第00話 不可解な転生
目を覚ました龍燕はおかしいことに気づいた。知らないところで寝ていたのだ。
布団から起き上がり、部屋を見回す。すると頭に何かが入ってきた。落ち着いて入ってきた何かを確認すると、入ってきたというよりも思い出したというような、そんな感覚…記憶のようだった。
まずここは自分のいた国ではなく、別世界の国で、この身体も自分の物では無いことも分かった。それから記憶も少しずつ頭に入ってきた。ただ二人分の記憶が頭に入ったせいか少し頭痛がしてくる。
龍燕……ここでは龍旗(リュウキ)の記憶を少しずつ思い出して纏めてみると、まず家族構成は……一人暮らし。幼い頃に両親を無くし、その後はこの屋敷の主だった龍旗の祖父、龍城(リュウセイ)という人だが、半年前に事故で亡くなっていた。
その亡くなった祖父は、二刀流剣術の達人だったが腕の振るえるところがほとんどなく、やっとで見つけたのはSAOというゲームの世界に入って戦うもので、そのβ版に当選し当たっていざ行こうとした時になくなったようだった。β版すらできずだったが、孫の龍旗は正式版で代わりに入り、二刀流でクリアすることを考えていたようだ。
SAOというゲームは記憶によると昨夜のうちに龍旗が寝台で用意しておいたようで、兜の様なものから線が伸び、機械へ繋がっているのを見てすぐに分かった。それからその機械の隣にSAOと書かれた箱があったため、説明書と棚にあったその関連の本を少し読み、多少はどんなものかわかった。
「開始は……まだ時間待ち、か」
頭に、時間待ちで昼寝をしていたことが頭に浮かんだ。
何故自分がこうなったかわからないが、まぁいいかと思ってしまった。多分意識はないが、龍旗も龍燕も大きくは気にしないという性格がかぶっているからかもしれない。またそれ以上に龍燕がSAOというのに龍旗の記憶もあるからかもしれないが、強い興味を持ってしまった。
そこでふと気づいた。時間待ちには気づいたが、何時まで待ちなのかが思い出せなかった。辺りを再度見渡し、今日の日付と今の時間まではわかったところで、暦表が頭に浮かんだ。
「暦表に……書いた」
龍旗は急いで暦表を探し、見つけ出す。
「あった。ええと……11月6日の、午後一時か……ん、あと十分くらい?……というか羅暁と時間の数えが違うのか」
時計の針の差す数字から見て、龍燕はさらに気づく。龍燕がいた世界……羅暁国では一時間が百分。一分が百秒だったがここでは大分違うようだった。さらには一週間の日数も、十日だったのがここでは七日と短い。気を付けないといけないなと思った。
「考えている内にあとわずかか。あ、設定があるとか書いてあったからもうそろそろ入ってみるか」
龍旗はナーヴギアという兜の様なものを被って横になった。それから説明書にあった始まりの言葉を口に出した。
「リンクスタート」
すると起動音が流れた。それから音声が発せられる。その音声の指示にしたがって設定を行った後、次に移った。
言葉と同時に感覚の全てが消え、意識が何かに飲み込まれるような感覚を受けた直後に真っ暗だった視界が真っ白になり、五つの何か言葉が表示されては消えていき、次に正面に『welcome』の文字が現れた。
それから名前を決めたり、容姿を決めた。また他にもいくつかの設定を進めていき、やっとゲームが始まった。