サンジェルマンが制御室に到着した頃、シンフォギア装者達はフロンティアに到着した。
「フロンティアに到着しました」
『そのまま制御室へ向かってくれ。敵はそこで何かをしている』
「わかった」
「デース!」
四人はすぐにフロンティアの建物へ向かおうとするが、遠くから四人の周りにあるものが投げられた。
「今のはまさか!」
響の叫び声に反応したように、投げられたもの、赤い光を宿す結晶が割れると、アルカノイズが大量展開された。
**********
「さ〜て、あーし達が足止めしている間に、サンジェルマンはデータを盗んできちゃいなさい」
「いえ、シンフォギアのデータも欲しいので、倒した後に取りに行けばいいでしょう」
「はい、サンジェルマンアウト〜」
カリオストロは何もわかっていないのねと顔で表しながら、サンジェルマンに忠告をする。
「いい、もしアダムの代わりに流を使いたいなら、敵対しちゃ駄目なの」
「もう戦って敵対しているワケダが?」
「ノンノン。あれはそうね……じゃれ合っただけかしらね? サンジェルマンによる彼のプロファイルを読ませてもらったけど、彼は戦った敵と、戦った後に敵対していないパターンがあるのよ」
プレラーティは情報を読んでいないのでよく分からない。サンジェルマンは言っている意味を理解する。
「マリア・カデンツァヴナ・イヴと戦ったあれですね」
「そう。歌姫のマリアと戦ったけど、今は仲良し小好しでしょ? 逆に完全に敵対してしまったのは、アメリカね。なんで彼があそこまで敵意を向けているのかわからないけど、確か一人を除いて全てのアメリカエージェントは死んでなかった?」
「そうね。その一人も人体の成り立ちを理解するためか、綺麗に解剖されていたようだけど」
流は大半のアメリカのエージェントは拷問した後、バビロニアの宝物庫でノイズに喰わせたり、落としたりしている。落とす方が多かったはずだ。
「彼は敵対、関心なし、身内、こんな感じで分けていると思うのよ。で、彼がキレるパターンは多分身内が傷つけられる、傷つくかもしれないこと」
「ならシンフォギア装者を攻撃できないワケダ」
「ですが、ある程度の足止めをしないと、情報を取る時間が足りない。それはどうするつもり?」
「私たちが出ちゃうと不味いけど、今のあの子達ならアルカノイズくらいなら余裕じゃない? それで足止めすればいいのよ」
サンジェルマンはカリオストロに比べて、人の機微には疎い。カリオストロが言うならばきっとそうなのだろう。サンジェルマンはそう考えたあと、胸元に入れておいた試作品を取り出す。胸の間ではなく、スーツの内ポケットに入れてあったそれの中には、三つの結晶が入っていた。
「それは?」
「機能特化型として作ってみたものよ。以前彼と戦った時に使った空間閉鎖の錬金術が組み込まれている。更に内部のアルカノイズの位相差障壁をフラクタルに変化させているから、それにピッタリ合わせて攻撃するか、高火力で押し切るかのどちらかをしない限り、出てこれない仕様になっている」
「……高火力ということは、イグナイトのデータ収集というワケダ」
「いいんじゃない? 私達がここで見張っているから、サンジェルマンは行っちゃって」
「ああ、頼んだ」
サンジェルマンは試作型アルカノイズの結晶をカリオストロに渡して、彼女は制御室へと向かった。
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装者四人の周りにアルカノイズが現れた。
「ただのアルカノイズなら」
「私たちにだって倒せるのデスよ!」
「行きなさい!」
「はっ、はー、来い!」
調と切歌はいつものように二人で一つの曲を歌い、連携しながら戦い始めた。未来は響の背後に付き、響の近接の援護としての戦い方をするようだ。
調は両手にヨーヨーを持ち、ヘッドギアから
切歌は
響はいつも通り弦十郎に習っている、ごちゃまぜ中華拳法を使って、今回は背後を気にせず突っ込みまくっている。
未来は響の周りに
*****
「やっぱり普通のアルカノイズじゃ駄目ね」
「わかってたワケダ」
「そうね。次はこれよ!」
カリオストロは装者達が戦っている近くに、サンジェルマンから借り受けた試作型アルカノイズの結晶をぶん投げた。結構遠くからだったが、割と武闘派なカリオストロには問題ない。
*****
「新しいのが来たデスよ」
「アルカノイズならいくら来ても大丈夫……?」
新しく出てきたアルカノイズに警戒する四人は、そのアルカノイズが展開した空間閉鎖に巻き込まれて、S.O.N.G.が見ていた映像には映らなくなった。
『大型のアルカノイズの反応を検知しましたが、それと同時に装者達の反応が途絶!』
『消えただと!? エルフナインくんは……流のところだったな、了子君を呼んでくれ!』
『大丈夫です。私がいます』
『ナスターシャ博士、体調は大丈夫なのですか?』
『それよりもあの子達です。映像を巻き戻してください』
S.O.N.G.はシンフォギアの集音器からの音声しか捉えられず混乱していた。弦十郎は異端技術に最も精通している了子を呼ぼうとしたが、ちょうどナスターシャが指令室に入ってきた。
「さっきまでフロンティアの上だったのに……まさかフロンティアが宇宙に来ちゃった!?」
「そんなわけないでしょ。さっきのアルカノイズのせいかな?」
「そんなことよりも」
「アルカノイズの大軍が来たデスよ!」
四人は突如、足元が剥き出しの岩に変わり、近くの地面から結晶が生えている。空はとても近く、少し上を見ると、土星のような星や太陽みたいな星が近くにある。
そしてアルカノイズが大挙して押し寄せてきた。
「はああああ! とう、そいやー!……攻撃が通らない?」
「削っても」
「斬り裂いても倒せないデスよ!」
「行って! 【流星】……あれ? 私は倒せる」
響がラッシュを掛けても、ザババの二人が削り切り裂いても、すぐにアルカノイズが再生してしまった。
だが、未来の神獣鏡だけは若干ダメージの効きが悪いけど、アルカノイズを倒せている。
『神獣鏡の未来さんが倒せているのであれば、何かしらの魔の力……錬金術が作用して、アルカノイズが倒せなくなっているのでしょう』
神獣鏡は錬金術すらも魔の力として祓うことが出来るようだ。通常ならば錬金術を祓う事は出来ないはずだが、未来の心意気次第でそれらは変わる。そして未来は
「「マム(デス!)」」
「ナスターシャ博士! 何か方法はありますか?」
『藤尭さん、装者達のバイタルが下がっている訳では無いのですね』
『はい! 以前頂いたアンチリンカーのような物は使われていないと思います』
『ならば、調律を阻害する何かを使っているのでしょう。完全に完璧に調律することは現在はまだ不可能です。ですから、強い力によって無理矢理倒してしまうのが、最も早いでしょう』
『強い力……イグナイトか!』
『絶唱は危険すぎる。ここは……だけど、危険だわ』
『だが、それ以外にはなかろう』
装者は未来が開けた場所でノイズを吹き飛ばしながら、ナスターシャの言葉を聞いている。
「私達はまだ使ったことがない」
「下手したら暴走しちゃうデスよ?」
二人の頭の中ではイグナイトを成功させた響達を思い出さず、ガングニールのイグナイトに巻き込まれて暴走した流が頭を掠める。
『調、切歌。貴方達なら問題ないでしょう。二人は二人である限り、どんな困難だって……ゴホッゴホッ』
「マム!」
『……大丈夫です。それに貴方達はマリアや彼がいないと、何も出来ない子供なのですか?』
ナスターシャは最近また立ち上がれるようになった体を奮い立たせ、立ち上がって二人に思いの丈をぶつける。すぐに車椅子に倒れてしまったが、それでも二人に思いは届いた。
「……調、やるデスよ。マムにあんなに言ってもらって、出来ませんでしたじゃ格好がつかないデスよ」
「だね。私達だって、マリアや流がいなくても戦えるって事を見せて、安心させてあげるんだ!」
調と切歌はナスターシャの言葉に勇気をもらい、互いに向き合って手を繋いだ。
「未来は大丈夫?」
「少し不安だけど、響が隣にいて、手を握ってくれれば」
響はすぐに未来の手を取って見つめ合う。
「私はどんな事があっても未来を守るよ」
「私だって響を絶対に傷つけさせない。響と一緒なら、どんな力にだって抗ってみせるよ!」
「一緒に戦おう! イグナイトモジュール」
「「「「抜剣(デース)!」」」」
『ダインスレイヴ』
調と切歌は手を繋ぎながら、もう片方の手でイグナイトモジュールをワンタッチして起動させる。
響と未来は互いのペンダントに触れ、響は未来の、未来は響のイグナイトを抜剣した。
空中で抜剣されたペンダントが一度停止して、四人の胸にイグナイトモジュールが突き刺さった。
「ぐあああ!」
「あああああ!」
「ぐああ!」
「ぎあああああ!」
四人はダインスレイヴの暴走への誘いに抗うように、絶叫をして力の放流に耐える。
*****
そんな中まだ一度も抜剣をしていない人の心情はあまり穏やかではなかった。
(あれって胸に刺さってるわよね? 翼やクリスは痛いって言っていたし、調も切歌もあんなに苦しそうに叫んでいる……私大丈夫かしら?)
マリアは
『イグナイト? あれはなかなかに激痛だったな。修行をしている私でも叫んでしまった』
『あれは痛てえよな。流に殴られるよりも痛いんじゃないか?』
『流に腹パンをされた事があるが、あれよりは痛かったと思うぞ』
クリスが殴られる時はお仕置きのためであって、痛みや痕が残らないように手加減されている。翼が流の腹パンを受けたのは、オーディンとか名乗って中二チックな格好をしていた時であり、腕デュランダルにはなっていない。
だが、マリアは右腕がデュランダルで弦十郎と戦っている時の本気の流の拳が、お腹にめり込んだ想像をして、結構泣きたくなっていた。
*****
「みんなに大丈夫って思ってもらえるくらい」
「強くなるデスよ!」
「未来がいれば」
「響がいれば」
「「どんな事にだって耐えられる!」」
四人はイグナイトの暴走を乗り越え、刺さった胸元から黒い闇のようなものが溢れ出し、シンフォギアのギアか再配備していく。
ガングニールもシュルシャガナもイガリマも、白い色が反転したように黒くなり、形状も荒々しく刺々しく変形した。
神獣鏡も適合率の上昇に伴い、白い部分が増えてきた中、その部分が反転したように黒くなり、深い紫と漆黒に変化した。ヘッドギアは更に鋭い角になり、足のアーマーはシャープにそして刺々しく変化した。
「切ちゃん!」
「行くデース! 地獄からテヘペロちゃん……」
「小っちゃいってナメないで!!……」
切歌と調はイグナイトで出力が上がっているが、更に互いの力を高め合うユニゾン特性も利用して、どんどんアルカノイズを倒していく。
装者が歌う歌は彼女達の胸の奥から出てくる歌なのだが、調はたまに力んで歌っている場面が見受けられる。それを聞いていたナスターシャは、もっと小さい時に栄養のあるものを食べさせていれば……なんて思ったりしてしまった。
「響待って!」
「ふんっ! どうしたの未来?」
「前から秘密で練習しているアレをやろう」
「ぶっつけ本番で!?」
指令室は歌を口ずさみながら、話している二人へ真面目にやる様に言おうとしたが、何かしらの策を行おうとしていることに気がつき、静観することにした。
「うん。調ちゃんと切歌に出来るなら、ずっと一緒に過ごしてきた私達にだって出来るよ」
「あれは二人のギアの特性って言ってたはずなんだけど」
「……出来ないの?」
指令室へと声が届くマイクを抑えて、未来は底冷えする声で響に問いかける。
「私達だったら出来ます!」
「ならやろう」
「う、うん!」
二人は手を繋いで、心を一つにする。響が敬語で未来に反応していたり、脅されていた気がするが、二人の絆……愛は調や切歌をも凌駕するかもしれない。
響と未来が調と切歌のザババコンビのように、同じような歌を歌い始めた。
『起点となるアルカノイズが中央にいるはずです。何とか探し出して倒してください』
ナスターシャの声に四人は反応して、アルカノイズの殲滅速度をあげていく。その合間に遠距離攻撃を混ぜて、目的の敵を索敵する。
ザババコンビはユニゾンによる共鳴・共振のおかげでどんどんフォニックゲインが高まっていく。
『シュルシャガナとイガリマ、ユニゾンによりフォニックゲインが高まっています……そして、それよりも弱い上昇量ですが、ガングニールと神獣鏡にもユニゾンのような反応が見られます!』
『……シンフォギアとしての特性ではなく、装者同士の繋がりによって、ユニゾンと似たようなことが起きているのかもしれません。擬似ユニゾンですね』
藤尭の驚いた声にも落ち着いてナスターシャは反応した。昔にマリアとセレナがこのような事を一度だけした事があったので、焦らずに反応できた。もちろんその時はセレナはアガートラームを付けていたが、マリアは何も装備していなかった。
『……よし、この現象を絆の「愛のユニゾンです」……絆の「愛の」』
弦十郎が手を振りあげ、擬似ユニゾンに名前をつけようとしたが、未来の言葉がそれを遮る。
「これは私と響の『愛のユニゾン』です」
「愛ってなんか照れくさいね」
「でも悪くないでしょ?」
「うん!」
響と未来のやり取りによって、ガングニールと神獣鏡によるユニゾンは『愛のユニゾン』と名前がついた。
弦十郎は響の歓迎会の時と同じように、また出番を取られて少しだけ落ち込む。
『いいじゃないか。愛、シンフォギアにとって、とても大事な事だ。linkerだって愛を力にしている。カレーの辛さの好みと同じくらい大切だよ。でも、何故F.I.S.てはカレーの好みを記録していたんだろうね』
先程まで話さなかったウェルが、愛という言葉に反応して会話に入り込んで来た。
『博士いたのか』
『うるさい小娘。linker組の脳内波形を観察するのに忙しかったんだよ。お前達みたいなお留守番組と違ってね』
『なんだと!』
クリスとウェルは言い合いを始めたので、友里は二人のマイクの接続を無言で切った。
「見つけたデスよ!」
切歌は【切・呪りeッTぉ】のブーメランとしての機能を使い、空間を切り裂きまくっていた。すると、分裂した鎌の一つがぶつかったことによって、今まで隠れていた巨大なアルカノイズが姿を現した。
「切ちゃん」
「響!」
「行くよ未来!」
見つけた切歌の横にいた調は、二人でその巨大なアルカノイズを倒そうとしたが、遠くにいた響と未来が助走をつけ始めた。
「「はあああああああ!」」
響が敵に向かって飛び、バーニアを吹かせて飛び蹴りをする。それに未来は合わせるように、地面を蹴って腰の辺りで扇子を展開して、響のバーニアのように背後に【閃光】を発射して推進力にし、響に隣り合いながら飛び蹴りを放つ。
巨大なアルカノイズに、響と未来は飛び蹴りによって大穴を開けて、少しするとアルカノイズは爆散した。
「なんか取られた気がする」
「私は発見したので問題ないデスね!」
巨大なアルカノイズを倒したおかげで、空間を閉じていた錬金術は解け、周りのアルカノイズも消えていった。
切歌は自分の功績を誇るように胸を、張って、しまった。
「まるで私が何もやってないみたいな言い方」
「違いますよ? いいとこ取りされた気がするので、自分の功績を口に出しただけデスよ?」
「……イグナイトに変身する時、胸が大きい人は揺らしてる気がする」
「そんなことないデスからね!……コンマ数秒を調は見えているのですか?」
「何となくそう感じたの。それで切ちゃ……切歌は自分が揺れてると思っている。なんか疲れた」
「待ってくださいよ調! その呼び方は本気で凹むから直して欲しいデスよ」
胸が大きい人は変身の時がっつり揺れている、なんて事を流が言ったからこんな事になってしまった。調は切歌を置いて、未来と響の元へ向かった。
「お疲れ様調ちゃん……と切歌ちゃん」
「うーん? 敵がいそうな感じはしないよね」
未来はこの場所から死角になっているであろう場所に、ミラーデバイスを使って攻撃をさせるが、敵の反応はない。
『フロンティアの監視映像では犯人はテレポートして全員どこかに飛んでいったようだ。響くんと未来くんには聞きたいことがあるがそれは後だ。そちらにヘリを向かわせたので、それに乗って帰還してくれ』
「「「「はい(デース)」」」」
**********
その頃パヴァリア錬金術三人娘は、テレポートで拠点に戻ってきていた。
「やはりフロンティアにはこの地球の構成データが記載されていた。それにレイラインマップも手に入れられた事ですし、革命が一気に進められる」
パヴァリア光明結社がF.I.S.の武装蜂起を支援したのは、フロンティアを自分達も使いたかったからだ。神の飛行船ならば、月を正常に戻す方法もあるはずだと当たりをつけていた。その機能はあったが、F.I.S.の武装蜂起は失敗した。しかし結果的には成功だった。
キャロルからも世界構造のデータを入手出来ることになっていたが、構造データは重要なのでいくつも策を巡らせていた。
キャロルのように、ヤントラ・サルヴァスパが破壊されたら終わり、なんていう計画にはしない。
「イグナイトのデータも取れたことですし、ラピスももうそろそろって感じかしらね」
「同じ出生のザババの聖遺物には、共鳴・共振反応がある事はわかっていたワケダが、まさかガングニールと神獣鏡という全く別の聖遺物でも、ユニゾンが起きるとは思わなかったワケダ」
サンジェルマンの予想通り、フロンティアは神がこの地に降り立った時に使われていたようだ。地形データや世界構造についてのデータもあったので、今回の襲撃で一気に革命についての情報を揃えることが出来た。
カリオストロもサンジェルマンに頼まれた通り、イグナイトの情報を得ることが出来た。特に今回驚きだったのが、暴走の力を扱っているのにも関わらず、神獣鏡が魔を祓う力を併用できていたことだ。
パヴァリアの見解では、暴走を使った神獣鏡が光線を発射すれば、自らを不浄としてイグナイトが無効化される可能性も指摘されていた。
だが、イグナイトによる出力アップに加え、錬金術によってアルカノイズの位相差障壁をフラクタルに変化させていた、その術式を魔の力として祓っていた。
プレラーティも今回は真面目に来ていてよかったと思っている。ザババの聖遺物を使う月読調と暁切歌は、他の装者に比べて、未熟で弱いと思っていた。だが、その二人が共に戦うことによって、どんどん力を高めていっていた。これを知らないで闘うことになったら、負けていた可能性もある。もちろんプレラーティは負ける気などさらさら無いが。
そして同じ出土でもないのに、装者同士の繋がりによってザババコンビと似たようなエネルギー発生を行っていたガングニールに神獣鏡。
「あとはアンティキティラの歯車と」
「惑星運行観測機能に特化した自動人形、ティキの捜索のみになった」
「……私はシャトー建造から働き詰めなワケダ。今度こそ休ませてもらうワケダ」
プレラーティはそう言い残して、どこかへテレポートして行った。バカンスにでも行ったのだろう。
「私は手伝うことある?」
「ラピスの完成を急ぐので特にはない。祭壇設置はラピスのあとの方が捗るはず」
「なら私も休んでいるわね。話し相手が恋しくなったら呼んでもいいのよ?」
「…………休憩のお茶の相手として呼ぶわ」
「はいは〜い」
早速カリオストロはお茶の準備を始めるのだった。
まだ3.5期にすら行っていないのに、イグナイトの情報を取られ、ザババユニゾンも知られ、絆……愛のユニゾンも知られました。
知られたからといって防げるものではないんですけどね。