インフィニット・ストラトス 夜天の息子の鮮烈なる物語 作:ウィングゼロ
優希SIDE
ゴールデンウィーク2日目、昨日は色々とあったけど一夜が明けて朝日がまた昇った。
今日はいつも通りの時間帯で起床して母さんと一緒に朝ご飯を作っていた。
「優希、今日は何時ぐらいにマリエルさんの所にいくんや?」
『まあ、八時ぐらいに取りにいく予定…母さんと一緒に向かってもいいけど…教導が10時だからバイクで向かう予定』
ヴィータは早朝から教導の準備があるみたいでもういない…
10時ぐらいから教導予定なため結構早走りで簪の夢現を取りに向かわなければならないわけだ。
「それやったら朝ご飯食べたら、出かける準備しなあかんな…バイクで行くとなると、簪ちゃんは後ろに乗せるとして…本音ちゃんはどうするんや?」
『どうするかって…』
「当の本人はまだベッドで夢の中なわけですから」
そう、私服姿でソファーに座る簪は苦い笑みを浮かべる。
『本音には悪いかも知れないが留守番していてもらおう…』
「まあ、仕方ないな、家にはザフィーラも居るさかい、大丈夫やろう」
一人じゃないわけだから問題ないとそう思った俺は朝ご飯を作り。それを食べた後、幾分か時間が過ぎた。
俺と簪は今から本局に行くためにガレージから俺のバイクを出して、備え付けられているヘルメットを被る。
「これ、優希のなの?」
『ああ、15になったときに免許取得して買ったんだ』
バイク持ってることにへえ~と少し関心を持つ簪、そんな簪に俺は予備をヘルメットを手渡す
『ほら、時間も無いから行くぞ』
「うん!」
そう返答して簪はヘルメットを被るとバイクの後部に跨がりしっかりと俺にしがみつく。
簪がしがみついたのを確認した後俺はバイクを走らせて本局へと向かった。
NOSIDE
優希と簪が出発して時間が経ち八時前、本局のデバイスルームではとあるデバイスマイスターが頭を抱えていた。
「ど、どうしよう…」
恐ろしいことをしてしまったとそう思わせる声を上げるのは優希が夢現の強化を依頼したデバイス技師、マリエル・アテンゼ、彼女は目の前にあるものをただただ見ることしか出来なかった。
何故、彼女がここまで動揺を隠せない理由は昨日の夜まで遡る。
「ふぅ…これで後は少し微調整すれば完成かな」
パネルを操作して、夢現がほぼ完成した姿を見て微笑みを浮かべる。
「アテンゼ技術長、上がりですか?今からみんなで飲みにいくのですが、一緒に行きませんか?」
「飲みにですか…《あと少しだし…別に飲みに言っても良いよね》うん、それじゃあ、行かせてもらおうかな」
そこに同僚の局員達がやって来て飲みの誘いをかけてきて、それに少し悩んだ結果、同僚達と共に居酒屋へと向かってしまった。
誰かの音頭で始まったそれはワイワイと酒やつまみを飲み食いする。
そして1時間もすれば酒を飲んでいる人は酔いが回り、思考がまともに判断できなくなり…そして…
「えっ!?個人的に作ってるんですかぁ!?」
「はい、そうなんですよ~局に戻って~最終調整しないと~」
完全に酒に酔ってしまったマリエル、つい、夢現のことを話してしまう。
「それなら俺も手伝いますよ」
「俺も俺も」
そう酔いにやられた技術者が集るように夢現の強化に手を貸そうとするのを見て思考が回らないマリエルは嬉しそうに笑みを浮かべて局員の手を借りた。
そして酔いながら戻った…マリエル一行は…
「なるほど、これが…むっ!?マリエル主任にしては構造が甘い!もっとこうしないと!」
「このデバイスってミッド式ですか!?ならこのパーツが良いんじゃないですか?」
「あ、そうですね、さて明日には取りに来る予定だからぱぱっと作っちゃおう~!」
「おおっ~!!」
そして…
「ど、どうしよう」
こうなったわけである。
酔いの暴走が生んだ、武装にどうすればと頭を悩ますマリエル、部屋の床には何人もの酔いの勢いで協力をした技術者は倒れ込んでいる。
「失礼しま~す…って何これ!?」
と此処にバイクで向かっていた優希と簪も到着し、デバイスルームの惨状を見て驚きの声を上げる。
「あ、ゆ、優希くん…も、もう来たんだよね」
「は、はい…えっと…この惨状は…」
「えっと…これは……その……じ、実は……」
マリエルの口から語られる昨晩からの暴走劇、それを聞いて優希は絶句して頭を抱え、隣の簪はぽかーんと唖然とした。
「つ、つまり……酒の勢い余って…夢現が……デバイス化したと…」
「うん、それだけじゃなくて部品も殆ど第五世代型…」
「よ、ようはまだ試作段階の最新パーツを使ってしまったと」
「…はい、ど、どうしよう優希くん!?」
「お、俺に言われても!?」
取り返しの付かない事をしてしまったマリエルは焦りを滲ませ、優希に解決策を懇願したが、優希も優希で解決策など何も出てなかった。
「あの…つまり…私の夢現が管理局の最新世代の兵器になってしまった…ということですよね……なら、いっそ……私がその試作段階の五世代型のデバイスのテスターになったってことにすれば良いんじゃないんですか?」
そういう、簪に優希とマリエルは簪に顔を向けて、少し考えたあと難しい顔をした。
「確かにそれなら行けるかも知れないけど……何処の誰かもわからない子に最新式を受理できるほど上層部は甘くないよ?」
「簪、気持ちは判るけど……流石にな……」
やはり、局員からの観点で今回のことを見る二人に簪は俯いてしまうが優希は溜め息を付いて、口を開ける。
「まあ、どちみち夢現がいるのは確かだし…マリエルさん、予定通り夢現、持っていくから…この後2人でヴィータの教導があるからさ」
「あ、うん…ごめんね」
時間が無いと優希は夢現を手に取り、それを簪の打鉄弐式に収納すると、マリエルが一言今回の事で謝罪して、それを聞いた後優希と簪は急いで本局を後にした。