戦姫絶唱シンフォギア 外伝 ~いつか空駆けるその日まで~ 作:チョコ明太子味
恒例のクリスちゃんいじめから怪傑うたずきんの歌を歌うまでに何があるんだ……。
あとマリアさんの歌カッコいい。
「風鳴司令。昨日の1件についてですが……」
超常災害対策機動部タスクフォース。国連直下の組織となった特異災害対策機動部二課。通称S.O.N.Gの作戦本部にて藤尭朔也が、司令である風鳴弦十郎にまとめた情報をディスプレイに表示させながら説明する。
「はっきり言って謎の少女を襲っていた兵器は通常の機械兵装ではありま せん」
ハウンドと呼称された金属片の解析データを表示させて、藤尭は改めて口を開いた。
「自立動作をしていた割には、命令系統に当たる部品が……いえ、それを 言うならば体内にコードの切れ端の一つすら確認することができません でした。おそらく物体呼称《ハウンド》は金属でできた生物のようなも のではないかとの推測がされています」
「つまりは聖遺物によって動かされたものだと?」
「まだ断定はできません。科学以外の技術によって動いていたことは間 違いないと思われます」
「全く、こんな時期に厄介ごとなんて……。翼ちゃんと緒川さんは米国で の準備に大忙しですし、元FISメンバーの司法取引も長引いてしまって いるのに……」
S.O.N.G所属である友里あおいが思わず愚痴をこぼす。
「マリアさんの方はもうすぐケリがつきそうって話ですけどね」
「今のところ動ける奏者は響君とクリス君だけというわけか。奏者二人だ けで修めることのできる規模の事件だといいんだが……どうにもきな臭 い。よし、ハウンドを操っていたと思われる人物。あるいは団体につい て徹底的に調べるぞ!響君とクリス君に一連の出来事の情報を共有する のも忘れるな!」
「「「「了解!」」」」
にわかに騒がしくなるS.O.N.G本部で、弦十郎は僅かに走った嫌な予感に対して、わずかに眉をしかめた。
●
「んっ……う」
水面に浮上するかのような感覚と共に、カケルの家に運び込まれた少女は目を覚ました。
胡乱とした思考のまま、彼女は天井を見上げ続ける。
「ここは……一体……」
「やっと目が覚めたのか」
突然頭上から聞こえてきた声に反応してとっさに起き上がろうとするが、寝起きの体は脳からの命令に答えることはできなかったようで到底無理だったようで、わずかに上半身を浮き上がらせただけで再び枕の上に頭を落としてしまう。
「全く……まさか半日も寝込むなんてな」
おかげで学校を休む羽目になったじゃないか、と寝込んでいる少女に向かって愚痴をいう少年の姿はお世辞にもかっこいいものではなかった。
「ここはどこだ……」
「俺の家だよ。安心しろ。あんたを匿おうとかそういったことじゃない」
「……?」
「その傷とカメラの中をみたらあんたが厄介者だってことは分かるからな。とりあえず元気になったらさっさとこの家から……」
少女はカケルの言葉と共に、散らかされているカバンの中身を見とがめると今度こそすっくと起き上がった。
「ん?なんだ元気じゃな……っておわ!?」
言葉の途中に掴みかかってきた少女に危うくバランスを崩される。
なんとか体の重心移動の応用で体を抑え込まれそうになるのをとっさに足を踏ん張ることで防ぐが、完全に少女と密着した状態になってしまった。
「お前、カメラの中を見たのか。どこまで見た?」
「どこまでって……大体全部は……」
「そうか」
そういうと少女は大きくため息をつき、荷物を軽くまとめ始めた。
「あの、さ。そのカメラの中にあった管だらけの女の子は……」
「すまないな」
いきなり少女の口から放たれた言葉に、カケルが口に出そうとしていた言葉の続きが打ち消される。
「すまない……って?」
「お前を無事に返すわけにはいかなくなった」
少女は手を下に掲げると、床の上に幾何学的な模様が浮かび上がった。
わずかに漏れた光を見とがめた時には、その場所から飛びのこうとしていたカケルだったが、その行為は全身に伸し掛かる重圧によって押しとどめられた。
「う……おも……」
「一緒についてきてもらうぞ」
声に感情を乗せないまま、少女はカケルと共にその場から消え去った。
●
――――光が 見えた。
●
「いってて……」
こめかみのあたりから走る鈍痛に顔をしかめつつ、こわばった瞼を無理やりに開く。
未だぼやけたままの視界で、周囲を確認する。
少なくとも、そこが自分の部屋ではないことだえは分かった。
なにせじめじめしている。
ぴちょんぴちょんと水滴の落ちる音さえ聞こえるのだから、それは確実だろう。
「起きたのか」
後ろから聞こえたその声に振り向くと、無理やりに口の中に何かを入れられた。
味覚はそれをお粥だと訴えている。
どろどろに炊いただけのソレに、魚のフレークを掛けただけの料理としては正直に言ってナンセンスなものだ。
「ほほはどこなんだ」
「私の隠れ家……。失礼、誇張が過ぎたな。一時的に落ち延びた先と言う所か」
「あのさ……。命の恩人にこんなことするとか正直に言って頭おかしいん じゃないのかあんた」
あと眼鏡を返してくれ、と言うカケルにおもわず少女は溜息をついた。
「勝手に荷物を盗み見て、そのまま家を追い出そうとしていたくせによく そこまで言えるものだな」
「こんなことになるって分かってたら、こんな事してなかったよ」
「なら、自分の思慮のなさを悔いることだな」
あと、伊達眼鏡はお前の家に置いたままだから諦めろ、と少女は言う。
「なにも殺そうというわけじゃない。私が事をなすまで私の目の届くところにいてもらうだけだ」
「……厄介ごとなんだよな?」
カメラの中に入っていた画像の数々を思い浮かべながらそう聞くと、少女は頷いた。
とんでも厄介ごとはごめんだってのにさ……。
「それで、その事をなすのっていつなんだよ」
「今日だ」
「はっ……聞いてないぞ!」
「言ってないからな」
喚きだそうとしたカケルを、まあ待てと落ち着かせる。
「この国の国家機関は優秀でな。私が相手どろうとしていた組織を今日あたりに叩くことはもう調べがついている」
「用意がいいんだな」
「でなければ、もう死んでいる命だ」
あまりぞっとしないことを言いながら、少女はさらに言葉を紡いだ。
「そこで私たち二人はそれに便乗する形で奴らを後ろから叩く」
「勝手に俺を頭数に入れないでくれないかな……」
「囮には使えるだろう?まあ待て。もうそろそろ効いてくる」
なにが……と聞こうとした瞬間、体の奥のほうで何かが動くような痛みに襲われた。
「カッ……」」
その感覚は体の奥からどんどんと広がっていき、やがて器官が一つ増えたような違和感をカケルに植え付けた。
「ずっ……これ……は?」
「術式『ワルプルギスの夜』だよ。まあ基本的な近代魔術の一種だ。さすがに生身の人間のまま連れていくほど鬼じゃない」
「ばか……、素人を危険なところに連れて行くだけでもよっぽど鬼畜だよ……」
ふと腕を見ると、直線的な赤の模様が左手を覆っていた。
それは二の腕まで届いているようで、ほかの部位には広がってないようだった。
顔に広がっているかは鏡がないので確認しようがない。
まあ、広がっていないことを期待しよう。
「なら、さっさと動くとしよう。これでも焦ってるんだ」
「まて……待て。まだあんたの名前を聞いてない。いつまでもあんただと困るだろ」
「まあ、そうか。ならそうだな。アレイスターとでも呼べばいい」
「明らかに偽名な件について申しても?」
「却下だ。時間がないと言っただろう」
すたすた、と自分の前を歩いていくアレイスターに置いていかれないようにカケルも足をすすめる。
「で、目的地は?またへんてこ魔法陣で飛んでいくのか?」
「……その言いようについての矯正はしないでおこうか。まあ、その質問には否と答えよう。転移術式を使う意味はない。目的地は」
そのまま、スッと真上を指す。
「おい、まさか」
「言っただろう?一時的に落ち延びた先だとな。ここは私を襲った敵の根城の一端、その真下」
反政府組織にして、反近代魔術組織。ダイモーンの研究施設だよ。
少女は。
少女は何でもない事のようにそう言った。
錬金術は魔術と同系統だったりする作品も多いけれど、チョコ明太子のシンフォギア次元では一応別物。
魔術<錬金術(超科学)というパワーバランスになっていて、錬金術が魔術を少し取り込み始めているという話。
ダイモーンという単語が出ていて、鋭い人とかは気づいたと思うけれど、敵はギリシャの古魔術組織。アレイスターと名乗る少女はその名前の通り使っているのは近代魔術のウィッチクラフトなわけで。
そこらへんの補足は次回。もっと詳しい説明は後々やりたいです。
次回は主人公と相棒の出会い。
ヒロイン?ヒロインは2.5期の間の出番はあまりないのさ。
プリズマ☆イリヤ劇場版並みの影の薄さかも。
追記 編集完了