斉木栗子と斉木楠雄のΨ難   作:ムラムラ丸

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おまたせしました!……とは書いたものの皆さん本当に待っていたのは原作「斉木楠雄のΨ難」の続きですよね。私もそうです。待ってたぜェ!!この“瞬間”をよぉ!!また続きが読めると分かった時本当に嬉しかったです。

それでは待っている人もいるかもしれない小説もどきの続きをどうぞ。


第16x かませ美少女VSミステリアスΨ女 その3

「斉木栗子先パイって今いる!!??」

 

 

 うふふ、突然の美少女の登場にビックリさせちゃったカナ?図書室にいた辛気臭い顔した地味メン逹が私を見て目を丸くさせちゃってるわ。

 ……っていうかこの学校の図書室って初めて来たけど結構広いし人もそれなりにいるのね。ま、図書室なんていう根暗の集る場所なんて知らなくて当然なんですけどネ。

 

 

「斉木ならここにいるよ」(うるせーししかもタメ口かよ…可愛いから許すけどブスならガン無視きめてたわマジで)

「わぁありがとうございますぅ先パイ☆」

「お、おう」(付き合いたい)

 

 

 情報に間違いなかったようね。さーてどこにいやがるのかしらねーあのクズ女はー。

 クズ女がここにいるって教えてくれた顎のすごい図書委員から顔を反らして部屋の中を見渡してあのクズ女を探――

 

「ってうおわあぁ!!」

 

 振り向いてすぐ目の前!?いつの間にっていうか足音とかしなかったけど!?

 私が後ろに倒れそうなくらい動揺してるってのに、目の前のクズ女はそんな可哀想な美少女に対してなんの感情もないような顔して見下ろしてるくるなんて!この美少女に向かってなんて態度なの!?

 

「ちょっとなん――」

 

 ちょっとなんなんですか!そう言ってやりたかったのに、その途中で右手の平を私に見せつけて「待て」とジェスチャーで伝えてきたからつい言葉を呑み込んじゃったわ。

 こっちはイライラしてるってのになんなの!?しかもなんでジェスチャー?口で言いなさいよ!!

 イラついた感情を無理やり押さえ込んでいると、クズ女は私の気持ちなどお構いなしにゆっくりとした動作で手の平を見せていたその右手を今度は壁に向けて伸ばし何処かを指差したわ。ほんとなんなのこの女、なんて思いながら渋々それを目で追うと壁に画鋲で止められた一枚の紙……っあ、あーそっかそうゆーこと。

 

「あ、すみませーん、うるさかったですよね……」

 

 その紙は“図書室内では静かに”って一番上に書いてある図書室を利用するためのルール、いやそんな小学生でも常識的なの当然知ってますし!うっかりしてただけ!人間ならよくある事ですから!

 表情変わんないから分かんないけど怒らせたら今から話し合いするのにやりずらくなりますからネ、一応形だけでも謝っておきマスか。

 ……あーでも形だけって言ってもクズ女に謝罪とかホントは嫌だなー。だってこの図書室にいるのクズ女以外全員男子だしこの美少女の私がちょーっと騒ぐくらい大目に見てくれてるに決まってるのに、なのにあのクズ女!さもここにいる全員を代表して注意してるみたいでちょームカつくんですけど。

 

 この私の謝罪に対してノーコメントノーリアクションで私の横を通りすぎるクズ女。もうホントなんなの!

 振り返ると私を待つように出口前に立って、目が合うと手で「おいでおいで」してからそのまま出口から出て行く、って、だ・か・ら、口で言えやこのクズ女が!

 

 

 Ψ Ψ Ψ

 

 いい加減私の事クズ女って呼ぶのやめてくれない?

 

 私にとってのクズは高橋(クズ)を指す言葉なんだ。高橋(クズ)野郎と同等な感じがして非常に気分を害するんだが。

 

 それにしても随分嫌われたものだな。ヘイトを買っているとはいえ私の一挙手一投足に文句を言われるとは流石に思いもしなかった。

 さっきだって呼ばれたから彼女の近くまで行っただけだし、図書室にいたやつらが満場一致で思った事を私が代弁して注意してやっただけだ。

 それから話があるなら場所を変えようと先に出口に向かったが、梨歩田が振り向きこっちを見た時の顔は普段のタレ目が更にタレて軽くピクピク動き口元はなんとか笑っているがひくついていた。ここまで感情を抑えられないなら清純美少女路線は無理があるように思えてならないな。

 

 さて、図書室から少し先の人通りの少ない廊下まで歩いてきたわけだが。ここまで来るのに三十秒もかからなかったがその間にも私に対するアンチコメントが止まらなかった。こんなんでまともに話し合いが出来るのだろうか。

 私は足を止め後ろについて来ている梨歩田へと振り変える。一瞬ドスの効いた目であからさまに睨んでいるように見えたがすぐに笑顔を見せる。誤魔化したつもりか?

 

 何を話し出すのだろうか。まぁ大体予想はつくが。

 

 

 ☆ ☆ ☆

 

 うおぉう、びびったぁ~。クズ女を急に振り向くから憎しみ込めて睨んでたのバレた!?……大丈夫、うんなんか大丈夫そうだし、いっか。

 ……やっぱり事前情報として知ってたとはいえまあまあの美人ね、大人っぽさだけなら照橋先パイよりも……って違う!なんでこんなクズ女を誉めてんのよ!フ、フン!トータルで見れば私の方が美人なんだから!

 

 

「突然呼び出したりしてすみません。私、梨歩田依舞っていいます。それであの、斉木先パイに聞きたい事があってですね」

 

 よーし、かましてやるわ!そのムカつく仏頂面歪ましてやるわ!

 

「ぶっちゃけ照橋先パイの事どう思ってます?」

 

 はっ、わざわざ人のいない場所を選んだのは間違いだったようねクズ女!ここなら気兼ねなく話せるわ。

 

「照橋先パイって本当に美人ですよねーそれに性格もいいし、先パイもそう思いますよね?そんな照橋先パイを世の男性が放っておくわけない、実際いつも学校で照橋先パイの周りには男子がいっぱいですよね」

 

 そしてその中にあのクズ雄もいると思うとほんと腹立たしいわ。

 

「そんな中で、もし、これはもしもの話ですよ?性格の悪いア×××クソビ××が照橋先パイを利用するために接近したりしたら先パイはどう思いますか?」

 

 どう思うのかしらねぇ?クズ女、あんたの事だからね?

 少しでも見に覚えがあれば顔に出るはず、それは確かな証拠よね、あんたがクズ雄と同類のクズだって事のね!さぁ正体を見せなさい!!

 

「もしそのビチクソクズビ××が人類史上最も美しいと名高い照橋先パイをだしにあれやこれやして万が一にも照橋先パイが不幸になるような事があったら、

 先パイはどう思うか知りませんが、私は許せません」

 

 私をあまく見ない事ね。だって私は美少女、涙ながらに男の人を頼ればあんたなんかただじゃすまないんだから!

 

 

 Ψ Ψ Ψ

 

 今の現状を説明しようか。表情だけ笑顔の後輩がワンインチ距離で凄んでいる。ここみんず(照橋心美ファンクラブの俗称)に目をつられている彼もこんな気持ちなのかもしれない。といってもチワワに吠えられてるのと大差ないがな。

 

(リアクションゼロ!?何の反応もないだなんて……何こいつ兄妹そろって表情筋死んでるんじゃないの!?)

 

 それにしても予想していたにしろ散々に言ってくれたな。だが概ね作戦通りに進んでいる。

 梨歩田がキャンキャンと一方的に吠えたところで私にダメージはない。

 

(うーんクズ女は照橋先パイにどうこうするつもりはない……いやいやいやそんなはずはないわ!今は諦めて別の作戦を考えなきゃね)

 

 いつでも何度でも来るがいい、私にはダメージが通る事はないだろうがな。

 今日まで数日間に渡って梨歩田依夢という人間を観察してきて分かったが、彼女の感情に任せた計画性の薄い行動が上手い事運んだ試しがないように思える。

 そこで待つ事にした。時間が経ち次第にどうでもよくなる自己鎮火。もしくは無理な行動をした結果の自滅。それを待つ。

 ああ、それに誰かに助けを求めようとしても無意味だ。テレパシーによって梨歩田が行動を開始するその前に助けを求める相手に“虫の知らせ”をして手を打てばいいだけだからな。助けを求めた後でも対処方は今思い付く限りで二十はある。ゆえに私としては助けを呼ぶのはおすすめ出来ない、リアルに「だが誰も助けに現れなかった」を身をもって味わう羽目になるぞ。

 基本的には私は余計な行動をする必要はない。精々お前の望む展開に持ち込めるように無駄な努力を続けるがいい。

 

(……でも確かな成果はあったわ)

 

 ……何?

 

(あれだけ言ったのに照橋先パイを心配する素振りも見せない所を見せないあたりクズ女の友情なんてその程度の薄情な人間だって事ははっきりしたわ。十分な収穫ね)

 

 ……………………ふん。

 

 

「言いたい事はこれで全部です。無理に答えをもらう気はありません。それでは失礼しま――」

 

「私から一言だけ」

 

「え、何、ですか?」(喋ったあああぁぁぁ!!え?斉木兄妹は終止無言を貫くって聞いたけど、ガセなの!?)

 

 

 斉木が喋ったらいけないというタブーは解かれたんだ、知らなかったのか?

 私は梨歩田の目を真っ直ぐ見る。

 

 

「私も友達……を含めた知り合いが傷付き悲しむ姿は見たくない。それだけだ、もう行っていいぞ」

 

 

 勘違いするなよ、私に友達なんてものはいない。友達零人を含めた知り合いがというのが正解だ。

 正直完全に余計な一言だったと認めざるを得ない。何も言わずやり過ごすはずが梨歩田ごときに薄情だなんだと色々言われた挙げ句にあんな発言をしてしまった。感情に任せた行動は駄目だと自分で言っておきながらこのざまだ。自制心が足りないと痛感する。

 

 数秒間の静寂。さてどうしたものか。

 

 

{“最後の時は”ときとして何の前触れもなく――}

 

 

 !?。またあの謎の声か!こんな時に……。

 

 

{いつもの日常に突然訪れる――}

「先パイ私からも一言言わせてください――」

 

 

 くそっ、謎の声は何が言いたいんだ。梨歩田のやつも何か言いかけているが謎の声が何か言いかけてるから黙って欲しい。

 

 

{全ての生物に“寿命”があり――}

「普通に話せるなら最初からそうしなさいよ!」

 

 ピシッ

 

 

 何!?私のメガネが――

 

 

 カララン…

 

{それは生物に限らず“物”にだってある}

「このク……」

 

 

 まずい!五秒時戻し!

 

 

 ドーーーーz____ン

 

 

 

 

 

 

 突然の出来事の連続で申し訳ない。だが今の出来事について説明の時間を設けさせて頂きたい。

 まず始めに話さなければならないのは私の「目」についてだ。裸眼()見たものを石にする「石化」の能力……は残念ながら双子の兄の斉木楠雄、彼の超能力だ。私の目の超能力は彼よりもっと酷い。

 

 私()裸眼を見た“生物”は私を魅力的に見える暗示にかかってしまう。能力名をつけるならば「魅了」だろうか。

 なんたるクソ能力。これを欲しがる人間もいるだろうが私には全く不要だ。利用する気にもならない捨てたい超能力No.1。

 普段地味な女がメガネを外したら美人になるなどといった乙女向け漫画でありがちな設定をこの私が体現する羽目になるとはな。全くもって嬉しくない。

 実はこの「魅了」という能力のクソさ加減はこれで収まらないのだが今は置いておく。

 

 さて、次の説明に入ろうか。

 いままでの話を読んでくれた読者ならこう考えるんじゃないだろうか「何かやらかしても時戻しがあるじゃん」、と。

 私の超能力「時戻し」正確には「合計一分限定時戻し」はその名の通り一日に合計で一分まで時を戻す事の出来る超能力。破いた紙だろうと誤って起爆してしまった爆破装置だろうとうっかり石化させてしまった人間だろうと一分以内であればやり直しがきく能力。

 一分というかなり短い制限があるかわりに、私を除く人類を含めた全生物は時間を戻した際の記憶を覚えていないというメリットがあり、付け加えて指定した人物の記憶を残す事も可能だ。

 これだけ聞けばかなり便利で有用な超能力だろう。実際私もこの能力は重宝している。だが後になって些細だが重大な欠陥が判明した。

 

 時戻しによって消えた記憶は微かにだが残る。

 ただその残った記憶は本当に微かで、どれほどインパクトの大きい記憶であったとしても時戻し後は大抵の場合誰も気に止めない。

 

 

 さて、また長い事説明をしてしまったわけだがこれらの説明から私が何を伝えたいのか勘のいい読者はもう察しがついているかもしれない。

 

 

「先パイ私からも一言だけ言わせてください――

 大好き!!」

 

 

 時間を戻すのが遅すぎた。謎の声が伝えたかった内容を察してメガネが壊れる前に時を戻せればこんな結果にはならなかった。

 

 

 ☆ ☆ ☆

 

 あんなに大嫌いだったのにあんなにクズな女だと思ってたのに、クズ女、ううん、栗子先パイは私なんかじゃ到底敵わないカッコいい人だった!

 どうして早く気が付かなかったの!?いいえ栗子先パイという人をよく知りもしなかったんだから当然なのかも。

 

 普段は寡黙で何を考えているか分からないミステリアスな人。でも私に語りかけたあの言葉。

 

『私も友達……を含めた知り合いが傷付き悲しむ姿は見たくない』

 

「友達」、これは照橋先パイを指しているのは誰にでも分かるわ。それだけでも栗子先パイが友達想いな人だって判明しましたが、それだけに収まらず「知り合い」も付け加えてくれている。これ、間違いなく私を指してますよね!?こんな敵対心バリバリだった私にまで気にかけてくれるなんて、なんて器の大きい人なの!!

 

 そう思うと無表情なお顔もすごく凛々しく見えてくるわ。あ、ヤバい顔が熱くなってきちゃった。ほんとにヤバいこのままじゃ恋しちゃうかも、こんなカッコいい人なら騙されてあれかこれやされても、ってヤバいそれはほんとにヤバいって!私には照橋先パイという人が、っていやいやいやだからまずいって!このままじゃこのままじゃ!違う世界にいっちゃうぅぅ~!!

 

 

 Ψ Ψ Ψ

 

 やめろ、いくな、帰って来い。

 

 わりと本気でヤバいスイッチを押してしまった気がしてならない、どうしよう、いや、どうしようもない。

 

 何故時を戻し後でも「魅了」の効果が消えないのか……それについてはすでに判明している。はぁ、これこそが最大のクソポイントだ。

「魅了」が私を魅力的に見せる超能力、それは説明した通りだが問題はその効果の出方にある。私の目を見て「魅了」された人間(生物)は一気に私を好きになるのではなく一定まで“増幅”されるのだ。それの何が問題なのかと聞くのは察しが悪いとしか言いようがないぞ。何故わざわざ「時戻し」の性質を説明したと思っている。

 

 そうだ、時戻しでは記憶は微かに残る。ゆえに私の目を見た記憶も微かに残り、その微かな記憶から「魅了」は増幅されてしまう。……これもう呪いじゃないか。

 

 

 

(あーもう好き!カッコ良くて頼りがいのある先パイ。私も勉強見てもらいたい!。あーでも頼るばっかじゃなくて頼られもしたいデスね……そうだ!栗子先パイにぴったりな男性を紹介すればいいんだ!)

 

 

 ありがたさを微塵も感じない迷惑な事考えてないでいい加減離れろ。梨歩田が「大好き」と言ったあたりからずっと抱き締められている状態だ。片手は壊れる予定のメガネを抑えているため自由なのはもう片腕しかない。無理矢理片手で引き剥がしてもいいが怪我させるわけにもいかないし……くそっ!

 

「そろそろ離してくれないか」

「ハッ!あ、すみません」パッ(なんでメガネ抑えっぱなしなんだろ?でもそんな姿も美しくしいわ)

 

 散々な日だ。また厄介なやつが増えるわ日に何度も口を開けて発言をするわで本当に散々だ。

 いやもう開き直ろう。ここまでひどい目に遭ったんだ。これ以上に悪い事なんて起こらないはずだ。起こってたまるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(偶然ここを通ったが……斉木栗子、あいつあんなに美人だったか?)

 

 

 おい、嘘だろ。




{補足}

・斉木栗子は梨歩田依舞と別れた後すぐに斉木楠雄を探しメガネに復元をして貰いました。

・斉木栗子は照橋心美を知った時思った。照橋さんも「魅了」を使えるのか?斉木栗子は訝しんだ。

これは補足の続きみたいなものなんですが、最後の魅了にかかった人物についてです。あれ高橋です。第14x1/3で高橋が斉木栗子の事が照橋さんと同じくらい好き、なんて言ってますがそれは「魅了」されたからです。はい、辻褄合わせです。

それでどうして本文の最後に高橋がそう考えていたと書かなかったその理由ですが、窪谷須亜蓮、才虎芽斗吏のどちらかが「魅了」される話を二つ番外編にしようかと考えていました、が……駄目……。思い付いただけでどんな話にするか全く決まってません。もしかしたら書くかも程度ですので期待はしないでください。


次回は斉木栗子のプロフィールを追加してこの話の次に移動したいと考えています。お楽しみに!
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