遊戯王5D's ~荒野のデュエリスト~   作:鬼柳高原

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第72話 邂逅

「もうすぐ着くね……ごめんねエアトス、ここまで運ばせちゃって」

 

 ロックを追って夜通しシティを目指すフレアとエアトス。エアトスはフレアの言葉に首を振った。不思議な事にフレアを運ぶのに疲れは感じず、負担は殆ど無いと言う。

 

「やっぱり“夢”だからなのかなぁ…………ッ!?」

 

 フレアが瞬きした瞬間、先程のように一瞬で夜が明けた。

 

「何? また夜が……しかも今度は朝になっちゃった」

 

 まあ視界が良くなったからいいけどと呟きながらフレアが辺りを見渡すと、遠くの方に高いビル群が見えた。まだ荒野が広がるこの位置から見えるという事は、相当大きなビルに違いない。

 

「あ! 見えた見えた! 行こうエアトス!」

 

 

* * *

 

 

「何……ここ~~~~!!?」

 

 辿り着いたフレアを出迎えたのは、想像を遥かに超えた未来都市。初めてシティに来た時はその未来的な街並みに驚かされたが、ここはそれ以上だった。

 辺りを見渡せばシティでも見た事ないものばかり。上を見上げると空を飛ぶ飛行船――――いや、人が住む居住区が丸々上に乗った陸地が幾つも空に点在している。

 

「嘘ぉ……まるでSF小説の世界みたい……ここシティよね?」

 

 フレアは何気なく隣にあった電光掲示板に目をやる。

 

 

決闘者の聖地、“ネオ童実野シティ”へようこそ!

さあアナタも一緒に“シンクロ召喚”!

 

 

「……“ネオ童実野シティ”」

 

 未だ信じられないと言う風に辺りを見渡すフレア。自分の知っているシティとはまったく街並みが変わってしまっていて、何処が何処なのかまったく見当がつかない。

 

「何なの……まるで未来にタイムスリップしてきちゃったみたい……ん? タイムスリップ?」

 

 フレアは一つの矛盾に気付く。ここはフリントの“過去”の世界。しかし、ここはどう見ても“未来”のシティ。フリントとロックの年齢差を考えると、ここは現在からまだ数年前の世界であろう。しかし、この未来都市には“ゼロリバース”が起こった形跡は全く無く、サテライトの様な隔離地区が見当たらない。

 

「(待って待って、それだったらもっと変な事がある。どうしてクラッシュタウンに過去の私達がいなかったの? どうしてフリントがクラッシュタウンに住んでいた事を私は知らなかったの?)」

 

 考え出したらきりがない。頭から煙を上げ始めたフレアは考えることをやめると、ロックの行方を追って当ても無く未来都市を彷徨い始めた。

 

 

* * *

 

 

「はあ……眩暈がしてきた。都会に負けそう……」

 

 歩きつかれてベンチに座るフレア。肉体的な疲労はないのだが、流石に何時間も慣れない大都市を彷徨えば気持ち的に疲れてしまう。最初は目新しい光景を楽しんでいたフレアも降参と言った風に項垂れる。人と接することが出来ない寂しさも大きいだろう。

 これからどうするかエアトスに相談しようとすると、目の前の建物から二人の少年が出てくるのが見えた。

 

「まったくDホイールぶっ壊しておいて、あいつはまた女のケツを追いかけてやがるのか!? やる気あんのかよ!」

「まあまあ……あれが彼のエネルギーなんだよ。直ってから頑張って貰おう」

 

 一人は気の強そうな赤い髪の少年。歳は15くらいに見え、鋭い両目の間に皺を寄せながら燃え立つ様な赤髪をガシガシと掻く。

 そして赤髪の少年を宥めるもう一人は――――

 

「(あれ……嘘!? あれって……)」

「じゃあ“セント”僕は部品を調達しにダイモンエリアに行って来るよ」

「おう、頼んだぞ“ジョニー”」

 

 ジョニーと呼ばれた青い髪で背の高い大人しそうな少年は赤髪の少年“セント”と別れて歩き出す。

 フレアは迷わず青い髪の少年の後を追う。何故なら、その少年はフレアがよく知る人物の面影があったからだった。

 

「(“ブルーノ”……どうして貴方がここに!?)」

 

 

* * *

 

 

ジョニーとフレアがやってきたのはダイモンエリア。サテライトが存在しないこの大都市で排出されたゴミは全てここへと集められるようだ。

ジョニーは慣れた足取りで集積所の中へと侵入すると、手当たり次第に捨てられたジャンクパーツを漁り始める。

 

「あ、まだ使えるじゃないかこれ。勿体無いなぁ~……要らないパーツは貰うのみ!」

「(ちょっと若いけどやっぱりブルーノ……まさかブルーノとフリントは何か関係があるの?)」

 

 そんな事を考えながらゴミを漁るジョニーを見ていると、突然後ろからカードが飛来し、ジョニーが手に取っていたジャンクパーツをはじき落とす。

 

「わっ!? な、何!?」

「シティの人間だな? 有り金とカード全て置いて行け。そうすれば無事に帰してやる」

 

 ジョニーとフレアが声の方向に振り返ると、そこには帽子とマントの少年“ロック”が決闘銃を構えて立っていた。

 

「(ロック!? 何やってんの!?)」

「強盗!? わわわ! 撃たないで! 暴力反対!」

 

 ジョニーは膝を付き、両手を翳しながら後ずさる。

 

「ならば要求した物を出せ」

「だ、駄目だよ……お金があったらこんな所にいないし、カードは…………わっ!?」

 

 ジョニーの足元に決闘銃から放たれたカードが突き刺さる。

 

「出せないなら奪うまでだ。力無き者は淘汰される。それはどこの世界でも変わらない」

「ちょっとロック!? 貴方何考えてるの!? それじゃギャング達と一緒じゃない!」

 

 若くても、目の前の人物は憧れの存在であるには変わりない。その人物の悪行にショックを隠しきれなかったフレアは伝わらないと解っていても構わずに飛び出し、ロックに訴えかけた。

 

「故郷の事を忘れたの!? 貴方がそんなんでどうするのよぉ!」

「う、ううう……!」

 

 ブルーノは観念したかのように立ち上がると、怯えながらも歯を食いしばり、決闘盤を展開して構えた。彼の決闘盤は通常タイプとは形が異なっており、特殊な変形構造となっていることから、ジョニーの決闘盤は遊星達と同じライディング・スタンディング共用のハイブリットタイプのようだ。

 

「俺と戦る気か? いいだろう、叩きのめしてやる!」

 

 ロックは決闘銃を装着して決闘盤へと変形させると、ジョニーから丁度良い距離まで離れ、構える。

 

 

 

「「 デュエル!!! 」」

 

 

 

 ロックとジョニーの決闘が始まる。フレアは仕方なしと諦める様に息をついた後、離れて決闘を観戦することにした。先攻はジョニー。

 

「ぼ、僕のターン!」

 

 ジョニー 手札:5→6

 

「魔法カード《ワン・フォー・ワン》を発動! 手札のモンスター1体を墓地へ送り、デッキ・手札からレベル1モンスター1体を特殊召喚する! デッキからチューナーモンスター《TG(テックジーナス) サイバー・マジシャン》を特殊召喚!」

 

墓地へ送ったカード

レベル・スティーラー

 

 ジョニーの場に鎧の様な魔導着を身に纏った魔術師が現れる。

 

 ATK:0 レベル1

 

「そしてレベル4以下のモンスターの特殊召喚に成功した時、このカードを手札から特殊召喚する事ができる! 《TG ワーウルフ》!」

 

 続けて体中に機械改造を施された狼男が現れる。

 

 ATK:1200 レベル3

 

「サイバー・マジシャンでシンクロ召喚を行う場合、手札の“TG”をチューナー以外の素材として使用できる! 僕は手札のレベル4《TG ラッシュ・ライノ》に、レベル1《TG サイバー・マジシャン》をチューニング!」

 

 ジョニーの手札から強化アーマーを身につけたサイが飛び出すと、サイバー・マジシャンが自身を光輪へと変えてそれを囲み、4つの光、そして光の柱へと変える。

 

「リミッター解放、レベル5! レギュレーターオープン! スラスターウォームアップ、OK! アップリンク、オールクリアー! ……GO、シンクロ召喚!」

 

 光の柱から現れたのは、白い衣装を纏った司書。情報端末を手に持ち、装着したゴーグルを光らせて場に降り立つ。

 

「カモン! 《TG ハイパー・ライブラリアン》!」

 

 ATK:2400 レベル5

 

「チューナーモンスター《TG ストライカー》を召喚!」

 

 ジョニーの場に青い特殊アーマーに身を包んだ戦士が現れる。

 

 ATK:800 レベル2

 

「レベル3《TG ワーウルフ》に、レベル2《TG ストライカー》をチューニング!」

 

 ストライカーが自身を2つの光輪へと変え、ワーウルフを囲むと、3つの光、そして光の柱へと変える。

 

「シンクロフライトコントロール! リミッター解放、レベル5! ブースター注入120%! リカバリーネットワーク、レンジ修正! オールクリアー! ……GO、シンクロ召喚!」

 

 光の柱から現れたのは、強化アーマーを纏った剣闘士。手に持った大きな斧を振り回し、ロックに対して構える。

 

「カモン! 《TG パワー・グラディエイター》!」

 

 ATK:2300 レベル5

 

「ライブラリアンの効果発動! シンクロ召喚が成功した時、デッキからカードを1枚ドローする!」

 

 ジョニー 手札:1→2

 

「よし、まだまだ行けるぞ! 墓地の《レベル・スティーラー》の効果発動! 自分の場のレベル5以上のモンスター1体のレベルを一つ下げる事で特殊召喚する! 《TG パワー・グラディエイター》のレベルを下げて特殊召喚!」

 

 グラディエイターの体を擦り抜け、レベル・スティーラーがジョニーの場に現れる。

 

 ATK:600 レベル1

TG パワー・グラディエイター レベル5→4

 

「自分の場にTGが存在する場合、手札からチューナーモンスター《TG ギア・ゾンビ》を特殊召喚できる!」

 

 続けてジョニーの場に巨大な歯車を体に埋め込まれたゾンビが現れる。

 

 ATK:600 レベル1

 

「このカードの効果で特殊召喚した場合、このカード以外の自分の場のTG1体の攻撃力を1000ポイントダウンさせなければならない! 《TG パワー・グラディエイター》の攻撃力をダウンさせる!」

 

 ATK:2300→1300

 

「レベル1《レベル・スティーラー》に、レベル1《TG ギア・ゾンビ》をチューニング!」

 

ギア・ゾンビが自身を光輪へと変え、レベル・スティーラーを囲むと、1つの光、そして光の柱へと変える。

 

「リミッター解放、レベル2! レギュレーターオープン! ナビゲーション、オールクリアー! ……GO、シンクロ召喚!」

 

 光の柱から現れたのは、レシプロエンジンを模したトンボ型のロボット。場を縦横無尽に飛び回ったかと思えば急にピタリと動きを止め、その大きな複眼でロックを見据える。

 

「カモン! 《TG レシプロ・ドラゴン・フライ》!」

 

 DEF:300 レベル2

 

「シンクロ召喚に成功した事により、ライブラリアンの効果で1枚ドロー!」

 

 ジョニー 手札:1→2

 

「魔法カード《悪夢再び》! 墓地の闇属性・守備力0のモンスター2体を手札に加える! 僕は墓地の《TG ワーウルフ》と《TG ギア・ゾンビ》を手札に!」

 

 ジョニー 手札:1→3

 

「そして手札から《TG ギア・ゾンビ》、そして《TG ワーウルフ》を特殊召喚! 《TG パワー・グラディエイター》の攻撃力を再び1000下げる!」

 

TG ギア・ゾンビ ATK:600 レベル1

TG ワーウルフ ATK:1200 レベル3

TG パワー・グラディエイター ATK:1300→300

 

「レベル4となった《TG パワー・グラディエイター》に、レベル1《TG ギア・ゾンビ》をチューニング!」

 

ギア・ゾンビが自身を光輪へと変え、グラディエイターを囲むと、4つの光、そして光の柱へと変える。

 

「システムリセット! ……GO、シンクロ召喚! カモン! 《TG パワー・グラディエイター》!」

 

 光の柱から再びパワー・グラディエイターが現れ、ジョニーの場に降り立つ。

 

 ATK:2300 レベル5

 

「ライブラリアンの効果で1枚ドロー!」

 

 ジョニー 手札:1→2

 

「魔法カード《二重召喚》! このターン、僕は2度目の通常召喚を行う事ができる! 《TG ストライカー》を召喚!」

 

 再びジョニーの場にストライカーが現れ、ワーウルフと共に並び立つ。

 

 ATK:800 レベル2

 

「レベル3《TG ワーウルフ》に、レベル2《TG ストライカー》をチューニング!」

 

 ストライカーが自身を2つの光輪へと変え、ワーウルフを囲むと、3つの光、そして光の柱へと変える。

 

「セカンドシンクロ! ……GO、シンクロ召喚! カモン! 《TG パワー・グラディエイター》!」

 

 ATK:2300 レベル5

 

「ライブラリアンの効果で1枚ドロー!」

 

 ジョニー 手札:0→1

 

「魔法カード《死者蘇生》! 墓地から《TG パワー・グラディエイター》を特殊召喚!」

 

 ジョニーの場に再び現れる最初のパワー・グラディエイター。ジョニーはハッと息を吐き、両手を膝の上に置いた。

 

 ATK:2300 レベル5

 

「はあ……はあ……どうだ、僕にだってこれくらい出来るんだ!」

「…………」

「す、凄すぎ……!? ブルーノってこんなに凄い決闘者だったの!?」

 

 凄まじきかなジョニーのタクティクスとTG。ジョニーは先攻1ターンでなんと5体のシンクロモンスターを揃えてしまったのである。これにはフレアも驚きを隠せず、ロックも一瞬だけ瞠目する。

 

「ターンエンド! 僕は負けないぞ! さあ君の番だ!」

 

LP:4000

手札:0

モンスター

・TG ハイパー・ライブラリアン

・TG レシプロ・ドラゴン・フライ

・TG パワー・グラディエイター

・TG パワー・グラディエイター

・TG パワー・グラディエイター

魔法・罠

・なし

 

「俺のターン」

 

 ロック 手札:5→6

 

「……確かに、凄まじいタクティクスだ。認めよう。だが……同じだ」

「え?」

「俺はこれまでも何人かシティの決闘者を狩っている……実力の差はあれど、結局はそいつらとお前も同じだということだ」

「ど、どういう意味だいそれは?」

 

 ジョニーが警戒しつつ聞くと、ロックはズラリとならんだシンクロモンスター達を見渡し、鼻で軽く笑った。

 

「シンクロモンスターに頼り切った臆病な戦術だ。特にお前は怯えすぎだ。意地を見せたつもりだろうが、モンスターを盾にして俺を遠ざけようとする心が見え透いている」

「うう……!?」

「どんな高い技術を持っていようが、臆病風に吹かれて折れ曲がった気概では通らん。お前は決闘をする前から俺に負けている」

 

 ロックは突き放すように言うと、手札からカードを取り出す。

 

「敗者は消えるのみだ。それを今から教えてやる。……魔法カード《融合》を発動! 手札の《リボルバー・ドラゴン》と《ヴォルカニック・バレット》を融合!」

 

 ロックの場にリボルバー・ドラゴンとヴォルカニック・バレットが現れると、場の中心に現れた次元の渦に飲み込まれ、混ざり合う。

 

「荒野に轟く号砲よ! 炎を纏いし弾丸よ! 地獄の業火でその身を融かし、不死鳥となりて燃え上がり、飛翔せよ! 融合召喚!」

 

 渦の中から現れたのは、場を制圧する兵器の不死鳥――――

 

「現れ出でよ! 《重爆撃禽 ボム・フェネクス》!」

 

 ATK:2800 レベル8

 

「ゆ、融合召喚!? 初めて見た!」

「俺は永続魔法《ブレイズ・キャノン》を発動。カードを1枚伏せ、ボム・フェネクスの効果発動! 場のカード1枚につき、相手に300ポイントのダメージを与える! 場には合計8枚のカード。よってお前に2400のダメージを与える! 〈不死魔鳥大空襲〉!」

 

 ボム・フェネクスが空へ飛び上がると、ジョニーに向かって無数の火炎弾を飛ばす。

 

「わぁぁぁーーーー!!?」

 

 ジョニー LP:4000→1600

 

ジョニーは大空襲に驚いて咄嗟に地面へと伏せるが、そこへロックは容赦無く銃口を向ける。

 

「ブレイズ・キャノンの効果発動! 手札から攻撃力500以下の炎族1体を墓地へ送り、相手モンスター1体を破壊する。俺の手札にある《ヴォルカニック・バックショット》は墓地に送られた時、相手に500のダメージを与え、ブレイズ・キャノンの効果で墓地に送られた場合、デッキから同じ2体を墓地に送って相手の場のモンスターを全て破壊できる! よって――――」

 

 ロックは銃口から3体のヴォルカニック・バックショットをジョニーの場に向かって放つ。

 

「――――お前の場のモンスター全てを破壊し、1500のダメージを与える!」

「うわぁぁぁーーーー!!?」

 

 ジョニー LP:1600→100

 

 3発の弾丸(ヴォルカニック・バックショット)はジョニーの場に着弾すると炸裂し、爆炎によってジョニーとシンクロモンスター達を吹き飛ばす。

 無残な荒野と化した場に横たわるジョニー。ロックが近づこうとした瞬間に立ち上がり、デッキトップに指を掛ける。

 

「は、破壊されたパワー・グラディエイターの効果発動……デッキからカードを1枚ドローする。破壊されたパワー・グラディエイターは3体、よって3枚ドロー!」

 

 ジョニー 手札:0→3

 

「ほう、まだやる気か」

「ぼ、僕だって“チーム・Δ(デルタ)”の一員だ! こんな所で負けてデッキを奪われたら、皆に会わせる顔がないよ!」

「そうか、ようやく気概を見せてくれた所で悪いが、もう手遅れだ。次で仕留める。ターンエンド!」

 

LP:4000

手札:0

モンスター

・重爆撃禽 ボム・フェネクス

魔法・罠

・ブレイズ・キャノン

・セット

 

「僕のターン!」

 

 ジョニー 手札:3→4

 

「まだだ! まだ僕は戦える! 《TG カタパルト・ドラゴン》を召喚!」

 

 ジョニーの場に頭部にカタパルトを取り付けたドラゴンが現れる。

 

 ATK:900 レベル2

 

「カタパルト・ドラゴンの効果発動! 手札からレベル3以下の“TG”のチューナー1体を特殊召喚する! 《TG ジェット・ファルコン》を特殊召喚!」

 

 カタパルト・ドラゴンのカタパルトから光が射出されると、その光はジェットパックを背負った隼へと姿を変える。

 

 ATK:1400 レベル3

 

「レベル2《TG カタパルト・ドラゴン》に、レベル3《TG ジェット・ファルコン》をチューニング!」

 

 ジェット・ファルコンが自身を3つの光輪へと変えると、カタパルト・ドラゴンを囲み、2つの光、そして光の柱へと変える。

 

「リミッター解放、レベル5! ブースターランチ、OK! インクリネイション、OK! グランドサポート、オールクリアー! ……GO、シンクロ召喚!」

 

光の柱から現れたのは、魔導装束の様な機械装甲を身に纏った少女。少女はウィンクをすると、背中に妖精の様な機械の羽を展開し、二つに分けた桃色の後髪を大きく揺らしながらロックに対して構える。

 

「カモン! 《TG ワンダー・マジシャン》!」

 

 ATK:1900 レベル5

 

「素材となったジェット・ファルコンの効果発動! 相手に500ポイントのダメージを与える! そしてワンダー・マジシャンの効果発動! シンクロ召喚に成功した時、場に存在する魔法・罠1枚を選択して破壊する! 君の伏せカードを破壊だ!」

 

 ワンダー・マジシャンが手から2つの光弾を放ち、ロックと伏せカードに命中させる。

 

ロック LP:4000→3500

 

「……破壊されたのは罠カード《荒野の大竜巻》! セットされたこのカードが破壊され墓地へ送られた時、場のカード1枚を破壊する! 《TG ワンダー・マジシャン》を破壊!」

 

 ワンダー・マジシャンが破壊した伏せカードから竜巻が発生すると、ワンダー・マジシャンを巻き込んで共に消滅する。

 

「ううっ……!? ……ワンダー・マジシャンの効果発動! 破壊された時、デッキからカードを1枚ドローする!」

「……まだやる気なのか?」

 

 ジョニー 手札:2→3

 

「まだ僕の手にはカードがある! まだ決闘は出来るんだ!」

「……そうか、まだお前には“形”として“力”が残されているのか」

「え?」

「だが、やはり手遅れだ。お前に勝ち目は無い」

「……このカードは相手にのみモンスターが存在する場合、手札から特殊召喚する事が出来る! 《TG ストライカー》!」

 

 再び現れたストライカー。しかし、このモンスターではとてもボム・フェネクスには届かない。

 

 ATK:800 レベル2

 

「永続魔法《TGX300》! 自分の場のTG1体に付き、自分の場のモンスターの攻撃力を300ポイントアップ!」

 

TG ストライカー ATK:800→1100

 

「バトル! ストライカーでボム・フェネクスを攻撃!」

 

 ストライカーは勇ましくボム・フェネクスへと突撃し、拳を繰り出す。

 

「速攻魔法《イージーチューニング》! 墓地のチューナー1体を除外する事で、自分のモンスター1体の攻撃力を除外したチューナーの攻撃力分アップする! 僕が除外するのは攻撃力1900の《TG ワンダー・マジシャン》!」

 

 ジョニーの墓地からワンダー・マジシャンが飛び出すと、自身を5つの光輪へと変え、ストライカーを囲み、そのまま吸収される。

 

 ATK:1100→3000

 

「何!? シンクロモンスターでありながらチューナーでもあるのか!?」

「行け! ストライカー!」

 

 ストライカーの拳がボム・フェネクスの体にめり込むと、そのまま体ごと突き抜ける。貫かれたボム・フェネクスは地面に落下し、爆散する。

 

「…………」

 

 ロック LP:3500→3300

 

「こ、これでどうだ! ターンエンド!」

 

LP:100

手札:0

モンスター

・TG ストライカー

魔法・罠

・TGX300

 

 頼りのシンクロモンスター達を破壊されても必死に喰らいつくジョニー。そんなジョニーにロックは怯む様子もなく、デッキトップに指を掛けた。

 

「俺のターン!」

 

 ロック 手札:0→1

 

「ブレイズ・キャノンを墓地に送り、手札から《ブレイズ・キャノン-トライデント》を発動!」

「新しいブレイズ・キャノン? でもそれには弾が必要なはず! 今の君には手札が――――」

「墓地の《ヴォルカニック・バレット》の効果発動! LPを500払い、デッキから《ヴォルカニック・バレット》1体を手札に加える」

 

 ロック LP:3300→2800 手札:0→1

 

「あ!?」

「ブレイズ・キャノン-トライデントの効果発動! 手札の炎族1体を墓地へ送る事で、相手モンスター1体を破壊し、相手に500ポイントのダメージを与える!」

 

 ロックは変形させた決闘銃を構え、ストライカーに向かってヴォルカニック・バレットを放つ。バレットを受けたストライカーは火達磨と化し、吹き飛ばされてジョニーの目の前で爆散する。

 

「うわぁーーーー!?」

 

 ジョニー LP:100→0

 

 ソリッドビジョンが消え、決闘終了のアラームが鳴り響く。

 落胆して地面に手を付くジョニー。ロックは傍に近づき、ジョニーを見下ろす。

 

「俺の勝ちだ。今度こそ要求に従って貰うぞ」

「ううっ……そんな……」

 

 ロックがジョニーの決闘盤に手を伸ばした瞬間、1枚のカードがそれを遮って地面に刺さる。どうやら誰かが投げつけたものらしい。

 

「……獲物が増えたか」

「おいテメェ! そいつが誰だか解ってんだろうなぁ?」

 

 カードを投げつけた人物がゴミ山の上から駆け下りてくる。鋭い眼光と赤い髪、先程ジョニーと別れた“セント”と呼ばれた少年であった。

 

「知らん。あえて言うなら今日の獲物だ。お前もそうだ」

「糞野郎! そいつは俺の仲間で、俺は“セント”様だ! 仲間に手を出した野郎はただじゃおかねぇ!」

 

 セントはロックを睨みつけ、ジョニーを引っ張り上げて距離を取る。

 

「セ、セント!? どうしてここに!?」

「最近、決闘者を狙った追い剥ぎが出るって噂を聞いたんでな。もしやと思って来て見りゃドンピシャだ。……しかし、アイツ強いな」

 

 セントはジョニーとロックを交互に見やってから改めてロックに対し構える。

 

「お前が一方的にやられちまうなんてな……あの“バカ”を引っ張ってきて正解だったぜ」

「……もう一人いるな。出てこい」

 

 ロックが後方へ声を掛けると、ゴミ山の影から少年が姿を現す。どうやらセント達の仲間らしく、ロックを挟み撃ちにする為に回り込んでいたようだ。

 

「うへ、見つかっちまった。勘の良い奴だ」

 

 だらしない金髪、青い瞳、整った顔――――これらのパーツと軽い雰囲気から、フレアはこの少年の正体に気付く。

 

「(“バーナード”さんだ……やっぱり、この人もフリントと関係があるんだ)」

 

「おいコラ“バーナード”! あっさり見つかってんじゃねーぞ!」

「すまん、どうやら俺のオーラは女の子だけじゃなく野郎の気まで引いちまうらしい」

「アホな上気色悪いこと抜かすな! ……まあいい、構えろ! 俺とお前でこいつを叩きのめすぞ!」

 

 セントは決闘盤を構えて展開させる。セントの決闘盤はフレアも見た事が無いもので、変形してカードゾーンとなるプレートが存在せず、デッキホルダーからソリッドビジョンで出来たプレートが張り出される。

 

「(うわ、未来的! 昔映画で見た“ライトセーバー”みたい)」

 

 セントと同じ様にバーナードも決闘盤を展開する。彼が使っている決闘盤もセントと同じタイプのものであった。

 

「二人同時か、構わん。返り討ちにしてやる」

「抜かしやがったな! 覚悟しろ!」

「うーん……」

 

 息巻くセントに対し、バーナードは何だか乗り気ではない様子。首をかしげながら決闘盤の構えを解いてしまった。

 

「おいバーナード!」

「セント、やっぱり一人を囲むのはモテないぜ。やるんなら頭数揃えるか、タイマンでやろう」

「何言ってんだ! 仲間がやられた上に、カードまで盗られそうになったんだぞ! こいつはジョニーを侮辱したんだ! ここで俺達が立ち上がらなきゃ“Δ”の名が泣くぞ!」

「でもなぁ……」

 

 バーナードが渋っていると、セントが痺れを切らして怒鳴る。

 

「もういいこの腰抜け! 俺一人でやる!」

「ちょ、腰抜けはないだろ? 俺は決闘者の仁義に則ってだな――――」

「そいつの言うとおりだ。腰抜けは引っ込んでいろ」

 

 今度はロックが振り向きもせずにバーナードに言い放つ。

 

「んなっ!? 俺はお前を気遣って――――」

「ようやく気概のある連中が来たかと思えば、一人はやはり臆病者だ。色男のくせに度胸が無い。……近づいてくる女さえいないんじゃないのか?」

 

 ロックが嘲笑しながらバーナードを煽る。それを聞いた瞬間、バーナードの表情が凍りついた。

 

「(あっ! まずいよ……)」

 

 ジョニーが小声でそう呟いた瞬間、凍りついたバーナードの表情が溶け出し、今度は熱せられたように赤くなり始める。

 

「言ったな……言ってしまったな……言ってはいけない事を言ってしまったなッ!!!」

 

 バーナードは再び決闘盤を構える。涙を流しながら。

 

「やるぞセントッ! こいつを徹底的に叩きのめして、俺とジョニーの前で土下座させてやる!」

「お、おう……きっかけは最悪だが、漸く火が点いたな! 行くぞ!」

「やっとやる気になったな。では遠慮なく狩らせて貰う」

 

 

 

 

「「「 デュエル!!! 」」」

 

 

 

 

 




TGの名前と効果は基本的にOCG・TF6準拠となっております。
またもや突然なる新キャラ。こんな終盤になによって感じですがお許しください。
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