インフィニット・ストラトス 夜天の息子の鮮烈なる物語   作:ウィングゼロ

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五十六話『思いがけぬ期待』 

『…ふぅ……こんなもんかな』

 

今回の戦いのレポートを作成し終えて、パスワード付きのファイルに保存した後……いつも通りロンギヌスから母さんのディスプレイにレポートを送信し、漸く落ちつけると目を瞑りながら椅子にもたれかかる。

 

あ~疲れた~

 

正直もう晩飯なんて要らずに寝たい気分だ…でもさすがにシャワーは浴びたいかな…

 

『明日も予定があるしな……』

 

明日は海鳴に行って事情説明……そして休日明けからは授業と簪の打鉄弐式の開発に着手……気分は月月火水木金金だよ……なんか六課時代を思い出すよ

 

[マスター、マリエル技術主任から連絡です]

 

『え?マリエルさんから?……問題ないから繋げて』

 

ロンギヌスから意外な人物からの連絡が来たことに驚きながらも通信を入れるように指示すると目の前に空中のモニターが出現しあっちの映像が映る

 

「優希くん、今大丈夫?」 

 

と陽気に話しかけてくるマリエルさんでも何故か目元には隈が付いてる…徹夜だったのか?

 

『大丈夫ですよ、それで何か用でも?』

 

「あ、うん、優希くんのロンギヌスなんだけど一度メンテナンスをしようと思ってね、明日に本局に来れないかな?軽いメンテナンスだからそれほど時間も取らないし」

 

ああ、メンテナンスの連絡か…

 

昨日までならそこまで重要じゃないために後回しにするところだが今日あった出来事を考えるとそうもいえない。

 

早めにメンテナンスをしてその上今日でカートリッジを8発も消費したから補充申請も出したかったし

 

『良いですよ明日の午前中にはお伺いします、何分早め方が良いでしょうから』

 

「え?優希くんの方で何かあったの?」

 

俺が言った言葉が気になったマリエルさんは更に訪ねてくるけど別に今すぐに話すことでもない。

 

『その話は明日に追々…それじゃあ切りますからね』

 

「え!?ちょっとま…」

 

マリエルさんが言い切る前に通信を切って再び椅子にも垂れかける。

 

そして一息吐くと俺を見る視線に気づきゆっくりと視線の方向に目を向けると簪が立っていた。

 

「優希?今の何?」

 

どうやら俺とマリエルさんとの通信の一部始終を見ていたようで気になって訪ねてきた。

 

俺の秘密の一部はもうバレていることから、はぐらかすこともないだろう。

 

『映像通信、ロンギヌスに通信機能が搭載されているからそれで連絡を取ってたの…明日俺は先に行かないと行けない所が出来たから』

 

「そ、そうなんだ」

 

先程の出来事を説明しながら椅子から立ち上がり衣服を持って浴室に向かっていった。

 

 

翌日……

 

『ん~片道約3時間、朝から出かけたからまだ10時前か……さっさと要件を済ませないとな』

 

朝7時頃にIS学園から出て電車を乗り継いで海鳴までやってきて、そこからは月村邸に向かってミッド直通の転送ポータルでミッドチルダに向かいそこから本局へと辿り着いた。

 

辿り着いて直ぐに俺は工業区画に向かう。

 

転移ポータルを利用するので直ぐに工業区画に転移し、転移し終えると工業区画を歩き始める。

 

工業区画は主にデバイス機材を持っている局員が目だち、そんな中で俺は私服で歩いているため結構目だつが俺の顔を知っている人が多いためか、気づいて敬礼する人たちが多い。

 

そしてマリエルさんが働く精密機器を取り扱う部署に辿り着き、扉の横にあるパネルに触れる。

 

そして扉が開くと中に入りると中はいつもより機材の量が多いことが目に入る。

 

『……失礼します…機材多いな…』

 

「あ!…優希くんいらっしゃい、機材が散らかっててごめんね」

 

と奥からマリエルさんが出てきて、俺に挨拶と機材の件に関して謝罪してくる。

 

『別に良いですよ、それよりロンギヌスのメンテナンス、お願いしますね』

 

そういって俺は首から下げているロンギヌスを外してマリエルさんに渡す。

 

「はい、任されました…それで優希くん、昨日の話の続きなんだけど…」

 

『はい、実は……』

 

マリエルさんは渡されたロンギヌスを受け取った後、昨日のことで気になっていたことを訪ねてきて、俺は昨日の出来事を話し始めた。

 

『ってことです、だからメンテナンスなら直ぐの方が良いかなと』

 

「そうだったんだ……地球でそんなことがあったんだね……わかった、ロンギヌスはちゃんと責任を持って整備するから……優希くんは少しどこかで時間を潰してて、簡単なメンテナンスだから一時間半ほどで済むから」

 

とロンギヌスをメンテナンス用のポットに入れて、メンテナンスを開始するマリエルさんに俺はふとこの部屋の有様のことを気になって訪ねてみる。

 

『そういえば…この機材の山は一体何なんですか?』

 

「それがね、昨日から上から指示で第五世代型の開発に着手するから、第三世代のパーツを処分することになったの」

 

『第三世代ってたしか…もう十年ほど前の産物でしたっけデバイスにカートリッジを付けるようになって、近代ベルカとミッド式が主流の時ですし』

 

まあ確かに局員の殆どは第四世代型の量産機使ってるしなのは姉のレイジングハートやフェイト姉のバルディッシュに関しても分類は2.5世代型でもパーツとかは特注で発注した最新なものだから…確かにもうここまでパーツがあっても、置き場所に困るだけだよな…

 

 

『待てよ…あのマリエルさん…』

 

「なに?優希くん?」

 

頼みたいことがあってマリエルさんに、声を話しかけるけど、当の本人は表示されているモニターに釘付けになっていてこちらには目を向けない。

 

『第三世代型のパーツ一部で良いから譲って欲しいんです』

 

「え!?優希くんどうしてパーツが欲しいの?ロンギヌスは第四世代の初期段階の機体だけど…第三世代型よりかは性能も良いんだよ?」

 

パーツの譲渡を口にすると案の定驚いたマリエルさんがこちらに振り向く。

 

マリエルさんの言いたいことはよく分かっている…恐らく作ったデバイスもロンギヌスには劣る性能だろう

 

……デバイスを作るならな

 

『実はそのパーツが必要なのは俺じゃなくて、今いるところの人なんです』

 

「……どういうことかな?」

 

気になって作業を止めて耳を傾けるマリエルさん。

 

そして俺は簪と打鉄弐式のことを説明して、説明し終えると険しい顔つきでマリエルさんは悩む。

 

『なるほどね……それは確かに許せるものじゃないね…そういうことなら私も喜んで協力したいんだけど……私の一存じゃあね』

 

と渡すことについては些か難しいと述べる。

 

やっぱり難しいよな……

 

そう思った俺だがマリエルさんは諦めてないのか後ろめいた顔つきはなく俺に話しかけてくる。

 

「でも任せて!上にその事を掛け合ってみるから!」

 

『っ!よろしくお願いします!』

 

と頭を下げる俺はこれが通れば色々と問題も解消できるだろうと胸に期待を膨らませるのであった。

 

 

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