仮面ライダーDRAGOON 赤龍帝で仮面ライダー 作:名もなきA・弐
周囲にスミロドンバッテリーによる変身を告げる音声が響き渡る。
【CURSE OF CHARGE!…燃えるBEAT! メラBEAT! SMILODON KNIGHT!!♪】
炎を連想させる電子音声と共に獣の頭部を模したグローブ型のエネルギーが五本の指でドラグーンの頭部を掴むと、スーツだけとなったドラグーンの身体に新たな橙色のメカニカルなアーマーへと装着される。
身体の各部にはブースターが設置されており、頭部はスミロドロンの牙を模したマスクへと変形する。
両腕には炎と獣の頭部を思わせる手袋型グローブ『メラメラグローブ』が装備されると、衝動に任せるように両の拳を打ち付ける。
騎士の特性とスミロドンの獰猛さを併せ持った格闘形態『仮面ライダードラグーン スミロドンハート』である。
「グルルッ……ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!」
『っ!?』
内に宿る荒々しい闘志に従うようにドラグーンは雄叫びを上げる。
すると、その叫びは周囲を眩いほどの閃光で照らし、身体中のブースターから燃え盛る橙色のビームとなって放射される。
『『ぐおおおおおおおおおおおおおおっっ!!?』』
『ちっ!』
『この力は……スミロドンのっ』
不意を突かれたオクトパスとモールの二体は、ドラグーンの雄叫び『バーニングシャウト』のダメージを受けるが幹部格のネオストラはその攻撃を回避する。
両腕を前に突き出して獣のように構えた途端、目にもとまらぬ高速移動でモールとの距離を詰めて鳩尾に火炎を纏った拳を叩き込む。
「バッドミッション・スタートッ!!グルアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
『なっ、速…ぐあっ!?』
『おのれっ、がはっ!!』
徒手空拳でありながら、自身に纏う炎と高熱の光を駆使しながら二人掛かりで襲い掛かるモールとオクトパス相手に互角に渡り合う。
モールには拳の連撃を、オクトパスには蹴りによるコンボを浴びせながら徐々に追い詰める。
だが、敵は二人ではない。
『調子に乗るのも好い加減になさいっ!』
『ふんっ』
乱入してきたハルピュイアとキョンシーが攻撃を叩き込もうとするが、インジェクタースイッチを押してブースターを倍加させると背後を取ったドラグーンが強烈な一撃を叩き込む。
『くっ、ネオストラの力をここまで使いこなすとは……!!』
『このっ!』
辛うじて致命傷を避けた彼女だが、ドラグーンの異常な成長速度と適正に驚きを隠せない。
モールは再び聖剣のオーラを斬撃のように飛ばすがメラメラグローブを纏ったドラグーンの拳で弾かれてしまう。
更に一瞬で距離を詰められたと思ったら軽いジャブからのフック、そしてローのフェイントを混ぜたハイキックの流れるコンボによって地面を転がった彼は自身の不利を悟る。
そうなると、行動は一つだった。
『ハルピュイアッ!』
『っ!』
モールは自身の持っていた首元にセットされていたヒスイに輝く宝玉を取り外して、ハルピュイアへと投げ渡す。
キャッチした彼女を追跡しようとするが、それを邪魔するようにモールとオクトパスが立ち塞がるが炎を纏った拳のラッシュを叩き込まれたと同時に吹き飛ばされてしまう。
「終焉っ!殲滅っ!!必殺っ!!!止めをくれてやるっ!」
【EXPLOSION! CURSE OF SMILODON!!】
満身創痍となった二体に、ドラグーンはホルダーを下げてスミロドンバッテリーのインジェクタースイッチをもう一度押す。
そして、光と炎をその身に纏った彼は高く跳躍するとスミロドンの幻影を浮かべた状態で両脚蹴りの態勢のまま、ネオストラ目掛けて急降下を始めた。
「燃えろぉっ!業火っ!!豪炎っ!!!ビーストバーニングッ!!」
『聖剣がっ、バランスが…ぎゃあああああああああああああっっ!!!』
『ネオストラに栄光あれええええええええええええええええっっ!!!』
結界が振動するほど衝撃を持った高熱の光と火炎の必殺キックを直撃したモール・ネオストラとオクトパス・ネオストラはシンボルごと爆散、取り込んだエクスカリバーの破片が地面に散らばる。
部下を撃破されたハルピュイアは「くそっ」と歯噛みしながらも状況の悪化を考えた結果、隣にいたキョンシーに指示を下す。
『退きますよっ!』
それだけだったが、冷静さを取り戻していたキョンシーはハルピュイアの元まで寄ると彼女が巻き起こした竜巻でその場から退散する。
戦闘が終了したのを確認したドラグーンは変身を解除すると、ふらつく身体で必死にリアスたちの元まで歩く。
「ははっ、何とか……勝ちましたよっ、部長」
笑顔を見せる彼にリアスと木場たち眷属も笑みを見せる中、ゼノヴィアは彼の雄姿を見ていた。
強い心と正義、それが自身に巣食っていた暗い感情を照らしているような気がしたからだ。
「なるほど、これが今代の赤龍帝の力か」
突如、若い青年の声と共に聞こえたのは窓ガラスが割れるような音……学園全体を覆っていた結界が砕ける音だ。
イッセーたちが空を見上げるとそこにいたのは『白』。
満月を背に輝く青い宝玉が埋め込まれた白い鎧を全身に纏い、背中から広がる青く光る美しい翼からはドラゴンを彷彿とさせる。
まるで赤龍帝の鎧と非常に酷似しているその姿に、イッセーはただ見ることしか出来なかった。
見覚えはない、だけど分かる。
待ち望んでいたかのような高揚感と寒気……ドライグとゼノヴィアから言われた言葉を思い出す。
「白い龍……!!」
「……」
イッセーの呟きに気にすることなく、白い龍は森の方を見下ろすと一瞬で姿を消す。
「あああああああああああああああああああああっっ!!?」
『っ!?』
低い男性の声……先ほどキョンシーに投げ捨てられたコカビエルの悲鳴だ。
全員が慌てて振り向くとコカビエルが運動場に叩きつけられている。
見れば背中の翼が引き千切られており、黒い羽根が周囲に散らばる。
「まるで薄汚いカラスの羽だ。アザゼルの羽はもっと薄暗く、常闇のようだぞ?」
「あっ、あああああああああああああっっ!!!」
声帯を潰された彼は擦れた声で叫びながら、コカビエルが巨大な光の槍で攻撃しようとするのに対して、白い龍はただ左手を突き出す。
そして……。
【Divide!】
「あっ、ああ……!?」
男性の声が響いた瞬間、コカビエルの放とうとした光の槍は縮小化しやがて消滅する。
『アルビオン』の魂を宿した彼の持つ神器、『
下手をすれば上級に位置する存在が下級にすら負ける存在にさせることも出来る。
「あれが、白い龍の力……!!」
「赤龍帝は倍加した力を誰かに譲渡し、白い龍……『白龍皇』は相手の力を半減させ、持ち主の糧とする……」
「伝説の通りね」とリアスは朱乃と共に白い龍を見上げる。
一方の彼は落ちぶれたコカビエルの姿に幻滅したか、一瞬で勝負をつけるべく翼を広げると一瞬で距離を詰めてがら空きとなった腹部に拳を叩き込む。
「ぐがっ、あっ!!」
「あんたは少しばかり勝手が過ぎた。事情はどうあれ、ネオストラとも共謀したことで流石のアザゼルもコキュートス行きを決定した」
「ああああああああああああああああああっっ!!!」
白い龍のその言葉に、コカビエルは恨みがましく叫ぶがすさまじい勢いで地面に叩きつけられたことで、完全に意識を奪われる。
同時に魔法陣も消滅するが、気にすることなく倒れているフリードの方へと顔を向ける。
「あのはぐれ神父にも、聞き出さなければならないことがある」
そう言って、フリードの方まで近づいて首根っこを掴む。
その時、ドラグーンドライバーへと変化しているドライグが口を開いた。
『無視か、白いの?』
挑発するように放ったその言葉に白い龍が振り向き、対峙する。
一方のイッセーと、今まで自分たちと会話をしなかったドライグが喋ったことにリアスたちは驚きを隠せない。
すると白い龍の翼が点滅すると、その言葉を返す。
『生きていたか、赤いの。しかし、まさかネオストラと手を組んでいたとはな』
その格好、お似合いだぞ……。
嘲るように放った言葉にドライグは「はっ」と息を漏らす。
『結構快適だぞ。俺はお前のように派手好きではないからな』
『例え姿を変えても、俺たちは何れ戦う運命にある』
赤龍帝『ドライグ』と白龍皇『アルビオン』の会話にリアスは目を見開く。
「話は終わりだ」と言わんばかりに白い龍はフリードとコカビエルを抱えて飛行を開始しようとするが、その前にイッセーの方を振り向く。
『また会おう。ドライグ』
「今度は赤龍帝の本当の力を見せてもらうとするよ。何れ戦う俺のライバル君」
それだけを言うと、今度こそ白い龍は青白い軌跡を描きながら空へと飛び去る。
全員が空を見上げる中、ただ一人だけヴァイアは彼の言ってた言葉を考える。
(あいつ、どうしてネオストラのことを……)
まるで自分たちの存在を知っているかのような言動に、彼はただ渋い顔をするが一先ず頭の片隅に追いやって木場の方を見る。
見れば彼は片膝をついて頭を下げており、今回の件について謝罪の言葉を口にしていた。
「部長っ、僕は部員のみんなを……何よりも、一度僕を救ってこれたあなたを裏切ってしまいました!お詫びする言葉が見つかりません……!!」
「でも、あなたは帰ってきてくれた。それだけで十分」
そう言って彼女は朱乃やアーシア、イッセーたちの方を見渡す。
みんなの想いも無駄にしてはいけない……それを理解した木場は改めてリアスに誓う。
「っ、改めてここに誓います。僕、木場祐斗は……リアス・グレモリーの眷属『騎士』として、あなたと仲間たちの終生をお守りします」
それは紛れもない騎士の誓い……己の魂を掛けた信頼すべき者たちへの、決して破られることのない約束にリアスはゆっくり頷き、その場で屈んで木場の視線と合わせる。
「ありがとう、祐斗」
そう微笑んだリアスに、彼はもう一度深く頭を下げる。
ようやく目の前の事件が終わったことに安心したイッセーは木場の背中を叩く。
「やったな、イケメンッ!!」
「イッセー君?でも僕は…」
「あー良いって、細かいことはさ。まずは一端終了っ!難しいことはその後で考えようぜ」
笑顔を見せる彼に、何も言うことが出来なくなった木場は呆然とする。
「それに」とイッセーは意地の悪い笑みを見せる。
「きちんと、お仕置きを受けないとな」
「えっ?」
彼の言葉に疑問符を浮かべながらも、リアスの方を見ると魔力を込めた右手で何やら素振りをしている。
一瞬何をしているのか分からなかったがイッセーの言葉から何をしているのか理解する。
「お尻叩き、千回ね♪」
「頑張って耐えろよ、『騎士』様』
「……ファイト」
「が、頑張ってください」
「あらあら」
「湿布は用意した、安心してお尻を突き出しなイケメン」
満面の笑みを浮かべるリアス、茶化すイッセー、エールを送る小猫とアーシアに笑う朱乃、そして湿布の箱を用意しているヴァイア。
いつもと変わらずに接してくれるメンバーに木場はようやく笑うのであった。
一方、無事に帰還したキョンシーとハルピュイアは紫色の布で覆われている棺の隣にいたケンタウロスにモールから渡された宝玉を渡す。
「頼みましたよ」
「任されたっ!!」
満面の笑みを絶やさずにケンタウロスはその宝玉を棺の上に置くと、怪人態に使用するランスを召喚して棺ごと翡翠色の宝玉を破壊する。
途端に凄まじいほどのエネルギーが放出され、それをケンタウロスは外見とは不釣り合いなほどの手先で適量のエネルギーを送り込む。
モールから渡された宝玉は彼自身のウィルスを結晶化した物、聖剣によって膨れ上がったウィルスを棺に収まっている『ネオストラ』に適合するように変換して必要な個所に注ぎ込んでいるのだ。
ケンタウロスのオペを待つ最中で、黒いコートの青年が現れる。
「オクトパスとモールはもう一つの目的を達成してくれたみたいだな」
「ホッパー……!!」
「随分と調子が良くなったみたいだな」
ハルピュイアとキョンシーの言葉に「ああ」と彼は穏やかな笑みを見せる。
そして、仮面ライダーとの戦いで勇敢に散っていった二人の同胞に対して黙とうを捧げると、近くのソファに腰を下ろした彼は近況を報告する。
「マンティスは上手くやっている。『アルビオン』の方は好き勝手にやっているようだがな」
「奴は危険です、今もテロリスト共に改造実験用のウィルスを提供しているのですよ……!!」
「分かっている。だからこそ俺たちも奴らと手を組むことにした」
その言葉に過剰に反応したのはキョンシーだ。
僅かな怒気を膨らませた彼はホッパーに詰め寄る。
「どういうつもりだ……!?」
「アルビオンの奴を確実に始末するには奴らと手を組むしかない。いざというときには切り捨てれば良い」
無茶苦茶な意見をぶつけるホッパーにキョンシーはしばらく睨んでいたが、付き合いの短くない彼を信用することにしたキョンシーは息を吐く。
「……勝手にしろ」
「助かる。ただ、作戦に支障のないニンゲンなら別にお前の好きにして構わない」
そんな会話をしていた二人に、ハルピュイアは新たな仮面ライダーに対して口を開く。
「報告にあった赤龍帝の仮面ライダーのことですが、如何なさいますか?変身前を狙って彼を倒すというのもありますが」
「それは駄目だ」
彼女の提案にホッパーは却下する。
同胞の行動を重んじる彼だが、王道を好む彼にとっては非道を最も嫌う。
ハルピュイアもそんなホッパーのことを分かっているのか、ため息を吐いただけで何も言及せずに光が収まったケンタウロスの方を見る。
「成功だっ!オペは成功したぞっ!!はははははははははっ!!」
その声と共に棺を破って起き上がったネオストラは紫の布を取っ払う。
カブトムシを彷彿させる禍々しい紫色の西洋甲冑を纏い、赤いマントを羽織った騎士のようなネオストラの腰にはインフェクションドライバーがセットされており、紛れもなく幹部クラスであることが分かる。
「良く眠れたかい?『エリゴール』」
『ああ、随分とな』
かつて72柱序列十五位として名を連ねた上級悪魔の名を持つ『エリゴール・ネオストラ』は、微笑むホッパーに対してそう返すのであった。
数日後のオカルト研究部の部室にて。
コカビエルとネオストラの戦闘によって運動場などが焼け焦げたりクレーターが出来上がったりと使い物にならなくなっていたが、生徒会が一般生徒たちの登校時間までに校内の修復を行ったため翌日の朝には問題なく授業が開始されていた。
部室にはいつものようにリアスたちとヴァイアがいたが、そこからもう一人……。
「やぁ、赤龍帝。私も悪魔になった」
両腕を組み、悪魔の翼を広げて何処か自信のあるドヤ顔を見せるのは聖剣の使い手であるゼノヴィア。
学園の制服を着て目の前にいる彼女にイッセーは驚き、アーシアも可愛らしい声で驚きの声をあげる。
木場と小猫も、このことを知ったのはついさっきのことらしい。
「『騎士』として新しく眷属になったのよ」
「仲良くしてあげてくださいね」
リアスと朱乃は笑ってそう言ったが、イッセーは一先ず状況を理解しようと悪魔になった理由を尋ねる。
「……何でまた?」
「神がいないと知ってしまったんでね、破れ被れで頼み込んだんだ」
「ア、ハイ」
あまりにもあっさりとした理由にイッセーはもう考えるのをやめていた。
リアスがデュランダル使いが仲間になったことで『剣士の両翼』が誕生としたと喜んでいる表情を見て毒気を抜かれたのもある。
ちなみに職員室にいた愛奈のセンサーがその中二チックなネーミングに反応したらしいが、まぁ別に支障はないので割愛することにしよう。
「今日からこの学園の二年に編入させてもらった……『よろしくね、イッセー君♪』」
「真顔で可愛い声を出すな!!」
真顔でボケる彼女にイッセーは条件反射の勢いでツッコミを入れる。
指摘されたゼノヴィアは「イリナを真似したんだが」と真剣な表情で考えている。
「だけど、本当に良かったのか?」
「主がいない以上、もはや私の人生は破綻したに等しいからな。だが、敵だった者の軍門に下るのは如何なものだろうか?いくら魔王の妹だとはいえ……私の判断に間違いはなかったのか?」
途中で自分の選択について何やら思案を始めるゼノヴィア……やがて結論の出ない考えに迷い込んだ彼女は両手を組んで目を閉じる。
「お教えください、主よ…あぐぅっ!!?」
「ゼノヴィア、自分が悪魔になったことを忘れんなよ」
思った以上に抜けている様子に、最初に感じたゼノヴィアのイメージ像が良い意味で砕けたことでイッセーは苦笑いする。
頭を抑えて地面にへたり込んでいる彼女に、一つ疑問に思ったことを尋ねる。
「なぁ、イリナは?」
「……彼女は本部に戻ったよ」
少し寂しげな様子で彼女は窓から見える外の景色を見る。
あの時傷の治療を受けていたイリナは神の不在を知らずに済んだため、事件が終わった後は悪魔になったゼノヴィアから渡された聖剣と奪還した聖剣の破片を手に帰国したらしい。
信仰の深い彼女がその事実を知ったら心の均衡が保てるか分からない。
対して自分は最も知ってはならない真実を知ってしまった厄介者、すなわち異端の徒……。
「だから、悪魔に……」
「君に謝ろう、アーシア・アルジェント」
悲しそうに見るアーシアに、ゼノヴィアは彼女の元まで近づく。
「主がいないのなら、救いも愛もなかったのだからな。酷いことを言ったにも関わらず、君は私の傷を癒してくれた……本当に、すまなかった」
そして彼女はアーシアの前で深く頭を下げる。
『神の不在』を知らなかったとはいえ、周囲への話だけで彼女を一方的に追い詰めてしまったことを謝罪する。
あの時身を挺てして庇ったこともあってか知らない内に罪悪感が湧いていたのだ。
「君の気が済むなら、殴ってくれても構わない」
尊敬されるべき聖剣使いから禁忌を犯した異端の徒……それを知った時の周りの目を、彼女は今も忘れられない。
きっと、彼女もあのような目を向けられ避難されたのだろう……。
心から頭を下げる彼女にアーシアは少しだけ困惑するが、彼女の瞳に映る悲しみを理解する。
自然と、彼女は言葉を紡いでいた。
「ゼノヴィアさん、私はこの生活に満足しています。悪魔ですけど……大切な人や友達、大切な方々に出会えたのですから。本当に、幸せなんです」
純粋な笑顔を向けるアーシアに、ゼノヴィアは「そうか」と微笑む。
神の不在を聞いた彼女も辛いはず……なのに自分を傷つけた相手に笑顔を見せるアーシアと改めて視線を合わせる。
「それなら今度、この学園を案内してくれないかな?友達として……どうかな」
「はいっ!」
確かな友情が芽生えた二人にヴァイアは「良かった」と何度も頷きながら涙を流しており、見かねた木場がハンカチを渡したが、鼻をかんだため苦笑いする。
アーシアと握手をした後、ゼノヴィアは木場の方を向くと手合わせの約束する。
「さっ、新入部員も入ったことだし……オカルト研究部も活動再開よ!」
『はいっ!』
立ち上がったリアスの言葉に、新たな仲間を含めたイッセーたちとヴァイアも元気良く返すのであった。
くぅ疲。これにて第三章は終了です。コカビエルとかもっと活躍させたかったのですが、モールを活躍させようとした結果、何だか道化みたいな役割になってしまいました……こんな話になってしまった非力な私を許してくれ。
今回のスミロドンハートですが、とにかく炎と光で相手を焼き尽くすマジでバッドなビートダウン系フォームです。ちなみにバッドは「ブレイズ(B)・アクション(A)・ダイナマイト(D)」の略です。スミロドンハートになると漢字二文字の言葉や造語を使うようになります。何処ぞのカシラのような感じです。
ではでは。ノシ
モール・ネオストラ ICV宮本充
聖剣計画に騙される形で参加してしまった関係者が自害する寸前にハルピュイアが感染させる形で誕生した。
銀色のドリルを生やした土汚れのあるブラウンの装甲を纏った剣士の風貌だったが、エクスカリバーの欠片を取り込んだことで銀の装飾が入った金の甲冑『聖剣態』へと進化を遂げた。
能力は地面を掘って自在に潜ったり、召喚した剣で相手を圧倒することで特に後者の能力は聖剣態となったことで強力になっている。
目的は犠牲の釣り合いを保つことだったが、もう一つは仮死状態だったエリゴール・ネオストラの復活に必要なウィルス(エネルギー)を集めることだった。