後、何気に投稿する上では初のクロスオーバー作品(過去には目を逸らす)なので、世界観だったりキャラ設定とかそういうの上手く書けるか正直不安。
あ、戦姫絶唱シンフォギアXD UNLIMITEDを、皆もやろう!(ダイマ)
「さて――行ってみるか、地獄の果てまで!」
覇王アルゴサクスを打倒したダンテは、自らの意志で魔界へ堕ちる選択を取った。
全ては、儀式が不完全ながらも開いてしまった魔界の門を閉じる為。
方法など知らない。だが、彼の目の前に悪魔が現れる限り、ソイツらを狩り続けていけば、いつかは辿り着く。
不安などどこにもない。いつだってダンテはそうやってきて、どうにかしてみせた。
ならば、この次が成功しないなどと考えるだけ無駄なこと。
自分らしく、在るが儘を貫き通すだけ。
そうして、ダンテの姿は魔界の底へと消えていく。
堕ちて、堕ちて、堕ち続けて――突如、光が射した。
それはあまりにも突然で、如何なダンテの身体能力でも避けることは叶わない。
何が出てきても対処できるように小さく息を吐き、身体を緊張状態にする。
「鬼が出るか、蛇が出るか、それとも――」
不確定要素を前にして尚、ダンテの余裕は崩れることはない。
寧ろ、それさえもひっくるめて楽しむ程度には余裕がある。
文字通り天地が逆転しても、この男ならば動じること無く着地するぐらいはやってのける。
刺激があるから人生は楽しい――いつか言った言葉は、時を経て尚色褪せることはない。
光さえも追い越す勢いで飛び込み、バイクを空中で乗り捨てる。まともな着地は期待できないと、早々に見切りをつけた。
そして、バイクを蹴りつけることで推進剤とし、自ら加速して堕ちていく。
堕ちて、堕ちて、堕ちて――歌が、聞こえた。
優しく、語り聞かせるように紡がれる子守唄。
悲劇の果てに訪れた雌伏の時を経て、再び力強い芽を咲かせんと謳っている。
哀愁と慈愛に満ちたそれは、ダンテの心を酷く揺さぶる。
しかし、不快ではない。寧ろ、身を委ねてしまいたいとさえ思える、優しい音色。
ダンテは、この歌を紡ぐ者を知っていた。
「……母さん」
ダンテが母と呼ぶ女性の名は、エヴァ。
物心つかぬ幼き日より聞かされてきたそれは、記憶に残らずともダンテ自身に刻まれていた。
最早、二度と聞くことは叶わない筈だったそれを前にして、心揺さぶらずにはいられない。
『……ごめんなさい、ダンテ。貴方には、辛い運命を背負わせてしまったわ』
ダンテを包み込むように、人型を模した光が出現する。
その光が何なのか、ダンテは直ぐ様理解した。
「母さんは何も悪くない。親父だって、バージルもそうだ。俺達を悲劇に導いたのは、ムンドゥスの野郎だ」
『それでも、言わずにはいられません。だって、貴方はバージルを――』
「それは、バージルが望んで進んだ道の果てだ。アイツの責任であって、母さんが背負うものじゃない。あの時、バージルの手を掴めなかった俺が、アイツの人生ひっくるめて生きる。それでいいんだ」
バージルは、最後の最後までスパーダの悪魔としての『力』に執着した。
悪魔陣営を裏切り、人間を護るという選択を取ったその『誇り高い魂』が、バージルの琴線に触れることは終ぞ無かった。
根源を同じとした存在が、双子という形で分かたれたことで性質も二分された――そんな如何にもな理屈で納得できる訳もない。
もしかすると、バージルもダンテと同様の意思を受け継いだかもしれないし、その逆も然り。
どんなに理屈を捏ねようとも、現実はとうに過ぎ去った過去でしかない。
『でも、それじゃあ貴方が……!!』
それでも、エヴァには納得が出来ない。
どんな形であれ、ダンテ達の運命を二分する切っ掛けとなったのは、紛れもなく彼女の死によってのもの。
なればこそ、母親であることも含め、呑み込めという方が無理な話。
「別に、背負うって言ったって大それた事は考えちゃいない。俺がバージルの後を追うことはない。俺は俺のやり方で今を生きる。束縛なんて御免だね」
もし、バージルをあの時引っ張り出すことが出来たら、等という問答は無意味だ。
どんなに努力を重ねようとも、行き着く先は変わらなかった筈だ。
双子だというのに、価値観は真逆。だけど、通じ合える部分は確かにある。
だからこそ、あの日あの場所、互いに敵同士だったにも関わらず、道が交わることに淀みはなかった。
それが例え、刹那に及ぶ程の時間だったとしても。それは確かに事実として記憶として残り続けている。
きっと、それで充分なのだ。
『……それでも、私が貴方達の母親である限り、譲れない想いもあるの』
「ああ、だろうな」
『勝手なことだとは分かっている。でも、貴方にはもう、私達に縛られてほしくない。だから――せめて、これからはスパーダの子息としてではなく、ただの優しいダンテとして生きて欲しい』
「何を――」
『これが最初で最後の、私の我儘。――さようなら、愛しい息子』
光はダンテの頬へ口づけをすると、泡沫へと姿を変えた。
歌も声も、もう聞こえない。
そして、遂に白に染まっていた世界も、終わりへと至る。
石畳の地面を確認し、身体を一回転させて着地に備える。
着地の瞬間、風を巻き起こしながらも一切の破壊を許すことはなかった。
あれだけの加速があったにも関わらず、その着地に淀みはない。
ふと、胸元の違和感に気付く。
そこには、元相棒であるトリッシュに託した筈のアミュレット、その片割れが飾られていた。
何故、と思うよりも早く、これがエヴァからの餞別であると理解していた。
「……行くか」
呟いた言葉は遺跡内を反響し、音を吸い込んでいく。
ダンテはここが魔界ではないことは既に当たりを付けている。
魔界に入る直後まで感じていた肌を刺すような圧迫感はなくなっている上に、空気も閉鎖的な環境ながらも魔界の入り口と比べれば見違えるほどに澄んでいる。
エヴァが最後に残した言葉を思い返す。
まるでそれは、魔剣士スパーダから端を発したありとあらゆる繋がりを断ち切るかのような物言い。
有り得ない、と断言できるほど常識に染まって生きては居ない。
悪魔が跋扈する世界に生を受け、当の本人も悪魔の血を継ぐとなれば、それは存在そのものが常識の埒外にあると言って良い。
今更不思議な力によって『スパーダが存在しなかった世界』に転移させられたとして、別段驚くことでもない。
仮定が真実だったとして、縁もゆかりもない第三者のお節介ならば、怒りを露わにしただろう。
ダンテは自身の境遇に不満を抱いては居ない。例えそれが、音に聞けば同情したくなるような道程だったとしても、それを選んだのは紛れもなくダンテ自身だ。
今までの努力を無に帰すような善意など、当事者からすれば悪意以外の何物でもない。
ダンテにだって、生の営みがあった。悪魔を狩り続けるだけでは得られない、日常の欠片が。
それさえも失ってしまったとなれば、文字通りダンテを知る者は一人も存在しなくなる。
それは決して、受け入れ難い現実となる。
だが、その祈りを唱えたのが母親だったとしたら。
余すこと無く愛情を注ぎ、死して尚子供の事を案じてくれた母親が望んだことならば――どうして否定出来ようか。
整理のつかない感情を振り払うべく、遺跡を脱出への足取りを早める。
静謐で満たされた世界を孤独に進む。
若い頃と比べて落ち着きを取り戻してきたダンテではあるが、生来の情緒が損なわれた訳ではない為、こういう無為に静かな空間は肌に合わない。
それに、耳の痛くなるほどの静寂を前にすると、先程焼き付いた想像がどうしてもチラつき、徐々に苛々を募らせていく。
しかし、そんな状況にも変化は訪れる。
「……何だ?」
何の脈絡なくダンテを囲むように現れた、謎の生命体。
色とりどりのそれを見て、悪魔の類かと勘繰るも、独特の『臭い』を感じず首を撚る。
対してその生命体も、此方にすぐ襲い掛かってくるかと思いきや、ゆらゆらと揺れるだけで何もしてこない。
まるで、値踏みされているかのようだ。
「気に食わないな」
ホルスターから愛銃『エボニー&アイボリー』を抜き、眼前の生命体へと放つ。
着弾するか否やという刹那、ダンテの感覚が僅かな『揺らぎ』を捉えた。
そして、弾丸は生命体を通り抜け、遺跡の壁に刺さる。
一発では駄目ならばと連射を行うも、着弾する気配はない。
悪魔の皮膚に弾かれることは過去にもあったが、そもそも当たらないというケースは初めてだ。
実体を持たない幽霊だろうと、魔力を込めた弾丸ならば例外なく命中させてきたが故に、ダンテの心境に微かな動揺が走る。
「ようやくその気になったか」
静観を決め込んでいた生命体の群れが、一斉にダンテへと襲いかかる。
狭い遺跡の通路にて、退路はどこにも存在しない。挟撃によって圧し潰されるが運命である。
――それが、悪魔さえも泣き出す程の強さを持つ男が相手でなければ。
「ハッ――!!」
生命体がダンテへと肉薄し、その腕が届く距離に踏み込んだ瞬間。身体が両断されていた。
『魔剣リベリオン』。鍔に髑髏を彫刻した銀一色の大剣は、父スパーダの形見であり、ダンテの愛用する剣でもあった。
下位、上位問わずあらゆる悪魔の血を啜ってきた魔剣によって振るわれる一撃は、ダンテの技量も相まって並の相手ならば一刀の下に伏せられる。
「銃は効かないが、剣は効くか。なら問題はない」
どちらも効かないともなれば、奥の手を出す所だったが、そうでないのならば話は変わる。
ダンテはこれを良い機会とし、この生命体相手にあらゆる実験を行った。
幸い、おかわりは幾らでも出てくるのだ。多少遊んだ所で何ら問題はない。
「成る程な……。コイツラは攻撃する瞬間が弱点か。なんてことはないな」
ダンテはこれまでのデビルハンターとしての経験から、この生命体が相手に触れることの出来る距離に迫ることが、攻撃の当たる条件だと踏んだ。
恐らく、実際に目の前には居るが本体は別の所にあり、攻撃する瞬間だけ顔を出す。見た目には殆ど変化が無い為気付きにくいが、心なしか攻撃範囲に入ると色が濃くなっているように見える。
下級悪魔と同程度の知能しかないのか、直線的に進んでくるばかりで対応も容易だったことも相まって、ダンテはこの生命体への評価を下方修正した。
簡単に結論付けてはいるが、それは歴戦のデビルハンターであるダンテだからこその評価であり、実際の所はかなりの脅威であることに変わりはない。
一対一でならばいざ知らず、複数に囲まれて、かつ統率の取れていない散発的な攻撃。その全てを瞬時に把握し、絶好のタイミングでカウンターを仕掛けつつ、敵の攻撃はコートの裾ひとつかすりはさせない立ち回りなど、常人には不可能に等しい領域の実力者ならでは。
それに、如何にダンテと言えども魔剣リベリオンでの攻撃でなければ攻撃が通ることはなかったのだが、その事実を今知ることはない。
仮に知った所で何とかしてしまうのが、ダンテという男であるのだが。
「さて、ようやく出口か」
多少は楽しめたが、鬱屈とした世界はそろそろうんざりしていた頃だ。
日光の眩しさに目を細めつつ、ようやく外に出ることが出来たダンテは、太陽の光を全身に浴びながら身体をほぐす。
外の景色も、予想通りではあるが知らないものであり、八方塞がりなのは変わらず仕舞い。
今が何時かは分からないが、いつかは日が落ちる。
あの生命体が何なのかは知らないが、野宿できるほど面倒のない相手だとはとても思えない。
常に神経を張るなんて面倒極まりないことは極力避けたいので、足早にその場を去ろうとする。
「アレは……こっちに来るのか」
エンジン音が微かに聞こえたのを確認したダンテは、早急にその場を離れる。
ダンテの歴戦のデビルハンターとしての直感が、面倒事の予感を感じたのだ。
此方から確認は出来なかったが、あの場に出現するにあたって、例えば光や音と言ったものが観測され、それに気付いた何者かが近付いてきた、と考えると辻褄が合う。
あれから最低でも三十分は経過している。一連の流れを汲むには充分過ぎる猶予だ。
現状を確認したいという欲望は有るが、あまりにも身の回りを知らなさ過ぎる状況で下手を打つのは、後々に尾を引く面倒事に繋がりかねない。
今も昔も、望まぬ厄介事はダンテの最も嫌う事柄だ。
メリットとデメリットを考慮すれば、やはり現場を離れるのが最適解だろうと踏んだダンテは、振り返ること無くその場を後にした。
シンフォギア要素どこ……ここ?