ポケットモンスター PECULIAR PERSON 作:TOKI
馬鹿一匹仲間になりたいとさ
静かな森のなか、草木の香り漂う道を悠々と足を進めていった。風に煽られ木々の音が耳に染み渡った。
「今更だか、心地いいよな、ここ」
『確かにそうだな』
緑に輝くトンネルには2つの影がくっきり映っていた。
あの街を出てからもう3日が経った。あれから森の中をひたすら歩いた。本来、『クロセシティ』から北に行けば、1日も経たずに次の街に行けた。しかし、敢えてこの道を行く理由は、なんとなく面白そうだから。この道は『クロセシティ』と俺のいた町?なのか村?なのかわからんようなところを結ぶ南北に伸びた道、その間に東に向かう枝分かれポイントがある。そこを歩いているのだ。この道は人通りが少なく常に周りが騒がしくなることはなく、俺たちにとっては好都合だった。
『して、目的地は決めているのか?』
「一応、この先に街があるから、そこかな~ってぐらいだな」
宛がないのも当然、突如『ポケモン図鑑の完成』を押し付けられ半強制的にやらされてるも同じだと思っていたるた。まあ残りの半分は退屈だから、と自分で言うのもおかしな話だがなんとも後ろ向きな考え方だ。
『我はそれでも面白ければそれでいいと思うが?』
「勝手に俺の頭ん中見てんじゃねぇよ♪」
ここ数日、そんなやり取りの繰り返しだ。
気の緩んだ空気になったその時、草むらから何が飛び出してきた。
「ちょ、よけて~!」
俺はその言葉通り、草むらから飛び出した何かをひらりと避けた。それは反対側の草むらにダイブし、視界から消え去った。
「……さ、先へ進むか」
『その方が良さそうだな』
「こら~!!!そこはパシッと受け止めて、大丈夫か?怪我はないか?って優しく問いかけるのがお約束でしょ!」
「は?何馬鹿なこと言ってるんだ?そんなくだらない事気にする前に、そのボロッチイ格好気にしたら?」
「うぅわ、それが可愛い可愛い少女に対する態度?あんたって頭のネジ吹っ飛んでんじゃないの!」
「少なくともお前よりマシだろ。お前の場合、『可愛い』じゃなく『痛い』だしな」
「会って10秒も経たない女の子に対して、デリカシーの欠片もないのかな?」
「それが俺に通用すると思ってるなら大間違いだ。そもそも、デリケートでも無いものにいちいち神経張る面倒なことするか、下らない」
白兵戦のように言の
「全く、あんたは
「フン。下らない質問するぐらいなら、とっとと失せな」
そう言うと彼女は立て続けに質問してきた。
「じゃあ、あんた何者よ?こんな礼儀知らず、見たことも聞いたこともないよ」
「ごちゃごちゃうるせぇな。名はナギだ、うるせぇからさっさとどっか行け」
すると、ハトが豆鉄砲を食らった顔をした。しばらくして、何故か彼女は少し微笑んた。
「へぇ~、私は友理。
「お前が勝手に決めんな、『どっか行け』つってんだろ」
彼女の耳にはその言葉は残ってはいないようだった。
結局、彼女も連れていくことになった。鎖に繋いで放置しても、それを引き千切って俺に頭を擦り付けてただろう。
それはそうと、確認しなければならないことがあった。
「で、お前は戦力に入るのか?」
「ん~~、純粋なステータス値で言うなら頭数には入らない方かな」
「へぇ~、お前も特異能力者か」
すると、眉をピクッと動かし動揺した様子を見せた。
「ほほぉう。その結論に至った理由、聞かせていただこうかしら」
「遠回しな言い方してきた奴の言うセリフか?半分お前が言ったようなもんだろ」
「ふ~ん。噂以上ね」
感嘆しながらも予想してた通りと思っているのが腹立つ。
「その言い方だと、俺が噂の奴だと知ってたような口ぶりだな」
「いいや。実際には『カリヤの能力を見抜いて勝ち上がったニュービーが現れた』って噂よ。一目見ようにも、それ以上の情報が何1つ無しじゃ誰がその人かわからないよ」
「『カリヤ』?誰だそれ?」
「あんたがクロセで倒した男、あれでも1,2を争う実力者よ」
あれが上位を争う内の1人だなんて、冗談にも程がある。どんだけザコ揃いなんだよ。
「因みにあのカリヤの能力は今まで誰1人見破った人いないだよ」
「なるほど、能力不明なら少しはアドバンテージがあるな。だが、あいつ自身のステータスが低すぎる。あんなんで勝とうとしてる時点で負けてる」
「うわ~、酷評だな」
「事実だろ」
これには彼女も苦笑いするしかない。
「それはそうと、あんた行く宛あるの?」
突如思い出したかのように質問してきた。
「別に、ただ歩いてくだけだ」
「……エ?ドユコト?」
「行く宛なんてねぇよ」
それを聞いた少女の顔はポカ~ンとしていた。
「まさか、ノープラン……?」
「だから
「バカじゃないの!?そんなんで旅に出るって、どんだけ苦労するか知ってて言ってるの!?」
うわ~、コイツウゼェ~
「今『ウゼェ~』って思ったでしょ!思ったんでしょ!!」
「あぁ思ったよ。超ウゼェ~と思ったよ」
「なんか『超』がついてるんですけど!さっきよりひどくなってるんですけど!!」
こんなやり取りを日が沈むまで繰り返した。
辺りはすっかり暗くなった。
「今日はここらで野宿だな」
『承知した』
「つーか、お前道具持ってんの?」
「うっ、ん~~とねぇ……」
あ、これはないな。用意するの忘れてた、とかの顔だ。と思いながら見つめていた。
「な!?そんな事はない!絶対にある!あるはずなんだよ。きっと……あって、ほしい…………」
「次第に希望が尽きてんぞ。しかしそれはそれとして、お前も読心術使いか?」
「読心術?まぁ、それに近いものかな。私の能力は感情を読み取ること。怒りや悲しみは勿論、意志や言動も見えるの」
「意志や言動を?」
「そ、意志や言動にも感情に近しいものがあるの。それを言葉で表すのは難しいけど……まぁざっくり言うと、読心術の真似事ね」
「……要は相手が何を思いどうくるか分かる、ってことか」
そう答えると、彼女は嬉しそうに続けた。
「そう、だから私にはブラフもハッタリも効かないのよ」
「それはどうでもいいが、結局野宿の道具は?」
「…………」
「無いってことか」
彼女はケータイのようにプルプル震えながらコクリと頷いた。先程の威勢は微塵も見当たらなかった。
テントと寝袋は予備のを貸し与えるということになった。
夕食を終えるとそれぞれのテントで休養をとった。
そして、朝を迎えた。
「ふわあぁ~~おはよ……」
テントから出てきた少女は 夢うつつな声を出した。目を擦りながら近場の川辺に向かった。ふらふらと進む最中、コツンと右足が小石に当たった。次の瞬間、マヌケな声とともにドボ~ンと大きな音がした。 コケて川に落ちたのだ。
それを隣で見ていた俺は憐れな彼女に一言二言かけた。
「寝起き早々何事かと思えば、頭から水に突っ込む習性があるとはな。嘆かわしいにも程があるぞ」
「そんなわけ無いでしょう!まず開口一番に言うことがそれ?」
あぁと答えた瞬間、彼女は川から飛びかかってきた。しかし、俺に届くことはなく、またしても水の中へドボンと落ちた。
「ヴヴッ、さっむ!」
剥き出しの両肩を摩りながら震えた声で言った。
「川に落ちっからだろ」
あのあと、びしょびしょになった寝間着からボロ着に着替えた。しかし、体は冷えきったため寒いと感じるのは当たり前と言えば当たり前だ。
「昼には街に着くだろうから、それまでくたばんじゃねぇぞ」
「まだ半時以上あるじゃん!」
「は?あと半時だろ」
道中静かであれという願いは、当分成就されないな。そう思ったのはこれで何度目だったか。
一時間程して、目的地『ラナックシティ』に到着した。
「おお~!けっこう店あるね」
「まあ、それなりに大きな街らしいからな」
目をキラキラさせながら辺りを見回していた。女性というのはこんなんで感情が高ぶるのかと思った。
「よし!さ、行くよ。夜までにはある程度回るからね」
「どうぞご自由に……こっちは宿に向かうんで、それじゃ」
「え?何言ってんの?あんたたちもついてくるのよ」
この時、ハハッ笑えない冗談だと思っていた。彼女からしたら本気だったんだろうが。
『どうする?』
「……面倒くせ」
ボソリと呟いたが彼女にはすぐにバレた。無論、当たり前だが。
「今、めんどくさいって思ったしょ!」
「あぁ、面倒くせぇ」
「即答!?しかも今度は声に出てるし!」
何がしたいんだろうと思ったが、その感情は押し止め無心になる。これ以上の面倒は御免だったからだ。
結局、彼女の荷物持ちにさせられ、長時間付き合わされた。宿に入ったのは夕方だった。
宿に着くなり、着替えるから部屋を出ろと追い出される始末。後でどう仕返ししてやろうかと思いもした。とりあえず、ロビーでゆったりすることにした。
宿──一般的にはポケモンセンターというらしいが──にはポケモンの回復設備やショップなど、旅先の休憩所にはもってこいの場所だ。こういったのが全国にあるということも知れたし、これからも世話になることだろう。
数分経つと、ボロ着姿だった女が先程のショッピングで調達した服に着替えて戻ってきた。
「フッフッフッ、どう?似合うでしょ。まあ、言わなくても似合っているのはわかっているけど!」
「…………」
『…………』
「何よ、何も言えないくらい似合いすぎるってこと?やだもう!そんなに誉めてもなにも出てこないから!」
『憐れみ』を通り越して『可愛そう』だな。
「へ?」
俺の感情?を読み取った彼女は理由がわからなかった。
「お前値札ついたままなの気づいてないだろ」
え?うそっ!と言いたげな表情を浮かべ後ろを見る。しかし値札は左へ逃げ、彼女もまた左へ振り返るが 値札は右へ逃げる。彼女が値札の姿を捉えたのはそれを二三回繰り返したあとだった。
ほんとに何やってんだか……
そう思ったことも彼女に筒抜けになっていただろうが。
合流した後は、夕食をとるために食堂へ向かった。
程なくして食事を終えて部屋へ向かった。その途中で妙な話を聞いた。
「なあ、この近くで例のアレがあったんだとよ」
「え~、またかよ……これで何件目だ?」
「もう10件ぐらいいったと思うよ」
すれ違い様に気になることを話していた3人組に尋ねた。
「おいお前ら、ちと詳しく聞かせろ」
「「「ヒィッ!?」」」
「もう!脅かしてどうするの?ごめんなさいね、連れが怖がらせてしまって」
「誰がお前の連れだ。勝手についてきたのはお前だろ」
下らない口喧嘩が起こる前にルカリオが咳払いに似た声を出し、本題へと戻った。
「えぇと、1週間くらい前かな。この辺りで変なことがあってさ、夜中に通りを歩いていた旅人が襲われたって話だよ」
「それも、身体中ズタズタに切り裂かれて、その人は掠り傷程度だったらしいけど、最近では深手をおった人もいるみたい……」
「俺たちも、あんま詳しいことは知らないんだ。そ、それじゃ失礼するよ」
そう言うと、3人は逃げるように去っていった。
「……辻斬りか」
「辻斬り?」
「今夜はゆっくり眠れなさそうだな」
部屋に向けていた足先はいつの間にか外へ向いていた。
「まさか、行くの?今から!?」
「ついてこなくて結構、俺はちょっくら散歩」
「ちょっと!マジで?嘘でしょ!?てか置いてくな!」