インフィニット・ストラトス 夜天の息子の鮮烈なる物語   作:ウィングゼロ

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六十八話『学生最強の妹VS世界最強の弟/決別』

クラス代表戦、第一試合、4組の簪と2組の鈴

 

お互い国の代表候補ということもあって専用機同士の戦いは熾烈を極め、4組の簪が勝利を手にした。

 

簪の勝利に湧き上がる歓声、優希達のいる観客席でも殆ど2組、4組の生徒ばかりだが互いの健闘を讃えて歓声を上げていた。

 

「やった~!かんちゃんが勝った~!」

 

「凄いよね、更識さん、それに最後の加速ってもしかして……」

 

簪が勝ったことに喜ぶ、本音にそれに便乗して清香も最後に行った瞬時加速に見覚えがあったため優希に向かって訪ねた。

 

「あれは瞬時加速(イグニッション・ブースト)だな、中々の熟練者しか扱えない技能だ、放出するスラスターのエネルギーを溜め込んで放出することで、それに比例する爆発的な加速を得る。普通なら直線しか無理な瞬時加速(イグニッション・ブースト)だけど簪はそれを無理矢理だが旋回して鈴の脇腹に食らいついたな」

 

《と、説明したのは良いが俺的には瞬時加速(イグニッション・ブースト)より最後の甲龍のシールドを破壊した簪の一撃……間違いなくエネルギー収束システムの応用によるものなんだが……俺、あれは簪にはまだ難しいだろうから教えてないんだけどな……咄嗟にやったとしか思えないな》

 

優希は瞬時加速(イグニッション・ブースト)について説明をしたが心の中ではそれより、簪が偶発的に起こしたエネルギー収束システムの応用のほうを考えていた。

 

「まあ、それは後で良いか……さてと一度、簪達に会ってくるかな」

 

簪のあの一撃のことは頭の隅に置いておき、優希は健闘した二人を労おうと席から立ち上がり、準備室へと向かっていった。

 

そして、鈴に勝利した簪は準備室のベンチで少し休息して勝ったことを思い返す。

 

「勝った……私……自分で作った打鉄弐式で勝ったんだ」

 

優希と本音を初め協力者の尽力で完成した打鉄弐式、簪は勝つことに不安があったのだが、結果は勝利を手にすることが出来たため、ご満足な表情を見せる。

 

「簪?いるか?」

 

「あっ、優希!」

 

部屋の外から優希の声が聞こえてきて、直ぐに返事をすると優希は飲み物を三つ持ったまま扉を開けて部屋に入ってくる。

 

「優希!」

 

「ちょっ、簪!?」

 

優希が入ってくると簪は勝ったうれしさを分かち合いたいのもあって優希に抱きつく。

 

「優希、私、勝てたよ」

 

「ああ、それはよかったな……あと出来れば離れてくれないか?そのこんなところ誰かに見られたら……不味いし」

 

「え?あっ……」

 

喜ぶ簪だが、抱きつかれている優希は喜べる状況ではなく、顔を赤くして離れるようにと恥ずかしそうに言うと改めて簪は自分がしたことを確認すると直ぐに優希が赤くした理由を察した。

 

簪が抱きついたことで優希と隙間もないほどに密着してその上、今はISスーツを着ているのもあって更に簪の肌の感触が直に感じ取ることが出来てしまう。

 

それに気づいた、簪も一瞬で真っ赤になって自分の大胆さな行動を恥ずかしく思いながら慌てる。

 

「こ、こ、こ、これは…その喜んでいたあまり、感情抑えきれなくなって、優希が来たから、反射的につい体が……」

 

「お、落ち着け、なんか理論的な話になってる」

 

簪の慌てているのを見て少し冷静になった優希が簪を落ち着けさせようとする。

 

簪が真っ赤にして慌てているのが落ちつくのはこれから10分あまりしたときである。

 

 

鈴SIDE

 

負けちゃったわね……

 

初戦で簪に負けた私は制服に着替えてアリーナの通路をゆっくりと歩いている。

 

本当は直ぐにシャワーを浴びたいところだけど……それはクラス代表戦が終わってからにするとして……まずは簪の所でも行こうかしらね

 

 

そういって簪が居る準備室に向かおうと足取りを速めようもしたとき、後ろから聞き慣れた声が聞こえてきた。

 

「鈴!」

 

「っ!一夏」

 

私を見つけてこっちに駆け寄ってくる一夏……大方、負けて気を落としてる私を慰めに来たんでしょうね

 

「あの…その…残念だったな…試合」

 

『そうね…』

 

本当は一夏と決勝で戦って叩きのめしたかったんだけど……それは簪に託すしかないわね

 

「安心しろ鈴、必ず俺が決勝で仇を取ってやるから!」

 

そう笑みを浮かべて宣言する一夏…何言ってるの?

 

「あんたが私の仇を取る?馬鹿じゃないの?」

 

「鈴?」

 

「あんた、私と簪の試合見てなかったの?簪のあの動き…恐らく、あんた対策の動きよ、近接武器しかないあんたが勝てるわけないでしょ!」 

 

ちょっといらついてきた…直ぐに簪の所に行きたい

 

「大丈夫だって!俺は千冬姉と同じ雪片を使ってるんだ…負けたりなんか…」

 

千冬姉ってあんたが千冬さんと同じわけないじゃない!

 

「無理よ、簪はあんたに勝った優希から直々に鍛えられてるのよ…あんたのことなんて想定されてるに決まってるじゃない」

 

いいかげん気づきなさいよ!あんたと千冬さんとは天と地の差があるってことぐらい

 

「また…八神…っ!なんであんなやつが…!」

 

優希の名前を口にした瞬間、一夏の顔つきが変わった。その表情はもう昔の面影なんて何処にもないくらいに

 

『なんで、鈴まであいつに肩を持つんだよ!あいつは女を平気で痛めつける最低な奴なんだぞ!それなのにり…』

 

優希の悪口をペラペラと…もう頭にきた。

 

多分私の名前を言い切る前に私の手があのバカの頬全力で叩き倒して、バカは叩かれた頬手で添えながら、唖然とした表情で私を見ていた。

 

『最低よあんた…!!』

 

もう、私が好きだった一夏は見る影もない…ただの言い訳をする子供にしか見えない…

 

「どうしてだよ…鈴…」

 

叩かれて狼狽える一夏、私は一々構う必要もないと一夏に背を向けて歩き出す。

 

『……それじゃあ、私行くから……どうせ叩かれた理由やこの前約束のことも分かってないんでしょ?別に良いわよ、わからなくて……でももう一人の幼馴染みぐらい守ってやることね…あんたにはそれぐらいがお似合いよ』

 

……一夏……あんたのことで少しわかったことがある……気づいてないけど、あんたは…優希に嫉妬してるのよ

 

『さよなら』

 

そういって私は後ろにいる一夏に遠ざかる。

 

 

………さよなら一夏…

 

 

さよなら…私の…初恋……

 

 

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