「はぁ……」
「いい加減機嫌直しなよ……」
ため息を付きながら後方で歩くバーナードに、ジョニーは呆れた表情で振り返る。
無事にバーナードと合流したロックとジョニーは、未練がましいバーナードを引っ張ってセントがいるデュエルスタジアムへと向かっていた。バーナードと合流直後、メールで呼び出されたのである。
「それにしてもセント、なんでスタジアムなんかに……何か試合がある訳でもないんだけどなぁ」
「そりゃジョニー、スタジアムでやることなんざ一つだろう?」
「何だいバーナード?」
「ライディング・デュエルに決まってらぁ」
「ライディングって……まだ僕らのDホイールは完成してないじゃないか。レンタルするお金だってないよ」
「あったら作るのにつぎ込んでるわな」
頭をひねっている二人を横に、ロックは見えてきた大きなドーム状の建物に目を向ける。
「……あれがライディング・デュエルの決闘場か」
* * *
「遅いぞお前ら!」
受付を通ってスタジアムの中へと入ると、セントが速足で近寄ってくる。元いた場所にはライディングスーツ姿の男性が三人立っており、何か話し込んでいたようだ。
「遅いじゃねーよ急に呼び出しやがって! しかもまだ俺達には縁の無いスタジアムの中! 何だってんだよ!」
バーナードが苛立った様子でセントに問い詰めると、セントはニヤリと笑ってバーナードを見返す。
「女よりずっといいもん手に入れたんでな。見せてやろうと思ったんだよ、ほれ」
セントが指差した方へ向くと、そこには暖色系の色で塗られたシンプルなDホイールが置かれていた。まだ殆ど使われていない新品のDホイールで、磨き抜かれたボディがスタジアムの照明を反射して光っている。
「Dホイール!? セントあれどうしたの!?」
そう言いながらDホイールに素早く駆け寄るジョニー。何時ものぼんやりした様子からは想像できない手際の良さでDホイールを調べまわす。
「凄い……見た目は旧式モデルだけど、最新技術が詰め込まれたニューモデルだ!」
「クラッシックシリーズの最新モデル。その試作機だそうだ。名前は“イグニッション”」
「“点火”だなんて試作機らしい名前だな。ホントにこれどうしたんだよ?」
バーナードが問いかけると、セントは懐から一通の封筒を取り出す。
「試作機のモニターを募集してたから、応募したら当選した。だからこれは俺のってわけじゃない」
「なんだ。じゃあDホイールが手に入ったわけじゃないのか」
「話はここからだ。このDホイール、A社の担当がかなりの力を入れているシリーズらしくてな。何が何でも成功させて通したいらしい。だからその担当が言ってきたんだ。このDホイールで素晴らしい結果を出した時、これをくれてやるってな」
「まじかよ!?」
バーナードだけではなく、ジョニーまで踊り出しそうなほどに飛び上がる。Dホイール制作を始めて結構経つが、いまだに一台目も完成していないという状態――――そこへ最新のDホイールが丸々一台手に入る。Dホイールが一台でもあればDホイール制作の参考にできる上、すぐにでもライディング・デュエルを始めることができるのだ。これは絶対に逃したくない大チャンスだ。
「あそこにいる三人がテストの相手だ。A社の専属テストホイーラーで、プロ決闘者でもある。あいつらと試合形式でのチーム戦に勝つことが最低条件だ」
「プ、プロ!? 僕等はまだライセンスを取ったばかりなのに!? 勝てないよ!」
「何ビビってんだジョニー! プロにだって勝てなきゃ大会を勝ち抜くなんて無理だぜ!」
バーナードは突然駆け出し、対戦相手達の元へと向かう。なにやら話しているのが見え、最後は互いに頷いて別れた。
「おし! やるって伝えてきたぞ!」
「ええ~!? 本当にやるの?」
「たりめーだ! セント! 俺達はこいつを乗り回すってことでいいんだよな?」
「ああ、耐久を調べる為にもそうしてくれとのことだ。……順番はもう決めてある。一番手はロック、次にジョニー、最後はバーナードだ」
セントがそう言った瞬間、バーナードとジョニーが声を上げた。
「ちょっとまて! 俺最後かよ!?」
「いやそこじゃないよ! ロックが出るの!? まだライセンスも持ってないし……Spは? ライディング・デュエル知ってる?」
ジョニーがロックに振り替えると、ロックは軽くうなずく。
「ライディングは知っている。ルールもだ。故郷でも行われていたからな。だがそれ用のデッキは持っていない」
「Spはやるよ。どうだ、やってみないか?」
「……いいのか? お前が出なくて?」
「お前が入ったその瞬間から、俺はもう選手じゃねぇ」
そういってセントは懐からメモを取り出し、そこに
「これがお前に入る前の“チーム・デルタ”。そして入った後が……こう」
セントの名前を塗りつぶし、横にロックと書き直す。そしてΔの中心部に再びセントの名前を書き込む。
「弾丸野郎のバーナードを先頭に、お前とジョニーが脇を固める。俺はその布陣の司令塔……これが俺の理想とする最強チームだ。俺は元々こういうポジションにいたかったんだよ」
セントはメモをしまうと、ロックの肩に手を置く。
「俺は俺の手で最強のチームを作って、この決闘界を制覇することが夢なんだ。その為にお前の力を改めて見たい。やってくれるな?」
「ちょ、ちょっと待って! ライセンスの無いロックがテストホイーラーなんてやっていいのかな……」
ジョニーが不安そうにつぶやく。
「ここまで来てライセンスを見せろだなんて言うやつはいねぇよ。それにロックはDホイールに乗ってここまで来たんだろ? 運転も問題ないはずだ」
ロックのことはジョニーが道中でメールを送って幾らか伝えてあったので、セントはロックがDホイールに乗れるのを知っている。ジョニーはまだ不安そうにしていたが、セントの押しに負けて引き下がった。
「ロック、一番手やってくれるか?」
「二人が了承するなら、構わない」
「いいぜ。ロックのライディング、見てみたいしな」
「ふ、不安だけど……ロックがやる気ならいいかな」
バーナードとジョニーが了承すると、セントは笑みを浮かべてロックの肩を叩き、Spとライディング専用カードの束を手渡す。ロックはデッキから何枚かのカードを抜いてから、それをデッキに組み込んだ。
「よっしゃ! ……そうだロック、もしこの決闘でお前が三人抜きできたのなら、この“イグニッション”をお前の乗機にしてやるよ」
「ええまじかよ!? 俺が乗ろうと思ってたのに!」
詰め寄ってくるバーナードを、セントは片手で制する。
「三人抜きできたらだ。プロ相手には相当難しいぜ?」
「……いいのか? 新入りの俺にそんな条件を出して」
「構わねぇよ。最高のマシンは、最強の決闘者にこそ相応しい。お前はバーナードに負けはしたが、それは二対一だったからだ。この決闘でお前の実力が奴よりも上であることを示してみたらどうだ?」
「グギギ……!」
セントが挑発的に言うと、バーナードは悔し気な表情をロックに向ける。
「やってみるがいいロック! どうせ俺まで回ってくるだろうけどな!」
「分かった」
ロックは帽子とマントを脱ぐと、用意されていたヘルメットを被り、イグニッションに跨る。相手も準備万端のようで、すでにDホイールと共にスタートラインに立っていた。ロックもすぐにスタートラインへ向かおうとするが、セントがそれを止め、耳元へと顔を寄せてくる。
「ロック、最後に言っておくぜ。これだけは言いたい」
「何だ?」
「俺は来る者を拒まない。去る者も追わない。だが裏切り者は許さない。裏切りはチームにおける最大最凶の事故だ。このチームには俺達の“夢”が詰まっている。分かったな?」
セントは声を低くしてロックを睨み付ける。とても仲間に向けるような言葉と表情ではないが、ロックは別段気にせず、それほど本気なのだと受け止め、セントを睨み返す。
「……なら、お前も覚えておいてくれ。俺はお前達に期待してここに来たんだ。俺の期待を裏切ってくれるなよ」
「ハハ! 言うじゃねぇか! お互いにいい夢見ようぜ! ほら行きな!」
セントは笑顔を浮かべてロックの背を叩くと、ロックはイグニッションを発進させ、スタートラインへと向かう。それを見送った3人はピットへと向かった。
「そう言えばセント、よく僕等テストホイーラー通ったね? まだ実績どころか、Dホイールすら持ってないのに……」
「それはあれだ。ウェンディに話を通して貰った。この業界に顔が利くからなあのおばさん」
「なんだ、ちゃんと教えておいてくれればあの時お礼を言えたのに……」
「おい二人とも何話してんだ? 始まるぜ! おーいロック! そいつをバッチシ“点火”させてやれよー!」
バーナードの声に、ロックは一瞥して応える。
《スピード・ワールド2》セット、マニュアルモード
「君が一番手か。見たことのない顔だな」
決闘開始のカウントが動き始めた時、対戦相手のファースト・ホイーラーが話しかけてくる。
「“デルタ”の新入りだ。よろしく頼む」
「その“デルタ”ってのも知らんがな。我々“チーム・不知火の太刀”の相手になるのか?」
「刀が相手なら、余裕だ」
「……言ってくれるな。我ら兄弟はずっと共に決闘をしてきた。チーム戦で素人に負けるなどありえない。不知火一族が三男、“
「来い」
この瞬間、カウントが0となった。
「「 ライディング・デュエル! アクセラレーション! 」」
ほぼ同時にスタートする二台のDホイール。ライディング・デュエルは初めてのはずのロックだが、見事なスタートダッシュを決める。更に――――
「何!?」
戦三とインコースの間を強引に通り抜け、第一コーナーを抜ける。
「うわ!? 強引に入ったな!」
「危ないねあれは……今度ちゃんと教えてあげよう」
どうやらあまり褒められた走りではなかったらしく、何事もなかったことにバーナードとジョニーは胸を撫で下ろす。
「第一コーナーを取った方が先攻だったな? 俺のターン!」
ロック 手札:5→6 SPC:0→1
戦三 SCP:0→1
「《ヴォルカニック・エッジ》を召喚!」
ロックの場にヴォルカニック・エッジが現れ、イグニッションに追走する。
ATK:1800 レベル4
「ヴォルカニック・エッジの効果発動! 1ターンに一度、相手に500のダメージを与える!」
ヴォルカニック・エッジが振り返り、戦三に向かって火炎を放つ。
「ぬう! 先攻からダメージを与えに来るか!」
戦三 LP:4000→3500
「カードを4枚伏せてターンエンド!」
ロック
LP:4000
SPC:1
手札:1
モンスター
・ ヴォルカニック・エッジ
魔法・罠
・セット
・セット
・セット
・セット
「私のターン!」
戦三 手札:5→6 SPC:1→2
ロック SPC:1→2
この瞬間、ロックが伏せカードの1枚を展開させる。
「永続罠《ブレイズ・キャノン・マガジン》! 自分と相手のメインフェイズ時に1度、手札の“ヴォルカニック”1枚を墓地へ送り、1枚ドローできる!」
ロック 手札:1→0→1
捨てたカード
ヴォルカニック・バレット
「(フン、手札を交換したところでなんになる?)《不知火の
戦三の場に一人の僧侶が現れる。確かにそこに存在はしているが何故か気配が薄く、気を離せばフッと消えてしまいそうな気さえしてしまう。
ATK:500 レベル4
「隠者の効果発動! 場のアンデット1体をリリースし、デッキから守備力0のアンデットチューナー1体を特殊召喚する! このカードをリリースし、《ユニゾンビ》を特殊召喚!」
隠者が消滅すると、戦三の場に二人組のゾンビが現れ何故か歌い出す。
ATK:1300 レベル3
「ユニゾンビの効果発動! デッキからアンデット族1体を墓地へ送り、場のモンスター1体のレベルを1つ上げる! デッキから《馬頭鬼》を墓地へ送り、このカードのレベルを1つ上げる!」
ユニゾンビ レベル3→4
「更にもう一つの効果発動! 手札を1枚捨て、場のモンスター1体のレベルを1つ上げる! ヴォルカニック・エッジのレベルを上げる!」
戦三 手札:5→4
捨てたカード
ノーブル・ド・ノワール
ヴォルカニック・エッジ レベル4→5
「そして墓地に送った馬頭鬼の効果発動! このカードを除外し、墓地のアンデット1体を特殊召喚する! 《不知火の隠者》を特殊召喚!」
戦三の場に再び影者が現れる。
ATK:500 レベル4
「レベル4《不知火の影者》に、レベル4《ユニゾンビ》をチューニング!」
ユニゾンビが自身を4つの光輪へと変えると、隠者を囲み、4つの光、そして光の柱へと変える。
「太刀に宿りし魂よ! 猛き不知火の如く燃え上がり、戦神となりて降臨せよ!」
光の柱の中から現れたのは、鎧の上に羽織を纏った二刀流の武士。額には三日月の紋章。右手には青白い気を放つ妖刀を持ち、左手には燃え上がる炎の様な形をした剣が握られている。
「シンクロ召喚! 現れよ! 《
ATK:3000 レベル8
「特殊召喚された戦神の効果発動! このターンの間、自分の墓地のアンデット族1体を除外することで、その元々の攻撃力分だけこのカードの攻撃力を上げる! 攻撃力2000のアンデット《ノーブル・ド・ノワール》を除外!」
戦三の墓地から魂が一つ飛び出すと、戦神が持つ刀に吸い込まれる。
ATK:3000→5000
「攻撃力5000だぁ!? 1ターン目からぶっとんでやがる!」
「流石はトップクラスのプロチームだな。こりゃ条件きつ過ぎたか?」
「遅いよ今更! ……ロック、大丈夫かな」
ピットの面々が目の前を走り抜けたロックを視線で追いかける。初めてのライディング・デュエルな上にこの様な強敵を前にして圧されていないかジョニーは心配していたが、ヘルメット越しに見えるロックの表情はいつも通りであった。
「バトルだ! 戦神―不知火でヴォルカニック・エッジを攻撃! 【炎妖の殺陣】!」
戦神が刀と剣を舞わせ、ヴォルカニック・エッジを華麗に切り捨てる。ヴォルカニック・エッジはバラバラに斬り裂かれた後、爆散した。
「ぐあぁぁぁ!?」
ロック LP:4000→800
大ダメージを受けたロックは大きくスリップし、後方へと下がる。
「ハッハッハ! すまないなルーキー! 不知火に手加減などという文字は無いのでな! 悪く思うな!」
スリップするロックを追い抜き、高らかに笑う戦三。ロックは冷静にハンドルを握り直し、力ずくで体勢を立て直す。
「ごっそり持ってかれやがった……ジョニー、準備しとけよ」
「う、うん……」
「ちょっと待ったセント、これからだぜ」
「何言ってんだ。もう
スピード・ワールド2におけるライディング・デュエルでは、手札のSpと4つのSPCがあればフィールドの効果によって相手に800のダメージを与えられる。よってLPが800になるということはリタイア寸前、崖っぷちまで追い詰められたも同然なのである。なのでセントはセカンド・ホイーラーであるジョニーに準備を促したのだが、バーナードはそれを止めた。
「そっからが決闘だぜ? ほらジョニー着席~」
「(あんなにやりたがってたのに……なんだかんだ言って一番ロックのこと応援してるのバーナードなんだなぁ)」
「罠カード《ダメージ・コンデンサー》そして《デス・アクセル》! 戦闘ダメージを受けた時、手札を1枚捨てることでそのダメージ以下の攻撃力を持つモンスター1体をデッキから攻撃表示で特殊召喚する! 俺が受けたダメージは3200! 2900の《炎神機-紫龍》を特殊召喚!」
ロック 手札:1→0
捨てたカード
ヴォルカニック・ハンマー
ロックの場に紫龍が現れ、ロックと共に前方を行く戦神を追いかける。
ATK:2900 レベル8
「そしてデス・アクセルの効果で受けたダメージ300につきSPCを1つ増やす!」
ロック SPC:2→12
「何!? こちらの攻撃を利用してデッキから最上級モンスターを呼んだ上にSPCまで増やすとは……だが君は既にデッドゾーン! 次で退場してもらうぞ! カードを3枚伏せてターンエンド!」
戦三
LP:3500
SPC:2
手札:1
モンスター
・戦神―不知火
魔法・罠
・セット
・セット
・セット
「あの最後の手札、十中八九Spだな。次の相手ターンでSPCは4つ。ターンが回った時点でトドメをさすつもりだろうな。……どうするよロック?」
仲間のピンチにも関わらず、バーナードが楽しそうに笑う。
「俺のターン!」
ロック 手札:0→1 SPC:12
戦三 SPC:2→3
「墓地の《ヴォルカニック・バレット》の効果発動! LPを500払い、デッキから《ヴォルカニック・バレット》を手札に加える!」
ロック LP:800→300 手札:1→2
「更に《ブレイズ・キャノン・マガジン》の効果でバレットを墓地に送り、1枚ドロー!」
ロック 手札:2→1→2
「《Sp-アクセル・ドロー》! 自分のSPCが12個、相手のSPCが5個以下の場合、2枚ドローする!」
ロック 手札:1→3
「《炎帝近衛兵》を召喚!」
ロックの場に炎帝近衛兵が現れ、紫龍に付き従うように続く。
ATK:1700 レベル4
「炎帝近衛兵の効果発動! 召喚に成功した時、墓地の炎族4体をデッキに戻し、2枚ドローする!」
デッキに戻したカード
ヴォルカニック・バレット
ヴォルカニック・バレット
ヴォルカニック・ハンマー
ヴォルカニック・エッジ
ロック 手札:2→4
「《Sp-起爆化》! SPCが2つ以上の時、自分の場の魔法・罠を1枚破壊することで相手のモンスター全ての表示形式を変更する! 伏せカードを破壊し、戦神―不知火を守備表示にする!」
ロックの場の伏せカードの
破壊されたカード
光の護封霊剣
「守備表示!? しまった!?」
ATK:3000→DEF:0
「とんでもねぇ攻撃力かと思ったら、守備はペラペラじゃねぇか!」
「まあ、おかしくはないな。突出した能力があれば、その分へこみがあるもんだ。それを如何に補い、突いて行くかが決闘者の腕の見せ所だろう」
バーナードとセントが見守る中、ロックはスピードを上げて戦三へと迫る。
「バトル! 紫龍で戦神―不知火を攻撃!」
紫龍が放った火炎のブレスが戦神を吹き飛ばす。
「紫龍は貫通ダメージを与える!」
「ぐわぁぁぁ!!?」
戦三 LP:3500→600
今度は戦三が大きくスリップし、ロックがその隙をついて追い抜く。
「炎帝近衛兵!」
「ぬうう! 罠カード《リビングデッドの呼び声》! 墓地の《戦神―不知火》を特殊召喚!」
近衛兵がトドメをさそうとした瞬間、戦神が場に舞い戻り、近衛兵の動きを制する。
ATK:3000 レベル8
「攻撃を中止し、バトルフェイズを終了。カードを伏せる」
ロックはそう宣言した後、手札のカード1枚を後方の戦三へと見せる。
見せたカード
Sp-オーバー・ブースト
「終わりだ。《スピード・ワールド2》の効果発動! 手札のSp1枚を見せ、SPCを4つ取り除き、相手に800のダメージを与える!」
ロック SPC:12→8
ロックのイグニッションから光線が放たれ、戦三のDホイールに命中する。
「うわぁ!? ……くっ! なんてことだ!」
戦三 LP:600→0
ロック
LP:300
SPC:8
手札:2
モンスター
・炎神機-紫龍
・炎帝近衛兵
魔法・罠
・ブレイズ・キャノン・マガジン
・セット
戦三は自身のLPが0になると、急いで自チームのピットへと入る。
「戦三! なんだそのザマは!」
「長兄……面目ない……」
不知火家長兄“
「心配なさるな兄者。負けたとはいえ、不知火流の1体を残しました。戦三は最低限の仕事はこなしたのです。後はお任せを」
「……次兄、油断されぬよう。奴はただの決闘者ではない」
「解っている。奴は不知火の隙を一瞬で見抜いたのだ。これ以上やらせはせん!」
刀次はアクセル全開で飛び出し、一周してきたロックに抜かれる前に並走する。
ライディング・デュエルのチーム戦において、敗北によるプレイヤーの交代が行われた場合、ターンプレイヤーのターンは強制終了し、新しいプレイヤーのターンとなる。
「不知火家が次男! “不知火 刀次”が相手だ!」
「来い!」
「「 デュエル!!! 」」
「私のターン!」
刀次 手札:5→6 SPC:3→4
ロック SPC:8→9
「弟が伏せた罠カード《強欲な瓶》を発動! 1枚ドローする!」
刀次 手札:6→7
「《不知火の
刀次の場に赤袍を着た宮司が現れる。
ATK:1500 レベル4
「このカードの召喚に成功した時、手札・墓地から宮司以外の“不知火”1体を特殊召喚できる! 手札から《妖刀-不知火》を特殊召喚! この効果で呼び出された不知火は場を離れた場合、除外される!」
続けて現れたのは武士の魂が宿る一振りの妖刀。宮司は妖刀の前に座り、祈りをささげ始める。
ATK:800 レベル2
「レベル4《不知火の宮司》に、レベル2《妖刀-不知火》をチューニング!」
妖刀が自身を2つの光輪へと変えると、宮司を囲み、4つの光、そして光の柱へと変える。
「武士に宿りし魂よ! 刀剣の如く煌き、刀神となりて降臨せよ!」
光の柱の中から現れたのは、一人の武士に取り憑いた妖刀-不知火。妖刀から浮き出た青年の霊体が武士の背後に大きく現れ、武士は妖刀を勇ましく構える。
「シンクロ召喚! 現れよ! 《
ATK:2500 レベル6
「弟を倒した力量は見事。しかし、これはチーム戦! 場を繋げられなければ意味は無い! 《Sp-サイクロン》! SPCを2つ取り除き、魔法・罠カードを1枚破壊する! 対象はお前の伏せカード! それが私の攻撃を防ぐものだということは読めている!」
刀次 SPC:4→2
わざわざ攻撃の準備をせずとも、スピード・ワールド2の効果を使えばロックは脱落する。しかし、それでは多くのカードを残して次走者であるジョニーへと繋がってしまう。なので刀次はロックが窮地を防ぐために伏せたであろうカードとモンスターを処理するため、攻撃を仕掛けるつもりなのだ。
刀次の場からサイクロンが発生し、ロックの場へと迫る。
「鋭いな。良い読みをしている……だが、俺を斬るには一歩足らない! 罠カード《ホーリーライフバリアー》! 手札を1枚捨てることで、このターン俺は相手から受ける全てのダメージを0にできる!」
ロック 手札:2→1
捨てたカード
Sp-オーバー・ブースト
サイクロンは伏せカードを破壊して役目を果たしたが、その効果までは破壊できない。ロックとモンスター達を光の障壁が包み込む。
「ホーリーライフバリアー!? ぐぐぐ……!」
ロックが発動した罠を見て、刀次はヘルメットの下で苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべる。ホーリーライフバリアーはあらゆるダメージを0にし、更にモンスターを戦闘破壊から守る力を持つ。つまりこのターン、刀次は効果ダメージも戦闘も封じられたことになる。読みは当たっていたが、今の刀次の手では避けられぬ罠だった。
「……だが、やれることはやらせてもらうぞ! 墓地の炎属性1体を除外し、《インフェルノ》を特殊召喚!」
除外したカード
不知火の宮司
刀次の場に燃え上がる一つの大きな炎が現れ、その中心に恐ろし気な顔が浮かび上がる。
DEF:1900 レベル4
「ここで除外した宮司の効果発動! 相手の表側カードを破壊する! 《炎神機-紫龍》を破壊!」
刀次が宣言すると、紫龍が突然苦しみだし、全身から赤い炎を上げてそのまま消滅してしまう。
「これでお前には下級モンスターのみ! カードを2枚伏せてターンエンド!」
刀次
LP:4000
SPC:2
手札:1
モンスター
・戦神-不知火
・刀神-不知火
・インフェルノ
魔法・罠
・リビングデッドの呼び声(戦神-不知火)
・セット
・セット
・セット
「俺のターン!」
ロック 手札:1→2 SPC:9→10
刀次 SPC:2→3
「《Sp-ダッシュ・ピルファー》! SPCが4つ以上存在する場合、エンドフェイズまで相手の表側守備表示モンスター1体のコントロールを得る! こちらへ来い《インフェルノ》!」
ロックが宣言すると、インフェルノがロックの場へと移る。
「低い攻撃力を晒すまいとしたのが仇となったか……!」
「ブレイズ・キャノン・マガジンの効果発動! 手札の《ヴォルカニック・バックショット》を墓地へ送り、1枚ドロー!」
ロック 手札:1→0→1
「そして墓地へ送った《ヴォルカニック・バックショット》の効果発動! “ブレイズ・キャノン”カードの効果で墓地へ送られた場合、手札・デッキから同名カード2体を墓地へ送ることで相手モンスター全てを破壊する! デッキから2体墓地へ!」
ロックが腰から決闘銃を抜くと、アンデット達に向かってヴォルカニック・バックショットを撃ち込み破壊する。
「さらにバックショットは墓地に送られた時、相手に500のダメージを与える!」
「ぐわぁぁぁ!?」
刀次 LP:4000→3500→3000→2500
刀次は爆散したモンスター達から噴き出した炎に巻かれ大きく体勢を崩してしまうが、プロのテクニックを発揮しなんとか持ちこたえる。
「くっ! 罠カード《白衣の天使》! ダメージを受けた時、LPを1000回復する! そして破壊された戦神の効果発動! 除外されている守備力0のアンデット族1体を墓地へ戻す! 《妖刀-不知火》を墓地へ! 」
刀次 LP:2500→3500
「2体のモンスターをリリース!」
ロックの場の近衛兵とインフェルノが光の中へと消えると、その光の中から八つの頭を持ち、体に機械改造が施された大蛇が現れる。
「《
ATK:2600 レベル7
「バトル! 八俣大蛇で直接攻撃!」
八俣大蛇が八つの頭から一斉に炎のブレスを放つ。
「罠カード《波動再生》! 直接攻撃による戦闘ダメージを半分にする! ぐぅぅ!?」
刀次 LP:3500→2200
「そして自分の墓地から攻撃モンスターのレベル以下のレベルを持つシンクロモンスター1体を特殊召喚する! 来いレベル6! 《刀神-不知火》!」
ブレスを受けて後退する刀次の前に刀神が再び現れ、妖刀を構える。
ATK:2500 レベル6
「八俣大蛇の効果発動! 相手に戦闘ダメージを与えた時、手札が5枚になるようにデッキからドローする! 俺の手札は0! よって5枚ドローする!」
ロック 手札:0→5
「……カードを2枚伏せてターンエンド! エンドフェイズ時に八俣大蛇は手札に戻る!」
ロック 手札:3→4
ロック
LP:300
SPC:10
手札:4
モンスター
・なし
魔法・罠
・ブレイズ・キャノン・マガジン
・セット
・セット
「私のターン!」
刀次 手札:1→2 SPC:3→4
ロック SPC:10→11
「不知火流に連敗などありえんのだ! 兄者、不甲斐ないがここで不知火の切り札を使わせて貰う! 墓地の《妖刀-不知火》の効果発動! このカードと墓地のチューナー以外のアンデット1体を除外し、エクストラデッキからそのレベル合計と同じ数値のレベルを持つアンデット族シンクロモンスター1体を特殊召喚する! 墓地のレベル8《戦神-不知火》とレベル2のこのカードを除外し、レベル10の《
刀次の場に妖刀-不知火から浮かび上がっていた青年が炎の馬に跨って現れる。しかし、青年は先ほどまでの霊体の姿ではなく肉体を持っており、霊体時に宿っていた妖刀を手に持っている。
ATK:3500 レベル10
「炎神の効果発動! 特殊召喚に成功した場合、自分の墓地にあるか除外されているアンデットシンクロモンスターを任意の数だけエクストラデッキに戻すことで、戻した数と同じ枚数だけ相手の場のカードを破壊する! 除外されている戦神をエクストラデッキに戻し、お前の伏せカードを破壊する!」
炎神は妖刀を振り、ロックの伏せカードの1枚に向かって衝撃波を飛ばして真っ二つにする。
破壊されたカード
魔法の筒
「ハハハ! やはり罠だったな!」
「ブレイズ・キャノン・マガジンの効果発動! 手札の《ヴォルカニック・バレット》を墓地へ送り、1枚ドロー!」
ロック 手札:4→3→4
「バトル! 炎神で直接攻撃! 【
「俺の罠は一つではない! 罠カード《ドレインシールド》! 攻撃を無効にし、その攻撃力分だけ俺のLPを回復する!」
炎神が馬を走らせてロックに並走し、刀を振り下ろす。しかし刃はロックの前に現れた光の障壁に阻まれた。
ロック LP:300→3800
「お、おのれぇ!!! 刀神で直接攻撃! 【
今度は刀神が妖刀を振り上げ、ロックに向かって斬撃の嵐を繰り出す。
「ぐあぁぁぁ!?」
ロック LP:3800→1300
二度目の攻撃は防げず、ロックはスリップして大きく後退する。
「切り札をもってしても攻め切れぬとは! この男、何者なのだ! カードを伏せてターンエンド!」
刀次
LP:2200
SPC:4
手札:1
モンスター
・刀神-不知火
・炎神-不知火
魔法・罠
・セット
・セット
「俺のターン!」
ロック 手札:4→5 SPC:11→12
刀次 SPC:4→5
「ブレイズ・キャノン・マガジンの効果発動! 手札の《ヴォルカニック・リボルバー》を墓地へ送り、1枚ドロー!」
ロック 手札:5→4→5
「《Sp-エンジェル・バトン》! SPCを4つ取り除き、デッキから2枚ドローし、手札から1枚を墓地へ送る!」
ロック SPC:12→8 手札:4→6→5
墓地へ送ったカード
八俣大蛇
「《ヴォルカニック・ロケット》を通常召喚!」
ロックの場にヴォルカニック・ロケットが現れ、猛スピードでロックを追走する。
ATK:1900 レベル4
「ロケットの効果発動! 各種召喚に成功した時、デッキ・墓地から“ブレイズ・キャノン”カードを1枚手札に加える! デッキからもう1枚の《ブレイズ・キャノン・マガジン》を手札に!」
ロック 手札:4→5
「……行くぞ! 場のブレイズ・キャノン・マガジンは《ブレイズ・キャノン-トライデント》として扱うことができる! これを墓地へ送り、手札から《ヴォルカニック・デビル》を特殊召喚!」
ロックの場のブレイズ・キャノン・マガジンが消滅すると、コースの地面を割って中からヴォルカニック・デビルが炎と共に姿を現す。
ATK:3000 レベル8
「《Sp-ハーフ・シーズ》! 相手モンスター1体の攻撃力を半分にし、その数値分だけ俺のLPを回復する! 対象は攻撃力3500の《炎神-不知火》だ!」
ATK:3500→1750
ロック LP:1300→3050
「カードを2枚伏せ、バトルだ! ヴォルカニック・デビルで炎神-不知火を攻撃!」
「お前を兄者の元へは行かせん! 不知火の奥義を受けてみよ! 罠カード《不知火流
炎神が迫り来るヴォルカニック・デビルに向かって刀を二度振り、二つの斬撃をそれぞれデビルとロケットへと飛ばす。
「手札から速攻魔法《Sp-スピード・フォース》を発動! SPCが4つ以上存在する場合、このターン自分の場のカードは相手の魔法・罠の効果では破壊されない!」
ロックがSpを発動させると、デビルとロケットは炎神の斬撃を紙一重で避ける。斬撃を外した炎神は力を使い果たし、落馬して馬と共に消滅した。
「これもかわすのか!?」
「バトル再開だ! デビルで刀神を攻撃! 【ヴォルカニック・キャノン】!」
デビルが口から火炎岩を放ち、刀神を破壊する。
「ぬぅぅ!?」
刀次 LP:2200→1700
「トドメだ! ロケットで直接攻撃!」
デビルの攻撃の余波でひるんだ刀次にロケットが突進を仕掛け、体をDホイールのフレームにかすらせて機体を揺らした。
「ぐわぁ!? ……ここまでか」
刀次 LP:1700→0
ロック
LP:3050
SPC:8
手札:0
モンスター
・ヴォルカニック・ロケット
・ヴォルカニック・デビル
魔法・罠
・セット
・セット
刀次は体勢を立て直しつつ、ピットへと向かう。
「切り札まで使用しておいてこのザマか」
「返す言葉もございません……」
刀次はステッカーと場のカードをラスト・ホイーラーである炎馬に手渡す。炎馬は刀次をなじるが、その表情は先ほど戦三に向けた怒りのものではなく、これからの勝負に備えた真剣そのものの表情。相手は強い。下手をすれば自分も弟たちのようになりかねない。一瞬でも気は抜けないのである。
「……弟が受けた屈辱はワシが晴らす! 出るぞ!」
「兄者! 頼みます!」
「ご武運を!」
炎馬はステッカーを肩の側面に張り付けると、フルスロットルで場に飛び出し、ロックに並走する。
「待たせたな! 最後は不知火家長男にして当主! この“不知火 炎馬”が相手だ!」
「来い!」
「「 デュエル!!! 」」
「ワシのターン!」
炎馬 手札:5→6 SPC:5→6
ロック SPC:8→9
「《Sp-手札抹殺》を発動! SPCを5つ取り除き、お互いに手札を全て捨て、捨てた枚数だけドローする!」
炎馬 SPC:6→1 手札:5→0→5
ロック 手札:0
「手札から《スカル・コンダクター》の効果発動! このカードを墓地へ送り、手札から攻撃力の合計が2000になるよう、アンデット2体を特殊召喚する! 攻撃力0のチューナーモンスター《
炎馬の場に動物の耳を生やした小さな少女と、妖艶な女ヴァンパイアが現れる。
灰流うらら ATK:0 レベル3
ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア ATK:2000 レベル7
「うっひょー! 厳ついオッサンがいいもん出すじゃねーか! いいぞいいぞ!」
「どっちの味方なんだよバーナード……」
「ほっとけジョニー。どうせシンクロ素材だ……くるぞ」
「レベル7《ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア》に、レベル3《灰流うらら》をチューニング!」
灰流うららが自身を3つの光輪へと変えると、ヴァンパイアを囲み、7つの光、そして光の柱へと変える。
「輪廻を巡る魂よ! 若き肉体を得て炎神となり、魂の駿馬を駆りて降臨せよ!」
光の柱から現れたのは、炎の馬を駆る炎の神――――
「シンクロ召喚! 出でよ! 《炎神-不知火》!」
ATK:3500 レベル10
「今度は正規召喚してきたか……」
「まだ終わりではないぞ! 《不知火の宮司》を召喚! 効果で墓地から手札抹殺で墓地へ送った《妖刀-不知火》を特殊召喚!」
炎馬の場に刀次も使用した宮司と妖刀が姿を現す。
不知火の宮司 ATK:1500 レベル4
妖刀-不知火 ATK:800 レベル2
「レベル4《不知火の宮司》に、レベル2《妖刀-不知火》をチューニング!」
妖刀が自身を2つの光輪へと姿を変えると、宮司を囲み、4つの光、そして光の柱へと変える。
「シンクロ召喚! 出でよ! 《刀神-不知火》!」
光の柱の中から刀次も呼び出したシンクロモンスター“刀神-不知火”が現れる。
ATK:2500 レベル6
「墓地の《馬頭鬼》の効果発動! このカードを除外し、墓地のチューナーモンスター《ユニゾンビ》を特殊召喚!」
炎馬の場にユニゾンビが現れ、やはり歌い出す。
ATK:1300 レベル3
「ユニゾンビの効果発動! デッキからアンデット族1体を墓地へ送り、場のモンスター1体のレベルを1つ上げる! デッキから2体目の《馬頭鬼》を墓地へ送り、このカードのレベルを1つ上げる!」
ユニゾンビ レベル3→4
「そして墓地に送った馬頭鬼の効果発動! 墓地の《不知火の宮司》を特殊召喚!」
再び姿を現す宮司。ユニゾンビの歌に合わせて祈り始める。
ATK:1500 レベル4
「レベル4《不知火の宮司》に、レベル4《ユニゾンビ》をチューニング!」
ユニゾンビが自身を4つの光輪へと変えると宮司を囲み、4つの光、そして光の柱へと変える。
「シンクロ召喚! 出でよ! 《戦神-不知火》!」
光の柱から戦三も呼び出したシンクロモンスター“戦神-不知火”が現れる。
ATK:3000 レベル8
「戦神の効果発動! 墓地の攻撃力2000のアンデット《スカル・コンダクター》を除外し、エンドまで攻撃力を2000上げる!」
ATK:3000→5000
「フハッハッハッハ! 不知火の神が全て揃った! 我らが魂のカード達で、貴様に引導を渡してくれる! バトル! 戦神でヴォルカニック・デビルを攻撃!」
戦神が両の刃を振るい、デビルをバラバラに斬り裂く。
「ぐうぅ……!?」
ロック LP:3050→1050
「炎神でヴォルカニック・ロケットを攻撃!」
「罠カード《爆導索》! このカードの直線状に置かれているカード全てを破壊する!」
ロック
モンスター
・ヴォルカニック・ロケット 〖中心〗
魔法・罠
・爆導索 〖中心〗
・セット 〖右内〗
刀次
モンスター
・炎神-不知火 〖中心〗
・刀神-不知火 〖右内〗
・戦神-不知火 〖左内〗
魔法・罠
・セット 中心
「破壊されるのは《ヴォルカニック・ロケット》、《炎神-不知火》、お前の伏せカードだ!」
ロックが宣言すると、発動した罠から直線上に小さな爆発が連続で起こり、モンスターやカードを巻き込んでいく。
「……何!?」
爆炎が消えると、そこには何も変わらぬ姿で炎神がコースを駆けていた。消えたのはロケットと伏せカードのみである。
破壊された伏せカード
緊急同調
「炎神は場のアンデットが破壊される場合、代わりに墓地の“不知火”モンスターを除外できるのだ! 残念だったな!」
除外されたカード
不知火の宮司
「我々を相手によく戦った! だがここまでだ! 炎神よ、直接攻撃!」
炎神が馬を蹴り駆け出そうとした瞬間、上空から光の剣が複数降り注ぎ、炎神の動きを止める。
「何だ!?」
「墓地の《光の護封霊剣》の効果発動! このカードを除外することで、このターン相手は直接攻撃を行えない! ……残念だったな」
「おのれ……! カードを伏せてターンエンド!」
炎馬
LP:4000
SPC:1
手札:0
モンスター
・炎神-不知火
・刀神-不知火
・戦神-不知火
魔法・罠
・セット
「ワシの攻撃を凌いだが、お前のモンスターは全滅した! もはやお前に我が不知火達を突破することはできん!」
「できるかできないかは俺が決める! 俺のターン!」
ロック 手札:0→1 SPC:9→10
炎馬 SPC:1→2
「ならば付き合ってやろう! 罠カード《針虫の巣窟》! 自分のデッキトップからカードを5枚墓地へ送る!」
墓地に送られたカード
不知火の鍛師
不知火流 輪廻の陣
不知火の武士
不知火の隠者
不知火流 輪廻の陣
「これで再び炎神の効果を使える! これでもお前はまだ勝つつもりか?」
「墓地の《ヴォルカニック・バレット》の効果発動! LPを500払い、デッキからバレットを手札に!」
ロック LP:1050→550 手札:1→2
炎馬に対して行動で返事をするロック。諦めるどころか自らデッドゾーンへと入った彼に、炎馬は目を見開く。
「(なんという闘争心! これが若さか……)」
「永続罠《ブレイズ・キャノン・マガジン》! 手札に加えたバレットを墓地へ送り、1枚ドロー!」
ロック 手札:2→1→2
「墓地へ送ったバレットの効果発動! LPを500払い、デッキからバレットを手札に!」
ロック LP:550→50 手札:2→3
「《Sp-貪欲な壺》! SPCを2つ取り除き、墓地のモンスター5体をデッキに戻してシャッフル! 2枚ドローする!」
デッキへ戻したカード
ヴォルカニック・バレット
ヴォルカニック・バレット
ヴォルカニック・バックショット
ヴォルカニック・バックショット
炎帝近衛兵
ロック SPC:10→8 手札:2→4
「……《スピード・ワールド2》の効果発動! SPCを4つ取り除き、相手にSpを1枚見せることで、相手に800ポイントのダメージを与える!」
見せたカード
Sp-ヴィジョンウィンド
ロックのDホイールから光線が放たれ、炎馬に直撃する。
「ぬう!? だがワシはここまで無傷! この程度のダメージでは落ちんわ!」
ロック SPC:8→4
炎馬 LP:4000→3200
「……アンタの言う通り、俺ではアンタのモンスター達を突破するのは無理だ」
「ようやく解ったか」
「だが、これはそういうゲームじゃない。このゲームは“
「狙いだと……?」
「それは……“
ロック SPC:4→2
ロックの場にヴォルカニック・バックショットが現れる。
ATK:500 レベル2
「ここでSPCを1つ取り除き、速攻魔法《Sp-地獄の暴走召喚》を発動! 相手に表側モンスターが存在し、自分の場に攻撃力1500以下のモンスターが1体のみ特殊召喚された時、自分の手札・デッキ・墓地から特殊召喚したカードと同名カードを可能な限り攻撃表示で特殊召喚する! デッキから2体特殊召喚!」
ロックの場に更にもう2体のヴォルカニック・バックショットが現れ、3体が並ぶ。
ATK:500 レベル2 ×2
「それは刀次のモンスターを一掃したカード……だがそれはブレイズ・キャノンとやらの効果でしか発動できないはず! なぜ場に並べた?」
「アンタを撃つためさ。《ヴォルカニック・バレット》を通常召喚!」
続けてロックの場にバレットが現れる。これでロックの場には弾丸が4体。
ATK:100 レベル1
「意味が解らぬ……自棄になったか?」
「その答えは……これだ! 墓地から3体のモンスターを除外!」
除外されたカード
八俣大蛇
炎神機-紫龍
ヴォルカニック・デビル
「手札から特殊召喚! 出でよ! 《
ロックの場に現れたのは、首だけの大きな龍の頭。その頂点に人型の鎧を纏った上半身が取り付けられた異形の怪物。龍の頭は大きく口を開き、中に灼熱の炎を蓄えているその姿はまるで今にも砲撃を放とうとしている大砲のようにも見えた。
ATK:2600 レベル8
「な、なんだこのモンスターは!?」
「MARSの効果発動! こいつは俺の場のモンスター全てを1発500ダメージの弾丸にし、それを一度に放つ……そして、撃ち込んだ弾丸は墓地へ。つまりバックショットの効果も発動するわけだ」
「!?」
「覚悟を決めろ……ぶち抜け! 〈ブレイジング・バレット〉!」
MARSの龍頭は場の弾丸達全てを吸い込むと、ため込んだ炎のエネルギーと共に連続で撃ち出す。4発の弾丸は不知火達をすり抜け、正確に炎馬へと撃ち込まれた。
「ぐわぁぁぁーーーー!!?」
炎馬 LP:3200→1200→700→200→0
決闘が終了し、炎馬のDホイールが水蒸気を上げながら強制停止する。ロックもDホイールを停止させ、降りて炎馬の元へと歩き出す。
「奇妙奇天烈、摩訶不思議……驚天動地に奇奇怪怪……このシティにこれほどまでの決闘者がいたとは……!」
「兄者!」
「長兄!」
ロックよりも先に兄弟達が駆けつけ、茫然とする炎馬に寄り添う。
「お前達……どうやら修業が足りないのはワシも同じらしい。済まなかった」
「兄者……」
「我々が未熟でした……!」
炎馬はヘルメットを脱ぎながら兄弟達に謝罪する。ヘルメットの下は白髪交じりの髪に鋭い眼光、浅黒い皺が刻まれた肌。どうやら一人称の通り高齢の決闘者らしい。
「不知火……さんだったか?」
そこへロックが到着する。炎馬はDホイールから降り、ロックと向かい合った。
「見事だ若き決闘者。まさか三人がかりで敗れるとは、恥ずかしい限りだ。……君ほどの決闘者ならば名が届いていてもおかしくないはずだが、今までどこで決闘していたのだ?」
「“地獄”だ」
「地獄?」
ロックの言葉に、不知火家の3人は目を丸くする。
「地獄から抜け出して、ここに来た。今まで決闘が楽しいなんて思ったこともなかったが……アンタたちとの決闘は楽しかった。礼を言う。……ここに来て、“デルタ”に入ってよかった」
仏頂面だが確かな感動を言葉に乗せ、ロックは手を差し出す。炎馬はそれに応じ、手を握って豪快に笑った。
「ハッハッハッハ! ……名の響かぬ強者よ。名を聞かせてくれ」
「……俺の名は、ロック」
「ロックか。フフ、意志の固さが伝わる、良い名だ」
炎馬は手を放し、再びDホイールに跨る。弟達はすでにピットへと歩き始めていた。
「ロックよ、お前の名は我々、そしてお前自身から放たれ、決闘界に響き渡ることだろう! 今度はこうはいかぬ! 次に相見える時を楽しみにしているぞ!」
そう言って、炎馬はDホイールでピットへと戻っていった。ちょうどその時、チーム・デルタの面々がロックの元へとやってくる。バーナードがロックの背を力強くたたいた。
「よっしゃー! よくやったぞロック! 俺は信じてたからな!」
「さっきまでDホイール取られたって悔しがってたの誰だっけ?」
「おいおいジョニー、そんなんはもう昔の話。俺は俺の素敵なDホイールを完成させるからいいのさ~」
「作るの僕なんだけど……」
バーナードとジョニーを横に、セントはロックに帽子とマントを差し出す。
「よくやったな。まさか本当にやってのけちまうとは恐れ入った! Dホイールの動きも最高だった! これならA社も文句ないだろう。約束通り、こいつはお前のだ」
「有難く使わせてもらう」
ロックは礼を言いながら帽子とマントを受け取り、身に着ける。
「それにしても、ホントにスゲーぞ! よく3人抜きなんてできたもんだ!」
「ホントだよね。何か秘密があったりするのかい?」
愛機となったイグニッションの状態を見ているロックに、バーナードとジョニーが話しかける。
「ある」
「え!? マジかよ!? 何々!?」
バーナードがロックに詰め寄ると、ロックはそっとイグニッションを撫でながら答えた。
「こいつは凄まじいマシンだ。俺の思う様に動き、応える。俺が乗ってきたボロとは雲泥の差だ。決闘中、俺はどうしてもこいつが欲しくなった」
「それで?」
「絶対に、他の奴に渡してなるものか……そう思いながら決闘していたら、面白いほど引きが良い」
「え?」
「あの時の俺ならば、お前達3人を相手にしても勝っただろう。……そうさせるほどに、こいつは素晴らしいマシンだった」
そう言って、ロックは笑みを浮かべた。
「へぇ! なんだかそれ、解る気がするなぁ! やっぱり昔の人が言ってた“Dホイールが決闘者を強くする”っていうのは本当なんだね!」
「……ッ~~~~~ロックッ! やっぱりそれ譲ってくれ! 俺もそれに乗りたい!!!」
「おいバーナード! 約束が違うだろ!」
「うっせーセント! ロックがこんな風に……女の子を見てもこんな風に笑わないロックが笑ったんだぞ! 相当だこのDホイール! 頼むよ!」
決闘の喧騒が収まったスタジアムに少年達の賑やかな声が響き渡る。その声が一層大きくなった瞬間、スタジアムに鋭い射出音と打撃音、そしてバーナードの悲鳴が響き渡るのであった。
やっとモチベが回復したので再開。
過去話の導入もこれでおしまい。
これからどんどん物語を進めていきたいです。