「おりゃあトドメじゃあ! スピード・ワールド2の効果で800ダメージ!」
「あっ!? ……あー、負けちゃった……」
ここはシティにあるゲームセンター。そこに置かれているDホイール型の筐体に跨るバーナードがガッツポーズを取り、その隣の筐体に跨るジョニーは落胆して肩を落とす。その様子をロックとセントは順番待ちのベンチに腰掛けながら眺めていた。
「こんなものもあるんだな」
「ライディング・デュエルを疑似体験できるゲームだ。こんなんじゃ本物のスリルは味わえねぇが、ルールに慣れるだけなら十分だ」
セントは立ち上がり、バーナード達の筐体に近づく。
「おいジョニー、Spをもっと上手く使えよ。罠とモンスターしか使ってねぇじゃねぇか」
「ぼ、僕のデッキとSpって何だか相性が悪い気がするんだよ……それにSPCの計算って何か面倒くさいし……いいじゃないか使わなくっても……」
「お前なぁ……初心者のロックだって初めてであれだけ使いこなしたっていうのに。……一応、デッキには入れとけよ? スピード・ワールド2の効果は重要だからな!」
気まずそうに眼をそらすジョニー。セントはため息をついてロックへと振り返る。
「相性といえば……ロック、ちょっとお前のデッキについて話がある」
「何だ?」
「あっと待て待てお二人さん! なんだか長くなりそうだな?」
筐体から降りたバーナードが話し込もうとする二人の間に割って入り、決闘盤のデジタル時計をかざす。
「もうすぐ始まる時間だぜ! 後にしろよ!」
「あ、そうだった! 急がなきゃ!」
バーナードの言葉にジョニーはハッとし、急いで身支度を整える。セントも気づいてああ、と言葉を漏らす。解らないのはロックただ一人。ジョニーと同じように身支度を始めるバーナードにロックは尋ねた。
「何があるんだ?」
「映画だよ映画! 平日だから多分空いてるぜ! 急ぐぞ!」
「映画ってなんだ?」
「しまったそこからか……!」
* * *
「デカいテレビだ……」
「スクリーンって言うんだよ。……いやぁ楽しみだなぁ! もう何回も映画化されてるけど、今回は一番気合を感じるよ!」
シティで一番の映画館。その中にある巨大なスクリーンルームに、まばらな観客。その観客の一部であるデルタ4人は中央の席を陣取って座っていた。ジョニーは気持ちの昂りを隠せない様子で、ジュースを片手にウキウキと体を揺らす。
「ホント、ジョニー好きだよなぁ“不動 遊星”。ま、俺もだけどよ」
バーナードは笑いながら隣のジョニーを見やり、ポップコーン一粒つまんで口に放り込む。
「“不動 遊星”とは?」
ロックの何気ない一言に、バーナードとジョニーは同時に噴き出す。
「ええっ!? 決闘してて遊星を知らないのかい!?」
「そんな奴初めて見たぜ!?」
「別に驚くことはないだろ」
反対にセントは白けた表情で驚いた二人を見やる。
「伝説の決闘者って言ったって所詮は会ったことのない過去の人間だ。俺達にはなんの関係も無い」
「あるよ! 遊星は決闘者達の“英雄”なんだ!」
「“アクセルシンクロ”だって遊星が編み出したんだぜ? 尊敬くらいしたっていいんじゃないか?」
「そうやって持ち上げて強くなれるってんなら俺も持ち上げるんだけどな」
「何だよ~相変わらず遊星に対してドライな奴だなぁ~……よく観に来る気になったよなぁ」
「アクセルシンクロについて解ればそれでいいんだよ」
完全に忘れられたロックはここまでの3人の会話で、“不動 遊星”なる人物を想像する。
「(過去に存在した強い決闘者……しかも、バーナードが使った“アクセルシンクロ”の創造主でもある……か)」
「あ! 始まるよ!」
照明が消え、スクリーンに映像が投影される。いくつかのCMが流れた後、スクリーンにシティのハイウェイが映し出された。そこへ一台の赤いDホイールが現れる。
「(あれが不動 遊星だよ)」
ジョニーが小声でロックに耳打ちする。赤いDホイールに乗った不動 遊星は後ろに続く2体のモンスターでチューニングし、1体の青白いドラゴンをシンクロ召喚。そのまま続けて攻撃を行い、前から現れた別のDホイーラーを蹴散らす。攻撃によって舞い上がった白煙をDホイールで突き抜けた遊星の顔がアップで映り、笑みを浮かべた瞬間に暗転。タイトルが表示される。
ロード・オブ・ザ・ヒーロー ~英雄“不動 遊星”の軌跡~
「(不動……遊星……)」
その映画は不動 遊星という一人の決闘者の決闘人生を描いたもので、ありとあらゆる資料文献を集めて作られたという。最初は生まれと表舞台に立つまでの経歴。次に大会での輝かしい活躍に、正義の組織“シグナ―”に所属して世界の破滅を目論む“”ダークシグナーと戦い世界を救ったという伝説。遊星に関する実話逸話の全てが詰め込まれた作品であった。
そして、4人を最も惹き付けたのがアクセルシンクロ習得の話であった。
[こ、これは一体……!?]
映画の中の遊星が困惑したように呼び出したドラゴンを見上げる。ダークシグナーとの戦いを終えた後、同じシグナーの一員にして積年のライバルである“ジャック・アトラス”とのライディング・デュエルの最中、全力でジャックを追い抜きながらシンクロ召喚を行った際にそれは発現した。
[なんだこれは!? 遊星! それは一体!?]
[これは……これこそが俺の新たなる境地“クリアマインド”! それから放たれる“アクセルシンクロ”だ!]
ここから遊星が試行錯誤の末、“アクセルシンクロ”の完成を目指す展開となる。この現象にはシンクロ召喚の際に生み出されるモーメント・エネルギーが関係しているということ。そのモーメントエネルギーは決闘者の精神状態によって安定したり乱れたりすること。素材には全てシンクロモンスターを使用した方がエネルギーを効率よく発生させられ、発現率が高くなること。少しでも気の迷いがあるとエネルギーの飽和状態“クリアマインド”が解除されてしまうこと――――多くの謎を抱えながらも、遊星は少しずつアクセルシンクロの完成に近づいていく。
「(ここまでは今までの映画の内容と大差ねぇな)」
「(でも噂によると、ここから新たに発見された新事実があるんだって……あ)」
ここで、アクセルシンクロを安定して使いこなせるようになった遊星とプロ決闘チームでのチームメイト“炎城ムクロ”との会話シーン。
[すげぇぜアクセルシンクロ! これがあれば敵無しじゃねぇか!]
[いや、まだだ。まだアクセルシンクロには可能性が残されている……そんな気がしてならないんだ]
[これ以上なにがあるってんだ?]
[アクセルシンクロはシンクロモンスターのパワーをシンクロチューナーで最大限まで引き出し、アクセルシンクロモンスターへと変化させるもの……これを“2体”でできないか?]
[あ? どういうことだ?]
[シンクロチューナーで2体のシンクロモンスターから一度にパワーを引き出す!]
[そ、そんなことできんのかよ! 1体だけでも苦労してたじゃねぇか!]
[できる! モーメントパワーは決闘者の思いで制御できる! 俺の心でもう1体分のチューナーのパワーを補えば可能だ!]
そう言って遊星はセントがやったようにメモ用紙にΔを描き、頂点にチューナー、そして残りの二角にシンクロモンスターと書き込んだ。
[このフォーメーション……限界を突き抜けた俺の“クリアマインド”、そしてそこから放たれるのは“デルタ・アクセルシンクロ”! これだ!]
遊星は居ても立っても居られず、Dホイールへと駆け出す。再び遊星の猛特訓が始まった。
そして映画終盤、“ペガサス・J・クロフォード杯トリニダート・ライディング・デュエル・グランプリ”の決勝戦にて、ラストホイーラーである遊星は限界を超える。
[……トップ・クリアマインドッ! レベル8シンクロモンスター《スターダスト・ドラゴン》と、レベル2となったシンクロモンスター《ジャンク・ウォリアー》に、レベル2シンクロチューナー《フォーミュラ・シンクロン》をチューニング!]
フォーミュラ・シンクロンが自身を2つの光輪に変え光のトンネルを作り上げると、スターダスト・ドラゴンとジャンク・ウォリアー、そして遊星を光で包み込み、2体と遊星が光速を超えて駆け抜ける。
[集いし夢を結ぶ時、輝く絆が未来を拓く! 光さす道となれ! ……デルタ・アクセルシンクロォォォーーーー!!!]
遊星が叫んだ瞬間、光の爆発がコースを包む。光が晴れた瞬間、遥か後方から遊星が1体のドラゴンを連れて現れた。
[進化を超えし風! 《コズミック・ブレイザー・ドラゴン》!!!]
そのドラゴンはスターダスト・ドラゴンやシューティング・スター・ドラゴンとよく似た姿をしているが、発せられるパワーは段違い。咆哮を上げれば世界が震え、翼を羽ばたかせれば空間が揺れる。コズミック・ブレイザー・ドラゴン――――限界を超えし“進化の終着点”と呼ぶにふさわしいドラゴンであった。
遊星は圧倒的なパワーを持つドラゴンで相手を圧倒し、必殺の一撃を放って勝利した。大歓声に包まれる会場。遊星の元へと駆け寄るチームメイト“炎城ムクロ”と“十六夜アキ”。対戦相手と固い握手を交わし、遊星は表彰台へと立つ。トロフィーを抱えて立つ遊星の笑顔を最後にスクリーンは暗転し、ナレーションが流れる。
こうして不動 遊星は決闘者の限界を打ち破り、シンクロ召喚の可能性を示した。彼は世界を救っただけでなく、多くの決闘者達に希望を与えたのである。今、決闘界におけるシンクロ召喚の興盛は彼の偉業なくしてはありえなかったであろう。数世紀の時が流れた今でも、彼の決闘への思いは脈々と受け継がれているのだ。
* * *
「いや~最高だったな!」
「ホントに! カッコよかったなぁ~!」
映画を観終えて、バーナードとジョニーは興奮冷めないまま路上を歩いていた。ロックとセントはその後に続く。
「デルタ・アクセルシンクロか……よし! 次はそれを……いや、俺はそれ以上を目指すぜ!」
「いいなぁ~……僕もアクセルシンクロができるようになりたいよ」
「お前ら……あんなの話を盛り上げるための作り話だろうが」
セントがため息交じりに言うと、バーナードとジョニーが一斉に振り返る。
「バカ! デルタだぞデルタ! 俺達のチーム名と一緒だ! これは運命だろ!」
「そうだよ! 本当にデルタ・アクセルシンクロはあるんだ!」
「まだアクセルシンクロすら使いこなせるようになってない癖に何言ってやがる。二人ともまずはどうすれば堅実にチームが強くなるか考えろよナ……っと、そうだロック」
詰め寄ってくる二人を無視してセントはロックへと振り返った。
「さっきの話の続きだが、ロック、ライディング用に新しいデッキ作ってみないか?」
「……それは、今の俺のデッキでは通用しないということか?」
ロックの言葉に、セントは遠慮なくはっきりとうなずく。
「お前のデッキタイプって所謂“ビートバーン”だろ? 戦闘・効果ダメージを織り交ぜて戦っていくスタイルだ。前の不知火三兄弟には通用したが、ぶっちゃけ、ライディングじゃバーンは通り難い」
「……成程、スピード・ワールド2か」
「ご名答」
通常の魔法カードを廃し、バーン効果をコストさえ用意できれば何度でも使えるライディング・デュエルにおいて、バーンへの対策を行っている決闘者は多い。強力な永続魔法“ブレイズ・キャノン”を有し、バーン中心で戦う“ヴォルカニック”はライディングでは不利となってしまうのである。
「おまけにお前の主戦力は最上級モンスターと融合モンスターだけで、シンクロが無い。それが悪いと言うつもりはないが、やっぱりシンクロが台頭する時代にシンクロ無しじゃきつくなってくるぞ」
「ロック、俺もセントの提案には賛成だぜ」
ここでバーナードが話に割って入ってくる。だがその表情は茶々を入れるものではなく、珍しい真剣な表情だった。
「だけど、嫌ならはっきり断れ! デッキは決闘者の魂! 他人に言われてハイワカリマシターで変えていいものじゃないからな! お前の心と相談しろ! 俺もセントも、お前の意志を尊重するからな!」
バーナードの言葉に、セントも力強く頷く。
ロックは少し考えるようにした後、セントに対して頷き返す。
「ライディング用のデッキを作ろう。確かにヴォルカニックでは戦いにくい場面がある。このままではいずれ皆の足を引っ張ることになるだろう。シンクロ召喚も修得する。すぐにものにしよう」
「いいのロック? 使い慣れた愛着のあるデッキじゃないのかい?」
「スタンディングまで変える訳じゃない。それに、デッキを変えることに不安はない」
「お、妙に自信あるじゃないか! その心は?」
バーナードが問いかけると、ロックは歩いてきた道を軽く見やる。
「不動 遊星が、シンクロの可能性を示してくれたからな」
「ハハハ! そりゃそうだ! やったぞジョニー! また一人同士が増えたぞ!」
「ロックなら解ってくれるって信じてたよ!」
「何だこの疎外感……まあいいや。じゃあまずはカードだな。どんなデッキにするか……」
セントが思案していると、ジョニーが何かを思い出したようにポン、と手を叩く。
「そうだ! ロック、これ使ってみない?」
ジョニーがジャケットの裏からデッキケースを取り出し、ロックに差し出す。
「これはね、僕が“
ロックはジョニーからデッキケースを受け取り、中身を確認する。
「“ジェネクス”っていうシンクロ召喚を軸にした機械族中心のデッキだよ! ロックなら機械族も使ってたし、使いこなせると思うんだ!」
「お、いいんじゃね? よく考えたら俺もジョニーもセントも機械族中心だし、チームでお揃いだ! どうだロック?」
ロックはカードを確認し終えると、デッキケースに戻す。
「……気に入った。有難く使わせてもらう」
「よかった! じゃあ早速デッキを組もう! その後僕とライディング・デュエルしようね!」
* * *
数時間後、デルタは近くの競技場へと来ていた。ロックはまだ無免許なのでハイウェイなどの公道では決闘が出来ない。なので場所を借りて決闘を行うことにしたのである。手続きを終えたセントがライディングスーツを着て準備をしているジョニーに大声で呼びかける。
「無料使用じゃ一時間だけしか借りれないからな! オーバーするなよ!」
「うん! 解ってる!」
「ふう……にしても、やっと完成した一台目のDホイール……」
セントはジョニーが調整しているDホイールを見る。細長い機体の後方に大きな車輪が一つ。どうみてもアンバランスな作りであり、本当に走れるのか不安になる。セントの隣のバーナードも微妙な表情でDホイールを見ていた。
「どう見ても修正テープだよな。流石にあれに乗りたいとは俺も思わなかった」
「失礼だなぁ! この“デルタ・イーグル”は限られた資金の元、最新の技術を詰め込んで作り上げた最高傑作なんだ! それにこの前から言ってるけど、ちゃんと走れるよ! 機首には特殊なバランサーが付いてて――――」
ジョニーがペラペラと早口で理論を披露する。要約すれば“ぼくがかんがえたすごくてかっこいいマシン”とのことらしい。まだ理論を披露しようとするジョニーを止め、バーナードはイグニッションとロックが待つスタートラインを指さした。
「――――で、しかもこれハイブリットタイプなんだ! 僕の決闘盤が――――」
「解った解った! ほらロックが待ってるぞ!」
「あ、そっか! よーし……」
ジョニーはデルタ・イーグルの調整を済ませると、赤いサングラスを取り出し、装着する。
「ぶっ!? なんじゃそりゃ!?」
「ライディング・デュエル用のサングラス式バイザーさ! カッコいいだろう?」
「ぶ、くくくく……」
必死に笑いを堪えるバーナード。確かにバイザーはカッコいいが、如何せんジョニー本人が地味なためマッチせず、非常に怪しい人物に見える。
「ダメだ! ワッハッハッハッハ!」
「そ、そんなに笑うことないじゃないか!」
「ひー、ひー! ……そうだなぁ、グラサンカッコいいけど、ちょっと髪型が地味だよな。もっと逆立てるとか、髪型を変えればグラサンとマッチするんじゃね?」
「な、成程……そう言えば遊星だって奇抜な髪型だし、僕もそうしよう! ありがとうバーナード!」
ジョニーは礼を言ってヘルメットを被り、デルタ・イーグルに跨ってスタートラインへと向かった。
「やべぇセント、適当に言ったことをジョニーが真に受けちまった」
「映画のテンション引きずってやがるな……決闘中に変なことしなきゃいいが」
二人の心配を他所にジョニーはスタートラインに付き、ロックの隣に並ぶ。
「ロック! デッキのテストだからって、手加減はしないよ!」
「望むところだ。行くぞ――――」
「「 ライディング・デュエル! アクセラレーション!!! 」」
二人は一斉に走り出し、第一コーナーを目指す。ロックは先攻を取ろうと加速するが、ジョニーはロックの隙を上手く突いてインコースを抜け、第一コーナーを制した。
「悪いけど先攻は僕が貰うよ!」
ジョニーの見事なテクニックにバーナードはヒュウ、と口笛を鳴らす。
「ジョニーの奴、気が弱そうだけど中々度胸あるライディングするんだよなぁ。ライセンス取るのも一番早かったし」
「テクニックも申し分ない。もしかしたらデルタのエースはあいつになるかもな」
「なぬ!?」
「僕のターン!」
ジョニー 手札:5→6 SPC:0→1
ロック SPC:0→1
「《TG カタパルト・ドラゴン》を召喚!」
ジョニーの場にカタパルト・ドラゴンが現れ、リーゼントの様な頭をロックに向ける。
ATK:900 レベル2
「カタパルト・ドラゴンの効果発動! 手札からチューナーモンスター《TG ジェット・ファルコン》を特殊召喚!」
カタパルトから光が射出され、光はジェット・ファルコンへと変わる。
ATK:1400 レベル3
「早速来るか……」
「レベル2《TG カタパルト・ドラゴン》に、レベル3《TG ジェット・ファルコン》をチューニング!」
ジェット・ファルコンが自身を3つの光輪へと変えてカタパルト・ドラゴンを囲み、2つの光、そして光の柱へと変える。
「シンクロフライトコントロール! リミッター解放、レベル5! ブースター注入120%! リカバリーネットワーク、レンジ修正! オールクリアー! ……GO、シンクロ召喚!」
光の柱から現れたのは、戦斧を手に持つ科学技術の結晶――――
「カモン! 《TG パワー・グラディエイター》!」
ATK:2300 レベル5
「ここで素材となったジェット・ファルコンの効果発動! 相手に500のダメージを与える!」
グラディエイターがロックに向かって掌をかざすと、そこから波動が放たれ、ロックのイグニッションを揺さぶる。
ロック LP:4000→3500
「カードを2枚伏せてターンエンド!」
ジョニー
LP:4000
SPC:1
手札:2
モンスター
・TG パワー・グラディエイター
魔法・罠
・セット
・セット
「俺のターン!」
ロック 手札:5→6 SPC:1→2
ジョニー SPC:1→2
「《Sp-サモン・スピーダー》を発動! SPCが2つ以上存在する場合、手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する! 《ジェネクス・ブラスト》を特殊召喚!」
ロックの場に機体の中心にプロペラをはめ込んだロボットが現れる。
ATK:1600 レベル4
「このカードの特殊召喚に成功した時、デッキから闇属性“ジェネクス”1体を手札に加えることができる! 《ジェネクス・コントローラー》を手札に!」
ロック 手札:4→5
「チューナーモンスター《ジェネクス・コントローラー》を召喚!」
続けてロックの場に子供の様に小さい頭でっかちのロボットが現れる。
ATK:1400 レベル3
「レベル4《ジェネクス・ブラスト》に、レベル3《ジェネクス・コントローラー》をチューニング!」
コントローラーが自身を3つの光輪へと変えてブラストを囲むと、4つの光、そして光の柱へと変える。
「GSシステム、起動! コントロール・ユニット、セット! ……荒れ狂う魔の風よ! 烈風の如き威を放ち、戦場を支配せよ! シンクロ召喚!」
光の柱から現れたのはジェネクス・ブラストが強化改造されたロボット。プロペラに短い手足しかなかった機体は人型の大きなロボットとなり、改造前とは段違いの出力で胸部のプロペラを回転させる。
「巻き起こせ! 《ウィンドファーム・ジェネクス》!」
ATK:2000 レベル7
「お! ロックの奴早速シンクロ召喚か!」
「Spだって即座に使いこなしたんだ。これくらいはやってのけるだろうと思ってたさ」
「だけど、シンクロならジョニーの方が先輩だぜ。さーて、どうなるかね?」
睨み合う2体のシンクロモンスターを見ながら、バーナードは楽しそうに笑った。
「ウィンドファーム・ジェネクスの効果発動! 手札を1枚墓地へ送ることで場にセットされた魔法・罠1枚を破壊する! ジョニーの伏せカードを1枚破壊だ!」
ロック 手札:4→3
墓地へ送ったカード
レアル・ジェネクス・マグナ
ウィンドファームが胸部のプロペラから突風を起こし、ジョニーの伏せカードを狙う。
「なら発動させてしまえばいい! 罠カード《スキル・サクセサー》! 自分の場のモンスター1体の攻撃力を400アップ! グラディエーターの攻撃力を上げるよ!」
ATK:2300→2700
ジョニーが伏せカードを発動したため、ウィンドファームの効果は不発となる。だがロックの顔に落胆は見えない。
「カードを2枚伏せる。ウィンドファームは場に伏せられた魔法・罠1枚につき攻撃力を300ポイント上げる」
ATK:2000→2900
「あ!?」
「バトルだ! ウィンドファームでパワー・グラディエーターを攻撃!」
ウィンドファームが再び突風を起こすと、パワー・グラディエーターを吹き飛ばして破壊する。
「うっ! ……破壊されたグラディエーターの効果で1枚ドロー!」
ジョニー LP:4000→3800 手札:2→3
「ターンエンドだ!」
ロック
LP:4000
SPC:2
手札:1
モンスター
・ウィンドファーム・ジェネクス
魔法・罠
・セット
・セット
「僕のターン!」
ジョニー 手札:3→4 SPC:2→3
ロック SPC:2→3
「《TG サイバー・マジシャン》を召喚!」
ジョニーの場にサイバー・マジシャンが現れ、ポーズを決める。
ATK:0 レベル1
「サイバー・マジシャンは“TG”のシンクロ素材とする場合、手札のチューナー以外の“TG”を共に素材としてシンクロ召喚を行える! 手札の《TG ラッシュ・ライノ》にチューニング!」
サイバー・マジシャンが自身を光輪へと変えると、現れたラッシュ・ライノを囲み、4つの光、そして光の柱へと変える。
「リミッター解放、レベル5! ブースターランチ、OK! インクリネイション、OK! グランドサポート、オールクリアー! ……GO、シンクロ召喚!」
光の柱から現れたのはTGの紅一点にして、ジョニーが有するシンクロチューナー――――
「カモン! 《TG ワンダー・マジシャン》!」
ATK:1900 レベル5
「ワンダー・マジシャンの効果発動! シンクロ召喚に成功した時、場に存在する魔法・罠1枚を選択して破壊する! ロックの伏せカードを破壊だ!」
ワンダー・マジシャンが手から光弾を放ち、ロックの伏せカードに命中させる。
破壊したカード
万能地雷グレイモヤ
ウィンドファーム・ジェネクス ATK:2900→2600
「よし! これで攻撃力が下がったぞ! バトル! ワンダー・マジシャンでウィンドファーム・ジェネクスを攻撃!」
ワンダー・マジシャンがウィンドファーム・ジェネクスに向かって突撃する。
「墓地から罠カード《スキル・サクセサー》を除外して効果発動! 自分のモンスター1体の攻撃力を800アップする!」
ATK:1900→2700
ワンダー・マジシャンはウィンドファームに向かってその小さい拳を突き出すと、ウィンドファームの機体がへこみ、そのまま爆散してしまった。
「やられたか……」
ロック LP:3500→3400
「罠カード《TG-SX1》! “TG”が相手モンスターを戦闘破壊し墓地へ送った時、墓地から“TG”シンクロモンスター1体を特殊召喚する! カモン、《TG パワー・グラディエイター》!」
ジョニーの場に再びグラディエーターが現れ、戦斧を構える。
ATK:2300 レベル5
「行け! グラディエーター!」
「罠カード《ガード・ブロック》! ダメージを0にし、1枚ドローする!」
グラディエーターが戦斧をロックに向かって振り下ろすが、光の障壁がそれを遮る。
ロック 手札:1→2
「防がれた!? もう一度攻撃できれば……」
ジョニーは攻撃し終えた2体のシンクロモンスターを見る。
「(……シンクロチューナーとシンクロモンスター……アクセルシンクロができれば!)」
ジョニーはおもむろにデルタ・イーグルを加速させる。
「(バーナードにだってできたんだ! 僕にだってできるかもしれない! 僕も不動 遊星の様になるんだ!)」
「(どうしたジョニー? まさか……)」
ジョニーの思惑を察したロックは一先ず様子見することにしたのか、少しだけ後方に下がる。
「(集中だ! 思いを強く……!)」
アクセルを全開にし、モーメントの回転を最高速まで上げる。アクセルシンクロへの憧れを胸に、ジョニーはデルタ・イーグルを走らせた。これで条件は全て整った――――
「おいおい! まさかジョニーの奴、やる気か!?」
「できるのか? ジョニー……」
バーナードとセントも見守る中、ジョニーはカッと目を見開き、高らかに叫ぶ。
「クリアマインドッ! レベル5《TG パワー・グラディエイター》に、レベル5《TG ワンダー・マジシャン》をチューニング!」
――――しかし、何も起こらない。ワンダー・マジシャンは光輪へと変わらず、ジョニー達を光で包むこともなかった。
「(そ、そんな!?) クリアマインドッ! クリアマインドッ!!!」
何度も叫ぶが結果は同じ。デルタ・イーグルが脱力したかの様に後方へと流れる。
「(そんな……僕には素質がないのか……) ……カードを伏せてターンエンド」
ジョニー
LP:3800
SPC:3
手札:1
モンスター
・TG ワンダー・マジシャン
・TG パワー・グラディエイター
魔法・罠
・セット
「……俺のターン!」
ロック 手札:2→3 SPC:3→4
ジョニー SPC:3→4
「《Sp-悪魔への貢物》! SPCが2つ以上存在する場合、特殊召喚されたモンスター1体を墓地へ送り、手札からレベル4以下の通常モンスター1体を特殊召喚する! ジョニーの場の《TG パワー・グラディエイター》を墓地へ送り、《ジェネクス・コントローラー》を特殊召喚!」
「!? ク、クリアマインド!」
グラディエイターが墓地へ送られそうになると再びジョニーがアクセルシンクロを試みるが、グラディエーターは結局墓地へ送られ、ロックの場にコントローラーが現れる。
ATK:1400 レベル3
「このカードは自分の場にジェネクス・コントローラーが存在する場合、リリース無しで召喚できる! 《ジェネクス・ヒート》を召喚!」
続けてロックの場に溶鉱炉の様な形をしたロボットが現れる。
ATK:2000 レベル5
「レベル5《ジェネクス・ヒート》に、レベル3《ジェネクス・コントローラー》をチューニング!」
コントローラーが自身を3つの光輪へと変えてジェネクス・ヒートを囲み、5つの光、そして光の柱へと変える。
「GSシステム、起動! コントロール・ユニット、セット! ……内に秘めたる青き炎よ! 命を燃やし、力へと変えよ! シンクロ召喚!」
光の柱から現れたのは火力発電機をモチーフとした人型起動兵器。起動音を鳴らすと、機体中から水蒸気を噴射させる。
「燃え上がれ! 《サーマル・ジェネクス》!」
ATK:2400 レベル8
「サーマル・ジェネクスは自分の墓地の炎属性1体につき攻撃力を200アップする。俺の墓地の炎属性は2体、よって400アップだ」
ATK:2400→2800
「バトル! サーマル・ジェネクスでワンダー・マジシャンを攻撃!」
サーマル・ジェネクスはワンダー・マジシャンに向かって高熱の水蒸気を放つ。ワンダー・マジシャンはその熱に耐えきれず、破壊されてしまった。
「ううっ……!? ワンダー・マジシャンの効果で1枚ドロー!」
ジョニー LP:3800→2900 手札:1→2
「サーマル・ジェネクスの効果発動! 相手モンスターを戦闘破壊した場合、自分の墓地のジェネクス1体につき相手に200のダメージを与える! 俺の墓地のジェネクスは6体! よって1200のダメージを与える!」
サーマル・ジェネクスはジョニーに狙いを定めると、再び水蒸気を放つ。
「うわぁ!?」
ジョニー LP:2900→1700
「これでターンエンドだ!」
ロック
LP:3400
SPC:4
手札:0
モンスター
・サーマル・ジェネクス
魔法・罠
・なし
「うう……僕のターン!」
ジョニー 手札:2→3 SPC:4→5
ロック SPC:4→5
ジョニーの手札
TG ドリル・フィッシュ
バスター・ショットマン
Sp-オーバー・ブースト
「(駄目だ、この手札じゃ……アクセルシンクロさえ出来ていれば) モンスターをセット! これでターンを終了!」
ジョニー
LP:1700
SPC:5
手札:2
モンスター
・セット
魔法・罠
・セット
「俺のターン!」
ロック 手札:0→1 SPC:5→6
ジョニー SPC:5→6
「《Sp-シフトダウン》! SPCを6つ取り除き、2枚ドロー!」
ロック SPC:6→0 手札:0→2
「《A・ジェネクス・ボルキャノン》を召喚!」
ロックの場にキャノン砲と溶鉱炉を取り付けられた赤いロボットが現れる。
ATK:1700 レベル4
「バトル! サーマル・ジェネクスでセットモンスターを攻撃!」
サーマル・ジェネクスの水蒸気によりセットモンスター《TG ドリル・フィッシュ》が破壊され、ジョニーにも水蒸気が襲い掛かる。
「サーマル・ジェネクスの効果を受けろ!」
「うわぁぁぁ!?」
ジョニー LP:1700→500
この一撃でジョニーは大きくバランスを崩し、わざと後方まで下がっていたロックの横まで流れてきてしまう。
「(デッドゾーン……駄目だ……何をやっているんだ僕は。せっかくのデルタ・イーグルの初陣だったって言うのに……くそぉ!)」
「不動 遊星はそんな顔をしていたか?」
「え?」
不意にロックがジョニーに問いかける。ジョニーは思わず顔を隣で走るロックへと向けた。
「映画の中の不動 遊星はそんな顔をしていたかと聞いている」
「それは……」
「遊星は多くの困難に直面し、今のお前の様に悩んだ。だが、決闘の時は必ず笑みを浮かべていた。違うか?」
「…………」
確かにそうだ。ジョニーが尊敬した遊星は何時も楽しそうに決闘をしていた。
「俺も、同じように笑う奴を知っている」
「え?」
「お前はDホイールをいじっている時、何時も楽しそうに笑っている。思い出せるか?」
「Dホイールを……」
「決闘も同じくらい好きなんだろう? だったら今、思い出してみることだ」
ロックは少しだけイグニッションを先行させる。
「それでも分からなければ……“風”に聞いてみろ」
「風……?」
「バーナードがアクセルシンクロをやって見せた時、俺は確かに“風”を感じた。バーナードも同じだろう。……進化の答えは、きっと“風”だけが知っている」
そう言ってロックはジョニーを引き離して前進し、攻撃態勢に移る。
「ボルキャノンで直接攻撃!」
「!? ……罠カード《リジェクト・リボーン》! 相手の直接攻撃宣言時にバトルフェイズを終了させる!」
ボルキャノンは肩のキャノン砲でジョニーにとどめを刺そうとするが、急に砲口を下げて動きを止めてしまう。
「そして墓地からチューナーとシンクロモンスター1体ずつ、効果を無効にして特殊召喚する! カモン、《TG ワンダー・マジシャン》、《TG パワー・グラディエイター》!」
そしてジョニーを守る様に2体の“TG”シンクロモンスターが場に舞い戻る。
TG ワンダー・マジシャン ATK:1900 レベル5
TG パワー・グラディエイター ATK:2300 レベル5
「(……風)」
ジョニーはふと前を見る。時速200キロ近いスピードで走っていると、嫌でも強い風が吹き付けてきているのが分かる。その風を感じながら、ジョニーはロックに言われた通りDホイールをいじっている自分を思い浮かべてみた。
「(Dホイールを弄るのは楽しい……特に初めて触るマシンの中を開いていくのは快感だ。ドキドキする……)」
笑みをこぼしながらそんな風に思っていると、ふとジョニーは先を見る。先とはコースの先ではない。この強烈な風が吹いて来ている、ずっとずっと、“見えない先”である。
「(この風は一体どこから吹いて来ているのだろう……そこへ僕は行くことができるのかな……)」
ジョニーは無意識にスピードを上げ、ロックへと迫っていった。マニュアルモードで、物凄いスピードで走っているにも関わらず、ジョニーはまどろみの中に近い状態だった。ぼんやりとする意識の中、自分の体が風の中へと溶けていくような感覚を覚える。
「(一体何があるんだろう……行ってみたい、見てみたい……ドキドキする……そうか……僕は、知りたいんだ!)」
その瞬間、ジョニーの心に雫が落ち、熱いものがこみ上げる。それに反応するかのようにモーメントが回転し、デルタ・イーグルを前へ前へと進ませる。とうとうロックを追い越した。
「ジョニー……?」
「……クリアマインドッ! レベル5《TG パワー・グラディエイター》に、レベル5《TG ワンダー・マジシャン》をチューニング!」
ワンダー・マジシャンが自身を5つの光輪へと変えると、光のトンネルとなり、中を通ったグラディエーターを光へと変え、ジョニーとデルタ・イーグルをその光で覆う。
「リミッター解放、レベル10! メイン・バスブースター・コントロール、オールクリアー! ……無限の力、今ここに解き放ち、次元の彼方へ突き進め! GO、アクセルシンクロッ!!!」
ジョニーが叫んだ瞬間、光と共に姿が消える。
「消えた……!? これはバーナードの時と同じ――――」
ロックがジョニーの姿を探して後ろを振り向いた瞬間、空間を切り開いて一体のロボットが飛び出し、その後からデルタ・イーグルに乗ったジョニーが飛び出す。緑色の輝くフレームに覆われ、翼の様な刃を背に持ち、右手に銃剣を装備したそのロボットは鋭い眼光でロックを見据える。
「カモン! 《TG ブレード・ガンナー》!!!」
ATK:3300 レベル10
「これが……ジョニーの辿り着いた境地か!」
「できた……これが僕のアクセルシンクロ!」
「す、すげぇ……ジョニーの奴、ホントにやっちまいやがった!」
「バーナードに続いてジョニーもか……! これは面白くなってきたぜ!」
皆が驚きと喜びをもってブレード・ガンナーを見上げる。
「……ジョニー! ここからだ! そのアクセルシンクロモンスターを使いこなして見せろ! 勝負だ!」
「ああロック! ここからが勝負だ!」
ロックは後ろに現れたジョニーから間合いを取るようにスピードを上げる。
「ボルキャノンの効果発動! 1ターンに一度、自分の場の炎属性“ジェネクス”1体を墓地に送ることで相手の表側モンスター1体を破壊し、そのレベル×400のダメージを与える! 俺はサーマル・ジェネクスを墓地へ送り、ブレード・ガンナーを破壊! 4000のダメージをジョニーに与える!」
サーマル・ジェネクスが炎となってボルキャノンの溶鉱炉に吸い込まれると、ボルキャノンは肩のキャノン砲から凄まじい火炎をブレード・ガンナーに向かって放つ。
「ブレード・ガンナーの効果発動! 相手ターンに一度、墓地の“TG”1体を除外することでこのカードをゲームから除外する! 《TG ドリル・フィッシュ》を除外!」
ボルキャノンの炎が迫った瞬間、ブレード・ガンナーは姿を消して炎を避ける。
「自らを除外するだと……!? 俺はカードを伏せてターンエンド!」
ロック
LP:3400
SPC:0
手札:0
モンスター
・A・ジェネクス・ボルキャノン
魔法・罠
・セット
「僕のターン!」
ジョニー 手札:2→3 SPC:6→7
ロック SPC:0→1
「スタンバイフェイズ時、除外した《TG ブレード・ガンナー》を特殊召喚する!」
次元の壁を斬り裂き、再びブレード・ガンナーが場に姿を現す。
ATK:3300 レベル10
「成程、俺のターンでそいつを倒すことはほぼ不可能ということか」
「僕のターンでもさ! 《TG ワーウルフ》を召喚!」
続けてジョニーの場にワーウルフが現れる。
ATK:1200 レベル3
「バトル! ブレード・ガンナーでボルキャノンを攻撃! 【シュート・ブレード】!」
「ならばお前のターンで仕留める! 罠カード《シンクロ・イジェクション》! 相手のシンクロモンスター1体を除外する!」
「ブレード・ガンナーのもう一つの効果! このカードを対象とする相手の魔法・罠が発動した時、手札を1枚墓地へ送る事でその効果を無効にする!」
墓地へ送ったカード
バスター・ショットマン
ボルキャノンに迫るブレード・ガンナー目掛けてロックの罠から光線が放たれるが、ブレード・ガンナーはそれを銃剣で簡単に弾き、ボルキャノンに向かって弾丸を連射。最後に剣で十字に斬り裂き、破壊する。
「ぐわぁぁぁ!? ……これがジョニーのアクセルシンクロ、なんて力だ……!」
ロック LP:3400→1800
「ワーウルフで攻撃!」
続けてワーウルフがロックを鋭い爪で切り裂く。
「ぐうぅ!?」
ロック LP:1800→600
大きく後退するロックの横をすり抜け、ジョニーは1枚のカードをかざした。
見せたカード
Sp-オーバー・ブースト
「《スピード・ワールド2》の効果発動! SPCを4つ取り除き、手札のSp1枚を見せることで、相手に800ポイントのダメージを与える!」
ジョニー SPC:7→3
デルタ・イーグルから光線が放たれ、イグニッションを貫いた。
「!? ……完敗か」
ロック LP:600→0
ソリッドビジョンが消え、ロックのイグニッションが水蒸気を上げながら強制停止する。ジョニーもそれに合わせてデルタ・イーグルを停止させ、ロックの元へと向かった。
「ロック! 大丈夫かい?」
「ああ……見事な決闘だった。完敗だ」
ロックが手を差し出すと、ジョニーはそれを力強く握り、握手を交わす。
「君のおかげだよ。君が相手じゃなかったら、僕はクリアマインドに到達することは出来なかったよ」
「おーい!」
遅れてバーナードとセントが駆け寄ってくる。
「すっげーじゃねぇかジョニー! これでアクセルシンクロ使いが増えたってわけだ! お互い完全に使いこなせるように頑張ろうぜ!」
「ありがとうバーナード。でも、僕はもういつでもアクセルシンクロは出来るよ」
「え?」
「なんというか……コツを掴んだのかな? 今でもあの時の感覚をはっきり覚えているんだ。だから僕はもういつでもアクセルシンクロができる! 不動 遊星に一歩近づいたんだ!」
「え……マジで?」
呆然とするバーナードに、セントは笑いをかみ殺しながら肩を叩いた。
「何だよ、いつの間にか追い抜かれてんじゃねぇか? だらしねぇ先輩だな?」
「う、うるせー! すぐに追いついてやらぁ!」
バーナードはセントの手を振り払い、ロックへと向き直った。
「それよりロック! 惜しかったな! 新しいデッキの感触はどうだ?」
「俺が思っていたよりも可能性を秘めている……そんな気がした。闇と火だけを残して、俺の融合カードを組み合わせても面白いかもしれん。……先が楽しみだ」
ロックがデッキを見つめて不敵な笑みを浮かべる。敗戦によるネガティブな感情は一切無いようだ。
「よーし! 今日はめでたい日だ! 女の子のいるとこでパーッとやろうぜ!」
「バカ野郎! 遊んでる暇なんてねぇぞ! さっさとお前の分のDホイールを完成させるんだ! 全員で資金稼ぎに繰り出すぞ! お前らもとっとと片付けろ! 料金取られちまう!」
セントはバーナードの襟元を引っ掴むと、そのまま引きずって競技場の外へと向かう。ジョニーはロックと共に片付けをしながら、憧れに一歩近づいた実感を噛みしめ、デルタ・イーグルに乗って競技場を後にする。
少年ロックが”デルタ”の一員になってから、三ヶ月後の出来事であった。
本来ならリジェクト・リボーンの効果でワンダー・マジシャンの効果が無効になってるから相手ターンにシンクロできないんだけど、アニメじゃアクセルシンクロはモンスター効果じゃないので相手ターンにシンクロしました。OCG効果でやってきて何言ってんだって感じですが、どうかご了承ください(汗)