これは確かにキツいな。
俺は今、心がまったく踊らない事にあっている。周りを見渡せば一人を除いて女子、女子、女子。ハッキリ言ってキツい(大事な事だから二回言った。)自分で行くとは言ったもののこれはなぁ…。
そう。俺は今行きたくもなかった"IS学園"に自分で行っている。何故こうなったのかは約一ヶ月ほど遡る。
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あれから俺たち二人は抜群のコンビネーションを見せながら黒服の男たちから逃げていた。頭上を飛び越えたり、チャリで轢いたり、倒れたところをチャリで踏んだした。まぁ死ぬことはないけど普通に考えたらかなり危ないよな。良い子は真似すんなよ!で、そんな感じで目的地までなんとか逃げると、1台の車が停まっており、そこから一人の青年が出てきた。
「無事だったか、お前たち。」
「あ、龍夜さん!」
「黎斗が言っていた迎えってグラファイトのことだったのか。」
車から降りてきた青年 グラファイトこと百瀬 龍夜(ももせ たつや)さんは俺たちのチャリを折り畳み車に積むと、いきなり俺の頭をグーで殴った。
「いってぇ!」
「お前はいつになったらその呼び方を止めるんだ!?人の黒歴史のアダ名で呼ぶな!」
「へーい。」
「ほら、さっさと車に乗れ。黎斗が待っている。」
「わかりました。」
「りょーかい。」
こうして俺たちはグラファイトの車に乗り幻夢コーポレーションへ無事に着いた。そしてそのまま社長室に行き、ドアを開けると。
「えーむー!」
「うわぁ!ちょ、ポッピー!?」
「大丈夫永夢!?怪我してない!?どこか痛くない!?」
「だ、大丈夫だよ…。」
「止めなさいポッピー。永夢が困ってるでしょ。」
「だって明日那~。」
ドアを開けるなり永夢に抱きついたのは永夢の"彼女"であり、俺たちの幼馴染みの一人、ポッピーこと壇音色(だん ねいろ)。そしてそれを注意するのがポッピーの双子の姉である、壇 明日那(だん あすな)である。名前から察するにこの世界の二人は別々の人間であり、黎斗の妹だ。
「で、黎斗は?」
「兄さんならあっち。」
明日那の指を指した方を見るとこの幻夢コーポレーション社長であり、ポッピーや明日那たちの兄である 壇 黎斗(だん くろと)がこちらを見ていた。
「二人とも。無事でなによりだよ。龍夜もありがとう。」
「そんなことよりこれから永夢はどうなるんだよ?」
「恐らくIS学園に強制入学だろうね。」
「そ、そんな…。」
「永夢!?」
永夢はショックのあまり倒れるが、それをポッピーは支えた。永夢がショックを受けるのも無理はない。何故なら永夢は三年のときに必死で勉強をして難関の国立高校に入学が決定していたからだ。そんな努力をたかがISを動かしただけで諦めなくてはならないなど許せない。
「なんとかならないのですか、黎斗さん…?」
「ハッキリ言って不可能に近い…。」
「そんな…。」
その場に居た全員が暗い顔をするが、俺はある方法を思い付いた。
「俺が永夢の代わりに行く。」
「え!?」
「パラド君?」
「俺は永夢と双子だ。顔もそっくりだし、DNAもほぼ同じだ。」
「でもパラドはISを動かせないだろ?」
「…。」
確かに俺はISを動かせない…。でも永夢を助けるにはこれ以外に方法が思い付かない…。どうすれば…。くそ!こんな時に転生者特典が邪魔になるなんて!
「1つだけ方法がある。」
「え?」
「どういうことだ?」
「実は今わが社で極秘に進めているプロジェクトがあってね。それを使えばパラド君を永夢君の代わりに入学させるとこが出来るかもしれない。」
「本当か!?」
「そのプロジェクトは何なのですか!?」
「プロジェクトの名前は
MRS(マスクドライダーシステム)プロジェクトだ。」