見切り発車です。書きたいことだけ書くと思います。
拙い文章で申し訳ないです。
……ォ、……ジオ、
声が、聞こえる。
それは、とても、懐かしい声。
そして……
……ユージオ
僕の大好きな人の声。
僕の名前はユージオ・ローズブルー。6歳。ふわふわの茶髪に緑の瞳を持っている。ドイツ人と日本人の間に産まれたハーフだ。
僕はドイツの片田舎に生まれ育った。父親は先月亡くなった。
今は母である美枝と引っ越しをする為に空港に向かっている。
何故、空港なのかといえば、引っ越し先が日本だからだ。
空港に着くと、僕等は様々な手続きを踏んで、飛行機に乗った。
飛行機に乗るのは初めてだったので、僕は緊張した。しばらくして慣れたが。
飛行機の窓の外を眺めながら、僕は前世の記憶に思いを馳せた。
前世の僕もユージオだった。
あの世界の記憶を前世と言っていいのかは分からない。あの世界でも僕だったし、この世界でも僕は変わらない。
記憶も心もそのままだし、前世というより過去と呼んだ方がいいかもしれない。
あの世界での最後、僕はアンダーワールドのシステムに触れ、アンダーワールドが作り物の世界であることを知った。
そして、作ったのは現実世界と呼ばれる世界の人間だった。
記憶を思い出した時、その現実世界は僕が今、生きている世界なのだと分かった。
そして、キリトはこの世界で生きているのだと。
キリトの容姿からして、彼は日本人だと僕は確信していた。
そして、アンダーワールドは日本で作られるという事も。
何故なら、アンダーワールドの言語は日本語だからだ。母が喋る言語がアンダーワールドの共通語と同じだったので、それに気付いた。
日本、この国が僕にとって重要な位置にあるのは間違いない。
引っ越し初日、母の実家がある東京の某所にやってきた僕は母と共にお隣さんへ挨拶をしに来ていた。
インターホンを鳴らすと立派な道場のあるその家から、女性が出てきた。
「すみません、突然……隣に戻ってきた青木美枝と申します。この子は息子のユージオです。よろしくお願いします」
母はそう言うと、頭を下げた。
「まぁ、そうなんですね……うちにも息子がいますので、ご紹介しますね。……和人!」
「はーい!」
とたとたと可愛らしい足音を響かせ、やってきたのは黒髪に黒い瞳を持った、可愛らしい顔の子供だった。
僕は雷に打たれたような衝撃を感じた。
この子はキリトだ、と。
確か、システムに触れた時、キリトの本当の名前を僕は知った筈だ。
「なぁに、母さん」
「今日、家の隣に越してきた貴方と同じ位の年の子が来てるのよ、ご挨拶しなさい」
あまりのキリトの可愛さに僕の脳が上手く働かない。
「うん……初めまして、俺は桐ヶ谷和人。君の名前は?」
こてん、と首を傾げて問うキリト……今は和人か、の可愛さに僕はやられた。
桐ヶ谷和人……キリトにぴったりな良い名前だ。
それに、システムで知った名前と同じだった。この子がキリトだ。
「初めまして、僕はユージオ・ローズブルー・青木だよ。名前がユージオ」
僕は満面の笑みで応えた。
すると、和人の頬がやや赤くなった気がする。自分で言うのも難だが、僕の顔はとても整っているからかもしれない。
「よ、よろしく、ユージオ……ユージオって綺麗だな」
「ありがとう、キ……和人は可愛いね」
「男に可愛いはないだろ!」
動揺したのか、和人の顔は真っ赤だった。
「ごめんごめん……和人は魅力的だよ」
「みりょくてき……?」
「ああ……素敵だ、ってことだよ」
「……まぁ、ならいい」
和人はそっぽを向いてしまった。
こうして、僕と和人の幼馴染生活が始まった。
俺には幼馴染がいる。
俺と同い年の幼馴染だ。
毎朝、幼馴染は俺のいる二階に上がってきて、俺の部屋に入ってくる。
「和人、起きて」
俺の幼馴染……ユージオは俺の肩を揺すって起こそうとする。だが、俺はまだ寝たフリをする。
「……起きて、僕のお姫様」
ユージオはそう言って、俺に口付けをした。
最初は啄むように軽くだったが、その内、舌を口腔に入れ、俺の舌を絡め取る。
「ん、ふぅ、んく」
俺の口からは自然と声が漏れた。
俺はそこで身じろぎすると、ユージオは離れていった。
「……ユージオ」
「おはよう、和人」
ユージオは自然な動作で俺の頬に口付けた。
「俺も……」
俺はユージオの腕を引っ張り、彼の頬に口付けした。
「ありがとう、和人。さあ、起きようか」
俺はユージオに支えられて起き上がった。
いつの頃か分からないが、こうやって起こされるのが普通になっている。
普通の男子中学生からしたら、可笑しいと思うが。
俺はユージオに制服を渡され、着替える。その間中、ユージオの視線を感じた。これも毎度の事なので気にしないことにしている。
ユージオはいつも優しく、そして熱の籠もった目で俺を見る。
その瞳に囚われて目が離せなくなるのは目に見えているので、俺はユージオの目を見ないで、着替えた。
朝のこの甘い時間が終わると、ユージオは熱の籠もった目ではなく、優しい目になる。
俺はほっとしながらも、どこかで残念に思ってしまう。
この時間がいつまでも続けばいい、とどこかで思ってしまうのだ。
「行こう、和人」
「ああ、ユージオ」
俺達の一日が始まる。