシンクロを行うために呼び出すシンクロチューナー”フォーミュラ・シンクロン”である。しかし、それを行う為の素材である”スターダスト・ドラゴン”はゲームから除外されてしまっている。

 

 ATK:100 レベル2

 

「フォーミュラ・シンクロンの効果発動! シンクロ召喚に成功した時、デッキから1枚ドローする!」

 

 遊星 手札:0→1

 

 遊星がドローした瞬間、アステリスクによる竜巻が発生する。

 

「ドラゴエクィテスが場に攻撃表示で存在する限り、相手による自分への効果ダメージを相手に与える! 〈ウェーブ・フォース〉!」

 

 ドラゴエクィテスが腕から波動を放つと、竜巻が掻き消え、要塞全体に空気の波紋が広がる。

 

 インフィニティ LP:11000→10000

 

「そしてシンクロ素材となったチューニング・サポーターの効果により、もう1枚ドロー!」

 

 遊星 手札:1→2

 

「(まだだ……もっと先へ!) チューニング・サポーターはシンクロ素材とする時、レベル2として扱う事が出来る! レベル2と1の《チューニング・サポーター》に、レベル2の《フォーミュラ・シンクロン》をチューニング!」

 

  フォーミュラ・シンクロンが2つの光輪へと姿を変えると、チューニング・サポーター達を囲み、3つの光、そして光の柱へと姿を変える。

 

「集いし願いが、更なる速度の地平を駆ける! 光さす道となれ! シンクロ召喚! 無限の可能性、シンクロチューナー、《アクセル・シンクロン》!」

 

 光の柱から、遊星号を連想させるデザインのバイクに頭部と四肢を付けたロボットが現れる。

 

 ATK:500 レベル5

 

 新しいシンクロモンスターが現れた事によりアステリスクが竜巻を発生させるが、再びドラゴエクィテスが波動で掻き消し、ダメージを反射させる。

 

 インフィニティ LP:10000→9000

 

「チューニング・サポーター2体の効果により、2枚ドロー! ……どうやら、シンクロキラーの能力は制御出来ないようだな」

 

 遊星 手札:2→4

 

「手札を1枚捨て、装備魔法《D・D・R》を発動! 除外されている俺のモンスター1体を特殊召喚し、このカードを装備する! 来い、《ジャンク・ウォリアー》!」

 

 捨てたカード

 スキル・サクセサー

 

 遊星の場の空間が歪むと、そこからジャンク・ウォリアーが現れる。

 

 ATK:2300 レベル5

 

 インフィニティ LP:9000→9500

 

 ジャンク・ウォリアーが特殊召喚された事でアステリスクが竜巻を発生させるが、またしてもドラゴエクィテスに掻き消され、ダメージを返される。

 

 インフィニティ LP:9500→8500

 

 遊星は場のアクセル・シンクロンとジャンク・ウォリアーを見渡し、目を閉じる。

 

「(イメージしろ……戦ってきた”過去”を、戦っている”現在”を、そして……俺達の信じる”未来”を!)」

 

 過去、現在、未来。3つの光景をイメージし、強い思いと共にそれ等を一つにして”道”を創り上げる。その瞬間――――”道”に風が吹き、心に雫が落ちた。

 

「(風は……俺と共にある!)……クリア・マインド! レベル5シンクロモンスター《ジャンク・ウォリアー》に、レベル5シンクロチューナー《アクセル・シンクロン》をチューニング!」

 

  アクセル・シンクロンが5つの光輪へと姿を変えると、上空に飛び上がり、光の道を創り出す。

 

「集いし力が拳に宿り、鋼を砕く意志と化す! 光さす道となれ! ……アクセルシンクロォォォーーーー!!!」

 

 ジャンク・ウォリアーが光の道へと飛び込んだ瞬間、道は光の柱となり、遊星ごとジャンク・ウォリアーの姿を消す。

 

「……見事だ、遊星」

 

 フリントがそう呟いた瞬間、光の柱が場に突き刺さり、中から遊星とスターダスト・ドラゴンを模したアーマーを纏う戦士が現れる。

 

「現れろ、《スターダスト・ウォリアー》!!!」

 

 ATK:3000 レベル10

 

 不動 遊星、新たなる進化。スタンディングによるアクセルシンクロから生まれた新たなるアクセルシンクロモンスター、”スターダスト・ウォリアー”である。

 

「スターダスト・ウォリアー……俺の、新たなる力」

 

 遊星が輝きを放って宙に浮くスターダスト・ウォリアーを見上げていると、性懲りもなくアステリスクが竜巻を放ち、ドラゴエクィテスにダメージを返されている。

 

 インフィニティ LP:8500→7500

 

「機皇神龍……スターダスト・ウォリアーがお前を撃ち砕く! スターダスト・ウォリアーで攻撃! 【スターフォール・フィスト】ォ!」

 

 スターダスト・ウォリアーが飛び上がり、アステリスクに向かって急降下、両拳を突き出してオーラを集中させると、アステリスクを右拳で殴りつける。

 

「手札から《ラッシュ・ウォリアー》を墓地に送り効果発動! 自分の”ウォリアー”シンクロモンスターが戦闘を行うダメージ計算時のみ、その攻撃力を倍にする! 砕け!」

 

 ATK:3000→6000

 

 殴りつけた後、スターダスト・ウォリアーの左拳でアステリスクの体を貫き、そのままコアを引き抜き握り潰す。コアを失ったアステリスクは機能を停止した後、爆発して消滅した。

 

 インフィニティ 手札:0→1(補給部隊の効果により)

 

「ドラゴエクィテスで直接攻撃!」

 

 ドラゴエクィテスががら空きになった要塞に向かってジャベリンを投擲する――――が、突如現れたワイゼル・アインによって弾き落とされる。

 

 罠カード《ピンポイント・ガード》

 

 DEF:0 レベル4

 

「カードを伏せ、ターンエンド!」

 

LP:250

手札:0

モンスター

・波動竜騎士 ドラゴエクィテス

・スターダスト・ウォリアー

魔法・罠

・セット

 

 機皇兵を呼び出したという事は、またアステリスクを出してくる可能性がある。

 

「(だが、今の遊星ならば敵ではない。機皇帝との戦いの為に”シューティング・スター・ドラゴン”が覚醒した様に、あのシンクロモンスターもアステリスクと戦う為に生まれたのだ)」

 

 フリントは力強い瞳で前を向く遊星とスターダスト・ウォリアーを見て笑みを浮かべる。もう遊星に足りない物は無くなった。この時、フリントの中で何かが定まった。

 

 インフィニティ 手札:1→2

 

 魔法カード《マジック・プランター》

 

 インフィニティは《スピリットバリア》を墓地へ送り、2枚ドローする。

 

 インフィニティ 手札:1→3 LP:7500→8000

 

 魔法カード《ダーク・バースト》

 

 手札に加えたカード

 機皇神龍アステリスク

 

 インフィニティ LP:8000→8500

 

 攻撃力1500以下の闇属性モンスター1体を墓地から手札に加える魔法カード。要塞からはグランエル・アインが2体現われ、これでアステリスクの召喚準備が整った。

 

 機皇兵グランエル・アイン ATK:1600→1800 レベル4

 機皇兵グランエル・アイン ATK:1600→1800 レベル4

 

 通常召喚されたグランエル・アインが効果を発動すると、ドラゴエクィテスが地面に膝を突く。

 

 ATK:4800→2400

 

 ドラゴエクィテスの攻撃力を大幅に落とされてしまったが、遊星の瞳は揺るがない。強い眼差しを要塞、そしてその中にいるアステリスクへと向けていた。

 そして、とうとうアステリスクが要塞の中から姿を現す。

 

 ATK:0 レベル10

 

 アステリスクが勝ち誇った様に聞こえる咆哮を上げた瞬間、遊星も同時に不敵な笑みを浮かべた。

 

「……やはり来ると思っていた! これで決着を付けてやる! スターダスト・ウォリアーの効果発動! 相手がモンスターを特殊召喚する際にこのカードをリリースする事で、特殊召喚を無効にし、破壊する! 〈ヴィクテム・エクスパルション〉!」

 

 スターダスト・ウォリアーがアステリスクに組み付くと、そのまま光の粒子となって共に消滅する。

 残された機皇兵達は何も出来ず、そのままターンを終了させた。

 

 波動竜騎士 ドラゴエクィテス ATK:2400→4800

 

LP:8500

手札:0

モンスター

・機皇兵ワイゼル・アイン

・機皇兵グランエル・アイン

・機皇兵グランエル・アイン

魔法・罠

・魔法吸収

・補給部隊

フィールド

・機動要塞フォルテシモ

 

「エンドフェイズ時、リリースした《スターダスト・ウォリアー》は復活する!」

 

 飛散したはずの光の粒子が集まり、再びスターダスト・ウォリアーを構成する。

 

 ATK:3000 レベル10

 

「俺のターン!」

 

 遊星 手札:0→1

 

「墓地の《ラッシュ・ウォリアー》の効果発動! このカードを除外する事で、墓地のシンクロン1体を手札に加える! 《ジャンク・シンクロン》を手札に! そして召喚!」

 

 遊星の場にジャンク・シンクロンが現れ、隣の場に手を翳す。

 

 ATK:1300 レベル3

 

「その効果により墓地から《チューニング・サポーター》を特殊召喚!」

 

 DEF:300 レベル1

 

「そして、ジャンクモンスターが場に存在する時、《ジャンク・サーバント》を手札から特殊召喚出来る!」

 

 遊星の場にジャンクパーツで作られた人形が現れる。

 

 ATK:1500 レベル4

 

「レベル1《チューニング・サポーター》と、レベル4《ジャンク・サーバント》に、レベル3《ジャンク・シンクロン》をチューニング!」

 

 ジャンク・シンクロンが背中のリコイルスターターを引っ張り、エンジンを起動させると、3つの光輪へと姿を変える。その光輪が2体を囲み、5つの光、そして光の柱へと変える。

 

「集いし闘志が、怒号の魔神を呼び覚ます! 光さす道となれ! シンクロ召喚! 粉砕せよ、《ジャンク・デストロイヤー》!」

 

 光の柱の中から、4枚の翼、4本の腕を持つ黒い戦士が現れる。死と破壊を与える屑鉄の魔神、”ジャンク・デストロイヤー”である。

 

 ATK:2600 レベル8

 

「ジャンク・デストロイヤーの効果発動! シンクロ召喚に成功した時、チューナー以外のシンクロ素材の数だけ場のカードを破壊出来る! 《機皇兵ワイゼル・アイン》と《機皇兵グランエル・アイン》を破壊しろ! 〈タイダル・エナジー〉!」

 

 デストロイヤーが拳から二つの衝撃波を放つと、ワイゼル・アインとグランエル・アイン1体は粉々に粉砕される。

 

「バトル! デストロイヤーでグランエル・アインを攻撃! 【デストロイ・ナックル】!」

 

 デストロイヤーが4つの拳にオーラを集中させると、それぞれからオーラを放ち、グランエル・アインを破壊する。

 

 機皇兵グランエル・アイン ATK:1600

 

 インフィニティ LP:8500→7500

 

「ドラゴエクィテスで直接攻撃! 【スパイラル・ジャベリン】!」

 

  ドラゴエクィテスがジャベリンを投擲し、要塞に深く突き刺す。

 

 インフィニティ LP:7500→2700

 

「スターダスト・ウォリアー! 【スターフォール・フィスト】!」

 

 最後はスターダスト・ウォリアーが飛び上がり拳を構え、隕石の様に要塞へと落下する。

 

 インフィニティ LP:2700→0

 

 

 ウオォォォーーーー!!! アアアァァァーーーー!!!

 

 

 頭に響き渡る絶叫と共に要塞は崩れ、ただの鉄屑の山となる。

 憎悪の叫びも聞こえなくなると、遊星は決闘盤を納める。

 

「勝ったか……フリント!」

「よくやってくれた、遊星」

 

 フリントが労いの声を掛け、遊星の元へ歩み寄ってくる。

 

「フリント、ありがとう。またお前に助けられた。お前がいなかったら……」

「こちらの台詞でもある。遊星、感謝する。だが……あのインフィニティは本体ではなかった」

「何だって!?」

「あれは本体から分かれた”分体”だ。本体は……おそらく、あそこにある」

 

 フリントが空を見上げる。遊星も釣られて見上げると、そこには巨大な建造物が浮いていた。

 

「あ、あれは……?」

 

 見える限りでは巨大な島か山を逆さにした様な形をしており、その表面には荒廃したビルなどの建物が同じ様に逆さとなって密集している。それはまるで大都市が逆さになって落ちてきている様にも見えた。

 

「フリント、あれは――――!?」

 

 この瞬間、遊星の目の前に一人の男性が現れる。

 その姿は遊星にしか見えておらず、半透明であり、しかも遊星とよく似た顔と髪型をしていた。

 

『遊星……』

「父さん!?」

 

 その正体は遊星の父親である”不動博士”。ダークシグナーとの戦いの時にも遊星の前に姿を現し、遊星を導いた。

 今回の不動博士の表情は深刻なもので、遊星に対して一方的に語った後、姿を消す。

 

「あれが……人類を破滅に導く最後のモーメントだって……?」

「……遊星、それをどこで?」

 

 遊星は父から聞いた話をフリントに聞かせる。

 あれを近づけてはいけない。早く元の世界へ戻れ――――フリントは話を聞き終わると、もと来た道を指差す。

 

「この世界に来た場所で、さっきと同じ様にアクセルシンクロを行え。オーガ・ドラグーンの一撃でまだ時空が歪んでいるはずだ。それで無理やりこじ開けられる。シェリーを見つけて、鬼柳達と一緒に戻れ」

「お前は?」

「俺は……あそこへ向かう」

 

 フリントは上空の島の様な建造物を見上げる。

 

「……また、一人で行くつもりなのか?」

「遊星、俺は……記憶を取り戻し、本来の自分と使命を取り戻した」

 

 取り戻した以上、それを果たさなければならない。フリントはそう思い続け、行動してきた。

 

「だが……フレアとお前の思いに触れて、解った事がある」

「それは?」

「……今の俺が本来の”俺”。だがな、お前達と4年過ごした記憶喪失の俺もまた”俺”なのだ。大事な……掛け替えの無い記憶」

 

 フリントは深く帽子を被った後、遊星へと向き直る。

 

「そしてもう一つ解った事がある。それはお前やフレアが俺の予想よりもずっと強くなっていたという事だ。だからもう、俺は必要無い」

「フリント! それは違う――――」

 

 反論しようとする遊星を、フリントは右掌を向けて制止させる。

 

「……だからこそ、俺は行くのだ。心の底からお前達を信頼出来るから、お前達を置いて行ける。使命を果たす為、大事なものを守る為……そして、約束しよう。必ず再会を果たすと……それまで、お別れだ」

 

 フリントはそう言うと、遊星に向かって右手を差し出す。遊星は、目を閉じて拳を握り締めた後、その手を握った。固く、固く、力強く、長い、長い間握る。二人の絆の強さを表すかのように。

 

「約束だぞ、フリント……」

「ああ、約束だ……」

 

 そう確かめ合った後、二人は手を離す。

 

「さあ遊星、もう行け。新手が来るぞ」

「要塞を破壊したのに、まだ動いているのか!?」

「本体が健在だからな。遠くに行っていて取りこぼした奴もいるだろう。そいつらを叩いてから俺は向かう」

 

 フリントはしまっていた決闘銃を取り出し、白紙のカードをリロードする。

 

「また逢おう、友よ。お前が行く所に俺はいる」

 

 フリントは走る。荒廃した大地を。新たなる戦いへと赴く為に。

 遊星は見送った。友の無事を祈り、自身の戦いへの決意を秘めながら。

 その姿が見えなくなると、遊星は駆け出した。仲間達の元へ戻る為に――――

 

 




今回は幾らか時間があったので早めに投稿できました。
何時もこれくらいで書けたらいいのに……
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