仮面ライダーDRAGOON 赤龍帝で仮面ライダー   作:名もなきA・弐

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 今回は番外編です。このままだとイッセーの母親を登場させる機会がないと思ったのでこのような話にしました。
 ちなみに、話の元ネタはS○ET DANCEのあるお話がモチーフになっています。


Extraなお話
その1 フィギュア、製作しますっ!!


さて、ライザー・フェニックスとのレーティングゲームに向けてグレモリー眷属は十日間修行をすることになる。

彼らが己を鍛えるために激しい修行をする中、『彼女たち』は何をしていたのかを語り記述しよう。

場所は至って普通の辰巳宅。そこの二階に存在するイッセーの部屋の隣室では、カーテンを閉め切った状態で一人作業する女性がいた。

 

「……」

 

一言も発さず、上着の袖が擦れていることも気づかないどころか眼中にない彼女は黙々と己の作業道具であるペンタブで一枚のイラストを描き上げて行く。

そしてカラー処理を終えた彼女はすぐに二枚目へと突入する。その際、自分で撮った写真や通販で取り寄せた図鑑やモデルガン…仕事相手から渡された資料に素早く目を通しながら作業を進める。

三枚目、四枚目、五枚目とイラストを完成させて最後のイラストを描き終えたことで仕事が終わった。

そして彼女はたどたどしくも丁重に、自身が手掛けたイラストを担当編集に送信すると少しばかり散らかっている部屋を歩き回る。

やがて自分の探していた物…ベッドの上にあったスマートフォンを見つけた彼女は何処かへ電話を掛ける。

 

「もしもし、木村さん?アニメ『魔法少女 カナ☆マジ』のキャラクター原案と『僕は実力主義の学び舎で青春を謳歌する』のライトノベルとゲーム版、あの新人作家さんの『ラブコメはファンタジーと共に』のイラスト全部終わりましたぁ……えっ、どの作品も締め切りはまだ?じゃあ、やり直しですかぁ……問題ない?じゃあ、これでお願いしまぁす。先生やPさんたちには改めてお礼をしますので、はい…はぁい。失礼しまぁす」

 

通話を終えた彼女はカーテンを開けて日の光を浴びると、椅子の背もたれに背中を預ける。

 

「ん、んぅ~……終わったぁぁぁぁ…」

 

そう言って、彼女…『辰巳加奈子』は思い切り伸びをした。

加奈子はイラストレーターを職業としている。

何処か大らかな雰囲気と言動からのんびりした女性だと思われることが多いが、基本的にスタートが早い上に集中力が極端に高いので、先ほどのように別作品のイラストを仕上げることは稀ではない。

あまりにも化け物じみたスペックの持ち主であるため、親族からは「イラスト製造機」、編集からは「時間旅行されてる」などと言われているが特に気にしていない。

ちなみに『木村』なる人物は仕事関係で知り合った彼女の友人であり、顔も広いためこのような無茶振りを加奈子からされることも多々あるがそれをこなしているため、そちらも十分化け物であることを言及しておこう。

閑話休題……しかし、ようやく仕事が全て終わった彼女は現在フリー。

自由時間となった加奈子は、腹の虫を鳴らしながら階段を下りて食事をしようとリビングに向かう。

 

「あっ、シャワー浴びないと」

 

そう一人ごちた彼女は一端、部屋に戻って着替えを持ってくると再びリビングへと向かい、風呂場へと向かった。

 

 

 

 

 

「いただきます」

 

シャワーを浴び、着替えを終えた彼女は愛奈が作っておいた朝食をレンジで温めてから食事をする。

オムライスを頬張ってから数分後、「御馳走様でした」と食事を終えた彼女はこれからどうするかと考える。

ちなみに彼女の服装はアームカバー代わりとなっている丈の合っていない上着と灰色のズボンを着用しており、オシャレとは縁がない格好をしているが恵まれた美貌と長身、長く伸ばした栗色の髪の先端を黒いリボンで纏めている。

そして非常に起伏のある身体は姉である愛奈とは完全に正反対(本人に聞かれたらただでは済まないだろうが)である。

食器を洗い終えた後、彼女が決めたことは一つだった。

掃除機とはたきを常備して家の掃除を始めた。

基本的に家事などは愛奈とイッセーに任せているが仕事が終わり、またはオフ期間の時は率先して家事をするのだ。

一階の掃除を終えた後、今度はイッセーの部屋へと侵入する。

久々に入る息子の部屋に妙な好奇心を躍らせながらも彼女は埃を綺麗にしたり、ベッドの下にあった本などを綺麗に整頓してから空いている本棚に入れる。

そして、ふとある物が目に入った。

 

(これ…確かイッセーちゃんがはまっていたアニメの…)

 

プラモデルと一緒に並んでいる中、一際浮いているフィギュアが目に入ったのだ。

明らかに深夜向けアニメのような、ツインテールにしている豊満なキャラクターのフィギュアはイラストレーターである加奈子でも知っている作品だ。

その造形に興味を煽られた彼女は手に持ってそれを確かめ始める。

正面から左右から更には真下から……一しきりの角度で鑑賞を終えた彼女は元の位置に戻そうとした時だった。

 

「…くしゅっ」

 

可愛らしいくしゃみと何かが落ちた音がしたのはほんの数秒のラグだった。

彼女の手にあったはずのフィギュアは床に転がっており、それに気づいた加奈子は慌てて拾ったが……。

 

(あっ…あぁ…!?)

 

衣装の部分が落ちた衝撃で剥げてしまったのだ。

事態に気づいた加奈子は慌ててどうするべきか考える…イッセーはしばらくの間いないが、自室に来たら間違いなく気付くであろう。

そうなると疑われる人物は一人、自分しかいない……自分の末路も決まったも同然。

 

(だ、大丈夫っ!ま、まだ塗装が剥がれただけだし、家には道具がたくさんある!諦めたら試合終了だよぉっ!!)

 

幸いにも今は誰もいない。その時間内で全ての工程を終わらせれば良いだけの話だと自分で自分を鼓舞する。

手先の器用さには自信があるし、問題はない。

かくして、加奈子の一人孤独な戦いは幕を開けた。

 

 

 

 

 

愛奈は帰路へと足を進めていた。

今日は駒王学園には顔を出さず、本業の動物学者の方を優先していたので教授にレポートを提出するだけだったのだ。

意外にも早く終わったことに驚きながらも、自宅へと辿り着いた愛奈は鍵を開けて扉を開いた。

 

「ただいまー…」

 

ドアを開けた彼女を待っていたのは、絶句するほどの光景だった。

何せ自分の妹である加奈子が両手で何かを守るようにしながら蹲っており、身体を震わせていたのだ。

事情が全く分からないながらも、彼女は妹を刺激しないように優しく話しかける。

 

「か、加奈子…?」

「びえええええええええええ、お姉ちゃあああああああああああああんっっ!!」

 

一方、姉である愛奈の存在に気づいた加奈子は、涙を大量に零しながらタックル紛いに彼女を抱き締める。

身長差もあってか、自身の豊満な胸を愛奈に押し付ける形になってしまう。

 

「イッセーちゃんに、イッセーちゃんに嫌われるうううううううううううううっっ!!」

「ふごごっ!ふぐぅ…!…ぷはっ、とりあえず離れろおおおおおおおおっ!!」

 

パニックになっている加奈子の抱擁から解放された愛奈は、渾身の想いを込めて叫んだのであった。

 

 

 

 

 

「…で、このフィギュアを修正しようと色々としていたら顔が消えたと」

「うん…」

 

一時間後、何とか落ち着きを取り戻した加奈子はぐずりながらも事情を説明し、納得した愛奈はのっぺらぼうになったフィギュアを見る。

色々と手を打ったのだが結果として事態は最悪の一途を辿ってしまい、どうすることも出来ずに蹲っていたところで愛奈が帰ってきたのだ。

しかし、これではどうあがいても不可能だ。

油性ペンで誤魔化す段階を明らかに超えているため、素人の自分ではどうすることも出来ない。

しばらく考えて、あることを思い出す。……確か、このフィギュアは中学生の時に友人と共に買ったかクレーンゲームで手に入れたかだったはずだ。

ならば、そこから打開策が見つかるかもしれない……。

そう考えた愛奈はフィギュアをカバンに入れると、加奈子を連れて駒王学園へと向かった。

 

 

 

 

 

駒王学園へと到着した二人は、下校準備をしている松田と元浜を見つけると、愛奈は満面の笑顔で説得を行い空き教室へと連れ去り事情を説明する。

 

「……て、感じよ。分かる二人とも?」

「事情は分かったんスけど」

「それで俺たちにどうしろと?」

「君たちどうせ、帰ったらエロDVDを見るしかないんでしょ?だったら私たちを助けなさいっ」

 

半ば脅迫に近い、言動に松田と元浜も普段のテンションを維持出来ずにいる。

しかしフィギュアのことを知っているからといってその技術があるわけでもない。とてつもない無茶ぶりに対して途方に暮れている彼らだったがやがてあることに気づく。

 

「……そうだ…!確か模型部があったよな?」

「…あぁっ!!あった!俺、そいつと顔見知りだっ!」

「それよっ!」

 

これならフィギュアも修復出来るかもしれない、一筋の希望が見えたことで愛奈は思い切り万歳をする。

それがいけなかった。

勢いよく両腕を上げたことでフィギュアがすっぽ抜けてしまい、フィギュアは弧を描いて開いていた窓へと飛んでいく。

更に不幸は続き、用務員が運んでいたゴミ箱に入ってしまい、それに気づかないままその男性は焼却炉の中へとゴミを入れる。

 

「ち、ちょっと待っ…!!」

 

愛奈は叫ぶも、その声が遠くにいる用務員に聞こえるはずもなくフィギュアは焼却させられた。

 

『……』

 

あまりにもありえない…誰かの作為としか思えない出来事に全員が沈黙する。終わった…完全に詰んだ、チェックメイト。

そんな絶望が全員に振りかかる中、加奈子だけは僅かに瞳の色を変えた。

その目は諦めでも、自暴自棄になった人のそれではない。

 

「松田君、模型部に案内して」

「えっ?は、はい」

 

加奈子に急かされる形で松田は彼女たちを案内する。

模型部の部室へと到着し、その知り合いである生徒に話を通してもらった彼らはその部長に事情を説明する。

そして加奈子が最初に発した言葉は……。

 

「フィギュアの素材って、基本的にどういう奴かな?」

「えっと…ガレキ(ガレージキットの略)用は色々ありますけど、初心だったら『ファンド』って奴が良いと思います」

「ふむ…」

 

紙粘土のような長方形の素材を置きながら話す部長からの説明に、加奈子は真剣な表情でそれを聞く…そしてガレージキットについてあれこれと質問すると彼女はそれに対して何度も頷く。

嫌な予感がした愛奈は恐る恐る尋ねた。

 

「ねぇ、加奈子?あんた、まさか……」

「お姉ちゃん。私、フィギュアを一から作り直す」

 

はっきりと、力強く宣言した彼女の言葉に愛奈はおろかこの場にいた全員が絶句する。

しかし、それに対して異議を唱えたのは模型部の部長だ。

 

「そ、それは無茶ですよっ!てか、本気ですかっ!?素人がフィギュア制作なんて」

「やるしかないんだもんっ!やらなきゃイッセーちゃんに嫌われるもんっ!!」

 

その言葉に、子どものように反論する加奈子だが、そんな彼女を落ち着かせるように松田が口を開く。

 

「嫌っ、無理っすよっ!いくらおばさんでも…」

「大丈夫っ。私は小さいころ、お父さんのプレゼントに金賞並の紙粘土作品を送ったことあるから」

「知らないっすよ!そんな子どものころのほのぼのエピソードッ!!」

 

元浜の至極当然なツッコミを加奈子はスルーしながらも部長に作り方を教授してもらう。

フィギュア作りは針金またはファンド自身で芯を構築してからバランス良く盛っていくのだが、はっきり言えば素人が出来る範囲ではない。

しかし…。

 

「こう?」

「何で出来るのよっ!?我が妹ながら器用にも程があるわっ!!!」

「ちょっとっ!?本当に初めてなんですかあなたっ!!?」

 

かなりバランスの良い顔のパーツをファンドで作り、それを見た愛奈と部長は驚きの表情を露わにする。

松田と元浜も言葉が出ない中、加奈子は疑問符を浮かべながらもその答えを口にする。

 

「子どものころの粘土細工の感覚を思い出しながらやっただけだけど」

「どんなクオリティだったんスか、その作品っ!!」

「で、でも…このセンスなら全然いけるぜっ!?」

 

化け物スペックを発揮する彼女にドン引きしながらも、見えてきた希望の道筋に元浜と松田たちも色めき立つ。

しかし…。

 

「あれ?どんな形だったっけ?」

 

加奈子は自分で見た物しか作ることが出来ないのだ。

イラストの際も自撮りした写真で構図を取っている。

フィギュアを見ようにも肝心のフィギュアは焼却炉の中……しかし、そこで元浜は眼鏡を光らせる。

 

「まだだっ!確か、あのフィギュア…ミルたんさんの友達が持っていたっ!!その人の電話番号とメアドを持ってるっ!!」

「元浜君っ、すぐに繋いでっ!」

 

愛奈の言葉を聞いた元浜はすぐにミルたんの友達に電話し、ある程度の事情を説明すると快く了承してくれた。

その数分後、元浜のスマホからそのフィギュアの動画と画像が送信される。

部長も率先して協力をしてくれるのか、フィギュアに関する雑誌や資料及び道具や塗料を心置きなく貸してくれた。

かくして、加奈子のフィギュア制作が始まったのだった。

 

 

 

 

 

あれから、五日後。

試行錯誤を繰り返した結果……フィギュアは完成した。

その出来はオリジナルと比べても何ら遜色はなく、むしろ一から作り直したのもあってか新品とほぼ同じである。

完成した作品を元の場所に設置する。こうして辰巳加奈子のフィギュア制作は無事に成功を迎えたのであった。

 

「イッセーちゃんにばれないよね?」

「その時は一緒に謝りましょ」

 

今さら不安で押し潰されそうになっている加奈子に対して、姉である愛奈はソファで項垂れている彼女の頭を優しく撫でるのであった。

そして、加奈子の作ったフィギュアはイッセーにばれたのかばれなかったのか……それは、この章で終わった時明らかになるであろう。




 オチがない?この話のオチはフェニックス編が終了した後になりますのでそれまでお待ちください。
 ちなみに、このお話はフィクションですので実際のお仕事ではこのような無茶は絶対に通りません。ご了承ください。
 ではでは。ノシ
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