やはり私と彼の出会いは間違っている。   作:赤薔薇ミニネコ

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第26話です。


第二十六話 マカロンと出会う

 雪乃さんの手ぶらでは失礼よね、の言葉で私達は現在、商店街を見て回っている。

 

「ヒッキー、なにが喜ぶかな~」

「私はマックスコーヒーを買ってくかな~」

「無難な商品選びね、ほかにゼリーかシュークリームがいいかしら」

「美味しそうだね、ユキノン!」

「由比ヶ浜さんが食べるわけではないのだけれど……」

「そうだった……、スイーツならマカロンとかは?」

「結衣ちゃん、それいいね」

「そうね、それにしましょうか」

 

 私達は、マカロンとマックスコーヒーを購入した後、八幡の家に向かう。

 

「タタミンとヒッキーって、どんなデートしてるの?」

「私もちょっと気になるわね、比企谷君のデートプラン」

「中学の時は、おしゃれなカフェとか行ったりしてたけど、今は家デートばっかりだね。たまにラーメン屋に連れて行ってくれるけど……」

「デートがラーメン屋ってどうなのかしら……」

「ヒッキーもうちょっと頑張らないと……、なんか想像してたのと違ってがっかりだ~」

「八幡なりに気を遣ってくれるよ~」

「家デートってなにするの? 映画とか見るの?」

「う~ん……、八幡が持ってるボードゲームやジェンガで遊んだり、あとは一緒に音楽聞いたり、読書も多いかな~」

「ええ! ヒッキーってボードゲームとか持ってるんだ!」

「なんか昔はジェンガを使って一人で遊んでたみたい」

「あれって一人用ではなかったような気がするけど……」

 

 八幡の家に到着し、玄関のチャイムを鳴らすと小町ちゃんが出迎えてくれた。

 

「やっはろ~! 小町ちゃん」

「やっはろ~です! お義姉ちゃん、結衣さん、今日は兄のためにありがとうございます。えっと……」

「初めまして、になのかしら。比企谷君と同じ奉仕部の部長をしてる、雪ノ下雪乃です。ユキノンと、言ったほうがわかりやすいかしら」

「おお、リアルユキノンさんでしたか! コマチです、よろしくです~。是非、あがってください~」

「小町ちゃん、それじゃちょっとお邪魔するね~」

「兄は部屋にいると思いますので、お土産わざわざありがとうございます」

 

 私は、いつものように階段を上っていく。雪乃さんと結衣ちゃんは、ちょっとそわそわしている。

 

「男子の部屋に、入るの初めてだ。ユキノンなんか緊張するね」

「そっ、そうかしら……。私はそんなことないけれど」

「そうだ雪乃さん、あとで画像じゃない本物のカマクラを……」

 

 雪乃さんの目つきが急に鋭くなり、周囲を見渡している。早く、カマクラに会いたいようだ。八幡の部屋をノックする。部屋の中からは、力のない返事が聞こえた。各々挨拶をして部屋に入る。

 

「八幡、起きてて大丈夫?つらくなったら言ってね」

「だいぶ、弱っているわね」

「ヒッキー、いつも以上に目が……」

「すまん……、みんなに迷惑かけちまったな」

「そんなことないわ、文実のメンバーは、みんなあなたのこと心配してたわよ」

「表面上だけだろ、あれだけ仕事を押し付けたんだ。相模と一緒だよ」

「ヒッキー、ちょっと捻くれすぎ」

「八幡疲れてるね、マッカン買ってきたから後で飲んでね」

「おお、めっちゃたすかる。まだ、身体が少しだるくてな。親父の栄養ドリンクをもらったし、まあ、明日は学校にいけると思う」

 

 部屋のゴミ箱には数本の栄養ドリンクが入っていた。ここ数日、飲みながら仕事を続けていたのだろう。

 

「ヒッキー、サラリーマンみたい」

「明日から相模さんも来れるみたいだし、文実が落ち着いたら、またみんなでギルドイベントでもやりたいね」

「そうだな、またみんなで、チーバさんにでも挑むか?」

「私も、ギルドイベントまでにしっかり二匹目のペットを完成させたいわ。比企谷君、カマクラを見せてもらってもいいかしら」

「たぶん、小町が相手してると思うから連れてきていいぞ」

 

 部屋の扉がノックされる。小町ちゃんが、差し入れを持ってきてくれた。開けた扉の隙間からはカマクラが入り込んできた。

 

「お兄ちゃん、これ、みんなからの貰ったマカロンと飲み物だから、ちゃんとお礼いって食べてね。みなさんもどうぞ~。それじゃ、ごゆっくり~」

「小町ちゃんありがとう~」

「コマチさんいただくわ」

 

 八幡は、マックスコーヒーを飲み終えると、ベットで横になる。

 

「やっぱマッカンは最高だな。少し寝るから勝手にくつろいでくれ。忠絵すまんが、帰る時に声かけてくれ」

「わかったよ~、八幡ちょっと本読ませてもらうね~」

「比企谷君、私もちょっと、パソコンを借りてもいいかしら」

「ゲームでもやるのか?」

「ええ、ペットのカマクラを完成させようと思って、画像だけだとわからないところもあるのよ」

 

 雪乃さんのペットNPCの制作のこだわりがすごい。妥協は許されないようだ。

 

「デスクトップに、ゲームのショートカットがあるから。ほかのは、あんまりいじるなよ」

「それは、隠されてる如何わしい画像を、私に探せと言っているのかしら?」

「なんでそうなるんだよ!隠してないし、もともとそんなのないから」

「履歴を復元させてみようかしら」

「えっ、そんなことできんの?」

「ふふ、冗談よ。できるけどやらないわ」

「できんのかよ!」

 

 ゲームの中と同じようなやり取りで、雪乃さんは楽しそうだ。

 

「私もユキノンの手伝いするよ~!」

「由比ヶ浜さんありがとう、カマクラを逃げないように相手してもらえるかしら」

「まかせて~」

 

 八幡は耳に音楽のかかったイヤホンをして、ベットの上で寝息を立て始めた。雪乃さんは、黙々とカマクラを観察している。結衣ちゃんは膝の上にカマクラの乗せて手で撫でている。私はいつものようにのんびり読書をする。奉仕部とはまた違った雰囲気。安心できる空間。

 部屋には、戦士の八幡、魔獣使いの雪乃さん、ペットのカマクラ、詩人の結衣ちゃん、盗賊の私。こっちの世界にマカロンギルドがあったらこんな感じなのだろうかと、ふと思ってしまう。

 

「ヒッキーのデスクトップ画面、マカロンギルドメンバーの集合写真だね。あはは、私のキャラ初期装備だ」

「丁度、私達が入団した時に撮ったスクリーンショットのようね。私もこの頃は、ペットいなかったわ、次はペット込みの集合写真を撮りましょう。私はカマクラを完成させるわ」

「ユキノンがんばって」

 

 雪乃さんはパソコンに向かって黙々と作業を進めている。どのくらい時間がたっただろうか、すっかり結衣ちゃんと女子トークで盛り上がってしまった。そろそろ、帰る準備でもはじめようとすると、結衣ちゃんは八幡の寝顔を確認する。小さい声で私に話しかけてくる。私も小さい声で答える。

 

「やっぱり、男の人ってエッチな本とか持ってるのかな?」

「八幡がいない時、こっそり調べたけど見つからなかったよ」

「ふふ、そしたら次のギルドイベントはリーダー不在の部屋でお宝探しにしましょうか?」

 

 ノリノリで、雪乃さんも話に加わる。寝ていたであろう、八幡が急に声をあげる。

 

「おい!お前らあんまり物騒な話しするなよ……いちお俺の部屋だからな、ここ」

「うわ!ヒッキー、聞き耳立ててるとか怖いんだけど!」

「あら、盗聴谷君。おきてたのね」

「勝手に人を犯罪者にするな」

 

 雪乃さんはいつものように八幡をからかい、私達は帰りの準備をはじめる。

 

「遅くなってもいけないし、そろそろ帰ろうか」

「ヒッキー、ほんとに無理しないでね。約束だよ!」

「わかった、みんな今日はありがとうな。雪ノ下と忠絵は明日からも文実たのむ」

「まかせなさい、いい文化祭にしましょうね。それじゃまた明日学校で」

「ヒッキー、また明日ね~」

「それじゃ、八幡私も帰るね~」

「送っていけなくてすまんな」

 

 明日の文実に不安な気持ちを残し、私達は、三人仲良く帰宅をする。

 




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