インフィニット・ストラトス 夜天の息子の鮮烈なる物語 作:ウィングゼロ
優希SIDE
本局に夢現を受け取りに行った俺達、マリエル達技術者達によってデバイスに魔改造されて頭の悩ませる種になってしまったが、今はヴィータが折角予定を入れてくれたんだ。それを棒に振ることなど出来なかった。
そして約束の時間三十分前、俺達は教導隊舎へと辿り着いた。
バイクを駐車場に駐車して教導隊舎の敷地内の道を歩いて行く。
『こっちだ』
俺が先導で隊舎ではなく少し離れた場所にある訓練施設、機動六課時代での訓練スペースへと足を運んでいく。
そしてリアルソリットビジョンで投射された廃墟とかした市街地が見えて、訓練スペースの設定の出来るパネルの前には白い教導官の制服を着たヴィータがいた。
「おっ!やっときたか……なんだ?あっちでなんかあったのか?」
ヴィータもこっちに気づいて話しかけてくるが、簪が俯いていることを気づいてその事について話してくると、俺は包み隠さず少し前に起きた夢現のことを話した。
「ま、マジかよ…」
話した結果はヴィータが頭を抱えて溜め息を吐き…そのあと割り切ったのか仕方ねえなと口ずさむと腕を組んで堂々と言った。
「まあ、こっちの不祥事だからな…あんま気にすんな…」
「は、はい」
事の正論を述べて簪を慰めるヴィータは、よし行くぞというと訓練施設の廃墟の市街地へと向かい丁度中心地まで歩くとそこでは足を止めた。
「よし!そんじゃあ特訓を始めるぞ…優希、簪のポジションとかわかるか?」
「センターガード…武装はティアナよりなのもあるが、どっちかっていうとなのは姉の方に近いかな」
「なるほどな…よし!そんじゃあ1本、模擬戦すんぞ!あたしに一撃でも与えられればクリアだ」
内容を聞く限りでは簡単…でも…今の簪じゃあ無理かな
「優希は近場の屋上から観察してろ、簪の準備が出来次第やるぞ!」
ヴィータが淡々と予定していた訓練を始めようとして、俺は邪魔になるので近くのビルの屋上へと退避した。
さて、何処まで行けるか見物だな
NOSIDE
優希が退避して簪は待機状態の打鉄弐式をその身に纏い新しくなった夢現を構える。
薙刀であった夢現の形は優希のロンギヌスと同じような両刃式の槍の形をしているがロンギヌスのように付いたり切ったりとという実体刃は存在しなかった。
《これどうやって使うんだろう》
急いでいたために使い方がいまいちまだわかっていない簪
ふと薙刀をイメージすると夢現に変化が起こる、
夢現の片刃がスライドして下がり、魔力刃が形成されて薙刀に変わった。
「ええ!?」
思考を読み取って夢現が形態変化したことに驚きを見せる簪だが、それを少し離れたところでアイゼンを手に持つヴィータがそろそろと思って声を掛けた。
「まだ戸惑うことあるが、馴れるしなねえな…おし…そろそろ始めるぞ!」
ヴィータはそういって強引に試合開始のカウントを始めそして、カウントがゼロとなり模擬戦が始まった直後、ヴィータが動き出した。
「てりゃあぁぁぁぁっ!!」
開始直後から真っ正面からの特攻、織斑一夏と同じ戦法ではあるが…素人と玄人とでは次元が違った。
踏み込みの速度が速く簪が気づいたときには既に懐まで迫ってきていて、反応する間もなくヴィータは声を上げながらアイゼンを簪に目掛けて振るう。
「っ!!」
咄嗟にアイゼンから身を守ろうと簪は夢現で防御しようと構えると夢現に当たる前にシールドエネルギーとは違う魔力のプロテクションが張られてアイゼンと衝突した。
「デバイスだからな…守ろうとして無意識で張ったんだろうが…あたしを阻めるかよ!!」
そういってヴィータは一度後方に飛んでから着地と同時に踏み込んで再びアイゼンで簪に攻撃を仕掛け、今度はプロテクションが破られ打鉄弐式のシールドが発生するもヴィータとグラーフアイゼンの前には安々と破られて絶対防御が発生しそのまま、押し切られて簪は悲鳴を上げながら吹き飛ばされる。
《うそ、一撃でも六割も持っていかれた…!?これが…世界の壁!?》
ビルの壁に激突し、苦しそうに残りのシールド値を確認し大ダメージを受けたことに絶句する。
「まあ…こうなるわな…」
それをサーチャーで見ている優希は予想通りといった顔で教導を見ていた。
[簪様も初めてとはいえ反射的にプロテクションの発動をしています]
「まあそれでも…ヴィータに一撃は無理だな」
そうぼやいているとブザーがなってヴィータと簪の模擬戦はヴィータの圧勝で終わった。
そしてその後簪に変わるように優希もヴィータと模擬戦を執り行い、こちらは一進一退の攻防が続きまた何度か簪もヴィータと模擬戦をしたが善戦には至らなかった。
そしてお昼時、簪は優希達と昼食を食べていたが俯いた表情で、食事を終えると訓練スペースの近くで海を見て黄昏れていた。
「はぁ…私…強くなれるのかな…」
ヴィータの教導は実践的で自分の問題点も指摘してくれていることから少しずつ改善はされているのだと簪は思っているが楯無との決戦は近いことから、前に進めているのかと焦りを滲ませる。
「ねえ、君」
「え?は、はい」
そう考えていると優しそうな女性の声が聞こえてきて簪は振り向くと、そこには茶髪の髪をサイドテールで纏め上げ、此処の白い制服を身に纏った若い女性が簪に向けて優しく微笑んだ。
「少し…となり良いかな?」