インフィニット・ストラトス 夜天の息子の鮮烈なる物語 作:ウィングゼロ
謎の人物により召喚されたハリネズミを撃破しほんのわずかな安息な時を過ごした優希達であったが、カブトムシのような二足歩行する召喚獣が優希達の前に現れる。
「リイン、簪達を頼む」
簪達の前に守るようにロンギヌスを構えて立つ、優希はリインに真剣な表情で頼む。
「優希!」
一人で戦おうとしているのを見て簪も前にへと出ようとするが優希に頼まれていたリインが簪を静止する。
「大丈夫です、優希は簡単にやられるような人じゃ無いですよ」
冷静に述べられるリインの言葉に簪は確かに正論だと押し黙るしかなかった。
「さてと…感じからさっきの奴とは別格だ…」
楯無のミストルテインの槍で倒した蟹
優希がディバインバスターで吹き飛ばしたハリネズミ、これら二つの魔力生物とは比べものにならないほどの風格を持ち合わせ、優希も身体強化しかしていないことで相手にするのはきついと判断する。
「ロンギヌス、バリアジャケットを」
[了解、バリアジャケット、セットアップ]
優希はロンギヌスに一言を言うと優希が来ている私服からバリアジャケットにへと変化する。
「…ふぅ…」
バリアジャケットを身につけると構えながら一度、空気を吐くと優希は相手の出方を伺う。
両者一歩も動かずに二分ほど膠着状態が続き、ヘラクレストの指が微動だに動いた瞬間事態は動き始めた。
先に動いたのはヘラクレストで、足に力を入れて飛び出すと物凄い瞬発力で優希との距離を詰め寄せて右腕を引いて優希の目の前に来ると引いていた右腕を優希目掛けて一気に突き出しその威力は優希のいる床をひび割れて床の破片が辺りへと飛び散った。
「優希!いやあぁぁぁぁっ!!」
一瞬で優希のいた場所にあれほどの重い一撃を繰り出されたことで簪は悲鳴を上げて叫ぶ。
「いいえ、優希は大丈夫です、ちゃんと避けてます」
隣にいるリインは取り乱すこと無く冷静に優希が攻撃を避けたことを伝えると、簪は信じられないと思いながら目をこらして見ると床がひび割れたことで土煙が舞う中、ヘラクレストの背中の左側、高速魔法で先の一撃を避け低い姿勢でヘラクレストを狙う優希の姿が微かに見えた。
「はあぁぁっ!」
背後を取った優希はロンギヌスを切り上げるが直ぐに察知したヘラクレストはステップの要領で前に出ると切り上げていたロンギヌスの刃は空振りに終わり、前に出たヘラクレスト、前に出た後に前のめりになって両腕を床に付けると腕を力で体を飛び上がらせて、空中で方向転換するとそのまま優希目掛けて前宙返りしながら踵落としを繰り出す。
「っ!」
避けた後いきなり攻撃に転じることを予測して回避行動をしていた優希は後ろに飛び踵落としを避けると同時に左手を右肩辺りに移動させると左手の指の合間に10㎝ほどの銀色の短剣が三つ生成される。
[シルバーダガー]
「これで!」
銀の短剣…シルバーダガーをヘラクレスト目掛けて投げつけ、シルバーダガーはまっすぐにヘラクレストの着地点に迫るも着地したヘラクレストはシルバーダガーを右腕で大きく振りかぶり三本とも弾き飛ばした。
「本命は……」
[ディバイン]
「こっちだ!」
[バスター]
優希はシルバーダガーをヘラクレストの動きを止める陽動として使い、足を止めている間にロンギヌスをシューティングフォームへと切り替え、カートリッジを2発ロードすると、使用したカートリッジの魔力を使ってディバインバスターのチャージを短縮しチャージが完了するとトリガー引いて砲撃を放つ。
迫り来る砲撃を前にヘラクレストは避けること無く足に踏ん張りを入れて腰を使って拳を砲撃に向けて突き出し優希のディバインバスターを相殺する。
「砲撃を相殺した!やっぱりこいつ並みの召喚獣じゃないな…」
[まだ始まったばかりです、いきましょうマスター]
「ああ、もちろんだ!」
ヘラクレストの強さを再確認し気合いを入れ直しヘラクレストに仕掛ける優希
その優希とヘラクレストとの戦いを離れた場所から見る簪は既にあまりの光景に言葉を失っていた。
あまりにも次元が違いすぎる攻防…少なからずISが最強の兵器だという認識を持っていたがこれを見てはそんな定義を粉々に砕かれた気分に見舞われる。
「あの召喚獣…侮れませんね…優希も本気で打ち合ってるのに…中々クリーンヒットしません」
ことなを失っている2人を他所にリインは至って冷静にこの戦いを分析しており、それを気にした楯無はリインに声を掛けた。
「あなた…八神優希の家族なんでしょ?助けに行かなくて良いの?」
「助けたいのは山々ですが…リインでもあれに踏み込むのは危険なのです…それにリインは優希から皆さんを任されましたから」
と自分には荷が重いと重いながらも優希の言われたとおり、簪達を守ることが自分に出来ることだと言い切る。
「それに…優希は本気を出してますがまだ手の内を明かしてはいないのですよ」
と余裕に笑みを浮かべるリインに2人は首を傾げたとき、自滅して気絶していた女の子が漸く目を覚ました。
「ふえ?え?なに!?何あの万国吃驚ショーみたいな光景は!?」
目を覚まして見た者が人外と思える光景なら此処まで驚いても致し方はないだろう……と苦笑いを浮かべながらリインは女の子に優しく声を掛けた。
「目が覚めたのですね」
「え?は、はい」
「今から見ることちゃんと見ていてくださいね……きっとあなたにとって有意義な物が見れますから」
「は、はい?」
突然そんなことを言われてもわからないと女の子は首を傾げるがリインは何も言わずニコニコと笑みを浮かべるだけだった。