仮面ライダーDRAGOON 赤龍帝で仮面ライダー   作:名もなきA・弐

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 さぁ、モールが動き出しますよ。


HEART15 堕天使の名はKokabiel

町の少し離れた廃教会……以前アーシアを助けたことのある場所に少しばかりの因縁を感じながらもイッセーたちはイリナとゼノヴィアの二人と合流していた。

ちなみに二人はここを根城にしていたらしいがスルーしておいた、流石にそこで野暮を言うほど失礼ではないからだ。

そんなことをイッセーが考えながらも、自分たちの格好を見た匙がぼやく。

 

「しっかし、悪魔が神父の格好をするなんてなー」

「抵抗はあると思うけど……」

「いや……目的のためなら、何でもするさ」

 

今回の作戦の発案者であるイリナの言葉に着替えを終えた木場は答える。

リアスと蒼那に気づかれないように集まった彼らは現在、黒い神父服を身に纏っている。

木場の情報によればエクスカリバーを所持しているフリードは神父を狙っているらしく、このような格好をしておけば仕掛けてくるだろうと考えてのことだ。

全員の準備が出来たのを確認したゼノヴィアが口を開く。

 

「全員で動くのは非効率だ。二手に分かれよう」

「なら僕たちは東の方に向かう」

 

その提案にイッセーが答えるよりも先に木場が答える。

態度からまだ危うさは残っているが、最初と比べれば幾分か冷静さを取り戻している。

何か異変を感じたらイリナのスマホに連絡するということで廃教会から出て行動を開始した。

 

 

 

 

 

悪魔サイドのメンバーは暗くなった道を歩く。

外に出る際、ゼノヴィアから「白い龍が目覚めている」と告げられたことで意識しないでいた、近い内に起こる白い龍との戦いを嫌でも意識してしまう。

 

「……どうかしましたか?」

「あっ、いや。次は何処に行こうかなって」

 

小猫の言葉で今は聖剣のことだと思考を切り替えたイッセーの言葉に木場が返す。

どうやら心当たりがあるらしく一行は彼に先頭を任せてその場所へと向かう。

向かった場所はかつてイッセーがヴァイアに連れられて来た場所であり、フリードとの最悪の対面を果たした因縁の場所である。

木場が敷地内に入ろうと足を踏み入れた瞬間、イリナたちから感じた気配と殺気が全員を支配する。

 

「……上っ」

 

小猫の言葉に全員が空を見上げた時だった。

 

「ヒィヤーヤッハッハッハッハッハーーーーッッ!!!」

 

奇声と共に頭上から奇襲を始めた神父……フリードの攻撃に焦ることなく木場は剣を取り出して防ぐ。

火花を散らしていたが、やがて攻撃の続行が不可能だと判断したフリードが宙返りをして住宅の屋根にへばりつく。

 

「耳障りな笑い声をするね、君は」

「おんやぁ?いつぞやのくそ悪魔君に、くそったれのネオストラ君じゃありませんかー???」

 

ヴァイアの顔とイッセーの顔を見てフリードは狂気じみた笑みを見せて喋る。

一方のヴァイアは自分の種族を当たり前のように話したことで、確信へと変わる。

バルパー一派もネオストラと絡んでいるということに……。

 

「今夜も楽しく神父狩りって思ってたっつーのにっ、くそ悪魔とくそネオストラのコスプレかよ……!!」

 

言動こそ以前と変わらず、ふざけているが最後には憎悪の入り混じった声色へと変化しており木場たちを見る目も並々ならぬ執着心がある。

「ペローン」と彼らに見せつけるように舐めている変わった形状の剣は間違いなく奪われた聖剣の内の一本……。

 

(なるほど、天閃の特性……『天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)』か。厄介だな)

(天閃?)

(簡単に言えば、使用者のスピードを底上げする聖剣だ。使い手によっては光並の速度にもなれる)

 

確かにドライグの言葉通り、フリードは切り掛かってくる木場のスピードと互角だ。

赤龍帝の籠手の能力の一つ『赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)』を使えば勝機もあるが、あの状況で割り込んだら足を引っ張る可能性がある。

 

「どうすれば……!」

「辰巳。良く分かんねぇけど、あいつの足を止めれば良いんだろ?」

 

イッセーの様子から察した匙は超スピードでの剣戟を繰り返す二人を見上げながら一歩前に出る。

そして左手に装着されたのは使い魔の森で見せたトカゲがデフォルメされたような黒い神器『黒い龍脈(アブソーブション・ライン)』……。

 

「行け、ラインッ!!」

「こいつもおまけだ!」

「あっ?……て、どわっ!!?」

 

神器の口から青白いラインが射出されると、それは木場と空中戦を行っていたフリードの左足首に絡まって拘束する。

ついでにヴァイアの放った高圧の水球が顔面に命中したことでスピードを完全に殺された彼は屋根へと身体を叩きつける結果となる。

 

「小猫ちゃんっ!!」

「っ!」

 

赤龍帝の籠手を召喚したイッセーの呼び掛けにスマホでの連絡を終えた小猫が彼の身体を持ち上げる。

何とかしてバランスを整えた彼は木場に合図を送り……。

 

「今だっ!!」

「……えいっ」

 

投擲した勢いを利用して上へと向かい、そのすれ違いざまに自分の神器を発動する。

 

【Transfer!】

 

木場の右肩に触れて増加させたドラゴンの力を譲渡することに成功したイッセーは背中から着地しながらも、彼に向って叫ぶ。

 

「…痛ててっ。木場っ!」

「ありがたく使わせもらうよっ!!魔剣創造!」

 

真下に剣を突き立てた瞬間、フリードの行動を制限するように様々な魔剣が襲い掛かる。

「くそっ!」と毒づきながらも聖剣の特性を活かした剣捌きで迫りくる魔剣を破壊するが。倒されるのは時間の問題だろう。

勝った……この場にいた誰もがそう思っただろう。

しかし。

 

「フリード、身体に流れる因子を刀身に込めろ」

 

彼の名を呼ぶ老人の声に反応したフリードは「流れる因子よっ!」とふざけた口調で天閃の聖剣を両手で構えると、聖なる力が身体と聖剣を覆う。

そのまま振るって魔剣ごとラインを破壊した彼は上機嫌で声の方向に振り返る。

 

「ナイスっすよ!『バルパー』の爺さんっ、あんたいつからいたのよんっ!!悪い人だねんっ!」

「……まだ聖剣の使い方が十分ではないようだな」

 

彼から「バルパー」と呼ばれた老人の姿は司教の服装に身を包み、メガネを掛けた人相から温厚な人物を思わせるが僅かに空いているその瞳は執着が見える。

 

「お前が、バルパー・ガリレイッ!!」

「……だとしたら?」

 

フリードの持つ聖剣に視線を向けながらも、木場の憎悪の籠った声に返す。

だが彼が剣を構えるよりも先に調子を取り戻したフリードが跳躍して天閃の聖剣を振り下ろそうとするが、その攻撃は防がれる。

 

「アイーン?」

 

その攻撃は乱入者……ゼノヴィアの持つ破壊の聖剣に防がれており、ローブを脱ぎ捨てたイリナも合流する。

「お待たせ!」と元気良く手を振る彼女に苦笑いしながらもイッセーは鍔迫り合いを始めているゼノヴィアとフリードの方に視線を向ける。

 

「反逆の徒、フリード・ゼルセン。そしてバルパー・ガリレイッ、神の名の元に断罪してくれるっ!!」

「ヘイヘイヘイヘイヘイヘイヘイヘイヘイヘイッ!!!俺様の前でその憎たらしい名前を出すんじゃねーよぉっ!!こんのワカメ女っ!」

「……はぁっ!!」

 

聖剣を弾いて怯ませたフリードの隙を狙うように、入れ替わりで木場が魔剣を振るうがその攻撃は宙返りによって躱されてしまう。

自分の隣に着地した彼に声を掛ける。

 

「フリード。お前の任務は潜入してきた教会の者を消すこと、流石に聖剣を持った者が二人では分が悪い」

「一端引けって?合点承知の助!!」

 

バルパーの言わんとしていることを察したフリードは懐から取り出した道具で強烈な閃光で目くらましを起こすと、そのまま姿を消す。

 

「逃がすかっ!」

「っ!」

 

表情を鋭くしたゼノヴィアと木場は彼らの後を追い、イリナも慌てて後を追う。

イッセーたちも彼女たちに続こうとしたのだが見覚えのある紅と白の二つの魔法陣が目の前に現れる。

 

「ふふ、これはどういうことなのかしら?」

 

笑顔でそう尋ねるのはイッセーと小猫の『王』であるリアスで隣には朱乃も笑顔でいる。

一方の白い魔法陣には生徒会長の蒼那と副会長の真羅がおり、こちらは無表情だ。

 

「えっと、その……」

 

両者から発せられる圧倒な怒りのオーラに、イッセーと匙は顔を引きつらせるしかなかった。

 

 

 

 

 

場所を移してオカルト研究部の部室。

そこには互いの主の前で正座をする眷属たちの姿があり、匙に至っては土下座に近い体勢をしている。

どうやら事態の把握だけでもと朱乃が監視をしていたらしい。

 

「サジッ」

「ひぃっ!?は、はいっ」

「あなたはこんなにも勝手なことをしていたのですね、本当に困った子です」

 

淡々と、低い声色で話す蒼那に匙は増々顔色が悪くなり、最終的に「すんませんすんません」と床に頭を擦り付けて謝罪する。

イッセーから一先ずの事情を聞いたリアスはため息を吐くと、ソファから離れてイッセーと小猫の視線に合わせるように屈む。

 

「過ぎたことはあれこれ言わない。ただ、あなたたちがやったことは悪魔の世界にも影響を与えたかもしれない……それは分かるわね?」

「はい、すいませんでした。部長っ」

「すいません……」

 

結局、リアスに迷惑を掛けただけでなく小猫や他の人にも迷惑を掛けていた……。

それ以上に木場のためを思っての共同戦線も余計なことだったのかもしれない。

自分への憎悪を滾らせる彼だったが、リアスは優しく小猫共々抱き締める。

 

「もう心配を掛けさせないで……!!」

(……)

 

彼女の様子に少しだけイッセーの心は軽くなったような、そんな気がした。

 

「良い話だなー」

「会長っ、あっちは何か良い感じに…ひぐぅっ!?」

「余所は余所、うちはうちです」

 

ヴァイアは美しき主従愛に感動し、ハンカチを目に当てる。

そんな彼の後ろで匙は蒼那からの尻叩き(魔力を込めた)千回に涙を流すのであった。

ちなみに、その後イッセーと小猫もしっかり千回味わったのは全くの余談だし、裸エプロンをしようとしていたアーシアとリアスに愛奈が説教していたのも些細なことである。

 

 

 

 

 

そして翌日、学校が休日でもあったグレモリー眷属は木場の捜索を始めるべくそれぞれの使い魔とロボックスを使っていたが、公園で何かの反応をキャッチしたシャークックスの合図を受けたことで現場へと向かう。

 

「イリナッ!」

 

身体に傷を負い気を失っていた彼女に、イッセーはアーシアに頼んで怪我の治癒を頼む。

アーシアも神器の力を使うが体力の回復までは不可能なので連絡を受けてきた生徒会に、気を失っている彼女を任せる。

しかし。

 

「これはこれは、餌を嗅ぎつけて集まってきましたねー!ご機嫌麗しゅうっ!!」

『ふんっ!』

 

ふざけた言動で一礼するのは聖剣を構えたフリードと厳格な態度を取る怪人態のオクトパス。

そして……。

 

「初めましてかな、グレモリー眷属」

 

黒い衣装に背中から生やした十対の翼を持つウェーブのかかった長い黒髪の男性。

彼の放つオーラと翼の数から圧倒的な数から全員が理解する。

 

「『コカビエル』……!」

「御機嫌よう、堕ちた天使さん。私はリアス・グレモリー……どうぞお見知りおきを」

「その鮮やかな紅髪、お前の兄サーゼクスにそっくりだ。忌々しくて反吐が出そうだよ」

 

吐き捨てるようにリアスに言い放った堕天使『コカビエル』は自身の目的を語る。

それは、駒王学園を中心に破壊活動を起こして魔王であるサーゼクスを呼び出すこと。

聖剣をわざわざ盗んだのも教会側の連中を呼び出すためであり、バルパーたちを追跡していたイリナとゼノヴィアたちを襲ったのも彼の仕業である。

 

「目的は最初から三つ巴の戦争を起こすこと」

「そうだっ、そうだともっ!!俺は戦争が終わってから退屈で退屈で仕方がなかったっ、総督と副総督のアザゼルとシェムハザも次の戦争には消極的でなっ!!」

 

特にアザゼルに至っては神器を集め出して研究に没頭する始末……。

一応古い付き合いでもあるコレクター趣味に辟易しながらも、言葉を続ける。

 

「俺は戦争をするっ!!今ある均衡を壊し、この手で戦争を引き起こしてやればどいつもこいつも目の色変えて動き出すだろうさっ!!」

 

その語るコカビエルの目は本気で戦争を求めている。

刺激が欲しい、壊れる玩具が欲しい、自分を追い詰めるだけの道具が欲しい、仲間と敵の殺気が入り混じったあの高揚感が欲しい……完全なる戦争狂に全員が戦慄する中、一人だけ笑う男がいる。

 

「あひゃひゃひゃひゃっ!!どうよっ!?うちのボスのイカレ具合っ、何とも素敵で最高でしょっ?こんなご褒美まで頂いちゃってさーっ!!」

『……ふんっ!』

 

長い舌を出しながら狂ったように笑うフリードは自身のコートの前を開けて奪い取った聖剣を見せびらかすが、一方のオクトパスは破壊することしか考えていない彼の言動に鼻を鳴らす。

 

「やれやれ、ここまで繋がっていたとはね」

 

そう一人ごちるヴァイアに気にすることなく、コカビエルは宣言する。

 

「戦争をしようっ。魔王の妹……リアス・グレモリーよっ!!」

『っ!!』

 

挨拶代りに放たれた無数の光の槍にリアスたちは防御用の魔法陣で防ぎ、イッセーも赤龍帝の籠手で槍を粉砕するが、コカビエルたちは既に姿を消しており恐らく駒王学園へと向かったのだろう。

全員の安否を確認したリアスは蒼那たちと共に自身の学び舎へと向かう。

 

「……ふざけんなよっ、腐れ堕天使っ」

 

他人をも巻き込むその蛮行に、イッセーの瞳にも闘志が宿るのであった。

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