名探偵ミューズ   作:sunlight

10 / 13
解決編です。
上手く書けたか評価をお願いします。
オリジナル展開があるので元ネタを知っている人はご了承ください。



美術館殺人事件 解決編

一方、そのころ警察は石田の考えが正しいと判断し中原を逮捕しようとしていた。

「中原さん、とりあえず、署まで来てもらいましょうか…」

「ち、違う! おれは殺してなんていない!」

中原は必死に容疑を否認するが警察は聞く耳を持たなかった。

「まだ、言い逃れをするのか! 犯人はあんたしか… 「それは違いますよ!」…⁉︎」

石田が中原に再び詰め寄ろうとした時、穂乃果がその声を遮った。

その時の彼女の顔はいつもの明るい顔ではなく、推理をするときの顔になっていた。

μ’sの他のメンバーは穂乃果を見て、

「ほ、穂乃果? まさか、犯人がわかったのですか?」

海未が聞くと、「うん」と穂乃果が頷いた。

 

 

 

 

 

「おいおい、ちょっと待ってくれ… 犯人はあの中原という人に決まってるだろ? たくさんの証拠がそれを示している… おまけにこの美術館の職員には彼以外全員にアリバイがあったんだぞ?」

石田が言うと穂乃果は首を横に振った。

「それは、本当の犯人が中原さんに罪をきせるために用意したものですよ、それにアリバイなんていくら調べても無駄だったんです」

「どういうことだ?」

森が穂乃果に聞いた。

穂乃果は推理を続ける。

「だって、犯人のアリバイを証明するそのアリバイの証人も嘘をついているんですから…」

「「「「な、なんだって⁉︎」」」」

その言葉に全員が驚いた。

「そう、つまり犯人は1人じゃないということです!」

穂乃果が言うと、

「で、では、この美術館の人間の誰かが犯人だということしか分からないじゃないか!」

石田が言うと「そうです」と穂乃果が言った。

「でも、その犯人が誰かはすぐにわかります、ある実験をすればね…」

穂乃果の言葉に「ある実験?」と全員がクエスチョンマークを頭に浮かべた。

「簡単なことです。 この紙に美術館の職員なら持っているペンで自分の名前を書いてください」

穂乃果はそう言うと美術館のパンフレットを差し出した。

「そんなことをなんだってしないといけないんだ?」

「いいから、いいから」

穂乃果は強引に森たちにお願いした。

 

 

 

ー5分後ー

カリカリカリ…

 

「『水山連』と… これで良いんですか?」

「はい、 最後の人」

穂乃果は美術館の職員に片っ端からその人の持っているペンで名前を書かせた。

最後の人は飯山館長だ、

「飯山館長、どうぞ名前を…」

「……」

しかし、飯山館長はペンを出したが名前を書かなかった。

「………」

そして、ペンを持っている手は震えていた。

「あれ? どうしたんですか? なんでペンを持ってるのに書かないんですか?」

穂乃果はペンを持ったまま固まっている飯山館長に聞いたが飯山館長は黙ったままだ。

「もしかして、そのボールペンって文字を書けないんですか? でも、だったらなんでそんなボールペンを持っていたんですか?」

「……!」

飯山館長は顔を青くして俯いた。

穂乃果が聞くとそれを聞いていた石田と森が飯山館長のボールペンを見た後、穂乃果にどういうことだと聞いた。

穂乃果は口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こういうことですよ… 犯人の1人は飯山館長! 貴方だというね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果は飯山館長を見て言った。

周りにいた全員がその言葉に驚く。

「お、おい、待ってくれ… なんで書けないボールペンを持っていただけで犯人なんだよ……?」

いち早く我に帰った石田が穂乃果に聞くと、穂乃果は祝迫オーナーが握っていた【ナカハラ】と書かれた紙をみんなに見せた。

「順を追って説明します。 まず、この紙をよく見てください。 この【ナカハラ】という文字の上に何か細く尖ったペンみたいなものでえぐったような跡があるでしょう?」

穂乃果が説明してもみんなは頭にクエスチョンマークを浮かべたままだ。

穂乃果は説明を続けた。

「本当に祝迫オーナーがこの【ナカハラ】という文字を書いたのならこんな後はあの防犯カメラの映像を見る限りつかないはずです。 本当にこの文字を書いたのなら祝迫オーナーは書いた後ペンを投げ捨てたのですから…」

「ち、ちょっと待ってくれ! じゃあ、このえぐったような跡は誰がつけたんだ‼︎」

石田が穂乃果に言うと穂乃果は答えた。

 

 

「それをつけたのが、祝迫オーナーですよ」

「「「ええっ⁉︎」」」

 

 

全員が驚いた顔になったが穂乃果は気にせずに続けた。

「そもそも根本からみなさんは騙されているんです。 そのえぐったような跡をつけたのが祝迫オーナーだということは、その紙に書かれていた【ナカハラ】という文字は犯人によって最初から書かれていたものだったんです」

「な、なんだって⁉︎」

石田が驚くと今度は森が穂乃果に聞く。

「し、しかしだな… そもそもその紙はあの後ろにあった絵画の名札だったんだぞ? 祝迫オーナーはなんでわざわざそんな札を咄嗟にとは言え取ったんだ? 別の札を取る可能性もあっただろうに…」

森の問いに穂乃果は首を振る。

「その可能性は限りなくゼロに近かったでしょうね。 何故なら、祝迫オーナーが札を取ったのは犯人にこう言われたから… 『おい! 後ろの札を見てみろ! 犯人の名前が書いてあるぞ!」ってね!」

穂乃果は紙をおいて推理を続ける。

「でも、祝迫オーナーが取った札には犯人の名前ではなく【ナカハラ】と書いてあった。 驚いた祝迫オーナーは慌てて机の上にあったボールペンを咄嗟に取り、そのボールペンで本当の犯人の名前を書こうとした。自分を殺そうとしている張本人の名前をね! でも、書けなかった、何故ならそのボールペンはあらかじめ犯人が用意していた 『書けないボールペン』だったからですよ!」

「つ、つまり、その紙に残っているえぐったような跡はその時のものってわけね…」

「なるほど… あの時祝迫オーナーがペンを捨てて紙をぐしゃぐしゃに丸めたのは手でその紙をもみ潰すためだったんですね」

穂乃果の説明に真姫と海未が納得をする。

「つまり、これはあの無音の防犯カメラの映像と書けないボールペンを使って、真実とは全然違う内容を私たちに錯覚させたトリックだったんですよ!」

穂乃果がそこまで言うとにこが口を挟んだ。

 

 

 

「でも、私が見つけたこのボールペンは書けるわよ…? ホラ……」

「「「ええっ…?」」」

 

 

 

 

にこがパンフレットに自分が拾ったボールペンは書けると言った。

しかし、穂乃果は冷静に、にこに聞き返した。

「確か、そのボールペンは見つけた時はペン先が引っ込んでいたんだよね?」

穂乃果が聞くと「ええ…」とにこが頷く。

未だによく理解していない石田が「どういうことだ?」と穂乃果に聞いた。

穂乃果は説明を続ける。

「ペン先が引っ込んでいるのはおかしいでしょ? これから、殺されるかもしれない人間がわざわざペン先を元に戻すなんて…」

「だからなんなんだ?」

石田が穂乃果に聞くと穂乃果はペンを見せながら続けた。

「だから… おそらく犯人は、祝迫オーナーが使った書けないボールペンと、にこちゃんが見つけたこの普通に書けるボールペンをすり替える時に、うっかりペン先を出す前のボールペンを置いてしまったんですよ! そして、祝迫オーナーをあんな派手な殺し方で殺したのは絵になぞらえるためだけではなかったんです。 のど元を一突きで殺すなど派手な殺し方をした理由は人の目を死体に向けさせるためだったんです。 普通、あんな派手な死体を見たら騒ぎを聞いて駆けつけたみんなの視線は死体に注がれます。 ボールペンをすり替えるためにしゃがんで見つかりでもしたらトリックがバレてしまうかもしれない。 だから、絵になぞらえていると私たちにミスリードさせ、死体に私たちが気を取られているどさくさにまぎれてボールペンをすり替えたんです…」

穂乃果は説明が終わると飯山館長を見た。

 

 

 

「つまり、この犯行ができたのは、書けないボールペンを現在でも持っている人物である、飯山館長… 貴方しかいないんですよ…」

 

 

「………」

 

 

穂乃果がそう言うと飯山館長は目を伏せた。

 

「そして、さっきの通り犯人が2人いるとすると、飯山館長のアリバイを証明する人がもう1人の犯人です…」

 

穂乃果はそう言うともう1人の犯人を指差した。

 

「それは貴方でしたよね… 有馬さん…」

 

「……!」

 

「まだ言い逃れをする気なら、なんで飯山館長と一緒にいたという嘘の証言をしたのか説明してください、今すぐに!」

 

「………」

 

穂乃果がそこまで言うと有馬は床に崩れ落ちた。

 

「も、もうダメです… 飯山館長…!」

 

有馬は力なく呟いた。

飯山館長が有馬の肩に優しく手を置いた。

 

「有馬くん… 君は巻き込まれただけだよ…! 私の復讐計画に… あの腹わたの腐った悪魔を殺すための計画に……!」

 

 

飯山館長は有馬の肩から手を離し、憂いを帯びた表情で言った。

 

「では、犯行を認めるんですね?」

 

「はい… 私があの悪魔を殺し、有馬くんがアリバイの確保を手伝うというものです。 それ以外はそこの名探偵さんの言った通りてすよ…」

 

森が飯山館長に聞くと飯山館長が穂乃果を指差して微笑みながら言った。

その微笑みは後悔している自虐的なものではなく、どこかやりきったような達成感に満ちた笑顔だった。

 

「それにしても上手い具合に防犯カメラに映ったものですね…」

「いや、上手い具合にじゃないと思うよ」

石田が言うと穂乃果が口を挟んだ。

どういうことかと絵里が穂乃果に聞く。

 

「恐らくこれは計算づくの犯行だよ。 だって名札をとったときに前に転ぶタイミングやペンや名札の位置は祝迫オーナーの性格を考慮しないと出来っこないし、それに、この部屋でこの日のために何回も練習してたんだと思うし…」

 

「こ、この部屋で…?」

 

花陽が聞くと穂乃果が続けた。

 

「私たちがこの美術館に来た理由… 深夜に甲冑の騎士が歩き回ると言う噂、あれは祝迫オーナーを殺すために飯山館長と有馬さんが練習していたからできた噂なんだよ」

 

穂乃果は「そうですよね?」と言うと飯山館長を見た。

飯山館長は微笑みながら呟いた。

 

「まさかそこまで分かっておられるとは… 警察の方たちに信頼されているだけのことはありますね…」

 

飯山館長はそう言うと軽く上を向いて続けた。

 

「ええ、その通りですよ… 自分でも愚かなことだとは思いましたが、私利私欲のためにこの聖なる美術館を乗っ取り、我が子同然に可愛がっている美術品たちをゴミ呼ばわりして売りさばこうとした悪魔を殺さないと気が済まなかったんです… この美術館を乗っ取ったあの悪魔をこの世界から消し去るためにね…」

 

飯山館長はそこまで言うと、今度は中原の方を見た。

 

「そして、勝手に作品を売り飛ばした中原くん… 君にも罰を与えたかった…」

 

「っ………」

 

飯山館長の視線から逃げるように中原は目を逸らして唇を噛み締めた。

そんな中原を見たあと飯山館長は今度はなぞらえるために使われた絵である『天罰』を見て続けた。

 

「なぞらえるつもりが、この絵の通りになってしまったのですね…」

 

「え? 違うでしょう? この絵の通りだったら貴方たちには裁きはくだらないはずよ?」

 

飯山館長の言葉ににこが横槍を入れると、飯山館長は微笑みながら首を振った。

 

「いいえ… この絵の通りですよ… 正義の騎士は悪魔を葬ったが、その返り血を浴びた正義の騎士はやがて悪に身を染めてしまうのですから… まさに今の私たちのように…」

 

飯山館長は有馬を肩を抱いて起こし、森の方に向かった。

ガチャリと2人の手に手錠がかけられる。

 

「何はどうあれ、私たちは殺人者です… 私たちもまた、あの『天罰』と同じく悪に身を染めてしまったのです… その証拠に純粋な正義の眼は欺けませんでしたから…」

 

飯山館長はμ’sの9人を一瞬見たあと自分から警察についていった。

 

 

 

 

こうして美術館を舞台にした殺人事件は幕を閉じた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー1週間後ー

 

「へー あの美術館は続けることになったんですね!」

「うん! なんでも事件の後、作品の素晴らしさとかが広まって続ける声がすごく増えたんだって!」

 

美術館の事件から1週間後、μ’sのメンバーが新聞を見ると、新聞には『音ノ木美術館閉鎖取り消し! リニューアルオープン!』という見出しがあった。

海未と凛は美術館が閉鎖にならなかったことに嬉しそうだ。

 

「今度、リニューアルオープンした美術館にまた行ってみる?」

「そうやな! 今度は9人みんなで回ろうか!」

 

穂乃果と希がリニューアルオープンした美術館にもう一度みんなで行こうと提案した。

みんなは笑顔で二つ返事で了承した。

 

「ねぇ! 見てよ! ここ!」

 

ちょうどその時、にこが美術館リニューアルオープンの隣の記事を指差した。

 

「私たちの活躍が新聞に乗ってるわよ!」

 

にこが鼻息荒く興奮しながら言うのでみんなはその記事をみた。

そこには、『高校生探偵団、μ’sがまたもやお手柄! 見事事件解決!』と書かれており、9人の集合した写真が貼ってあった。

目立ちたがり屋のにこは大喜びしていたがことりや花陽は恥ずかしそうだった。

 

「これで、私たちの名探偵ぶりがまた一つ証明されたわね!」

 

 

「にこっち、テンション高いなぁ…」

「解決の推理をしたのは穂乃果なのに…」

 

ぴょんぴょん嬉しそうに跳ねながら喜んでいるテンションの高いにこの横で希と真姫は呆れながら苦笑した。

 

 

 

 

 

ー次回予告ー

穂乃果の提案で他県の高校生と交友を深めるためのイベント『ホームステイの受け入れ』のパンフレットをたまたま見つけたことで、そのイベントに応募するμ’sの9人、結果はなんと9人全員が見事当選してしまう。

当選したことで穂乃果たちは他県の見知らぬ高校生たちを迎え入れるためにそれぞれが家に帰り事情を説明し了承を得てホームステイへの準備に取り掛かる。

 

一方、【奇跡(ミラクル)】と呼ばれる9人の探偵団もμ’sと同様全員が当選していた、こちらもネットでたまたま見つけた『ホームステイのイベントに参加して見知らぬ他県の高校生と交友を持とう』というもので当選したら『ホームステイの受け入れ』で当選した相手の家に3日間ホームステイして交友を持つというものだ。

当選したのは天才発明家の石川勇樹たちとその仲間達だ。

彼らも秋葉原に旅行できるのと有名な探偵団であるμ’sに会えることに浮き足立っていたが、先生が引率でつくことになり少し憂鬱な気持ちになりながらも楽しみに待つ。

 

これが今回の事件の始まりだった。

 

2つの探偵団が秋葉原に集まった時、その事件は起きた。

 

ただのホームステイが恐ろしい事件になる。

 

悪夢のような3日間のホームステイは静かに幕を開けようとしていた……

 

 

 




ご指摘、感想をよろしければお願いします。
次回は【水岸薫】様とのコラボ作品です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。