戦姫絶拳シンフォギアF   作:病んでるくらいが一番

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マリアさんは客観的に見れてしまう立場だったから、こう動いてたけど書いてて辛い。それでも書くけど。

あと前話にてファラの動きの説明のところがファラではなくレイアとご表記してました。レイアがプロトデュランダルもちながらコイン撃ってる事になってましたすみません。


#93『再誕と新生?』

『本当に済まなかった……え? 守ってやってたのに、侵食って言うとか頭が逝ってる? あははは、いきなり腕がデュランダルになっちゃったら、そりゃ疑うだろ……更に杖を融合するとか死ね? 無理です』

「…………えっと、流」

『ん?』

「一般人からしたら、何も無いところに話しかける人は避けるべき対象だし、ノイズに語りかけるのは狂人以外の何者でもない。ここでならいいけど、()()()()()()()()()()()()()()のはやめておいた方がいいよ」

 

 

 流はただのモブであった時に両親を失った。そのあと弦十郎と緒川と了子によって力や知識、性根、考え方まで大きく変えられたが、それでもモブである事に変わりはなかった。もしモブでなければ好きな女性を犠牲にすることは絶対になかっただろう。

 今回は心が痛み、弱り、自らで精神を閉じてしまった。そんな状態で弦十郎の初期鍛錬レベル……いや、それよりもだいぶおかしい、文字通り殺され続ける鍛錬を続ければどうなるか? もちろん流は()()壊れた。

 

 流はソロモンのいる空間でひたすら、ソロモンの力で作られた人達によって殺され続けた。

 黄金錬成や緑の獅子、ネフィリム・ノヴァとカ・ディンギルに殺された。作り出されたXD響に殺される。翼にクリスに皆に殺される。弦十郎に緒川に了子に殺される。訃堂に八紘に、アニメパワーを手にいれた板場というフィクションにも殺された。

 

 生と死を繰り返していると自分の体と精神についてなんとなく分かるようになり、その時になってようやく少し自分について理解した。

 その理解した時にほかの推察も色々と進んだが、その一つに聖遺物にも弱い意思があるのでは? という考えが芽生えた。

 

「生物型のネフィリムにも本能や思考はあったんだ。なら、他の聖遺物にもあってもいいと思うんだよ。ノイズは元々殺すための兵器、聖遺物ですらなかった()()でも意思を持つようになった。聖遺物って適合できるか出来ないかがあるじゃん? それって聖遺物がその人間と相性が合うかを感じ取って繋がるか決めてるんだと思うんだよね。人間が自分に合うのかではなく聖遺物がその人間と繋がるのかを判断している気がする」

「済まない。私は精神生命体を使役する方の才能しかないから、君みたいにノイズと対話をしたりできないんだよ。まず普通は無機物とは会話しないよ?」

 

 ソロモンがいる空間は流の精神の中であり、しかし流の精神的な空間でもない。ここはソロモン自身が維持しているからこそ、この空間ではソロモンは最強。この空間自体がソロモンのようなものらしい。

 そんな場所で流はソロモンに殺され続けながら、休憩の合間にノイズにやったように、()()()()()()にも語りかけ続けた。

 

 そうしたらいつの間にか冒頭のように何となくデュランダルの思っていることを理解できるようになってきた。ノイズの時もそうだが流は非人類との対話、霊体もそちらにカテゴライズされるようだが、それらと話すことに才能があるようだ。その才の一部は統一言語があるからだろう。

 

 デュランダルが流の右腕になった時、あれはデュランダルの行使のし過ぎで侵食された訳ではなく、デュランダルが流を守るために仕方なく飲み込んだのだとわかった。

 流はカ・ディンギルのパーツとなってカ・ディンギル砲を撃った。あれは割と人間として死んでしまうような行為だったようで、その後のデュランダルとネフシュタンの対消滅で流の体中の成分が決定的にズレた。その時点でデュランダルは色々と補助をしていたらしい。

 

「これも愛か」

 

 ソロモンの杖自体には意思のようなものはなく、ノイズ全体の統括のようなものであることが分かった。指輪にはそういった想いはないがソロモンがそれなのだと思っている。

 

 

 そして冒頭に戻る。

 

「外ではデュランダルとかには話しかけないよ」

「嘘をつくな。霊体二人と平然と話していた狂人の癖に。そんなことはいいんだ、重要な事じゃない。鍛錬を始めるぞ」

「押忍!」

 

 弦十郎の鍛錬は理不尽ではあるが達成出来るギリギリを攻めるものだ。緒川は完璧にカリキュラムを調整し、出来ないことはしない。了子はとりあえずひと通り説明するが当然理解できるものではない。

 そしてこのソロモンの鍛錬は……達成不可能なものしかしない。

 

 鍛錬が始まって数時間、流は()()を零していた。弦十郎達の鍛錬で冗談で弱音を言うことはあれど、本気で弱音を吐くことは無かったのにだ。

 

「マジで設定いい加減にしろ! こんなの無理だから!」

「いやいや、行けるよ……私は無理だけど」

「なんでゾンビ物映画のゾンビの個体数並に、弦十郎父さんを作り出してるんだよ!」

 

 精神体を操ることに長けているソロモンは自分も精神体なので自在に操れる。この空間もソロモンであり、精神体の一部だ。故になんでも出来る。

 リディアン付近の地形を真似て作られたその街の中で流は大量に襲ってくる()()風鳴弦十郎を倒し続けていた。

 

「嘘は良くないね。私だって風鳴弦十郎の精神を再現出来ないから、その強さはだいぶ落ちる……まあ、君の考える最強の風鳴弦十郎を使っているわけで」

「俺の考える最強の父さんは殺意を拳に宿さないか、ら!! 確かに空気蹴りで二段ジャンプとか出来そうとか思ってたけどさ!」

 

 全方位から襲ってくる弦十郎を全ての四肢に頭やお尻、関節も使ってひたすら攻撃を流しつつ、隙を見て攻撃を当て続ける。耐久性だけは下げてあるようでクリーンヒットさえすれば倒したことになるのだが、弦十郎に囲まれているのにそんなもの狙えるわけがなく流は少しずつ押し込まれている。

 

「もし弦十郎を複製するような奴らが現れたらどうする? そいつらが弦十郎の精神性まで引き継がせるわけがない」

「流石にない。てか、そんな事したらママが世界滅ぼしちゃうから……あっ」

 

 ソロモンの言葉に反応していた時、【撃震】を弦十郎の垣根の外から弦十郎にうまく当てられてしまい、流の体が浮いた。

 

「今回も駄目だったね」

「クリアさせる気な……」

 

 流は劣化弦十郎軍団に殴り潰されて死んだ。顔が潰され、四肢が潰され、ミンチになって流は死んだ。数百……いや、数千回目の死亡だ。

 

 ソロモンは流の強さは認めている。だが、あまりにも精神が弱すぎるので唯一の弱点と言ってもいいその精神を鍛えるために殺し続けている。ただし偽の存在でも、装者や弦十郎達を殺さないと終わらないような試練だけは課していない。

 あと流は自分が話せない秘密を話せるようにする努力していないので、そこら辺も殺しながら刷り込んでいく。

 

 

 **********

 

 

「『東京湾にアルカノイズ反応!』」

 

 9月4日。S.O.N.G.の潜水艦と蒸発したのとは別所の風鳴機関にて、東京湾に巨大なアルカノイズ反応を検知した。そのアルカノイズは八つの首を持った龍の様に見える、本当に巨大なアルカノイズだった。

 

「速攻で片付けて流を探しに行くぞ!」

「海上からあんなのが出たら大変」

「あんなものまかり通らせる訳にはいかない」

 

 三人はすぐに出動しようとしたが、了子が一度止めて注意をする。

 

「三人とも、あれは空間閉鎖型と同じような特殊アルカノイズだろうから、気をつけるのよ」

「「はい」」

「おう!」

「あと藤尭は敵がどこかにステルスしてるはずだから、索敵しなさい」

「はい…………巨大アルカノイズの後方上空に、錬金術と現代技術の複合ステルス反応があります!」

「上出来よ」

 

 クリスと調と翼は必要な情報を教えてもらったあと、S.O.N.G.からすぐに出撃。三人はクリスのミサイルに乗って港から飛んで行った。

 

 S.O.N.G.に対して本当に隠れたいのであれば異端技術を掛け合わせたステルスを使わない限り簡単にバレてしまう。現代技術とシンフォギア、現代技術と錬金術、シンフォギアと錬金術の組み合わせなど鴨以外の何者でもない。了子にキャロルが協力して作ったシステムの一つだ。

 

 少し前に昨日のアダムと了子の接点について皆が了子に問い詰めたが、了子自身もカリブの海賊時代にボコったとしか覚えていない。そして了子はイグナイトの対策をしないといけなかったので特にそれ以降聞かれることは無かった。もちろん了子は三人分の改修を終わらせている。

 更に了子は自分の息子が特異災害認定されたことにちょっとだけ、ほんのチョットだけ怒っていた。弦十郎に伝えたら大変なことになるので八紘が直接連絡を取ってきたのだ。了子は弦十郎には言わず撤回させるための案を思案していた。

 

 

 そして風鳴機関の方でも装者達は動き出そうとしていた。

 

「特殊なアルカノイズ……パヴァリアね!」

「でもまだマリアと響さんしか改修が終わってないデスよ!」

 

 こちらの改修は未だ四人分終わっていない。エルフナインは頭にぶち込まれた高度な技術を読み解きながら、知識の譲渡をされてから寝ずの作業している。しかしその知識を熟知している人間と、それを説明書片手に改修している人間との差が出ていた。

 マリアは一番始めに改修をお願いし、次は未来か響という事になった。切歌は一応復帰しているがまだダメージを引きずっているのであまり戦って欲しくないのが現状だ。そして未来か響という選択になったら響の選択を優先する未来が、響の意見を聞いて引いたのでガングニールの改修をしていた。

 ちょうど先程響のガングニールが終わり、未来の神獣鏡を持っていったところだ。

 

「……すみません、お待たせしました! そしてごめんなさい。未来さんが使う神獣鏡は改造前にアラートがなってしまったのでまだ改修に入っていません。なので、イグナイトを使わないシンフォギア運用なら出来ます。切歌さんもそうですけど……」

「私も行くデスよ。この程度……平気へっちゃらデスよ!!」

 

 切歌はまだ体に鈍い重さを感じているが、響を見ながら響のおまじないを口にして力こぶを見せたりしている。別に力こぶは()()()()ない。スポーツで鍛えている女子高生に比べたらあるが、ここにはガチガチに鍛えているマリアと響がいるので、ハードルが上がっている。

 

「……わかりました。ですが、パヴァリア光明結社が現れた時、もし戦うのであれば響さんとマリアさんがメインになって下さい。イグナイトの有無は大きいですので」

「わかったわ。エルフナインもサポートよろしくね?」

「ナスターシャ博士も行ってきます!」

「ええ、私も精一杯補助をさせて頂きますね」

 

 四人は風鳴が用意した軍用ヘリに乗り、現場へと急行した。

 

 

 先に現場到着したのはクリス達だったが、その後すぐにマリア達も現地上空に現れた。

 

 クリスはマリア達、特にマリアを許した訳では無い。しかも事情は知らないが自分たちで監視しているわけではなくあの風鳴に渡したのだ。了子は大丈夫だと言っているし、その点は信じている。だが何度も言う、許してはいない。

 

「あれはマリア達か」

「切ちゃんもいる」

 

 クリスが三つのミサイルを操りながら、巨大な龍のノイズ以外を殲滅している時に、上空のヘリから飛び降りた他の装者が見えた。

 

「……先輩達はあの巨大なのを頼む」

「待て雪音。何をする気だ!」

「この怒りはここでぶつけておかないと、きっとのち後まで残る遺恨になっちまう。例えどんな理由があっても、あたしは今マリアは信じねえ。あれは敵だ!」

 

 翼はクリスの目を見て、過去の奏を失った怒りを流に向けていた自分に近いと感じた。

 

「……わかった。私達があのアルカノイズを仕留めている間だけ、お前達の争いを見逃す」

「いいの!?」

「怒りはその場で解消すれば良い。だが、恨みは心に残り、その人の心まで傷つけてしまう。未だ怒りであるのであればそれを解消させてやった方がいい」

「怒りと恨み……。わかった、こっちは任せて」

「すまない二人共」

 

 マリアだけ別ポイントに着地しようとしているので、クリスはそちらにミサイルを向かわせた。翼と調のミサイルは他の三人が着地しようとしている場所へと向かわせる。

 

「……マリアァァァッ! 流を返せええええ!!」

「まだ証明できてないから無理よ!」

「なら奪い返す!!」

 

 上空から落ちてきたクリスはギアをロングバレルにして、それをマリアに叩きつける。マリアは【SERE†NADE】の大剣を展開し、クリスの攻撃を迎撃した。

 

 マリアはヘリに乗っている時、数分でいいから、皆から少し離れたところに行かせてほしいと言った。自分が対ラピスを施されているのはわかっているが、皆といれば乱戦になってしまうかもしれなかったからだ。

 ここでマリア達は出撃すれば確実にS.O.N.G.とかち合い、最低でもクリスに、最大だと三人に襲撃されると予想をしていた。自分が三人襲われれば切歌は助けに来てしまうだろうし、響も助けに動いてしまう。そうすると、アルカノイズの殲滅が遅くなってしまうのでお願いをした。

 

 クリスはすぐにギアを戻して銃近接戦闘術であるガン=カタを、マリアは片手は銀の拳でもう片方でナイフを持ち、クリスの攻撃を受け流していく。

 

「なんで流を攫ったのか言え!」

「……流はパヴァリアと内通している疑いを掛けられているの」

「は? ()()()()でマリアは流を風鳴に売ったのか?」

「売ってなんかない! 流が他からの干渉を受けないために……」

「ふっざけんなよ! お前は流の伸ばした手を振り払ったんだ、返せよ!」

 

 クリスはその言葉と共にマリアの拳を振り払い、顔面を思いっきりぶん殴った。よろける程度だったがマリアは思いが吹き出した。

 

「彼は何も教えてくれないじゃない! なんであなたや翼は彼を無条件で信じられるのよ!」

「もしかしてあれか? 流は何も教えないから、自分達を信じてないんじゃとか思ってるのか。お前さ、流はあたし達の内誰かが死んだら、きっと死んじまうくらい()()んだよ。悲しむじゃないぞ? 多分死ぬ。自殺とかではなくて、心が死んでから体が死ぬ」

「……え?」

 

 近接戦闘ならマリアが非常に有利のはずなのだが、会話に気を取られてマリアは少なくない頻度の攻撃が被弾している。

 

「流は自分の利用価値? とかそこら辺を常に考えてて、私達の役に立てないと感じたら、簡単に頭がおかしくなっちまうくらい実際は弱いんだよ。それすら分かってないのか? 先輩と調は多分わかってるぞ」

 

 ふと響が流を誘拐した日、流をとてつもなく心配していた。このままでは流が死んでしまうのではないか? というくらい思い詰めていた。

 

「……なら、今流は」

「ヘタしたら死ぬな。もしそうだったらあたしはマリアを殺すけど……それは了子がないって言っているから大丈夫だけど、な!」

 

 マリアは動きが完全に止まってしまい、頬にクリーンヒットを貰った。

 

 

 **********

 

 

 ちょうどアルカノイズ反応が検知され、装者達が出発した時、ある女性が風鳴宗家の本邸にいた。

 

「えっと、確かここの壁を超えてダッシュすれば、流の下へ一直線だっけか?……流の体と違って、胸重すぎるだろ。まあ、こんくらいあった方が流は好きだからいいけどさ……いや、やっぱり翼くらいのサイズに調整してもらうべきだったか?」

 

 黒いローブを着て朱色の髪がローブのフードから出ている女性が独り言をブツブツ言っていた。

 

「にしても、日本家屋の外壁を無理やり登って中に入るなんて小学生くらいの時以来だな。あれ以降は流が鍵を預けてくれたし……ああ、早く翼に会いたい。その前に呪いをどうにかしねえといけねえんだったな」

 

 まるで()()()()()()()()()で、外壁を飛び越えた女性はそのまま足音や気配を完全に消し……たまに気配や足音を出しながら目的の建物に入った。

 

「胸マジで邪魔なんだけど、何これ? こんなんだったっけ? よくこんな邪魔な肉をつけて戦ってたわ」

 

 どうやら隠密が所々おかしかったのは下着で抑えている胸が動いてバランスが崩れていたせいのようだ。

 その建物はとても入り組んでいるが迷うこと無く進んでいく。

 

「物理的にすり抜けできないって面倒だな……っと、ここか」

 

 日本家屋の外装に反して、その女性の前にある扉は厳重な金庫もかくやという扉だった。その女性はぶっ壊すか考えている時、何となく押してみたら普通に開いた。

 

「……ん? 駄目だよここには勝手に入ってきちゃ。どこの家の子だい?」

「赤毛の家なんてあったか?」

「まあ、ここには嬢ちゃんの目的のものは無いだろうから出ていきなさい。報告はしないから」

 

 まるで武術を嗜んでいるかのように和装が似合い、体も逞しいお爺さん世代の人達がその女性に優しく注意をした。

 そのお爺さん達は牢屋の前で畳を持ってきてちゃぶ台を置き、将棋をやっていたのかちょうど将棋盤が置かれている。暇つぶしが必要な程度には監視をする気でいるのだろう。

 

「いや、あたしは……あれ? 何でそれがそこにあるのさ」

 

 その女性はちゃぶ台の真横に瞬間的に移動し、ちゃぶ台の横に置いてあった丈夫そうな透明な箱に入っている、ペンダントを取り出した。

 取り出して出てくるであろう存在に警戒していたが、どうやら流との繋がりが切れてしまっているようだ。

 

「ちょいちょい。駄目だって、なんで嬢ちゃんくらいの年の子が飛騨忍軍の技を使えるか知らないけど、それは流の小僧の物だから」

「……なんだ。あんたらは流を守っていてくれたのか。ならあんがと、もう大丈夫だから。あたしは流を解放しに来たんだし」

 

 その言葉を受けてお爺さん達は奏から少しだけ離れた。

 

「あの嬢ちゃんは切歌ちゃんのお友達かね?」

「切歌ちゃんはあのアホ小僧を守ってとは言ってたけど、解放に来た人を邪魔しろなんてお願いしてきてないよな?」

「しかも小僧の事情を知ってるっぽいし」

 

 少し離れたところで話しているがまるで聞こえるように話しているお爺さん達の言葉を聞いた女性は色々理解した。

 切歌は2ヶ月の修行の時に様々な武器の達人たちの稽古を受けて娘のようにかわいがってもらったと言っていた。その人たちは日本でも結構な名家であり、切歌のお願いを聞いて流の監視を受け、他の奴らが流に変なことをしない様にここにいたのだろう

 

「あたしはシンフォギア装者だぞ」

「……あんれ? でも風鳴に居てくれていたシンフォギア装者はみんな行ってるよな?」

「S.O.N.G.の装者はあの八つ首の龍のアルカノイズを倒しに行っているはずだし」

「名前と顔を出すのは勘弁な。これ以上やると流が死んじまう」

「そりゃ駄目だわ。切歌ちゃんの約束を違えることになっちまう……あれやれあれ」

 

 ローブの奥から見えたその女性の笑顔に絆されたのかお爺さん達は何かをし始めた。

 

「やっべ! 牢屋の鍵をどっかに落とした!」

 

 そう言いながらお爺さんは鍵を奏の足元に投げた。他の三人も探しているようなポーズを取り出した。

 

「何から何まで助かる。また今度飯でも作りに来るよ……流が」

「小僧の料理なんて要らねえから!」

 

 女性は鍵を使って開けて中に入っていき、拘束されている流の前に膝をつく。お爺さん達は空気を読んだのか部屋から出ていった。

 

「……泣いてる場合じゃないだろあたし。うっし! 流、迎えに来たぞ」

 

 流の肩を軽く叩いてその女性は流を優しく起こそうとした。だが、流は起きない。

 流は今、ネフシュタンフィーネとネフィリム軍団と呪いの譜面完成後大人キャロルとソロモンとあの場所で戦っているのだ。気がつくわけがない。

 

「……流、おーい。流、流! おい、なんで優しく起こしてやってんのに起きねえんだよ!」

 

 どれだけ呼びかけても流は起きない。その女性は青筋を立てて、一度流を拘束している拘束具を全て外してから流を仰向けにする。

 この部屋にお爺さん達がいないのを確認してから拳に力を込める。

 

「天羽奏が起こしに来てやったって言ってんだろ! 起きろ! 馬鹿流!!」

「ゲフッ!!」

 

 流は全身デュランダルなのに奏の拳がモロめり込み、流は久しく忘れていた生身の体の痛みで目を覚ましてからあまりの痛みに気絶した。




切歌が取った手段は修行の時に仲良くなった爺ちゃん達に頼むことでした。他人は信じられなくなってきているけど、2ヶ月の修行の時のやり取りは嘘ではありませんからね。

あと奏さんとうとう復活。サブタイトルを復活のGとか復活のガングニールにしようとしたけど、前者はドラゴンボールと被っていたのに気がついた。

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