速水竜太(はやみりゅうた)
中学二年生。
実瑠おばさんの息子。
母子家庭で母親は家事をしないので一通りの家事は彼がやっている。
女史力が半端なく高く、家庭部の部長でクラス委員長というしっかり者。
誕生日は10月24日
好きなものは料理、低身長の女史。
嫌いなものはだらしない人
五日市高校。
偏差値50強のいたって普通の高校だ。
普通科、特進と別れており、わたしは普通科に入った。
強豪の部活は演劇部とバスケ部の2つ、進学率もそこそこの超がつくほどの平均的な学校である。
強いて長所を挙げるとするなら徒歩五分圏内に少ししゃれたケーキ屋があるくらいだ。
自分の母校になる学校の印象がこれだけというのも寂しいものがあるが、事実なのだからしょうがない。
もっとも唯一の長所であるところのケーキ屋でさえ利用する予定は無い。
では何故そんなに地味な高校を選んだのかと問われれば、これも理由は簡単で余力を残したいだけなのである。変に進学に気合を入れていたり、部活に力を入れている学校へ入っては嫌でも努力せざるをえない。
「(まっ、中途半端なわたしにはこんくらい中途半端なのがお似合いよね。」
そんな希望のかけらもないようなことを考えながら自転車の鍵をかけていると「君1年生、、、だよね?」という男の人の声がした。振り返ってみるとそこには眼鏡をかけた中くらいの背をした男子生徒が立っていた。ジャージを着ているということはなんらかの部活の勧誘にきたのだろう。しかも漫画でしか見たことのないような厚いレンズに渦巻きのような模様のある眼鏡をつけていた。
「まあ、はい」とわたしは当たり障りなく答えた。
「そか。俺演劇部の二年なんだけどさ、明日の放課後に体育館で劇やるからよかったら観にきてよ。」
「なんでですか?」
「え?いやなんでって、この時期にジャージ着た文化部が公演の宣伝してたら目的は1つだけっしょ」
「、、、分かりました。募金活動ですね」
「ボランティア!!!?」
流石は演劇部。なかなかきれのあるつっこみをしてくれる。
しかし、よりによって演劇部か、、、ややこしいのにつかまってしまったな。
でもまあここは中学で培ってきた大人の対応スキルを発揮しておこう。
「あなたの言いたいことは分かりました。善処しておきます。」
「政治家かよあんたは。でもいいキャラしてるよ。良い役者になれるかもしれないな。」
役者と言われた時、夢で聞いた女子たちの笑い声が頭の中でこだました。
「、、、すみません、教室行かないといけないんでそろそろ」
「おっ、そうだよな。引き留めて悪かったな。それじゃたのんだぜ!!!クラスにもひろめといてくれよ」そう言って彼はわたしに宣伝用の広告を渡した。
広告にはタイトルとともにキャッチコピーのようなものが書いてあった。
[元素~まだ始まってもいない小さな原石へ~]
「、、、発想にひねりがない」これが広告に対する感想だった。
わたしは一通り目を通した後そのまま丸めてゴミ箱に捨てようと思ったが、流石に失礼だったのでスクバに押し込むことにした。
結局佐代子おばさんは来れなかった。(その代わりに埋め合わせとして今度外食に連れてってくれるらしい)
入学式を終え一年生一同は各教室に入った。
わたしは自分のホームルームとなる1-6の教室へと入り、当たり障りのない自己紹介をして席に着いた。全員の自己紹介が終わった後の担任の流暢な英語での自己紹介や諸連絡を聞き流し、ようやく帰宅を許された。そのまま帰っても良かったのだがこれから3年間お世話になる図書室の蔵書の確認と司書の先生に拝謁するという最重要任務があったので一人学校に残った。
五日市高校の図書室はクラスのあるA校舎とは違うB校舎の3階にある。時刻は11時ほどで風が少なく、春にして暑めの日だった。
「ああ、暇だなぁ~」
登校初日からこんなに暇だなんて先が思いやられる。この際2、3人は友達をつくろうかという邪念が生じたが今朝の夢を思い出し、すぐにその考えは消えうせた。
なんの音もない階段をのぼっているとグラウンドから運動部の掛け声が聞こえてくる。おそらく皆自分の、チームの目標にむかって一生懸命に練習しているんだろう。自分の弱さを誤魔化すために、チームメイトの弱さをかき消すために皆が皆必死に声を出しあって練習に励んでいるのだろう。そんな同世代の姿を想像すると、少し羨ましく、妬ましくもあった。しかし同時に努力して報われるのは結局は1チームしかない。そんな賭けのような世界なのにあんなに本気を出すなんて馬鹿げている。というように思って自分を納得させようとする自分もいるのだ。こうやって悩むくらいならやはりわたしはなにもやらない方が良いのだ。ただ一人静かに過ごす場所、静寂で誰もわたしを見ない、誰もわたしを見ない、誰も、、、誰もわたしに魅せられない。そんな高校生活で、、、、、
良いんだ
A塔とB塔を繋ぐ渡り廊下の戸に手を置くと男子生徒の声が聞こえた。だれかと話しているようなかんじなのだが、しばらく聞いてみたところどうやら外にいるのは一人だけのようだ。
「、、、でかい独り言だな。」
こんな時間に残って渡り廊下で堂々と独り言をいうなんてわたし以上の暇人だな。やれやれまさか入学初日からこんな変な人に出くわすとは思わなかった。遠回りになるが反対側の渡り廊下を使うか。
遠回りと言っても1分もかからない移動距離を移動しわたしは渡り廊下の戸を開けた。戸を開けた瞬間わたしは突然足が固まってしまった。唐突すぎてこれを見ている諸君は混乱するだろうが足が固まったわたし自身も困惑しているのでおあいこさまだ。しかし、しばらしくしてわたしはこの出来事の理由がはっきりと分かった。戸越しで聞いた時はそうでもなかったが、今外に出たことにより独り言だと思っていた声が何かの台詞であることに気付いたのだ。しかもその声は、100m近い距離があるにも関わらずまるで風のように空気を伝ってわたしにリアルタイムで、まるですぐ隣で聞いているかのような臨場感をわたしに感じさせた。久しく感じなかった感動をわたしは感じさせられたのである。わたしはこの声の主の顔を見たくて左をむくと一人の背の高い薄茶髪のジャージを着た男子が腰に手を当てて立っていた。そして服はどこかで見覚えのあるジャージだった。
「あれは確か、今朝のぐるぐる眼鏡先輩(仮)の‼」
ということは彼も演劇部員ということなのだろうか。演劇部。そこでわたしは今朝ぐるぐる眼鏡先輩(仮)からもらったチラシをスクバから出した。
「明日の、、、3時か」
劇自体に興味はないが、声の主を知るという目的で観ても罰は当たらないだろう。
それからわたしは彼が帰るまでずっと彼を、彼の声を観ていた。まさか彼が夜の7時までそこで声出しをするつもりだとは知らず最後まで、、、
今回はひたすら実瑠さんの視点で会話が全くない話でした。しかし!!!!!!!!!次回作では登場人物も会話もガールズトークも自主規制ネタも増やしていくつもりなので皆さん乞うご期待ください( ´ ▽ ` )ノ
それではアディオス((((((((つ・ω・)つ |お布団|