「今整備室に向かってる。」
『じゃあ入ったら適当に工具を揃えてくれ。しかし……』
「どうした?」
『ポーズがもう破られるとはな。後1年ぐらいは大丈夫だろうとたかを括っていたが、マスターガシャットの完成を急がなくてはな……』
現在、一夏はクロトと電話で通話をしながら、整備室へと向かっていた。可能性は低いが、ポーズが破られた原因がガシャットに無いかを探るためだ。
「今破られたら不味いのか?」
『不味いも何も、もしISのコアが学習して破ぶったのなら、コアネットワークによって一気に拡散される可能性がある。そうなってしまえば、いくらエナジーアイテムがあろうと君の身が危険だ。仮面ライダークロニクルが稼動するまでは、何としても破られるわけには行かない。それに……』
突然、歯切れが悪くなった。何かあったようだ。
「何かあったのか?」
『……先日の乱入者、君の送ったデータには無人機とあった。それは戦った3人と、調べた極一部の教師しか知らないことだ。端から見ればあれは有人機。そもそも、「ISには人が乗っている」が常識な時代だ。』
「それがどうかしたのか?」
『殺したと騒がれてるんだよ。君が、乱入したISの操縦者を。何も知らない者からしたら仕方無いと思うが、しかもそれが学園の外にまで広がっている。ここまで言えば気付くだろ。』
「つまり、人を殺した俺なら殺しても問題ないと?」
『IS、と言うより、女性至上主義者の中ではそう考えているのが殆どだ。この先も襲撃が無いとは言えない。君の命は今危険な状態なんだ。IS学園にも居るんじゃないか?命を狙ってるのが』
現時点で誰かは断定出来ない。だが、1組の中でも殺人者を見るような視線を向けてくるのがチラチラいる。鈴の居る2組や、女尊男卑が多いと言われているクラス、ISの価値が下がると危険視している人が多いクラスからは、消そうと言う声もある。
『思い当たる事があるなら気を付けたまえ。いくら幻夢コーポレーションと言えども、全てを庇いきれる自信は無い。その為にも、今君の最大の力を失うわけには行かない。……一緒にこの世界に来た君には、死なれたくないからな』
「そうか。着いた。今から準備する。」
電話をしながら、整備室の中に入ると、一夏は息を飲んだ。目の前に、素人が見ても分かるほどの精巧なISが置かれていたからだ。
本人は無意識だろうが、あまりの美しさに、自然と手が伸びてしまった。
「触らないで!!」
「ッ!?」
背後から怒鳴られ、意識がISから引き戻された。
「あぁ、君のISか。済まない。許可もなく触ろうとして。」
「あ、いや、その。こっちこそごめんなさい。急に怒鳴ったりして……」
一夏が余りにも素直に謝ったので、少し気まずく感じたようだ。顔が俯いている。
「……自己紹介が遅れた。織斑一夏だ。所属は1年1組。よろしく頼む。」
「あ、私は更識簪。1年4組。よろしくお願いします。」
『ん?簪……。!一夏!今すぐ彼女と電話を代わってくれ!!』
すぐに作業が始められるようにと、通話は付けたままだった。お互いの自己紹介を聞いて、簪の名前にクロトが反応し、代わるように一夏に言った。何やらスゴく興奮しているように聞こえる。
その声を聞いて、一夏も簪に自分の携帯を差し出した。
「……も、もしもし?」
『更識簪さん!君の噂は予々聞いているよ!!未成年の天才ゲームプログラマーにして、天才ゲームプレイヤーだと!君の作ったゲームを私は全てプレイしている!どれも素晴らしい出来だと思っているよ!ぜひ私の会社に来て話をしてほしい!!』
「え、えっと……。失礼ですが、どちら様ですか?」
『あぁ~。申し遅れた。幻夢コーポレーション社長のクロトだ。君のゲームへの才能は素晴らしい物だと思っている。作ってるジャンルのゲームから、私とは気が合いそうだ。会って話がしたくてね。』
「えぇ!!クロトって、あの天才ゲームクリエイターの!な、何故そんなスゴい人が、私のゲームなんかを……。」
『好きだから以外に理由は無いだろ。予定が出来たら一夏に伝えてくれ!いつでも開けておく!!あっ!製作途中の専用機も持ってきてくれ!じゃ!』
それを伝えると、一方的に通話を切った。切った直後に、ガシャットの調べる手順が送られてきた。
「かけ直せよ!」
ピピピピ
『一方的に切ってしまって……( ´-ω-)今更かけ直すのは恥ずかしい(/-\*)』
はぁ、ため息をしながら、メールを閉じ、空いている作業台に座った。
「更識さんはゲームを作ってるのか?」
「簪で良い。名字で呼ばれるのは嫌い。」
「それは済まなかった。」
「ゲームを作ってるのは本当だけど、クロトさんみたいに共感されたのは初めてかな……」
「それは何故?天才ゲームプログラマーとまで言われているのに……」
確かに意外だ。天才プログラマーと言われているにも関わらず、ゲームに共感されたのは初めてときた。
「天才ゲームプログラマーって言われてるのは、作るのに使ってるソフト以上のゲームが出来るから。ダウンロードしてプレイした人の殆どはクソゲーってコメントするよ。」
「でも、ダウンロード数は多いんだろ?」
「うん。でも、それは改造するため。結局、みんなが欲しいのはプログラムの方なんだよ。ゲームを褒められた事は一度もなかった……」
「……今度、教えてくれないか?簪の作ったゲームを。」
「え?何で?他にも良いゲームはいっぱいあるよ」
「クロトが興味を持ったゲームは、恐らく簪のが初めてだろう。珍しく俺の前でゲームをべた褒めしてたからな。他の会社やフリーダウンロードゲームには絶対にしないクロトがだ。俺も興味を持つさ。製作者が目の前に居れば尚更な。」
「う、うん。じゃあ、今度持っていく。」
「あぁ。ならその時は一緒にゲームをやろう。鈴と箒と簪と俺で。天才ゲームプレイヤーが居ると、鈴も喜びそうだからな。」
ゲーマーとゲームプレイヤーの違い。それはやるゲームの幅だ。ゲーマーは特にジャンルを決めず、幅広く、多くのゲームをプレイする。対してゲームプレイヤーはプレイするジャンルが少なく、そのゲームを極める。
これが大きな違いだろう。(作者の勝手な思い込みと偏見)その為、技術には偏りはあるが、腕前は天才ゲーマーの鈴にも近いものがあるかもしれない。得意ジャンルなら勝っている可能性もある。
そんな人とゲームが出来るかと思うと、一夏も楽しみになってくる。
「マスターガシャット……。臨海学校までには完成させたいな……。恐らく、あのウサギがもう一度アプローチをしてくる頃だろう……。妹の意思を無視して、最新のISを持って来るのは目に見えている……。完成を急がなくては……。」
社長室で呟くクロト。机の上には、色々な絵柄のガシャットと、ピンクのレバーが目立つ黄緑色の道具が置かれていた。
「仮面ライダークロニクル。究極のゲームには、一夏の存在が不可欠だ。守るためならなんだってやってやるさ。」
そう言うと、黄緑色の道具と『Mighty Action X』と描かれた紫のガシャットを持って、何処かへと向かっていった。
簪の作ったゲームがクソゲーと言われる原因は、難易度がかなり高いことと、内容が難しすぎて共感を得られなかったことです。
難易度は全体の7割が序盤で断念するほど。内容はリアル過ぎて、ゲームを癒しとしている人の心にダメージを与えた。
等を考えています。
クロトが何をやったのかは書きませんよ。と言うか書けないので。
次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告もよろしくお願いします!!
―See you Next game