エンゲキ~その日確かに僕はいた~   作:勝山也利

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追加登場人物紹介

[2年]
北川将志(きたがわまさし)
文系特進の二年でかなりオープンな変態。
気さくで話しやすいが少し軽い一面もあり実瑠から少し苦手意識をもたれている。
普段はグルグル模様の眼鏡をつけているが素顔はイケメンでむかつくくらいもてる。
誕生日は7月18日。
好きなものはネトゲ、料理
嫌いなものは口先だけ達者な奴、ブス。

米田英一(よねだえいいち)
二年の裏方で自他ともに認める数学の神。
体調を崩しやすく、平日の午前中に来るのは稀。
優柔不断なところがあり、雛斗にしかられることもしばしばある。
外見から「クマ」と呼ばれる。
誕生日6月3日
好きなものはネトゲ、甘いもの
嫌いなものはおせっかい

山北水希(やまきたみずき)
二年唯一のツッコミにして皆の姉御。
何かと気苦労が絶えない。
将来の夢は舞台デザイナー。
思ったことをあまり表に出さない。
誕生日は8月4日
好きなものは演劇、図書室
嫌いなものは偽善

永井優也(ながいゆうや)
二年文系特進で全国模試は常に10位圏内、校内試験は基本100点の超人。
基本武士言葉で話す。
本当は五日市国際高校に入学するつもりだったがある理由で五日市西高校にくる。











元素3

~~~~ピピピピピピピピピ~~~~

アラームが鳴るころにはわたしは既に起きていた。というより小6の修学旅行の前日以来初となる徹夜で寝ていなかったのである。しかも理由が、、、

「、、、きれいな声だったな」

結局昨日は渡り廊下で演技の練習をしていた男子生徒の声に聴き入ってしまい、彼が帰るまで学校にいた。しかもその後その生徒に話しかけるか話しかけないかと迷っていつつ下校している彼を尾行してしまった(!!!?)。そして家に着くころには時計の分針は9と10のあいだにあった。

その後食事をとらずに布団へ直行したがあの声が何故か頭にこだまし、考え事をしていたら朝になってしまった。

 

足取りも危うく、一階に行くとジャムの甘い匂いがした。またりゅう君が作っているのだろう。

「あっおはようっすみいねえ。今朝は洋食っすけどいいすかね?」

「ああ。なんでもいいよ。てか昨日結局晩ご飯食べてないからパン一枚余分に焼いてもらえる?」

「了解っす。」

そう言ってりゅう君は袋に入っているパンを一枚トースターの中に入れた。

「ていうかみいねえ、登校初日にも関わらず9時過ぎに帰ってくるなんておかしくないすか?」

朝から痛いとこをついてくるなこの高校生は。

「ああ、、、閉館ぎりぎりまで図書室にいたからだよ。」

「夜の9時前後まで開いてる学校の図書館なんてあるんすか?」

「い、いやぁ司書さんとラノベについての語り合いで盛り上がっちゃってさ。」

「ふーん」

と言ってりゅう君はこの話題を終えた。まあ、わたしが友達を作らないのを知ってるだろうから夜遊びの疑いはかけられていないだろう。

「、、、みいねえ今日身支度は早いんすね。しかも着替えてあるし。」

「ああこれ?実は着替えてなかったりして、、、」

と言った瞬間りゅう君の表情が変わった。女を見る目から雌を見る目に。

「、、、実瑠さん」

「は、はㇶ」

敬語!!!?これはやばいやつだ。

「あなた一日着てた服にどれほどの雑菌がついてるか理解してる?」

「、、、知らないです」

「しわのついた服を着た女子が受ける無意識のストレス指数の高さはお分かり?」

「、、、分からないです」

「俺に言うことは?」

「すいませんでした!!!!!」

2011年4月7日木曜日。天気は晴れ。高校生活2日目の朝は年下に90度傾斜のお辞儀をすることで始まった。

 

 

 

 

始業2日目だが、校庭にはたくさんの部活の部員たちがビラ配りのために立っていた。何人かの勧誘を断りようやく自転車置き場にたどり着いた。

下駄箱まで行くと玄関の戸にビラを貼っている男子生徒がいた。眼鏡を額に上げていた。

[同志求む  ボードゲーム部]と書いてある。どうやら部を新設しようとしているらしい。チラシを見ているとチラシ貼りをしていた生徒と目があった。

「興味ある?」

「え?」

わたしは周りを見た。まさか一般の男子生徒が初対面のわたしに話しかけてくるなど

「いやいや君だよき・み。他にだれもいないだろ?」

わたしだった。まさかだ。

「いや別にあなたを見てたんじゃないですよ。あなたの貼ったチラシをみてたんですYO」

何故かけんか腰の口調になってしまった。しかも語尾噛んだし、、、

「え?まじで!!!?君ボードゲームに興味あんの?」

「いや興味はないですけど、ただ部活を立ち上げようとする人がホントにいるのかぁって思って。」

「ああ、そうだな。俺も実は昨日までそう思ってた。」

「え?昨日までって考えがあって部活立ち上げたんじゃないんですか?」

「考え?んなもんないよ。てかまず昨日入学したばっかだから部結成届すら出してねぇ」

、、、ナニイッテンダコノヒトバカジャナイノ?

「ていうか1年だったんですか?」

「おお。靴はきかえようとしてたとこをみるとあんたもだろ?てか同い年なら敬語やめてくんね?

なんかこそばい。」

初対面の女子にタメ口で話せというのも無理な話である。

「てかまぁここで会ったのもなんかの縁だろうし名前教えてくれよ。名前知ってた方が勧誘し易いし」

「何でそうなるんすか。そもそもわたし部活とかには興味が。」

「なくてもいいからさ。それに俺普通科にも知り合い欲しかったし。」

「特進なんすか。」

「おお。分特だよ。ってんなこたいいから名前名前。」

何故こんなに名前を聞きたがるんだ。ナンパなのか?

「1-6中山実瑠」

「中山か。俺は林達成。1-8だ。よろしくな!!!」

よろしく、というがわたしとしてはもう関わりを持つ気はないのだが。

 

 

 

 

朝の謎の絡みから4時間23分後の12時45分、つまり昼休み。

わたしは図書室で菓子パンを食べながら考え事をしていた。

登校二回目にして図書室で孤立というのも悲しいものではあるが、教室で衆目にさらされながら食事するよりはましだ。

さて考え事というのは今日の放課後の演劇部の公演に行くか否かということである。別に劇の中身に興味があるわけではない。ただ、渡り廊下で練習をしていたあの人の声がどうしても忘れられないのだ。何故こんなにも声に惹かれたのか分からない。いや、、、分からないのではなく分かりたくないのかもしれない。もしも分かったら、、、わたしはまた声を出したくなるだろうから。

それでもどうしてもわたしは彼の声が聞きたかった。

「、、、なんでこんなに悩んでんだろ。」

もともとこんなに悩まないためにこの学校を選んだのに。めんどうくささから解放されるために孤独をえらんだのに。

「ほんと、、、らしくない。」

もうちゃちゃっときめてやろう!こうなったらもうやけだ!!!

 

 

 

 

 

 

 

                      

 

 

 

          わたしはふところから鉛筆を出した


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