やはり私と彼の出会いは間違っている。   作:赤薔薇ミニネコ

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20話です。


第二十話 敵と出会う

「やっぱり、みんなで仲良くできる方法を探さないと、解決にはならないか」

「そんなことは不可能よ、一欠けらも可能性なんてないわ」

 

 葉山君の一言で、雪乃さんはすごい剣幕で起こり始めた。三浦さんも加わり、口喧嘩がはじめる。

 

「ちょっと雪ノ下さん、あんたなに?」

「なにか?」

「せっかくみんなで仲良くやろうってのに、なんでそう言うこというわけ?」

「まあまあ、三浦さん落ち着いて」

「そうだよ、ユキノンも抑えておさえて」

 

 私と結衣ちゃんで三浦さんと雪乃さんをなだめるが、怒りの収まらない三浦さんはヒメヒメさんに連れられてその場を離れていった。夜になり私達はログハウスに集まり、また留美ちゃんについて話し合う。

 

「雪乃さんはなにかいい解決方法ある?」

「いまは思いつかないわね」

「ふーん、隼人がきっとみんな仲良くできる方法を思いつくから大丈夫じゃない?」

「は~、三浦さんいいかしら、あの男にそんな考えが思いつくわけないわ。今までがそうだったのだから」

「は?雪ノ下さんあんたね、さっきといいなんなのまじで、隼人の何を知ってんのよ?」

「まあ、あなたよりは知っているつもりよ?」

(ひ~、八幡また喧嘩が始めっちゃったよ!助けて……)

 

 三浦さんと、雪乃さんの口喧嘩が三十分ほど続き三浦さんが泣き出してしまった。雪乃さんは三浦さんを見て外へ出て行ってしまった。私は三浦さんを海老名さんと結衣ちゃんに任せ雪乃さんの後を追った。ロッジハウスから少し離れた森の中で、寂しげに星空を見上げている雪乃さんがいた。

 

「忠絵さん、あの子の事なんとかしないといけないわね」

「ねぇ、雪乃さんなにか葉山君とあったの?」

「ただ小学校が同じで、親が知り合いなだけ、彼の父親が父の会社の顧問弁護士をしているの」

「家ぐるみの付き合いなんだね」

「そうなのでしょうね、でもそういった外向きの場にでるのは姉の役割で、私は代役でしかないの……三浦さんに悪いことをしてしまったわ」

「三浦さんも葉山君のことになるとね、恋する乙女になるんだよ」

「今日は来られてよかったわ、ヒメヒメさんが海老名さんと分かったし、いろいろアドバイスもしてもらえそうね。帰るまで私のかわいいペットは大丈夫かしら……」

「大丈夫だと思うよ。初めての作ったNPCキャラだしと同じの外の小屋には剣豪さんもいるはずだし面倒見てくれてるよ」

「それにしても、地球時間で成長していくのはいいけど餌を上げないと強くなっていかないのはけっこう大変ね」

「成長して、はやく一緒に戦えるようになるといいね」

「ふふ、そうね。ヒメヒメさんにいい餌分けてもらわないとね」

 

 私は雪乃さんの後ろを歩きながらロッジハウスへと戻った――。

 

 皆が寝静まってる早朝、八幡のスマホに忠絵からメールが届く。八幡は短く欠伸をした後メッセージを確認し短く返事をする。八幡は物音を立てないようにログハウスを出て、深呼吸した後、忠絵のいるログハウスへ向かう。

 

「はやいな」

「朝早くごめんね、ちょっと二人で話したくて」

 

 八幡と私は鳥のさえずりが聞こえる小道を進み、綺麗な水の流れる川のほとりを二人で歩く。

 

「昨日雪ノ下さんと少し話したのだけど八幡は留美ちゃんのこと、どう思う?」

「そうだな、臆病なやつだとはおもう」

「臆病?」

「俺も小学生の時は鶴見と似たような感じだった。ヒキガエルとか、ヒキガヤ菌いろいろ言われたりもした。なんで俺だけって思ったよ、ムカついたやつはゆるさないノートに名前を書き込んだりもした。でも結局何もしなかった俺はそのまま小学生を卒業、中学でも変わらなかった。俺と同じ臆病なんだよ」

 

 八幡は寂しそうな表情で、川の流れを見つめていた。

 

「なんか、昔のことを思い出させちゃってごめんね……」

「まあ救うのは、難しいだろうな。でも助け舟くらいは出してやりたいがな」

「そうだね、私もあの子達のいじめがなくなるように頑張りたい」

 

 八幡は私の「いじめがなくなるように」の言葉を聞いて、真っすぐ目を見つめて話しかけてきた。いつになく真剣な八幡の顔に私は驚いてしまった。

 

「忠絵、勘違いしてないか?はっきり言っていじめをなくすのはよっぽどなことがないとたぶん無理だぞ。奉仕部の理念を忘れたか?魚を与えることではなく魚の取り方を教えることだ」

「え?」

「雪ノ下もシズカさんに昨日言ってなかったか?彼女が助けを求めたら依頼を受けると、あいつも鶴見が自分の力で今の状況を解決させたいと思ってるんじゃないのか?いじめの原因がどんなのかもわからない俺たちがいじめを解決できるわけないだろう」

「友達をいじめてる子と同じように無視したりしたから、今度は自分がいじめられるようになったんでしょ?」

「違う違う、いじめの根本だ。いじめてる子が、どうしていじめるような子になったかってことだ。原因なんて本人じゃないとわからないだろ?下手すりゃ本人もその理由すらわからないまである。だから俺たちができるのは鶴見の心を成長させて、いじめとどうやって向き合っていくか。葉山の言ってるみんな仲良くってのはほぼ無理だとおもう。忠絵や葉山を攻めてるわけじゃない、それだけいじめが難しい問題だってことだ」

 

 私は八幡の言葉を聞いて落ち込む。忠絵の表情を見た八幡は頭をやさしく撫でて慰めてくる。

 

「そろそろ、もどるか」

「ねぇ、八幡手つないでいい?」

「……ああ」

「ありがと……」

 

 私は小さい声で返事をし、手を差し出すと八幡は自分のズボンで手を拭き、優しに握ってくれた。八幡と私は顔を赤くして、来た道を戻っていく。私はロッジハウスに戻り、朝食のまで時間があったので再び浅い眠りについた。

 

 朝食の時間になり私達はロッジハウスを出て食堂へ移動する。食堂で朝食を食べながら今日の予定を平塚先生から聞かされる。

 

「さて、今日の予定だ。夜に肝試しとキャンプファイヤーをやる予定だ。昼間小学生たちは自由行動なので、その間に準備をしてくれ」

 

 八幡が目を腐らせながらキャンプファイヤーの思い出を私に語りだした。同じ席で食事をしていた、結衣さんと雪乃さんは苦笑いをしていた。

 

「ハチ、目が腐っているぞ。まあその目ならのお化け役がピッタリかもな!はは!」

「平塚先生、肝試し俺たちが驚かす役っすか……?」

 

 キャンプファイアーの準備を終えた私達は、近くの川で水遊びを始める。八幡はあとからのそのそと歩いてきて木陰にすわる。私を見つけて小さく手を振り、私も手を振り返す。

 しばらくして、留美ちゃんが八幡の傍にやってきた。奉仕部の私達は八幡の元へ駆け寄る。

 

「なんで一人なの?」

「水着をもってきてねーんだよ、お前は?」

「今日、自由行動なんだって、朝ごはん食べで戻ったら誰もいなかった」

 

 留美ちゃんは、いつもと変わらない雰囲気で八幡と話している。結衣ちゃんが一緒に「遊ばない?」と声を掛けるが首を横に振って答える。

 

「ねえ、八幡はさ、小学校のときの友達っている?」

(呼び捨てかよ!思わず心の中で留美ちゃんにつっこんでしまった)

「いない。なあ、お前は」

「お前じゃない、留美」

「……鶴見は、友達がいないといやか?」

「お母さんが納得しない、いつも友達と仲良くしてるかって聞いてくるし、林間学校で友達との写真たくさん撮ってきなさいって、デジカメ……それにシカトされると自分が一番下なんだなって感じる。ちょっと嫌だな…惨めっぽい。でも、もうどうしようもないし」

「なぜ?」

「私、見捨てちゃったし、もう仲良くできない、仲良くしてもまたいつこうなるか分からないし、ならこのままでいいかなって……」

 

 黙って留美ちゃんの話を聞いていた八幡は、留美ちゃんに話しかける。

 

「なあ、鶴見。お前のほしい友達ってなんだ?状況次第でシカトしてくるクラスメイトか?」

「……違う、信頼できる友達がほしい」

「信頼できる友達がほしいか……自分を信じてない奴が信頼してもらえるわけないだろ。お前はいまの底辺で気づくことができたんだろ?もうお前は人の心の痛みが分かるはずだ。まずはお前が変わらないとだろ?見捨てた奴に罪悪感があるならあやまればいい、もし何かあって困ってる人がいれば見捨てないで助けてやればいい」

「……許して貰えなかったら?」

「そりゃ人によっては許して貰えないだろうな、俺は昔のやつが謝っても許さないし。許す許さないなんて、人によって変わる、結果論でしかない。でも謝れば罪悪感は少なくとも減るだろ、気持ちが少しは楽になるんじゃないのか?」

「……うん」

「俺達には話せたんだ。きっかけは自分で作ったんだ、後は自分で行動するかどうかだ。やり直すのに遅いなんてない」

「……私は変わりたい」

「そうか肝試し楽しくなるといいな」

 

 私達は、肝試しの準備を始める。雪乃さんからみんなも気にしてたであろう留美ちゃんの話題をする。

 

「それで比企谷君、件の問題どうするの?」

「そうだな、肝試しで仲良くなれる方法だったか?難しいだろうな」

「海老名さんちょっと話があるんだがちょっといいか?」

 

 八幡は海老名さんを呼んで部屋の隅で話をする。

 

「ヒメヒメさんこういうときはどうすればいいと思う?ギルドでギスギス問題とかあるよね」

「そうだね~、妬み恨み、裏メッセージ、悪口の書き込み。100人もいるとそういう問題は日常茶飯事だね~。仲良くやるには共通の目的とか共通の敵みたいなのがないと難しいかもだね~」

「共通の目的、共通の敵か……、だれか悪役やるしかないか、まあ俺しかいないか」

「私やろうか?あの子のグループの敵役やればいいんでしょ?小学生なんてうちのメンバーに比べたら可愛いもんだよ~。私とハチマン君の仲じゃない、それにハチマン君がやったらタタミンが悲しむでしょ?」

「そうかもしれないが、とりあえずみんなに相談してみよう」

 

 八幡と海老名さんの会話が終わったらしくこちらに戻ってきた。普段会話しないであろう二人のツーショットに違和感を感じたみんなだったが、静かに八幡の話を聞く。

 

「今日、鶴見と話をしたんだが、あいつは自分が変わりたいと言った。だから奉仕部への依頼として、その手伝いをしてやりたい。今日の肝試しで、あの子達のクループの時に、共通の敵として悪役をやろうとおもう。驚かすじゃなくて脅かすほうだ。その恐怖の中で鶴見が変われるかためしてやりたい。すまないが協力してほしい」

 

 八幡がみんなに向けて頭を下げる。葉山君の声が響く――。

 

「わかった、比企谷君。僕も彼女の力になってあげたい。きっと彼女たちならみんな仲良く乗り越えられるおもう。僕も悪役を引き受けるよ」

「海老名と隼人がやるならあーしもやるよ」

「すまない、たすかる」

「由比ヶ浜はすまないが女の子グループが出発した時の合図を携帯でしらせてくれ」

「ヒッキーまかせて!」

 

 私達は、肝試しの時間になり準備を始める。順番を留美ちゃんグループが最後になるようにし、その時が来るのをまった。

 

「それじゃ、最後はこのグループだね~!祠にお札があるからそれを持ってきてね~!それじゃいってらっしゃい~」

 

 結衣ちゃんから出発したとメッセージが届く。

 

「八幡、留美ちゃん達出発したみたい。それじゃ、お化け役終わったらヒメヒメさん達の所に集合しよう」

 

 脅し役の三人は肝試しの進行ルートで待ち伏せをし、最後のクループを待つ。

 

「それにしてもヒナが脅し役とか以外だな」

「あーしも、思った。海老名そういうイメージ全然ないし」

「いや~そうかもね、まあ友の頼みだし、貸を一つ作れるからね。ぐふふ……」

「海老名が変なこと考えてる……」

「深く追求しないでおこう……、来たみたいだなそれじゃ、作戦通りいこうか」

 

 肝試しの進行ルートから5人の女の子グループがやってくる。懐中電灯をもった先頭の女の子が闇に浮かび上がる、人型のシルエットを照らす。私と八幡も影に隠れて様子をうかがう。

 

「あれ~お姉さん達ふつうの恰好してる~」

「だっさ~」

「この肝試し全然こわくないし~」

「高校生なのに頭わる~い」

 

 小学生達の言葉に海老名が返事をする。

 

「あ?てめーらなにため口聞いてんだよ」

 

 海老名は眼鏡をはずし小学生達を睨みつける。

 

「ひぃぃ」

「なめてんのか、ダサイっていったやつ調子のってんのか?」

(ヒメヒメさん怖っ!いつも怒らない人が怒ると迫力あるね)

(そうだな……俺もあの場にいたら、ちびっちゃいそうだな)

 

 海老名は靴で木を思いっきり蹴り小学生を威嚇する。三浦は海老名があまりにもいつもと違い脅かし役を忘れてしまって口を開けてしまっている。小学生達も怯えて泣き出す子も現れる。

 

「そっそうだよ!あーしは鳴くやつが一番むかつくんだよ!さっき、ちょー馬鹿にしてたやつだれ?」

「ごめんなさい……」

(ねぇ八幡、ちょっと、やり過ぎじゃない?)

(そうだが、このタイミングじゃ鶴見も何もしてないし出るに出られないな)

 

 再び海老名さんの猛攻撃が始まる。海老名はは背筋が凍りそうな冷たい声で言い放つ。

 

「謝ってほしいんじゃね~んだよ、さっさと前に出ろって言ったんだよ?聞えね~のかよ、ハヤトこいつらやっちゃっていい?」

 

 木の陰からイケメンの葉山が姿を現す。

 

「そっそうだな、こうしよう三人は見逃してやる。二人はここに残れ!」

 

 葉山君の一言で鶴見ちゃんがカメラを手に少女達守るように前にでる。

((((えっ鶴見…?))))

 

 カメラのフラッシュを発光させ、それと同時に留美ちゃんが葉山君の股間を思いっきり蹴り上げるのが見えた。

 

「えい!」

「ぐあぁぁぁ……」

「みんなこっち!」

 

 留美ちゃんはほかの小学生達の手を取り、来た道を走っていった。

 

 一芝居終えた現場には、葉山君がうつ伏せで股間を押さえ、くの字になっていた。私と八幡もすぐ駆け寄る。男の人の痛みは男しかわからないので八幡に任せ、私達は戻り平塚先生に報告をした。平塚先生は小学生の先生に事情を話してくれて、大事にならなくて済んだ。

 

 留美ちゃんの女の子のグループは留美ちゃんの勇気ある行動に心を打たれらしく、五人仲良く話してるのが見えた。

 

「平塚先生、葉山君の具合どうですか?」

「私も男じゃないからわからんが、五人の様子を話したら涙を浮かべてよろこんでいたよ」

「鶴見の笑顔が見れてよかったな。まあ一時的な解決かもしれないが、結果的にあいつ自身で解決したことになったな」

「八幡そういえば、なんか留美ちゃんにいろいろアドバイスしてるときかっこよかったよ?やり直すのに遅いなんてないとかさ」

「ちょっと影響されたセリフだったからな」

「八幡は何に影響されたの?」

「ん?プリキュアだな」

 

 私はプリキュアと聞いて急にかっこよく感じなくなってしまった。

 キャンプファイヤーのある方から、私達の所に留美ちゃんがやってきた。

 

「八幡ありがとう、おかげで写真も撮れたし、いじめてた子と仲直りできた」

「気にするな、俺は何もしていない。お前が一人で解決したんだ」

「あの子達もきっと私と同じ臆病なんだ。また裏切られるかもしれないけど、今はこのままでいいかなって思うの。八幡に言った通り今度は信頼できる友達を見つける。もし見つからなかったら私の信頼できる大切な友達になってくれる?」

「見つからなくてもなってやるよ」

「それじゃ連絡先教えて?」

「ああ、ほらよ」

「ありがとう」

(八幡気付いてないみたいだけど、この子、乙女の顔になってる……ちょっと大人げないけど)

 

 私は八幡の腕に手を絡め、抱き寄せる。八幡の肩に頭を乗せ、留美ちゃんを威嚇する。

 

「畳谷、比企谷イチャつくなら私に見えないところでやってくれ」

 

 留美ちゃんは私に見えるように口を動かす。読唇術のない私だったが、「負けないから」と言う留美ちゃんの口の動きが分かってしまった。私達はキャンプファイヤーが終わった後、みんなで花火をして奉仕部合宿の最終日を終えた。

 




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