獣耳天国   作:黒樹

7 / 32
シャクコポル族。
ウサギじゃなかったらごめんなさい。


始祖

 

 

 

「だぁ〜きゃははは!」

 

赤子のような笑い声をあげる大きな娘を抱いていた。

 

一見何を言っているかわからないだろうが聞いてくれ。

その赤子のような笑い声は、赤子のようでありながら少女のようでもあった。しかし、誰が聞いても赤子の声だと疑わないその声を上げているのは女の子として体の発達が顕になってきた十代過ぎの娘だ。

幼児退行したのだろう。その娘を連れてきたのは戦に向かったハクオロ達、この娘が全土統一を図った一国の姫君だというものだから世の中わからないものである。それで、何故こうなったのかは聞くに耐えない話だ。目の前で最も信頼していた忠臣を殺されたとあらばそうなっても仕方ないのかもしれない。

 

心の拠り所であった。

そんな存在が消えてしまうのだとしたら……。

 

行方不明となったカミュ。

その姉であるウルトリィも同じ気持ちだろう。

口には出さないが、きっと心配しているに違いないのだから。

 

 

 

「だぁ〜あ?」

 

言葉も、理性も、何もかも、国すらも失った少女。

クーヤは精神崩壊の末、こんな成れの果てへと辿り着いた。

 

「おー、よしよし。いい娘だ」

 

「あーぶ」

 

「なんだ頭撫でて欲しいのか? 仕方ないな」

 

「きゃはは」

 

何故か懐いてしまっている少女は膝の上で笑い転げる。

抱きついてきたり、首筋に額を擦り付けてきたり、耳や指を甘噛みして舐めてきたり。

懸念すべきことといえば、周囲の視線が痛いことだろうか。

なんだよ。懐いちゃったんだから仕方ないだろう。

 

「す、すみませんクーヤ様が失礼を!」

 

慌てて従者のサクヤが引き取ろうとするも、警戒したような表情で必死としがみつくクーヤ。

 

「いいって。姪や教会に捨てられていた子供の世話をして……いたがやりたかったわけじゃないぞ。すぐに泣くし、面倒だし、何を言っているかわからないし大変だし、研究材料を玩具にするからたまったもんじゃなかった」

 

「な、なら今すぐにっ」

 

「けど、嫌いじゃなかった……」

 

それにこいつらに任せて大丈夫なものか。こんな子供の世話なんてやったことのなさそうな奴らだ。やれ戦だの、サクヤとエルルゥ以外は殆どダメっぽい。サクヤだってゲンジマルという祖父とヒエンという兄を失ったのだ。聞いている以上に放って置けない。それが今自分にできることなのだから。

 

「今はゆっくり休め。そんな心此処に在らずの精神で世話をされても、クーヤは元に戻らんぞ」

 

「ですが、あなた様に迷惑をかけることなど……!」

 

自分のことをオンヴィタイカヤンだと知っているからか妙に喰い下がってくる。シャクコポル族の敬愛する神、それ故の配慮のつもりなのだろうが人間なんて神の器ですらないのだ。

 

まだ引き下がらないというのなら、その敬愛と信仰心利用するぞ?

 

「引き下がらなければ揉むぞ」

 

「も、揉むっ⁉︎」

 

「胸からお尻まで。果てには孕むことになるやもしれん」

 

オンヴィタイカヤンも人間だ。性欲だって普通にあるし悟りを開いたことなどもない。教会に住めど煩悩が払われるわけでもない。じゃなきゃケモミミ研究なんてやってない。

 

「……よろしくお願いします」

 

顔を赤くして俯いたままサクヤはそう言った。

クーヤのことを頼むと言ったのか? きっとそうに違いない。

 

「サクヤも好きに甘えればいい。そんな腰の低いままだと利用されるぞ。俺に」

 

優しく頭を撫でると大人しく擽ったそうに身を捩る。そして、気持ち良さそうに目を細めてはその身を預けてきた。

どうやらこれで安心のようだ。こんな肩身の狭そうな顔ばかりしていられてはこちらも落ち着かないというもの。

サクヤの顔がとても懐かしいものに見えて、一瞬影が重なった。

あの頃はよく、うさ耳少女が俺を見つけるたびに駆け寄ってきてくれて、何をするにもずっと引っ付いたままだったか。……それこそトイレに行こうとしても離れないでついてきた。

 

–––あの娘の気持ちももっと真正面から受け止めてやればよかった。

 

後悔が残っている。

最後の大事な願いを受けて離れたあのうさ耳少女はあの後どうしたのだろう。

思い出せば思い出すだけ、後悔と追憶の瞬間が増えていく。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

クーヤは一週間経っても変わらない。疲れを知らないのか物珍しい人間の耳を弄ったり、頰を叩いたり唇を引っ張ってきたり興味のあるものはなんでも触る。そんな子供みたいな行動を取るが忘れてはいけない歴とした女の子だ。胸もある程度育っているし匂いは甘いしそういう趣味はないがちょっと精神に悪い。

 

もちろん、そういう目で見ているわけではないが。

なんていうかこう、保護欲を擽られるというか……。

 

勘違いされてはいけないが。具体的に言えば、赤ちゃんプレイを敢行中の変態にしか見えないだろう。

普通の同衾よりマズイレベルだ。

 

「そういやあの代理皇がシャクコポルの姫を捕虜にしては育児遊びしているらしいぞ」

「オンヴィタイカヤンってのは変な趣味してるなー」

「でもいいよな、好き勝手してるって。それにシャクコポル族はオンヴィタイカヤンを信仰してるんだろ? 命令なんてすりゃなんでもやってくれるらしいぞ」

「羨ましいよな。代皇」

「最初に堕としたのがユズハ様だろ? 周りには幼女ばっかり従えてるって噂だぜ」

「さらにアルルゥ様、ついでシャクコポルに赤子の真似の強要か」

「報告に行ったんだけどよ。……なんでだろう、心惹かれるものがあるんだ」

「目を覚ませ」

「このまま童貞で死ぬなら、もう相手が誰でも……」

「戻ってこい、しっかりしろ!」

 

代理皇。ハクオロ達が戦に出陣している間、守護の要として認識されたが為にそんな渾名がついた。略称は“代皇”。

 

廊下を去っていく雑兵の足音を聞きながら、俺は確認の意を込めて、ここ数日ずっと傍を離れようとしないサクヤに目を向ける。

 

「確認までに聞くが……」

 

「なんでしょう?」

 

あれから態度が柔らかくなって優しい微笑みを浮かべるようになったサクヤ。彼女が小首を傾げて擦り寄ってくる。

 

「何故離れない」

 

「クーヤ様のお側仕えですから」

 

試しにクーヤを離したこともある。この一週間ずっと世話をしていたが、食事、お風呂、全てにおいてサクヤは引っ付いてくる。流石に風呂はまずいかと返却したが私もご一緒します、だ。

原因はわかっている。ユズハにも娶ればいいのに、と言われた。

ここまで言われて気付かないわけがない。ユズハも承諾済みだ。正妻の地位を築いて落ち着いたのか、「ヨミナ様はみんなのものですから」と謎の証言。ただし上限はあるらしいが不明瞭な返しをされた。

 

「まったく……どうなっても知らんぞ」

 

「はい♪」

 

独り言に返事が返ってきて、サクヤはだいぶご機嫌なようだ。

そういえば忘れていた。シャクコポルは耳がいい生物をベースにしているから地獄耳を通り越して、薄い壁一枚程度なら耳をそばだてなくても聞こえる。

着々と外堀を埋める乙女達。きっとその言葉も他意はなかったのだろう。

 

「おまえは俺をどんな人間だと思っているんだ?」

 

「良き夫になる人だと。クーヤ様のお世話を見ていてわかります。こんなに懐いて、安心して眠っているこの顔を見れば」

 

ただ普通に子供の世話をして、食事をして、風呂に入って、四六時中一緒のサクヤは逐一ユズハに報告をしているらしいがユズハの機嫌は良くなるばかりで計り知れない。

子育て上手な男は好かれる、なんて文献を昔姉の持っていた雑誌で見たがそういうことなんだろう。少しは世話の仕方くらい手慣れていると思う。少なくとも義兄よりは。

 

「……まぁいいか、そろそろ寝るとしよう」

 

与えられた自室を出てもう一つの部屋へと向かう。廊下を少し進んだ先の小さな部屋。そこには寝支度を整えたユズハが待っていた。

 

「クーヤ様は?」

 

「この通りおネムだ」

 

「ふふっ、可愛いですね」

 

寝息を聞いたからかユズハがくすりと笑う。とても優しい笑みで。

取り敢えず、ユズハの隣に自分が。自分の空いた方にクーヤを。その向こう側にサクヤが横になり蝋燭を吹き消した。

 

 

 

 

 

子育て代皇なんて渾名がついた。ようやく兵達は事の重大さを理解してくれたようだが、何故か羨ましがるものばかり。兵隊達が変態達だなんてこの國大丈夫か?と疑うものの、陥落は遠くもはやこの日本列島もどきを制覇一歩手前、残るはディーなる男とムツミという少女のみ。

ハクオロの話によればカミュがいきなりムツミとなったらしい。おそらく「ムツミ」なるものが自分の知っている者であればイタコだか降霊師なり魂を現界させたのだろう。ウィツアルネミテアにはそれが可能だ。強力な個体として処分寸前だったムツミなら尚更、不可能な領域ではない。

 

そんな変わらない日常とカミュのいないトゥスクル。

もうすぐ一月の時が刻まれようとしている。皇とウルトリィとエルルゥは寝静まる直前に訪れた。

 

「ヨミナ様」

 

ウルトリィに付き添う形でハクオロは背後に立つ。その姿に視線を向けたのはユズハとサクヤだ。もう既にクーヤは眠りについていて、穏やかに健やかな眠りを実現している。

 

「夜分遅くにすまない。ウルトリィとはさっきそこで会ってな」

 

「本当に申し訳ありません。もう寝るところでしたか?」

 

「いや、別に俺は構わない」

 

ハクオロとエルルゥで平謝りしてくるものだから抵抗があった。主にこの二人に頭を下げられるとどこかむず痒いものがある。きっと昔の後悔からなのだろう。

そんな二人の謝罪が終わると同時にウルトリィはしなだれかかってくる。

 

「カミュを……カミュをお救いください」

 

「まずは落ち着け」

 

布団の上に膝をついたウルトリィは心身ともに削れ切ったと言わんばかりだ。

目元にはクマができている。心配で夜も眠れなかったのだろう。

僅かだが、翼も艶を失っているように感じる。彼女の髪も少し霞んで見えた。

無事座らせてもうわごとのように呟くばかりで会話にならない。

これは少し放置し過ぎたか。

 

 

 

「……昔話をしようか」

 

マスターキーを接続した端末を手に取る。空中に映像を投影して端末を操作キーに、黒い翼の女の子と撮ったツーショット写真を表示した。

 

「これは……?」

 

とても似ている。形にはできるが言葉にできない、複雑な心境でウルトリィは写真を食い入るように見つめた。皆が一様に写真に見入っていることを俺は確認してからその名を口にする。

 

「ムツミだよ」

 

「うそ……カミュにそっくり……」

 

「因みに隣が俺だ。この時はムツミが殺処分されそうだった後でな、様々な利用できる手段は利用して殺処分を取り消した。この娘はよく俺に懐いてくれていて、今のシャクコポルの先祖と喧嘩ばかりしていたな」

 

 

–––主に俺を取り合って。

 

 

「私達の先祖がオンカミヤムカイと喧嘩を⁉︎」

 

そんな敵うはずない。と、驚愕の表情でサクヤは自分の種族を卑下する。

まったく誰がシャクコポルは最弱の種族だと、決めつけてしまったのか。

風潮は定着すれば覆すのは難しいか。

 

スライドして今度はうさ耳少女とのツーショット写真に切り替える。

その特徴に共通点を見つけてサクヤは息を呑んだ。

 

「名前はサクラ。この娘は俺を見つけるとすぐに駆け寄ってきてくれてな。施設に入ろうとする前から扉の前に立って出迎えたり、いなくなるとすぐに俺を探したり、果てには研究施設抜け出してくっついてきたり……。多分、一番多く同じ時を過ごした女の子だ」

 

腰まで届く長い髪は桜色。透き通るような白い肌。胸は衣を窮屈そうに押し上げていて、腰はくびれモデルラビットの因子を積み込んでいるからか脚は人間ではありえない美しさだ。よくその身体を使って誘惑してくる天然うさぎでもあった。

あの時の俺が一番に大切にしていた女の子。

だけど、好きだと伝えられなかった、伝えてしまえばその先にあるのは破滅の道。

破滅の道を歩いて行った結末を、俺は目にしてしまった。

 

「こんな娘がシャクコポルを滅ぼしたあのムツミという女の子と……?」

 

「そもそもシャクコポル族が弱いというのは間違いだぞ。シャクコポルの武器は強靭な脚力と聴力、そしてオンヴィタイカヤンから受け継がれた知力にある。遺産を使用できるのもその一環だ」

 

「脚力と聴力……?」

 

「証拠にこんなに綺麗だろう?」

 

脚が。太股なんて絶妙なバランスである。脚の力を自由に使いこなせるシャクコポルだからこそ、こんな綺麗な足に仕上がったのだとサクヤの足を撫でる。丁度いい弾力だ。膝枕が最高に気持ちいいのだ。

 

「知力に関しては、オンカミヤムカイの方が上だと思うのですが」

 

自負してきた分、驚きが強いのだろう。

反発するようにウルトリィが慎ましい声を上げたが、俺は即座に否定する。

 

「それはないな。知力はあまり与えないように全ての種族にセーフティを掛けていた。突然、反旗を翻し逆襲に合わないよう、家畜として管理できるように慎重に研究していた」

 

「それなのにシャクコポルの方が上なのですか?」

 

純粋に気になりますと期待したような顔を向けてくるユズハ。

とても言い辛い。言い辛いがこのままだとシャクコポルが報われない。

虐げられ、蹂躙され、弄ばれた種族が。

何より支配から解放したというのに、この結末が。

 

俺は目を逸らしながら罪を告白する。

過去と一緒に葬った黒歴史を……–––。

 

 

 

「……実はシャクコポルの始祖は一人しかいなくてな。俺とサクラの子孫だ、たぶん」

 

 

 

サクラが酒をドリンクに混ぜて、翌日にベッドの上でお互いに裸体のまま姪に見つかったという過去の忘れ去りたいような忘れ去りたくないような記憶は今もしっかりと残っている。酔った勢いもあったが、純粋な想いもあった筈だ。だけどもし人間と実験体の交尾、交配による生命の宿りが知られてしまえば解体は免れなかっただろう。

アイスマンとの交配例であるミコトもまた惨殺された。

幸せを掴み始めた、矢先だ。

俺はそれをわかっていて傷つけたくなかったのだ。守る力が足りなかった。覚悟が足りなかった。きっと完全なる完璧な覚悟を持ったのは殺意と憎悪を得てからだろう。それまで自分は大したことはできなかった。

 

「シャクコポル族がオンヴィタイカヤンの正統な後継者?」

 

「……過言だろう。俺をオンヴィタイカヤンの代表にするのはどうかと思うぞ」

 

うさぎの繁殖力は絶大だ。モデルラビットでなくとも実験体達は赤子同然だったから何もわかっていやしなかったが、知性は育てばいずれ理解した時があるだろう。特に恋なんてした個体が一番成熟するのが早い。生物の本能が目覚め好んだ相手との子を持つことを頭ではなく本能で理解するのだ。

 

あの後に産まれていたにしろ顔を見ることは叶わなかったが。

まず間違いないのはサクラと仲が良かった姉の企みが絡んでいる。

サクラやムツミのような獣人達の前では酒を飲んだことはないし、だとすれば調達も不可能となれば協力者の一人くらいいなければ成り立たない。基本は獣人達に与えられるのは一部屋だけの自由だった。他には何も与えられず、ただそこに存在し玩具のように科学者に弄ばれるだけ。酒なんて科学者達が渡すわけがない。

 

姉も友達に接するような感覚でいたのだろう。

そうじゃなければいったい誰が獣耳娘を勧めるんだ。

 

「さて、話を戻そうか」

 

「待ってください」

 

ユズハから待ったがかかる。

 

「ヨミナ様は皆のものです。過去の関係に言うことはありませんが……もう少しサクラって女の子に優しくしてあげても良かったんじゃないでしょうか。好き合っていた筈なんですよね?」

 

「まぁな。たぶん、一番好きだったはずなんだ……」

 

歪んでしまった。付き合うという関係もなく、結ばれることはなかった。姉達のような幸せな生活は訪れなかった。きっとそれは自分の意識だけで相当変わったものであろうが、変化は終わりを告げる鐘の音となってしまう。

そもそもの話、獣耳娘全般好きだと公言しているようなもので姉には頭が上がらないが。科学者達だけには何があっても気づかれてはいけない。さらに掘り進めると姉曰く、自分は愛される分だけ愛し返してしまう困った人間らしい。自覚はある。認めたくはないが。けど、こんなことを認めてしまえば愛してくれたサクラを好きと言っているようなものである。

 

–––だから、好き合っていた。

 

そうなのかもしれない。恋とは遠かったのかもしれない。今ではもうわからない感情であるが、求められれば求められるだけあげてしまうのは悪い癖だ。

こんなにも好意を認められたのはユズハが初めてになるか。

いや、獣耳娘という存在そのものが先かもしれない。

 

ユズハは黙って懐に潜り込むと腕を背中に回す。

俗に言うハグ。この場合は、抱きしめたという方が正しいか。

 

「正直、ちょっと嫉妬してます。ヨミナ様が節操のない方とはわかっていますが」

 

うん。それはごめん。

 

「嫌いになったらいつ切ってくれてもいいよ」

 

「いえ、絶対に離しません。それこそあなたに終わりが来ようとも私はあなたと離れるなんて嫌ですから」

 

まったく何をしたらこんなに慕われるのか。

彼女のかける言葉の一つ一つがまるで、別れを知っているかのようだ。

きっとこの夢の時間はいつか終わりを告げると知っている。

どんな形であれ、夢は覚めるものなのだから。

 

「まったく酷い男を好いたよな……」

 

「さぁ、皇族ともなれば側室のようなものは当たり前ですから」

 

「俺は皇族ではないんだけど」

 

「じゃあ、神様です」

 

格が上がった。皇族から神族へ大出世だ。

平研究員から、上位の権限を獲得するまでに苦労したのに。

思えばその権限を行使して好き勝手していたものだ。

まだまだ上があるからか、そこまで自由なことはできなかったが。

 

「なぁ、ウル」

 

「……なんでしょうか」

 

「この件は俺に任せてくれないか。俺にとってあの娘は家族であり娘であり妹であり大切な存在に他ならないんだ。もう誰にも傷つけさせたくない」

 

本音だった。大切にしていても向き合うことをしなかった。

ただ、守ることだけを考えていた。娘の反抗期なら傍にいた俺がなんとかしなければ。

おそらく、ムツミという存在は俺と同じ骨董品の筈だ。

過去の遺物は過去の遺物同士仲良くしようじゃないか。

誰が何と言おうと、家族が間違った道を進もうというならば、それを叱りつけるのは父親であり兄であった俺以外にいないだろう。

悪い男に騙されているなら、諭さなければならない。

 

 

 

「そうだ。今日はここで寝るといい。どうせ眠れないのだろう?」

 

落ち着きを取り戻したウルトリィを誘い込む。

……別にその翼を毛布替わりにしたかったわけじゃない。

 

 

 

きっとムツミがムツミであるなら。

あと数日中に、会いに来ることだろう。

その日まで、今は子育てに専念することにした。




バニーさんいてもいいよな。と思って作った設定。
膝枕嗜好種族、シャクコポル。嗜好にして、至高。
ウサギであるなら脚が全て。つまり、膝枕。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。