戦姫絶拳シンフォギアF   作:病んでるくらいが一番

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あっあっあっ。この作品だと5期の393フラグが完全に崩壊しているんですが。ま、まあ、きっとなんとかなるハズ。


#91『ミカが料理ばかりしている理由』

 それはいつから想いを持ち、考える事をするようになったのだろう。同機能を持つそれらと変わらぬ見た目で、やるべき事はただ一つだった。

 

 いつからかその唯一のやるべき事は、王がやって欲しくない事であると理解できるようになった。記憶の共有という機能で王の想い出が流れてきて、王の言葉を聞いていた時、知恵と言えるであろうモノを手にいれた。

 想い出を蓄積できるようになったそれが、一番始めに蓄積した言葉がこれだった。

 

『お前らもしないシンフォギアみたいに、遊んだり、手紙を読んで爆笑したり、料理を作って食ったり出来るようになればいいんだけどな』

 

 蓄積できるようになった時は意味がわからなかったそれだが、今では王は一人でもいいから人類と理解出来る手段を身につけて欲しいと言っていたのだとわかった。そんな事は不可能だろうに。

 

 それらはその後から急激に個性を身につけ始めた。トンファーを扱いコインを打ち出すモノ。剣と呼ばれる武器を使ってその腕前を伸ばそうとするモノ。大きなお城を掃除するのにハマったもの。

 

 そしてそれがハマったモノは、元々王に頼まれて何度かやっていたことだ。だが、それがその行為にハマったのは紛れも無く彼女を乗せた後からだろう。

 

「アタシを乗せて空を飛ぶんだゾ」

 

 王に炭素変換の機能を切るように言われてから、同種以外に触られる恐怖を覚えるようになっていたそれは、いきなり赤髪の変なポーズを取る機械人形に恐怖した。

 

 だが、機械人形……()()()を乗せて空を飛んだ後、自分のやりたい事を理解した。そのあと愛機を決めるとかで一番早いそれらのどれかに乗るとミカ様は仰り、早さ勝負で見事優勝した。

 それはミカを乗せることに誇りを持っていたが、同時に王も乗せていた。

 

 ある時、王がいきなり呼び出して海上を飛行中、王が王ではなくなった。『俺が俺じゃなくなったら皆を傷つける。暴走したら迷わず殺せ』と言われていたので、迷いなく殺そうとした。炭素変換を使わなければ、それらは人を殺したとしても消えない。だが、王に自分の攻撃が効くかわからなかったが、攻撃を開始する前に王の周りにいる霊体の巫女()の一人が攻撃中止を言い渡し、逃げるように言ってきた。

 

 命令順位は王が一番で王の周りにいる巫女二人が二番だが、その場での指示をした巫女の指示に従ってそれはその場を逃げた。

 

 それは早く帰ってミカを背に乗せたかったのにいつまで経っても帰還命令が来ない。人類がいる場所にいると迷惑がかかるから、探知されるような電波がない超高高度を飛行していたせいかもしれないが、王はそれの存在を完全に忘れていた。

 

 時が経つにつれてそれは怒りを理解し、次に王に会ったらぶん殴ると固く誓う。もう別の愛機を作ってしまっているかもしれないミカを、もう一度でいいから背に乗せたいとその飛行型ノイズ、流には『鳥』と呼ばれたノイズは思うようになっていた。

 

 いつの間にかそのノイズは猛禽類のような見た目をした綺麗な鳥型に変化していた。鳥はミカに相応しい形を願った故か、それとも……。

 

 

 **********

 

 

「何故局長がここに、しかもその錬金術は!」

 

 サンジェルマン達はラピス・フィロソフィカスの試験運用と、アダムに命じられたバルベルデドキュメントの破壊をする為にこの風鳴機関本部を破壊しようとしていた。

 アダムはサンジェルマン達に今回の件は任せると言っていたのに、アダムが割と簡単に使える必殺技を携えて現れた。

 

「手伝おうと思ってね、サンジェルマン達を。さて、三人は帰った方がいい。巻きこまれちゃうよ、錬金術師が行う本物の錬金術にね!」

 

 アダムが話している間にサンジェルマン達は、アダムが黄金錬成で()()()()を破壊する気なのだと分かり、すぐさまテレポートジェムでその場を後にした。

 

「……出来るんだよね、あんな施設は黄金錬成を使わなくても。でもここで確実に殺すよ、神殺しの力(ガングニール)をね」

 

 アダムの計画を考えると、ガングニールが神殺しの力を持っていることは、例えサンジェルマン達であっても知られてはならない。

 故に今回アダムは表に出る決意をした。

 

「終いだよ、フィーネの忘れ形見! なに!?」

 

 無駄に喋ることもなく、敵の言葉にも反応せず、不完全な人類を()()()()()()殺すための術を扱う。アダムは超高温・超高圧によって引き起こされる核融合によって、元素転換を行う錬成術【黄金錬成】を装者に……とりわけ響を目的として投げつけた。

 だが、上空にいるアダムの()()()()()音も無く落ちてきた存在によって腕が少しだけ弾かれてしまい、黄金錬成による熱量の塊は響達へは向かわず、風鳴機関へと進路を向けてしまった。

 

「アルカノイズ……いいや、違う。何故僕の邪魔をする、ただのノイズの分際で!!」

 

 流が鳥と呼び、ミカが愛機にしている飛行型ノイズがアダムの行動を妨害したのだ。

 

 流が影響を与えたノイズ達にはいくつかの命令が与えられている。もちろん杖を使った命令ではない。

 

『炭素変換を使って自分を殺すな』『理由なき殺人はするな』『出来れば皆を助けて欲しい』

 

 この皆とは装者やOTONA達、板場やクリスのクラスメイトなどが含まれているが各ノイズによって解釈が違う。

 鳥は位相差障壁にエネルギーを注ぎ込み、錬金術だとしても容易に干渉出来ない位相にまで身体をずらす。その状態でアダムの周りを飛び回る。ひたすら邪魔をし続ける。

 

「僕の邪魔をするな!!」

 

 ちょっかいを掛けてくるノイズに向けてアダムは本気で錬金術を使うが、ノイズが位相差障壁のみに注力した結果、突破することが出来なかった。数分そんなやり取りをしていると鳥はその場から一気に離脱し始める。

 

「……やってくれたな、ノイズ風情がああああ!!」

 

 アダムは装者が地面で這いつくばっていた場所を見ると、そこには誰も居らずノイズが()()()()()()()()して時間稼ぎを初めからする気だったことに気がつき、咆哮を上げるのだった。

 S.O.N.G.の装者達が現場につくと元風鳴機関跡地が焼け爛れている以外情報を得ることが出来なかった。

 

 

 **********

 

 

「ミカ……そういえば宝物庫に入った時はノイズで空を飛んでいたがもう飽きたのか?」

「おはようだゾ、マスター。アタシの愛機が居ないから空を飛べないんだゾ」

「他の飛行型ノイズに乗ればいいじゃないか」

「それは駄目なんだゾ! 約束したんだゾ!」

 

 ミカが最近料理ばかりで宝物庫に来てから楽しいそうに遊んでいた、ノイズによる飛行を行っていない。それはある飛行型ノイズがいないからだった。そのノイズにだけ乗ってミカは飛ぶと、そのノイズに約束したから今は空で遊ぶのをやめている。

 

「早く帰ってきて欲しいゾ」

 

 ミカが空で騒げるのはもうすぐだ。

 

 

 **********

 

 

 エルフナインが応急でつけておいた外部機能の一つ。装者に持たせたテレポートジェムを遠隔起動できる機構によって、イグナイトを剥がされた装者四人は何とかあの場から撤退することが出来た。

 特に切歌がイグナイトを剥がされた後にも爆発を受け、意識不明であるため、ナスターシャが適切な処置を施し続けている。ナスターシャ自身も病が治ってやっとリハビリが終わったばかりだが、無理を通して切歌の治療を続ける。

 

 一方エルフナインは今回の敵が使った錬金術技術に当たりをつけていた。ナスターシャにも錬金術師であるエルフナインにこの場面を打破する何かを思いついてほしいとお願いされている。この場で錬金術を解明できるのはエルフナインだけなのでそれを精一杯頑張ることにした。

 

『お前らいい加減にしろよ? 俺はお前の陣営にも、S.O.N.G.の陣営にも肩入れをしないって言っておいただろ!』

 

 エルフナインは自分の考えを確かめるためにキャロルに向けてテレパスを送ったのだが門前払いをされてしまった。キャロルはこんな事を言っているが何だかんだ頼られて嬉しい事をエルフナインは知っている。

 

『もしかしてもう寝ていましたか? それならごめんなさい。僕はこれくらいの時間では寝ていないので』

『知ってるよ! お前が馬鹿みたいに起きていて勉強とか研究をしているのは! それは効率が悪いから寝て朝早くからやれ』

『……なるほど、そっちの方が効率も上がりますね! 寝落ちて十数分などよりも断然力が入りそうです!』

 

 アニメのように技術者が足りず、ブラック状態ではない。しかしエルフナインはキャロルから教えてもらう錬金術や了子から教えてもらうシンフォギアや異端技術の研究が面白く、どうしても翌日には目元にクマが出来てしまっている。

 

『もう少し抑えろって言ってるんだ!』

『わかりました。1割ほど作業量を減らしたいと思います』

『え? お、おう。わかればいいんだ分かれば』

 

 頑なだと思っていたエルフナインが簡単に折れたため、キャロルは肩透かしを食らった気分になる。だが、自分の提案をそのまま聞いてくれたことについては少しだけ嬉しい。

 

『僕のお姉ちゃんのお言葉ですからね。命令じゃなくて、僕を案じてくれての言葉なら、聞かないわけにはいきません!』

『……エルフナイン!』

 

 フィーネには小娘扱い、流には娘扱い、装者や他の人は小さい子を相手にするような態度をよくされるので、姉扱いしてきたエルフナインに感動の声を上げている。

 

『ですから、僕のお姉ちゃんである、キャロルお姉ちゃんには出来れば……できればでいいんですけどラピス、賢者の石について色々ご教授頂きたいのですが』

『ああ、いいぞ。いくらでも教えてやる!』

『……ケイカクドオリ』

『なんか言ったか?』

『何でもないよ、キャロルお姉ちゃん!』

 

 

 エルフナインは純粋無垢でとても可愛いので、()()が特に可愛がっている。

 

「フィーネの時の、私を盲信するクリスのような可愛さがあるわ。エルフナインは頭がいいけどそれでもとっても純粋」

 

 こんなやばい大人に可愛がられ、研究室も隣同士で簡単に行き来できるようになればどうなるか。

 フィーネたる思想が多少影響し、エルフナインは少しだけずる賢くなっていた。この賢さを使うのも、基本的にはキャロルにだけなので誰も指摘出来ていない。

 

 

『ラピス……多分ラピス・フィロソフィカスですよね? あれは高出力のエネルギー結晶であり、万能薬としても知られています。もし本当の賢者の石なら、イグナイトという呪いを不浄と捉えて、浄化・治療しているのでしょうか?』

『それであってると思うぞ。俺がやろうとした世界解剖を手伝ったのも、『一にして全なるモノ』という汎神論的世界観の全を理解するためだったんだろうしな。まあ、多分ラピスだけの為じゃないんだろうが』

 

 流石にラピス・フィロソフィカスのためだけに、自分に多大な資金援助や人材派遣をしたとは思えない。きっと、パヴァリア光明結社にとって重要な情報があったのだろう。

 

(多分レイラインの配列だろうけどな)

 

 世界構造のデータとレイラインの配置がわかれば、錬金術師なら色々と悪用できる。キャロルはもうそんなことする気は無いし、ネフィリムの心臓があるおかげでエネルギーが使い放題であり、逆に研究が捗ってまでいる。

 父親の真意を知る為に始めた錬金術の研究だったが、いつの間にかキャロル自身も錬金術の研究をすることが楽しいと思えるようになっていた。

 

『問題はイグナイトを強制解除されてしまう事への対策だな』

『イグナイトはどこまでいっても呪いである事には変わりありません。皆さんがそれをきちんと制御してますけど、ラピスを皆さんに防いでもらうのは無理ですもんね』

『無理だな。あれは世界を使って一個人を暴いているようなものだ』

 

 キャロルとエルフナインの間に沈黙が流れる。だが、その沈黙はあるできる女によって破られた。

 

『そこで幸せ絶頂期のできる女の出番よ!』

 

『ぎゃああああああああ!!』

『きゃあああって、なんでテレパスに割り込んできているんですか!』

 

 了子が二人のテレパス回線にいきなり割り込んで来た。テレパスは第三者から傍受されにくい秘匿性の高い通信として機能しているので、本来なら了子のようにいきなり入ってくるなんてことは出来ない。

 

『あー、楽しかった。あのね、錬金術も元を辿れば私が起源なのよ? 出来ないわけないじゃない。それに最近錬金術師が暴れてて……そう、暴れてて』

『ご、ごめんなさい。だから、殺気だけを送ってこないで!』

 

 了子は想いをキャロルへと飛ばし、その殺気によってキャロルは涙目になっている。どうもキャロルは了子に苦手意識を持っているようた。

 

『まあいいわ。錬金術師が暴れているせいで、私と弦十郎くんの式の日程が組めないのよ!……組めないのよ!!』

『……』

『……パヴァリアが出てきたという事は、世界の命運がかかっているかもしれないんですよ?』

『そんな些事をパパっと解決させるために私は錬金術を研究し直してるのよ』

 

 式が挙げられないからパヴァリアをぶっ倒すと豪語する了子に、二人は言葉を発することが出来なかった。もし流が聞いていたら頷く程度には了子とそれに影響された流は感覚がおかしい。

 

『待て待て、了子はヨナルデパズトーリーの研究、パパについての研究、シンフォギアについての研究、リンカーについての研究、錬金術についての研究を並行してやっているのか?!』

『当たり前じゃない。必要ならフィーネだって勉強するわよ。元々私が編み出したり、起源だったりするから割とちょろいわよ』

『……そ、そうか。そうだよな、フィーネだもんな』

 

 エネルギーリソース的に了子は使えないが、最近トリスメギストスを完全に理解されてダウルダヴラのファウストローブもあと少しで完全に解析されかけている。

 そんなキャロルは膝をついて落ち込んだ。何百年と掛けてきたことを数ヶ月で理解され、応用されようとしているのだ、泣きたくもなってくる。

 

『そんな事はどうでもいいのよ。あなた達の回線を勝手に盗み聞きしてやっと確信を得たのだけど、パヴァリア光明結社は多分神の力を具現化させようとしているわね』

『神の力ですか?』

『カストディアンの力を復元でもするのか?』

『あの方の降臨ではないわ。ヨナルデパズトーリーは神の力の実験の一つなのでしょうね。レイラインにある星を巡る膨大な力を使って、擬似的な神を作り出そうとしているんじゃないかしら。その力を使って錬金術師がやることと言えば真理を解き明かすとか、世界を支配するんだ! とかそんな所でしょうね』

 

 未だに敵は自分たちの目的を語っていないが、フロンティアから盗み取られたレイラインマップに世界構造データ、それにヨナルデパズトーリー。それと了子は錬金術師ならこう考えると頭を切り替えて考えた結果、擬似神の降臨を狙っているのだと予測を出した。別に擬似神ではなく直接神の力を操る術があるならそちらだろうが、人間が耐えられるわけがない。

 元々了子はあらゆる時代で暗躍してきたのだ。確かにパヴァリアも相当年月が長いが、それでも暗躍するのであればもっと、もっと情報を非公開にしないといけない。

 

『……てことは、俺が世界解剖のために要石をいくつも壊すことも、パヴァリアの計画に入れられていたのか?』

『でしょうね。ぶっちゃけ利用されたのよ、キャロルちゃんの想いも』

『……俺はやることが出来た。席を離れる』

 

 キャロルは深呼吸をしてから、テレパス回線から抜け出した。

 

『キャロル……』

『それで次はエルフナインちゃんね。私は前々からイグナイトが弱点になるんじゃないかって思っていたのよ』

『そうなんですか?……いえ、キャロルの計画から考えて、逆手に取られる可能性を考えていたんですね』

『そう。で、私はイグナイトという呪いを表面化させず、エネルギーだけを使えないか考えていたのよ』

『……出来るんですか!?』

『やっとね。私でも結構時間がかかったわ』

 

 それから了子はエルフナインに説明を始めた。

 

 既にイグナイトはシンフォギアと密接に関わっている。だが、所詮イグナイトはシンフォギアのロックには含まれていない後付けのシステムなのだ。

 これを考えていた時、息子がやっていたアホな事で閃きを得た。

 

 流はデュランダルで生成したエネルギーでソロモンの杖のゲートの拡張を行っていた。規格の違うエネルギーをどうやって流しているのかわからないが、シンフォギアとイグナイトだと色々変わる。

 

 イグナイトは錬金術の技術を応用していて呪いや怒りといった想いの力が原動力にもなっているが、シンフォギアと無理なく繋げられている時点でフォニックゲイン由来のエネルギーである事がわかる。

 ならば、イグナイトをシンフォギアに適応させて纏うのではなくその力だけを引き出して、シンフォギアのロック解除に流用できないか? と了子は色々試していた。

 

『それはもしかして、XDモードを人為的に起こせるということですか?!』

 

 エルフナインは()()()()()()()()()、シンフォギアの最終決戦仕様が頭の中に浮かぶ。あれはシンフォギアのロックを限定解除した最強のモードのはずだ。

 

『それは無理ね。まずXDモード、限定解除を一度しか私は見ていないし、あれは奇跡の類だから作戦に組み込むべきではないわ。それでもこれが上手く行けば、イグナイトのエネルギーを得つつ、イグナイトの呪いは無視できるようになるわ』

『……一度しか行われていないモードなのに、あれは正式にシンフォギアの最終決戦仕様として資料に記述されてますよね? 何故ですか? たまたまの可能性だって』

『本来ならもっと日の目を浴びたかもしれないのだけどね。まあ、そこら辺はいいのよ』

 

 了子は流という転生者がいなければ、もっと限定解除をされていただろうと思っている。

 フロンティアの件は流が居なければ、二課vsF.I.S.になっていたし、フォニックゲインを使う敵ならば、その力を使って限定解除も出来る。

 キャロルの件だって、あのままだとダウルダヴラが本気で使えるようになっていたはず。呪いの譜面を完成させたダウルダヴラの攻撃は錬金術であるが、歌を媒介にしているのでXDモードが使えるはずだ。

 

 了子は本来なら最大三回は限定解除を使えたはずだと考えていて、限定解除を最終決戦仕様として記述している。

 

 流がどんな存在だろうと、了子は新しい道を選べて弦十郎と幸せに暮らせているので転生者に対して何も言うことは無い。息子なのだからそれで迫害されるようなことがあれば本気を出す気でもいる。

 

『テレパスの要領で頭に直接、シンフォギアの改修計画を送るから、そちらのシンフォギアは頼むわよ』

『分かりまし、きゃああああああああ!! 頭がああああ!!』

 

 計画書の情報を一気に頭の中に送り込まれたので、エルフナインはその場で悶絶することになった。

 

 

 **********

 

 

「局長、あのまま行けばシンフォギアもバルベルデドキュメントも破壊できました」

「そうよ。猶予をくれたからよかったけど、下手こいたら私達が黄金になっていたのよ?」

「バルベルデドキュメントは破壊できたけど、シンフォギアは結局一つも破壊出来ずに回収されたワケダ」

 

 サンジェルマン達が拠点にしている部屋に、アダムが訪れていた。ティキは沢山構ってから来たので、ここにはいない。

 

「……まだあったみたいだ、只人への慢心が。忘れ形見だった、あれは彼女の。犯してしまったよ、僕はミスを……本当にすまないと思っている」

 

 アダムは真面目な顔をして、帽子を手に取り、サンジェルマン達三人に()()()()()

 

「え? あのアダムが頭を下げてるんだけど!?」

「明日はカエルが降ってくるワケダ」

「……」

 

 当然カリオストロとプレラーティは驚きのあまり、動きが止まっているが、カリオストロがその姿を写真で撮ろうとするとアダムは頭をあげた。

 

「しっかり報告するとしよう、次からの襲撃はね」

「局長が自ら何度も出るのですか?」

「そうだよ。許しておくれ、君達の邪魔にならないようにするからさ。シンフォギアに関しては、サンジェルマン達にもお願いしようか……神の具現化も同時進行でね」

 

 アダムはそれだけ言うと、指パッチンをして、どこかへテレポートした。

 

「ねえ、アダムが全然アダムっぽくないんだけど、何あれ?」

「まるで無能に見えなかったワケダ……失敗したからどちらにしろ無能なワケダが」

「古傷を抉られてしまったのでしょう。私達は私たちで動きましょう。ちょうどバルベルデでいい物が手に入ったことですしね」

 

 サンジェルマンの視界の先には、龍の首がいくつもついている杖があった。

 

 

 

 

 

「……侮り過ぎていた。彼女自身ではないからと、彼女の忘れ形見を。駄目だね、やっぱり……捨て去らないと、自分が頂点であるという考えを……フィーネのおかげで理解出来たこの考えを!!」

 

 ティキの眠る姿を見て、昔のあることを思い出してしまったアダムは、持っていた本を握りつぶし、怒りをなんとか沈めていた。




フィーネならこれくらい想像できるよね? だからこそアダム達はずっと潜伏してたわけだし。

あとこの作品では、響の襲撃回数が下がり、愚者の石がでる前に393ビーム浴びたので石がない。だからこその新改修だったけど、なんか既視感ある感じになってしまった。

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