ガノトトス希少種保護譚:マーキ・パラオの解脱   作:fuki

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● 二頭目、追跡中 パート2

 “エリア4”へ降りる時は、崖から飛び出した木の根を伝ったが、今度は水の流れる普通の山道を登ることになる。曲がりくねってはいるけど、それなりに広い道だから、ガノスもちゃんとついてこられた。

「次の立ち回り、変える必要があるな」

「なんでだ? さっきみたいにオレが、レイアを抑えこんでればいいんだろ?」

「無理だな。もうレイアには、こいつの危険性が伝わっちまったさ」

「ああ……それもそうか」

 マーキが指さしたのは、誰あろう、オレたちの連れであり三人目の仲間(?)であるガノスだった。

 虹色の水玉の爆発は、レイアの炎ブレスを無効化した上に、直接的な破壊力さえもつ攻撃なんだ。しかもそれはタイムラグもなく、ガノス側のリソースもそんなに食うでもなく打てるらしい。レイアがどれだけ把握しているか分からないけど、脅威と思われるのが自然だろう。

「それに今は、“エリア2”みたいな広い場所は少ないからな」

 それもそうだ。レイアは泳げないそうだから、雨期で移動可能なエリアは狭い場所に限定されてしまう。

「っていうと、ガノスとレイアが接近した状態で狩りをする必要があるんだな。どうやってガスを無効化する?」

 今のところ、それが可能なのは虹色の水玉の爆発だけど、それをガノスに常に狙ってもらうのは――

「――無理だろうなあ」

「だな。“太刀の大剣も太刀の中”だよな」

 マーキも似たようなことを思ったのか、オレに同意した。

 ……同意した?

「なあ、その格言っぽいの、なんだ?」

「ああ……いや、もう通じないか」

 オレが問い返すと、マーキは汚れたヒゲを袖で拭って笑った。

 なんだろう。遥か昔に流行った言い回しか?

 でもマーキは説明する気がなさそうだし、まあいいか。

「作戦は、レイアにブレスを噴かせない、だ。レシオはガノスを護ってくれ。オレがあいつの正面に張り付いて、顔面を攻める」

「それしかないか……」

 自分が貢献できないかもしれないことを若干残念に思っていると、マーキはオレのバックパックを叩いた。

「今度はオレのターンだ。お前はのんびりしてろ」

「お、おう……」

 そこで会話は途切れ、オレたちは黙々と山を登る。

 昨日の夜のことは、あの後、一度も話していない。

 でも、それでいいと思ってる。

 お互いどんな事情があっても、こうやって狩りを進められるなら。

 ……あ、いやいや、まだ話しておきたいことはあったんだ。

「なあマーキ、オレの戦い方、あれでよかったのか?」

「ああ、想定通りだぜ。お前がレイアを引きつけて――」

「――違う違う、そこじゃなくて――」

 『今を見ろ』って。

 マーキは首を傾げただけだった。

 でもその反応から、特に問題がなかったことは分かる。

「――ああいや、いいや、うん。変なこと言って悪かった」

「ん? ああ……」

 釈然としないマーキを残し、オレは顔を前に向ける。

 大丈夫だ。オレはちゃんと動けてた。

 レイアの戦闘における情報は皆無だったけど、さっきの立ち回りから弱点が腹だってことは分かったし、そこから、外敵に腹を見せることを想定していないなら、レイアが“飛竜種”の中でも飛ぶことを苦手とする種類の生物だと想像できる。

 なら気を付けるべきは、広範囲を焼き払う炎ブレス、直線的な火球、突進、そして直接の接触だけだろう。

 マーキには問題ないだろうし、オレが戦うことになっても、もう問題はない。

「もうすぐ“エリア7”だぞ。なんかあるなら、今のうちに言っておけ」

 マーキの言葉で、見覚えのある泥の壁に気付いた。ここを大きく左に曲がれば“エリア7”だ。

「別に大丈夫だぜ。オレたちならちゃんと、レイアを狩れるさ」

「……そうだな」

 マーキはかすかに頷いた。

 そしてオレたちは揃って最後の曲がり角を曲がり、レイアを討伐せんと“エリア7”に入り――

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