インフィニット・ストラトス 夜天の息子の鮮烈なる物語   作:ウィングゼロ

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六十七話『勝利の女神はどちらに微笑むのか』 

遂に始まったクラス代表戦、簪の意表を付く作戦で鈴から先手を取ることに成功し、戦いを優位に運んでいた。

 

その光景を見ている優希達、するとセシリアが気になることがあるのか目線を優希に向けて訪ねる。

 

「優希さん、簪さんの睦月と如月…あの二つで鈴さんの攻撃を逸らし続けていますけど、普通なら簪さんの武装が壊れても可笑しくありませんこと?」

 

「ああ、それは俺が打鉄弐式にエネルギー収束システムを積んだからだ」

 

優希がさらりとその理由を述べたがセシリア達にとっては耳を疑う内容だった。

 

「ちょ、ちょっとお待ちくださいまし、あのシステムは優希さんのリヴァイヴに積んでいるはずですわ」

 

「え?何でって…あれOSにそのシステムを組み込めばどんな機体にでも使うことが出来るものだぞ」

 

「そ、そんな…」

 

驚きの言葉に唖然とするセシリア。

 

優希自体そこまで凄いものでは無いと息巻いているが、第三世代の特徴はイメージ・インターフェイスを用いた特殊兵装の実装…

 

優希が付けたエネルギー収束システムがどの機体にも使うことが出来ると言うことは…つまり…

 

優希がその気になれば第三世代の量産など簡単にできるということであった。

 

「なんで、そんなに驚いてるんだ?セシリア…まあ取りあえず、打鉄弐式にはそれを組み込んでるから簪はシールドエネルギーを鈴の双天牙月が当たる箇所を強化して攻撃を捌いてるってことだ」

 

驚いて固まったセシリアを他所に優希は分かるように本音達に説明をするが本音はまだ気になることがあるのか優希に訪ねてくる

 

「でも~かんちゃんよく、りんりんの攻撃を捌いてるよね~どうしてなの~」

 

「ああ、それについては俺が鍛えたから…簪自体、射撃関しては言うまでもなく上手い、だけど射撃型は距離を詰められると不利になるだろ?だからこそ、近接タイプの対処の仕方、捌き方を重点的に鍛えたんだ」

 

アリーナで繰り広げられている簪と鈴との試合、それを見て捌ききっている、簪のことを訪ねられ、優希は短時間で行った主な練習が近接武器の捌き方であったことを明かし、それであれだけ捌き方が上手いことを納得する本音達、しかし優希はアリーナで戦う簪と鈴を見て、難しい顔で見つめていた。

 

《もう既に開始してから15分は経つ…今は簪が優勢だが、鈴は勘で覚えるタイプだ…時間をかけすぎると厄介なことになる…簪…頑張れよ》

 

 

心の中で優希が簪を心配する中、その簪は少し息を荒くして、鈴の出方を待っていた。

 

《不味い、そろそろ鈴の攻撃を捌ききれなくなってる…時々龍砲も飛んでくるけどそれは優希の言ったとおり、狙わせないように移動し続けてなんとか回避できた…立て続けの捌きでシールドエネルギーももう後半分もない…そろそろ決めていきたいけど…》

 

そろそろ決着をつけたい、簪であるが中々その機会が来ず、馳せる気持ちを抑えながら、鈴に視線を外さない。

 

「やってみるか、山嵐、弾数12発、前方に向けて発射!」

 

簪は意を決して打鉄弐式の山嵐12発を発射させ、発射し終えると自身もその後に続いて鈴に迫る。

 

「当たるわけないでしょ!」

 

前方から来る単調に来るミサイルに上空へと逃げようとする鈴だが、鈴に当てることが簪の狙いではなかった。

 

「いまだ!」

 

そういって、簪は睦月で鈴ではなく自らはなった山嵐のミサイルに向けて射撃し鈴の目の前を爆発の煙で覆う。

 

「目眩まし!?でも!」

 

《きっと、この煙の中から私の懐に入ろうとするはず、出てきたところを龍砲で落としてやるわ》

 

これにより簪の姿を捉えることが出来なくなった鈴だが、少し後方に下がり、簪の出方を待つ。

 

そして鈴の左手から煙から突き出てくるものを鈴はハッキリと確認すると少し笑みを浮かべながら龍砲の照準を合わせて龍砲を放った。

 

「これで……っ!?」

 

龍砲を放ち、当たるかと思えたその時、鈴は目の先にあるものに目を疑う。

 

「あれは簪の持ってた銃!?」

 

左手から出て鈴の龍砲を受けたのは簪……ではなく簪が持っていた二丁拳銃の片割れである睦月。

 

では簪は何処に……そう鈴は思考を巡らせようとすると鈴の正面からスラスターを噴かせて迫る簪の姿を捉えた。

 

「正面!」

 

《睦月を囮に上手く接近できた、なんとか如月を当てる》

 

正面から鈴に迫る簪は利き手に持っている如月に力を入れながら着実に鈴へと近づく。

 

「中々やるわね……でも、遅いわ!」

 

ここまで苦戦を強いられたことに簪を賞賛する鈴だが、煙で目眩ましの時後方に下がったのが幸いし接近する簪への迎撃する時間をあたえることになる。

 

《駄目だ、私が攻撃するより先に鈴の攻撃が振り落とされる。でも諦めて…》

 

「なるもんかぁ!!」

 

簪は鈴の攻撃が先に当たることを予測しながらも勝利の先にある姉との決闘、そして自身の心の氷を溶かしてくれた大好きな優希のため、簪はスラスターにエネルギーを溜めるとそれを解き放ち一気に加速する。

 

一気に加速したことにより鈴の攻撃を躱すことに成功し直ぐさまスラスターを逆噴射して減速しながら鈴の右側面から背後、左側面へと回る。

 

《この一撃に全てが決まる、次なんてない…だから出せる全ての力をこの一撃にかける!》  

 

「はあぁぁぁぁっ!」

 

未だ余る速度を利用して如月を鈴に向けて振り回す。

 

その時の如月は銃口にエネルギーが収束し尖った刃が生成されそれが甲龍のシールドとぶつかり、数秒拮抗したのち甲龍のシールドが砕かれ、簪はすかさずに鈴の横腹に如月を突きつけた。

 

「…………」

 

「…………」

 

如月を鈴に突きつけて互いに無言な時間が過ぎる。

 

「……私の……負けね」

 

「うん……私の勝ちだよ」

 

懐に銃を突きつけられた鈴は潔く負けを認め、簪は勝利を確信し如月のトリガーを甲龍のシールドエネルギーが0になるまで引き続けた。

 

[勝者、クラス1-4、更識簪]

 

機械のアナウンスがアリーナ中に聞こえ渡り、その直後、大勢の人の歓声がアリーナを包み込んだ。

 

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