龍の手使いが頑張る話   作:花咲爺

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久しぶりの投稿で覚えている人がいるのかなぁ…と少し心配になったりしている花咲です。皆様、私は死んでおりませぬ故ご安心を。

でもクオリティーは全然上がらないどころか劣化さえしているんだよなぁ…


第七話 オーフィズブートキャンプ始動

「殺せ!殺せ!」

「教父様ぁ!早くそのものに死を!!」

 

「信じていた者たちに裏切られる気持ちはどうだ?鬼よ」

 

『また、これか…』

 

 僕は、最近良くこのような夢を見る。

 だから夜寝ないで昼に寝てるけど鍛錬やら部活やらその日に起こったはぐれ討伐やらの疲れでしっかり寝ると絶対と言っていいほど。

 この夢を見るのだ。しかもはっきりと意識を持って。所謂白昼夢というやつだろうか?

 

「鬼だッ!殺せぇッ!」

「今まで騙してやがったんだなぁ!!俺たちを喰うつもりだったのか!」

「何が守るだッ!テメェこそが俺らを害する鬼だろうがッ!」

 

 眼前に広がる人の群れ。

 いや、群れというのは少し違うか、最早人の波規模だ。ざっと1000人は超えた人数が僕を見ながら「殺せ殺せ」と大声で叫んでいる。

 そして僕は怒りに顔が歪んでいる人からあられのように石を投げられながら、呆然と、口を開けてそれを見返す。

 まるで信じられない物でも見るようにただポカンと、断頭台のような所で後ろ手に縛られながら僕は見ていた。

 

「お前は、生まれてきてはならなかった…」

 

 そう言って、顔の見えない男が僕の首を切り落とし…

「ハァッ!!???」

 夢から、醒める。

 

「全く、何だよこの夢は…」

 

 熱でうなされる時にでも見るのとは格が違う最悪な寝覚めを体験した僕は、ふぅーっ、とまるで体の中に溜まった悪いものでも吐き出すかのように息を吐く。

 夢とは人がした体験を脳が寝てる間に色々とゴチャ混ぜにして見るものだ。だからこれはきっと僕がした体験を表しているのだろう。

 

 はぐれ悪魔を殺した感触、匂い、見た記憶。74体もの悪魔を殺し、20人を超える人の死体を見て、僕は今を生きている。

 これは、僕がした行い。しかし、いつも少し胸に引っ掛かりが感じられるのは何故だろう?と言うのもやはり現実味が高すぎるのだ。

 その時の表情、太刀筋、怒りがビシビシと伝わってくるアレは夢とは近いがかけ離れてもいるような気がする。

 

 服装も顔も、僕が知っている人達とは違う。違うはずなのに、何か見覚えが感じられる、デジャブとも言うその感覚だ。

 もしかして僕の前世だとでも言うのだろうか?それこそ漫画じゃないだろうし、僕は主人公と呼べるような力も仲間も持ち合わせていない。

 

 漫画でこんなシーンを見たことが無い訳じゃないがそれならばどう見ても、どう考えても、あの光景はリアルすぎだ。

 

(ピンポーン)

 そんな風に考えていると僕の思考を遮るかのようにインターホンが鳴る。

「よぉ晴天!遊びに来たぜッ!嘘ッ!嘘だから扉締めないでくれ!!」

 休日に、僕んち家来たよ兵藤くん。

 かんっぜんに…忘れてた…と急いで準備を始める僕。と言っても着替えるくらいですぐに済んだ。こういうのは日頃の整理整頓の賜物だなぁ。

 

 そのまますぐにオーフィスちゃんに適当な空間を提供してもらった。

 

「押忍!よろしくお願いします!!」

 

「その息や良し、さて、今日から修行を開始するんだけど。正直に言って僕は我流でしか戦闘とかやって来てないからここはちょっと代理人を用意しました!」

 

「え?お前、いつもそんなテンションじゃな…」

『相棒、気にしたら負けだぞ』

 

 強引に会話を切るドライグ。どうやら僕のこの話し方がデフォだと気づいてくれたようだ。学校じゃ真面目も真面目大真面目だからね。

 の割に勉強は疎かにしてるから成績は中の下位だけど…まぁ、それはそれとして本日の代理人講師を務めるのはァ!!

 

 よろしくお願いします!と元気に僕は後ろの人物を指差す。そこにいたのは…

 

「我、オーフィス、今日はお前の教官」

「よろしくお願いします?」

 

 スポーツウェアに身を包んだオーフィスちゃんにジャージ姿の兵藤が疑問形で返事をする。確かにそうだ、見た目ロリの女の子に一体何を教えてもらうんだって話。でも驚くなかれ、この子は龍神、それも空間さえも操れる無限の龍神なのだ。

 見た目で侮れば来るのは死、騙して悪いがこれも必要な事なんだ。

 僕も一朝一夕で兵藤が強くなるとは思っていない…心を鬼にし、兵藤にはちょっとした地獄に行ってもらおう。

 

「早速行く、んっ」

(ぐぉん)

 

 オーフィスちゃんが空間に手をかざすと僕が住んでいる部屋のど真ん中の時空が割れ、次元の狭間が見える。そしてその先にあるのは無常の暗黒こと昏き闇だ。

 ちょっと分かりづらいので補足。

 

 テレテレテッテンテーン♪

 

 ハイ、今回ご紹介するのはこのオーフィスちゃんが見つけ出した時空の一つ、「歪みの時空」です!

 この空間、一体何の因果で生まれたのか、何のために存在しているのか一切のことは分かりません。

 ですがここぐにゃんぐにゃんに様々なものがネジ曲がり、何と現界との時間の差が一日一年と、あの「時と精神の空間」顔負けの竜宮城並みの時間の流れになっております!

 さーらにさらに!そこに存在するものさえもすぐさま形作られまた塵になると言うトンデモ空間でございますここは、当然のことながら人間は耐えることが出来ません↑!

 

 しかしぃ、オーフィスちゃんの魔力の鎧的な某を使えばあら不思議!体の状態が固定され、簡単にこんな環境でも生きていけちゃうんです!凄いでしょう欲しいでしょう!?

 今なら何と僕のお願い一つでこれくらいならぽんと出してくれる大盤振る舞い!この期を逃しちゃいけませんよアナタ!

 

『ふわぁ…あ、晴天おはよーさん。って、もうあの色ボケ小僧来とるのな、修行熱心なのはええけど身を滅ぼしそうやわ…』

 

 やっと起き始めたカンサイが起きて早々に毒を飛ばす。

 

「ふ、譜代?もしかしてこれに俺入るのか?何か凄い音が聞こえてくるんだけど…何かバキャッとかぐしゃっとか聞こえちゃいけない音がすんごい聞こえてくるんだけどぉ!!」

 

 唐突な脳内TVショッピング終了。これより兵藤をこの中に入れてくる。

『鬼ー!悪魔ー!晴天ー!魔力少ないコイツにソレはアカンてー(棒)』

 

 白々しい程の棒読みどーもカンサイ。この前寝てる間に指輪から僕出して勝手にこの中入れたの誰だっけ?『ワイ』即答かよ。いっそ潔いな。

 

 ものすごい轟音と一緒に起きたらジェノサイドパーティー真っ只中で心臓飛び出るかと思うほど驚いたわ。

 

「まぁ頑張れ兵藤、オーフィスちゃんにはボンキュッボンの姿になってくれるよう頼んでおいたからさ」

「え、まじで超頑張る」

 

 途端に目の色変えてはないが鼻息が荒くなる兵藤、まだその目の奥には少しだけ本当に?と言う疑心が見て取れるがそれもすぐに取れるだろう。オーフィスちゃんは体を自在に変えられるのだ。

 エロが原動力のやつにはエロを餌にして動かせ、これ、この1000年ずっと言われてきた事だから。

 と、兵藤を放り込もう思っていたら何か黒いオーラのようなものが兵藤を覆った。魔力の鎧だ。

「いっけね忘れてた」

 

「我の加護、一年は耐えられる。お腹も減らない、得ざんまい」

 

 言葉のボキャブラリーが増えたオーフィスちゃん。そんなところもやっぱり可愛いよ(*´`)

「おい、待て譜代今お前忘れてたとか言わなかったか?あのまま中に入ってたら俺どうなってたんだ「グッドラック」

 

 鬼となった僕は言葉の途中で兵藤の腕を掴むとそのまま開いた空間の中へと放り込んだ。

「ああああああああ!!!」

 

 そう最後の言葉を残して時空の中に消えていく兵藤。頑張れ、超頑張れ。と僕はその原因となっていることを忘れて兵藤を見送った。

 

 さてと、オーフィスちゃんが次は行く番だ。なん、だが…体が変態を始めている…何かミシミシと音を立てて体もだんだん大きくなって、僕が言ったように、胸も、凄く、大きいです…

 ものの十秒で変態完了。でもまって、ヤバい、ただ一言、これはヤバい…オーフィスちゃん可愛いから綺麗になった。元々さらっさらで長めだった髪もショートになってスポーティだ。僕の好みどストレートなんですが…嫁…

 

『やめい、ホントにそれはやめい。まず種族の差とかその他もろもろあるやろ。セーテン、そう言うのはせめて同じ位の力つけてから言おうな?』

 良いじゃないか、ね?『ね?やない、駄目なもんはダメや』ケチー!『子供か!そもそもそんな簡単に結婚がどうのとかいう歳やないやろが』

 

 まだ健全な高校生ですーと脳内でちょっとした論争を繰り広げるうちに変態を終えたオーフィスちゃんが「行ってくる」と穴に入っていく。

 僕はそれに笑顔で手を振って、兵藤にこれから起こるであろう壮絶な訓練と言う名の地の獄に心の中でちょっとだけ合掌するのだった。

 

 放任主義万歳である。

 

 だが考えてみよう。人の身で人外の力に追いつくのは並大抵のことではない。

 僕は幼い頃からの鍛錬やらにやたらと詳しいカンサイの解説とはぐれとの実践によって力は得られた。

 だが、イッセーはこの年齢になるまでろくに鍛錬したことがない奴だ。

 体を見るに別に余分な脂肪はついてはいなかったのだがそれはそれ、戦闘の経験等はやはり実地で体験したほうがシュミレーションよりは数倍いい。

 そしてオーフィスちゃんの加護で兵藤の体は固定され、成長をすることがなくなっている。だからあくまであそこで教えられるは体の動かし方だけとなるのだが…それだけでも人というのは変わる。武道を経験しなかった者よりも経験した者の方が圧倒的に強い。

 

 何かどっかの教官とかが考えそうな理論になってしまったが大体はこんな感じ。オーフィスちゃんは長い年月を生きていたので出来ないことは無いに等しいので教えることには事欠かないだろう。

 

 今頃は魔力関連での基礎作りやらで四苦八苦の段階なのではないだろうか?アイツの魔力はカンサイが言う通りとても少ない。あれでは基礎の基礎でも苦労するレベルの量だ。

 だがそれは「赤龍帝の篭手」でどうにかなる。問題はそれからの、本当の戦いと言うものに兵藤がついて行けるか。

 だがそこら辺はあまり心配していない。アイツは何だかんだで図太い、この前からのゴタゴタで混乱しているとは言え少なくともあんな事があれば何かしらの変化があるはずなのだ。

 

 にもかかわらずアイツは学校で変態行為に勤しんでいた。正直やる事は褒められたものではないがだがその精神のタフさは素直に称賛モノ。これで弱いはずがないのだ!

 

「それはそれとして僕は部活に行かないとね」

『いや、間違ってはいないねんけど…それは何かもうカンサイさんもドン引きやわ…』

 

 脳内で勝手に引いてるカンサイを無視し、僕は弁当やら体操着やらを準備する。陸上部に所属している為、そろそろ部活に行かないと色々と不味いのだ。第一昨日はあの長編映画並みに長いAVのせいで少し寝不足気味だし。

 

 それも中身がこれホントにAVの類なの?別にこのくらいなら普通じゃね?とでも言いたくなるモノだった。

 まぁそれは多分後後言うことになるだろう。今はホントに色々とヤバい。

 

 そうして支度すること五分、僕は駒王学園への道を急いでいた。時間的には間に合いそうだが常に五分前行動を意識している僕からしたら死活問題、時間ぴったりもあまりいい気がしないし、遅刻などもってのほか。

 

「おっ!オッス晴天!兵藤とはどうだった?あのビデオ、超良かったろ?」

 

 交差点で偶然出会った松田にげ、と声が出てしまう。早速その話題になるのかコイツは…と内心少し呆れながらもひとまずここはあたりざわりのない言葉でお茶を濁しておく。

 

「何か…AVを見るような感覚はしなかったけど綺麗だったよ」

「お、おう?」

 

 そんなシーン、あのビデオであったっけなぁ?とちょっと小首を傾げる松田を尻目に僕は登校のスピードを少し上げた。

 

 ちなみにホントに持ってきてたエロビデオにはエロいと言える部分は、全然なかった。

 詳しく言うと魔法少女的な奴がテンタクル的な敵から服を溶かす液体を喰らっていや~んという展開で、最近のCGは凄いなー、モノホンの魔法でも使ってるようなエフェクトだよ、と感心したくらい。

 

 ただ魔法少女がどんな魔法を使っても不思議ではないが「氷の魔法」を使うのは少しびっくりしたな。敵が一気にパキーンだもん。

 見所なんてありはしなかった…あれだぞ?いや~んからのもう怒ったわよアイス!で終わりだから全然、何処で興奮していいのかも分からなかった。

 別に期待をしていたわけじゃないが、これは兵藤の趣味を疑う。迫真魔法少女部 氷漬けの裏技というタイトルからしてもう何か残念臭がさ…

 

 そして遅刻することなく、何事も起きることなく部活は終わり、そのまま家に帰った。僕の大大大好きな日常だ。

 

 家に帰ると誰も迎えてくれなかったがしょうがない、こんな日もあるだろう。オーフィスちゃんがいないことに十秒くらいパニクったが朝おきたことをなんとか思い出し平静でいられた。

 カンサイと一緒にテレビの芸能人の出歯亀事件に苦言をしたり、無限に続きそうな制限しりとりをしたり、一人と一体の食卓を囲んだ。

 毎度見るわけでもないし、こんな日ならば今日くらいは普通に寝ても良いかと僕は布団に潜った。

 

 しばらくして僕がまどろみの中にいると「もう少し、もう少しだ」と声が聞こえた。

 

 深く、落ち着いていて、それでいて暗い声。

 

 一体どこでこんな声を聞いたんだったか?と思考を巡らすが答えは出てこない。

 しかしそれは終わりへのファンファーレとでも言うべき声だったのを、僕は、まだ、知らない。

 

 その日はとてもよく眠れた。




イッセーがISSEI化しそうな予感。
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