仮面ライダーDRAGOON 赤龍帝で仮面ライダー   作:名もなきA・弐

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 新章突入です。さーて、書いている自分が言うのもなんですがこの先どんな風にネオストラが介入するのか分かりません。
 早くドラグーンの新フォームを出したいです。それでは、どうぞ。


月光校庭のExcalibur
HEART12 少年たちのEveryday


カーテンの隙間から差し込む日の光、そして小鳥たちのさえずりといった目覚めの朝には最適なシチュエーションでイッセーの意識は覚醒した。

頭に残るほんの少しの微睡を残しながらも、身支度を整えようと身体を動かそうとする。

しかし……。

 

「おはよう、イッセー」

「…おはようございます///」

 

少し顔を上げればリアスの顔があり、視線が合う。

Tシャツと短パンを寝巻代わりにしているイッセーに対して彼女は全裸だった。

もう一度言おう、全裸だった。

おまけに彼を抱き枕のように優しく抱き締めているのもあって身動きが出来ない状態となっているのだ。

一糸纏わぬ彼女の姿にイッセーは顔を赤らめて挨拶をすることしか出来ない。

ドライグがテンションを上げていたが、一先ず無視をすることにしたイッセーはリアスに問い掛ける。

 

「あの、えっと…それでこの状況は……?///」

「ごめんなさい。あなたが就寝していたから、お邪魔させてもらったの」

 

さも当たり前のように話す彼女にイッセーは「そうじゃない」と頭を抱えそうになる。

ライザーとの決戦後、リアスは辰巳宅で暮らすようになったのだがとにかく彼女は無防備なのだ。

普段は自粛しているイッセーだがそれでも根本的な部分…性欲に関しては断絶しているわけではない。

顔を反らそうとしても彼女の胸囲にどうしても視線を向けてしまい、それによって顔を赤らめてしまうというある種のサイクルに陥ってしまう。

すると、彼女が態勢を変えて彼を押し倒すような形となる。

 

「まだ、時間があるし…もう少し、このまま…」

『イッセーさーん?』

 

リアスの言葉を遮るように、アーシアの声と控えめなノック音が聞こえた。

早朝のトレーニングのために呼びに来たのだろう…扉の向こうからアーシアが呼びかける。

 

『イッセーさん、まだお休みですかー?』

「あっ、いやっ!もう起きて…」

「アーシア?もう少し待ってなさい、私もイッセーも準備しなければならないから」

 

彼が何か言い訳をするよりも先に、リアスが声を掛ける。

聞き覚えのあるその声を聞いたと同時にアーシアは部屋のドアを開いた。

 

「や、やぁ。アーシア…えと、おはよう」

「おはよう、アーシア」

 

彼女の瞳にはイッセーとなぜか彼の隣にいる全裸のリアスがベッドにいる。

とりあえず誤魔化そうとイッセーは笑って手を挙げ、天然なのか彼女は微笑んで挨拶をしている。

アーシアはしばらくの間何も言わずにぼうっとしていたがやがて身体を震わせる。

 

「わ、私も脱ぎます!仲間外れは嫌ですぅっ!!///」

「ち、ちょっと待ってアーシアッ!!」

『相棒っ!男を見せろ!』

「お前ちょっと、黙れっ!」

 

顔を赤らめて目に涙を溜めた彼女は、体操着の上着に手を掛けようとするのをイッセーが慌てて止めようとするが余計なことを言うドライグにツッコミを入れる。

その後は暴走するアーシアを止めたり、全裸のままでいるリアスに服を用意しようと慌ただしかったが……。

 

「朝から、うるさああああああああああああああいっっっ!!!」

 

騒がしかったイッセーの部屋に来た愛奈の怒声で今朝の喧騒は治まるのであった。

 

 

 

 

 

そして、時間は少し過ぎて朝食……。

 

「…美味しい。てっきり洋食を作るのかと思ったけど、上手ね」

「日本での生活が長かったものですから」

「……」

 

愛奈がリアスの作った味噌汁を飲んで頬を綻ばせると、彼女は少しだけ得意気な表情を見せる。

加奈子が黙々と食事をする中でイッセーも味噌汁を一口飲む。

 

「でも本当に美味しいですよ、部長!」

「ふふ、ありがとう。イッセー」

「むー……」

 

そんな彼とリアスとの会話を黙って聞いていたアーシアが頬を膨らませて拗ねた表情を見せると、二の腕を抓る。

イッセーがそんな痛みに耐えている中、加奈子が口を開く。

 

「本物のお嬢様が下宿したいって聞いた時は驚いたけど、リアスちゃんのおかげで家事の手伝いが楽になったし、アーシアちゃんもお掃除やお洗濯も手伝ってくれるし…本当に助かるなー」

「当然のことですわ、お母様」

「っ。お…お世話になっているんですし、当然のことです///」

 

彼女の言葉を聞いたリアスは当たり前のように、アーシアは機嫌が良くなったのか照れ臭そうに微笑んでから返事をする。

一安心したイッセーが胸を撫で下ろす中、リアスは加奈子と愛奈にあることを尋ねる。

 

「お二人とも。今日の放課後、部員たちをこちらに呼んでもよろしいでしょうか?」

「良いよ。ねぇ、お姉ちゃん?」

「構わないわよ。でも、どうしてまた」

「旧校舎が年に一度の大掃除でね。オカルト研究部の定例会議が出来ないのよ」

 

彼女の言葉を聞いたアーシアは「お家で部活なんて楽しそうです」と楽しそうに話すのであった。

 

 

 

 

 

下宿してからのリアスのコミュニケーションと、それによって機嫌が悪くなるアーシアの二人に午前の授業を終えたイッセーは机に頭を突っ伏す。

その間にも松田と元浜のいつもの二人と絡んで話している…その際に、フィギュアがどうとか言っていたが適当に流す。

そんな話をしながらも、普段来るはずのない女子生徒がアーシアを連れて三人の前に出る。

 

「相変わらずの発情ぶりね、三バカトリオ」

「お、お前は…!」

「『桐生藍華』!」

 

彼らに話しかけてきたのは三つ編みの眼鏡女子…桐生はイッセーのクラスメイトであり、アーシアが初めて出来た同年代の女子の友人である。

眼鏡を通して男性の尊厳に関わる物を数値化する極めてどうでも良い能力を持つことから一部から「匠」と呼ばれていたりもする。

 

「アーシアも難儀ねぇ。男の尊厳に大小あるように、良い男なんて選り取り見取りよ?」

 

下ネタを織り交ぜる彼女の言葉にアーシアは「そんなことありません」とイッセーを称えるような発言をしたため、彼がストップをかけたと同時に懐に入っていたシャークックスがネオストラを知らせる震動を送る。

それに気づいた彼は「保健室に行ってくる」と一言言って教室へと飛び出した。

 

「でもさ、アーシアってあいつのこと好…」

「桐生さんやめてくださいいいいいっ///」

 

必死に桐生の口を塞ぐアーシアを見た、松田と元浜が悔し涙を流していたことをイッセーが知る由もないのであった。

 

 

 

 

 

ヌメヌメしたゴムのような暗青緑色棘の装甲を纏った異形『シーキュキャンバー・ネオストラ』は全速力で走っていた。

覚醒態となったことで自由の身となった彼は適当に暴れようとしていたが、オクトパスとモールに偶然出会ったことで嫌々ながら彼らの計画に参加することになってしまったのだ。

「その辺の人間でも襲ってれば良いだろ」と短絡的に考えたシーキュキャンバーが怪人の姿へと変えた時だった。

獣の鳴き声が混じったエンジン音が聞こえた途端、目の前に殺意の籠ったバイク…ブレイブニルが現れたのだ。

そして、彼はそれに巻き込まれないよう全速力で走っている最中なのである。

 

『はぁっ、はぁっ!畜生おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!はぁっ!何でっ、俺がっ!こんな目にっ!きゃああああああああああああっっ!!』

「ぐだぐだ言わずに、さっさと止まりなさいっ!!」

 

シャークハートへと変身していたドラグーンは、ブレイブニルのスピードを更に上げると、その車体で思い切り当てた。

背後からの強烈な衝撃によってシーキュキャンバーは甲高い声と共に地面へと投げ出される。

強烈なダメージで地面に悶えるネオストラに対して、ブレイブニルから降りたドラグーンは宣言する。

 

「アクア・ミッション、スタートです!」

『ふざけんなっ!!誰が好き好んで仮面ライダーの相手なんかするかよっ!!』

 

地団太を踏んだシーキュキャンバーは彼に背中を見せて逃げようとするが、目の前に起こった突然の現象に驚く。

雷で生成された簡易的な壁のような物体が逃走路を遮っていたのだ。

 

「あらあら、うふふ。せっかくイッセー君が相手してくださるんですよ?ご褒美はしっかりと受け取らないと」

 

見れば、上空には朱乃がおり人払い用の結界の張っているのだろう…いつもと変わらぬ微笑みを浮かべながらシーキュキャンバーを見つめる。

 

『だったら何だ!所詮はニンゲンの攻撃、吸収しちまえば…』

「あらあら。そんな時間があって?」

『あっ?…ぎゃあああああああああああっっ!!?』

 

しかし、すぐに威勢を取り戻した彼は雷の壁に近づいて手を触れようとするが彼女の言葉に後ろを振り向いた途端、氷の弾丸が顔面に直撃した。

見ればバッキューンライフルを構えたドラグーンがおり、そこでようやくシーキュキャンバーが気付く。

仮面ライダーに勝てるわけがない、逃げるためには朱乃が設置した雷の壁を吸収する必要がある。

しかし雷の壁を吸収するためには仮面ライダーをどうにかしなければならない、ライオットを召喚しようにも集中砲火を受けている状態ではそれをする時間もない。

シーキュキャンバーが逃げ出せる確率は、ゼロだった。

 

「止めです」

【FULL ACTION! CURSE OF SAHRK!!】

「ファングブラスター!!」

『もっと出番が欲しかったあああああああああっっ!!!』

 

切実な叫びを行ったシーキュキャンバー・ネオストラは氷のレーザーが直撃し、凍結と同時に粉砕される。

戦闘が終わったのを確認したドラグーンが変身を解除すると、朱乃が地面へと降り立つ。

 

「助かりました、朱乃さん。でもどうして…」

「アーシアちゃんから受け取ったメッセージを読んで現場に来ましたの…余計なお世話だったかしら?」

「いえっ!そんなことは……むしろ助かりました」

 

慌ててそう言ったイッセーは彼女にお礼の言葉を口にすると、朱乃は「どういたしまして」と微笑む。

結界が解除したのを確認している彼に、朱乃が口を開く。

 

「婚約会場での時、自分の気持ちを口に出して戦うイッセー君は…本当に男らしかった。戦いに勝って、部長を救うなんて」

「うっ、あの時はテンションが上がっていたと言うべきか…見苦しいところを見せました」

「そんなことありませんわ。あんなあなたを見てしまったら……恋しちゃう、かもしれませんわね?」

 

ライザー戦での戦闘を彼女の口から語られたことにイッセーは苦い顔をすることしか出来ない。

あの時は素の自分がかなり出ていた…続けて謝罪の言葉を言おうとする彼よりも先に、朱乃が近寄り密着する形となる。

そして、潤んだ瞳で見つめながら彼の身体に指を這わせる。

 

「あの、朱乃さ…///」

 

彼女の動作に頬を赤らめるイッセーだったが、朱乃の使い魔である子鬼が午後の授業の開始時間を告げる。

彼女は彼からすぐに離れると、いつもの笑みを見せる。

 

「うふふ、またご一緒しましょうね」

 

そう言ってその場を後にした朱乃に、イッセーは心臓をドギマギさせることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

時間は過ぎて放課後。

今朝言ったリアスの言葉通り、オカルト研究部の全員+ヴァイアはイッセーの部屋に集まっていた。

定例会議としてイッセーのベッドに腰を掛けているリアスが今月の契約件数を報告する。

朱乃は十一件に小猫が十件、木場が八軒で特にアーシアは三件も契約を取っており、そのことについて木場や朱乃から褒められている。

報告を聞いたヴァイアはハンカチで目元を拭った後、鼻をかんでいたが気にすることではないだろう。

そのことに対して、我が子のように何処か誇らしく思っていると今度はイッセーの契約件数をリアスが口にする。

 

「イッセーは、最初の二件だけね」

「あはは…面目ないです」

「評価は多いけど、もう少し頑張ってね」

(そうだぞ、相棒。来月にはもう少し契約を取って行く行くはハーレム王に…)

「はい。部長やみんなの顔に泥を塗らないように、精進します」

 

出しゃばるドライグを遮るように、向上心があるのかないか微妙な宣言を力強くした彼に全員が苦笑いする。

すると、ノックの後に「お邪魔しますよー」と扉を開けたエプロン姿の加奈子が現れる。

両手には多くのお菓子を乗せたお盆を持っており、それを見たアーシアが慌てて頭を下げる。

 

「あっ。すみません、お母様」

「大丈夫、今週の仕事は一昨日と昨日に終わらせたから。それに今日はイッセーちゃんの新しい友達がいるから、『とっておき』も持ってきた」

「とっておき?」

 

アーシアがお盆を持つと、加奈子が『ある物』を取り出す。

オレンジ色を背景にデフォルメの象が拍子の「PHOTO」と書かれており、それを見たイッセーが絶句する。

 

「ま、まさか…!?」

 

止めようとするころには既に遅かった。

ある物……イッセーの成長記録を載せたアルバム集を躊躇いもなく全員に見せるように開いた。

 

「これが小学生のころのイッセーちゃんで、確か…真希奈ちゃんが撮ってくれたのかな?」

「あらあら全裸で」

「最悪だー……」

 

牛乳を飲んでいる小学生時代の写真を見た朱乃は楽しそうに笑っており、リアスに至っては目を輝かせている。

イッセーが頭を抱えながらも、加奈子は気にせずアルバムを開いていく。

 

「これは幼稚園の時。このころから女の子のお尻ばっかり、追い掛けてて…」

「…こっちの方は?」

「それは検査でドライグを見つけた時で、そっちの方は初めて赤龍帝の籠手を出した時。決めポーズを取ってもらってからお父さんが撮ったの」

『正直びっくりした』

 

別のアルバムを開いていた小猫に説明をしながらも、上機嫌な様子で加奈子はアルバムを広げることをやめない。

その中でヴァイアがある疑問を口にする。

 

「あり?心なしか中学生時代が抜けているような…」

「間違って捨てた」

「小さいイッセー、小さいイッセー…!///」

「部長さんの気持ち、私にも分かります!」

(いっそ、一思いにやってくれ…!)

 

目を輝かせて頬を赤らめるリアスに対してアーシアが何度も頷いて賛同している様子に、遠い景色を見るように現実逃避をしているイッセーを見た木場が笑う。

 

「はは、良いお母さんじゃないか」

「人の黒歴史を嬉々として暴く親なんて非常識にも程があるだろ」

「家族がいるって、良いよね……っ。イッセー君、この写真」

 

イッセーの返した言葉に返しながらアルバムをめくっていた木場の手が止まった。

その表情はいつもの柔和な笑みではなく、真剣な表情で一枚の写真を凝視している。

写真にはゲーム機で一緒に遊んでいるイッセーと子どもの写真であり、後ろにはRPGで登場するような盾と西洋剣が飾ってある。

 

「んっ?あぁ、近所の子で一緒にヒーローごっことかして遊んでたんだ。親の転勤とかで外国に行っちまったけど、名前は確か……」

『「紫藤イリナ」だろう。相棒と漫画やゲームの趣味が合った友人の一人だな』

 

ドライグの言葉で幼少時代の記憶を思い出した彼は「懐かしいなー」と楽しそうに笑う。

写真に写っている子どもとは一緒に遊んでおりゲームや漫画はもちろん、ヒーローごっこなどをしていたのだ。

そんな彼に気にせず、木場は独り言のように尋ねる。

 

「ねぇ、イッセー君。この剣に見覚えはある…?」

「いや、何しろガキのころだし…あんまり気にしてなかったな」

「……これは、『聖剣』だよ」

 

そのキーワードにイッセーが小首を傾げたが、彼はいつものように微笑むと開いていたアルバムを閉じて「ありがとう」と彼に手渡す。

こうして辰巳宅での部活活動はイッセーに一筋の不安を残したまま、終了したのであった。

 

 

 

 

 

その日の夜、悪魔としての依頼が入ったイッセーはブレイブニルを走らせてから木場について考えていた。

今まで見たことのない表情と、写真にある剣を見た時の反応……。

気のせいだとは思いたいがどうしても拭いきれない不安を振り払うように、イッセーは目的地までブレイブニルを走らせて到達すると、依頼人のいる高級マンションの部屋のインターフォンを鳴らす。

それから間もなく、依頼人の男性が扉を開けて現れる…黒髪の前が金髪で顎ヒゲを生やした、所謂『ちょい悪親父』な外見をしており、着流しを着ている。

 

「えっと、悪魔を召喚した方ですよね?信じられないかも知れないんですけど、ちょっと諸事情で」

「まぁ、入ってくれよ…悪魔君」

 

楽しそうに笑った男性に促されるように、イッセーは部屋へと上がる。

広い部屋で高級そうなソファや机があり、窓からは町が一望出来るほどの夜景がすごく綺麗だ。

「適当に掛けてくれ」と言われたイッセーは緊張しながらも、座り心地の良いソファに座っていると、それからしばらくして男性がグラスとワインを持ってくる。

 

「すいません、俺は未成年で…」

「そうか?そりゃしくったな。まっ、氷水でも良いなら…構わないかい?」

「はい」

 

彼の言葉に満足した男性は、グラスに氷を入れてからミネラルウォーターを注ぐ。

その後、ここに来てから三十分は経っていたが男性とイッセーは他愛もない話をしていた。

 

「…ははははは。魔力が不得手だから、転移魔法を使わずにバイクでご出勤か」

「でも、中々楽しいですよ。バイクにはバイクの良さがありますし」

「そうか?…けど、一理あるかもな」

 

話している内容こそ、イッセー自身の普段の生活や友人の話といった何気ない日常の話だったが、目の前の男性は心底楽しそうに笑っているのだ。

楽しそうに笑っていたが、何気なく視線を向けた男性が時計を見る。

 

「んじゃ、この辺でお開きだな。久々に楽しかったよ…んで、対価は何が良いんだい?悪魔だから魂、とか…」

「まさか、酒の相手ぐらいじゃ契約と釣り合いませんって」

 

その言葉に、イッセーは困ったように笑う。

『対価に命』というのは昔にはあったらしいが、最近では色々と問題があるのでそれ相応の対価で十分なのだ。

男性は感心したように笑う。

 

「おっ、意外に控えめなんだな」

「うちの主は明朗会計がモットーなんで」

「んじゃ、あれでどうだ…複製品じゃないぞ」

 

イッセーの言った言葉に、男性は壁に掛けられた大きな絵画であり素人が見ても高額な品に見える。

他に手持ちもないらしく、「駄目なら魂で」と苦しそうな表情をした彼にイッセーは慌てて承諾したのであった。

 

 

 

 

 

工場跡地の外で乾いた音が響いた。

それは頬を叩かれる音……リアスが木場に対してしたものだ。

対価である絵画を身体にくくりつけたイッセーはブレイブニルと共に帰ろうとしたが、急きょ入った連絡からはぐれ悪魔の討伐に向かった。

普段なら何てことのない相手…しかし、木場は考えごとをしていたのか集中力が散漫となっており、何とか小猫とイッセーが外へと投げ飛ばした後に朱乃とリアスが止めを指したのだ。

アーシアが小猫の治癒を、はぐれ悪魔に対してイッセーが黙とうをしている間に、外にいたリアスは帰ろうとした木場を呼び止めたのだ。

 

「今ので目が覚めたかしら?一つ間違えば、誰かが危なかったのよ」

「……すみませんでした」

「一体どうしたの?あなたらしくもない…」

「調子が悪かっただけです。今日はこれで失礼します」

 

厳しい口調で彼女は叱責するが、木場は何の表情も浮かべないまま謝罪の言葉を口にする。

誰が見ても様子のおかしい彼に心配したリアスは尋ねるが、淡々と彼は語るだけだ。

そのまま帰ろうとする木場に対してイッセーは慌てて呼び止める。

 

「木場っ、どうしたんだよ!?今日は本当に変だぞっ!!」

「君には関係ない」

「心配してるんだよ!もしかして…」

「聖剣、だろ?」

 

呼びかけに対してもそっけない態度を取る彼に対して、イッセーが放とうとした言葉を遮るように、ヴァイアが現れる。

目の色を変えた木場は、彼の方を振り向く。

 

「分かったのかい?」

「写真を見て何となくね。それが君を変えた…いやっ、むしろ思い出したって言うべきなのかな?」

「ふふ、確かにそうだ。僕が戦う最も根本的なこと…それは部長のためじゃない、『復讐』さ」

 

ヴァイアの言葉に、木場は軽く笑った後に言った短くも重い言葉にイッセーは愕然とするしかない。

そうして木場は復讐の対象…世界でも有名な『あの名称』を口にした。

 

「『聖剣エクスカリバー』……それを破壊するのが、僕の生きる意味だ」

 

冷たい表情のまま、彼はイッセーとヴァイアに背を向けて立ち去ってしまった。

 

 

 

 

 

帰宅後、夕飯と入浴を終えたイッセーは部屋に行くとアーシアとリアスがおり、漫画を読んでいた。

入り浸っている二人に苦笑いするが、「丁度良い」と判断した彼はリアスに聖剣のことを尋ねる。

漫画を閉じて元の棚に戻した彼女は真剣な表情で、聖剣の説明を始める。

 

「聖剣は悪魔にとって最悪の武器よ。悪魔は触れるだけで身を焦がし…斬られれば、即消滅だってあるわ」

「ゲームや漫画みたいに、強力な武器なんですね」

 

イッセーの例えに、「そうね」と答えたリアスは説明を続ける。

聖剣は強力な分、扱える人間が極端に限られているが難点……だからこそ教会は、聖剣の一種であるエクスカリバーを扱える人間を人工的に育てようと考えた。

それが…。

 

「『聖剣計画』……」

「私が教会にいたころは、そんなお話は聞いたことも…」

「でしょうね。もう随分前の話よ」

 

リアスの口から出てきた聞き慣れぬ単語に、イッセーとアーシアが疑問符を浮かべる。

計画自体は完全に失敗したらしく、それ自体はどの陣営でも話題になっていたらしい。

彼女は話を続ける。

 

「祐斗は、その生き残りなの」

「えぇっ!?」

「失敗の原因はあの子を含む全員が適応出来なかったから…それを知った教会は被験者を不良品のレッテルを張り付けて、処分に至った」

「そんな…!」

 

残酷なまでのその言葉に、アーシアは両手を口に当てて戦慄している。

無理もない、自分がかつていた場所で…しかも人の命を消耗品のように扱う非人道的な実験を行っていたことに瞳を潤ませることしか出来ない。

だがイッセーは知っている、経験したことがあるからだ。

人の持つ悪意の被害、そこから生み出される復讐と報復の連鎖……それを嫌というほど知ってしまっているのだ。

施設を逃げ出した木場は処分するための毒ガスを吸っていたため、リアスが発見したころには既に瀕死の状態だったらしく、それを彼女が悪魔として転生させたのだ。

復讐のためじゃない、悪魔としての生を全うしてほしかったから……だが、かつての仲間を失った彼は聖剣を忘れることが出来なかった。

木場の壮絶な過去を知ったアーシアとイッセーは何も言えなかったが、ふと思い出したようにリビングから持ち出したアルバムの写真を見せる。

 

「木場が聖剣のことを思い出したのって…多分、これだと思います」

「…エクスカリバーほど強力な物ではないけれど、間違いないわ。これは聖剣よ」

「イッセーさんの、こんな身近にあったなんて」

『思い出したぞ。相棒はこの子の家族に誘われて、何度か教会に訪れていたな』

 

アーシアが写真を見て驚く中、ドライグが思い出したように言葉を発する。

それを聞いたリアスは合点が行ったように写真に写っている聖剣を注視していた。

その際、「でも先任者は確か」と呟いていたのをイッセーが聞き返そうとした時、彼女が顔を上げて時計を見る。

 

「もう、こんな時間。そろそろ寝ましょうか」

 

普段通りの調子を戻したリアスは、ごく自然な動作で衣服を脱ぎ始める。

当然、それに対してアーシアが驚いており、イッセーは慌てて口を開く。

 

「まま、待ってください!部長が裸じゃないと寝れないのは知ってますけど、なぜに俺の部屋でっ!?///」

「っ?あなたと一緒に寝るからに決まっているじゃない」

 

さも当たり前のように言い放った彼女に、アーシアは顔を真っ赤にしながらも「私も寝ます!」と対抗意識を露わにする。

それを見たイッセーは慌てて二人を止める…自分としては天国に限りなく近い展開であり、ドライグも狂喜乱舞しているのだが流石にまずい。

 

「ちょっと二人とも!一端落ち着いて…いだだだだだっ!?」

「私の方がイッセーさんと暮らした時間が長いんですっ!」

「私はイッセーと一緒に寝たことあるわ!」

「でもでも、私の方が…」

 

途中から子どもの喧嘩へとなってしまい、イッセーの右腕をアーシアが…左腕をリアスが引っ張る形になる。

どうにか止めようとするも、熱が入ってしまった二人が制止するはずもない。

ドライグは完全に「はは、修羅場乙♪」と傍観者に徹しているため役に立たない、諦めの感情が浮かび上がった瞬間…。

 

「あんたら、いつまで起きてんだああああああああああああっっ!!!」

 

怒鳴り込んできた愛奈によって、事は治まったが三人(ついでにドライグ)は彼女の説教を受ける結果になり、イッセーに謝罪した後に各自割り当てられた部屋へと戻るのであった。




 ドライグが全然喋っていない…だと…!?うーむ、やはりキャラが増えると全員分回すのにかなり苦労します。
 そう言えば、wikiなどで知ったのですがアニメ三期のBD/DVD初回生産書き下ろし小説でイッセーの子供たちが登場したらしいです……劇場版のネタに使えるな(ボソ) 
 ではでは。ノシ

シーキュキャンバー・ネオストラ ICVクロちゃん(安田大サーカス)
そこら辺にいたリーマンの負の感情を糧に培養して進化した。
ヌメヌメしたゴムのような暗青緑色棘の装甲を纏っており、打撃攻撃の無効化や水流を放つことが出来るが特殊攻撃の耐性が低い。
成り行きでモールの計画に協力していたが、ドラグーンの駆るブレイブニルに追い回された挙句、朱乃とのコンビネーションを発揮した彼に倒された。
ぶっちゃけ特に設定とかは考えていない。
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