ジャパリパークのかじやさん   作:Kamadouma

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はんげきのらいめい

 

恐慌状態の遺構に、二人のフレンズがやってきました。

 

前に立つのは、両手で松葉杖をついた片足のないフレンズ。身体中に光る黄緑のスリットを走らせて、まさしく雷を連想させます。

 

もう一人は、身体中の羽毛を極限までしぼめてシルエットを細める鳥のフレンズ…そう、コノハ博士でした。涙目になってピンと立ち尽くしています。

 

 

 

「やめるのですやめるのです雷はもううんざりなのです」

 

「コノハがビビってあたしを落とすからでしょうが!ちゃきっと着陸しなさい!」

 

「…博士がこき使われているのです」

 

「ああ…どういうことなんだ…。…ライ、どうしてここに?」

 

 

 

予想外の出来事にポカンとするノヴァと助手。二人が来るのは百歩譲って理解できるとしても、あの尊大な博士を雷で脅して空輸させるとは考えもしませんでした。普段絶対見られない光景に、しんりんの二人以外のフレンズも唖然としています。

 

 

 

「ノヴァ、あんたがピンチだって聞いてわざわざ来てやったのよ?あたしだってまだリハビリ中だし、杖で歩き回るのにも限界があるし」

 

「…それで博士に運ばせたのですか?」

 

「そうよ。ミミはノヴァが心配って言って一人で先走るし、コノハはノンキに調べ事してるし。あたしだってノヴァのこと…」

 

「…それはすまなかったな」

 

「ノヴァが謝ることじゃないわよ。このマイペース猛禽二人が悪いのよ」

 

 

 

松葉杖を使ってライゆっくりと屋根の中へと入っていきます。本人はそのつもりはないのでしょうが、黄緑の雷を宿すごく鋭い眼光を向けられればフレンズたちは簡単に萎縮してしまいます。

 

 

 

「…起死回生の一手、あるわよ」

 

「それは本当か?」

 

「ええ。そのためにコノハを使ってこの地域の地形を見て、実現できそうな作戦を考えてたの。そうじゃなかったらとっくにあんたのところに合流してるから」

 

「用意周到なことで。…じゃあ、聞かせてもらおうか。あなたの秘策を」

 

 

 

その中で唯一怯えずに会話を続けられるのはノヴァ。自身に雷が効果を発揮しづらいこともありますが、境遇からして最もノヴァに近い場所にいるのがライなのです。

 

ライはノヴァの隣に座って、パイロットスーツのすそから折り畳まれた地図を取りだしました。違うポケットからとしょかんに遺されていたボールペンを手に取って地図の一部を丸で囲みます。

 

 

 

「何もあたし達が直接攻撃しなくてもいいのよ」

 

「どういうことだ」

 

「高さを用いた落石とか。崖の道を崩落させるとか。人間サマお得意の自然を使った大掛かりなトラップを使えばいいってこと」

 

「…なるほど、小細工どころの話ではないわけか」

 

 

 

ノヴァは相手が小細工など通用しない、常軌を逸した馬鹿力の持ち主と考えていました。実際に攻撃を食らってみて、頑丈さに自信があったのに意識を奪われるまでの怪力なのですから。

 

ライが提案した作戦は彼女の想像の遥か彼方にありました。地形ごと利用した罠を張って自然の力で押し込める…自身の力しか信じてこなかったノヴァには思い付かない発想でした。

 

 

 

「んで、適した場所はここ。崖の中腹に結構大きな道があって、その上も割と広いわ。中腹の道に崩れない程度に穴を空けて、崖の上に大きな岩石を集めて…ターゲットが差し掛かったら落とす」

 

「落石で敵に打撃を与えつつ、足場を崩落させて川へ落とし込む…これならあるいは」

 

「あるいは、じゃないわよ。絶対うまくいくから。…けど、これは一人二人でできる作戦じゃない」

 

 

 

黄緑の電気が走る視線を取り囲むフレンズたちに向けました。臆病そうなヘラジカの部下のパンサーカメレオンや、こはんから避難してきたアメリカビーバーはそれだけで身をすくめてしまいます。

 

 

 

「多くの人員と、それを統率する者がいるの。…あんた達、やってくれるわね?」

 

「…そ、それは……」

 

 

 

雷がつんざくような気性の激しい声色に、周りのフレンズたちは返事を返すことすらままなりません。このくすんだ金色のフレンズは、雷のように目の前に現れて烈光と轟音を撒き散らす恐怖でしかないのです。

 

…その様子にため息と火の粉をついたノヴァが、彼女の尻尾をライの尻尾に当て付けました。安静にしていたとはいえ、まだまだ熱を帯びています。

 

 

 

「ぎゃぁんっ!?あっついっ!!」

 

「はぁ。あなたも旅に出て他を知るといい」

 

「なっ、何よいきなり!」

 

「そんな態度では誰も頷いてはくれない。周りにいるみんなが対等な存在であるということを忘れてはならない」

 

 

 

じとっとした目を余計に平らにさせてライの瞳を見つめるノヴァ。攻撃的な視線でないにせよ、彼女の非難は十分に伝わったようです。ライはしょぼくれてうつむいてしまいました。

 

 

 

「ううっ…そんな目で見ないでよ…」

 

「私たちは群れなんだ。そのことを理解しなければならない。…あなたは私よりも頭がいいんだ、すぐにわかるさ」

 

「……ノヴァはだいぶ成長できたようなのです」

 

「まだまだ。理解できていないことのほうが多い」

 

 

 

着々とフレンズとしての生き方を身につけていくノヴァに、博士はうんうんと頷きました。旅に出て、いろんなフレンズとふれあって、彼女の切っ先は丸くなったと感じています。

 

しかし芯は変わっていません。日々精進して自分を磨きあげる姿勢には一切のブレがありません。それも確認できて博士は満足しているようでした。

 

 

 

「…危険な作戦だ。直接戦わない人員にしても事故の危険性がある。身を引くのも賢い判断だ。…それでもこのちほーの平和のため、ひいてはパークのために尽力したいというのなら、私と一緒に戦ってほしい」

 

「私はやるぞ。もう助手と博士との約束を守るためではなくて、ノヴァの隣にいたいからな」

 

「…キングコブラ…ありがとう」

 

「私を王と呼ばないでいい。コブラと呼べ。…王はお前だ」

 

 

 

一番最初に名乗り出たのはキングコブラでした。彼女の意志は最初から決まっていたのです。

 

自分の故郷を守るため、故郷に生きる民を守るため、そして自分が王と慕う者の剣となるため。王が戦うというのなら、キングコブラも戦うのが道理なのです。

 

 

 

「アライさんもノヴァさんについていくのだ!ノヴァさんの秘策なら、絶対うまくいくのだ!」

 

「いや、立案したのあたし…」

 

「お前はリーダーの器ではないのです。我々と一緒に参謀としてノヴァを支えるのですよ」

 

「頭の良さは誰よりも秀でているので。バカとハサミは使いようなのです」

 

「バカでもハサミでもないわよ!!」

 

 

 

アライさんの底抜けに明るい一声がどんよりした空気をさっと払いました。その前向きさはこの中の誰より勇敢で、決して折れない心の表れでもあります。

 

手柄を勝手にノヴァのものにされてふくれっ面のライですが、反省もちゃんとしています。助手や博士の言うとおりノヴァに陣頭指揮は任せて、自分は裏で暗躍する方が効果的だということも気づいています。

 

 

 

「…へ、こう見てみたら普通のフレンズじゃねーか。いきなり雷と共に現れたかと思ったら脅してきやがって」

 

「悪かったわね!雷を呼ぶ体質で!」

 

「何で逆ギレしてんだよー!」

 

 

 

お互いに大声を出し合うツチノコとライ。しかしそれは彼女が恐れる必要のない、ただのフレンズだということの裏返しでもあります。

 

 

 

「まあまあ。ライさんも悪気があった訳ではなさそうですし…ね?」

 

「…とはいえ、私と一緒にあなたを助けたキンシコウに対してあの態度はいただけないな。もう一つ反省しておけ」

 

「…ごめんなさい。キンシコウ」

 

「いえいえ、お気になさらず。ハンターとしての使命ですから。…そして、ノヴァさんへの解答も決まってます」

 

「ああ。借りを作りっぱなしじゃ悪いからな、俺たち三人はお前と一緒に戦うぞ」

 

「絶対に作戦、成功させましょう」

 

 

 

ハンターたち三人も首を縦に振りました。仮にノヴァやライがいなくても戦う他ないと考えていた三人ですから、頼れる仲間がいるのなら手を取り合わない理由がありません。

 

キンシコウが改めてライの手を握って信頼を確かめました。帯電したかぎ爪に触れないようにそっと包むように。

 

 

 

「…よろしくお願いしますね、ライさん」

 

「う…うん…」

 

「大人しくしていれば可愛げがあるのですが」

 

「しゃべると残念なフレンズなのです」

 

「あんたら…後で覚えてなさいよ…」

 

 

 

やれやれと手を上げる博士と助手。ノヴァが旅立った後のとしょかんではなかなか失敗を重ねていたようです。

 

ライの意外な面を知れて、ノヴァは少し微笑みました。かなり知的な印象を持っていたのですが、それは表面だけのようです。

 

 

 

「私たちももちろん協力するぞ。ハシビロコウが世話になった恩を返させてもらうからな。…その後で私と一つ勝負をしようじゃないか」

 

「そうだな、剣で語る言葉もあると聞く。…にしても、森の王が力を貸してくれるとは心強いな」

 

「私だけじゃない。パワー自慢のシロサイ、鉄壁のオオアルマジロ、攻守を兼ね備えたアフリカタテガミヤマアラシ、周りと同化して身を隠せるパンサーカメレオン、そして飛行と偵察が得意なハシビロコウ。みんなで力を合わせればできぬことなどない」

 

「…それはそうだが、…なぜそれだけの人材がいながら合戦に負け続けているんだ?」

 

「簡単よ。指揮系統に問題を抱えているのよ。…ヘラジカの顔を見ればわかるわ」

 

「???」

 

 

 

ノヴァにはこの勢力が勝てない理由がわかりませんでした。優れた能力を持った人員がこれだけいれば、勝ち筋を見つけるのは難しいことではないと思うのですが…。

 

その解答をライがバッサリと言いました。リーダーのヘラジカの指揮に問題があると。そう皮肉めいた指摘をしても関知しない辺り、相当重症なのねとライは呆れてしまいました。

 

 

 

「そんなことありませんわ!ヘラジカさまは良くわたくし達を見ていますわ!」

 

「そうだよそうだよ!負け続きだけど楽しいもん!」

 

「みんなで一緒に笑って、一緒に散っているのですぅ!」

 

「もう少し頭を使ってほしいと思うこともあるでごさるが、それでも拙者たちの筆頭はヘラジカさまでござる!」

 

「粒ぞろいのみんなだけど、ヘラジカさまのところだから一緒にいて団結できるんだよ」

 

 

「…暑っ苦しい信頼関係ね。これもカリスマ性のひとつなのかしら?」

 

「奇妙なものだが、心とはそういうものだ。ヒトの心と心が理由もなく惹かれ合うんだ」

 

 

 

理詰めの思考のライは今一つピンときてないようでしたが、一応の理解は示しました。理屈では推し測れない存在もあるということをさっき知ったばかりですので。

 

ヘラジカの後ろに立つ従者たちは、彼女が少し思慮が浅くて力任せな部分があると思っていても、付き従いたくなる彼女の何かを信じています。理屈うんぬんではなく、それこそ野生の勘とでも言うべき直感のしわざなのです。

 

 

 

「私たちも故郷を守ろうよ!コブラみたくノヴァに従うってわけじゃないけどさ!」

 

「そうだな。フォッサもしばらく戦ってなかったみたいだし、いいんじゃね?」

 

「たまにはこういうスリルもいいよねー」

 

「まさに決戦?オセロットも参戦?」

 

「タスマニアデビルの名前を轟かせるのに丁度いい舞台がきたな!」

 

「夢物語を描く前に、ちゃんと指示を聞こうね」

 

「オカピに遭うよりも珍しいイベントだゾっ!気合い入れなきゃ!」

 

「遊びじゃないんだよぉ!しっかりしなよぉ!」

 

「いざとなったら逃げる用意も忘れずに!」

 

 

「お前たち……ああ、一緒に戦おう!私たちの居場所を好き勝手させてたまるか!」

 

 

 

じゃんぐるの住人たちも血気盛んに士気を高めています。普段は臆病で排他的なマレーバクやミナミコアリクイやエリマキトカゲも奮起して、キングコブラを中心に結束を強めています。

 

同郷の能天気なフレンズたちがここまで一致団結して何かをしようとするのは初めてです。緊急事態がそうさせたのか、誰かのカリスマ性がそうさせたのかはキングコブラにはわかりませんでした。

 

 

 

「あらあら、助っ人の出番はなさそうですわね」

 

「一人でも人員は多い方がいいのです。カバにも気張ってもらいますですよ」

 

「でも戦うのは苦手っすけど…おれっちも何か役に立ちたいっすよ…!」

 

 

 

戦意がますます上がっていくへいげんのチームやじゃんぐるの住人たちを尻目に、他所からきたカバやアメリカビーバーはその空気に馴染めません。作戦に参加したくても、疎外感があってうまくコミュニケーションを取れなさそうと感じています。

 

 

 

「大歓迎だ。あなたは何が得意なんだ?活躍できる場面は必ずある」

 

「木材の加工や、地形の修繕なら…」

 

「!!いや、素晴らしいものをもっているじゃないか」

 

「まあ、罠の設計を把握して人員に指示できればいいけど」

 

「それだけじゃない。ライ、各々に割り振るべき役割を考えてみろ」

 

「??どういうことっすか…?」

 

 

 

ビーバーの才能になぜか興奮気味のノヴァ。彼女が何を言わんとしているか汲み取ろうとライは頭をフル回転させます。

 

 

 

「…うーんと、工作の終了まで時間稼ぎをする陽動隊、実際に罠まで誘導する迎撃隊、道に穴を空けて細工する工兵隊、崖の上に岩石を集めて落とす攻撃隊、あとは各隊に連絡を回す伝令隊ね」

 

「それで問題ないだろう。ただ、迎撃隊には相手の足止めをできるくらいの攻撃力が必要だと思わないか」

 

「そうね。不確定要素もあるし、足止めは欲しいわね。崖道の上で戦うから身軽なやつでないといけないけど…でもそれじゃ足止めもままならないわね」

 

「そう。…そこを“武器”で補うんだ」

 

「武器…っすか…?」

 

 

 

いつにも増してキラキラとゴーグルの奥の瞳を輝かせています。ビーバーとライはしばらくポカンとしていましたが、ライはその意味を察して目を見開きました。

 

 

 

「!そうか、そうよね!簡単な武器なら、あんたの尻尾の鉄片と木材があれば作れる!」

 

「そうだ。それに、やつには熱がよく通るみたいだしな。簡単な武器でも熱すれば十分なダメージが見込める」

 

「よし、それはノヴァと…」

 

「アメリカビーバーっす」

 

「ビーバーに任せるわね!」

 

「…ああ。よろしく、ビーバー」

 

「よろしくお願いしまっす、…ノヴァさん。…でも武器なんて作ったこと…」

 

「大丈夫、なんとかなるさ」

 

 

 

うれしそうな顔をしてノヴァは握手を求めました。彼女からしてみれば、自分の欲していた技術を持つ者に偶然にも出会えたのです。これからのためにも学んでいこうと意気揚々としています。

 

対照に心配性のビーバーは青い熱い視線に想像以上のプレッシャーを感じていました。ノヴァの足元に置かれた青い剣の完成度を見れば、どれだけの鉄の加工技術を持つかはわかってしまいます。自分の技術ではこの鉄材と合わせるには役不足なのではないのかと、思考が負のスパイラルに陥っています。

 

 

 

「よし、だいたい展望が見えてきたわ。これから役割分担を決めるわね」

 

「ああ、そうしようか」

 

 

 

 

 

 

「…うわぁ、すごい入って行きづらい空気です…。これから担当を決めるっていう時に帰ってきましたー、って私には言えないですよ…」

 

 

 

 

 

 

_____________

 

 

 

 

 

 

「あーあ、あの橋はもうダメだねー。板がバキバキ折れちゃったよー」

 

「あはは、すごーい!どれだけ重たいんだろー!」

 

 

 

双頭のセルリアンが通った後には瓦礫しか残りません。夜になると灯りが着く柱や道を囲う柵、そして沼地の上にかかる橋も木っ端に変えてしまいました。

 

とんでもない絵面に多少の恐怖を感じるフェネックでしたが、となりのコツメカワウソはあろうことか面白がっています。じゃんぐるの案内を頼んだとはいえ、アライさん以上の不敵さが少し不安に思えてきました。

 

 

 

「もうそろそろ切り株の広場だねー。ジャガーちゃん、待ちくたびれてないかなっ」

 

「それは緊張感なさすぎだよー。結構ヤバいんだからねー」

 

「そうなのー?ジャガーちゃん、ぼけぼけだね!」

 

「カワウソちゃん、あなたのことだよー」

 

 

 

この手のフレンズとの付き合い方は心得ているつもりだったのですが、どうもうまくいきません。

 

結果、フェネックはあーあと呟いて考えるのをやめました。

 

 

 

「んー?どうしたのかな?広場にミミちゃん助手が降りたね」

 

「ほんとー?」

 

 

 

高い樹木のせいで視界は良くないですが、カワウソは土地柄の慣れか木の上から降りてくる助手を見逃しませんでした。

 

何かあったんだー、とフェネックは察したようで自然と早足になります。

 

 

 

「とりあえず助手と合流しよーよ。何かあったのかもー」

 

「面白いこと?きっとそうだよねっ」

 

「それだといいんだけどねー」

 

 

 

高木に行く手を防がれるセルリアンを追い抜かして二人は広場へ乗り出しました。予想どおり待機していた独特の模様のフレンズ…ジャガーと助手が会話しています。

 

 

 

「よっ、助手。どーしたの?」

 

「フェネックにコツメカワウソ。無事でよかったのです」

 

「なになに?面白いことでもあった?」

 

「そうだね、面白そうなことを考えてるフレンズはいるみたいだね」

 

 

 

ジャガーは割と乗り気なようでした。彼女も故郷の平和を守りたいと思っていましたし、助手が話した炎と雷のフレンズが斬新なことを考えてついたと聞いてわくわくしているようです。

 

なになにー?としつこく迫ってくるカワウソを半分シカトして、助手はフェネックに事情を説明しました。

 

 

 

「双頭のセルリアンを倒す作戦が固まったのです。だから、みんなが為すべき役割を全うしなければならないのです」

 

「そっかー。ノヴァさんならやってくれると思ってたよー」

 

「当然なのです。…作戦はもう始まっています。フェネック、お前は渓谷の崖の細工をするのです」

 

「崖ー?どこかなー?」

 

「そこまで私が連れていくのです。その後はそこのリーダー…透けた黄緑の翼を持ったフレンズの指示を聞くのですよ」

 

「あいよー」

 

「コツメカワウソは向こうから来る陽動隊と合流して、セルリアンを追いかけさせるのです。キングコブラが取り仕切っているので彼女の指示通りに動くのですよ」

 

「おお、コブラちゃんが!?とうとう王様に!?」

 

「ジャガーは私についてきて迎撃隊と合流するのです。しばらく動きませんがそれまで身体を暖めておくように」

 

「迎撃、ね。あれと直接戦うわけね」

 

「大丈夫なのです。必殺の武器があるので」

 

 

 

伝令隊の助手はてきぱきと指示を伝えて次の行動に移りました。木々の間を縫うように飛行してフェネックとジャガーを誘導します。トップスピードこそ他の鳥のフレンズには負けますが、複雑な動きを要する林間での飛行は助手の得意とするところです。

 

その後ろにジャガーとフェネックが続きます。道を知っているジャガーはさておき、ちほーを点々としているフェネックは詳しい地理情報を持っていません。なかなかに素早い助手を見失わないように焦って追尾しました。

 

 

 

「…お、うわさをすればコブラちゃんだ!おーい!コブラちゃーん!」

 

「カワウソか。丁度いいタイミングだ」

 

 

 

入れ違うようにコブラが率いる陽動隊が広場へ駆けつけてきました。片手に青いナイフを握りしめて周囲を警戒します。

 

 

 

「まだやつは近くにいるらしいな」

 

「うん!あっちの方にいったよー!」

 

「よし、さっそく仕掛けるぞ。あいつを渓谷に近づけさせるな!」

 

「「「「おー!」」」」

 

 

 

キングコブラの号令と共にじゃんぐるの住人たちは拳を天に掲げました。モチベーションは十分のようです。

 

そして今も聞こえる木々がなぎ倒される音の方へ陽動隊は駆け出しました。

 

 

 

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