遊戯王5D's ~荒野のデュエリスト~   作:鬼柳高原

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今回は原作にもあるルールでの決闘があるのですが、ちゃんとしたルールや裁定は定まっていないので、こちらの解釈で勝手に決めてやってる部分があります。ご了承ください。


第68話 誘拐

「キィーヤァーッハッハッハ! サーキットも完成間近だね!」

「サーキットはWRGPの決勝戦、我々の勝利によって完成する。……これでアーククレイドルも出現する」

 

 WRGP決勝戦前夜、治安維持局の屋上に佇む3つの影。喧しい笑い声を上げるルチアーノ。落ち着いた様子で予定されたシナリオを確認するホセ。そして、静かなまま黙っているプラシド――――”イリアステルの三皇帝”である。

 

「予定通り……後は、お前からの報告を聞けばな」

 

 ホセがプラシドの方へと顔を向ける。

 

「え? プラシド何かやってたの? 道理で最近姿が見えないと思った」

「いや、それはワシも気になるが、それとは関係ない……プラシド、何故黙っている?」

「……さっきも話した通り、決勝では俺達本来の力を使う」

 

 それだけ言って去ろうとするプラシドの肩を、ホセが掴んで引き止める。

 

「待て! 何の為にお前を修理という名目で創造主”ゾーン”の下へと送ったと思っている? お前は知ったはずだ。”フリント”について、創造主から聞いた事を全て話して貰うぞ」

 

 プラシドは返事の代わりにホセの腕を振り払い、向き直る。その表情はホセを鬱陶しく見るものではなく、これから重要な戦いに赴く様な、真剣さを滲ませたものであった。

 

「何れ解る」

「プラシド……!」

「何をしていたか位は伝えておこう。俺は、創造主”ゾーン”の命に従い、ある調査をしていた」

「調査? 何だよそれって?」

 

 ルチアーノの問いには答えず、プラシドはシティの街並みを睨み付けた後、剣で空間を裂いた。

 

「ついて来い。不動 遊星共の元へと向かう」

「な、何勝手に仕切ってんだよ!」

「よい。ワシも奴等と話をしておきたかった。行くぞ」

 

 ホセは不満気なルチアーノの背を押し、プラシドに続いて空間の裂け目へと入って行った。

 

 

* * *

 

 

 

フレアの場

LP:2000

手札:0

モンスター

・琰魔竜 レッド・デーモン

・ドリル・シンクロン

・キーマウス

魔法・罠

・なし

 

ジャックの場

LP:2600

手札:0

モンスター

・スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン ATK:3500→5000

魔法・罠

・なし

 

「すぅ~……バーニング・ソウルッ!」

「スカーレッド・ノヴァ・ドラゴンで琰魔竜 レッド・デーモンを攻撃! 【バーニング・ソウル】!」

 

 ホイール・オブ・フォーチュンの頭上を飛ぶ真紅の竜が両手足をたたむと、炎を纏ってフレアの場の琰魔竜に向かって突進する。

 琰魔竜は拳を振るって反撃をするが、その力は真紅の竜にはとても及ばず、突進によって撥ね飛ばされ、破壊される。

 

「きゃあああ!?」

 

 フレア LP:2000→0

 

 LPが0になると、ソリッドビジョンが消え、決闘が終了する。

 フレアはウィルダーネスをスタート地点まで走らせた後、ヘルメットを脱いであー、っと声を上げ悔しそうに暗がりの空を仰ぐ。

 

「どーして出来ないのー!? この前は出来たのにぃ~!」

「出来て堪るか! この境地に辿り着くまで、俺がどれ程の苦悩と苦労を重ねたと思っている! 身の程を知れ!」

 

 先に戻って来ていたジャックが腹立たしそうに腕を組み、フレアを側で見下ろす。フレアはフリントの帽子を被ると、納得がいかないという風にジャックを見上げた。

 

「出来たもん……”夢”の中で」

「馬鹿にしているのかッ!」

「まーまージャック、その辺にしとけよ。いい調整にはなったろ? フレアも衰えないもんだ。久々だってのに」

 

 クロウがジャックとフレアの肩を交互に叩く。

 WRGP準決勝にて、凄まじい接線の末にチーム・ラグナロクを下したチーム・5D'sは、明日に迫った決勝戦にしてイリアステルとの最終決戦でもある”チーム・ニューワールド”との試合に備え、決勝戦が行われる特設コースにて最終調整を行っていた。前回参加できなかったフレアも今回は参加し、ジャックの相手を務めた。

 

「そういやフレア、今更だけどよ、ライディングの服変えたんだな。前は満足の時のジャケットだったのによ」

 

 クロウがブラック・バードのチェックを行いながら、フレアの新しいウエスタンスタイルの服装を一瞥する。

 

「えへへ、似合ってる?」

「似合ってるも何も、お前とフリントは昔からそのタイプの服装だったじゃねぇか。しかし、あんだけ固執してたのに、やめちまったんだな、ジャケット」

 

 クロウが何気なく言うと、フレアはどことなく気まずそうな表情で俯く。

 

「うん……最近さ、ちょっとオシャレとかにも気を使う様になってから思ったんだけど、もう、あれはちょっと恥かしいかな、って……」

「だろうよ! ああそうだろうよ! そうだよ!」

 

 勢い良くフレアの方へ振り向くクロウ。大事な事なのか、自身にも言い聞かせる様にフレアの心情の変化を繰り返し肯定する。

 

「や、やっぱりそう思う?」

「昔から言ってた様な気がするぞ俺は……」

「う、うん……じゃあ、もうあれは大事な試合の時だけの勝負服にするよ……」

「まだ着る気あるのかよっ!?」

 

 クロウの驚愕混じりのツッコミが響く中、コース利用終了の手続きに行っていた遊星と、アカデミアでの授業を終えてやってきたアキと双子が現れる。

 

「調子はどう? 明日バッチリ?」

 

 龍亞が興奮を抑えずにフレアへ訊ねると、フレアは人差し指と親指で輪を作る。

 

「うん! ジャックもクロウも遊星もバッチリ! 明日は絶対に勝つよ!」

 

 フレアが胸を叩くと、双子は嬉しそうに顔を見合わせる。その時、遊星が驚いた表情で空を見上げ、指で空を指し示した。

 

「皆! アレを見ろ!」

 

 皆が遊星が指し示す方へ顔を向けると、そこには例の”浮き島”――――”アーククレイドル”が現れていた。最初の頃は滅多に現れなかったが、徐々に頻度を増し、最近では何度もシグナー達の前に消えたり現れたりを繰り返している。なので、本来はここまで驚く事はないのだが、今回現れたものは少し様子が違っていた。

 

「な、何だか、近づいてる……?」

「そ、そうなの!?」

 

 龍可が不安そうな表情で呟く。龍亞も龍可の痣を触る事でアーククレイドルを見る事が出来るらしく、龍可の腕を握りながらあたふたとしていた。

 皆の様子に気付いたのか、ピットの奥で整備をしていたブルーノが姿を現し、まるで見えているかのようにアーククレイドルの方を見上げた。

 フレアもシグナー達と同じ様にアーククレイドルを見上げる。

 

「遊星、あれが……」

「人類最後のモーメント……アレを近づけてはならないと、父さんは言っていた」

「あそこに……あそこにフリントがいるのね」

「ああ……」

 

 全員で空に浮かぶ島を見上げていると、不意に”ヒィィ”という甲高い悲鳴が上がる。遊星達の様子を見に来たイェーガーの悲鳴であった。後ろには治安維持局特別捜査課課長の”狭霧 深影”と、課長補佐の”牛尾 哲”。そして取材だと言って勝手についてきた”カーリー渚”の姿があった。

 

「やはりお前達、赤き竜のシグナーが決勝へと上がってきたか」

 

 悲鳴の原因は、突然遊星達の前に現れた”イリアステルの三皇帝”。プラシドが不敵な笑みを浮かべ、ルチアーノが嘲笑う様な声を上げる。

 

「プラシド、ホセ、ルチアーノ! あの島は一体何なんだ!? この間の空間といい、お前達イリアステルと関係があるのか!」

 

 遊星の問いに、三皇帝が答える。彼等はあの浮き島を”神の居城 アーククレイドル”と呼び、それはチーム・ニューワールドの勝利と共に姿を現し、ネオ童実野シティを消滅させ、世界を生まれ変わらせるのだという。

 チーム・ニューワールドは全ての黒幕であるイリアステル。シティを消滅させるアーククレイドルという存在。それらの事を初めて知った深影、牛尾、カーリーは驚きを隠せず、イェーガーは怯えた様に牛尾の影に隠れていた。

 アーククレイドル出現を止める唯一の方法は、チーム・ニューワールドを倒す事だけである。

 

「明日の決勝戦、俺達の本当の力を見せてやろう……さて、お前達への話はこれで終わりだ。ここへ来た目的を果たさせて貰う」

「何?」

 

 プラシドは遊星へと向けていた視線をずらすと、その先に向かって剣を指し示す。その瞬間、剣先が指し示す位置にいたフレアの足元から光の壁が現れ、正方形の箱となってフレアを覆い、宙に浮かぶ。

 

「フレアッ!?」

「創造主が言った。異分子は排除せよとな。この女は全てを狂わせる。明日の決戦には必要ない。さらばだ」

 

 そう言うと、プラシドはローブを脱ぎ捨て、突然現れたDホイール” T・666(テリブル・オーメン)”に乗り込み、決勝会場から飛び出して行く。ホセの姿は既に無く、ルチアーノはDボード”(アンバー)・クツァルカートル”でプラシドの後を追う。フレアを閉じ込めた光の箱もプラシドの後を追って飛び去った。

 

「くっ!? 待て!」

 

 遊星達が後を追おうとすると、見覚えのある姿をした黒尽くめの人影の群れが遊星達を遮る。

 

「これは……ゴースト!? 何故ゴーストが!?」

「馬鹿な!? ゴーストはあの事件の後、残らず回収したはずだ!」

 

 牛尾が驚いた様子でゴースト達を見渡す。その数はざっと見て数十人以上。Dホイールとは繋がれておらず、全員が腕に決闘盤を装着して地に立っている。

 

「牛尾君、多分、あれはテストとして作られたスタンディングタイプよ。あれだけは盗難後、一切姿を見せていなかったから……」

 

 深影が冷静にゴースト達を見据える。遊星達をDホイールから阻む絶好の位置に配置されており、最初からフレアを誘拐する計画であった事が解る。

 

「フン! 今更ゴースト如き、蹴散らしてくれる!」

「タダで済むと思うんじゃねぇぞ!」

 

 ジャックとクロウはDホイールの調整の為に分離させていた決闘盤を構え、ゴースト達との決闘に入る。アキは双子を下がらせ、同じ様に決闘へと加わった。

 遊星は攫われたフレアが気がかりなのか、決闘には入らず、突破する為の隙を窺うが、中々見つからない。

 

「くそ……このままではフレアが!」

「遊星!」

 

 声の方へと顔を向けると、何時の間にか移動していた牛尾が出口付近で腕を振っているのが見える。

 

「この会場にはセキュリティのDホイールが備えてある! だが、それは治安維持局の人間にしか動かせない! 俺が奴等を追う!」

「牛尾!」

「心配するな! こういう時の為に上に掛け合って作らせた対ゴースト用の”新特殊追跡デッキ”がある! 俺に任せておけ!」

 

 そう言って牛尾は会場から飛び出して行く。遊星はその姿を見送ると、意を決した様に決闘盤を展開し、決闘に加わった。

 

 

 

 * * *

 

 

 

「なぁ、何でこいつを捕まえろだなんて創造主は言ったんだよ?」

 

 プラシドと並走しながら、ルチアーノは上を飛ぶ光の箱を見上げる。

 

「確かにこいつはフリントの奴と何か関係ありそうだけど、ディアブロにやられちゃう程度の奴だろ? 気にしすぎじゃないの~? キィィヒッヒッヒ!」

「……何処にもいなかった」

「え?」

「創造主の命令でこの女を調査しようと過去へ行ったが、何処にもいなかった。フリントと同じ様にな」

「どういう事だよ、それ……」

 

 ルチアーノの顔から笑みが消えると同時に、うんざりと言った表情が浮かぶ。驚きと共に、まだ自分達にとって知らない事実があるのかと言いたげな視線をプラシドに向けた。

 

「フリントの奴は最悪、放って置いても構わない。どうせ、何も出来やしない……あの時の様に」

「あの時? あの時ってどの時だよ?」

「今気にする事ではない。とにかく、今の問題はこいつだ。計画を滞り無く遂行する為、こいつを創造主の下へと送る」

「……まあいいや、りょーかい……ん?」

 

 ふとルチアーノが後方を見ると、かなりのスピードで接近してくるDホイールが見えた。けたたましいサイレンと共に。

 

「オラオラオラァ! そこの誘拐犯! 止まりやがれぇ!」

 

 緊急時にも関わらず、デュエルチェイサーズの制服にしっかりと着替え、犯人追跡用に改造された特性Dホイールに跨り、牛尾が声を張り上げる。

 

「何だぁ? あいつ確か、前に試作型ディアブロと機皇帝のテストでボロボロにしてやった奴じゃん? 何でシグナーでも無いのに追って来たんだ?」

「チッ! ムシケラが……残りのディアブロに片付けさせる! 行け!」

 

 プラシドが号令を掛けると、別の道からライディングタイプのディアブロ達が3体現れ、牛尾の前を塞ぐ。

 

「また盗みやがったのか? 数が合わねぇぞ! ……まあいい、この”新特殊追跡デッキ”を試すには丁度良い相手だ! スピード・ワールド2、バトルロイヤルモード、セット!」

 

 牛尾がディアブロ達相手にスピードの世界を展開すると、一気にスピードを上げてディアブロ達の前に出る。ディアブロはそれに応じる様にして牛尾を後方から取り囲んだ。

 

「死ね!」

「死ね!」

「死ねぇ!」

「あん時の借り、改めて返させて貰うぜ! ライディング・デュエル――――」

 

 

 

「 アクセラレーション!!! 」

 

 

 

「俺のターン!」

 

 牛尾 手札:5→6

 

 ディアブロ1 SPC:0→1

 ディアブロ2 SPC:0→1

 ディアブロ3 SPC:0→1

 牛尾 SPC:0→1

 

「モンスターをセット! カードを伏せてターンエンドだ!」

 

LP:4000

手札:4

SPC:1

モンスター

・セット

魔法・罠

・セット

 

「(どうせバトルロイヤルルールじゃ1ターン目は全員攻撃できねぇんだ。様子見といくぜ)」

「私のターン!」

 

 ディアブロ1 手札:5→6

 

 ディアブロ1 SPC:1→2

 ディアブロ2 SPC:1→2

 ディアブロ3 SPC:1→2

 牛尾 SPC:1→2

 

「私は《A・O・J ガラドホルグ》を召喚!」

 

 ディアブロの場に二刀のレーザーブレードを持ったロボットが現れる。

 

 ATK:1600 レベル4

 

「《Sp-カウントアップ》! SPCが2つ以上存在する時、手札を任意の枚数だけ墓地に送り、1枚につきSPCを3つ増やす! 私は手札2枚を捨て、SPCを6つ増やす!」

 

 ディアブロ1 手札:4→2 SPC:2→8

 

「《Sp-召喚師のスキル》! SPCが2つ以上存在する場合、デッキからレベル5以上の通常モンスター1体を手札に加える! レベル6通常モンスター《A・O・J クラウソラス》を手札に!」

 

 ディアブロ1 手札:1→2

 

「カードを伏せ、ターンエンド!」

 

LP:4000

手札:1

SPC:8

モンスター

・A・O・J ガラドホルグ

魔法・罠

・セット

 

「私のターン!」

 

 ディアブロ2 手札:5→6

 

 ディアブロ1 SPC:8→9

 ディアブロ2 SPC:2→3

 ディアブロ3 SPC:2→3

 牛尾 SPC:2→3

 

「《A・O・J サウザンド・アームズ》を召喚!」

 

 現れたのは6本の腕に様々な武器を装備した禍々しいロボット。武器と武器をぶつけて音を鳴らし、隣で走る牛尾を威嚇する。

 

 ATK:1700 レベル4

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンド!」

 

LP:4000

手札:3

SPC:3

モンスター

・A・O・J サウザンド・アームズ

魔法・罠

・セット

・セット

 

「私のターン!」

 

 ディアブロ3 手札:5→6

 

 ディアブロ1 SPC:9→10

 ディアブロ2 SPC:3→4

 ディアブロ3 SPC:3→4

 牛尾 SPC:3→4

 

「永続罠《DNA移植手術》を発動! このカードが存在する限り、場のモンスターは全て宣言した属性となる! ”光属性”!」

 

 最初のターンのディアブロが永続罠を発動させると、最後のディアブロは笑みを浮かべ、手札から1枚のカードを取り出す。

 

「《Sp-トレード・イン》! SPCが2つ以上存在する場合、手札からレベル8モンスター1体を捨て、2枚ドロー!」

 

捨てたモンスター

A・O・J サンダー・アーマー

 

 ディアブロ3 手札:4→6

 

「このカードは相手の場に光属性が2体以上存在する時、手札から特殊召喚する事が出来る! 《A・O・J コズミック・クローザー》3体を特殊召喚!」

 

 ディアブロの場に機械装置が3台現れる。3台ともSFに登場する”ゲート装置”の様な姿をしており、ゲート部分には強力なエネルギーが満ちている。

 

 ATK:2400 レベル8

 ATK:2400 レベル8

 ATK:2400 レベル8

 

「さらに《Sp-スピード・ジャマー》を発動! SPCが2つ以上存在する場合、相手のSPCを6つ取り除く事が出来る!」

 

 3番目のディアブロがSpを発動させると、Spから放たれた光が他のプレイヤー達を覆い、Dホイールを減速させる。

 

「こ、この野郎! セキュリティの妨害をしようってか!」

 

 牛尾 SPC:4→0

 ディアブロ1 SPC:10→9

 ディアブロ2 SPC:4→3

 

「カードを伏せ、ターンエンド!」

 

LP:4000

手札:1

SPC:4

モンスター

・A・O・J コズミック・クローザー

・A・O・J コズミック・クローザー

・A・O・J コズミック・クローザー

魔法・罠

・セット

 

「へっ! ワラワラ出てきやがって! 全員逮捕してやる! 俺のターン!」

 

 牛尾 手札:4→5

 

 牛尾がドローした瞬間、3体目のディアブロが再び動く。

 

「速攻魔法《Sp-アクセル・リミッター》! 相手のターンで数えて2ターンの間、私以外のSPCはスタンバイフェイズ時に補充されない!」

 

 ディアブロ1 SPC:9→9

 ディアブロ2 SPC:3→3

 ディアブロ3 SPC:4→5

 牛尾 SPC:0→0

 

 大量召喚による威圧、奪われたSPC。デュエルチェイサーの十八番である”行動制限戦略”を逆に仕掛けられたものの、牛尾に臆した様子は無い。むしろこれから試す新デッキへの期待が、どんな不安をも振り払っていた。

 

「あーあ、俺様のSPCスッカラカンにしてくれやがってよぉ……へっ、墓穴を掘りやがったな! 《Sp-ギャップ・ストーム》! 相手のSPCが自分より7つ以上多い時、場の魔法・罠を全て破壊する!」

 

 牛尾を中心に竜巻が発生し、場の魔法・罠を全て吹き飛ばす。

 

「さらにギャップ・ストームにチェーンし、罠カード《墓地墓地の恨み》発動! 相手の墓地にカードが8枚以上存在する場合、相手のモンスター全ての攻撃力を0にする! お前らの墓地は合計で8枚丁度! 0になるぜ!」

 

 A・O・J コズミック・クローザー ATK:2400→0

 A・O・J コズミック・クローザー ATK:2400→0

 A・O・J コズミック・クローザー ATK:2400→0

 A・O・J サウザンド・アームズ ATK:1700→0

 A・O・J ガラドホルグ ATK:1600→0

 

「お前らのゴースト氾濫時のデッキも研究済みなんだよォ! 移植手術が無けりゃ恐かねぇ! 行くぜ! チューナーモンスター《ジュッテ・ナイト》を召喚!」

 

 牛尾の場に大きな提灯を背負い、十手を手に持った岡っ引きが現れる。

 

 ATK:700 レベル2

 

「そして《リトルトルーパー》を反転召喚!」

 

 続けて現れたのは鎧を身に纏った子供の騎兵。ジュッテ・ナイトに率いられるようにその後に続く。

 

 ATK:900 レベル1

 

「レベル1《リトルトルーパー》に、レベル2《ジュッテ・ナイト》をチューニング!」

 

  ジュッテ・ナイトが提灯を光らせ自身を2つの光輪へと変えると、リトルトルーパーを囲み、1つの光、そして光の柱へと変える。

 

「一つとなった二つの街を、守る男がここにあり! シンクロ召喚!」

 

 光の柱から現れたのは、これまでセキュリティのエースモンスターとして活躍していた”ゴヨウ・ガーディアン”と似た意匠を持つ、十手と大きな盾を持った新しい”ゴヨウ”モンスター。牛尾の場に降り立つと、勇ましく十手と盾を構え、”御用だ!”と叫ぶ。

 

「出でよ! 《ゴヨウ・ディフェンダー》!」

 

 ATK:1000 レベル3

 

「ゴヨウ・ディフェンダーの効果発動! 1ターンに1度、自分の場のモンスターが地属性・戦士族シンクロモンスターのみの場合、エクストラデッキから《ゴヨウ・ディフェンダー》を特殊召喚出来る! ほら来いやぁ!」

 

 ゴヨウ・ディフェンダーが号令を掛けると、牛尾の場にもう1体のゴヨウ・ディフェンダーが現われ、そのゴヨウ・ディフェンダーが号令を掛けると、更にもう1体のゴヨウ・ディフェンダーが姿を現す。

 

「2体目も効果発動! これで3体並ぶって訳だ!」

 

 ATK:1000 レベル3

 ATK:1000 レベル3

 

「さぁーて……バトル! ゴヨウ・ディフェンダー3体でコズミック・クローザー3体を攻撃!」

 

 ゴヨウ・ディフェンダー達が隊列を組み、一斉にコズミック・クローザーへと襲い掛かる。

 牛尾が発動した罠の力により機能を停止しているA・O・J達。その中のコズミック・クローザー達はなす術もなくゴヨウ・ディフェンダー達に破壊されてしまった。

 

 ディアブロ3 LP:4000→1000

 

「まだまだこんなもんじゃねぇぞ! カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

LP:4000

手札:1

SPC:0

モンスター

・ゴヨウ・ディフェンダー

・ゴヨウ・ディフェンダー

・ゴヨウ・ディフェンダー

魔法・罠

・セット

・セット

 

「私のターン!」

 

 ディアブロ1 手札:1→2

 

 ディアブロ1 SPC:9→9

 ディアブロ2 SPC:3→3

 ディアブロ3 SPC:5→6

 牛尾 SPC:0→0

 

 3体目のディアブロが発動したSpによって牛尾達のSPCはこのターンも増えないが、これで2ターン目となるので次ターンからは通常通りにSPCが供給される。

 

「《Sp-シフト・ダウン》! SPCを6つ取り除き、2枚ドロー!」

 

 ディアブロ1 SCP:9→3 手札:1→3

 

「ガラドホルグをリリース! 《A・O・J クラウソラス》をアドバンス召喚!」

 

 ディアブロの場にいた機能停止状態のガラドホルグが光の中へと消えると、その光の中から怪鳥をモチーフとしたロボットが姿を現す。

 

 ATK:2300 レベル6

 

「死ねぇ! クラウソラスでゴヨウ・ディフェンダーを攻撃!」

「自ら捕まりにきやがったな! ゴヨウ・ディフェンダーの効果発動! 攻撃対象となった時、自身の攻撃力をダメージステップ終了時まで自分の場の他の地属性・戦士族シンクロモンスター1体につき1000ポイントアップする!」

 

 ゴヨウ・ディフェンダー ATK:1000→3000

 

 向かってくるクラウソラスを2体のゴヨウ・ディフェンダーが取り押さえると、攻撃対象となっていたゴヨウ・ディフェンダーが十手をクラウソラスの脳天に振り下ろし、破壊する。

 

「これが権力……いや、”絆の力”ってやつだ」

 

 ディアブロ1 LP:4000→3300

 

「……カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

LP:3300

手札:0

SPC:3

モンスター

・なし

魔法・罠

・セット

・セット

 

「私のターン!」

 

 ディアブロ2 手札:3→4

 

 ディアブロ1 SPC:3→4

 ディアブロ2 SPC:3→4

 ディアブロ3 SPC:6→7

 牛尾 SPC:0→1

 

「永続罠《DNA移植手術》! ”光属性”!」

 

 1体目のディアブロが新たに伏せた永続罠”DNA移植手術”を発動させると、属性が変わるという異変が起きたゴヨウ・ディフェンダー達の隊列が乱れ始める。これでは先程のカウンター能力を発動させることは出来ないだろう。

 

「(ちっ……まだもってやがったか!)」

「サウザンド・アームズをリリースし、《A・O・J ルドラ》をアドバンス召喚!」

 

 機能停止状態のサウザンド・アームズが光の中へと消えると、光の中から翼を持った竜の様な姿のロボットが現れる。

 

 ATK:1900 レベル5

 

「バトル! ルドラでゴヨウ・ディフェンダーを攻撃!」

「永続罠《強制終了》! このカード以外の自分の場のカード1枚を墓地に送り、バトルフェイズを文字通り強制終了させる! 1体目の《ゴヨウ・ディフェンダー》を墓地に送るぜ!」

 

 牛尾の場のゴヨウ・ディフェンダー1体が姿を消すと、ルドラは動きを止め、そのままディアブロの場で沈黙する。

 

「……カードを伏せ、ターンエンド!」

 

LP:4000

手札:2

SPC:4

モンスター

・A・O・J ルドラ

魔法・罠

・セット

 

「私のターン!」

 

 ディアブロ3 手札:1→2

 

 ディアブロ1 SPC:4→5

 ディアブロ2 SPC:4→5

 ディアブロ3 SPC:7→8

 牛尾 SPC:1→2

 

「罠カード《強欲な贈り物》を発動! 相手はデッキから2枚ドローする!」

「何ィ!? 贈り物だぁ!?」

 

 2体目のディアブロが発動した罠は相手にカードを2枚ドローさせるもの。バトルロイヤルルールにおいて”相手”とは自分以外全て。つまり、2体目のディアブロ以外の全員がカードを2枚ドローできる。

 

「(”デメリット”しかないから普通は入れるようなカードじゃねぇ……だが、成る程、バトルロイヤルのリンチ戦なら”メリット大”ってわけか!)」

 

 牛尾はデッキからカードを引きながら、昔遊星に言われた台詞を思い出す。

 

 

     ”どんなカードでも存在する以上、必要とされる力がある”

 

 

「……こういうことかい、遊星よぉ」

 

 牛尾 手札:1→3

 ディアブロ1 手札:0→2

 ディアブロ3 手札:2→4

 

「永続罠《リビングデッドの呼び声》を発動! 墓地から《A・O・J クラウソラス》を特殊召喚!」

 

 ATK:2300 レベル6

 

 突然蘇る1体目のディアブロのクラウソラス。牛尾は訝しげな顔で機械の怪鳥を見上げた。

 

「(何でこのタイミングに……)」

「《Sp-サモン・スピーダー》! SPCが2つ以上存在する時、手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する! 《A・O・J リサーチャー》を特殊召喚!」

 

 3体目のディアブロの場に緑色のボディに2本のアームと頭部が取り付けられた車型のロボットが現れる。

 

 ATK:1400 レベル3

 

「この瞬間、SPCを1つ取り除き、速攻魔法《Sp-地獄の暴走召喚》を発動!」

 

 ディアブロ3 SPC:8→7

 

「(”地獄の暴走召喚”だぁ?)」

 

 ”地獄の暴走召喚”とは、相手の場にモンスターが存在し、自分が攻撃力1500以下のモンスターの特殊召喚に成功した時に発動出来る魔法カードである。発動条件は厳しいが、派手で強力な効果を秘めているのだ。

 

「特殊召喚に成功したモンスターと同じモンスターをデッキ・手札・墓地から全て特殊召喚する! デッキから残る2体の《A・O・J リサーチャー》を特殊召喚!」

 

 ディアブロの場に更なるリサーチャーが姿を現す。

 

 ATK:1400 レベル3

 ATK:1400 レベル3

 

「そして、相手は自身の場からモンスター1体を選択し、それと同名のモンスターをデッキ・手札・墓地から全て特殊召喚出来る! さあ、特殊召喚するがいい!」

「ああ? ならありがたく、墓地から《ゴヨウ・ディフェンダー》を特殊召喚させてもらうぜ!」

 

 牛尾の場に再びゴヨウ・ディフェンダーが3体揃う。

 

 ATK:1000 レベル3

 

「ならば私は《A・O・J ルドラ》をデッキから2体特殊召喚!」

「私は《A・O・J クラウソラス》をデッキから2体!」

「(!? ……しまった、そういう事かよ!)」

 

 これぞディアブロ達のバトルロイヤルコンボ。牛尾に一度は崩されかけたものの、あっという間に9体のモンスターを場に並べて見せてしまった。

 

 A・O・J ルドラ ATK:1900 レベル5

 A・O・J ルドラ ATK:1900 レベル5

 A・O・J クラウソラス ATK:2300 レベル6

 A・O・J クラウソラス ATK:2300 レベル6

 

「バトル! リサーチャーでゴヨウ・ディフェンダーを攻撃!」

「強制終了だ!」

 

 牛尾は再びゴヨウ・ディフェンダーを墓地へ送り、A・O・J達の動きを止める。

 

「じわじわと嬲り殺してやる! カードを伏せてターンエンド!」

 

LP:1000

手札:0

SPC:7

モンスター

・A・O・J リサーチャー

・A・O・J リサーチャー

・A・O・J リサーチャー

魔法・罠

・セット

 

「調子に乗るなよ! この”新特殊追跡デッキ”には治安維持局の技術と権力、そして俺様の全てを込めてんだ!」

 

 ネオ童実野シティの平和を守る治安維持局特別調査課課長補佐、そして元セキュリティ精鋭部隊”デュエル・チェイサーズ”としてのプライドが叫ぶ。戦えるのはシグナーだけじゃない。彼等の戦いを間近で見てきたからこそ叫びたい。俺はセキュリティ、この街の平和を守る男だと。

 

「(遊星達は、とんでもねぇ相手に挑もうとしてやがる。ゴーストなんかとは比較にならねぇ、とんでもない相手と!)」

 

 牛尾はアクセルを前回にし、ディアブロ達の包囲を掻い潜る。

 

「……だからよぉ、その間は俺が守ってやらなきゃよ! あいつ等が安心して戦える様に、この街も、あいつ等の仲間も、この俺が! 俺のターン!」

 

 牛尾 手札:3→4

 

 ディアブロ1 SPC:5→6

 ディアブロ2 SPC:5→6

 ディアブロ3 SPC:7→8

 牛尾 SPC:2→3

 

「最初に言ったよなぁ? 研究済みだとよ! てめぇの《DNA移植手術》を墓地に送り、チューナーモンスター《トラップ・イーター》を特殊召喚!」

 

 1体目のディアブロの場から トラップ・イーターが飛び出すと、”DNA移植手術”を喰らい、牛尾の場へと移動する。

 

 ATK:1900 レベル4

 

「そして《チューニング・サポーター》を通常召喚!」

 

 続けて牛尾の場にチューニング・サポーターが現れる。

 

 ATK:100 レベル1

 

「この2体はよぉ、俺がどうやっても勝てなかった”二人の男”が使っていたカードよ」

 

 ”逃走者と追跡者”、”想われる男と想う男”、”決闘と恋”――――”不動遊星とジャック・アトラス”。敗れ続けたからこそ解る。勝者である彼等の存在が己を強くするという事を。

 

「行くぜ! レベル2として扱う《チューニング・サポーター》に、レベル4《トラップ・イーター》をチューニング!」

 

  トラップ・イーターが4つの光輪へと姿を変えると、チューニング・サポーターを囲み、2つの光、そして光の柱へと変える。

 

「ネオ童実野シティにこの俺様がいる限り、悪が栄えた例なし! シンクロ召喚!」

 

 光の柱から現れたのは、十手を構えた荒々しい狩人。この様な姿だがその名の示す通り、この狩人もシティの平和を守る”法の番人”の一人である。

 

「斬り捨て御免の狩人! 《ゴヨウ・プレデター》!」

 

 ATK:2400 レベル6

 

「シンクロ素材となったチューニング・サポーターの効果により、1枚ドロー!」

 

 牛尾 手札:2→3

 

「《Sp-ヴィジョンウィンド》! SPCを2つ取り除き、墓地からレベル2以下のモンスター1体を特殊召喚する! 《ジュッテ・ナイト》を特殊召喚!」

 

 牛尾 SPC:3→1

 

 牛尾の場に再びジュッテ・ナイトが現れると、場にいるゴヨウモンスター達と共に威勢よく”御用だ!”と叫ぶ。

 

 ATK:700 レベル2

 

「新特殊追跡デッキに眠る、今は亡き”ゴヨウ・ガーディアン”に代わるエースを見せてやるぜ!」

 

 牛尾やデュエルチェイサーズの内の少数に配給されていた強力なシンクロモンスター”ゴヨウ・ガーディアン”はゴーストやディアブロ達との激しい戦いにより、殆どが事故やそれによる焼失などにより失われてしまっていた。それによる戦力低下を危惧した治安維持局により、新たなエースモンスターが開発され、新特殊追跡デッキに組み込まれていたのである。

 

「レベル3《ゴヨウ・ディフェンダー》2体に、レベル2《ジュッテ・ナイト》をチューニング!」

 

 ジュッテ・ナイトが2つの光輪へと姿を変えると、ゴヨウ・ディフェンダー達を囲み、6つの光、そして光の柱へと変える。

 

「艱難辛苦乗り越えてぇ! 見せてやろうか男意気ィ! シンクロ召喚!」

 

 光の柱から現れたのは、以前とは比べ物にならない程の威厳と貫禄を身に付けた”ゴヨウ・ガーディアン”。見事な白髪と槍の様な長い柄をつけた十手を振り回すこの戦士こそが新たなる”ゴヨウ”のエースモンスター――――

 

「王の威光の前にひれ伏せぇ! 《ゴヨウ・キング》!」

 

 ATK:2800 レベル8

 

「行くぞこの野郎! バトル! ゴヨウ・キングでA・O・J リサーチャーを攻撃! この瞬間、ゴヨウ・キングの効果発動!」

 

 ゴヨウ・キングが十手を構えると、隣のゴヨウ・プレデターからオーラが溢れ、ゴヨウ・キングへと吸収される。

 

「こいつの攻撃宣言時、攻撃力をダメージステップ終了時まで自分の場の地属性戦士族シンクロモンスター1体につき400ポイントアップさせる!」

 

 ATK:2800→3600

 

「まずはテメェから片付けてやる!」

 

 ゴヨウ・キングが十手を振りかぶり、A・O・J リサーチャーに迫る。この攻撃が通れば、3体目のディアブロのLPは0となる。

 

「罠カード《副作用?》を発動! 相手は1~3枚カードをドローし、自分はその枚数×2000ポイントのLPを回復する! さあドローしろ!」

 

 3体目のディアブロがそう言った瞬間、残りのディアブロ達は躊躇いも無くカードを3枚ドローする。

 

「まーたこの手のコンボかよ……この時点で12000、ならこれ以上増えても大差はねぇ! 3枚ドローだ!」

 

 牛尾 手札:2→5

 ディアブロ1 手札:2→5

 ディアブロ2 手札:2→5

 ディアブロ3 LP:1000→19000

 

 効果処理が終了すると、ゴヨウ・キングがリサーチャーの1体を叩き壊す。

 

 ディアブロ3 LP:19000→16800

 

「ゴヨウ・キングの効果発動! 戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、相手の表側表示のモンスター1体のコントロールを得る! 《A・O・J クラウソラス》! ゴヨウだぁ~!」

 

 ゴヨウ・キングが懐から縄を取り出すと、それで巧みにクラウソラスを捕縛し、牛尾の場に連れ帰る。

 

「続けて行くぜ! ゴヨウ・プレデターでA・O・J クラウソラスを攻撃!」

 

 今度はゴヨウ・プレデターが別のクラウソラスに飛びかかり、十手で殴り落とす。

 

 ディアブロ1 LP:3300→3200

 

「ゴヨウ・プレデターの効果発動! 戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、そのモンスターを俺の場に特殊召喚出来る! 来い! 《A・O・J クラウソラス》ちゃん!」

 

 ゴヨウ・プレデターが撃ち落したクラウソラスを縄で縛り上げると、ゴヨウ・キングと同様に牛尾の場へと連れ帰る。

 

 ATK:2300 レベル6

 

「さあクラウソラス! この街の平和の為に働いてもらうぜぇ! クラウソラス2体でA・O・J ルドラ2体を攻撃! 因みにゴヨウ・プレデターで奪ったモンスターが与える戦闘ダメージは半分になるぜ」

 

 連れ帰られたクラウソラス達はゴヨウ達に縄で御されながら、ルドラ達に襲い掛かる。

 

 ディアブロ2 LP:4000→3400

 

「へっ! 形勢逆転ってまでには行かなかったが、このまま押し切ってやるぜ! カードを3枚伏せてターンエンド!」

 

LP:4000

手札:2

SPC:1

モンスター

・ゴヨウ・プレデター

・ゴヨウ・キング

・A・O・J クラウソラス

・A・O・J クラウソラス

魔法・罠

・強制終了

・セット

・セット

・セット

 

「あーあ、また押し返されちゃってるよ! どうしてプラシドのやる事ってこう上手く行かないのかねぇ? キィーヒッヒッヒ!」

 

 牛尾達よりも先を走りながら後方を見合っているプラシドとルチアーノ。その際にルチアーノがプラシドをからかうが、プラシドは意に介した様子も無く、目的地であるアーククレイドルの方向を見据えた。

 

「時間を稼げれば問題は無い。俺達の使命は女を創造主の下へ連れ帰る事だ」

「(何だよクールぶっちゃってさ……面白くない)」

「それに、ディアブロ共のデッキには”闇のカード”を仕込んでおいた。機皇帝程ではないにせよ、シグナーでもない雑魚を片付けるには十分だ」

 

「私のターン!」

 

 ディアブロ1 手札:5→6

 

 ディアブロ1 SPC:6→7

 ディアブロ2 SPC:6→7

 ディアブロ3 SPC:8→9

 牛尾 SPC:1→2

 

「《Sp-二重召喚》! SPCが2つ以上存在する場合、私はこのターン、通常召喚を2度行える! 《A・O・J コアデストロイ》、《A・O・J ブラインド・サッカー》を召喚!」

 

 1体目のディアブロの場に4足で支え立つ白く長い胴体のロボットと、赤い球体に腕とキャノン砲、そして6本の足をくっつけたロボットが現れる。

 

 A・O・J コアデストロイ ATK:1200 レベル3

 A・O・J ブラインド・サッカー ATK:1600 レベル4

 

「儀式魔法《Sp-高等儀式術》を発動! SPCを4つ取り除く事で、手札の儀式モンスター1体を選択し、そのカードとレベルの合計が同じになるようにデッキから通常モンスターを墓地へ送り、儀式召喚を行う! 私はデッキから通常モンスターレベル3《ジェネクス・コントローラー》とレベル5《A・マインド》を墓地へ!」

 

 ディアブロ1 SPC:7→3

 

 1体目のディアブロが墓地へモンスターを送ると、場に魔法陣が現れ、その中心から体中に仮面を身に付けた半人半魔獣の怪物が杖を振り回しながら現れる。

 

「儀式召喚! 《仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー》!」

 

 ATK:3200 レベル8

 

「(儀式召喚だぁ!? しかもこいつ、何か異様な雰囲気してやがる……!?)」

「バトル! マスクド・ヘルレイザーでゴヨウ・キングを攻撃!」

「強制終了だ!」

 

 牛尾は伏せカード1枚を墓地に送り、ディアブロのバトルフェイズを強制終了させる。

 

「カードを伏せてターンエンド!」

 

LP:3200

手札:0

SPC:3

モンスター

・A・O・J クラウソラス

・A・O・J コアデストロイ

・A・O・J ブラインド・サッカー

・仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー

魔法・罠

・セット

 

「私のターン!」

 

 ディアブロ2 手札:5→6

 

 ディアブロ1 SPC:3→4

 ディアブロ2 SPC:7→8

 ディアブロ3 SPC:9→10

 牛尾 SPC:2→3

 

「永続罠《心鎮壷のレプリカ》を発動! このカードがある限り、指定された魔法・罠のセットカードを発動する事は出来ない!」

 

 1体目のディアブロが罠を発動すると、牛尾の魔法・罠ゾーンにセットされたカードの1枚が黒ずみ、発動できなくなる。

 

「(このやろ……!)」

「儀式魔法《Sp-大地讃頌》を発動! SPCが2つ以上存在する場合、手札・場からレベル合計分のモンスターをリリースする事で、手札から地属性儀式モンスターを儀式召喚する! 手札からレベル8《A・O・J サンダー・アーマー》をリリース!」

 

 2体目のディアブロが墓地へモンスターを送ると、場に魔法陣が現れ、その中心から神々しい青の鎧を纏った超戦士が現れる。しかし、牛尾はその神々しさとは正反対の禍々しさも滲み出ているのを感じ取っていた。

 

「儀式召喚! 《カオス・ソルジャー》!」

 

 ATK:3000 レベル8

 

「(何だってんださっきから! これじゃまるで――――)」

「《Sp-シフト・ダウン》! SPCを6つ取り除き、2枚ドロー!」

 

 ディアブロ2 SPC:8→2 手札:2→4

 

「《Sp-儀式の準備》を発動! SPCが2つ以上存在する場合、デッキからレベル7以下の儀式モンスター1体を手札に加え、墓地から儀式魔法1枚を手札に加える! デッキからレベル6《ダンシング・ソルジャー》を、墓地から《Sp-大地讃頌》を手札に!」

 

 ディアブロ2 手札:3→5

 

「儀式魔法《Sp-大地讃頌》! 手札からレベル6《A・O・J エネミー・キャッチャー》をリリース!」

 

 2体目のディアブロが墓地へモンスターを送ると、場に魔法陣が現れ、その中心から刃を手に取り付けた踊り子の戦士が現れる。先程のカオス・ソルジャーとは違い、このモンスターからは異様な気配は感じられなかった。

 

「儀式召喚! 《ダンシング・ソルジャー》!」

 

 ATK:1950 レベル6

 

「モンスターをセット、バトル! カオス・ソルジャーでゴヨウ・キングを攻撃!」

「強制終了だバカヤロウ!」

 

 牛尾は奪い取ったクラウソラス1体を墓地に送り、またもやバトルフェイズを強制終了させる。

 

「カードを伏せてターンエンド!」

 

LP:3400

手札:0

SPC:2

モンスター

・A・O・J ルドラ

・カオス・ソルジャー

・ダンシング・ソルジャー

・セット

魔法・罠

・セット

 

「私のターン!」

 

 ディアブロ3 手札:0→1

 

 ディアブロ1 SPC:4→5

 ディアブロ2 SPC:2→3

 ディアブロ3 SPC:10→11

 牛尾 SPC:3→4

 

「《Sp-エンシェント・リーフ》! 自分のLPが9000以上の時、SPCを1つ取り除き、LPを2000ポイント払う事で、カードを2枚ドローする」

 

 ディアブロ3 SCP:11→10 LP:16800→14800 手札:0→2

 

「罠カード《DNA定期健診》を発動! カードの特性とバトルロイヤルルール上、この効果は1対1で行われる。私はターンプレイヤーを選択!」

 

 罠を発動させた2体目のディアブロは先程セットした自身のモンスターを指差す。

 

「相手は属性を2つ宣言し、このセットモンスターを確認する。セットモンスターが宣言された属性だった場合、相手は2枚ドロー。違った場合、私が2枚ドローする!」

「私は”闇属性”と”光属性”を宣言!」

「セットモンスターは闇属性《A・O・J アンノウン・クラッシャー》! よって、相手は2枚ドローする!」

「2枚ドロー!」

 

 ディアブロ3 手札:2→4

 

「けっ! こんなのが決闘だってのか! ふざけんじゃねぇ!」

 

 ギャンブルカードによる明らかな出来レースに憤慨する牛尾。もっとも、ディアブロ相手に真っ当な決闘を期待するほうが無駄な話ではあるが。

 

「(それでも納得出来ないのが決闘者ってもんだろ!)」

「《Sp-エンシェント・リーフ》! 自分のLPが9000以上の時、SPCを1つ取り除き、LPを2000ポイント払う事で、カードを2枚ドローする!」

 

 ディアブロ3 SCP:10→9 LP:14800→12800 手札:3→5

 

「《Sp-ハイスピード・クラッシュ》! SPCが2つ以上存在する場合、自分の場と相手の場のカードを1枚ずつ破壊する! 私の場の《A・O・J リサーチャー》とお前の場の《強制終了》を破壊する!」

 

 

 リサーチャーの1体が牛尾の”強制終了”のソリッド・ビジョンに向かって突進してぶつかり、共に消滅してしまう。

 

「ぐっ!? タダじゃおかねぇぞ! 墓地から罠カード《融爆》を発動! 自分の場のカードが魔法の効果で破壊された時、こいつを墓地から除外する事で相手の場のカード1枚を破壊する! もう1体の《A・O・J リサーチャー》を破壊だ!」

 

 牛尾が強制終了のコストとして墓地へ送っていた罠により爆散するリサーチャー。しかし、ディアブロは意に介した様子もなく、手札のカードを手に取る。

 

「儀式魔法《Sp-高等儀式術》を発動! SPCを4つ取り除き、デッキの通常モンスターを素材に儀式召喚を行う! デッキからレベル3《ジェネクス・コントローラー》とレベル5《A・マインド》を墓地へ送り、儀式召喚!」

 

 ディアブロ3 SPC:9→5

 

 3体目のディアブロが墓地へモンスターを送ると、場に魔法陣が現れ、その中心から巨大な建造物の様な大邪神が現れる。上半身の下には赤青黄の強力なエネルギー体が浮いており、それぞれが両腕と下半身を上半身とつなぎ合わせている。

 

「闇のカードの力で死ね! 《大邪神 レシェフ》!」

 

 ATK:2500 レベル8

 

 溢れ出る禍々しい気。マスクド・ヘルレイザーやカオス・ソルジャーからも感じられた異様な威圧感。牛尾はこれを体感するのは初めてだが、思い当たる話を何度か聞いた事があった。

 

「(……こいつ等、”闇のカード”か?)」

 

 かつてB&C社長のボルガーやチーム・カタストロフが持っていた闇のカード。それは決闘のダメージを現実のものとして相手に与えるという危険極まりない代物であり、それと対峙した者は異様な気配や現象を感じたという。ここまで表面的で威圧的だという報告は聞いた事はなかったが、牛尾の決闘者としての直感が”こいつは闇のカードだ”と告げていた。

 

「(……つまり、あれを受けるのはまずい!)」

「大邪神 レシェフの効果発動! 1ターンに1度、手札の魔法カードを1枚捨てる事で、相手モンスター1体のコントロールをエンドフェイズまで得る! 《ゴヨウ・キング》を奪え!」

「何ィ!?」

 

捨てたカード

Sp-ダッシュ・ピルファー

 

 レシェフが場を見下ろし、両掌をゴヨウ・キングに向けて光を放つと、ゴヨウ・キングは3体目のディアブロの場へと移ってしまう。

 

「(ちくしょう! 何で忘れてやがった俺は!? あいつはゴースト……”シンクロキラー”だ!)」

「バトル! ゴヨウ・キングでクラウソラスを攻撃!」

 

 ゴヨウ・キング ATK:2800→3200(自身の効果により)

 

 操られたゴヨウ・キングが十手を振り回し、裏切り者のクラウソラスを叩き壊す。

 

「くっ……!」

 

 牛尾 LP:4000→3100

 

「ゴヨウ・キングの効果発動! 《ゴヨウ・プレデター》のコントロールを得る!」

 

 元々ゴヨウ・キングの部下だからなのか、それともキングの強さに感服したのか、ゴヨウ・プレデターは迷いなくディアブロの下に付く。

 

「ゴヨウ・プレデターで直接攻撃!」

 

 ゴヨウ・プレデターは十手を投げつけ、牛尾に容赦ない一撃を見舞う。

 

「ぐわぁ!?」

 

 牛尾 LP:3100→700

 

「死ねぇ! 大邪神 レシェフで直接攻撃!」

 

 レシェフが牛尾に対して掌を翳し、そこへエネルギーを集中し始める。

 

「やられてたまるかよ! 罠カード《運命の分かれ道》! お互いのプレイヤーはそれぞれコイントスを1回行い、 表が出た場合はLPを2000回復し、 裏が出た場合は2000ダメージを受ける! 全員参加の大勝負だ!」

 

 男牛尾 哲、一か八かの賭けに出る。最高の結果が出れば生き残り、相手に大きなダメージを与える事が出来るだろう。しかし、牛尾が裏を出せばその時点で敗北。ここを切り抜けても下手すればさらに大きな差を付けられてしまう可能性だってある。

 

「問題ねぇ……こういうのはなぁ……”正義”が勝つんだよ!」

 

 全てのプレイヤーの頭上にコインのソリッド・ビジョンが現れる。一斉に回転し――――止まる。

 

「表は……”俺”だけだぁーーーー!!! よっしゃーーーー!!!」

 

 牛尾 LP:700→2700

 

 ここで最高の結果が出る。牛尾には光の粉が降り注ぎ、ディアブロ達の足元からは爆炎が上がる。

 

 ディアブロ1 LP:3200→1200

 ディアブロ2 LP:3400→1400

 ディアブロ3 LP:12800→10800

 

「これも日頃の行いってもんだー! ハハハハハ! ……ハッ!?」

 

 笑っている場合ではない。レシェフの攻撃はまだ続いているのだ。溜め終わったエネルギーが掌から放たれ、牛尾に襲い掛かる。

 

「ぐ、ぐわぁぁぁぁぁーーーー!!?」

 

 牛尾 LP:2700→200

 

 闇のカードの直接攻撃を受け、牛尾のDホイールが大きくスピンする。今にも倒れそうだったが、牛尾の気合と根性で何とか持ち直し、再び走り始める。

 

「ゼィ……ゼィ……こ、こりゃ2度目はねぇな……ダメージ的にもLP的にも」

「ゴヨウ・キングをリリースし、《A・O・J リーサル・ウェポン》をアドバンス召喚!」

 

 ゴヨウ・キングが光の中へと消えると、光の中から様々な兵器を装備したアームを持つ潜水艦の様なロボットが現れる。

 

 ATK:2200 レベル5

 

「エ、エンドに戻ってくるはずのゴヨウ・キングをリリースしやがった……」

「ターンエンド!」

 

ディアブロ1

LP:1200

手札:0

SPC:5

モンスター

・A・O・J クラウソラス

・A・O・J コアデストロイ

・A・O・J ブラインド・サッカー

・仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー

魔法・罠

・心鎮壷のレプリカ

 

ディアブロ2

LP:1400

手札:0

SPC:3

モンスター

・A・O・J ルドラ

・カオス・ソルジャー

・ダンシング・ソルジャー

・セット(A・O・J アンノウン・クラッシャー)

魔法・罠

・なし

 

ディアブロ3

LP:10800

手札:0

SPC:5

モンスター

・大邪神 レシェフ

・ゴヨウ・プレデター

・A・O・J リーサル・ウェポン

魔法・罠

・なし

 

 正に絶体絶命。これだけの大陣営を前に牛尾に残されているのは今の状況じゃ役に立たない2枚の手札と封印されている伏せカードのみ。これでどうやって戦えと言うのか。

 

「(チクショウ……勘が鈍りやがったか? 勝つ方法が……いや)」

 

 牛尾はディアブロの1体を睨みつけ、デッキトップに指を掛ける。

 

「(勝つしかねぇんだ、俺達は! ……俺に、この街を守る力を!) 俺のターン!」

 

 牛尾 手札:2→3

 

 ディアブロ1 SPC:5→6

 ディアブロ2 SPC:3→4

 ディアブロ3 SPC:5→6

 牛尾 SPC:4→5

 

 

「《Sp-貪欲な壺》を発動! SPCを2つ取り除き、墓地からモンスター5体をデッキに戻してシャッフル! 2枚ドローだ!」

 

戻したカード

ゴヨウ・ディフェンダー

ジュッテ・ナイト

トラップ・イーター

リトルトルーパー

チューニング・サポーター

 

 牛尾 SPC:5→3 手札:2→4

 

「《Sp-ツイスター》! SPCが2つ以上存在する場合、表側表示の魔法・罠1枚を破壊する! 《心鎮壷のレプリカ》を破壊だ!」

 

 牛尾の場から竜巻が放たれると、1体目のディアブロの場にあった”心鎮壷のレプリカ”が破壊され、牛尾の場の布せカードの封印が解かれる。

 

「(……遊星よぉ、正直言って、俺は悔しいぜ。何時まで経ってもお前にとどかねぇなんてな)」

 

 3度彼を追い、3度引き離され、3度負けた。お世辞にも昔は善人とは言えず、傲慢だった牛尾でも、昔から決闘者としてのプライドは人一倍に強かった。

 

「(だがよぉ、俺はセキュリティ。治安維持局特別捜査課課長補佐。自分のわがままで、お前の背を何時までも追っている訳にはいかねぇ……俺は、街の平和を守る男だ。その為だったら、湧き上がるプライドを抑え、それをパワーに変えて努力してみせる!)」

 

 牛尾はゴーストに惨敗したその日から、対ゴーストの研究を重ねた。シンクロキラーにどう対抗すればいいのか、時には同じ様に研究を行っていたチーム・5D'sの決闘ですら取り入れた。

 

「(悔しいけどよ、遊星達の研究は俺よりずっと進んでいた。だからこそ俺はプライドを抑えてあいつ等の決闘を研究し、そして見つけた! 遊星の決闘から、ゴーストへの対抗策を!)」

 

 牛尾は手札から1枚のカードを手に取る。

 

「(遊星はこれに満足しなかったみてぇだが、十分だ! これがゴーストに対する俺の切り札だ!) 《Sp-ミラクルシンクロフュージョン》! SPCを2つ取り除く事で、場・墓地から融合素材を除外し、シンクロモンスターを素材とする融合モンスターを融合召喚する! 俺は墓地の《ゴヨウ・キング》と《ゴヨウ・ディフェンダー》を融合!」

 

 牛尾 SPC:3→1

 

 牛尾の墓地からゴヨウ・キングとディフェンダーが飛び出すと、場の中心に現れた次元の渦に飲み込まれる。

 

「正義の男に生まれたからには、帯びて見せよう帝の剣! 天子の階に君臨せよ! 融合召喚!」

 

 次元の渦から現れたのは、宙に浮かぶ玉座に座った青年。その化粧からゴヨウモンスターの1体だと分かるが、逞しく厳つい他のゴヨウ達とは違い、気品と高貴な風格を備えた美青年である。

 これこそが治安維持局の技術の結晶であり、牛尾が抑えてきた決闘者としての野心とプライドを詰め込み現した最強の切り札――――

 

「出でよ! 《ゴヨウ・エンペラー》!」

 

 ATK:3300 レベル10

 

 遊星が通過した機皇帝への対抗策の一つ”シンクロモンスターが駄目なら、その力を受け継いだ強力な融合モンスターで勝負する”――――単純だが効果的かつ強力なこの戦術に、牛尾は目を付けたのである。

 

「覚悟しろよゴースト! ”お上”が現場に出た以上、お前らに勝利はねぇ! 行くぜ! ゴヨウ・エンペラーでマスクド・ヘルレイザーを攻撃! 【ゴヨウ・ゴッド・ブレス】!」

 

 ゴヨウ・エンペラーがマスクド・ヘルレイザーに近づくと、至近距離から炎を吐き出し、マスクド・ヘルレイザーを消し炭に変える。

 

 ディアブロ1 LP:1200→1100

 

「ゴヨウ・エンペラーの効果発動! こいつまたは元々の持ち主が相手となる自分のモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したそのモンスターを自分場に特殊召喚する!」

 

 ゴヨウ・エンペラーが消し炭となったマスクド・ヘルレイザーの一部を拾い上げ、牛尾の場に向かって軽く息で吹き飛ばすと、眩い光と共にマスクド・ヘルレイザーが復活し、牛尾の場に留まる。

 

 ATK:3200 レベル8

 

「さあ新しい臣下マスクド・ヘルレイザーちゃ~ん! 他の奴も引き入れちまいな! カオス・ソルジャーに攻撃!」

 

 こちらへ寝返ったマスクド・ヘルレイザーが手に持った仮面の杖でカオス・ソルジャーに撃ちかかる。カオス・ソルジャーはそれを受け止めようとするが、力で勝るマスクド・ヘルレイザーが強引に押し切り、捻じ伏せて捕縛する。

 

 ディアブロ2 LP:1400→1200

 

「よーしよしよし! 《カオス・ソルジャー》特殊召喚!」

 

 捕縛されたカオス・ソルジャーの額にゴヨウ・エンペラーの手が軽く触れると、カオス・ソルジャーは跪き、ゴヨウ・エンペラーに忠誠を誓う。

 

 ATK:3000 レベル8

 

「それじゃあカオス・ソルジャーちゃ~ん、邪神退治と行こうぜ!」

 

 カオス・ソルジャーは立ち上がると、剣を構え、 レシェフに向かって斬り掛かる。

 レシェフはカオス・ソルジャーを撃ち落そうと腕を振るうが、逆にそれを踏み台とされ、頭部に降り立つ事を許してしまう。

 

「こいつは割と有名なモンスターだからな! 技名知ってるぜ! そらいけ【カオス・ブレード】!」

 

 頭部に降り立ったカオス・ソルジャーは剣をレシェフに突き立てると、自身の全エネルギーを剣から流し込み、レシェフの体内エネルギーを暴発させて爆散させる。

 

 ディアブロ3 LP:10800→10300

 

 バラバラになって降り注ぐレシェフの破片に向かってゴヨウ・エンペラーが手を翳すと、破片が牛尾の場に集まり、再びレシェフの形へと再生する。

 

 ATK:2500 レベル8

 

「我がお上の前では、邪神すら平伏するってか! 痺れるぜぇ! 今度はてめぇだクラウソラス!」

 

 レシェフがエネルギー波を放ち、クラウソラスを吹き飛ばす。

 

 ディアブロ1 LP:1100→900

 

 吹き飛ばされたクラウソラスはバラバラの部品となってぐるぐると空へ舞い上がると、待ち伏せていたゴヨウ・エンペラーに息吹を吹きかけられ、再生して僕となる。

 

 ATK:2300 レベル6

 

「さぁーて、これで俺の場は満員な訳だが……ここでもう一つの秘密兵器といきますか! 永続罠《門前払い》! こいつが存在する限り、プレイヤーに戦闘ダメージを与えたモンスターは持ち主の手札に戻る! つまり……こういうこった! クラウソラス! リーサル・ウェポンに攻撃!」

 

  クラウソラスがリーサル・ウェポンに体当たりをかますと、クラウソラスは光となってディアブロの手札に戻り、リーサル・ウェポンはバラバラになって崩れ落ちる。

 

 ディアブロ3 LP:10300→10200

 

 バラバラになったリーサル・ウェポンはゴヨウ・エンペラーの息吹を受けると、再生して牛尾の場に移動する。

 

 ATK:2200 レベル5

 

 幾ら優秀な奪取能力を持っていても、モンスターゾーンという制限がある限り何れ限界がくる。しかし、”門前払い”で攻撃を終えたモンスターを処理していけば、限りなどない。”法の皇帝”の力を活かした理想的なコンボを、牛尾は完成させたのである。

 

「次はダンシング・ソルジャー!」

 

 リーサル・ウェポンが無数のアームでダンシング・ソルジャーを捕えて拘束してから手札に戻り、すかさずゴヨウ・エンペラーが能力で僕に加える。

 

 ディアブロ2 LP:1200→950

 

 ATK:1950 レベル6

 

「ルドラ!」

 

 ダンシング・ソルジャーはルドラを刃でバラバラにしてから手札に戻り、ゴヨウ・エンペラーが再生させて僕に加える。

 

 ディアブロ2 LP:900→850

 

 ATK:1900 レベル5

 

「ブラインド・サッカー!」

 

 ルドラが光線を放ってブラインド・サッカーを破壊して手札に戻り、ゴヨウ・エンペラーが再生させて僕に加える。

 

 ディアブロ1 LP:900→600

 

「これで決めてやる! 速攻魔法《Sp-禁じられた聖槍》! SPCを1つ取り除く事で、対象モンスターの攻撃力を800ダウンさせ、このカード以外の魔法・罠の効果を受け付けなくさせる! 対象は《A・O・J コアデストロイ》!」

 

 牛尾 SPC:1→0

 

 ATK:1200→400

 

  ブラインド・サッカーが両肩のキャノン砲から砲弾を放ち、コアデストロイを粉々に粉砕して颯爽と手札へと戻って行った。

 

 ディアブロ1 LP:600→0

 

 LPが0となったディアブロは叫び声を上げた後機能を停止し、横転して遥か後方に消える。

 本来の決闘ならばLPが0になった時点で勝敗が確定し、効果処理は打ち切られ行われないが、今回の決闘はバトルロイヤルとライディングデュエルの特性上、ターンが終了するまでプレイヤー情報が残り、処理も続行される。よってコアデストロイは再生され、牛尾の場に移動する。

 

 ATK:1200 レベル3

 

「まずは一匹! バトルフェイズ終了だ!」

 

 牛尾はまだ攻撃出来るにも関わらず、バトルフェイズを終了させてしまう。それは決して無策なのではなく、牛尾はにやついた顔で最後の手札を手に取る。

 

「こいつは元々新特殊追跡デッキに組み込まれていたカードじゃねぇ。俺が個人的に、テメェらゴーストにやられた”怨み”を晴らすために突っ込んだカードだ。よーく味わいやがれ! 《A・O・J コアデストロイ》と《仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー》をリリース!」

 

  コアデストロイとマスクド・ヘルレイザーが光の中へと消えると、その光の中から禍々しい鎧に身を包んだ悪魔の巨人が現れる。

 

「アドバンス召喚! 《怨邪帝ガイウス》!」

 

 ATK:2800 レベル8

 

「ガイウスの効果発動! 闇属性モンスターをリリースしてアドバンス召喚に成功した時、相手の場のカード2枚まで選択し、除外出来る! 《ゴヨウ・プレデター》とセットモンスターを除外だ!」

 

 ガイウスがそれぞれの掌に異次元へと通ずる黒いエネルギー体を作り出すと、それをプレデターとセットモンスターに投げつけ、エネルギー体の中に取り込み異次元の彼方へと葬り去る。

 

「そして1000ポイントのダメージを相手に与える! くたばりやがれ!」

 

 それぞれのエネルギー体がモンスター達を異次元へと飛ばした後、膨張して爆発、ディアブロ達にダメージを与える。

 

 ディアブロ2 LP:850→0

 ディアブロ3 LP:10200→9200

 

 2体目のディアブロもLPが0となった事により、機能が停止して横転。後方へと消える。

 

「ターンエンド!」

 

LP:200

手札:0

SPC:0

モンスター

・ゴヨウ・エンペラー

・カオス・ソルジャー

・大邪神レシェフ

・怨邪帝ガイウス

魔法・罠

・門前払い

 

「俺は逃げも隠れもしねぇぞ! 決着を着けようじゃねぇかゴースト!」

 

 牛尾は緊張した表情でディアブロがドローするのを待つ。

 もしドローカードがSpだった場合、スピード・ワールド2のバーン効果によって牛尾の敗北が決定する。しかし、ディアブロのここまでのSp使用率はかなりのもので、もうデッキにSpが残っているかも怪しいと見える。

 

「(引けやしねぇ! ここまで来たんだ! 絶対に負けねぇ!) さあとっととドローしやがれ!」

 

 凄む牛尾だったが、ディアブロはドローしないまま動かない。Dホイールに設定された制限時間だけが過ぎて行く。

 

「ど、どうしたんだ? ぶっ壊れやがったか?」

〔いやーやるじゃん! まさかシグナーでも何でもない奴がここまで戦えるなんてね! チョービックリだよ! キィーヒッヒッヒ!〕

〔こんな奴が治安維持局に潜んでいたとは……ムシケラの分際で生意気な〕

 

 牛尾が訝しがっていると、突然前方を走るプラシドとルチアーノから通信が送られてくる。

 

「貴様等! 人質を解放しろ! 出なければさっきの2体みたいになるぞ!」

〔何だよ? もしかして自分が優勢だとでも思ってんの?〕

〔よく戦ったと褒めてやろう。だがここでゲームオーバーだ〕

 

 見ると、フレアを捕えた檻が急上昇し、プラシドとルチアーノも次元の裂け目を作り出してその中へと消える。フレアを入れた檻はグングンと地上を離れ、空の彼方へと消えて行った――――そう牛尾には見えたのだが、もしこれがシグナー達や特別な力を持つ者ならば、空に浮かぶ巨大な島へフレアが送られるのが見えただろう。

 

「フレアッ!? ぐ……くそぉぉぉ!!!」

 

 牛尾 手札:0→1

 

 ディアブロ3 SPC:5→6

 牛尾 SPC:0→1

 

 制限時間が過ぎた為、牛尾にターンが回る。

 牛尾は即バトルフェイズを宣言し、モンスター達で一斉攻撃を行った。

 

 ディアブロ3 LP:9200→0

 

 最後のディアブロの機能が停止し、後方へと消える。

 牛尾はDホイールを停止させると、ヘルメットを地面に叩き付け、拳を震わせて俯くのであった。

 

 




いや~懲りずにお久しぶりです。
久々に書きました。遊戯王自体久々なのでルールとか原作知識間違ってないか心配だなぁ~恐いなぁ~(汗)
こんなんでちゃんと終わるのかよぉ~荒巻?
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