この時期になると、どんなゲームでもクリスマスイベントが始まる。スマホのアプリしかり、オンラインのネットゲームしかり、どんなゲームもそれぞれ魅力的なイベントを始める。それは、ここ最近人気の体験型アクションゲームである仮面ライダークロニクルも、そのご多分に漏れずクリスマスイベント開催の真っ最中である。そのイベントの名は、
『クリスマスにデンジャラスなゾンビ!このゲームマスターを倒してみろ!!ヴァハハハハ!!!』
とまぁ、こんな逝かれたイベントが現在開催中なのだ。イベント名の通り、仮面ライダーに変身したクロトが実際にプレイヤー達と戦うのだ。だが、そのクロト本人がチートレベルに強い。その為、現在進行形でイベント敗者の記録を更新し続けている。
『『『GAME OVER』』』
ほら。また敗北者が出た。HPがゼロになると、自動的に変身が解除される。そして、それから12時間は変身が出来ない。それはゲーマドライバーを持っていようとも変わらない。
「また負けたか……今日で何人目だ?」
「さぁな。もう4桁は更新しただろ」
と言うことは、最低でも1000人はやられている事になる。このゲームのプレイヤーはかなり多い。都心にあると言うのも理由の1つだが、幻夢コーポレションの作ったゲームは人気が高い。その為、地方でも仮面ライダークロニクルをプレイできる場所を設置しているのだ。全部幻夢コーポレションの私有地になっているがな。
何度も挑んで攻略法を考えるチームプレイヤーがいるが、敗者が出る度に戦略を変えるのだ。もうそろそろ、どんなに優秀な軍師でも、戦略を考えるのが難しくなっていくだろう。
「さぁ!次は誰だ!!?早くこの私を攻略してみろ!!ヴァハハハハハハハ!!!」
うわぁ~……考案者がかなりデンジャラスな事になってるよ……。大丈夫か?このイベント。
「うわぁ~……クロトさん楽しんでるわね~」
「これ私達にクリアできるのか?」
「相手はゲームマスターだぞ……と言うか何故ここに来て開発者が出てきた?」
「クロトさん、元々はプレイヤー側の人間だからね。楽しみたい気分になったんじゃない?」
クロトの変身する仮面ライダーゲンム、ゾンビゲーマーレベルXの直前ステージで、先に入って行ったプレイヤー達を観察していた鈴、箒、簪、ラウラの4人だが、未だ入るのを渋っている。
「どうする?今は1番強いのでもレベル5よ?」
レベル5とは、ドラゴナイトハンターZの事だ。と言っても、4人で力を共有して戦うため、本来の力をフルで出せるかと言ったらそうでもない。かと言って、1人で使えばほぼ100%の確率で暴走だ。自分達のレベルが上がれば暴走するっての確率は減るかもしれないがな。
「考えてても仕方無い!取り敢えず突っ込みましょ!駄目だったら変身を解除して逃げる!これしかないわ!」
つまり行き当たりバッタリと言うことだ。だが、鈴の言ったこれ以外に妥当な作戦は無い。仕方無く全員で突っ込む事にした。
「「「「変身!!」」」」
『『『『レベルアップ!!』』』』
「来たな……!仮面ライダー諸君!!この私を攻略してみろ!!」
「言われなくても!!」
それぞれレベル2に、ラウラはレベル3に変身して、得意な位置から攻撃をする。だが、やはりレベルの差か、攻撃は全て受け止められ、入ったとしても大きなダメージは与えられなかった。
「ッ!ならこれで!」
『ドラゴナイトハンターZ!!』
「大・大・大・大・大変身!!」
『ガッチャーン!レベルアップ!マイティジャンプ!マイティキック!マイティマイティアクション!X!アガッチャ!ド・ド・ドラゴ!ナ・ナ・ナ・ナーイト!ドラ!ドラ!ドラゴナイトハンター!ゼット!』
鈴がドラゴナイトハンターZのガシャットを使い、ハンターアクションゲーマーレベル5となる。フルドラゴンのため、そう長い時間制御は出来ないが、現段階ではこれしか有効な手立てはない。
「はぁあ!!」
「グッ!流石天才ゲーマー!そのガシャットの力をここまで引き出すとは!」
「このまま一気に!ッ!?ウワァッ!!」
空へ飛んで、クロトに大きなダメージを一気に与えようとしたが、飛ぶ瞬間に何かに足を捕まれた。何かと思い振り替えると、そこには地面から上半身を出しているゾンビゲーマーのゲンムが居た。だが、それだけではなく、四方八方から大量のゲンムが現れたのだ。
「ちょっ!何この量!?キモい!!!実際に見ると凄くキモい!!!」
「気持ち悪いのもそうだが、コイツら強いぞ!」
箒がガシャコンソードで一体一体斬っているが、斬れば斬るほど無限に湧いて出てくる。その状況に、箒と鈴は勿論、簪とラウラも手間取っていた。
「キモいとは心外だな。ゾンビゲームではお馴染みだろ?無限に増殖するのがな!」
「ああ!しつこい!!何で死なないのよ!!」
「しつこさと図太さ、そして数の暴力こそがゾンビ!!君達に攻略出来るかなぁ!!?」
「一旦退くわよ!!簪!」
「了解!!」
やはり、今の状態では無理なようで、クロトの視界を奪って逃げることにした。ゲーマドライバー持ちのプレイヤー達でも勝てないと分かったら、他のプレイヤー達はどう思うだろうか……
「レベル5でもやっぱ無理か~」
「相手はレベル10だからな……」
「10じゃないかもしれないよ」
「ん?どういう事だ?」
テンションの下がっている鈴。そんな鈴に対してレベル10相手では仕方無いと箒が慰めるが、簪がレベル10ではないかもしれないと言ってきた。
「イベントの広告には、レベル10じゃなくてレベルXって書かれてた。もしかしたら、10じゃなくて未知数って言う意味の方かもしれない……」
現在、プレイヤー達のリフレッシュルームで休んでいる時の話だったが、簪の発した言葉に、聞き耳を立てていた他のプレイヤー達の間に、一気に諦めムードが流れた。
「それ……クリア不可能じゃない?」
「レベルが未知数だったら、数でかかっても勝てないぞ?」
「いや名人、これまでのイベントだって確かに鬼畜でドSの域だったが、何とかクリア出来たんだぞ?」
「何かのアイテムとかあれば……」
アイテムか……確かに、アイテムはゲーム攻略には重要なアイテムだ。だが、今回のイベントで有効なアイテムと聞かれれば何も出てこないだろう。
「ん~……サポートキャラエナジーアイテムは全部使っちゃったからもう無いし、他のエナジーアイテムじゃ使えるのは特に無いしな~」
サポートキャラエナジーアイテム。それは、このゲームの稼働記念イベントで紹介されたエナジーアイテムの事だ。だが、この前残ってたヤツをこのイベントを攻略するライドプレイヤー達にあげてしまった。まぁ、結果から言うと、多少の効果は合った。ファイズはアクセルフォームになって増殖したゲンムを倒してくれたので、全員灰になって蘇ることは無かったし、その他のキャラもそれなりに有効な働きをしてくれた。が、本体のゲンム相手ではやはり役不足であった。
「アイテム……あ、ならあそこに行くのはどうだ?アイテム部屋」
「あぁ~。あそこ」
アイテム部屋。本当はアイテムの間とか言われている。ここでは様々なアイテムを手に入れることが出来る。その中にはガシャットもある。と言っても、ガシャットは低確率だし、手に入るエナジーアイテムはレア度の低いもので、新規のプレイヤーやレベルの低い者が主に使う部屋だ。
「はぁ……ここにいても仕方無いし、取り敢えずアイテム部屋に行きましょ」
そう言う事で、有効かどうかは分からないが、アイテム部屋に来てみた。ここでは周りにあるブロックや壁を壊したり、宝箱を開けることでアイテムをゲットすることが出来る。
「なんか出た?」
「鋼鉄化と高速化が出てきた」
「私は連射が出てきたわ」
やっぱりと言うか、確かにレア度の高いアイテムは出てこない。どれもこれもガチャで出てくる様な物だ。
「ラウラは?」
「……よっと!!よし当たり!名人!隠し通路あったぞ!」
怪しい壁を見付け、思いきって壊してみた。するとそこから妙な通路が出てきた。何故か木造だ。
「何処に続いてんの?これ」
鈴の疑問は確かだが、せっかくの隠し通路だ。進まないわけには行かない。木造と言うところが怪しいがな。
「なんか、お寺みたいな作りだね~」
言われてみれば、確かにそうだ。作り的に言えば寺だ。床の張り合わせや扉の位置、部屋の中の状態。どれもこれも寺のそれだ。
「寺に関するゲーム何てあったっけ?」
「ん~……出てなかった様な気がするよ」
どんなゲームだよ。寺がテーマって予想が付かないぞ。歩くこと数分、本堂らしき場所についた。そして、仏壇の前の座布団の上には見たことの無いガシャットが置いてあった。
「これ……何のガシャット?」
「ボーズ・オブ・テラー?ホームページにそんなゲームは無かったけど……」
「「「「マジで何のゲーム!?」」」」
4人とも同じことを言った。確かにタイトルからはゲームの内容をイメージすることは全く出来ない。ラベルの絵柄は、マイティーが袈裟を着て、M4と錫杖を持っていると言う状況だった。マジで何のゲームだ……
「行ってみる?」
「う、うん……取り敢えずゲットしたし、行ってみようか」
とんでもなく不安が残るが、取り敢えずまたクロトの相手をしに行った。スゲー不安……
「また来たな!ゲーマー諸君!!さぁ!どんな作戦で来るんだ!?」
クロトがゾンビのゲンムを増殖させながら、楽しそうに待っている。仮面で隠れているが、その表情は確実に笑顔だろう。
「よし!ノーコンテニューで、クリアしてやるぜ!」
『マイティーアクション!エックス!』
『ボーズ・オブ・テラー』
「ん?そのゲームは……ハッ!始末するの忘れてた企画段階で没になったゲーム!!」
「え?どんなゲームなの?」
「……アメリカに居た世界最強の傭兵が、傭兵家業を止めて日本に来て、日本の文化に触れて惚れ込み、僧侶になるんだが、悪霊を退治するために法術と傭兵時代の経験を使って敵を倒すゲームだ」
「それゲームとして成立してるの!?ストーリー全く分からないよ!!」
「だから没にしたんだよ!!!何故そのゲームのデータここにあるんだ!?」
仮面ライダークロニクルの製作の最終段階のとき、このゲームに関しては大事な部分は全てクロトが作っている。が、最終段階に入り終わるときには8日連続で徹夜をしていたのだ。間違って入れてしまったのだろう。
「そのゲームは削除する!!」
「させるわけ無いでしょ!変身!!」
『ガッチャーン!レベルアップ!!マイティジャンプ!マイティキック!マイティマイティアクション!X!アガッチャ!キョンシー、ゾンビー、ターイラーント!真夜中の恐怖!ボーズ・オブ・テラー!』
ガシャットを壊そうと、クロトが飛び付いてくるが、変身と同時に神々しい光に包まれ、ゾンビゲーマーのクロトを吹っ飛ばした。
「ウワァッ!!チッ!ならこれで!!」
大量にゾンビのゲンムを作り出し、鈴に向けて走らせる。だが、持っているM4で一体一体確実に弾丸を撃ち込み、錫杖で近付いてきたゾンビを殴り倒した。
「よし!邪気退散!!」
そう言いながら錫杖を鳴らすと、ゾンビのゲンムが光になって消えていった。
「何て言う力だ!何故レベル6のガシャットに……!」
「幽霊には僧侶!これが世界の真理!!ラスト行くぞぉぉ!!」
『ガッシャット!キメワザ!ボーズ・オブ・テラー!CRITICAL STRIKE!!』
錫杖をクロトに投げ飛ばすと、胸のアーマーに突き刺さり、動きを止めた。そして、無防備になったクロトに全力で飛び蹴りを放った。その蹴りは錫杖に当たり、クロトの中にドンドン入っていく。
「グッ!なんだ!この力は!!」
「これでゲームクリアだ!!」
「クッ!ウワァァァァァ!!!」
攻撃が決まると、クロトは爆発してゲームクリアのファンファーレが鳴り響いた。これにて、このクリスマスイベントはクリアされたのだ。
「まさか……ゲームマスターのこの私が負けるとは……まぁ良い。クリアの報酬だ。受け取れ」
渡されたのはゲンムレベルXのエナジーアイテムだ。それを人数分貰った。このイベントの報酬としては妥当な所だろう。
「没にしたゲームでイベントをクリアするとは……」
「物は使いようって事ですね!」
「君たちなら、クロノスも攻略出来そうだな。これからの活躍にも期待しているよ」
それを言い残すと、クロトはゲームエリアから消えていった。
ボーズ・オブ・テラーの変身音は鉄血のブリュンヒルデさんからです!ありがとうございました!
あ、現在進行形で更新している、絆の戦士と7人の魔法使いのリメイク版もよろしくお願いします!!