ポケットモンスター PECULIAR PERSON   作:TOKI

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暗闇の牙

 辺りに靄が出始めた。俺とルカリオは改めて戦闘態勢を整えた。

 

「さぁて、今日は面を拝ませてもらわんとな」

 

「なるべくなら早めに済ませてよ。こんなとこに長居するのはゴメンよ」

 

「はは~ん、さてはビビってるな」

 

 そう言われた彼女は赤面しながら怒鳴り散らした。

 

「な、なにを言う!そんなことない!っていうか、せめて聞こえないように言いなさいよ!」

 

「言わなくても聞こえるんだから変わんねぇだろ」

 

 さらに顔を真っ赤に染めると、何かの動物のような鳴き声をあげ俺の肩をポコポコ叩いた。

 あまりにも緊張感がないな、そう思った瞬間、急速接近するものの気配をキャッチした。この前と同じく人間離れした速さだった。

 

「来るぞ!」

 

 俺の合図とともに、敵側の攻撃が着弾した。間一髪で躱した俺たちにたたみかけるように攻撃を仕掛けてきた。

 

「これ、昨晩と同じ展開じゃん!」

 

「この状況でそれだけ騒げるんだからまだ余裕だろ」

 

 戦闘中とは思えないほどの緊張感の無さに苛立ったか、殺気を駄々漏らし始めた。

 

「そこか!」

 

  俺は殺気のした方に蹴りを入れた。当たりこそしなかったが、さっきまで影ひとつなかったところから薄っすらと姿が現れ始めた。

 

「え?何?何が起きたの?どこから出てきたのさ?」

 

 困惑する彼女に俺は手短に説明した。

 

「こいつは突然ここに現れた訳じゃなく、()()()()()()()()

 

「???」

 

 全く理解が追い付かない彼女に、手元の図鑑を投げ渡した。

 

「そこに書いてある通りだ」

 

 図鑑には、『ゾロアーク』という名前とその説明が載っていた。

 

「えっと、いっぺんに大勢の人を化かす!?そんなことできるの?」

 

「それがあいつの〈イリュージョン〉なんだろうな」

 

 向こうが何を考えているかは知らないが、これでまともに戦うことができるようになった。

 

「ルカリオ!」

 

『承知!』

 

 ルカリオは上空高く飛び上がり、棒状の骨を作り出した。それを高く振り上げ、落下の勢いと共に振り下ろした。

 

「『“ボーンラッシュ” !』」

 

 ゾロアークの頭に直撃し、その衝撃は地面にもダメージを与えた。相当なダメージを受けたゾロアークはそのまま倒れた。

 

 

 

 

 ゾロアークを倒したあと、しばらくそいつに付き添った。

 

「何でコイツの面倒を見てんのさ!そんなのは放っといてさっさと行きましょ」

 

「ま、そうしたいとこだが……何もコイツだけに非がある訳じゃないからな」

 

「どう言うこと?」

 

 俺は無言で図鑑を指した。それを見た彼女は画面に視線を落とした。

 

「さっぱりわかんないんだけど」

 

「だろうと思った」

 

「なら最初から説明しなさいよ!」

 

 下らない茶番はそこら辺にして、俺は彼女に理由(わけ)を 話した。

 

「ゾロアークは元々、群れで過ごすそうだ。そして、ソイツらは仲間を守るために幻を使う」

 

「確かにそう書いて入るけど、でもコイツは1匹しか……」

 

 俺は指を2本立てると、

 

「考えられるのは2つ。1つは群れからはぐれた場合だ。ま、可能性は低めだが」

 

「なるほどね、もう1つは?」

 

「その群れのボス、あるいは戦闘員の場合。これは生物の生存本能に基づく話だ。多分、こっちの方が濃いな」

 

「どうして?」

 

 ホント呆れるわ、とか思いながら、話を進めた。

 

「マップを確認したんだが、ここの近くに森があるだろ。おそらく、そこが住みかだと睨んでる」

 

 俺は昼間買っておいた『タウンマップ』を見せ、説明した。

 

「この街はこの森と近くの村を切り開いて作ったところだ。すでにここに住んでいたポケモンは居場所を奪われていったらしい。村の人はここに住み着いたがな」

 

 彼女は息をのみ、聞き続けた。

 

「ジョーイから聞いたが、襲われたのは全員街の外から来た奴らだって。おそらく、また住みかを奪われると思ったんだろう」

 

「なんか、悲しい」

 

「こればっかりは、コイツだけに非があるとは言えねぇしな」

 

 そう言って、俺はゾロアークに歩み寄った。

 

「お前らの気持ちがわからないとは言わない。だが、お前のそれが正しいとも言えねぇことも覚えとけ」

 

 それを言うと、俺は道を出た。

 

 

 

 

 

 まだ暗い道中、彼女は先の件について聞いてきた。

 

「あれで良かったの?また、あの子達の居場所を奪われることはないの?」

 

「さあな、そんときはどうにかするさ」

 

 適当に答える俺。実際そんなことが起きないという確証はない。だが、これに関しては俺たちにどうすることもできない。決めんのは、あいつらだ。

 まあ、正直に言うのもあれだから、濁したわけだ。

 

「ふ~ん、意外にも面倒見がいいんだ」

 

「大きなお世話だ」

 

  明けが近づくなか、俺たちは次の街へと足を進めた。




to be continued
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