仮面ライダーDRAGOON 赤龍帝で仮面ライダー   作:名もなきA・弐

16 / 22
 新章への前に、幕間のお話です。
 イッセーが婚約会場で殴りこんでリアスにキスをされているころ、出番のなかったネオストラサイドは何をしていたのかが分かります。
 そして、三人目の仮面ライダーが登場します。それでは、どうぞ。

(※)ハーデス戦があまりにも一方的過ぎたので少しばかり編集しました、大変申し訳ありません。


HERAT11,5  I'm a 仮面ライダー

イッセーが婚約会場に乗り込んだ同時刻、『冥府』には招かれざる客の存在によって蹂躙されていた。

ここは冥界の地下深く…謂わば下層に位置するそこは死者の魂が選別される最も平等な場所でありギリシャ勢力の神ある神が統治する世界である。

本来ならば、誰も踏み入れない危険な地域に踏み込む者がいた。

 

『く、くそ…!!』

『邪魔じゃ』

 

人々から「死神」と飛ばれる存在(グリム・リッパー)は目の前の侵入者を撃退しようと武器を振り下ろし、ダークグリーンに白い骸骨の装飾が施された異形…『マンティス・ネオストラ』の身体を切り裂くがその攻撃は吸収されてしまう。

面倒そうにマンティスは自身の得物である大鎌を振るって死神の胴体を真っ二つにして消滅させる。

同時に彼の振るった斬撃は衝撃波となり、周囲にいた死神たちも一掃する。

自分たちの攻撃が通用せず、難なく道を進む一人とマンティスに彼らにも動揺が走る。

しかし、行く手を阻むように今までの死神よりも装飾が多い上級死神が現れる。

 

『ここから先へは…』

「どいてくれ」

 

何かを言うよりも早く、黒いロングコートに黒髪をオールバックにした長身の青年が上級死神を一瞬で地面に叩きつける。

子どものように下した目の前の青年に流石の死神たちも戦慄し、後ずさってしまう。

そんな彼らの様子に気にすることもなく青年はマンティスを連れて神殿の最奥へと進む。

そして、扉が開かれた。

 

『貴様か?私の領地に土足で踏み込んだ人間は…』

 

そこにいたのは司祭の着るような祭服に身を包み、頭部にミトラを被っている骸骨…ギリシアの三大神の一柱で、死を司る神『ハーデス』は不気味な眼光を放ちながら、青年を睨みつける。

ギリシア勢力中最強の神である彼が放つ殺気は、並みの者はおろか相当の実力者であってもその殺気に推されてしまうだろう。

 

「初めまして、冥府の神。俺はホッパー……こっちはマンティス」

『かか。数こそ違うが同じ年寄り同士、今後ともよろしく頼むぞ』

 

しかしそれを気にすることなく青年…『ホッパー』は穏やかに微笑んで恭しく自己紹介をすると、隣にいたマンティスは楽しそうに笑う。

 

『それで、こんなところに何用だ。生憎と私は貴様らを相手にするほど暇ではないのでな』

「簡単な話だ。ここを俺たちの支配下に置く」

『…どういう意味じゃ?』

「聞こえなかったのか?俺たちは、ここを、支配しに来た」

 

目を細めて問い掛けるハーデスに、ホッパーは淡々と事実を語る。

その言葉の意味が分かったのか周囲にいた死神たちは嘲笑い、ハーデスは興味深そうに彼らを見る。

 

『ファファファ…中々面白いことを口にする。ここを支配下に置くだと?とんだ大ボラを吹く人間もいたものだ』

『思い上がるのも大概にせい、ニンゲン。我が王がわざわざ出向いたにも関わらず茶の一つすら出さない…傲慢にも程があるのう」

 

楽しそうに笑うハーデスに対し、冷たい言葉を浴びせたのはマンティスだ。

鋭い視線と殺気を死神たちにぶつけて彼らの嘲笑を黙らせる。

しかしそれでも目の前にいる冥府の神の余裕は変わらない。

 

『やれやれ。こちらは穏便に済ませるつもりだったが…致し方ない、「プルート」』

 

彼の言葉と共に現れたのは装飾が施されたローブに身を包み、道化師が被るような仮面を装着した死神…ハーデスの腹心であり伝説の最上級死神のプルートだ。

敵対姿勢を取るプルートと死神たちにため息を吐いたホッパーはコートからある物を取り出した。

 

「そこまで言うなら、遊んでやる」

 

そう言ってホッパーはインフェクションドライバー腹部に軽く当てると、そこから伸びたベルトが完全に固定する。

 

【BREAKING HAZARD!? BREAKING HAZARD!?…♪】

 

低く重苦しい待機音声を鳴り響かせながら彼はドライバーモードとなったインフェクションドライバーの下部にあるホルダーに…ダークグリーンの『ハートバッテリー』をセットしてインジェクタースイッチを押した。

 

「変身」

【BUGRIALIZE…! WIND KICK! WIND PUNCHI! GUREEN HOPPER~!!♪】

 

音声の後、軽快な音楽と歌が鳴り響くとホッパーの身体に紫色のラインが入った黒いスーツが覆われ、銃声と共に紫色のエネルギー弾が胴体を撃ち抜いた途端…ダークグリーンの装甲が彼を覆い、赤いマフラーが出現した。

その姿はイッセーのドラグーンとは姿こそ違ったがアニメキャラのような凶悪な赤い瞳で周囲を睨む姿はまさに……。

 

「『仮面ライダーオルタ グリーンホッパーハート』……バトル・スタートだ!」

 

宣言したオルタはバッタの跳躍力でプルートの間合いに入り、一瞬で距離を詰めた彼は思い切り殴る。

 

「せいっ!はっ!!」

『これしきの攻撃で…!!』

 

突然姿を変えた彼に、動揺するも冷静さを取り戻したプルートは黒い色の刀身の鎌で応戦し引き裂こうとするがオルタはそれを掌底で捌き、逆に殴り飛ばす。

 

【BYU・BYU-N…!!】

「ふんっ!!」

 

インジェクタースイッチを再度押し込んで右の拳に紫色の暴風を纏ったオルタはプルートの鳩尾目掛けて拳を打ち込む。

凄まじいほどの一撃を受けたプルートは防御すらも出来ずにそのまま吹き飛ばされてしまう。

 

【ZU・BYU-N…!】

『この…ぐはっ!?』

 

追撃するようにインフェクションドライバーを右腕にセットしてブレスモードにしたオルタはその右腕で連続パンチと同時に零距離射撃を行う。

そこから更に渾身の一撃を受けたプルートは数十メートルぐらい吹っ飛び、地面を転がり続けた。

その一方でマンティスは迫りくる下級・上級の死神たちを大鎌で斬り裂いて消滅させており戦況は完全にオルタたちの方へと傾いていた。

 

「まず一人…」

【CURSE OF DEATH! GREEN HOPPER…!!】

『う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!』

 

再度インフェクションドライバーを腹部にセットした彼は上部のボタンを押してからインジェクタースイッチを押す。

満身創痍となりながらも、立ち上がったプルートは雄叫びと共に鎌を振るうが胴体目掛けて鋭いキックを叩き込んだ。

カウンターと強烈な一撃を叩き込まれたプルートはそのまま宙に吹き飛び、地面へと落ちた彼はそのまま立ち上がろうとするが……。

 

『ぐっ、ああああああああああああああああっっっ!!!!』

 

オルタがマフラーを翻しながら後ろを向いた途端、彼は悲鳴と紫色の爆風と共に爆散する。

伝説の最上級死神が難なく倒されたことにマンティスと交戦していた周囲の死神たちがざわめく。

無理もない、彼の変身した姿にこそ驚いたがこけおどしだと思っていた彼らにとってこの結果は到底信じられることではない。

その結果を黙って見つめていたハーデスをオルタが睨む。

 

「次は貴様だ、愚かしいニンゲン」

 

ドライバーを腹部にセットし底冷えするほどの冷たい声で呟いたオルタは、黒いハートバッテリーをグリーンホッパーバッテリーと入れ替えるようにホルダーへセットする。

 

【BREAKING HAZARD!? BREAKING HAZARD!?…♪】

「ハザードレベルB…」

 

待機音声が鳴り響く中、オルタはブラックホッパーバッテリーのインジェクタースイッチを押した。

 

【BUGRIALIZE…! WARNING WARNING! DEADLY WEAPON! BLACK HOPPER!!♪】

 

ダークグリーンの装甲が外れ、アンダースーツとなったオルタの額にソードが突き刺さると黒く重厚な甲冑が纏わりつく。

『仮面ライダーオルタ ブラックホッパーハート』となった瞬間、左腕に装備を変えたインフェクションドライバーでハーデスへと殴りかかる。

 

『ファファファ…いくら姿を変えようと…』

【GYU・IN SWORD!!】

『っ!?』

 

間合いを詰めたオルタがチェーンソーと西洋剣を組み合わせた武器…『ギュインソード』を召喚したと同時に振るう。

袈裟切りにされたハーデスは黒い煙を放出しながらも自身の力を振るおうとするが…。

 

『…っ!?なぜだ、なぜ力が発揮出来んっ!!』

「当然だ、俺たち『ネオストラ』は貴様らニンゲンの全てを吸収す……ぐっ!!」

 

動揺するハーデスにオルタがそう言い捨てようとした瞬間、身体中から火花を散らしてその場に膝をつく。

 

「はぁっ!はぁっ!!……くっ(曲がりなりにも神…完全には吸収出来ないか…!!)」

 

身体に走る激痛にオルタは荒い息を吐く。

ネオストラには異能を吸収する能力がある…それは神の力すらも吸収することが出来るのだが当然、限界値が存在する。

ハーデスはギリシアの三大神の一柱…その力は強大であると同時にネオストラにとっての毒でもある。

膝をついた彼を見て余裕を取り戻したのかハーデスは最後の警告をする。

 

『どうやら、貴様の力も万能ではないようだな…面白い物を見せてくれた褒美として、今なら見逃してやる』

 

興味もなくなったのか彼はオルタに背中を見せて玉座へ座ろうとするが…。

 

「ふざ、けるな…」

 

オルタがギュインソードを杖代わりにして立ち上がったのだ。

しかし、その身体は震えておりもう一撃を受けたら倒れてしまいなほどの姿を見て「やれやれ」と言わんばかりにため息を吐いた。

 

「ぐっ、あぁっ…!!?」

『頑張ったが…ここで終わりだ、未知の生命体』

 

そう冷たく宣告したハーデスは距離を詰めてオルタの首を掴み締め上げる。

地に足がつかないほど吊るされた彼はどうにか逃れようとするがハーデスの力に抵抗することも出来ない…。

やがて、オルタは手足を投げ出して動かなくなった。

完全に意識がなくなったのを確信したハーデスが力を緩めた時だった。

 

【ZU・BYU-N…!】

『ぐがあああああああああああああっっ!!?』

 

左腕に装備したインフェクションドライバーを骸骨の頭部目掛けて発砲したのだ。

急所を突然攻撃されたハーデスは手を離してしまい、解放されたオルタは何度も咳き込む。

 

『目が、私の目がぁぁぁぁぁ…!!』

「ゲホッ!神を名乗るなら、きちんと敵を仕留めるんだな…!!」

 

視力を潰され、煙を上げる頭部を抑えながら呻くハーデスに対してオルタがゆっくりと立ち上がった。

そして、地面に落ちていたギュインソードを手に取って構える。

 

「さぁ、反撃開始だ…!」

 

力を発揮出来なくなったハーデスの顔面を左拳で何度も殴り、ギュインソードで斬り裂きダメージを蓄積させる。

プルート戦で見せた手数とインフェクションドライバーの射撃を主体にしたグレーンホッパーハートと違い、武器によるパワーファイトによって確実に相手に強烈なダメージを与えるのがブラックホッパーハートの特徴なのだ。

オルタの放った零距離射撃と高速振動する斬撃がハーデスを吹き飛ばした。

 

『おのれ、おのれおのれおのれおのれええええええええええええっっ!!!』

【FULL ACTION! CURSE OF BLACK HOPPER!!】

 

憎悪の籠った眼差しで怨嗟の言葉をぶつける中、オルタはブラックホッパーバッテリーをギュイーンソードに装填してインジェクタースイッチを押して必殺技を起動する。

そして、力を武器に集中させた彼は高く跳躍して上段に構えたギュインソードを思い切り振り下ろした。

 

『ギ、ギイイイイイイイイイイイイッッ!!』

「終わりだ…ニンゲン」

『がああああああああああああああああああああああっっ!!!』

 

その攻撃をハーデスは全ての力を持って耐え切ろうとするが、高速振動するギュインソードに力を込めて振り抜いた。

激痛の悲鳴と共にハーデスは黒い爆発に包まれる。

煙が晴れ、彼が倒れていたのを確認したオルタはゆっくりと息を吐いた。

運が良かった……今回の戦闘は完全に天が自分に味方をしてくれた。

ハーデスの慢心と、急所を突いた攻撃の命中、そしてほんの少しだが彼の力を吸収出来たことも大きい。

改めて自分が危ない橋を渡っていたことを認識した彼は思わず乾いた笑いを仮面の下で漏らしていた。

しかし、ハーデスが呻いたのを見てすぐに自分の役目を思い出す。

 

『がっ、あぁ…』

「安心しろ、お前は死なせない。その代わり…」

 

地面に這い蹲るハーデスに近寄りながら語りかけるオルタ。

そして骨格で構成された杯のような物体を取り出す。

 

「お前には、冥府を司る『システム』として働いてもらう…肉体と精神を抹消してな」

『ぐっ、貴様ぁ…!!』

「さらばだ、ハーデス。そして…」

 

恨み言を言うこともなく、冥府の神ハーデスは身体を粒子となって杯へと吸い込まれると窪みの部分からアメジストの宝石が埋め込まれる。

 

「これからよろしく頼むぞ、『ハーデス』」

 

そうして、冥府で行われる死のシステムは変わることなく…ハーデスは自我と引き換えに永遠に生き続けるようになった。

ハーデスの『消滅』に死神たちは動揺する中、変身を解除したホッパーはマンティスに視線を向けると、杯『ハーデスの器』を受け取った彼はハーデスのいた玉座へと座る。

 

『かかっ。これからこの冥府はワシが収めることになった…これからもしっかり働けよ、下僕ども……!』

 

恐怖の視線を受け止めて嘲笑するように見下ろしながら宣言したマンティスに、死神たちはどうすることも出来ずにその場から崩れ落ちた。

その様子に、楽しそうに見ていたホッパーは右手にセットしたインフェクションドライバーで『ある人物』へと連絡する。

 

「ハルピュイア。冥府の支配は終わった…後はマンティスがハーデスの代わりを務める、そっちの方は任せたぞ」

 

 

 

 

 

「お任せください、我が王よ。必ず…」

 

主であるホッパーからの連絡を終えたハルピュイアは振り向いてキョンシーと、先ほど帰ってきて熟睡しているケンタウロスに視線を向ける。

 

「主が冥府を支配しました。これに続いて我々も同胞を増やすだけです」

「士気を下げるような発言をするようで恐縮だが、先ほどピーコックが撃破されたぞ」

 

「異形の娯楽に興じるからだ」と文句を零しながらも、報告したキョンシーにハルピュイアに焦りの色は見えない。

 

「構いませんよ。『モール』の計画を悟られずに済みましたからね」

「何だと?」

「最初から、ピーコックには派手に暴れてもらう予定だったのですよ。私が感染させたネオストラを成長させる時間稼ぎとしてね」

 

そう言ってハルピュイアは笑う。

元々彼女はピーコックの成長に対して期待などしていなかった…ピーコックが暴れてそちらに仮面ライダーたちが集中していれば御の字、進化すればそれでラッキー程度にしか考えていなかったのだ。

計画通りに事が運んでいることに笑みを零しながらもハルピュイアはキョンシーに話しかける。

 

「モールの計画に、問題はありません。しかし、念には念を入れたい…キョンシー、あなたの部下を貸してくれませんか?」

「構わん。『オクトパス』、仕事だ」

 

その言葉に了承したキョンシーが自身の部下であるネオストラの名前を呼ぶと「御意っ!」の掛け声と共にこの場に姿を見せる。

茹ダコのような赤い武者甲冑に赤い鎖が身体中に垂れ下がっており、左肩には棘付きの鉄球が装備された異形『オクトパス・ネオストラ』が現れる。

 

『キョンシー様、ハルピュイア様っ!!!このオクトパスにお任せあれっ!!』

 

老僧のごとき威厳と貫禄を感じさせる口調で膝をついて頭を垂れた彼にハルピュイアは優しく微笑み、この場にいない同胞に語りかける。

 

「さぁ、モール…自分の心に従って行動なさい」

 

「そして」と一拍置いて彼女は『ある単語』を口にした。

 

「Excaliburを、その手で完成させるのです」

 

悪意は、ウィルスのように侵食する……。




 新たな仮面ライダー、オルタです。イメージとしては初期の仮面ライダーゲンムやパラドクスのような立ち位置となっています。怪人のイメージとしてはハート。
 続々とネオストラが登場しましたがマンティスとオクトパスは一番、幹部格に近しい存在となっており、あと少しで進化できるレベルになっています。
 ではでは。ノシ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。