ブレンによって外に放り出された女権の女達が痺れた体をなんとか動かそうとしていた。
『最悪!』
『でもあの会社の裏を見れたのだから収穫はあったわ。』
『そろそろ痺れも取れてきたし、早く逃げるわよ。』
女達がようやく動けるようになった体で逃げようとしたが、目の前から白い服を着て、腕輪を巻いた青年が歩いてきた。
『何あんた?』
『そこを退きなさいよ。じゃないと殺すわよ?』
しかし青年は何も言わず腰に銀色のベルトを巻き付ける。
「Start our Mission。」
《OK。》
青年の巻いているベルトから渋い声が鳴り、青年はベルトの右側に付いている赤いエンジンキーのような物を捻るとベルトから待機音声が流れる。
「変身…!」
《ドライブ!タイプネクスト!》
青年は腕輪に黒と黄色のミニカーを填めると、ベルトから音が鳴り、青年の体を黒い装甲が包み込む。そして何処からか黄色い模様が入った黒いタイヤが飛んできて、たすき掛けのように体に装着された。
『何あれ…?』
女達は不思議な顔で黒い戦士をみる。
『仮面ライダー…ダークドライブ。』
青年はそう言い、女達に襲いかかった。
『まずはお前からだ。』
ダークドライブは先に灰色の猫の怪物《キャットオルフェノク》を刃の付いた銃《ブレードガンナー》で斬りつける。
『きゃぁ!』
『なっ!この!』
ステンドグラスの犬の怪物《ドッグファンガイア》はダークドライブに噛みつきに来るが、ダークドライブはキャットオルフェノクを盾にしてかわし、ドッグファンガイアの牙がキャットオルフェノクの肩を深々と噛みつくことになってしまった。。
『ひ、卑怯よ!』
『知らないな。』
ダークドライブは無慈悲にも深手を負ったキャットオルフェノクを踏みつけ、ブレードガンナーのトリガーを引き、弾丸を浴びせる。すると突然、キャットオルフェノクから青い炎が吹き出し、ただの灰となった。
『よ、よくもぉぉぉぉ!』
ドッグファンガイアは怒りを露にし、ダークドライブに飛び掛かるが、ダークドライブは静かに自分の腰に巻いているベルト《ドライブドライバー》のキーを捻り、左腕に巻いている腕輪《シフトブレス》の赤いボタンを押す。
《ネクスト!》
ベルトから音声が鳴り、ブレードガンナーの刀身が光りそのまま横に凪ぎ払う。凪ぎ払った刃から水色の斬撃が飛び、そのままドッグファンガイアの体を貫通した。するとドッグファンガイアの全身がステンドグラスのようになり、そのまま砕け散った。
『残りはお前だ。』
『あ、あ、ああ…。いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
ダークドライブの圧倒的な強さを目の当たりにし、ジラフドーパントは一目散に逃げ出した。ダークドライブはベルトのキーを捻り、シフトブレスに装着されていたミニカー《シフトネクストスペシャル》を抜き、赤いボタンを押した。
《Nice Drive。》
ベルトから労いの言葉のような音声と同時に、黒い装甲が解除され、元の青年の姿に戻った。
◇
「実験は無事成功だね。」
黎斗はモニター先程の光景を観察し、満足した笑みを浮かべた。
「では各班はダークドライブこと108を回収とオルフェノクの灰とファンガイアの欠片を回収並びに解析を頼む。」
黎斗は通信機で部下に指示を送るがその内の一人が恐る恐る声を上げた。
『あの、逃げたドーパントはよろしいのですか?それに民間人も…。』
「その点は抜かりない。近くに居た人達も怪我は無かったし、ライダーシステムも、怪人から守ってくれた存在として語られるさ。それに女権のやつらもまさか怪物を匿っていたなんて知られては不味いからね。下手には動けないよ。それに今頃は…。」
◇
「はぁ…はぁ…。」
逃げた女権の女は何かに怯えるように走っていた。
「な、何なの…。誰なの…!?」
女権の女は他の仲間に連絡を入れようと携帯を取り出した。
「そ、そうだわ。怪物の証拠も掴んだしこれを知らせれば…。」
だが連絡を入れようとした途端、地面に倒れてしまった。
「…え?」
近くにあった鏡と眼があった瞬間、そこに映っていたのは黒い仮面の戦士と、"下半身が無い自分の姿だった"。
「う…そ…。なんで…鏡の…中…に…。」
そのまま女は絶命し、現場に残されたのは下半身の無い死体と、携帯と女が使っていたUSBメモリが落ちていた。
『これで完了だ。』
鏡の中から出てきた黒い仮面の戦士は携帯とUSBメモリを拾い、残った遺体を黒い龍に喰わせ、共に鏡の中へと消えた。
◇
黎斗は通信を切り、誰もいない部屋の中でモニターのある画像を見る。
「もうすぐだ。もうすぐ始められる。私の計画が!」
そこには世界初の男性IS操縦者現るというニュースの記事があった。